カテゴリー
な行

手紙がタイムトラベルするよ。映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』ネタバレ&感想

「難問を、ありがとうございました」

ちびぞう母が観たいと言っていた今作。劇場で観たという映画仲間がどうもイマイチそうな雰囲気を醸し出していたので、映画館で観るのは避けたんですよね・・・。

レンタル開始されたので、DVDで観てみることにしました。

西田敏行さん結構好きなので、若干の期待と不安を持ちつつ鑑賞・・・

当然のように原作は未読です!

公式サイトはこちら

【映画情報】

【制作国】日本
【監督】廣木隆一
【脚本】斉藤ひろし
【原作】東野圭吾
【エグゼクティブプロデューサー】井上伸一郎
【製作】堀内大示、高橋敏弘、松井智、藤島ジュリーK.、飯田雅裕
【企画】加茂克也
【企画プロデュース】水上繁雄
【プロデューサー】二宮直彦、千綿英久
【撮影】鍋島淳裕
【照明】北岡孝文
【録音】深田晃
【美術】丸尾知行、中川理仁
【装飾】吉村昌悟、山本直輝
【衣装デザイン】小川久美子
【ヘアメイク】永江三千子
【編集】菊池純一
【音楽】Rayons
【音楽プロデューサー】安井輝
【主題歌】山下達郎
【出演([]内は役名)】

  • 山田涼介[敦也]
  • 村上虹郎[小林翔太]
  • 寛一郎[幸平]
  • 成海璃子[皆月暁子]
  • 門脇麦[セリ]
  • 林遣都[松岡克郎]
  • 鈴木梨央[セリ(少女時代)]
  • 山下リオ[映子]
  • 手塚とおる[刈谷]
  • PANTA[皆月良和]
  • 萩原聖人[浪矢貴之]
  • 小林薫[松岡健夫]
  • 吉行和子[田村秀代]
  • 尾野真千子[田村晴美]
  • 西田敏行[浪矢雄治]

【公開日(日本)】2017年9月23日
【上映時間】129分
【配給】KADOKAWA、松竹
【映倫区分】G
【IMDB】7.0/10.0  (およそ420人の評価)

【あらすじ】

2012年。養護施設出身の敦也は、幼なじみの翔太や幸平と悪事を働いて1軒の廃屋に逃げ込む。そこは、かつて町の人々から悩み相談を受けていた「ナミヤ雑貨店」だった。現在はもう廃業しているはずの店内で一夜を過ごすことに決める3人だったが、深夜、シャッターの郵便受けに何かが投げ込まれたことに気づく。投げ込まれていたのは1980年に書かれた悩み相談の手紙で、敦也たちは戸惑いながらも、当時の店主・浪矢雄治に代わって返事を書くことに。やがて、この雑貨店と浪矢の意外な秘密が明らかになり……。【引用元:映画.com

【感想】

☆1.5/5.0

こ、こーれはなんともしょっぱい><

129分という今どきの映画ならそこまで長くもない時間、「これは最後まで観るのがしんどいやつやん・・・」と思ってしまいましたね。

なんというか、それぞれのキャラクターがナミヤ雑貨店のお悩み相談と、そしてとある養護施設で繋がっている群像劇なんですけども、まったくこれが世界観に入り込めない!!

まず何か悪事を働いたっぽい3人組が深夜に商店街のような場所を逃げてるシーンから始まり、車が動かないから逃げる作戦が頓挫、そしたら近くの廃屋に隠れよう・・・!というところからまず無理やりっぽいんですよねぇ。
そこをなんとか飲み込むと、次はその廃屋(ナミヤ雑貨店だった場所)のシャッターの外からいきなり何者かが手紙を投じてくる。で、その手紙を読んでみるとどうも内容からして「1980年」の人が書いたようだ(3人組のいるのは2012年という設定なので過去から来た手紙ということになる)
ここで、まずこの手紙を「誰かのいたずらだろ」ってならずに「1980年の手紙がなぜ今届いたの?」という風にキャラクターたちはすぐにその状況を受け入れるんですよね。

しかも、そのうちの一人が「返事書こうか」とか言い出す不自然さMAXの展開。

ナミヤ雑貨店から出て別の場所に行こうとしても同じ道をぐるぐる回ってしまって結局は雑貨店に戻ってきてしまうっていう状況だったりするので、もう少しパニックになったり自分たちの正気を疑ったりしても良いんじゃないかと思うんですがそういう描写も特になく。雑貨店に囚われている中で過去から来た手紙に返事しよう、と言う発想。あまりにも脚本都合すぎる。

さらに、その手紙は「魚屋ミュージシャン」というペンネームの人からで、彼は1980年に生きる過去の人。小さい頃、ナミヤ雑貨店のお悩み相談をしていた懐かしさからか、大人になってから再び手紙を書いて投じてみる。すると、次の日には誰もいないはずのその廃屋から返事が来る(2012年の3人組が書いた返事)。つまり、ナミヤ雑貨店を通じて手紙がタイムトラベルして、過去と未来の人間が文通するよっていう話なんですよ。
でも、誰もいない廃屋から手紙の返事が来るなら「誰かそこに住み着いてるんじゃ」とかってまず最初は疑うだろうにそれもない・・・。なぜか魚屋ミュージシャンもその不思議な現象を素直に受け入れて、さらに手紙を投函するわけです。

うーん、展開に馴染めない。

ちなみに

おおまかにキャラの繋がりをまとめると

3人組はとある養護施設で育った。そしてその養護施設の社長がそこを取り壊してラブホにしようとしている、と聞いて懲らしめようと強盗に入る。

ナミヤ雑貨店に訪れた3人。「魚屋ミュージシャン」「迷える子犬」などのお悩み相談の手紙に返事を書いて文通をする。

「魚屋ミュージシャン」とは、3人のよく知る「セリ」というミュージシャン(彼女も同じ養護施設出身)の弟を命懸けで助けた人物だった。彼が音楽をやめようかと悩んでいる手紙に「ぜひ続けてください」という返事を書かないと、セリの弟が助けられる未来が来ないと知って、3人は返事をした。

「迷える子犬」は昼は事務員、夜はホステスをしている女性で、彼女も親がなく、大叔母夫婦に引き取られて育ったという過去があった。どうしても育ての親に恩返しがしたいので、「愛人になって欲しい」と言う客の提案を聞き入れるかどうか悩んでいる、という手紙の内容だった。この女性に幸せになって欲しいと願った3人は、未来の情報を教えて、不動産と株で儲けられるようにしてあげた。

この「迷える子犬」がビジネスで成功して、3人の養護施設の社長となり、強盗された本人だった。

この流れとは別に、ナミヤ雑貨店の店主がすい臓がんになり、余命3か月を宣告されたところで、新聞記事に乗っていた心中自殺した女性が、自分が相談に乗っていた「グリーンリバー」というペンネームの人だと気付いて「自分の書いた悩み相談の返事が、人を大変な不幸にさせてしまっていたかもしれない」と落ち込んでしまう・・・という流れがあります。
そして店主は息子に「自分の33回忌の日、0時から朝まで限定でお悩み相談を復活させてほしい。そして、今まで相談してくれた人たちに”自分の悩み相談は、あなたの役に立ちましたか”と聞いて欲しい」という遺言を残す。

この33回忌の日というのが3人組が強盗してナミヤ雑貨店に囚われていた晩のことで、この夜に手紙が次元を超えると言う謎の奇蹟が起きた。

店主が店を去る最後の夜にも、33年後の未来から相談者の手紙が届き、最後に白紙の紙が届くという奇蹟が起きる。店主はその白紙の紙に最後の返事を書こうとする。

その白紙の紙とは、3人組が「外から紙を入れてそれが届くか試そう」とした紙だった。

こんな感じで、結構ややこしく話が繋がっているんですよね。
グリーンリバーというペンネームの女性の子どもは心中自殺から生き延びて、例の養護施設で育ちセリの友達になったりとか、とにかく全員がなんらかの繋がりがあるという。

良かったところ

白紙の手紙に対して店主が返事を書いた、その中身がすごく良かった。この白紙は、あなたの心を表しているんじゃないか?というところから始まり、差出人の未来を応援する内容へと繋がっていく。そして、最後に難問をありがとう、という締め括りで、すごくジーンときましたね。

それから魚屋ミュージシャンが作曲した曲にセリが歌詞をつけて歌うシーンも良かった。曲がすごくいい!と思ってたら作ったの山下達郎でした。
エンディングでも山下達郎が流れるんですけど、それもすごくずるいなーと。山下達郎はずるい。

まとめ

キャラのつながりをまとめながらでも、「未来の情報を教えて儲けさせるなんてずるい!」とか「ぶっちゃけ雑貨店のお悩み相談がこんなに盛況になるんだろうか」とか、「何十年も経ってまた手紙を投函してみようと思ったり、”一晩だけの復活!”というのをかつての相談者がそう簡単に見つけられるものかね」とか、ツッコミがけっこう出てくる出てくる・・・。

その店主の悩みの返事がすごくよくて、人々の心に響いていたってことなんでしょうけども、そこを描写されていないのでいまいちそこも良く分からず。

良かったなーと思うところもなくはなかったんですが、微妙さが押し勝った。

やっぱり全体的に世界観への導入が弱かった作品だと思いました。

おかげで主演の山田涼介の演技がもー。迫真に迫るほど笑いがこみあげてしまって・・・特に自分が強盗した女の正体が「迷える子犬」だったという事に気付いて「くっそー!」となるシーンはもう耐えきれずに吹き出してしまって・・・。

ちびぞう母が観ながらポツリとつぶやいた

「映画館で観なくて良かった・・・」

という言葉が全てを物語っているな、と思いました(笑)。

 

 


にほんブログ村 映画ブログへ

カテゴリー
な行

松潤×有村架純の純愛系?映画『ナラタージュ』ネタバレ&感想

一生に一度の恋。

わたしには、あなたでした。

ゾンビ映画とか洋ホラーばっかりじゃなくてですね、たまには観ますともこういう系の邦画を!

どうも、ちびぞうです。

一足先に観ていた友人の「松潤のダメ男っぷりがすごい!」という言葉に後押しされ、予告編の良さにも惹かれて映画館へと足を運びました。

最近の類似映画として『先生、、、好きになってもいいですか』とか『PとJK』などがありますね。生田斗真×広瀬すず、亀梨君×土屋太鳳ちゃんという風にきちんと旬の俳優陣が被らないしているのは偉い。

ネタが似るのはハリウッドと一緒だなぁ~今の流行りなのかな。それとも、JKの恋物語というのは不変の人気を誇っている物なのでしょうか。

脇道にそれました!パンフはこんな感じ。

すでにこの時点で松潤の口元に目が行ってしまいます。

裏側

A4サイズを超えてそうな、かなり大判です。

【映画情報】

【制作国】日本
【監督】行定勲
【原作】島本理生
【脚本】堀泉杏
【製作】佐野真之、市川南、藤島ジュリーK.、堀内大示、弓矢政法、倉田泰輔、高橋誠、荒波修、古賀俊輔、吉川英作、小川真司
【エグゼクティブプロデューサー】豊島雅郎、上田太地
【プロデューサー】小川真司、古賀俊輔
【共同プロデューサー】吉澤貴洋
【撮影】福本淳
【編集】今井剛
【音楽】めいなCo.
【主題歌】adieu – “ナラタージュ”
【出演([]内は役名)】

  • 松本潤[葉山貴司]

  • 有村架純[工藤泉]

  • 坂口健太郎[小野怜二]

  • 瀬戸康史[宮沢慶太]

  • 市川実日子[葉山美雪]

  • 大西礼芳[山田志緒]

  • 古館佑太郎[黒川博文]

  • 神岡実希[塚本柚子]

  • 駒木根隆介[金田伊織]

  • 金子大地[新堂慶]

【公開日(日本)】2017年10月7日
【上映時間】140分
【配給】東宝、アスミックエース
【IMDB】6.4/10.0  (およそ5人の評価)

【あらすじ】

。大学2年生の泉のもとに、高校時代の演劇部の顧問・葉山から、後輩たちの卒業公演への参加を依頼する電話がかかってくる。高校時代、泉は学校になじめずにいた自分を助けてくれた葉山に思いを寄せていたが、卒業式の日に起きたある出来事を胸にしまったまま、葉山のことを忘れようとしていた。しかし1年ぶりに葉山と再会したことで、抑えていた恋心を再燃させてしまう。一方、葉山もまた泉に対して複雑な思いを抱いていた。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレ注意)】

☆2.8/5.0

純愛系なのか?という大いなる疑問が残る今作・・・。

松潤の口元が気になりすぎる!

松潤ももう34歳なんですねー!

いやー・・・それにしても口元が気になる!!

ほうれい線というか、なんだろう、口元がネズミのようなんですよ・・・。別に貶したいわけでもなく普通に・・・。重めの黒縁眼鏡に、目の上ギリギリの前髪、きっと諸悪の根源はそこなんですよ。余計に口元が強調されてしまってですね。演技に集中出来なかったなぁ・・・。

しかも、葉山先生というキャラクターの内向的な感じというか、影があって温厚で口数少なめな感じを演出するのに基本的に笑ったりするシーンもほとんどなく。への字にすると余計に口元がね・・・。

物語の核心は”片思いの連鎖”

松潤の口元のことばかり書いていても怒られそうなのでストーリー部分にも触れていきたいと思います。

この話の核心は「自分にとっての特別な人(死ぬほど欲しくても手に入らない相手)への思慕」の物語。特に、”過去に焦がれた相手”という観ている人が自分の青春時代や大恋愛していた時代に思いをはせるタイプの映画です。

松潤に対する有村架純の想い、そして有村架純に対する坂口健太郎の想い。想いの連鎖。

もし、松潤にとっての”特別な人”というのが有村架純であったならば、大恋愛の純愛ストーリーとなってしまうところだと思うんですが、そうはならない。

松潤には松潤の”特別な相手”が有村架純の他には別にいて、有村架純の想いもまた切なく届かないまま終わってしまう。

張り巡らせられた伏線が上手い

実は上で書いた”片思いの連鎖”というのはネタバレでも何でもないと思っているんですよね。

というのも、かなり序盤から、「この映画はそういう内容の物ですよ」と示唆するシーンが随所にちりばめられているから。

まず話の構成が「有村架純が過去を回想する」というものであるところから、「すでに終わっている話なのだろう」と予測出来る点。

それから、早い段階で松潤になんらかの女性に対するトラウマ的な出来事が起きたと思わせるシーンが挟まれていること。そしてその相手が誰なのか、ここがポイントなのは言わずもがな。

二人が映画好きであるという共通点を知るシーンの中に、トリュフォーの『隣の女』(私はまだ未見ですが)という映画の「一緒に居ると苦しいのに、あなたなしでは生きられない」という台詞が抜粋されています。この映画は、実は実を結ぶことのない愛を描いた悲恋の話なんですよね。その内容と台詞から、ナラタージュの登場人物たちもそれぞれが相手に対し「その人でなければダメなのに、叶うことがない恋愛をしているのかな」と予想しました。

そしてこういったエピソード的な伏線以外にも、松潤のはねた髪に引っかかった桜の花びらが、有村架純の手で取られることはなく落ちていく・・・という1シーンにも「うまくいかない二人」という暗示があったように思いました。

そういう不穏さを感じさせ、最初からこの恋はダメになるよという前提で切なく見せようという構成は良かったと思いました。

結局のところ純愛なのか

個人的には、この映画の登場人物たちはみんなとても利己的だったなぁ、と思うんですよね。するとどうしても、純愛映画・・・ではないのかもしれない。と感じました。

松潤も、卑怯な方法で自分の弱さ苦しさを誰かに救って貰おうとする部分しかないので、そこがどうしてもダメ男に見えてしまうのかもしれないですが、言ってみれば有村架純が坂口健太郎にしたことも、全く同じようなことだと思うんですよね。

そして坂口健太郎も、嫉妬にかられて大事な人を大切にするという部分を見失ってしまう。

本当に自己中心的な恋愛しかしてない!みんなが!

(個人的には、純愛ならもっと自己犠牲的な愛の物語が好みだなぁ・・・)

監督はパンフレットで、”曖昧な関係”を描きたかったと語っていたし、”男はこういうもの”とも言っていました。だからきっとこの映画は、演出の仕方と監督の思惑に多少のズレが生じていて、それが鑑賞後の違和感に繋がっているのかな、と感じてしまうんですよね。

だって予告編を見る限りでは純愛っぽいんだもの!!!鑑賞者と監督のイメージのズレがあります!

まとめ

打ち上げ花火~、でも思いましたが、主題歌が良いと良い映画を観たような気になるから不思議ですね(笑)

イケメン俳優と可愛い女優の組み合わせでキュンキュン出来る恋愛映画とは違って一癖あるというか、少し男性的な目線で描かれている作品だと思うので注意が必要です。

あんまり、今付き合っている人と一緒に観るよりかは、一人で、かつての恋愛に思いを馳せつつ鑑賞してみる・・・という見方が正しいのかもしれませんね。

 

トリュフォーの『隣の女』も、面白そうなのでそのうち観てみる予定です!

 


にほんブログ村 映画ブログへ
ランキング参加中です♪よろしければポチりお願いします(‘ω’)ノ

 

カテゴリー
な行

映画『22年目の告白 -私が殺人犯です-』感想(ネタバレなし)

すべての国民が、この男に狂わされる――

いやぁ、殺人犯が自分で手記を出版するなんて、最近日本でも某サカキバラの人がやってましたよね。彼は捕まってから刑期を終えた後だったので、この映画に登場する”時効を過ぎた後で自ら名乗り出る”犯人とは全く状況も違うわけなんですが。

その某サカキバラの人の手記は自分は購入していないんですが、意外に買った人は多いのかな。そういったものに興味を惹かれてしまう気持ちもわからなくはないんですけど、この映画の中で起きたモラルハザードと似たような感覚を覚えます。

ちなみに、韓国映画『殺人の告白』が原案になっているということは一応小耳に挟みつつ劇場へ足を運びました。その後、原案の方もレンタルしまして、『”22年目の告白”の原案!映画『殺人の告白』感想&ネタバレ』をアップしていますのでそちらにも興味がある方はぜひお読みになってくださいまし!