「誘拐された女子高生3人VS誘拐した男23人格 恐怖は〈分裂(スプリット)〉する」
ちびぞうは、M・ナイト・シャマラン監督の映画は『翼のない天使』と『アフター・アース』以外は全て観ているんですが、いわゆる”シャマラニアン”と自称するファンたちほどは熱い情熱を持っていないという…ちょっとしたファンなのです(*’ω’*)
自分の映画にはいつも何かしらのカメオ出演をするお茶目さとか、いつも面白そうな予告編のわりに本編でコケているというシャマランさんのコケ芸が好きで…(もちろんヒットした『シックス・センス』も好きですけども)追いかけています!(笑)
(追い方がなんか歪んでる)
この一つ前の『ヴィジット』もすごく面白かったですよねー…オチが微妙でしたけども。
今作も期待値アゲアゲで鑑賞しました!
【映画情報】
【原題】Split
【制作国】アメリカ
【監督/脚本】M・ナイト・シャマラン
【製作】M・ナイト・シャマラン、ジェイソン・ブラム、マーク・ビエンストック
【製作総指揮】スティーヴン・シュナイダー、アシュウィン・ラジャン、ケヴィン・フレイクス
【撮影】マイケル・ジオラキス
【編集】ルーク・フランコ・シアロキ
【音楽】ウェスト・ディラン・ソードソン
【出演([]内は役名)】
- ジェームズ・マカヴォイ[ケビン・ウェンデル・クラム]
- アニヤ・テイラー=ジョイ[ケイシー・クック]
- ベティ・バックリー[カレン・フレッチャー医師]
- ジェシカ・スーラ[マルシア]
- ヘイリー・ルー・リチャード[クレア・ブノワ]
- イジ―・コッフィ[ケイシー(五歳)]
- ブラッド・ウィリアム・ヘンケ[ジョン叔父さん]
- M・ナイト・シャマラン[ジャイ]
【公開日(日本)】2017年5月12日
【上映時間】117分
【配給】東宝東和
【映倫区分】G
【IMDB】7.3/10.0 (およそ251,700人の評価)
【あらすじ】
見知らぬ男に拉致され、密室に閉じ込められた女子高校生3人組は、監禁場所で神経質な雰囲気を漂わせた男を目にする。男が部屋から立ち去り、必死に脱出方法を思案している最中、ドアの外から男と女が会話する声を耳にした3人は助けを求めて声を上げるが、そこに現れたのは、女性の服に身を包み、女性のような口調で話す先ほどの男だった。男には23もの人格があり、9歳の少年やエレガントな女性など、ひとりの体の中で人格が激しく入れ替わっていく。そして、そんな男に24番目の人格が現れ……。【引用元:映画.com】
【感想(ネタバレしているよ!)】
☆2.7/5.0
う、うぅーーーーーん!!!!!
これは、この「映画の正体」をはっきりと明示した上で観客にみせる必要があるかな、と思います。
なぜなら、この映画が一体何なのか、という事を把握しているかどうかで見方が180度変わってしまうから…
「分かる人にだけ分かればいい」というトリックをしのばせるのは全然いいと思うんですけど、それならばその仕組みを全く知らない新規ファンの人でも楽しめる内容にすべきなのかなぁ…と思います。
大まかなストーリー
序盤でいきなり、スーパーの駐車場?で車に乗り込んだ三人の女の子たちが誘拐犯に連れ去られる。(運転手をしていた父親は催涙スプレーかなんかで身動き取れなくさせられていた)
そこからずっとどこかの施設の地下らしき場所での監禁劇が続く。
誘拐犯の男は多重人格らしく、女や若い男の子の人格に変わったりする。
女の子たちは何度も脱走を試みるけど失敗。
途中で、誘拐犯の男が通っている精神科の病院の場面などもたびたび挟み込まれる。
多重人格のうちの何人かの人格が「彼が来る」と言っていて、どうも24人目の特別な人格(ビースト)が現れたら何か大変なことが起こる・・・というようなことが話されている。
しかしそのビーストが生まれることを恐れている人格が精神科医に助けを求めたりもする。
最終的にビーストと呼ばれる人格が登場、ムキムキの異常な力持ちで天井を這い歩いたりするファンタジックな力をみせつけてくる。主人公の女の子以外は殺され、助けに来てくれた精神科医も殺される。
主人公の女の子も、ビーストの元の人格ケビンと同じように虐待を受けた過去があると、彼女の体の傷を見て知ったビーストは、彼女だけ逃がしてやる、という選択をして消えてしまう。
無事保護される主人公。
ラストシーン、この誘拐事件についての報道番組を見ている人たちの中に、「ダン」という名札をつけたブルース・ウィリスの姿が…というところで映画は終わり。
結局なんだったのか!?
調べたところ、シャマラン監督が以前撮った『アンブレイカブル』という映画の続編に当たる作品だったようです。ダンというのはその映画の主人公だったキャラクター。
次に公開される『グラス(原題)』という映画と合わせて三部作になるようです。
『アンブレイカブル』がスーパーヒーローの誕生秘話なら、『スプリット』はスーパーヴィランの誕生秘話だったようで。
劇中で、誘拐犯の男が地下鉄に花を手向けるシーンがありましたが、これはアンブレイカブルの列車事故で父親を亡くしたという繋がりがあるみたいです。
ついでに言えば幼少期のケビン(誘拐犯)とダンが絡むシーンもアンブレイカブルであったようです。しかし、
いやそんなん知らんがな!!!
というのがちびぞうの素直な感想(笑)
アンブレイカブルを観たのはもう10年以上前だし、キャラ名なんか(むしろストーリーも)覚えてるはずもない!!!ブルース・ウィリスでおや?とは思いましたけどね・・・卑怯だよね、これはね・・・
ちなみにアンブレイカブルのポスターがひび割れしているのも、今作と共通しているポイントだそうです。
とりあえず、次作は三部作のラストになるようなので、もう一度アンブレイカブルを見返す必要がありそうですねー。
続編でなかったらどうだったのか
もし、これが三部作の一部でなかった場合、映画としてどうなのか。と聞かれると、
マカヴォイさんの多重人格の演技がすごい!!!ということや
主人格のケビンがうん10年も外に出られなかったこととか、すごく悲しくて重みがあって、「解離性同一性障害」というものの恐ろしさも見えつつ、でも「こういう人たちが犯罪を起こすというネタはあんまり好きでないなぁ・・・」と思いながら真剣に”人間ドラマ、社会派ドラマを抱擁したサイコサスペンス”という感じで観ていたのに
最終的にはムキムキマンのビーストが天井を徘徊したり、素手で鉄格子を折り曲げたりと無茶苦茶やるもんだから、もう目が点なんですよね(笑)
しかも、ビーストが主人公を逃がした理由が「自分と同じく虐待されていたから」という理由なのも安直すぎて微妙です。だって、体に傷が残らない精神的な虐待や性的虐待を受けてきた子達は見た目には分からないわけで、目に見えなかったらビーストに殺されちゃうわけでしょ。
うーん。やっぱり話自体も微妙だったなぁ。
まとめ
これが三部作の一部!ということで盛り上がるファンがいるのは分かりますが、それを知らずに観たファン以外の人たちも普通に観れる映画に仕上げておいてくれないとなぁ。と思います。
監禁劇のシークエンスも、逃げようと画策する少女たちに対する処罰みたいなものもなく、あんまり恐怖感も緊張感もないんですよね・・・。まーた逃げ出すぞ・・・・みたいな。
ケビンの主人格がずっと閉じ込められていた・・・というのが発覚するシーンで少し泣いてしまったちびぞうとしては、最終的なまとめ方が非常に残念でした。
あ、今回もシャマラン監督はチラッと出演しているので、ぜひとも探してくださいね!!!