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モノクロの映像美!映画『羅生門』ネタバレなし感想

むせかえる真夏の草いきれの中で繰り展げられる 盗賊と美女とその夫の、息詰まるような愛慾絵巻。

こちらも以前(もはや去年)に書いたぎふアジア映画祭で鑑賞した作品。

『第40回/ぎふアジア映画祭』行って来たよレポ!

実は先日アププした『天国と地獄』よりも先に観た、初めての黒澤明監督作品だったりします。

法改正させた誘拐劇!映画『天国と地獄』ネタバレ&感想

今作は黒澤明監督が海外で評価される一端を担った作品。日本では評価されず、海外に出して賞賛されその評価に持ち上げられる形で日本でも注目を浴びたといういわゆる逆輸入の作品というのは有名ですね。

【映画情報】

【制作国】日本
【監督】黒澤明
【原作】芥川龍之介『藪の中』『羅生門』
【製作】箕浦甚吾
本木荘二郎
【撮影】宮川一夫
【録音】大谷巖
【美術】松山崇
【照明】岡本健一
【編集】西田重雄
【助監督】加藤泰
【記録】野上照代
【音楽】早坂文雄
【出演([]内は役名)】

  • 三船敏郎[多襄丸]
  • 京マチ子[真砂]
  • 森雅之[金沢武弘]
  • 志村喬[杣(そま)売り]
  • 千秋実[旅法師]
  • 上田吉二郎[下人]
  • 本間文子[巫女]
  • 加東大介[放免]

【公開日(日本)】年月日
【上映時間】分
【配給】
【映倫区分】
【前作】
【次作】
【IMDB】8.3/10.0  (およそ134,000人の評価)

【あらすじ】

平安時代、都にほど近い山中で貴族女性が山賊に襲われ、供回りの侍が殺された。やがて盗賊は捕われ裁判となるが、山賊と貴族女性の言い分は真っ向から対立する。検非違使は巫女の口寄せによって侍の霊を呼び出し証言を得ようとする、それもまた二人の言い分とは異なっていた……。【引用元:映画.com

【感想】

☆2.5/5.0

本間文子さん扮する巫女の口寄せシーンの役者さんの覇気というか目力というか、とにかく力強くて圧倒!

三船敏郎の演技も素晴らしいのですが、ちびぞう個人としては京マチ子をはじめ女性陣の圧を感じる演技合戦が特に素晴らしく感じました。

モノクロの映像と風に舞う布!世界観がエモい!スクリーンの奥の出来事なのにまるですぐそばにあって触れられそうな圧倒的存在感と言いますか!すごかった。

ちびぞうは芥川龍之介の羅生門と言えば小学校の頃国語の教科書で読んだ事があり、小汚い老婆が羅生門で追い剥ぎに遭うという恐ろしい話だ、という認識があったのですが、観れども観れども小汚い老婆が出てこない!!!!あれ?羅生門って芥川龍之介の羅生門を原作にしているのではないの…?と思っているとだいぶ気が散ってしまったのですが。

観終わってから調べてみると、今作は芥川龍之介の『藪の中』の方をストーリーの軸としているようです。

そりゃ婆さん出てこないわけだわ!!!!!!

ちびぞうは文学少女だったわけでもなく、文学女なわけでもありませんので、当然のように藪の中は読んだことがありません。それ故の混乱でした。中途半端な原作知識が映画を観る邪魔をしてしまったのです。残念すぎる。

今作は、3人の人物が一つの事象についてそれぞれの角度から違った真相を語り、どれが本当の話なのか分からない…!というのが面白さのメインとなるテーマ。

今回のぎふアジア映画祭では元々の味わいを堪能して欲しい、ということでわざと古く画面も荒く音も聞き取り辛いものを上映したそうで、当時の味わいはこれか…!と思う反面セリフがやはり聞き取りにくいところが多々あり、またちびぞうの地頭の問題もあってストーリーがよく分からないまま流れていってしまいました…。

味わいとの兼ね合い、難しい。

ちびぞうの働く映画館もフィルム上映をしていてたまに古すぎてフィルムが途中で切れてしまうのですが『そこがいいんだ!フィルムが切れなきゃ映画じゃない!』とおっしゃるお客様もいるので世の中いろんな需要があるんだなぁと脱線しながら締めたいと思います(笑)

まとめ

こちらの映画はやはり映像美、そして古い映画ならではの画面のザラザラ感と鬼気迫る役者陣の顔の演技、そしてそれが映えるモノクロを楽しむ映画だと思います。

キャッチコピーにあるような【愛慾絵巻】は描かれていませんでしたが、藪の中でむせかえる真夏は感じることができました。

機会がある方はぜひ、発掘してみてはいかがでしょうか。

ここまで読んでいただきありがとうございました!ちびぞうでした!

 

 

 

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ついに完結!?『アベンジャーズ/エンド・ゲーム』ネタバレなし感想

最強の、逆襲〈アベンジ〉へ―――

うううううううーーーーー!!!!!!ついに、ついにやってきてしまいました。去年の春に絶望させられ、そこから待ちに待って1年。ついに、ついに。アベンジャーズの今シーズンの幕引きです。

あーーーーーー本当に観るのが怖かった。

メタ情報として、キャップとソーと社長の役者はもうアベを引退だということを知っていたので、おそらくはそういった話の展開になるのであろう、と。
引退=キャラクターの死というわけではないということは分かっていましたが、とにかく怖かったんです。

それから、今作はサー・スタン・リーのカメオ出演が見られる最後の作品でもあり、そういう意味でも悲しかった。スタンリーが亡くなってから、今作で彼の姿を見るまでは御大は死んでいないことにしよう!とちびぞうの中で決めていましたからね・・・。

今回は東京で映画仲間とオフ会をしたので、仲間8人と仲良く一列になって鑑賞してきました。2D字幕での鑑賞です。

パンフはこんな感じ。当然のように通常版と特別版があり、特別版の方を買いました!

豪華なカバーがついていて、これを外すとこのブログのタイトル下に貼った画像のデザインが出てきます!全部で怒涛の78P、税抜き1,000円です!大台に乗ってしまいましたね~~~~。製作陣やキャストのインタビューに加え、アメコミライターの主水さん、光岡ミツ子さんなどのコラムが載っています。

やっぱりなんといってもアメコミ系のパンフはアートワークやコンセプトアートのページが素晴らしい。素晴らしすぎて目からナイアガラの滝ですよ。

ばちくそクールなシールもついている。

映画情報

【原題】Avengers: Endgame
【制作国】アメリカ
【監督】アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ
【脚本】クリストファー・マルクス、スティーブン・マクフィーリー
【製作】ケヴィン・ファイギ
【製作総指揮】ルイス・デスポジート、ビクトリア・アロンソ、マイケル・グリロ、トリン・トラン、ジョン・ファブロー、ジェームズ・ガン、スタン・リー【共同製作】ミッチ・ベル、クリストファー・マルクス、スティーヴン・マクフィーリー
【撮影】トレント・オパロック
【プロダクションデザイン】チャールズ・ウッド
【編集】ジェフリー・フォード、マシュー・シュミット
【衣装】ジュディアナ・マコフスキー
【視覚効果&アニメーション】インダストリアル・ライト&マジック
【視覚効果監修】ダン・デレウ
【ビジュアル開発主任】ライアン・メイナーディング
【音楽】アラン・シルヴェストリ
【音楽監修】デイヴ・ジョーダン
【キャスティング】サラ・ハリー・フィン

【出演([]内は役名)】

  • ロバート・ダウニー・Jr[アイアンマン/トニー・スターク]
この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は IMG_0194-1.jpg です
  • クリス・エヴァンス[キャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャース]
この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は IMG_0193-1.jpg です
  • マーク・ラファロ[ハルク/ブルース・バナー]
この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は IMG_0197-1.jpg です
  • クリス・ヘムズワース[ソー/ソー・オーディンソン]
この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は IMG_0195-1.jpg です
  • スカーレット・ヨハンソン[ブラック・ウィドウ/ナターシャ・ロマノフ]
  • ジェレミー・レナ―[ホークアイ/クリント・バートン]
  • ドン・チードル[ウォーマシン/ジェームズ・”ローディ”・ローズ]
  • ポール・ラッド[アントマン/スコット・ラング]
  • ブリ―・ラーソン[キャプテン・マーベル/キャロル・ダンヴァース]
  • カレン・ギラン[ネビュラ]
  • ダナイ・グリラ[オコエ]
  • ベネディクト・ウォン[ウォン]
  • ジョン・ファブロー[ハッピー・ホーガン]
  • ブラッドリー・クーパー[ロケット(声)]
  • グウィネス・パルトロー[ペッパー・ポッツ]
  • ジョシュ・ブローリン[サノス]

【公開日(日本)】2019年4月26日
【上映時間】182分
【配給】ディズニー
【前作】キャプテン・マーベル
【次作】スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム
【IMDB】9.0/10.0  (およそ244,000人の評価)

【あらすじ】

前作「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」で、宇宙最強の敵サノスに立ち向かうも、ヒーローたちを含めた全人類の半分を一瞬で消し去られてしまうという敗北を喫したアベンジャーズが、残されたメンバーたちで再結集し、サノスを倒して世界や仲間を救うため、史上最大の戦いに挑む姿を描く。【引用元:映画.com

【感想】

☆/5.0

まずはネタバレを無しにして、とにかく湧き上がる感想をつらつらと述べていきたいと思います。

近日中にもう一度観に行く予定なので、その後でネタバレも含んで冷静な気持ちで書いていきたい。

もーーー!!!最初から最後まで泣きっぱなしでしたよ!!!オープニングからエンドロールまで!!!何度泣いたことか!!!

このMCUシリーズで毎回チラッと顔出しをしていた原作者スタンリーのカメオ出演が今回で最後になる、寂しい、とか色々言ってたんですけどもぶっちゃけスタンリーどころじゃなかったぁあああごめんねえぇえええ!!!!!でもばっちりとそのシーンは目に収めましたよ!!!!

もう何から言っていいか分からない。ネタバレなしだと難しい。

脚本に関しては、ちびぞうにとってあんまりやって欲しくないなーと思うような展開があったのは確かですし、「冷静になったらツッコミどころも増えていくのでは??」と思う部分もありました。でも!!!でもね!!!やっぱりこう言いたい。

お疲れ様でした。と。

ハリポタの最終章を観終わった時とすごく近い気持ちです。とにかく、この10年間(ちびぞうはアイアンマンの1から劇場で追ってるわけではなくておそらく2012年の『アベンジャーズ』からなので厳密に言えば7年間)、製作陣や監督、キャストの皆さんにお疲れ様でしたと、楽しませてくれてありがとうとそう声を大にして言いたいんです。

こんなに熱い気持ちを持って追いかけられるシリーズというのはちびぞうにとって初めての映画体験だったし、『アイアンマン』で「私がアイアンマンだ」と社長が言ったその瞬間からずっと社長のファンだったちびぞうとしてはもうね………泣くしかないんですよ。

込み上げてくる熱い気持ちを涙と鼻水に替えて垂れ流すしかできないんですよ。

本当に最高でした。感動オブザ・ワールドでした。

キャラクターの強さのバランスを考えて適度に強キャラを弱体化させつつみんながみんなしっかりと見せ場を持って活躍できるようにしていた。

今までの伏線も拾いながらこれだけ沢山のキャラクターのストーリーをなんとかまとめきってくれた、そしてそれぞれが己の納得いく形でエンドを迎えたと感じています。良かった。でも悲しい気持ちはずっときっとこれからも続くんだろうなぁ。

このアベンジャーズのシリーズは「フェイズ」という区切りでも分けられていて、今作のエンドゲームでフェイズ3が終了。そして次回作のスパイダーマンからフェイズ4が始まる、という流れになっています。つまりまだアベンジャーズ自体は続いていくんです!!

しかし今作で大きな流れが一つ終わり、色んなエピソードがまとめられ、キャラクターたちもそれぞれのストーリーを完結させて次へ進むという形。実質ここから先、どのキャラが続投するのかも分からないし(スパイディとフューリーさんは確実ですが)、もう見られないキャラもいるでしょう。

アイアンマンを筆頭としたアベンジャーズ・エンドゲーム までのインフィニティ・ウォーは完結として観て、次からの作品は全くの別物として考えていく方が、すっきりと観ていけるかもしれませんね。

スタンリー、そしてルッソ兄弟ありがとう!

お疲れ様でした!!!!!!!

アイアンマン最高!!!!!!!!


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た行

法改正させた誘拐劇!映画『天国と地獄』ネタバレ&感想

こちらは以前レポ↓を書いた、ぎふアジア映画祭で鑑賞した作品です。どうも!ちびぞうです!

『第40回/ぎふアジア映画祭』行って来たよレポ!

何気に黒澤明監督の作品は、『羅生門』に引き続き2本目!ちびぞうはミーハーですから、名作と言われる作品や巨匠の古い作品などは観てなかったりするものも多いのです・・・。

誘拐犯に対する刑の軽さについての憤りをぶつけたという作品でもあるということにも注目したいですね。

【映画情報】

【制作国】日本
【監督】黒澤明
【脚本】 黒澤明、菊島隆三、久板栄二郎、小国英雄
【原作】エド・マクベイン『キングの身代金』
【製作】田中友幸、菊島隆三
【撮影】中井朝一、斉藤孝雄
【美術】佐藤勝
【録音】矢野口文雄
【照明】森弘充
【整音】下永尚
【監督助手】森谷司郎
【現像】 ヌタ・ラボラトリー
【製作担当者】根津博
【音楽】佐藤勝
【出演([]内は役名)】

  • 三船敏郎[権藤金吾]
  • 香川京子[権藤伶子]
  • 仲代達矢[戸倉警部]
  • 木村功[荒井刑事]
  • 山崎努[竹内銀次郎]
  • 三橋達也[河西]
  • 佐田豊[青木]
  • 石山健二郎[田口部長刑事]
  • 加藤武[中尾刑事]
  • 田崎潤[ナショナル・シューズ宣伝担当重役・神谷]
  • 中村伸郎[ナショナル・シューズデザイン担当重役・石丸]
  • 島津雅彦[青木の息子・進一]
  • 江木俊夫[権藤の息子・純]

【公開日(日本)】1963年3月1日
【上映時間】143分
【配給】東宝
【IMDB】8.4/10.0  (およそ23,500人の評価)

【あらすじ】

製靴会社の専務権藤の息子と間違えられて、運転手の息子が誘拐された。要求された身代金は三千万円。苦悩の末、権藤は運転手のために全財産を投げ出して三千万円を犯人に受け渡し、無事子供を救出する。非凡な知能犯の真の目的とは。【引用元:映画.com】

【感想(ネタバレするよ)】

☆3.5/5.0

純粋に面白い!ということと、純粋にすごい!ということをまず感じましたね。

143分という時間は結構長いじゃないですか。しかしその長さを感じさせない緊迫感の連続。誘拐劇が起き、誘拐された親側の葛藤も、警察の仕事っぷりも、かなり細部まで描かれた推理劇の構成がお見事!といった感じでした。

犯人からの電話を分析するシーンも面白かったですし、犯人が家を覗き見ていたということから、高台にある被害者宅の周辺のどの一体に犯人が潜んでいるのかという目星をつける捜査も楽しかった。
最初に犯人が富豪の息子ではなく、その富豪の運転手の息子を誤って誘拐されてしまったという点もストーリーとしてとても二転三転して面白かったですね。

自分の息子であれば迷わず身代金を払おうとしたけども、運転手の子どもなら払わない!と言ったり、しかしやはりそこで良心との葛藤があり払おうとしたり・・・そこにナショナルシューズという会社の権力争いなどが絡んできて話はどんどん複雑絡んで大きくなっていきます。

更に、あの頃の日本にあんな乱れた場所が!?と思うほど薬に乱れた人々の描かれ方。あれもびっくりでしたね。

誘拐犯に狙われる富豪役を三船敏郎が演じています。彼の演技、そして纏った雰囲気が素晴らしく、三船敏郎のおかげで物語に引き込まれたと言っても過言ではない!

そしてちびぞうが一番気に入ったのは誘拐犯役の山崎努。当然だけどわっかい!!!!最近、木村拓哉と二宮和也W主演の『検察側の罪人』などでも見かけたので余計に若い!!!と思いました(笑)

彼は貧しいインターンで、富豪の暮らしを一方的に羨み妬んで犯行に至ったということらしいのですが、特に深い彼の気持ちや生い立ちなどは語られません。

この犯人の私刑が確定したのち、三船敏郎がラストで格子越しに対面するシーンがあるのですが、このシーンが一番印象的で素晴らしいシーンでした。見つめ合った二人の間に漂う空気というか。山崎努の発狂、二人の間におろされるシャッター。

富豪の人生は天国、自分の人生は地獄と語った山崎努のセリフが映画を終わったあとも強烈な余韻として残りました。

いやーこれが巨匠の映画。そして名優たちの演技。それを引き出す演出。

どれも素晴らしかった。

こういう古い作品で面白い!楽しい!と感じる時、ちびぞうはいつも同じことを思うんですが「この映画が公開された当初にリアルタイムで観たかった」・・・と今回も思いましたね。

きっと忘れられない映画体験になったことでしょう。

 

今作が公開された当初、現実でも誘拐事件が多発し、国会でも問題視され刑法改正されたというエピソードもこの映画が世間に与えた影響の大きさを物語っていますね。

今の邦画界でそこまで影響を与える映画があるか?と思うとやはりないと思うんです。そういう意味でもこの映画は、すごかった。

 

 

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大富豪の孫が誘拐!?実話系映画『ゲティ家の身代金』ネタバレ&感想

彼女の戦う相手は誘拐犯、そして世界一の大富豪

ちびぞう母チョイスでレンタルした作品。どうも本当にあった誘拐事件の映画化らしいのですが、ちびぞうは全く事件の事に関しては知らず…。

監督は巨匠リドリー・スコット!『エイリアン』『ブレードランナー』『グラディエーター』などなど、史劇やSFが多い印象の監督。最近では『オデッセイ』などもありましたね。ちびぞうは十戒をテーマにした『エクソダス:神と王』が好きです!

主演はミシェル・ウィリアムズ、ウィリアム・プラマー、そしてマーク・ウォールバーグととっても渋オシャレなメンツ。本当は大富豪役はケヴィン・スペイシーだったそうなんですが、例のセクハラ発覚事件の炎上で降板してしまったんですよね。何とも言えない気持ちになります。

公式サイトはこちら

【映画情報】

【原題】All the Money in the World
【制作国】アメリカ
【監督】リドリー・スコット
【脚本】デビッド・スカルパ
【原作】ジョン・ピアソン
【製作】ダン・フリードキン、ブラッドリー・トーマス、クエンティン・カーティス、クリス・クラーク、リドリー・スコット
【撮影】ダリウス・ウォルスキー
【美術】アーサー・マックス
【衣装】ジャンティ・イェーツ
【編集】クレア・シンプソン
【音楽】ダニエル・ペンバートン
【出演([]内は役名)】

  • ミシェル・ウィリアムズ[アビゲイル(ゲイル)・ハリス]
  • クリストファー・プラマー[ジャン・ポール・ゲティ]
  • マーク・ウォールバーグ[フレッチャー・チェイス]
  • ロマン・デュリス[チンクアンタ]
  • ティモシー・ハットン[オズワルド・ヒンジ]
  • チャーリー・プラマー[ジャン・ポール・ゲティ3世]
  • アンドリュー・バカン[ジャン・ポール・ゲティ2世]

【公開日(日本)】2018年5月25日
【上映時間】133分
【配給】KADOKAWA
【映倫区分】R15
【IMDB】6.8/10.0  (およそ58,900人の評価)

【あらすじ】

73年、石油王として巨大な富を手に入れた実業家ジャン・ポール・ゲティの17歳の孫ポールが、イタリアのローマで誘拐され、母親ゲイルのもとに、1700万ドルという巨額の身代金を要求する電話がかかってくる。しかし、希代の富豪であると同時に守銭奴としても知られたゲティは、身代金の支払いを拒否。ゲイルは息子を救うため、世界一の大富豪であるゲティとも対立しながら、誘拐犯と対峙することになる。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレあり)】

2.1☆/5.0

もーーーーーーしわけない!!!けどちびぞう的には退屈でした・・・。うーーーんんんn

おおまかなあらすじ

1979年夜のローマ、娼婦街。

17歳という若さで娼婦を値踏みして歩く孫ポール(ゲティ三世)が、近付いてきた車に突然拉致されてしまう誘拐シーンから始まる。

彼の回想シーンで、世界でも歴史上でも一番の金持ちの祖父は一般人とゲティ家の人間は違う、と言っていたのを思い出す。

ジャン・ポール・ゲティ(クリストファー・プラマー)さんの「資産を数えられるようでは本物の富豪ではない」という名言も飛び出す。

時間は遡り、9年前へ。祖父(ゲティ氏)は父である息子にも興味がなかったらしい。(しかし息子が仕事をくれと言ったら一家を呼び寄せて仕事を世話してやるし、孫とも交流をちゃんと持つし、変わってるけど悪い人ではないのかな?良い父親ではなかったのかもしれないけど)

孫ポールの母であるゲイル(ミシェル・ウィリアムズ)のシーン。旦那が女と麻薬に溺れて浮気しまくりーーーー!!!そして離婚することになったけど、ゲイルは一切金銭の要求をせず子どもの監護権のみを要求したらしい。この離婚劇以降、父は跡継ぎの役目を果たしておらず、そのせいで孫ポールとゲティ氏の関係も疎遠になっていたらしい。

そして場面は現在へ戻る。ゲティ氏は1700万の身代金を要求する誘拐犯に対し、メディアの前で「孫は14人いて、身代金を払えば他の孫も誘拐される」とコメント。(確かに正論に思える。しかし、孫に見合う金額はと聞かれてゼロと答えるのはなぁ)

原油会社のOPEC?と取引しようとしているフレッチャー氏(元諜報員?)が登場。ゲイルは身代金を払って息子を助けてくれとゲティ氏に直談判しに会いに行く。

フレッチャー(マーク・ウォールバーグ)はゲティ氏に「ローマに行ってポールを取り戻せ」と指示される。ゲティ氏いわく、孫は全員愛しているがポールは特別に感じているらしい。会いに来ている母親に関しては「母親に人質交渉が出来るわけがないから放っておけ」と言う。

ゲティ家には世界中から「貴方の子どもを誘拐した」という手紙が届いている。1700万ドルという身代金に目がくらんで悪者が群がってきたようだ。

孫ポールの人となりも描かれる。彼はかつて学校に火をつけるなどして退学になっていた。誘拐犯はそんな彼に対し「お前は愛されていない」と言う。

孫ポールが実は自分で誘拐劇を仕立て上げようとしていた事がゲティ氏にバレてしまい、彼の信頼を失ってしまう(今回は自分で仕立てたものではなく本当の誘拐)ゲティ氏は孫ポールの調査を打ち止め。

更に、孫ポールは犯人の顔を見たという理由で撃たれる?(はっきり撃たれるシーンはない)

見つかった死体の確認をすると、それは大人の死体であり、孫ポールの死体ではないという事が分かる。死体を詳しく調べてみると、それは前科者の死体だった。その死体から誘拐犯の基地へたどり着くフレッチャー。しかしそこに孫ポールの姿はなかった。すでにポールは資産家に売り飛ばされていた。

孫ポールは監禁場所へ火をつけて脱出し、警察署へ向かう。ゲイルに電話をかけるも資産家が現れ電話を切られてしまう。

資産家に捕まった孫ポールは耳を切り落とされる。資産家はその耳を母親の元へ送りつけたりする。ゲイルはゲティ氏に身代金を支払わせるため画策、金もないのに勝手に身代金を支払うと発表。その動きが功を奏したのかゲティ氏が身代金を払う事に。

ポールは解放されたと連絡が来るが、警察の手が迫っていると知った資産家は解放したポールを殺せと指示。ポールが襲われそうになっているところをゲイルとフレッチャーが保護し、そのまま国外へ逃亡。無事、孫ポールは保護される。

ゲティ氏はおそらく老衰?で自慢のコレクション部屋で死亡。その後、ゲイルが跡取りとなる。

まとめ

このだいぶはしょった良く分からないあらすじを見てもらえれば分かると思うんですけども、ちびぞうは難しいところが何一つわかっていません(笑)

世界一の大富豪となるまでの富を築いたゲティ氏という人物の偉大さと人として足りていない部分の露出、母親の息子を助けるという堅い意思、金が絡み信頼関係を崩壊させたり、逆に誘拐犯との会話劇で語られた”ファミリー(仲間・家族)を大切にする”という言葉で描かれる家族ではない人との些細な絆。

こういう濃厚でさりげない、人間ドラマが交錯していく感じがすごくよくできていた脚本なのかなぁ、というのは分かりました。

しかしそれを面白さとして実感するほど深く物語に入り込めなかったというか・・・ちびぞうは退屈してしまったのでなんとも言えない感想になってしまいました。

本国では非常に評価されている作品だそうです!!!!ということでシメ!!

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画像引用元:映画.com

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全員死ぬか、一人殺すか。映画『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』ネタバレ&感想

彼は四つの悲劇を用意した―――

この独特なタイトルに惹かれ、更に主演がコリン・ファレルとちびぞうの好きなニコール・キッドマンと聞いて観るしかない!!!となった今作。
監督は最近『女王陛下のお気に入り』で第91回アカデミーの最多ノミネートとなる9ノミネートを達成、主演女優賞も獲ったヨルゴス・ランティモス。

彼はイギリスの大手一般新聞である「ザ・ガーディアン」紙にて”この世代のギリシャの映画監督の世代の中では最も才能のある人物”と評されています!

監督の作品は過去に『籠の中の乙女』『ロブスター』を鑑賞しました!どちらも世界観が独特で、ちょっと鬱蒼とした雰囲気が特徴的な作品です。ちびぞうはどちらも好き。どちらかと言えばロブスターの方が好き。(しかしこの映画を観る段階ではちびぞうではこの3作が同じ監督という認識はなかったのです・・・)

そういえば主演のコリン・ファレルはロブスターから引き続きの主演ですね!

公式サイトはこちら

【映画情報】

【原題】 The Killing of a Sacred Deer
【制作国】イギリス・アイルランド
【監督】ヨルゴス・ランティモス
【脚本】ヨルゴス・ランティモス、エフティミス・フィリップ
【製作】エド・ギニー、ヨルゴス・ランティモス
【製作総指揮】アンドリュー・ロウ、ダニエル・バトセック、サム・ラベンダー、デビッド・コッシ、ニッキー・ハッティング、アミット・パンディヤ、アン・シーアン、ピーター・ワトソン、マリー=ガブリエル・スチュワート
【撮影】ティミオス・バカタキス
【美術】ジェイド・ヒーリー
【衣装】ナンシー・スタイナー
【編集】ヨルゴス・モブロプサリディス
【出演([]内は役名)】

  • コリン・ファレル[スティーブン]
    ニコール・キッドマン[アナ]
    バリー・コーガン[マーティン]
    ラフィー・キャシディ[キム]
    サニー・スリッチ[ボブ]
    アリシア・シルバーストーン[マーティンの母]
    ビル・キャンプ[マシュー]

【公開日(日本)】2018年3月3日
【上映時間】121分
【配給】 ファインフィルムズ
【映倫区分】PG12
【IMDB】7.0/10.0  (およそ87,000人の評価)

【あらすじ】

郊外の豪邸で暮らす心臓外科医スティーブンは、美しい妻や可愛い子どもたちに囲まれ順風満帆な人生を歩んでいるように見えた。しかし謎の少年マーティンを自宅に招き入れたことをきっかけに、子どもたちが突然歩けなくなったり目から血を流したりと、奇妙な出来事が続発する。やがてスティーブンは、容赦ない選択を迫られ……。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレあり)】

☆2.3/5.0

うーん。正直なところちびぞうにはちょっと意味が良くわからなかった・・・。というのも今作の元ネタは古代ギリシャで上演されていたというエウリピデスの『アウリスのイピゲネイア』というギリシャ悲劇?神話?ということでね。造詣が浅すぎるちびぞうには全くピンと来ず!

なにそれおいしいの?レベルです。

良いなぁ、と思える部分は沢山あったんですけどもね!!!!!

おおまかなあらすじ

医療ミスで死なせてしまった患者の息子(マーティン)に贖罪のつもりで優しくしていた主人公(スティーブン)だったが、ある日彼を家に招き家族に紹介しはじめた辺りから不穏な空気が漂い出す。

娘キムはマーティンに惹かれ交際を始めるものの、冷たく振られてしまう。

息子ボブは急に下半身が麻痺してしまい歩けなくなり入院、しかしいくら病院で検査しても異常はみられない。心因的なものが原因では?と疑う夫婦。

マーティンに誘われ彼の家に行くとマーティンはまるで自分の母親と関係を持てと言わんばかりの行動を取る。不信感を持ったスティーブンはマーティンを拒絶するようになる。

そんなスティーブンにマーティンはしつこく会うよう求め、今息子に起きている異常は自分がもたらしたものだと暗示するような予言を告げる。その内容は

1、手足のマヒが起こる

2、食欲に対する拒絶が起きる

3、目から血を垂れ流す

4、最後には死に至る

と言った感じ。しかしにわかには信じられないスティーブン。

ボブに続きキムも歩けなくなり、二人は食事を取れなくなっていく。マーティンの予言通りになっていくと徐々に「彼の言っていたことは本当なのでは」と思い始めるスティーブン。

子ども達の体調が悪化し徐々に家庭は不安定になり、妻アナにマーティンの父親にした医療ミスと彼との密会を知られ夫婦関係も崩壊寸前。精神的に弱ったスティーブンはマーティンを自宅地下に拉致して拷問する。

するとマーティンは「家族の一人を自分の手で殺せ。さもないと全員死ぬことになる」「自分を殺した場合も同じように家族全員が死に、何もしなくても家族が死ぬ」と脅してくる。

少年の目的は父親の死に対する復讐だった様子。

始めは突拍子もなさすぎる少年の言葉を全く信じていなかったスティーブンだったが、次第に信じはじめ、家族のうち誰か一人を殺さなければこの事態は収まらないのでは?という空気に。

子ども達はどちらが優秀かのアピールを始め、妻は「子供はまた作ればいいじゃん」とか言い始める。

ボブの目から血が流れ出し、スティーブンはついに決意。
家族3人をソファに座らせ拘束し頭に袋をかぶせる、自分は帽子を目深にかぶり目隠しをしてくるくると回りながら銃を持つ。

そう、決められないので運に任せようとロシアンルーレットのように誰か一人を撃ち殺そう!という発想。

一発目と二発目はハズレ、三発目は息子ボブの心臓を打ち抜く。

後日、オープニングでスティーブンと密会していたカフェに向かうマーティン。そこにはスティーブンと娘キム、妻アナ。視線は交わすものの会話はしない両者。

家族三人が寂し気にカフェを後にする姿を目で追いかけるマーティンの場面で映画は終わる。

まとめ

不条理な復讐劇。しかしそこに現実味はなく、どこかファンタジーというかスーパーナチュラルなエッセンスが混じった物語。

この、現実の話だけど現実とは少し違った世界観の中で観客を翻弄するというのがこの監督の味なのかな。

ちびぞうは終盤のロシアンルーレットのシーンにハネケ監督の『ファニーゲーム』を思い出しましたね。意識はしてそう。不条理と言えばファニーゲーム、頭に布をかぶせたらファニーゲーム、というちびぞうの安直な連想ですけども(笑)

子ども達や妻が命乞いするところの身勝手さや自己愛も醜くて気分悪くなること間違いなし。そこらへん、ちびぞうは人間が生々しく憎らしく描かれていて好きです。

マーティンのキャラもね!ものすごく良い味を出してるのでぜひバリー・コーガンの全力サイコパス演技を堪能してください。何かとてつもなく異常な事をしているわけでもないのに、例えば「早口」だとか例えば「スパゲッティ食べてるだけ」だとかのシーンに異常さが滲んでいて末恐ろしいです。本当に。

メインは彼の復讐劇だけど、途中でマーティンがスティーブンを自分の母親と恋人関係?にしようと画策するシーンがあったことから「失った父親の存在」の部分をスティーブンで埋めようとしていた感じもありましたね。

スティーブンに拒絶されたことが物語を大きく動かしたきっかけでもあったしもしかしたら、スティーブンがマーティンの父親(母親の新しい旦那)となれば、誰も死なずに済む未来もあったのかもしれないなぁ・・・

でも決してその選択肢を彼が自分から出してくることがないんですよね。彼なりにスティーブンを慕う気持ちが生まれていたけど、本当の父にはなってもらえなかった。だってスティーブンはおそらく自分の罪悪感やらを埋めるため、自分のキャリアを守るためにマーティンに優しくしていただけだから。

もしかしたらそういう意味で裏切られてしまったという事に対する二重の復讐だったのかもしれませんね。

と、思ったけれども?

結局神話がベースなのでマーティン=神だよみたいな考察が正しいのでしょう!

ラストシーンとか見てもやっぱりどこかマーティンは傍観している存在のようにも見えますしね。

元ネタをよく知らないちびぞうは、神であるマーティンに翻弄されなんとも言えない気持ちになってディスクを取り出すことしかできないのでした・・・。

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画像引用元:映画.com

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た行

父と一緒にオリンピックを目指す!インド映画『ダンガル きっと、つよくなる』ネタバレ&感想

人類史上最も熱い、パパの愛と野望。

本当は映画館で観たかったんですけども機会を逃してしまったため、DVD鑑賞となりました…。

『きっと、うまくいく』『P.K.』のアーミル・カーンが主演と、製作にも関わっているようです。

”きっとうまくいく”の監督&主演再タッグ!映画『PK』感想

今作は、インドの元アマチュアレスリング選手マハヴィル・シン・フォーガットとその娘たちフォーガット姉妹を元ネタとした伝記映画!なので実話ベース!ということですね!

GAGAさんの公式サイトはこちら

トップページにいきなり松岡修造の写真が表示されるのは笑ってしまった。確かに熱い映画ですからね!!!

【映画情報】

【原題】Dangal
【制作国】インド
【監督】ニテーシュ・ティワーリー
【脚本】 ニテーシュ・ティワーリー、ピユス・グプタ、シュレヤース・ジャイン
ニキール・メハロトラ
【製作】 アーミル・カーン、キラン・ラオ、シッダールト・ロイ・カプール
【撮影】サタジット・パンデ
【編集】 バッル・サルジャ
【音楽】プリータム・チャクラボルティー
【出演([]内は役名)】

  • アーミル・カーン[マハヴィル]
  • サークシー・タンワル[ダーヤ]
  • ファーティマー・サナー[ギータ(青年期)]
  • サニヤー・マルホートラ[バビータ(青年期)]
  • ザイラー・ワシーム[ギータ(幼年期)]
  • スハーニー・バトナーガル[バビータ(幼年期)]
  • ギリシュ・クルカーニー[プラモド]
  • ヴィヴァン・バテナ[ハーキンダー]
  • アパルシャクティ・クラーナー[オムカル]
  • シシル・シャルマ[国立スポーツ・アカデミー会長]
  • カームヴィーア・チョーダリー[フォーガットの父]

【公開日(日本)】2018年4月6日
【上映時間】140分
【配給】ディズニー、ギャガ
【映倫区分】G
【IMDB】8.5/10.0  (およそ117,500人の評価)

【あらすじ】

レスリングを愛する男。生活のため選手の道を諦めた彼は、いつか自分の息子を金メダリストにすることを夢見ながら道場で若手の指導に励む日々を送っていた。しかし生まれたのは4人連続で女の子。意気消沈した男は道場からも遠ざかってしまうが、ある日ケンカで男の子を打ち負かした長女と次女の格闘センスに希望を見出し、コーチとして2人を鍛えはじめる。町中の笑いものになっても意に介さず突き進もうとする父と、そんな父にささやかな抵抗を続ける娘たちだったが……。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレあり)】

☆3.1/5.0

面白かった!アーミル・カーン扮する父親像が最初はなんとも自己中な男!!という感じを受けたんだけども、話が進むうちに不器用ながらも真っ直ぐに娘たちを愛する姿勢が見えてきて、そんな父を愛さずにはいられない娘たちの気持ちにも胸が熱くなりました。

大まかなストーリー

ハリアーナ州 バラリ

元国代表のレスリング選手、マハヴィル。金メダルが獲れなかった彼は息子にその夢を託したかったが生まれた赤ちゃんは四人全員女の子で夢を諦めざるを得なかった。
ある日、娘二人が近所の男の子をぼこぼこにしたという喧嘩が起きる。それをきっかけに父は「この子たち強いのでは???」と気付き、娘二人をレスラーにしようと決意!

(親というのは絶大な強制力があるなぁ)

彼女たちを強くするために男の子と闘わせたり、たんぱく質が必要だとパパ自ら鶏を料理したりする。

(宗教的な問題があって台所は使わせてもらえないとか細かい演出でも文化を知れる)

娘たちが自分に逆らったら彼女たちの髪をショートに切ってしまう!さすがにそれはやりすぎ!と感じた娘ズはボイコットを決行、しかしたった一日サボっただけで結婚式の場ではたかれる(なぜか甥っ子が)

「あんな父親いらない」と友達に愚痴をこぼすギータ。しかし既婚の娘に「普通の娘は料理と掃除を覚えさせられ家事を押し付けられて14歳になったら顔も知らない男のところへ厄介払いするかのように嫁入りさせられる。あなたの父親は、娘をちゃんと見て将来のことを考えてる良い父親よ」と言われ娘ズは心を入れ替え、レスリングの練習に本気で取り組むようになる。

甥っ子にも勝てるようになったので姉のギータが大会に出ることに。最初は女だという理由で大会側に断られたが、大会側が「待てよ?人が沢山集まれば一人2ルピー選手が何カ月か食っていけるし」という理由で考え直し、客寄せパンダ的な意味で出場が許される。

ギータは負けてしまうが、良い試合をしたという事で特別賞を受賞!優勝賞金より高い賞金をもらう。

(ここら辺の、馬鹿にしてた観客がどんどん魅了されていく演出がイイ!)

どんどん強くなって様々な村で優勝していくギータ。全国大会でも優勝。次は国際大会に出るため、全寮制かな?のスポーツ大学的な学校に入るのがならわし?らしくそこで父と離れ離れになる。

学校で新しい友達を作り自由を満喫し、コーチから「今までの父親の教えは全て忘れろ」と言われどんどん変わっていくギータ。女の子らしく髪を伸ばし実家に里帰りし、彼女の変化に憤慨した父親と喧嘩をし、最後は試合をして父を打ち負かす。

「弱くなったのは父親の方!」そこで父とギータとの間に溝が生まれてしまう。

しかしそんなギータを見た妹のバビータは「私は父を信じ」と反発、ギータを非難し姉妹でも口論してしまう。
学校へ戻ったギータは国際大会に出場。しかし初戦敗退を繰り返してしまう。

そうこうしているうちに妹バビータも強くなり、同じ学校へ入学。

ギータは父親と電話をし、お互い泣きながら和解。
そこから再び姉妹そろって父親に師事してもらうため学校に内緒で朝5時から練習をし、減量しろという学校のコーチの指示にも背いてコッソリ体重を増やしたりする。

しかしその内緒の練習がクラスメイトに見つかり、学校側にチクられてギータたちは退学の危機に。父親の決死の説得で学校側は退学こそさせなかったものの、父親は学校への出入りを禁じられ、姉妹は外出禁止になってしまう。
そんな状況でも諦めない姉妹。自分たちの試合ビデオを父親に送り、受け取った父親は映画館を貸し切ってそのビデオをチェック。「何分何秒のここがこうだからこうしろ」と電話で指導する。

いざ国際大会に再挑戦!コーチとは真逆の指導をする父親は観客席からギータに指示を飛ばす。父親の指示を信じたギータは初戦を勝ち抜く。

しかしコーチがそれを良く思っていない様子。

二戦目に金メダルに一番近いナイジェリアの選手を倒す!次は過去にギータが二度負けてるオーストラリア選手との戦い。

「明日の相手はオーストラリアじゃない。女を下に見る全ての人間との戦いだ」

と父親はギータを勇気づける。

オーストラリア戦の試合当日、コーチが裏で手を引き父親を騙して会場内の物置小屋のような場所に閉じ込め観戦できない状態にしてしまう!
父親の姿が観客席に見えず不安に襲われるギータ。しかしその時、小さい頃父親の厳しい訓練の中で川に落とされたときの事を思い出す。

「お前の窮地を救えない時もある。自分で乗り越えろ」

そう言った父親の言葉を思い出し、ギータは自分を奮い立たせる。
厳しい戦いのラストの5秒間で5点の大技を決めたギータ。金メダルを獲る!!その場にいない父親にも会場内に響く国歌が聞こえギータが優勝したと伝わる!

優勝したギータにマスコミが集まる!これは自分の手柄だと主張するコーチ。
そこへ父がようやく職員に気付いてもらえて監禁状態から解放され、記者たちに囲まれるギータの元へ駆けつける!

ギータは勝利は父親のおかげですと言い、父親はギータに

「お前は俺の誇りだ」

と声をかける。

まとめ

いやー感動しました。特にラストの演出いいですね。父親がいないという場面で自らを奮い立たせるギータは一人の女性として自立を果たしたように見えました。しかしその心の中にはしっかり父親という基盤があるのを忘れていない。

父への感謝と愛を持って父の夢を一緒に追いかけ叶えたギータ。

父親からもしっかりとその努力と実力を認められ、嬉しかったことでしょう。

エンドロールでは元ネタとなったフォーガット姉妹の写真なども見れますよ!

ギータはその後、2012年3月のオリンピック・アジア予選55kg級で優勝し、ロンドン大会にも出場。インドの女子選手として初めて、オリンピック出場を果たしインドの女の子に「女の子でもオリンピックに出れるんだ!」という希望を与えたそうです。

右端がギータ・フォーガット選手!【日本レスリング協会公式サイトより引用】

そういえば全く関係ない話ですが、序盤の方で出てきた、女の子は若くして家事を強要され10代の半ばごろには望んでいない結婚をさせられてしまうという話がありましたね。それを聞いて最近観た『ソニータ』を思い出しました。

https://www.elephant-eats.jp/archives/7781

こちらもイスラムの強制婚のようなしきたりに苦しむ女の子のドキュメンタリーです。興味ある方はぜひそちらもチェックしてみてください。


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画像引用元:映画.com


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あ行

死なせたくない一心で。ドキュメンタリー映画『いのちの深呼吸 上映&トークショー』感想

この願いは”いまを生きる”わたしたちの希望―――

どうもどうも、ちびぞうです。

こちらの映画は去年の10月21日に、地元のCINEXさんで岐阜新聞映画部の方と行っているコラボ企画イベント的な上映会&トークショーで鑑賞してきましたぁあ!

トークショーに登壇したのは本作品の主人公でもあります根本一徹さん!!

映画のあとにはサイン会(握手付き)も行っていて、ちびぞうもちゃっかり握手させてもらってきました!!!(笑)

…こんなテンションで幕開けしてしまいましたが、とっても重たく真摯で熱い内容の映画となっておりますのでご注意ください。

パンフレットはこのような感じ。

表紙にサイン頂いています。合掌。

著名人のコメント、自殺大国ニッポンの現状を調べた統計や、脳科学者の茂木健一郎さん、精神科医の斎藤環先生などの寄稿があり、映画のパンフレットというよりは「日本人の自殺」に知ることのできる参考資料といった感じ。14Pと頼りないページ数ですが、内容はとても充実しているなと感じました。(お値段書いてない&忘れてしまったので未記載ですいません)

【映画情報】

【原題】 The Departure
【制作国】アメリカ
【監督/製作】ラナ・ウィルソン
【製作総指揮】サリー・ジョー・ファイファー、リリー・ハートレイ、マイク・ラーナー、ダイアン・L・マックス、レジーナ・K・スカリー、ジェフリー・タラント
【共同プロデューサー】エリ・ヨコヤマ
【共同エグゼクティブ・プロデューサー】クレア・シルバーマン
【撮影】エミリー・トッパー
【編集】デビッド・ティーグ
【オリジナル音楽】ネイサン・ミシェル
【挿入曲】クリスチャン・フェネス、坂本龍一
【製作】Drifting Cloud Productions,Roast Beef Productions
【共同製作】ITVS
【製作協力】Artemis Rising Foundation
【出演([]内は役名)】

  • 根本一徹

【公開日(日本)】2018年9月8日
【上映時間】87分
【配給】パンドラ
【IMDB】7.1/10.0  (およそ120人の評価)

【あらすじ】

岐阜県大禅寺で住職を務める根本一徹のもとには、全国の自殺志願者からのメールや電話が昼夜を問わず届く。追いつめられ、誰にも頼ることができないSOSの声を受け、根本は彼らのもとを駆けつけるが、何か特別なことをするわけでもない。ただ話に耳を傾け、彼らとともに食事を摂り、さりげなく寄り添う。そんな根本の存在に安堵した自殺志願者は、少しずつ生きる気力を取り戻していく。実は根本自身にも、身近な人を自殺で亡くした過去があった。そして心臓に病を抱える根本にとって、大量のメールや電話に対応するには心身ともに限界にきていたが……。【引用元:映画.com

【感想】

☆3.2/5.0

邦画なのかな?と思ったら監督は外国人!

監督のラナ・ウィルソンは2013年にニューヨークで根本一徹さんの記事を読み、彼の活動に興味を持ったそうです。そして根本さんの行っている自殺志願者向けのワークショップに参加するなど、外側からだけでなく内側からも体験してみるアプローチをしています。

この映画では「人と人のつながり」を描いており、つながりこそが人生に生きる価値を与えるものだとコメントしています。

第三者・傍観者としてではなく当事者の目線で作ろうとしている監督の真摯さも、根本さんに共通する部分だなと思ったりしました。

 

この作品をドキュメンタリー映画として面白いかどうかで考えるのは難しいですね。重いテーマを扱ったドキュメンタリー映画はほかにもありますが、テーマやその主人公として描かれる人物の魅力や強さに圧倒されるものばかりで、もはや”映画”として観れているのかどうかも怪しい。例えば演出方法がーとか構成がーとか色々と言えることもあるのかもしれませんは、ちびぞうは情けないことにそういう面での映画の知識などに乏しく…結局は今回もこのテーマについてどう思うのか、という部分に触れるのみになってしまいそうです。

根本一徹という人物

音楽が好きで、バンド経験もあり、僧侶になった今でも時折クラブに赴いて体を揺らしている。悩める人が助けを乞えばバイクに乗って深夜でも駆けつける。そんなファンキーな一面を持つ根本さんは、岐阜県関市の大善寺の住職。

彼は「旅立ち」というワークショップを自殺志願者のために開いており、その内容は自分にとって大切なものを書き出させ、それを少しずつ取捨選択して捨てさせる。そしてそれが全てなくなった時「これが死です」と告げ、「死んでしまうとはどういうことか」を想像させる・疑似体験させるというもの。実際に横になり、顔に白い布をかぶせて死体のように過ごす場面も劇中でありました。

そのワークショップ以外の活動は、自分の連絡先を公開し日夜問わず連絡してくる自殺志願者の電話やメールに応え、必要であれば直接会いに行く…というもの。

そしてひたすら彼らの話を聞き、受容して、励ます。根気よく、何度も何度も。

彼のこの熱意は、叔父と、高校時代の友人が自殺で亡くなっているところからきているらしい。「なぜ死を選んだのか」と悩み続け、「もう誰も死なせたくない」と強く願う。この願いそのものが、住職の活動に直結しているのだと感じました。

まとめ

ネガティブな感情を常に抱いている人や、人生に対して後ろ向きだったり、大きなトラウマを抱えて苦しんでいる人たちに寄り添って、励まし、彼らの人生を上向かせてあげようと思うことは、わりと多くの人が思う事なのかもしれません。

だけどそれを行動に起こすこと、実際にやってみること、最後まで寄り添い続けることは、とても難しいんです。なぜかと言うと、よほど強い精神力を持った人でなければ自分も疲弊してしまうし、削れてしまうし、共倒れてしまうから。誰だって自分の人生を一番に考えなければいけないし、そうやってマイナス方向に引っ張られてしまうような相手とは関わりたくないと思ってしまうものです。それが非人道的だとか優しくないとかそういうことではなく、生き物はすべて、自己防衛本能というものがあるからある意味それが当たり前というか。

実際、根本さんも無茶をしすぎて体調を崩してしまわれていますし…、自己防衛すべきなのは根本さんだよ!!(でもここまで献身的になれるからこそ偉大になれるのか…)

しかしこの映画を観ていて時々感じたのは、彼自体もどこか病んでいて、「人を死から救う事に囚われすぎているのでは」ということ。自らを犠牲にして人の為に行うのは素晴らしいけれど、その目的が素晴らしいから霞んでいるだけで「己の体や人生を大切にできない」という部分において自殺志願者と共通するものを感じてしまう。

そうやって根本さんが体を病むほどに負担を背負うのは、同じように自殺志願者の心に寄り添おうとする人が他にいないからなのかもしれませんけども。

ちびぞうが最初に言ったように、心を病んだ人に付き添うのは大変なこと。でももしかしたら、根本さんのように活動する人が増えて、みんなが少しずつ誰かの心を分け合うように背負えたら、引きずられて共倒れしてしまう、なんてこともなくなっていくのかもしれませんね。

 

映画を観たあとで、根本さんのお話を聞きましたがとても努力を積んできた人なんだなぁ、と思いましたね。真似できない。映画を観てるだけでは分からないようなお話(自殺志願者が立ち直って元気に生活している話とかとても嬉しい報告的なもの)も聞けて、根本さん自身のことも知れて、その人のことをよく知らないままに(映画の中だけの情報で)色々思うのは早計だなーと。

最後は、人の為に生きられる人にちびぞうもなりたいなぁ。と思いつつ、握手させて頂きました。

ここまで読んでくださってありがとうございました。

 

 


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さ行

イランの少女がラップで叫ぶ!ドキュメンタリー映画『ソニータ』ネタバレ&感想

沈黙のかわりに私は叫ぶ。

どうもちびぞうです!以前もレポートしました、ぎふアジア映画祭で鑑賞しました。

タリバンを逃れて亡命中の少女がラッパーを目指す!というドキュメンタリー映画。

『第40回/ぎふアジア映画祭』行って来たよレポ!

元々、イラン映画が好きなのもありましたが最近はちびぞうの中でドキュメンタリー映画がだいぶ熱いので、こちらもかなり期待して鑑賞しました!

公式サイトはこちら

残念ながらパンフはなし。欲しかったなぁ。

【映画情報】

【原題】Sonita
【制作国】スイス/ドイツ/イラン
【監督】ロクサレ・ガエム・マガミ
【製作】アリン・シュミット、カースティン・クリーク、ロクサレ・ガエム・マガミ
【製作総指揮】ゲルト・ハーク
【編集】ルネ・シュバイツァー
【音楽】ソニータ・アリダザー、セパンダマズ・エラヒ・シラジ
【出演([]内は役名)】

  • ソニータ・アリダザー
  • ロクサレ・ガエム・マガミ

【公開日(日本)】2017年10月21日
【上映時間】91分
【配給】ユナイテッドピープル
【IMDB】7.7/10.0  (およそ700人の評価)

【あらすじ】

アフガニスタンのタリバンから逃れてきた難民のソニータ。18歳になる彼女はパスポートも滞在許可証もなく、不法移民として施設でカウンセリングや将来のアドバイスを受けている。児童婚の伝統が残るアフガニスタンに住む彼女の母親は、ソニータを見ず知らずの男性に嫁がせようと、彼女を迎えにイランへやって来る。9000ドル(約100万円)払ってくれる結婚相手が見つかったので、嫁ぐようにと母親から促されるソニータが強制婚を逃れるために起こした行動、それはラップをすることだった。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレもするよ!)】

☆3.9/5.0

これは当たりのドキュメンタリー!!!

面白かったです!!!!泣いた!!!

オープニングはたくさんの子どもたちに自作のラップを聞かせるソニータのシーンから始まります。力強い歌声と、メッセージ性の強い歌詞が印象に残ります。

イランに亡命し、子どもを保護する支援施設で支援を受けながら生活するソニータ。彼女が16歳になるとアフガニスタンに残った母親から「兄の結納金を用意するために自分が用意した男性と結婚しろ」と手紙が。

幼い娘を財産として取引する結婚という文化

古くからある悪習で、アフガニスタンには18歳未満の幼い娘を無理やり結婚させる「児童結婚」や「強制結婚」というものがあるらしい。そして親は相手のおっさん達から結納金としてお金をもらう。アフガンの幼い少女たちは、まるで売り物のように、自分の意思とは関係なく親が決めた相手と血痕させられてしまう。

その背景には、発展途上国の貧困がある。

詳しく記事にしているブログがありましたので参照させて頂きますね↓↓↓

アフガニスタン:今もなお強制結婚の犠牲になる少女たち

今作のドキュメンタリーの主人公であるソニータも母親から結婚を強いる手紙をもらい苦しむ少女の一人。
彼女は自由のために、そして同じように苦しむ少女たちのために自分の想いをラップにして歌う事を決めます。

しかし、それを許さない母親!帰ってこい!と求めます。
兄の結納金が必要だからソニータを結婚させたいらしく、それを延期させたいなら多額のお金を渡せと養護施設に要求してきます(ほんとなんて親なんだ)
しかし、養護施設にそんなお金を要求することも、金銭的支援をするようなことも出来ません。

監督すらも巻き込まれるドキュメンタリー

ここで、ソニータを可哀想に思った今作のロクサレ・ガエム・マガミ監督が、彼女のために資金を出すかどうかという葛藤をし始めます。

ここは凄く難しい問題だな…と思いましたね。助けられるなら助けたいじゃないですか、目の前の少女を。しかし彼女が撮っているのはドキュメンタリー映画。ドキュメンタリーというのはあるがままを撮るべきであって、監督が己の資金を出して主人公の運命を変えるなんて行動はすべきではない。

人間としての自分と、監督としての自分の間で監督も悩んでいました。

しかし、ソニータの才能に気付いた監督は彼女のために資金援助することを決意。

ついでに彼女のMVも撮ります。
そしてその映像が動画投稿サイトにアップされると見る間に再生数が伸びていく!

そしてソニータは、監督の助けを得て、ミュージシャンとしての一歩を歩みだす。

ここの監督の葛藤は、結果「手出ししてしまう」ということになるのですが、しかしこの監督想いや悩む気持ち、ソニータのための苦しみ、そしてその結果の選択そのものも”ドキュメンタリー”だなあ。と感じました。

例えプロが手出ししたとしても、ソニータ自身に力がなければ注目されなかったでしょうしね。

撮る側だった監督が、物語の一部となって動き出すところも、今作の大きな魅力に感じました。

ちなみに以下がソニータが歌う動画です。英語の歌詞がついています。

タイトルは『売られる花嫁』

この目力がすごい。この曲は劇中フルで(日本語歌詞付きで)聴くことができます。ちびぞうはもう号泣でした。

イランで女性は歌えない

いまだ根強い男尊女卑の残るイラン。宗教上の理由で女性は歌手になることができません(人前で歌うことも出来ない)

ここでもまたソニータは苦戦を強いられます!歌で表現したいのに、動画もすごく伸びているのに、歌手として歌うことができない!!

しかし、動画を観たアメリカの非営利団体ストロングハートの人がソニータをアメリカの音楽学校に入学させたいと連絡をしてくれる!!!奨学金も出してもらえるという大盤振る舞い、ソニータにとっては夢を叶える大チャンス!!

最後に立ちはだかる母親の壁

ラストに立ちはだかるのは、お金で娘の結婚延期を承諾した母親の許しを得るという壁。

実家に帰った時、ソニータのラップを家族が聞くシーンはカメラも入っていたためかかなりアットホームというか・・・みんな楽しそうにソニータの歌を聞いていたんですけどね・・・。やはりそう簡単には理解してはもらえないようで。

ソニータは母親に嘘をつき、こっそり出入国のため謄本を取り、渡米。
そしてアメリカの学校から事実を報告・・・母親には電話を切られてしまい、話も出来ない状態になってしまいました。しかし、ソニータは見事アメリカの学校に入学することに成功。

映画の最後には入学先の学校で先輩たちの前で歌を披露し拍手喝さいを浴びるというシーンで終わっていました。

まとめ

シンデレラストーリーのような、ハッピーエンド。

しかし彼女の家族の事を考えると、あまり明るい気持ちにもなりきれません。

この現代日本でのほほんと暮らしているちびぞうにとって、こんな世界があるのかと衝撃を受けました。そして、悲惨な世界に生きている少女たちの凄さにも感銘を受けました。

彼女の眼の力は本当にすごい。こうして記事で読むだけでは感じられない少女たちの現実をぜひ、映画本編で知って欲しいと思います。

 

 

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画像引用元:映画.com

 

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平手友梨奈、初主演映画『響』感想

この天才、ヤバい。

アイドル関係にはとても疎いちびぞうですが、元AKBの前田のあっちゃんと、欅坂46の平手のゆりなたんはわりと好きです!!!特に前田のあっちゃんは演技が良くて・・・彼女が出演した『もらとりあむタマ子』が大好きです!!

ゆりなたんは「風に吹かれても」のMVで短髪×メガネ×スーツ姿がドンピシャでして!!!一目惚れしてしまいました><

そんな彼女の映画初主演ともなれば、原作の漫画は全く知らないけども観てみたくなるわけじゃないですか!!!!ということで行って参りました!!!

ちなみにこちらの映画、かなりキャストが豪華です!直木賞・芥川賞に挑む崖っぷちの作家役に小栗旬、主人公の鮎喰響を導く女編集者役に北川景子、編集長役に高嶋政伸、それぞれ端まで良い役者が安定した演技力で映画を支えていましたね~。

パンフはこんな感じ。

B6?サイズかな?

小さめ、少し厚さもあり本っぽい装丁ですね。34ページ税抜き667円。
原作者の柳本光晴先生と月川翔監督の対談や、衣装や小物についての美術チームのノート、ゆりなたんが歌う主題歌の歌詞など、なかなかボリューミーな内容でした!

公式サイトはこちら

【映画情報】

【制作国】日本
【監督】月川翔
【脚本】西田征史
【原作】柳本光晴「響 ~小説家になる方法~」
【製作】市川南、竹中幸平
【スーパーバイザー】秋元康
【エグゼクティブプロデューサー】山内章弘
【プロデューサー】神戸明
【企画】小野田壮吉
【撮影】鍋島淳裕
【照明】かげつよし
【録音】柳屋文彦
【美術】五辻圭
【衣装】新崎みのり
【ヘアメイク】百瀬広美
【編集】稲垣順之助
【音楽】伊藤ゴロー
【出演([]内は役名)】

  • 平手友梨奈[鮎喰響]
  • 北川景子[花井ふみ]
  • アヤカ・ウィルソン[祖父江凛夏]
  • 高嶋政伸[神田正則]
  • 柳楽優弥[田中康平]
  • 北村有起哉[鬼島仁]
  • 野間口徹矢[野浩明]
  • 小松和重[藤野弘]
  • 黒田大輔[大坪正人]
  • 板垣瑞生[椿涼太郎]
  • 吉田栄作[祖父江秋人]
  • 小栗旬[山本春平]
  • 笠松将[塩崎隆也]

【公開日(日本)】2018年9月14日
【上映時間】104分
【配給】東宝
【映倫区分】G
【IMDB】7.6/10.0  (およそ30人の評価)

【あらすじ】

出版不況が叫ばれる文芸界。文芸雑誌「木蓮」編集部に一編の新人賞応募作が届く。応募要項を一切無視した作品のため、破棄されるはずだったその作品に編集者の花井ふみが目を留めたことから、状況は大きくは変わり始める。「お伽の庭」と題されたその小説は、15歳の女子高生・鮎喰響によって書かれたものだった。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレなし)】

☆3.5/5.0

天才的な文才を持つ女子高生・鮎喰響と彼女の入部する文学部(形だけ)の生徒たちとの人間関係、そして彼女の作品に魅入られた編集者、直木賞・芥川賞に挑む作家たちを巻き込んだ青春アリの人間ドラマ!

原作の漫画を読んでないので前知識はゼロで挑みました。

最近、太宰治の「人間失格」を読んで泣いたちびぞう的にもの凄くタイムリーな作品でした。

主人公・響のキャラクターはあまりにも非常識で感情に正直すぎて「なんだこの動物は」と思ってイラついてしまってなかなか入り込めなかったし、劇中で響の書く作品の凄さみたいなものを観客にも感じさせられるような演出が何もないので彼女の異端さだけが目に余ってしまい。しかも結局は飛びぬけた才能があれば何しても許されるんかい!!!って感じのオチでお話自体は微妙だったんです(ゆりなたんの演技も演技なのか素なのかどうか判断しにくいところで、すごいのかすごくないのかいまいち分からないという・・・)

しかし記者に対して「世の中の意見ではなく貴方の意見を聞かせて」と話をする場面でアッ!これは人間失格で「世間とは”個人”の事なのだ」って書かれてた場面と似ている!!と思ってハッとし、そして小栗旬との最後の踏切でのやりとりで太宰のセリフが登場し一気にテンションがダダ上がりしてしまったんですよね!

そこからゆりなたんのキャラが動物的だったのは「人間的本能に従うほど世間から隔絶されていった大庭葉蔵(人間失格の主人公)とリンクさせているんだな」としか思えなくなり!そうするとイラついていた気持ちも不思議と昇華され!
太宰の遺した言葉に希望を持たせる脚本にとても感動してしまって・・・。
響の中に、今も小説家として生き続ける太宰(ヒーロー)の姿を見たんです。号泣でした。

ちびぞうは小説をあんまり読まないので、にわかで更に安易な感想かもしれないけど本当にタイムリーだした!!!

映画としてはまぁまぁ、でも個人的には凄く泣ける場面があって評価上乗せ。そんな感じでした。

 

どうでもいいけど小栗旬の、何度も賞レースに挑戦してもう後がない、みたいな崖っぷち作家の役が凄く良かったなぁ。小栗旬はもともとそんなに好きな俳優さんではなかったのですがちょびっと好きになりました。彼が劇中で書いた『豚小屋の豚』も読んでみたい!!

 

 


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少年はなぜ死にかけるのか?映画『ルイの九番目の人生』ネタバレ&感想

「9年間で9度死にかけた少年」
その運命に隠された秘密を解き明かせるかーーー

『怪物はささやく』という映画が良かった!と知り合いに話したらこちらの映画を紹介して頂きました。父と息子の映画で感動的ということでレンタルしてみた今作。

このジャケットだけでもかなり惹かれますねーーーーーー!!!!

監督は『ハイテンション』『ヒルズ・ハブ・アイズ』のアレクサンドル・アジャ!ホラー映画で名を馳せた監督のファンタジー?ヒューマンドラマに興味津々のちびぞうです!!(まぁその二本どっちもまだ観てないんですけど・・・すいません・・・『マニアック』なら観ました。最高に好きです。)

主演のエイダン・ロングワースくんもとっても可愛らしいですね。彼は『X-ファイル』やドラマ『スーパーナチュラル』、『アンデッド』などでも活躍していた将来有望な子役さん!!

更に母親役のサラ・ガドンは『最も美しい顔ランキング』の常連だそうで・・・この二人を見てるだけでも眼福な予感。

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【映画情報】

【原題】The 9th Life of Louis Drax
【制作国】カナダ・イギリス合作
【監督】アレクサンドル・アジャ
【脚本】マックス・ミンゲラ
【原作】リズ・ジェンセン「ルイの九番目の命」
【製作】ショーン・ウィリアムソン、アレクサンドル・アジャ、ティモシー・ブリックネル、マックス・ミンゲラ
【製作総指揮】ザンヌ・ディバイン、ローザンヌ・コーレンバーグ、ジョナサン・キーア
【撮影】マキシム・アレクサンドル
【美術】レイチェル・オトゥール
【衣装】カーラ・ヘットランド
【編集】バクスター
【音楽】パトリック・ワトソン
【出演([]内は役名)】

  • ジェイミー・ドーナン[アラン・パスカル]
  • サラ・ガドン[ナタリー・ドラックス]
  • エイダン・ロングワース[ルイ・ドラックス]
  • オリバー・プラット[Dr.ペレーズ]
  • モリー・パーカー[ダルトン刑事]
  • ジュリアン・ワダム[ジェネク医師]
  • ジェーン・マグレガー[ソフィー]
  • バーバラ・ハーシー[ヴァイオレット]
  • アーロン・ポール[ピーター・ドラックス]

【公開日(日本)】2018年1月20日
【上映時間】108分
【配給】松竹
【映倫区分】G
【IMDB】6.3/10.0  (およそ11,850人の評価)

【あらすじ】

少年ルイ・ドラックスは、大変な難産の末にこの世に生を受けてから、毎年のように必ず事故にあい、そのたびに生死の境をさまよってきた。そして9歳の誕生日に崖から転落したルイは、ついに意識不明の重体になってしまう。担当医のパスカルは必死にルイを救おうとするが、両親やパスカルなど周辺の人々の身に、不可解な出来事が次々と起こり……。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレするよ!)】

☆3.5/5.0

これは泣けます!!!!!そして泣ける中にもきちんとホラー要素が散りばめられていて、ホラー映画監督ならではのヒューマンドラマらしさというか、味のある作品になっていると思います!!

父と息子の絆が好物な映画ファンの方は飛びつくこと間違いなし!!!

おおまかなあらすじ

ルイの独白から始まる。事故多発少年だということを自己紹介してくれる。

逆子だったので帝王切開することになった胎児の頃から、何度も何度も死にかけているルイ。食中毒なんて年中。しかしなんとか生き抜いたルイは9歳になった。

誕生日に母と父とピクニックに行ってルイは崖から落ちる!!!
そのピクニックでの独白でルイが「(両親の?)愛が戻ったようだった」と言うことから家族はうまくいってなかった?ということが予測される。

暗転。
猫は九つ命がある。それと同じで毎年命を落としてる。もう命を使わないでという母親の言葉。何者かの声が聞こえて「これはお前の9番目の命だ。事故多発少年のミステリーを一緒に解こう」と言う。

 

ピクニックのバスケットやレジャーシートなどはそのままで、三人が消えている。父親は事故後に姿を消し失踪、指名手配され捜索願を出されているらしい?ルイは海から引き上げられて病院へ、母親もいる。生体反応も瞳孔反射、動脈派もなし。医師によって死亡確認。

場所は変わってどこぞのホールのようなところで拍手喝さいを浴びる男(パスカル医師)。何かの講演会のようで、夢遊病だった子ども時代の話をしている。「人間の脳はただのパーツではない。脳が傷付いても、心は通わせることが出来る」と語っている。

病院ではルイが息を吹き返す!(二時間死んでたらしい(笑))小児の低体温症は死亡と酷似してるんだって!(それで誤診ひどい!)
ルイは全身の骨がボキボキに折れてるけどかろうじて生きてる、しかし昏睡状態。

昏睡病棟に入るルイ。崖から突き落としたのは父親らしい!!?と警察は考えている様子。

同時進行でルイが元気だったころのセラピーの場面がはさまれる。ペレーズ医師は自傷行為(ルイが自分で自分をわざと危険な目に遭わせている)の可能性もあると考察。

 

かつてシーワールドに父親と行った時の思い出の場面をルイの独白で語られる。

そこには謎の女が登場。父親の浮気相手か元カノかと思ったら元奥さんだったー!父親に「このことは内緒にしよう」と言われたのに帰宅後、母親に話してしまうルイ。両親は喧嘩。
「二人は愛し合ってないから別れた方が良いし別れたがっているけど僕がいるからできないんだ」とルイ。

ルイは自分の飼っているハムスターを殺した。処分権だと言う。ペットが平均寿命より長く生きたら殺せるルールがあるとルイは語る。

ルイは父親を本当の父親じゃないとか言う。

回想シーンが終わり、パスカル医師がルイの元へやってくる。途中でルイの母親とのロマンスが差し込まれる。

パスカル医師が昏睡状態のルイに本を読んであげようとすると、何かの気配を感じる。床が濡れていてわかめのようなものも床に落ちている。それをたどっていくパスカル医師。
「生きている海」を思わせるバケモノの、幻想的で恐ろしいそれはパスカル医師の夢だった。

医師の元にルイが書いたような筆跡の手紙が届く。内容は「パスカル医師との関係を断て」と言ったもの。母親は夫がルイの筆跡を真似てポストに入れたと言う。

パスカル医師がセラピストを訪ねると、セラピーを打ち切った医者にルイから手紙が届いたと言う。それにはハムスターのフン入りで「秘密を母親に話した」ことを怒っている内容。

父親(ピーター)は本当に実の父親ではなかった、かつてルイの命を救いそのまま病院に付き添った時に母親と出会い、元の奥さんを捨てて母親と一緒になった、ということらしかった。
しかし母親はルイを養子に出そうとしていた!

手紙の警告を破って結ばれるパスカル医師と母親。(なんか違和感が拭えない)

母親は「ピーターには奥さんがいたけど愛していたのは私なの」と語る。

ピーターの死体が見つかる。ピーターの母親がやってきて、あの女(ルイの母親)は何でも嘘をつくと語る。

昏睡状態のルイの夢の中に現れたバケモノは三匹の蝙蝠の話をする。
よく笑うメスとよく泣くメスがいて、よく泣くメスを選ぶオス。よく泣くメスは周りの人間に同情してもらうのが好きだったから泣いてたらしい。しかし、オスは「蝙蝠の子供の父親になれたからよかった」と言うお話だった。

ピーターはルイが崖から落ちたあと、同じように崖から落ち、その後1~2週間は海産物を食べながら生きていたが洞窟で肺炎を起こし死亡。

手紙の筆跡が誰か分かった。パスカル医師のものだった!彼は無意識に致死量の薬の処方箋を出していた。昏睡の状態から夢遊病の自分をルイが操ってると言いたいらしい。

催眠術でパスカル医師の無意識の中に入りルイの意識と会話させようという試みが行われる。

パスカル医師を通してルイの口から遂に真相が語られる。

毎年のようにルイが事故に巻き込まれ命を失いかけていたのは全て母親が周りから同情を買うためにやっていたことだった。そんな母親のためにルイは自ら崖から身投げした。

ルイは母親を憎んでいて、父親を愛してたということも分かる。

昏睡状態のルイの意識の中に現れていたバケモノの正体は、父親だったということも判明。

父親は血のつながりはないがルイを誰よりも愛していたと語る。

昏睡した意識の中で、ルイは父と対話し、明るい方へ歩んでいく。そして意識を取り戻す。

母親は精神病棟に入れられるも、そのお腹は大きく膨らんでいた・・・(パスカル医師との子どもができてしまっていた)

物語の解説

文章だけで物語を追っていくと、回想シーンやら何やら時系列もバラバラでちょっと分かりにくかったかと思います。大きく分けるとシークエンスは二つ。

  • ルイのかつての人生についての場面
  • ルイの昏睡中の場面

パッと見は血のつながりのない父親がルイを突き落とし逃走、母親が新たな出会いを見つけるのに嫉妬して脅迫の手紙を出している・・・という感じで見えるんですけども、真相は真逆。

母親の方が悪だった。父親はルイを守ろうとしていたし、死にかけながらもルイの意識の中に化け物の姿で現れて彼を救おうとしていた・・・というお話。

あの手紙はルイが医師を母親から守ろうと夢遊病中にやらせたことだったんですね!

どんでん返しと言えばどんでん返し。

感想

血のつながりのない父親があそこまで息子を愛せるのはなぜなのか?と思う部分はあまり描かれていないので、そこがしっくりこないと物語に入り込めないかもしれません。

そもそも奥さんがいたのに、彼女を捨ててまで母親を選んだのは、美しい母親に惹かれたわけではなくルイを息子として愛したから…という理由なのですさまじい。

しかし最後の父と息子の対話のシーンは最高に美しく

「愛してるよ 町全体よりも 海の魚全部よりも」

という台詞で涙腺崩壊。

そしてラストで母親がまた身籠っている!!!(悲劇はまだまだ終わらないんだぜ…)というところに人間の恐ろしさを感じてゾクッとさせられますし、ちびぞう的にはしっかりと父と息子の絆を描いて感動させつつも怖がらせる心を忘れていない監督の遊び心にやられた…という感じ。

(この美しさが恐怖を煽ります)

どんでん返しと言っても途中から母親が怪しく見えてくる作りになっていると思うので、正直そこはそんなにメインの要素でもないのかな。

じっくりと、恐怖の真実へ向かって進んでいく。そんな感じの作品でした。

映像の美しさ、少年の美しさ、父の愛の美しさに泣けること間違いなし。

 


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画像引用元:映画.com