人は愛されていることを武器に何でも言えるのさ。
反対に誰かを愛せば――武器を渡すことになる
『恋愛小説家』が観たい。と言ってディスクまで出して来たら、母がおもむろに映画を再生したので「お、気が利くね」と思って観ていた。
あれ?あれれ?これ、恋愛小説家・・・?この人、ジャック・ニコルソンじゃなくない・・・?(笑)
私「ショーンコネリーじゃない・・・?これ」
母「そうだよ?」
私「何再生したの?」
母「”ファミリービジネス”」
私「!?!??」
という非常にどうでも良い経緯で見始めた本作。どうやらBSで録画したものを再生したようです。
1990年というともう30年近く前の作品になるんですね・・・
【映画情報】
【原題】Family Business
【制作国】アメリカ
【監督】シドニー・ルメット
【脚本】 ヴィンセント・パトリック
【製作】 ローレンス・ゴードン
【製作総指揮】バート・ハリス、ジェニファー・オグデン
【撮影】 アンジェイ・バートコウィアク
【編集】アンドリュー・モンドシャイン
【音楽】 サイ・コールマン
【出演([]内は役名)】
- ショーン・コネリー[ジェシー・マクマレン]
- ダスティン・ホフマン[ヴィトー・マクマレン]
- マシュー・ブロデリック[アダム・マクマレン]
- ロザンナ・デ・ソート[エレイン]
- ジャネット・キャロル[マージ]
- ヴィクトリア・ジャクソン[クリスティーン]
- デボラ・ラッシュ[ミッシェル・デンプシー]
- ジミー・チュウ[B・D・ウォン]
- ルイス・ガスマン[トーレス]
【公開日(日本)】1990年1月20日
【上映時間】110分
【配給】日本ヘラルド映画
【IMDB】5.7/10.0 (およそ10,300人の評価)
【あらすじ】
ニューヨークに暮らすジェシーは泥棒家業ひと筋に生きる男。その息子ビトーは結婚し、息子が生まれたことを機に泥棒を引退していた。ところがビトーの息子アダムは祖父のジェシーを秘かに尊敬し、新製品の強奪計画を提案。ビトーも父と息子を放っておくことができず、それに加わることに。父子、そして孫から成る泥棒チームは計画を実行に移すが……。【引用元:映画.com】
【感想】
☆2.6/5.0
泥棒一家に起きた悲劇というか喜劇というか。
一応ジャンル的にはコメディに入るらしく、内容は不適切なものを含んでいる(冒頭にそう出る)もののコミカルなタッチでクスりと出来るところも多い。
親子三代揃って一緒に網タイツをかぶり、じいちゃんととうさんがタイツを直し合ったりする場面が可愛くて、強盗中なのに微笑ましく思えてしまう(笑)
父と息子の確執のようなものが
全面的に描かれていて、特に
泥棒稼業に誇りすら持っていそうな破天荒な祖父(ジェシー)
↓
に、育てられ小さいころから盗みの手伝いされて来たことに辟易し、ジェシーを反面教師にして肉を解体する工場でまっとうに勤めている父(ヴィト―)
↓
に、育てられ非常に賢く、奨学金をもらって通った大学をあと少しで卒業というところでドロップアウトしてしまった孫(アダム)。(父よりも祖父を尊敬している)
という三代に渡る”子育て”、”父親としての在り方”が見え隠れする。
ヴィト―はジェシーを毛嫌いして、自分の息子はこんなに頭がよくなって奨学金まで貰った、自分の子育ては正しかった!と言うけれども、どうもアダムはそうは思っておらずヴィト―に腫れものに触るように育てられ、「一人の男として認めてもらった事がない」と言っていた。
そしてアダムは、自分を男として認めてくれる祖父に傾倒していく・・・。
その内容というのが「一緒に泥棒しようぜ!」というものだから、普通の父と息子の物語としては決定的に倫理観がずれているのだけど、そこがまた笑いに繋がるのかな。
バカな親子たちだなぁ、という。
相手の為にすることと、相手が本当に望むことの差異
ヴィト―は、アダムのためにジェシーを売る(自分も自首する)ことで、警察に捕まった息子の刑を少しでも軽くしようとする。それは父親として当然の行動だと私たちの価値観からすると思うんだけど、実はそれはアダムにとっては正しい選択ではなかった。
相手を思ってすることが、本当に本人のためになるのかと言えばそうでもないよなぁ・・・と切なく思いながら観ていた。
親子を繋げる”死”
和解のタイミングは、わりとありがちな”祖父の死”を通じてやってくる。
初めてヴィト―はそこで父のありがたみを想い、息子への謝罪を向ける。
息子もようやく、不器用な父の愛を知る。
家族が祖父の死によって一つになる。
倫理的に色々おかしなことを言っていた映画だったけど、ジェシーが最後に容赦なく終身刑にも当たるような30年近い刑を下された事もきちんと「報いを受ける」結果になっていたし、それなりに話はしっかりしていたのかな。
コメディという点
家族モノとしてのドラマも多分に含まれている+サスペンスに毛の生えたような展開があったりもするので、何も考えず頭を空っぽにして観れる!!という感じの映画とは少し違うかな。
けど、時々クスッと出来るシーンはあります。
ジェシーが刑務所へ送られるトラックの中で威張ってるやつをボコボコにしたら、周りの囚人たちが口をそろえて「彼は転んだだけ」と言うところが大好き。
名優・ショーンコネリーの魅力
ダスティン・ホフマンと比べて立ってるシーンを見るとめちゃめちゃでかいんですよ!!
そのせいかものすごくプロポーションも良くて、高級なスーツを身に纏う姿がカッコいいったらないですね。胸毛を見せびらかしながら入浴するシーンもあって、60とは思えぬ色香を放っています(笑)
ショーン・コネリーは母が大好きな俳優さんで、私もわりと好きなんですが、2006年に引退宣言をしてからスクリーンで観る機会はなくなってしまったんですよね・・・。
彼のファンだという方はぜひ、古い作品も観漁って、彼の若い頃の魅力という物にも浸ってもらいたいなと思います!!