世界でもっとも有名な図書館のひとつ その舞台裏へ
岐阜の柳ケ瀬にあるCINEXにて岐阜新聞映画部さん主催のトークイベントが行われていました。登壇者は岐阜市立図書館・館長の吉成信夫氏。が、ちびぞうは今回は普通の上映回で鑑賞。
第74回、ベネチア国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞したという本作ですが前知識などもないまま観てきました。その上映時間はなんと驚異の3時間越え!
最近、ドキュメンタリー映画の面白さに気付いたちびぞうですが、この長さは初体験。(インド映画のように途中休憩が欲しいですね…)
パンフレットはこんな感じ!とにかくオシャレ!
裏面はこう!行ってみたくなるぅうう!!
B5サイズっぽい縦長のパンフ。30Pで税込み800円。
監督のインタビューのほか、本館のガイドマップや図書館の人々、図書館のゲストの人々の紹介、ストーリー一覧などが載っていてこの映画の理解を深める手助けがいっぱい!
ちなみに映画館の物販コーナーには現地でしか購入できないNYPLのオリジナルTシャツやトートバッグが4,500円で販売されていました。(トートバッグが結構人気ですぐに売り切れていた)
映画情報
【原題】Ex Libris: The New York Public Library
【制作国】アメリカ
【監督/製作/編集】フレデリック・ワイズマン
【製作総指揮】カレン・コニーチェク
【撮影】ジョン・デイビー
【出演([]内は役名)
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- ポール・ホルデングレイバー
- エルビス・コステロ
- パティ・スミス
- エドムンド・デ・ワール
- ハリール・ジブラーン・ムハンマド
- タナハシ・コーツ
- ジェシカ・ストランド
- リチャード・ドーキンス
- ユーセフ・コマンヤーカ
- イバン・レスリー
- キャロリン・エンガー
- マイルズ・ホッジス
- キャンディス・ブロッカー・ペン
【公開日(日本)】2019年5月18日
【上映時間】205分
【配給】ミモザフィルムズ、ムヴィオラ
【IMDB】7.4/10.0 (およそ820人の評価)
あらすじ
19世紀初頭の荘厳なボザール様式の建築物である本館と92の分館に6000万点のコレクションを誇るニューヨーク公共図書館は、地域住民や研究者たちへの徹底的なサービスでも知られている。2016年にアカデミー名誉賞を受賞したドキュメンタリーの巨匠ワイズマンが監督・録音・編集・製作を手がけ、資料や活動に誇りと愛情をもって働く司書やボランティアの姿をはじめ、観光客が決して立ち入れない舞台裏の様子を記録。同館が世界で最も有名である理由を示すことで、公共とは何か、そしてアメリカ社会を支える民主主義とは何かを浮かび上がらせていく。
シーン一覧(パンフより抜粋)
- 午後の本 Books at Noon ~リチャード・ドーキンス博士
- 司書たちの対応
- 民間支援者に語り掛けるマークス館長
- ジェロム・パーク分館
- 著者と語る ~イスラム教と奴隷制
- 舞台芸術図書館 ~ブルーノ・ワルター講堂のピアノ・コンサート
- ブロンクス分館の就職フェア
- 幹部たちの会議
- ピクチャー・コレクションニューヨークのユダヤ二世について著者のトーク
- 公共図書館ライブ ~エルヴィス・コステロ
- 幹部たちの会議
- 午後の本 Books at Noon ~ユーセフ・コマンヤーカ
- 中国系住民のためのパソコン講座
- 点字・録音本図書館
- 障がい者のための住宅手配サービス
- ミッドマンハッタン分館
- ブロンクス分館の演奏会
- 黒人文化研究図書館 ~”ブラック・イマジネーション”展
- 舞台芸術図書館 ~マイルズ・ホッジス
- 幹部たちの会議
- 読書会
- 隣接する公園で本を読む人々
- 幹部たちの会議
- 舞台芸術図書館~劇場の手話通訳者
- 図書館の内側
- パークチェスター分館
- ジョージ・ブルース分館
- シニアダンス教室
- ウェストチェスター・スクエア分館
- 黒人文化研究図書館 ~90周年の祝賀会
- 読み聞かせ教室 ~マクドナルドおじさんの歌
- バーグ・コレクション
- 幹部たちの会議
- 印刷コレクション
- 各分館スタッフとのミーティング
- 点字・録音本図書館
- ジェファーソン・マーケット分館
- 公共図書館ライブ ~パティ・スミス
- 施設担当の報告
- 幹部たちの会議
- 図書館ディナーの準備
- 委員会への報告 ~黒人文化研究図書館の蔵書について
- 幹部たちの記念撮影
- 公共図書館ライブ ~タナハシ・コーツ
- 幹部たちの会議
- マコームズ・ブリッジ分館
- 公共図書館ライブ ~エドムンド・デ・ワール
感想
☆2.6/5.0
ものっっっすごい勉強になりました!!!!!3時間みっちりお勉強!!!
さすが図書館を題材にした映画。その館内に入った時のように、BGMやナレーションなどは全く入らず、静かで荘厳な雰囲気が漂っていました。しかしその静かさとは裏腹にすさまじい情報が流れ込んでくる!!
ちびぞうは学がそんなにないものですから、正直ついていけない場面もチラホラ…ウトウトしてしまった部分も。
分館の数がすごい!
マンハッタンにある本館と、4つの研究図書館、地域に根付いた88の分館を合わせ全部で92の図書館がネットワークでつながっておりこれら全てが「ニューヨーク公共図書館」なのです。
こんなにたくさんの図書館があるなんてすごい。さすが世界最大級の図書館。
岐阜には県立と市立の2つくらいしかないから驚きです(ちびぞうは少なくともその2つしか知らない)
田舎と比べるなよと言われる前に都内の図書館の数も調べてみましたが全部でおそらく141館かな?区ごとに区立図書館が多数あるようですね。
公共、の意味とは
「公立」ではなく誰にでも開かれたという意味の「公共」。運営母体は非営利のNPO法人であり、市や州からの出資と、民間の寄付によって成り立っているようです。
現在・未来を地域とともにどう生きていくか
いかにして予算を確保していくのか、デジタル化の波にどう乗っていくのか。電子本と紙の本の割合は?貴重な財産としての本とベストセラーのどちらを選ぶのか。などなど図書館幹部の運営方針の会議を主軸に
ニューヨークで根強く残る国民差別の問題、ホームレスの問題、身体的精神的ハンデを持つ人々への福祉的な対策
さらに創作人がアートへ昇華させるための写真のコレクション、ミュージシャンによる演奏会、朗読会などの芸術的な活動などなどの一部が映し出されます。
上にまとめたストーリー一覧を読んで頂ければ分かる通り、まさに「こんなに多様な仕事を図書館が担っているの!?」と驚きの声が隠せない感じ。
ただ本を蔵書するだけではない図書館の歴史、その活動内容の進化と、更に未来へ向けた進化の過程を垣間見ることができます。
映画の中だけの話かと
呑気に考えていたちびぞうでしたが、このドキュメンタリー内で「男性が1ドル稼ぐ時女性は77ドル、さらに黒人女性だと64ドルしかもらえない」という話を聞いて現状にショックを受けました。
2015年に発行された教科書の中にある黒人奴隷についての記述に嘘がある話なんかも衝撃的でしたね。
映画の中でいくら差別が描かれようと、「フィクション(作り物)だし」という目で見ていた自分に改めて気付き。これを受けてまた映画の中で出る「差別」というテーマを深く受け止めていけるのではないかと思いました。
ドキュメンタリーというのは真実を映す鏡ですから、やはり現地で生きてい人々の生の声が聴けるわけで、そこにあるリアルにはとても重みがあります。
演出も厳か
ナレーションもBGMもない。淡々と会議の内容や公演・イベントの内容を映していくだけの手法がとても静かで厳かで、ちびぞうは好きでした。
いつか行ってみたいなぁ。ニューヨーク。
図書館はもとよりアメリカそのものの歴史やアートに触れることが出来る良い機会だと思います。3時間というのはなかなか長いですし、DVDで休み休み鑑賞したいですね…(笑)