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美しすぎるスパイムービー!映画『アトミック・ブロンド』ネタバレ無し感想

騙す者を騙すのは、愉快だ。

シャーリーズ・セロンのアクション映画と言えば、かつて『イーオン・フラックス』で痛い目を見た経験があり、「今回もきっと駄目だろうな・・・」という気持ちがあって劇場の方ではスルーする予定だったんですが・・・

映画仲間の一人が「面白かった!」とオススメしてくれたので、「どれどれ」と観に行くことにしました。

パンフはこんな感じ。

画像だと分かりにくいんですが、人物以外の部分がメタル感のある光沢紙になっています。スタイリッシュ!!サイズは普通にA4ほど、人物相関図にネタバレがなく、出来ればこちらは鑑賞前に目を通しておくことをオススメしますね!

【映画情報】

【原題】Atomic Blonde
【制作国】アメリカ
【監督】デヴィッド・リーチ
【脚本】カート・ジョンスタット
【原作】アントニー・ジョンストン作、サム・ハート画「The Coldest City」(ONI PRESS)
【プロデューサー】シャーリーズ・セロン、A・J・ディックス、ベス・コノ、ケリー・マコーミック、エリック・ギター、ピーター・シュウェリン
【製作総指揮】ニック・マイヤー、マーク・シェイバーグ、ジョー・ノーズマック、スティーヴン・V・スキャヴェリ、イーサン・スミス、デヴィッド・ギロッド、カート・ジョンスタッド
【撮影監督】ジョナサン・セラ
【プロダクションデザイナー】デヴィッド・ジョイネマン
【編集】エリザベト・ロナルドスドッテイル
【衣装デザイナー】シンディ・エヴァンス
【音楽監修】ジョン・フーリアン
【作曲】タイラー・ベイツ
【出演([]内は役名)】

  • シャーリーズ・セロン[ローレン・ブロートン]

  • ジェームズ・マカヴォイ[デヴィッド・パーシヴァル]

  • エディ・マーサン[スパイグラス]

  • ジョン・グッドマン[エメット・カーツフェルド]

  • トビー・ジョーンズ[エリック・グレイ]

  • ジェームズ・フォークナー[C]
  • ローラン・モラー[アレキサンダー・ブレモヴィッチ]
  • ソフィア・ブテラ[デルフィーヌ・ラサール]

  • ビル・スカルスガルド[メルケル]
  • サム・ハーグレイブ[ジェームズ・ガスコイン]
  • ヨハネス・ヨハンソン[ユーリ・バクティン]
  • ティル・シュヴァイガー[時計屋]

【公開日(日本)】2017年10月20日
【上映時間】115分
【配給】KADOKAWA
【映倫区分】R15+
【IMDB】7.0/10.0  (およそ49,000人の評価)

【あらすじ】

冷戦末期、ベルリンの壁崩壊直前の1989年。西側に極秘情報を流そうとしていたMI6の捜査官が殺され、最高機密の極秘リストが紛失してしまう。リストの奪還と、裏切り者の二重スパイを見つけ出すよう命じられたMI6の諜報員ロレーン・ブロートンは、各国のスパイを相手にリストをめぐる争奪戦を繰り広げる。【引用元:映画.com

【感想】

☆3.5/5.0

とにかくアクションがスタイリッシュ!

長回しのアクションにも注目!

なんと時間にして7分にも及ぶアクションシーンがあり、すべてワンカットで作られているのだから驚き!

カメラが途切れることのない長回しで緊張感が長続きし、その場の臨場感も凄まじいです。

更に、シャーリーズ・セロンの「ドゴッ!バギッ」という重い音の響くアクション!!

とっても痛そう(笑)

銃だけではなく、肉弾戦で殴り合ったり、背負い投げしたり、家にあるあらゆるものを武器にして戦うなど、とってもスパイっぽい。

イーオン・フラックスの時よりも相当スタイリッシュでカッコいいです(笑)

ロレーン・ブロートンの魅力

それから、オシャレすぎるシャーリーズ・セロンのファッションにも注目。「スパイがこれでは目立ちすぎるのでは?」と思ったりもしますが、それも彼女の自信の現れのようで素敵ですね♪

80年代のデザインをハイセンスに凝縮したようですが、彼女のファッションを真似したい!!と思ってしまいました(笑)

レズビアンっぽい描写も、クールで無口な性格にピッタリ。格好良さを際立てていますねー。男性のゲイが描かれることは多くても、こういう大作映画でビアンが堂々と描かれるのは珍しい気がして、素敵な世界になったものだなぁ(*’ω’*)と・・・。

音楽もオシャレ!

超クールなサウンドトラックの応酬!この楽曲たちがオシャレな画面を更に引き立てます!

大好きなマンソン様の曲もありました!!パンフに曲名一覧が乗っていたので表にしておきます(*’ω’*)

Blue Monday 1988 New Order
Cat People(Putting Out Fire) David Bowie
Fight The Powor Public Enemy
Major Tom(Völlig Losgelöst) Peter Schilling
99 Luftballons Nena
Blue Monday HEALTH
Father Figure George Michael
Kack Zukunft Ausschlag
Der Kommissar After The Fire
As Time Goes By Michael Parnell
Cities In Dust Siouxsie And The Banshees
The Politics of Dancing Re-Flex
Voices Carry ‘Til Tuesday
Stigmata Marilyn Manson and Tyler Bates
Behind The Wheel Depeche Mode
I Ran(So far away) A Floks of Seagulls
99 Luftballons Kaleida
London Calling The Clash
Fastidious Horses Vladimir Vysotsky
Under Pressure Queen & David Bowie

まとめ

お話に関しては、事前に仲間に教わっていた通り、少し分かりづらい点がありました。特に最大のネタバレ部分を楽しめるかどうかは、人物相関図や組織の名前、誰がどこの組織に属しているかを把握しているかどうかにかかっていると思います。

それから、時代背景。

ベルリンの壁崩壊の時代のお話なので、その当時の事について少しでも頭に入れておくとより物語に入り込んで楽しむことが出来ると思います(*’ω’*)

まぁ、何も考えずに気楽に楽しめるアクション大作とは違うと思いますが、アクションの楽しさ、キャラクターの魅力、映像や音楽のハイセンスさを見るときっとファンも多いはず。

これはきっといつか続編が出るだろう・・・!と予測することが出来ます!

これから劇場で観るよという方はぜひパンフレットをお買い上げいただいて、人物相関図を軽く頭に入れてから観るのがオススメ。そこにネタバレはないので、安心して見れると思いますよ!

ちびぞうでした(*’ω’*)
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は行

ついに完結!映画『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』ネタバレ&感想

世界を救いたいと思って来たんだ。

―――君が僕の世界だった。

ファン待望!12年ぶりの新作をついに鑑賞しました!!

・・・と言っても私は1しか観ておらず最近2も含めて見返したので「だいぶ待ったなぁ」という感覚はないんですが(笑)

今回から「タラシのタレ目」ことダニエル(ヒュー・グラント)は出てこないようで、これがどう作品に影響するのか・・・と気になるところではあります。

【映画情報】

【原題】Bridget Jones’s Baby
【制作国】イギリス、アメリカ、フランス
【監督】シャロン・マグワイア
【脚本】ヘレン・フィールディング(原作)、エマ・トンプソン、ダン・メイザー
【製作】ティム・ビーバン、エリック・フェルナー、デブラ・ヘイワード、ヘレン・フィールディング
【製作総指揮】アメリア・グレンジャー、ライザ・チェイシン
【撮影】アンドリュー・ダン
【美術】ジョン・ポール・ケリー
【衣装】スティーブン・ノーブル
【編集】メラニー・アン・オリバー
【音楽】クレイグ・アームストロング
【出演([]内は役名)】

  • レニー・ゼルウィガー[ブリジット・ジョーンズ]
  • コリン・ファース[マーク・ダーシー]
  • パトリック・デンプシー[ジャック・クワント]
  • ジム・ブロードペント[コリン・ジョーンズ(ブリジットの父)]
  • ジェマ・ジョーンズ[パメラ・ジョーンズ(ブリジットの母)]
  • エマ・トンプソン[ドクター・ローリングス]
  • ジェームス・キャリス[トム]
  • サリー・フィリップス[シャザ]
  • シャーリー・ヘンダーソン[ジュード]
  • サラ・ソルマーニ[ミランダ]
  • ケイト・オフリン[アリス]
  • メートランド・チャンドラー[エドワード]

【公開日(日本)】2016年10月29日
【上映時間】123分
【配給】東宝東和
【前作】ラブラブ絶好調!のはずが?映画『ブリジット・ジョーンズの日記/きれそうなわたしの12か月』感想&ネタバレ
【IMDB】6.6/10.0  (およそ49,000人の評価)

【あらすじ】

アラフォーになったブリジットはテレビ局の敏腕プロデューサーとして活躍していたが、私生活では未だ独身のままだった。彼女がかつて愛したマークは他の女性と結婚し、ダニエルは事故で亡くなってしまっていた。ある日、ブリジットはハンサムで性格も良いIT企業の社長ジャックと運命的な出会いを果たす。【引用元:映画.com

【感想】

☆2.8/5.0

これでブリジット・ジョーンズの物語も終わり。と思うと切なくなりますね。

相変わらず笑えるシーンが盛りだくさん

下ネタだったり、ブラックジョークだったりが散りばめられていて、今作も笑い無しでは観れません!

臨月で、今にも生まれそう!という時にもマークには仕事の電話がかかってきて「また仕事!?」と思うとマークが携帯を窓の外へポーイ!よくやった!と思いつつもブリジットに「どうやって救急車を呼ぶのよ!」とツッコまれていて(ブリジットはすでにカバンと携帯をなくしている)マークも相変わらず抜けてるところがあるというか、可愛いです(笑)

そのあと、ブリジットをマークがお姫様抱っこをして歩くシーンなど、「いや誰かに救急車呼んでもらえよ!」とツッコまざるを得ないんですが、そんなシーンもほほえましい(笑)

ちなみに今作の当て馬であるパトリック・デンプシー扮するジャックもそこに現れて、二人でブリジットを運ぶことに。

ブリジットを抱えたまま3人でどう考えても狭い回転ドアを通って病院に入るシーンがバカすぎて大爆笑してしまいました(笑)

ブリジットを演じるレニーも40代も半ばを過ぎているのに、すごいエネルギーです。

いい意味でも悪い意味でも相変わらず

ブリジットとマークのお互いを想い合う気持ちも相変わらずで良いんですが、2の後で別れた理由が1の後で別れた理由とさして変わらないような気がしてしまい・・・

「何回同じこと繰り返すの君たちは!」という目で見てしまうところもありますね・・・。

一緒に観ていた家族に「この二人は(2の後)なぜ別れてしまったんだろ」と聞かれて「そりゃあ続編のためだよ」と答えましたが(笑)、そういう映画的な都合以外にもきちんとした理由が、1の後とはまた別に欲しかったと言いますかね。

それに、あれだけブリジットを愛しているマークが2の後で別の女性と結婚するのも不自然ですし、最終的にブリジットと結ばれるきっかけになったのも「妊娠」というのが決め手なところが気になりました。

要は、

「続編つくろうぜ!また別れさせとけばオッケー!今回はブリジットの妊娠かな」

というおおまかなアイディアを実現とさせるための物語の肉付けが結構適当なんです(笑)

ダニエルがいないと寂しい

タラシのクズ男ダニエルのお葬式というショッキングがオープニングから始まり、「遺体は見つかっていないらしい」という台詞があったのできっと生きてるな!と思いつつも今回は最期の最後まで登場することはありませんでした。

個人的に、このシリーズの風物詩としてマークとダニエルの「へなちょこ喧嘩シーン」が大好きだったので、それが見られなかったのが残念でした。

せっかく新しい当て馬も登場したのに、そのジャックともマークは喧嘩しませんでしたね。期待していたけど!(まぁコリン・ファースも歳ですもんね)

ダニエルがあまりにクズだったので、「ジャックも実はクズなのでは・・・?」という不安が拭えないまま最後までいってしまいましたが、結局彼は良い人でした(笑)

ライバルがクズでないとイマイチに感じてしまうなんて、それだけヒュー・グラント扮するダニエルのキャラクターが魅力的だったということなんでしょうね・・・。

まとめ

シリーズ通して観ると色々と思うところもありますが、ブリジットは最後の最後に幸せを掴んで「本当にもう終わりなんだな」という切ない後味があって、ああいいものを観た。という気持ちになりました。

あんまりシリーズもので、長年追いかけられる作品って数多くはないですもんね。

1作目がだいぶ古いというのもあって、今から1から観てみるというのはあまりオススメ出来ませんが、シリーズを過去に観たことがある人は、そこそこ満足できる作品だと思います(*’ω’*)

 

 


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な行

松潤×有村架純の純愛系?映画『ナラタージュ』ネタバレ&感想

一生に一度の恋。

わたしには、あなたでした。

ゾンビ映画とか洋ホラーばっかりじゃなくてですね、たまには観ますともこういう系の邦画を!

どうも、ちびぞうです。

一足先に観ていた友人の「松潤のダメ男っぷりがすごい!」という言葉に後押しされ、予告編の良さにも惹かれて映画館へと足を運びました。

最近の類似映画として『先生、、、好きになってもいいですか』とか『PとJK』などがありますね。生田斗真×広瀬すず、亀梨君×土屋太鳳ちゃんという風にきちんと旬の俳優陣が被らないしているのは偉い。

ネタが似るのはハリウッドと一緒だなぁ~今の流行りなのかな。それとも、JKの恋物語というのは不変の人気を誇っている物なのでしょうか。

脇道にそれました!パンフはこんな感じ。

すでにこの時点で松潤の口元に目が行ってしまいます。

裏側

A4サイズを超えてそうな、かなり大判です。

【映画情報】

【制作国】日本
【監督】行定勲
【原作】島本理生
【脚本】堀泉杏
【製作】佐野真之、市川南、藤島ジュリーK.、堀内大示、弓矢政法、倉田泰輔、高橋誠、荒波修、古賀俊輔、吉川英作、小川真司
【エグゼクティブプロデューサー】豊島雅郎、上田太地
【プロデューサー】小川真司、古賀俊輔
【共同プロデューサー】吉澤貴洋
【撮影】福本淳
【編集】今井剛
【音楽】めいなCo.
【主題歌】adieu – “ナラタージュ”
【出演([]内は役名)】

  • 松本潤[葉山貴司]

  • 有村架純[工藤泉]

  • 坂口健太郎[小野怜二]

  • 瀬戸康史[宮沢慶太]

  • 市川実日子[葉山美雪]

  • 大西礼芳[山田志緒]

  • 古館佑太郎[黒川博文]

  • 神岡実希[塚本柚子]

  • 駒木根隆介[金田伊織]

  • 金子大地[新堂慶]

【公開日(日本)】2017年10月7日
【上映時間】140分
【配給】東宝、アスミックエース
【IMDB】6.4/10.0  (およそ5人の評価)

【あらすじ】

。大学2年生の泉のもとに、高校時代の演劇部の顧問・葉山から、後輩たちの卒業公演への参加を依頼する電話がかかってくる。高校時代、泉は学校になじめずにいた自分を助けてくれた葉山に思いを寄せていたが、卒業式の日に起きたある出来事を胸にしまったまま、葉山のことを忘れようとしていた。しかし1年ぶりに葉山と再会したことで、抑えていた恋心を再燃させてしまう。一方、葉山もまた泉に対して複雑な思いを抱いていた。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレ注意)】

☆2.8/5.0

純愛系なのか?という大いなる疑問が残る今作・・・。

松潤の口元が気になりすぎる!

松潤ももう34歳なんですねー!

いやー・・・それにしても口元が気になる!!

ほうれい線というか、なんだろう、口元がネズミのようなんですよ・・・。別に貶したいわけでもなく普通に・・・。重めの黒縁眼鏡に、目の上ギリギリの前髪、きっと諸悪の根源はそこなんですよ。余計に口元が強調されてしまってですね。演技に集中出来なかったなぁ・・・。

しかも、葉山先生というキャラクターの内向的な感じというか、影があって温厚で口数少なめな感じを演出するのに基本的に笑ったりするシーンもほとんどなく。への字にすると余計に口元がね・・・。

物語の核心は”片思いの連鎖”

松潤の口元のことばかり書いていても怒られそうなのでストーリー部分にも触れていきたいと思います。

この話の核心は「自分にとっての特別な人(死ぬほど欲しくても手に入らない相手)への思慕」の物語。特に、”過去に焦がれた相手”という観ている人が自分の青春時代や大恋愛していた時代に思いをはせるタイプの映画です。

松潤に対する有村架純の想い、そして有村架純に対する坂口健太郎の想い。想いの連鎖。

もし、松潤にとっての”特別な人”というのが有村架純であったならば、大恋愛の純愛ストーリーとなってしまうところだと思うんですが、そうはならない。

松潤には松潤の”特別な相手”が有村架純の他には別にいて、有村架純の想いもまた切なく届かないまま終わってしまう。

張り巡らせられた伏線が上手い

実は上で書いた”片思いの連鎖”というのはネタバレでも何でもないと思っているんですよね。

というのも、かなり序盤から、「この映画はそういう内容の物ですよ」と示唆するシーンが随所にちりばめられているから。

まず話の構成が「有村架純が過去を回想する」というものであるところから、「すでに終わっている話なのだろう」と予測出来る点。

それから、早い段階で松潤になんらかの女性に対するトラウマ的な出来事が起きたと思わせるシーンが挟まれていること。そしてその相手が誰なのか、ここがポイントなのは言わずもがな。

二人が映画好きであるという共通点を知るシーンの中に、トリュフォーの『隣の女』(私はまだ未見ですが)という映画の「一緒に居ると苦しいのに、あなたなしでは生きられない」という台詞が抜粋されています。この映画は、実は実を結ぶことのない愛を描いた悲恋の話なんですよね。その内容と台詞から、ナラタージュの登場人物たちもそれぞれが相手に対し「その人でなければダメなのに、叶うことがない恋愛をしているのかな」と予想しました。

そしてこういったエピソード的な伏線以外にも、松潤のはねた髪に引っかかった桜の花びらが、有村架純の手で取られることはなく落ちていく・・・という1シーンにも「うまくいかない二人」という暗示があったように思いました。

そういう不穏さを感じさせ、最初からこの恋はダメになるよという前提で切なく見せようという構成は良かったと思いました。

結局のところ純愛なのか

個人的には、この映画の登場人物たちはみんなとても利己的だったなぁ、と思うんですよね。するとどうしても、純愛映画・・・ではないのかもしれない。と感じました。

松潤も、卑怯な方法で自分の弱さ苦しさを誰かに救って貰おうとする部分しかないので、そこがどうしてもダメ男に見えてしまうのかもしれないですが、言ってみれば有村架純が坂口健太郎にしたことも、全く同じようなことだと思うんですよね。

そして坂口健太郎も、嫉妬にかられて大事な人を大切にするという部分を見失ってしまう。

本当に自己中心的な恋愛しかしてない!みんなが!

(個人的には、純愛ならもっと自己犠牲的な愛の物語が好みだなぁ・・・)

監督はパンフレットで、”曖昧な関係”を描きたかったと語っていたし、”男はこういうもの”とも言っていました。だからきっとこの映画は、演出の仕方と監督の思惑に多少のズレが生じていて、それが鑑賞後の違和感に繋がっているのかな、と感じてしまうんですよね。

だって予告編を見る限りでは純愛っぽいんだもの!!!鑑賞者と監督のイメージのズレがあります!

まとめ

打ち上げ花火~、でも思いましたが、主題歌が良いと良い映画を観たような気になるから不思議ですね(笑)

イケメン俳優と可愛い女優の組み合わせでキュンキュン出来る恋愛映画とは違って一癖あるというか、少し男性的な目線で描かれている作品だと思うので注意が必要です。

あんまり、今付き合っている人と一緒に観るよりかは、一人で、かつての恋愛に思いを馳せつつ鑑賞してみる・・・という見方が正しいのかもしれませんね。

 

トリュフォーの『隣の女』も、面白そうなのでそのうち観てみる予定です!

 


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日本のアニメ―ション技法を満喫しよう!ジブリ映画『かぐや姫の物語』ネタバレ&感想

姫の犯した罪と罰

画像引用元:映画.com

当時、御門のアゴ祭りがネット上で開催されていたり、非常に盛り上がっていましたよね(笑)

肝心の映画としての評判はどうかと言うと、私の周りや目につくところではとにかく批判しか聞かなかったのである程度覚悟を持って観ました(それでもDVDですが)。

【映画情報】

【制作国】日本
【監督/原案】高畑勲
【原作】竹取物語
【脚本】高畑勲、坂口理子
【製作】氏家齊一郎
【製作名代】大久保好男
【企画】鈴木敏夫
【プロデューサー】西村義明
【人形造形・作画設計】田辺修
【美術】男鹿和雄
【作画監督】小西賢一
【音楽】久石譲
【主題歌】二階堂和美「いのちの記憶」
【声の出演([]内は役名)】

  • 朝倉あき[かぐや姫]
  • 高良健吾[捨丸]
  • 地井武男・三宅裕司(特別出演)[翁]
  • 宮本信子[媼]
  • 高畑淳子[相模]
  • 田畑知子[女童]
  • 立川志の輔[斎部秋田]
  • 上川隆也[石作皇子]
  • 伊集院光[阿部右大臣]
  • 宇崎竜童[大伴大納言]
  • 古城環[石上中納言]
  • 中村七之助[御門]
  • 橋爪功[車持皇子]
  • 朝丘雪路[北の方]
  • 仲代達矢[炭焼きの老人]

【公開日(日本)】2013年11月23日
【上映時間】137分
【映倫区分】G
【配給】東宝
【IMDB】8.1/10.0  (およそ24,000人の評価)

【あらすじ】

今は昔、竹取の翁が見つけた光り輝く竹の中からかわいらしい女の子が現れ、翁は媼と共に大切に育てることに。女の子は瞬く間に美しい娘に成長しかぐや姫と名付けられ、うわさを聞き付けた男たちが求婚してくるようになる。彼らに無理難題を突き付け次々と振ったかぐや姫は、やがて月を見ては物思いにふけるようになり……。【引用元:シネマトゥデイ

【感想】

☆3.7/5.0

これがまぁ予想に反して面白かった!
3、4回は泣いてしまいました!

内容がまんま竹取物語。この話を知ってる人からしたら新しい要素はあまりないし退屈に思うのも理解出来るんだけど自分はそんなに問題なかった!(キャラメイクもなかなか面白い)

むしろ原作の、うろ覚えの所や謎に思ってたところを上手く補完してくれてると思います。

泣いたシーンまとめ

まず最初の泣いたシーン。

かぐや姫が宴の夜、家を飛び出し山へ向かって爆走する!!(CMでもやってたシーン)
正直、あの水彩画風の技術が評価が高いと聞いて「ぇぇ?うそやん」と舐めてかかっていた私はこのシーンで反省しキリリッと正座した!疾走感、色合い、雑さが味になる筆使いに感動と鳥肌で涙が止まらなかった。

そして次に泣いたシーン。

捨丸との再会(街中)。声をかけたくてももうかけられない。見つめ合った数秒間で色々な想いが溢れたと思うんですよ!見てて辛くなるシーンでしたね~。

最後は大っ好きなラストシーン!

切ない場面に不釣り合いな、とっても平和で明るい音楽が天人たちの非情さ(本人たちにとっては当然のことで、酷いことをしている自覚などはない感じ)が引き立ちます。あのシーンが素敵すぎて観終わったあとラストだけを2時間ループさせました笑。サントラ欲しい!

音楽を貼っておきます。

(夢オチに見せかけて一度死んだであろうかぐやを生き返らせたりしてるし)物語を裏で操るような天人たちをひどい!怖い!という見方も出来るんだけど、それはあくまで地球人の感覚なんでしょうね。ネットで「天人たちは魔法少女まどかマギカで言うところのキュウベェだ」って意見を見てすごく納得しました。(わからない方すみません汗)
逆にその怖いって感覚があれば立派に地球で生きてる証拠だな、と思ったり。思いながら泣いたり。

それからあのラストには、今まで何があっても穏やかだったお婆さんが初めて声を荒げる(叫ぶ)シーンがあって、そこも泣けるポイントです。

今までおじいさんの一歩後ろで夫を立てていたから本当にかぐや姫のしたい生き方をさせられなかったことは自覚してたでしょうね。かぐや姫の幸せを願いつつも苦しめてしまったことはある意味で自業自得のように両親の身に返ってきたわけだけども…それでも愛している!という気持ちだけが伝わってきて切なすぎました。
もっと早くから夫婦で向き合えたらあんな結果にならなかっただろうし、防げたと思うんです。

これって現実の子育ても同じでしょうかね。理想を追いすぎて子供を見失うってところが。だから罪と罰というのはかぐや姫に対してでもあり、おじいさんお婆さんに対してでもあったワケで…必然的なラストなのだと思います。
そして決して悲しいだけじゃない。かぐやが地球を愛した気持ちが最後の最後に表現されてるし、あれはあれでハッピーエンドとも取れる(気がする)んです。

まとめ

総合的に見るとエンターテイメントとして観る作品ではないけども、人によっては相当好きになれる良作だと思います。

ただ、最後の最後まで捨丸に期待していた私は相当ハリウッドに毒されてる感はありました。(笑)
反省。

それから、問題の顎については散々ネットで触れられている(いじられている)のであえて割愛していますが、ちょっとアレは悪意あるというかなんというか(笑)

やりすぎですよね!

 

 


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タランティーノが仕掛ける雪山の密室劇!映画『ヘイトフル・エイト』ネタバレ&感想

第1章「レッドロックへの最後の駅馬車」

画像引用元:映画.com

出ましたー!DVDで鑑賞してしまったけれど

映画館で観たかった!!!

と血涙流す系の作品です!!!あーパンフ欲しかったなぁ。。

どうしてタラちゃん(タランティーノ監督)の西部劇はこんなに面白いのだろう・・・。西部劇にはあまり食指が動かなかった私が大歓声を上げて鑑賞した同監督の『ジャンゴ 繋がれざる者』もオススメです!

のっけから話題が逸れました。

カート・ラッセルの兄貴が大活躍してますので、ファン必見です!

ではいつもの映画情報から。

【映画情報】

【原題】The Hateful Eight
【制作国】アメリカ
【監督/脚本】クエンティン・タランティーノ
【製作】リチャード・N・グラッドスタイン、ステイシー・シェア、シャノン・マッキントッシュ
【製作総指揮】ボブ・ワインスタイン、ハーベイ・ワインスタイン、ジョージア・カカンデス
【撮影】ロバート・リチャードソン
【美術】種田陽平
【衣装】コートニー・ホフマン
【編集】フレッド・ラスキン
【音楽】エンニオ・モリコーネ
【出演([]内は役名)】

  • サミュエル・L・ジャクソン[マーキス・ウォーレン]
  • カート・ラッセル[ジョン・ルース]
  • ジェニファー・ジェイソン・リー[デイジー・ドメルグ]
  • ウォルトン・ゴギンズ[クリス・マニックス]
  • デミアン・ビチル[ボブ]
  • ティム・ロス[オズワルド・モブレー]
  • マイケル・マドセン[ジョー・ゲージ]
  • ブルース・ダーン[サンディ・スミザース]

  • ジェームズ・パークス[O.B. ジョーダン]
  • デイナ・グーリエ[ミニー・ミンク]
  • ゾーイ・ベル[六頭馬のジュディ]
  • リー・ホースリー[エド(ジュディの相棒)]
  • ジーン・ジョーンズ[スウィート・デイブ]
  • キース・ジェファーソン[チャーリー(ミニーの店の黒人男性店員)]
  • グレイグ・スターク[チェスター・チャールズ・スミザース]
  • ベリンダ・オウィーノ[ジェマ(ミニーの店の黒人女性店員)]
  • チャニング・テイタム[ジョディ・ドミングレ]
  • クェンティン・タランティーノ[ナレーター]

【公開日(日本)】2016年2月27日
【上映時間】168分
【映倫区分】R18+
【配給】ギャガ
【IMDB】7.8/10.0  (およそ361,100人の評価)

【あらすじ】

雪が降りしきる中で馬を失った賞金稼ぎマーキス(サミュエル・L・ジャクソン)は、同じ稼業であるジョン(カート・ラッセル)と彼が捕らえたデイジー(ジェニファー・ジェイソン・リー)を乗せた駅馬車に同乗する。途中で保安官を名乗るクリス(ウォルトン・ゴギンズ)を拾った馬車は、猛吹雪から避難するためにミニーの紳士洋品店へ。メキシコ人の店番ボブ(デミアン・ビチル)や怪しげな絞首刑執行人オズワルド(ティム・ロス)などの存在にジョンが強い警戒心を抱く中で、事件が起こる。【引用元:シネマトゥデイ

【感想(ネタバレあり)】

☆4.1/5.0

大好きです!タラちゃん大好き!

差別用語や下品な言葉が飛び交い、銃弾も血液も飛び交い、容赦なく人が死んでいきます。グロ描写があったり男性のフルヌードがあったり、ボカしも全力で仕事しています。

タラちゃんらしいです。

苦手な人は苦手な作品かもしれませんが、私的には素晴らしかったです。

どうミステリーなのか?

いきなり物語の核心に触れてしまいますが、今作は雪山のお店(ミニーの服飾店)に集まった八人が、吹雪によって足止めされてしまう中、何者かによって毒殺事件が起こる・・・という話なんですね。

その真相としては、首吊り人ジョン・ルースがレッドロックで絞首刑にするため連れている女犯罪者(ドミングレギャング団の頭の姉)をドミングレ一味(四人)が雪小屋で救出しようと、そのお店の人達を皆殺しにして「留守を預けられた店員とそのお客」のフリをしてジョン・ルースを待ちわびていた・・・というもの。

一人が「9人目の男」となり、床下に潜んでジョン・ルースを殺す機会をうかがっているわけです。

しかし彼らの誤算としては、ウォーレンとマニックスという二人が偶然、ジョン・ルースの乗る駅馬車に乗り合い、「ミニーの服飾店」へ来てしまったということ。

ウォーレンはミニーの店に詳しく、「留守を預けられていた男」の嘘も次々に暴いていく・・・そして、ついに床下の男が登場する!

  • 誰が毒をコーヒーに入れたのか?
  • ミニーとデイブはどこにいったのか?
  • 客の中に女と手を組んでいる人がいるのか?いるとしたら何人だ?

という謎が解き明かされて、まさか床下にもう一人いるとは(笑)となるのが物語のピークなわけです。

本当にこの物語、脚本がよく出来ていて、冗長で無駄に思われる会話もちゃんと伏線になっていたりするので地味に気が抜けないんです(笑)

会話劇としての面白味

前述したとおり、脚本が面白い!上映時間が3時間近くあるので、正直中だるみしてしまうというか、前半がやたらと長く感じられしんどいなと感じる人もいるかもしれません。

画面的にも雪山、山小屋、馬車、とあまり変化がないですしね・・・。

ただ、ちゃんとその長ったらしい無駄に思える会話にもきちんと意味があって、当時の時代背景も読み取れるし、なぜタイトルが「ヘイトフル(憎むべき、憎しみに満ちた)エイト(八人)」なのかということもしっかり描かれています。

どの人物も戦争相手や肌の色の違いを憎み、大勢を殺したり略奪してきた人たち。本当の悪というものは、犯罪者として連行されているデイジーだけではない。という部分の面白味があります。だから、ラストの(おそらく)全員が死ぬという展開も納得できる。

その中でも、黒人差別の世界から生き抜こうと書かれた「嘘のリンカーンの手紙」を朗読するシーンや、首吊り人ジョン・ルースの意向を汲んでやろうとするシーンなど、なぜかジーンとしてしまう描写もあって。終始殺伐としていた中で、人間の情味がチラッと見えるというか。

ヘイトフルですが、なんとなく憎めない映画なんですよね!

鬼気迫る演技

ぶっちゃけサミュエルさんは色んな映画に出過ぎだろうと思って辟易している部分もあるんですが、でもその実力は相当だなぁ、と今作でも思わせられてしまいますね。

私の愛してやまないカート・ラッセルもどっしりとしてカッコよく、時に優しさも見せるいい男(?)を演じているし、女犯罪者のデイジーを演じたジェニファー・ジェイソン・リーも、アカデミー賞やゴールデングローブ賞で助演女優賞を受賞しているだけあって、本当に気が狂ったような恐ろしい女を演じています。

その他の面々も、個性的で演技派揃い。こういった会話だけで物語が進む映画は、大体が素晴らしい演技と脚本に支えられていますよね。

ポスター、アートワークがオシャレ

全く関係ないんですが、海外版のポスターやネットで見かけるアートワークが本当にオシャレで堪らないので、紹介させてください。

こちら海外版のポスターですね。背中だけというのが憎い!

こちらは登場人物が横並びで、背後に赤線がビュッと引かれているもの。

その赤背景バージョン。微妙に並びが違ったりするのが面白いですね!

そして一番カッコいいと思っているのがこれ!!六頭馬の駅馬車が走っていく後には血が・・・というシンプルなデザイン。赤と黒と白で統一されていてハイセンスすぎます。大好き。

まとめ

タラちゃんファン必見、カートラッセルファン必見、ミステリーというよりはバイオレンスが多めですのでそこらへんだけ注意してもらいたい会話劇。そんな感じですね。

この映画、65mmフィルムというものが使われており、日本では上映できる映画館がなかったので編集版が公開されているようです。本国の人が羨ましい。普段の映画館の映像とどう違いがあるのか専門的な事は分かりませんが、監督が拘った映像をそのままに映画館で楽しめるというのは最高だと思います!

 

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か行

ケビン・コスナー×ガル・ガドット主演!映画『クリミナル 二人の記憶を持つ男』ネタバレ&感想

世界を救うタイムリミットは記憶が消えるまでの48時間。

【画像引用元:映画.com】

映画をレンタルする時は5本で千円のセット借りをするのがビデオ時代からの我が家のお決まり。最新作は3泊4日になってしまうので、準新作に落ちたものを5点、選んでいます。

めぼしい映画があまり目に付かず「あーあと一本で五本なのになー」という時に見つけたのが今作。

非常に地雷臭の漂う今作ですが、地味に俳優が豪華!!

ケヴィン・コスナーや、トミー・リー・ジョーンズゲイリー・オールドマンまで!

おそらく『ワンダーウーマン』ガル・ガドットの人気の波に乗って上陸したんでしょう。(私のお目当てはトミー・リー・ジョーンズ)

【映画情報】

【原題】Criminal
【制作国】イギリス、アメリカ
【監督】アリエル・ブロメン
【脚本】ダグラス・クック、デビッド・ワイズバーグ
【製作】マット・オトゥール、マーク・ギル、クリスタ・キャンベル、J・C・スピンク、ジェイク・ワイナー
【製作総指揮】ボアズ・デビッドソン、ジョン・トンプソン、クリスティーン・オタール、アビ・ラーナー、トレバー・ショート、ラティ・グロブマン、ダグラス・アーバンスキー、ジェイソン・ブルーム、ケビン・キング・テンプルトン
【共同製作総指揮】サミュエル・ハディダ、ビクター・ハディダ
【共同製作】ポール・リッチー
【撮影】デイナ・ゴンザレス
【美術】ジョン・ヘンソン
【衣装】ジル・テイラー
【編集】ダニー・ラフィク
【音楽】ブライアン・タイラー、キース・パワー
【声の出演([]内は役名)】

  • ケヴィン・コスナー[ジェリコ・スチュワート]
  • ゲイリー・オールドマン[クウェイカー・ウェルズ]
  • トミー・リー・ジョーンズ[フランクス医師]
  • ガル・ガドット[ジル・ポープ]
  • ライアン・レイノルズ[ビル・ポープ]
  • アリス・イブ[マルタ・リンチ]
  • マイケル・ピット[ヤン・ストローク/ダッチマン]
  • アマウリー・ノラスコ[エステバン・ルイザ]
  • ジョルディ・モリャ[ハビエル・ハイムダール]
  • アンチュ・トラウェ[エルサ]

【公開日(日本)】2017年2月25日
【上映時間】113分
【配給】KADOKAWA
【IMDB】6.3/10.0  (およそ43,000人の評価)

【あらすじ】

米軍の核ミサイルをも遠隔操作可能なプログラムを開発した謎のハッカー「ダッチマン」の居場所を知る唯一の人物で、CIAのエージェントのビリーが任務中に死亡した。「ダッチマン」の脅威から世界の危機を救う最後の手段として、ビリーの記憶を他人の脳内への移植する手術が検討され、その移植相手として死刑囚ジェリコ・スチュアートが選ばれた。ジェリコは凶悪犯である自分自身と、脳内に移植されたCIAエージェントのビリーというまったく逆の2つの人格に引き裂かれながら、テロリストとの壮絶な闘いに巻き込まれていく。【引用元:映画.com

【感想】

☆2.3/5.0

思った通りだったんです!!(笑)

何が思った通りだったかと言うと、「これは面白くないかもしれない」という不安が的中したということですね・・・。

特筆すること浮かびません

俳優陣は豪華すぎるくらい豪華なのに(上で言った以外にライアン・レイノルズも出ているし)、脚本が・・・なんというか。ありきたりと言うか。陳腐というか。

CIAエージェントの記憶を埋め込まれた囚人が、そのエージェントの自宅に行って奥さんと子どもに会う。そしてエージェントの記憶を語り出して、「俺だよ、お前の夫だよ」みたいな展開はありがちすぎますよね・・・。

別人なんだけど、夫の記憶を持っているこの人は何なの・・・!?という奥さんの葛藤も特になく、彼はそのまま子どもとの信頼関係を築いていきます。

そこまで来たらもう、囚人の方の気持ち的にも「この子は俺の子だ」と思うようになって絆を深めていく流れもお約束じゃないですか!

まとめ

素材は良いのに上手く調理できなかった作品。そんな感じがします。

こんな言い方をするとアレですが、お約束の流れの感じとかがどうも、セガール映画を観ているかのようで・・・。

個人的にはもう少し、トミー・リー・ジョーンズの活躍が観たかったなぁ。

あ、ガル・ガドットは相変わらず美しくてグッド!でしたよ(*´∀`*)

 

 


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は行

干物女がボクシングに目覚める!映画『百円の恋』ネタバレ&感想

―――どうせ、百円の価値しかないんで

安藤サクラ大好きなんですよねー!!

といっても、『贖罪(ドラマ)』『愛のむきだし』くらいしか観たことないんですが・・・。良い女優さんですよね。味があって。

今作はずっとずっと観たかったんですが、なかなか手を付けられず。この作品が影響を受けたというスコセッシ監督・ロバートデニーロ主演の『レイジング・ブル』もばっちり予習したんですが・・・段々その記憶もなくなってきてしまいました(笑)

それにしても新井さんは最近本当に良く見かけるというか、どこにでもいるなぁ(笑)嫌いじゃないんですけどね!

【映画情報】

【制作国】日本
【監督】武正晴
【脚本】足立紳
【エグゼクティブプロデューサー】加藤和夫
【プロデューサー】佐藤現、平体雄二、狩野善則
【製作】間宮登良松
【音楽プロデューサー】津島玄一
【音楽】海田庄吾
【主題歌】クリープハイプ – 百八円の恋
【編集】洲崎千恵子
【出演([]内は役名)】

  • 安藤サクラ[斎藤一子]
  • 新井浩文[狩野祐二]
  • 稲川実代子[斎藤佳子]
  • 早織[斎藤二三子]
  • 宇野祥平[岡野淳]
  • 坂田聡[野間明]]
  • 沖田裕樹[佐田和弘]
  • 吉村界人[西村]
  • 松浦慎一郎[小林]
  • 伊藤洋三郎[斎藤孝夫]
  • 重松収[ジムの会長]
  • 根岸季衣[池内敏子]

【公開日(日本)】2014年12月20日
【上映時間】113分
【映倫区分】R15+
【配給】SPOTTED PRODUCTIONS
【IMDB】7.3/10.0  (およそ1,000人の評価)

【あらすじ】

実家でひきこもり生活を送る32歳の一子は、離婚して出戻ってきた妹とケンカしてしまい、やけになって一人暮らしを始める。100円ショップで深夜勤務の職にありついた一子は、その帰り道に通るボクシングジムで寡黙に練習を続ける中年ボクサーの狩野と出会い、恋をする。しかし幸せも長くは続かず、そんな日々の中で一子は自らもボクシングを始める。【引用元:映画.com

【感想】

☆4.0/5.0

いやもう最高ですよね!!

ちなみに予習した『レイジング・ブル』は観ても観なくても楽しめる作品だと思いました。でも。監督の狙いというか趣味が分かる気がして、観ておくのも一興かと。

安藤サクラの駄目女っぷり

32歳にして独身、実家暮らし、仕事もしていない。そんな女性が主人公なんです。

序盤のだるだるにたるんだ腹を掻く仕草とか、小学生の甥っ子をテレビゲームでぼこぼこにするところとか、ぼっさぼさの頭のまま降りて来て店の商品をつまみ食いして文句つけるとか、他人の乗ってた自転車を何も言わずに借りてそのままコンビニに行くとか、本当に酷い(笑)

酒は飲むは煙草は吸うわ、男っ気もないしで「生きていく気力は本当に最低限しかありませんよ」って感じのキャラクターが凄い。

そして何が凄いってそのダルダルした主人公の後半の覚醒っぷりですよ。

「安藤サクラ、かっこいい・・・!」この一言に尽きる!

序盤のダルダルが非常に効いて来るんです。

主人公の一子は、新井浩文扮する狩野に惚れたというよりは、ボクシングそのものの魅力に惚れたと言っても間違いではない。

そして我々観客も、一子を通してボクシングに惚れる。そんな作品なんです。

エンディングも最高

クリープハイトの「痛い痛い、居たい居たい」と連呼する曲もボロボロになった一子に合っていて最高でしたね。

そしてラストの新井浩文の憎い事、憎い事!

一子がボクシングの試合の入場曲に、勤めていた百均ローソン(のような百円均一の店)のCMソングを選んだ時に、「どうしてこの曲なんだ?」と聞かれ「どうせ百円の価値しかない女なんで」と答えるんです。涙腺崩壊しました。

一子の今までの人生を振り返ってみると確かに、百均で買われたような事ばかり起きていたし、男性にもそれくらい軽く扱われていた。

そんな自分をあえて表現する曲として選ぶ皮肉さ。でもそこが、ボクシングを通じて別の自分へと変わるために必要な儀式であったようにも思えて。ものすごく感動したんです。

その結果、彼女は変われた。その変化は対人にも表れています。

その証拠に、ラストで泣きじゃくる一子に対し、狩野は安易に抱き締めたりしない。

思い出してください、彼が一子のアパートに来てすぐ、風邪を引いた一子が泣いていると狩野はすぐに抱き締めましたよね。そして男女の関係になった。あの安易さがなくなっている!ただ性的対称としての女というだけではない、仲間意識というか、尊敬の念のようなものが、狩野の中で芽生えたのかもしれません。

あのラストで間違いなく一子は「百円の価値」ではなくなったんだと確信したんです。

まとめ

決して、後味爽やか!なボクシング映画とは違います。とても陰気な雰囲気が終始漂っているというか。

結局のところ最後は負けてしまっているわけだし、エンタメとしては観れないと思います。

ボクシング好きな人から見たら、安藤サクラの戦いっぷり、練習っぷりはどう映るんだろうー!プロ顔負けなほど強くならないというところも、リアリティがあって良かったと思います。

ちょうど私も一子と同じ世代なので、あれだけ熱く何かに打ち込んでみたいなぁと思いました。まる。

 

 


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ま行

南の島の大冒険!映画『モアナと伝説の海』ネタバレ&感想

海に選ばれた16才の少女――彼女の名は、モアナ。

【画像引用元:映画.com】

アナ雪のロングランと印象の強さで、アナ雪の次の作品がこれかと勘違いしそうになりましたが、違いましたねー。ズートピアなんかもありましたね!

正直あまり興味はなかったので、DVDにてレンタルで鑑賞しました。

【映画情報】

【原題】Moana
【制作国】アメリカ
【監督】ジョン・マスカー、ロン・クレメンツ
【脚本】ジャレッド・ブッシュ
【製作】オスナット・シューラ―
【製作総指揮】ジョン・ラセター
【音楽】マーク・マンシーナ
【オリジナルソング】リン=マニュエル・ミランダ、マーク・マンシーナ、オペタイア・フォアイ
【声の出演([]内は役名)】

  • アウリイ・クラヴァーリョ(屋比久知奈)[モアナ・ワイアリキ]
  • ルイーズ・ブッシュ(竹野谷咲)[ベビー・モアナ]
  • ドウェイン・ジョンソン(尾上松也)[マウイ]
  • テムエラ・モリソン、歌:クリストファー・ジャクソン(安崎求)[トゥイ・ワイアリキ]
  • ニコール・シャージンガー(中村千絵)[シーナ・ワイアリキ]
  • レイチェル・ハウス(夏木マリ)[タラ]
  • ジェマイン・クレメント(ROLLY)[タマトア]
  • アラン・テュディック(多田野曜平)[ヘイヘイ]

【公開日(日本)】2017年3月10日
【上映時間】107分
【配給】ディズニー
【IMDB】7.6/10.0  (およそ158,000人の評価)

【あらすじ】

かつて世界を生んだ命の女神テ・フィティの心が、伝説の英雄と言われたマウイによって盗まれ、世界に闇が生まれた。それから1000年にわたり、モアナの生まれ育った島モトゥヌイでは、外洋に出ることが禁じられていた。そんなある時、島で作物や魚たちに異変が発生。海の不思議な力に選ばれた少女モアナは、いまもどこかで生きているマウイを探し出し、テ・フィティの心を元あった場所に戻すことができれば世界を救えると知り、父親の反対を押し切り大海原に旅立つ。

【感想】

☆2.7/5.0

まぁまぁ面白い!というかディズニーは基本外れる事がないので、ディズニーと言うだけである程度の面白さはすでに保証されているようなものなんですよねー・・・。面白くて当たり前!という印象から更にぶっちぎるような感覚は、あまりなかったので、ディズニー作品としては無難なところかな?と思います。

今作の舞台は?

南太平洋、ポリネシアの方が舞台です。ディズニーのアジア系のアニメは『ポカホンタス』や『リロ・アンド・スティッチ』がありますが、ポカホンタスはアメリカが舞台なので、ハワイが舞台のリロ~の方が近いですね。

ポリネシアってどのへんのことなの?という方のために図を用意しました(笑)

おおよそこの辺りかなぁ、というざっくりした地図です(笑)

ニュージーランド近辺の島から、ハワイ、そしてイースター島近辺を三角で囲んだあたりがポリネシアと言うらしいですよ!

主人公がもはや恋をしない!

時代に合わせてヒロインの性格や、どんな冒険をするかなども変化していっているディズニー。

最近は、王子様と恋をするよりも「自分は何者なのか、どこまで行けるのか?どんな新しい自分を見つけられるのか」といった内容の物が増えてきています。アナ雪はかろうじてアナが恋をしていましたが、ズートピアは恋と言うよりはどちらかというと異種間での信頼関係を描いていますもんね。

今作、モアナも恋はしません。一緒に冒険するのは、王子とは程遠い見た目のムキムキマッチョのタトゥーマンです。ノン王子様、ノンラブです。

だからと言ってつまらなくはないです。「海」と「航海」を自分の宿命と進むべき道に例えて、非常に分かりやすい形でテーマを表現していると思います。

マウイの魅力

毎度のことながら曲が素晴らしいんですが、今回は”人であり海の神”マウイの歌う「俺のおかげさ」が楽しくて・・・。脳内で勝手に鳴り響いて困ってしまいました(笑)

このマウイ、オリジナル版では声優がドウェイン・ジョンソンなんですね!!

ドウェイン・ジョンソンと言えば、ポリネシアンを先祖に持つということで、『ワイルド・スピード ICE BREAK』でもハカを披露していましたよね!

納得の配役すぎる・・・というか「この人歌えるんだ!」と大興奮でオリジナル版も聞いてみました。

こっちもなかなか良い(笑)

ドウェイン・ジョンソンのファンもきっと彼の歌声にニヤっとするはず!

このマウイというキャラクターは一見明るくて頼もしい人物なんですが、少し可哀想な生い立ちのようで、実は弱いところを明るく振る舞って隠しているだけなのでは・・・と思ってしまいましたね。人間の為と行動することで自分の孤独を和らげようとしているかのような。

とても魅力的で深いキャラクターだなぁと思っていたら、実は当初は「モアナではなくマウイが主人公の予定だった」!!らしいんです!

マウイが主役の方でも面白くなっただろうなぁ、そっちをむしろ観たかった(笑)

まとめ

魅力的なキャラクターと歌、アニメーション(特にマウイの体に描かれたタトゥーが好き勝手動き回るアニメーションが可愛い)、美しすぎる海のCG・・・。

どれをとっても素敵なんですが、若干ね。「本当の自分を見つけよう!自分の本当にしたいことをやろう!」みたいなメッセージ性が最近多くて、飽き気味と言ってしまえばそうなんですよね・・・。

時代の流れがそうなんだろうけども、少し違った作風のものも、また観てみたいなぁ、と思う。そんな一本でした。

 

 


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さ行

韓国の名作ゾンビ映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』ネタバレ&感想

生か死か――時速300km超のノンストップ・サバイバル!

たまらんですよこの邦題のセンス(笑)周囲の映画館でやっているところがあまりないのでDVDで良いかなと思いきや、周りがけっこう褒めるもんですからね、これは観ておかねば!?という空気を感じ取りました。

韓国もののゾンビ映画ですよ!?韓国の映画は5本の指で数えられる程度にしか観ていないので、全くの未知の世界でした(笑)

パンフはこんな感じ。

うーんなんとも言えない普通なデザイン。特筆することのない縦長A4サイズでツルツルの表紙、18P税込み700円は少な目。しかし新幹線のイラストと共に、登場人物がどこにいたのかなど図で表されていてわかりやすい!

【映画情報】

【原題】부산행 (英題:Train to Busan)
【制作国】韓国
【監督】ヨン・サンホ
【脚本】パク・ジュソク
【エグゼクティブプロデューサー】キム・ウテク
【プロデューサー】イ・ドンハ
【共同プロデューサー】キム・ヨノ
【撮影】イ・ヒョンドク
【照明】パク・ジョンウ
【美術】イ・モグォン
【衣装】クォン・ユジン、イム・スンヒ
【編集】ヤン・ジンモ
【音楽】チャン・ヨンギュ
【出演([]内は役名)】

  • コン・ユ[ソグ]

  • キム・スアン[スアン]

  • チョン・ユミ[ソンギョン]

  • マ・ドンソク[サンファ]

  • チェ・ウシク[ヨングク]

  • アン・ソヒ[ジニ]

  • キム・ウィソン[ヨンソク]

【公開日(日本)】2017年9月1日
【上映時間】118分
【配給】ツイン
【IMDB】7.5/10.0  (およそ73,000人の評価)

【あらすじ】

ソウルでファンドマネージャーとして働くソグは妻と別居中で、まだ幼いひとり娘のスアンと暮らしている。スアンは誕生日にプサンにいる母親にひとりで会いにいくと言い出し、ソグは仕方なく娘をプサンまで送り届けることに。ソウルを出発してプサンに向かう高速鉄道KTXに乗車したソグとスアンだったが、直前にソウル駅周辺で不審な騒ぎが起こっていた。そして2人の乗ったKTX101号にも、謎のウィルスに感染したひとりの女が転がり込んでいた。主人公のソグ親子のほか、妊婦と夫、野球部の高校生たち、身勝手な中年サラリーマンなど、さまざまな乗客たちが、感染者に捕らわれれば死が待ち受けるという極限状態の中で、生き残りをかけて決死の戦いに挑み、それぞれの人間ドラマが描かれる。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレ盛りだくさん)】

☆3.9/5.0

ダサい邦題に釣られB級ホラー映画ファンが押し寄せて「何だこれは名作じゃないか!」って鼻水垂らす系のやつです(笑)

全体的にセンスが良い

この監督はアニメ畑出身のようですが、映像が結構斬新というか、間違いなく今まで観てきたゾンビ映画にはない緊迫感、スリルが味わえる構造、色味があってどれもセンスが良いです!

例えば

  • 何かが漏れたということで区画閉鎖している道を通ろうとするトラックが、鹿をひき殺す。すると、トラックが走り去った後、その死んだはずの鹿がムクムクバキバキ起き上がる。ゆっくり鹿をクローズアップすると、その瞳は薄白く濁っていた・・・というオープニングシーンからもう素敵。目を惹かれます!
  • 横倒れになりかけた新幹線に押しつぶされそうになるシーン。逃げ場はなく、迫ってくる新幹線の窓に大量のゾンビが張り付いてガラスをばんばん叩いている!!潰されるかもという恐怖と、ゾンビがガラスを割って落ちてくるかもという二重の恐怖。楽しいなぁ。
  • 列車の後ろにゾンビが一匹(一人?)ぶら下がって引きずられ、そいつにまた別のゾンビが飛びついて引きずられ、更にまた別のゾンビが・・・と大量のゾンビが列車にミノムシのミノのようにくっ付いていく・・・というシーン!重さと摩擦で止まりそうになる列車!必死にぶら下がるゾンビの足を蹴る主人公!いやぁこのシーンは圧巻でしたね。

どのシーンも大体ハラハラしたし、新しかった。

今作のゾンビ

  • 走るゾンビである(非常に足が速くてそこそこ力も強くて元気)
  • 夜目がきかない(暗闇では音に反応する)
  • 齧ってから即ゾンビ化するものもいれば、意外に時間がかかるものもいる
  • 血は赤い派
  • 原因はバイオ系の会社からのウイルス流出・・・?

走るゾンビに抵抗がある私ですが、シチュエーションや脚本も含め撮り方が面白いせいか普通に楽しめました。

新幹線という媒体

ゾンビものが流行る時、「どこでゾンビから逃げ回るか」という部分は非常に大事。

特に、異国の映画でありながらショッピングモールのような”身近で分かりやすい場所”というのは、状況を想像するのに容易で、世界観に入り込みやすくなると思うのです。

今回の新幹線という場所は、きっと誰しも(乗ったことがない場合でも)一度は目にしているもの。作りも日本の物と似ていて、客席のある部分、連結の部分、連結部分に存在するトイレなどなど。とても親しみがあります。

そこでゾンビが入り込んで来たらどうなってしまうのか?無理のない展開で、ものすごいスリルがありました。本当にこうなりそう!

ヘッドショットしないよ!

韓国が銃社会なのかどうか私には分かりませんが、今作では銃を用いてゾンビを倒すシーンが一つもありません。

あるのは猛ダッシュで逃げるシーン、そして体と体のぶつかり合い!

成金親父のような図体をしていたおっさん(妊婦の夫)が文字通り人肌脱ぐと、熱いマッスルマンに早変わり!椅子の背に両手をついてドロップキック!からの首折りやら肘鉄やら・・・強い。頼もしい!漢(おとこ)!

主人公も警官隊の盾を使ってフォロー!野球少年もバットを振り回す!かと思えば、トンネルの暗闇でこそこそする(笑)

楽しいですねー。今作のゾンビの設定と、「新幹線」という逃げ場のない密室を最大限生かした映画でした。

泣かせるシーン盛りだくさん

実はすごく泣けるのです。

野球部員の中で自分だけ助かってしまったと泣く少年。新幹線内を主人公とおっさんと共に彼女のいる車両までゾンビの中を突っ切らないといけないという状況の中、ゾンビと化した野球部員たちと再会し、どうしてもバットが振るえない。切ない。

それから、おばあさん姉妹。人の世話ばかりするお節介な妹とはぐれてしまった姉。その再会は残酷で、集団パニックに陥った乗客に扉を閉鎖され、ガラス扉1枚挟んだ目の前で妹がゾンビに襲われてしまう。「こんな最期でいいのかい?本当にあんた損ばかり」と切ない。

マッスルマンの最期も切ない。手を齧られ感染してしまい、家族を守るため一人でドアを押さえる・・・。「赤ちゃんの名前はまだ決まってないの。この人が決めてくれなくて」と妊婦である妻が序盤で語っていましたが、その妻を逃がそうとする瞬間、「その子の名前は○○だ」と叫ぶんです。切ない。

そして、主人公。彼は最初「自分勝手な人間」として描かれていますが、ゾンビとの諸々を通して「他人を思い遣れる人間」へと変わっていくんです。そこも良い。ラスボスの自己中さも、前半の主人公との精神的な決別を表しているようで良かったですね!!

物語の中盤で主人公のした選択によってこの状況が引き起こされたかもしれないと知らされる。自責の念に駆られ涙する主人公。この時点で死亡フラグ立ったかな・・・とは思ったんですが。おの死に様が最高に泣けました。噛まれて、ゾンビへ変異する瞬間、娘が生まれて初めて抱くときの事を思い出して、笑うんです。ゾンビの顔で笑うその表情の切ないこと切ないこと!思い出しただけで涙腺が。そのまま彼が列車から落ちる姿を影だけ映すのも、センス◎でした。

ラストシーンの歌唱シーンは「音に敏感っぽいゾンビなのに、視界の悪いトンネルの中で歌うのは多少不自然ではないか」と思ったものの・・・あの状況で兵たちに気付いてもらうにはああするしかないですもんね。あれもきちんと伏線を回収していて、上手だなぁこの監督は。と思いました。

まとめ

映画館で、とまでは行かなくとも、ゾンビファンにはぜひとも観て欲しい一本です。

最近は、「アイアムアヒーロー」も面白かったし、アジア圏のゾンビ映画も頑張っていますねー!飽和状態かと思いきやまだまだ面白い映画が出てくるホラー界。

今後にも期待です!

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や行

吉高由里子が美しき殺人鬼に。映画『ユリゴコロ』ネタバレ&感想

私のように平気で人を殺す人間は、脳の仕組みがどこか普通と違うのでしょうか。

この、とてもインパクトのある書き出しから始まる美しき殺人鬼の告白文。

そしてその殺人鬼を吉高由里子が、ノートを発見し読み解く男を松坂桃李が!さらに不眠に悩むメッシー君を松山ケンイチが!という魅力的なキャスティング。うーん観るしかない、と思ってしまいますね。

吉高由里子の主演映画は『蛇にピアス』しか観たことないんですが、この一本だけでも「結構いい演技をする女優さんだ」という印象があったので、今作も自然に「観たい」と思いました。今作も、蛇にピアスも、仄暗い欲求に憑りつかれた女性の役で、なんとなく当時の演技がここにも活きているのかな、と思いました。

鑑賞後に原作も読みまして、映画版との違いを書いた以下の記事もぜひ一緒にどうぞ!

沼田まほかる著・小説『ユリゴコロ』映画版の違いと感想(ネタバレ)

パンフレットはこんな感じ。

26Pで税抜き667円。独特な表紙ですね~映画を観終わってから見ると、あれの写真かなこれの写真かなと色々想いが巡りますね。

【映画情報】

【制作国】日本
【監督/脚本】熊澤尚人
【原作】沼田まほかる「ユリゴコロ」
【製作総指揮】佐藤直樹
【製作】永山雅也、村松秀信、三宅容介、木下直哉、大柳英樹、片岡尚、戸塚源久、細字慶一、大沼渉
【エグゼクティブプロデューサー】千葉善紀、柳迫成彦、大熊一成
【プロデューサー】石田雄治
【音楽】安川午朗
【撮影】今村圭佑
【美術】高橋泰代
【衣装】宮本まさ江
【出演([]内は役名)】

  • 吉高由里子[美紗子]

  • 松坂桃李[亮介]

  • 松山ケンイチ[洋介]

  • 佐津川愛美[みつ子]

  • 清野菜名[千絵]

  • 清原果耶[美紗子(中学生)]

  • 平尾菜々花[美紗子(小学生)]
  • 貴山侑哉[亮介の父]
  • 木村多江[細谷]

【公開日(日本)】2017年9月23日
【上映時間】128分
【映倫区分】PG12
【配給】東映、日活
【IMDB】—/10.0  (およそ0人の評価)

【あらすじ】

亮介は余命わずかな父の書斎で1冊のノートを見つける。「ユリゴコロ」と書かれたそのノートには、ある殺人者の記憶が綴られていた。その内容が事実か創作か、そして自分の家族とどんな関係があるのか、亮介は様々な疑念を抱きながらも強烈にそのノートに惹きつけられていく。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレ注意)】

☆2.6/5.0

とてつもなく惜しい作品なんです。

なぜ惜しく感じるのか

  • 現代(亮介)パートの取ってつけた感。
  • ノートを読み終わってからの展開。
  • 全体的な伏線の弱さ!

この三つですかね。

全て、脚本と演出が台無しにしているのかと思いましたが、原作の方もノートを読み終わる辺りから失速していっていたので、そこはもうどうしようもなかったのかなぁと。

ノートの内容、特に松山ケンイチと出会って子どもが生まれるくらいのところまでの内容が素晴らしいんです。だけどどうしても、予想通りの展開が多すぎて。

例えば「この後みつ子の腕を切って殺してやるんだろう」とか、「この男、あの時の鉄蓋の男では?」とか、「おっ、妊娠か?」「母親が殺人鬼ってオチ?」「この女が美紗子だろう」などなど、安易に想像出来てしまうことが多すぎる・・・ミステリー仕立てにしては安直で、驚きがあまり少なく、てぬるい!と感じてしまいましたね。

現代パートはどうしてあんなに蛇足感が強いんだろう。

失踪した婚約者にはヤクザの旦那がいて体を無理やり売らされていたとか、ベタにも程がある設定だし。しかも突然やってきた婚約者の元同僚の女が、居場所まで突き止めてくれるなんて都合が良すぎませんか!

いやいやそんなの自分の婚約者なんだから、自分で調べたり探したりしようよって思うんだけど、それよりも何よりも亮介くんはノートの中身に夢中で「自分は殺人鬼の息子なのか?」って、うぅーん。そのくせ見つかったら見つかったで「俺が旦那を殺したくなるのは殺人鬼の血が入ってるから・・・?」って悩むのもなんだか軽い!

大切な人が散々な目に合わせられてれば血縁なんて関係なしに殺意が湧くことなんてあると思いますよ。うん。

そんなこんなで現代パート(主に映画で改変された箇所)がものすごくご都合主義で軽くなっちゃってるもんですから、松坂桃李くんの狂っていくような演技がオーバーでオーバーでまるでコントのよう・・・冷めた目で見てしまいます。

良かったと思ったところ

吉高由里子の演技と、モノローグ、それからノートの中身の過去パートはどこも素晴らしかった。映像も記憶に残る鮮やかさと美しさ、独特のセンスがあったように感じましたし。

だからこそ他の部分が惜しく感じるんですよね。

うまく料理仕切れていない感というか。

実はこの話はミステリーというよりも「愛の話」であって、一人の女性が生き辛さから解放されていくまでの変化を描いている話。だから驚きも謎解きもなくていいはずなんですが、どうしても原作から外した謎解きの部分が剥がしきれていなくて中途半端に残ってしまった感じがします。

まとめ

ぜひ原作も合わせて楽しんでもらいたい!

何度も言いますがノートの中身がとても面白く、切ないです。

とても感情移入は出来ない殺人鬼美紗子の感じたこと考えたことが映画よりもっと深く知れるはず。

正直、観終わったあとで仲間に色々と文句を言ってしまった今作ですが、意外にも記憶に凄く残るというか、本当につまらないと思っていたらきっと原作なんか買う気にもならないでしょうし、それだけのものがあったのかなぁと。

だからトータルすると「すごく惜しい作品」なんでしょうね。

 

 

この原作者の映画は今月の28日にも「彼女がその名を知らない鳥たち」が公開されます。阿部サダヲと宮崎あおい主演で、またも松坂桃李くんが出ています。

そちらも楽しみ。

 

 


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