”私たちの無限の愛を誰もわかってくれないの
でも私は貴方を見つけた”
はい、ちびぞうさんの「好きだと言うと人格を疑われる系映画」の時間です(笑)
ファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督が実在した殺人鬼カップルを題材に描いた
「ベルギー闇三部作」の第二弾だそうですよ!!!!!
なんだそれ?と聞かれてもちびぞうはよく知りませんが、第一弾はなに?という質問になら答えられます!それは
2006年公開の『変態村』!!!
内容の説明がはばかられるような狂気と不快感に満ちた作品なんですが、こんなタイトルでも別にふざけた感じの作品ではないです。ちびぞうは好きな映画です。気になる方はぜひググってみてくださいね~
そして今回は変態村に続く第二弾ということで、監督の名前に惹かれてDVDを手にとってみました。
同じカップルを元ネタにした映画『ハネムーンキラーズ』との合同公式サイトはこちら。
そういえば、娘役で『神様メール』のピリ・グロインちゃんが出ていました。端役だけど輝いてる。
【映画情報】
【原題】 Alleluia
【制作国】ベルギー/フランス
【監督】ファブリス・ドゥ・ベルツ
【脚本】ファブリス・ドゥ・ベルツ、バンサン・タビエ、ロマン・プロタ
【製作】バンサン・タビエ、クレマン・ミゼレ、マチュー・ワルテル、バート・バン・ランゲンドンク
【共同製作】ジャック=アンリ・ブロンカール、オリビエ・ブロンカール、ファブリス・ドゥ・ベルツ
【撮影】マニュアル・ダコッセ
【衣装】クリストフ・ピドレ、フロランス・ショルテ
【編集】アン=ロール・ゲガン
【音楽】バンサン・カエイ
【出演([]内は役名)】
- ローラン・リュカ[ミシェル]
- ロラ・ドゥエニャス[グロリア]
- エレーナ・ノゲラ[ソランジュ]
- エディット・ル・メルディ[マルグリット]
- アン=マリー・ループ[ガブリエラ]
- ピリ・グロイン[イヴ]
- ダビッド・ミュルジア[ペレ・ルイス]
【公開日(日本)】2017年7月1日
【上映時間】93分
【配給】 アンプラグド
【映倫区分】R15+
【IMDB】6.2/10.0 (およそ2,040人の評価)
【劇中で登場する映画】『アフリカの女王(1951)』
【あらすじ】
シングルマザーのグロリアは、出会い系サイトで知り合った男ミシェルに心を奪われる。実はミシェルは寂しい女性の性的欲求を満たして生計を立てる結婚詐欺師だったが、ミシェルの正体を知ってもグロリアの愛は冷めることなく、2人は兄妹と偽って一緒に結婚詐欺を繰り返すように。2人の歪んだ愛はやがて狂気へと変ぼうし、寂しい女性たちを次々と殺害していく。【引用元:映画.com】
【感想(ネタバレしているよ!)】
☆3.2/5.0
点数点けるのとか本当に難しい系の映画ですよね・・・。エロもグロもたっぷりで。
ただちびぞうはこの監督の映像表現が好きなので、結構スコアを上げがちになってしまいます。
元ネタになったレイモンド・フェルナンデスとマーサ・ベックのロンリー・ハート事件の映画はもう一つあって、タイトルはそのまま『ロンリー・ハート』主演はなんとジョン・トラボルタだというのでびっっっくりしました。
これは観ないと!!!
ちなみに事件の詳細などは「殺人博物館」さんの方で読めるので興味ある方は遊びに行ってみてください。どの部分が脚色かなども分かってなかなか興味深いです。
おおまかな流れ
グロリアが病院で死体を拭くシーンからスタート。
第1幕から第4幕までの章構成になっていて、タイトルに女性の名前がついています。
第1幕:グロリア
ミシェルとグロリアがネットのデートサイトで出会う所から恋に落ちるところまでが描かれる。
グロリアはミシェルが結婚詐欺師だという事をすぐに知る上に捨てられそうになるけども、彼と一緒に生きていきたいと愛を告白する。そして娘を友人に預け、二人で結婚詐欺師としての旅を始める。
第2幕:マルグリット
グロリアを妹と偽って、詐欺する相手の家に転がり込む二人。
他の女性とミシェルが体の関係を持つ事に激しい嫉妬を覚えたグロリアは、マルグリットに襲いかかり絞殺してしまう。
元々、病院で死体を綺麗にする仕事をしていたグロリアさん。ゴリゴリ切ってバラバラにて処理します。
第3幕:ガブリエラ
今度は宗教家の女を騙す。
ガブリエラは結構高齢でお世辞にも美しいとは言えない感じの女性なので、濡れ場のシーンは結構厳しい物があります(笑)
しかし今回も結局グロリアが激おこになってしまいガブリエラを撲殺して解体。パターン化してきてるのに避けようとしないところがなんともかんとも。やっぱり異常なんですよね。二人とも。
こんだけ面倒なグロリアを手放さない、というところに確かに二人にしかわからないような愛があったのかもしれません。
第4幕:ソランジュ
最後は牧場の美しき未亡人。可愛らしい娘のイブちゃんと暮らしています。
ここで大きく物語が動く。
グロリアの娘には興味なかったミシェルがイブちゃんと仲良くしていたり、ソランジュとイチャつくところをグロリアに見せないように薬を盛って眠らせたりして、明らかにソランジュとイブをグロリアから守ろうとするミシェルの姿が垣間見れる。真実の愛を見つけてしまったのか、な…?と思いきや。
結局はソランジュにミシェルの子どもを身ごもったと言われて二人の関係を知り発狂したグロリアに「斧でソランジュを殺せ!」と煽られて、ミシェルは彼女を殺してしまう。次にイブちゃんをも手にかけようとしたグロリアにミシェルが掴みかかり、イブちゃんだけは逃がすことに成功。
グロリアが自分の娘に電話して「もうすぐ戻るからね」と約束して、エンドロール。
ラスト、ミシェルの体を拭くグロリアの姿はオープニングと重なる演出になっています。
どうでもいい感想とまとめ
二人でデートで映画を観てケラケラ笑っていたのが印象的。こうしてみると普通のカップルなのにな・・・。
この映画だとただの結婚詐欺師を殺人鬼に仕立てたのは女の方・・・。
ですが、元ネタになったレイモンドの方も殺人の前科があったらしく、実際は二人が出会って最悪な化学変化を起こした結果そうなってしまったんだな・・・という感じですね。
この監督の、毒々しい色の使い方とか、狂気を感じる病的な映像表現がすごく好きなんです。
殺人鬼というだけではない二人の人生や彼らなりの愛を狂気混じりによく表現していたと思います。
ミュージカル映画でもないのに、第2幕で突然グロリアが歌い出す演出があったり、その曲がエンディングでも流れると…なんかもう…すごい…(言葉では表せない)となりますね。
オープニングとエンディングがリンクするところも好き。
それから、第4幕で薬を盛られたグロリアが目を覚ました後に”過去に殺した女たち”の幻覚を見るシーンがあるんですが、ここがもう不快度MAX!!!「なんでこんな映像を意図的に作れるんだろう」と監督の正気を疑いたくなりますが、好きです><
絶対に人には勧めませんが、こういったマニアックで人に隠れてこそこそ観る系の作品が好きなアンダーグラウンダーの皆さんはぜひ、手に取ってみてください。
ついでに同監督の『変態村』は今作より不快で不可解で難解なのでそちらも併せてどうぞ!!(結局すすめちゃう)
…ハネムーンキラーズとロンリー・ハートも観ないとだなー。