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世界最大級の知の殿堂『ニューヨーク公共図書館/エクス・リブリス』裏側に迫るドキュメンタリー映画。感想

世界でもっとも有名な図書館のひとつ その舞台裏へ

岐阜の柳ケ瀬にあるCINEXにて岐阜新聞映画部さん主催のトークイベントが行われていました。登壇者は岐阜市立図書館・館長の吉成信夫氏。が、ちびぞうは今回は普通の上映回で鑑賞。

第74回、ベネチア国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞したという本作ですが前知識などもないまま観てきました。その上映時間はなんと驚異の3時間越え!

最近、ドキュメンタリー映画の面白さに気付いたちびぞうですが、この長さは初体験。(インド映画のように途中休憩が欲しいですね…)

パンフレットはこんな感じ!とにかくオシャレ!

裏面はこう!行ってみたくなるぅうう!!

B5サイズっぽい縦長のパンフ。30Pで税込み800円。

監督のインタビューのほか、本館のガイドマップや図書館の人々、図書館のゲストの人々の紹介、ストーリー一覧などが載っていてこの映画の理解を深める手助けがいっぱい!

ちなみに映画館の物販コーナーには現地でしか購入できないNYPLのオリジナルTシャツやトートバッグが4,500円で販売されていました。(トートバッグが結構人気ですぐに売り切れていた)

映画情報

【原題】Ex Libris: The New York Public Library
【制作国】アメリカ
【監督/製作/編集】フレデリック・ワイズマン
【製作総指揮】カレン・コニーチェク
【撮影】ジョン・デイビー
【出演([]内は役名)

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  • ポール・ホルデングレイバー
  • エルビス・コステロ
  • パティ・スミス
  • エドムンド・デ・ワール
  • ハリール・ジブラーン・ムハンマド
  • タナハシ・コーツ
  • ジェシカ・ストランド
  • リチャード・ドーキンス
  • ユーセフ・コマンヤーカ
  • イバン・レスリー
  • キャロリン・エンガー
  • マイルズ・ホッジス
  • キャンディス・ブロッカー・ペン

【公開日(日本)】2019年5月18日
【上映時間】205分
【配給】ミモザフィルムズ、ムヴィオラ
【IMDB】7.4/10.0 (およそ820人の評価)

あらすじ

19世紀初頭の荘厳なボザール様式の建築物である本館と92の分館に6000万点のコレクションを誇るニューヨーク公共図書館は、地域住民や研究者たちへの徹底的なサービスでも知られている。2016年にアカデミー名誉賞を受賞したドキュメンタリーの巨匠ワイズマンが監督・録音・編集・製作を手がけ、資料や活動に誇りと愛情をもって働く司書やボランティアの姿をはじめ、観光客が決して立ち入れない舞台裏の様子を記録。同館が世界で最も有名である理由を示すことで、公共とは何か、そしてアメリカ社会を支える民主主義とは何かを浮かび上がらせていく。

シーン一覧(パンフより抜粋)

  1. 午後の本 Books at Noon ~リチャード・ドーキンス博士
  2. 司書たちの対応
  3. 民間支援者に語り掛けるマークス館長
  4. ジェロム・パーク分館
  5. 著者と語る ~イスラム教と奴隷制
  6. 舞台芸術図書館 ~ブルーノ・ワルター講堂のピアノ・コンサート
  7. ブロンクス分館の就職フェア
  8. 幹部たちの会議
  9. ピクチャー・コレクションニューヨークのユダヤ二世について著者のトーク
  10. 公共図書館ライブ ~エルヴィス・コステロ
  11. 幹部たちの会議
  12. 午後の本 Books at Noon ~ユーセフ・コマンヤーカ
  13. 中国系住民のためのパソコン講座
  14. 点字・録音本図書館
  15. 障がい者のための住宅手配サービス
  16. ミッドマンハッタン分館
  17. ブロンクス分館の演奏会
  18. 黒人文化研究図書館 ~”ブラック・イマジネーション”展
  19. 舞台芸術図書館 ~マイルズ・ホッジス
  20. 幹部たちの会議
  21. 読書会
  22. 隣接する公園で本を読む人々
  23. 幹部たちの会議
  24. 舞台芸術図書館~劇場の手話通訳者
  25. 図書館の内側
  26. パークチェスター分館
  27. ジョージ・ブルース分館
  28. シニアダンス教室
  29. ウェストチェスター・スクエア分館
  30. 黒人文化研究図書館 ~90周年の祝賀会
  31. 読み聞かせ教室 ~マクドナルドおじさんの歌
  32. バーグ・コレクション
  33. 幹部たちの会議
  34. 印刷コレクション
  35. 各分館スタッフとのミーティング
  36. 点字・録音本図書館
  37. ジェファーソン・マーケット分館
  38. 公共図書館ライブ ~パティ・スミス
  39. 施設担当の報告
  40. 幹部たちの会議
  41. 図書館ディナーの準備
  42. 委員会への報告 ~黒人文化研究図書館の蔵書について
  43. 幹部たちの記念撮影
  44. 公共図書館ライブ ~タナハシ・コーツ
  45. 幹部たちの会議
  46. マコームズ・ブリッジ分館
  47. 公共図書館ライブ ~エドムンド・デ・ワール 

感想

☆2.6/5.0

ものっっっすごい勉強になりました!!!!!3時間みっちりお勉強!!!

さすが図書館を題材にした映画。その館内に入った時のように、BGMやナレーションなどは全く入らず、静かで荘厳な雰囲気が漂っていました。しかしその静かさとは裏腹にすさまじい情報が流れ込んでくる!!

ちびぞうは学がそんなにないものですから、正直ついていけない場面もチラホラ…ウトウトしてしまった部分も。

分館の数がすごい!

マンハッタンにある本館と、4つの研究図書館、地域に根付いた88の分館を合わせ全部で92の図書館がネットワークでつながっておりこれら全てが「ニューヨーク公共図書館」なのです。

こんなにたくさんの図書館があるなんてすごい。さすが世界最大級の図書館。

岐阜には県立と市立の2つくらいしかないから驚きです(ちびぞうは少なくともその2つしか知らない)

田舎と比べるなよと言われる前に都内の図書館の数も調べてみましたが全部でおそらく141館かな?区ごとに区立図書館が多数あるようですね。

公共、の意味とは

「公立」ではなく誰にでも開かれたという意味の「公共」。運営母体は非営利のNPO法人であり、市や州からの出資と、民間の寄付によって成り立っているようです。

現在・未来を地域とともにどう生きていくか

いかにして予算を確保していくのか、デジタル化の波にどう乗っていくのか。電子本と紙の本の割合は?貴重な財産としての本とベストセラーのどちらを選ぶのか。などなど図書館幹部の運営方針の会議を主軸に

ニューヨークで根強く残る国民差別の問題、ホームレスの問題、身体的精神的ハンデを持つ人々への福祉的な対策

さらに創作人がアートへ昇華させるための写真のコレクション、ミュージシャンによる演奏会、朗読会などの芸術的な活動などなどの一部が映し出されます。

上にまとめたストーリー一覧を読んで頂ければ分かる通り、まさに「こんなに多様な仕事を図書館が担っているの!?」と驚きの声が隠せない感じ。

ただ本を蔵書するだけではない図書館の歴史、その活動内容の進化と、更に未来へ向けた進化の過程を垣間見ることができます。

映画の中だけの話かと

呑気に考えていたちびぞうでしたが、このドキュメンタリー内で「男性が1ドル稼ぐ時女性は77ドル、さらに黒人女性だと64ドルしかもらえない」という話を聞いて現状にショックを受けました。

2015年に発行された教科書の中にある黒人奴隷についての記述に嘘がある話なんかも衝撃的でしたね。

映画の中でいくら差別が描かれようと、「フィクション(作り物)だし」という目で見ていた自分に改めて気付き。これを受けてまた映画の中で出る「差別」というテーマを深く受け止めていけるのではないかと思いました。

ドキュメンタリーというのは真実を映す鏡ですから、やはり現地で生きてい人々の生の声が聴けるわけで、そこにあるリアルにはとても重みがあります。

演出も厳か

ナレーションもBGMもない。淡々と会議の内容や公演・イベントの内容を映していくだけの手法がとても静かで厳かで、ちびぞうは好きでした。

いつか行ってみたいなぁ。ニューヨーク。

図書館はもとよりアメリカそのものの歴史やアートに触れることが出来る良い機会だと思います。3時間というのはなかなか長いですし、DVDで休み休み鑑賞したいですね…(笑)

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死なせたくない一心で。ドキュメンタリー映画『いのちの深呼吸 上映&トークショー』感想

この願いは”いまを生きる”わたしたちの希望―――

どうもどうも、ちびぞうです。

こちらの映画は去年の10月21日に、地元のCINEXさんで岐阜新聞映画部の方と行っているコラボ企画イベント的な上映会&トークショーで鑑賞してきましたぁあ!

トークショーに登壇したのは本作品の主人公でもあります根本一徹さん!!

映画のあとにはサイン会(握手付き)も行っていて、ちびぞうもちゃっかり握手させてもらってきました!!!(笑)

…こんなテンションで幕開けしてしまいましたが、とっても重たく真摯で熱い内容の映画となっておりますのでご注意ください。

パンフレットはこのような感じ。

表紙にサイン頂いています。合掌。

著名人のコメント、自殺大国ニッポンの現状を調べた統計や、脳科学者の茂木健一郎さん、精神科医の斎藤環先生などの寄稿があり、映画のパンフレットというよりは「日本人の自殺」に知ることのできる参考資料といった感じ。14Pと頼りないページ数ですが、内容はとても充実しているなと感じました。(お値段書いてない&忘れてしまったので未記載ですいません)

【映画情報】

【原題】 The Departure
【制作国】アメリカ
【監督/製作】ラナ・ウィルソン
【製作総指揮】サリー・ジョー・ファイファー、リリー・ハートレイ、マイク・ラーナー、ダイアン・L・マックス、レジーナ・K・スカリー、ジェフリー・タラント
【共同プロデューサー】エリ・ヨコヤマ
【共同エグゼクティブ・プロデューサー】クレア・シルバーマン
【撮影】エミリー・トッパー
【編集】デビッド・ティーグ
【オリジナル音楽】ネイサン・ミシェル
【挿入曲】クリスチャン・フェネス、坂本龍一
【製作】Drifting Cloud Productions,Roast Beef Productions
【共同製作】ITVS
【製作協力】Artemis Rising Foundation
【出演([]内は役名)】

  • 根本一徹

【公開日(日本)】2018年9月8日
【上映時間】87分
【配給】パンドラ
【IMDB】7.1/10.0  (およそ120人の評価)

【あらすじ】

岐阜県大禅寺で住職を務める根本一徹のもとには、全国の自殺志願者からのメールや電話が昼夜を問わず届く。追いつめられ、誰にも頼ることができないSOSの声を受け、根本は彼らのもとを駆けつけるが、何か特別なことをするわけでもない。ただ話に耳を傾け、彼らとともに食事を摂り、さりげなく寄り添う。そんな根本の存在に安堵した自殺志願者は、少しずつ生きる気力を取り戻していく。実は根本自身にも、身近な人を自殺で亡くした過去があった。そして心臓に病を抱える根本にとって、大量のメールや電話に対応するには心身ともに限界にきていたが……。【引用元:映画.com

【感想】

☆3.2/5.0

邦画なのかな?と思ったら監督は外国人!

監督のラナ・ウィルソンは2013年にニューヨークで根本一徹さんの記事を読み、彼の活動に興味を持ったそうです。そして根本さんの行っている自殺志願者向けのワークショップに参加するなど、外側からだけでなく内側からも体験してみるアプローチをしています。

この映画では「人と人のつながり」を描いており、つながりこそが人生に生きる価値を与えるものだとコメントしています。

第三者・傍観者としてではなく当事者の目線で作ろうとしている監督の真摯さも、根本さんに共通する部分だなと思ったりしました。

 

この作品をドキュメンタリー映画として面白いかどうかで考えるのは難しいですね。重いテーマを扱ったドキュメンタリー映画はほかにもありますが、テーマやその主人公として描かれる人物の魅力や強さに圧倒されるものばかりで、もはや”映画”として観れているのかどうかも怪しい。例えば演出方法がーとか構成がーとか色々と言えることもあるのかもしれませんは、ちびぞうは情けないことにそういう面での映画の知識などに乏しく…結局は今回もこのテーマについてどう思うのか、という部分に触れるのみになってしまいそうです。

根本一徹という人物

音楽が好きで、バンド経験もあり、僧侶になった今でも時折クラブに赴いて体を揺らしている。悩める人が助けを乞えばバイクに乗って深夜でも駆けつける。そんなファンキーな一面を持つ根本さんは、岐阜県関市の大善寺の住職。

彼は「旅立ち」というワークショップを自殺志願者のために開いており、その内容は自分にとって大切なものを書き出させ、それを少しずつ取捨選択して捨てさせる。そしてそれが全てなくなった時「これが死です」と告げ、「死んでしまうとはどういうことか」を想像させる・疑似体験させるというもの。実際に横になり、顔に白い布をかぶせて死体のように過ごす場面も劇中でありました。

そのワークショップ以外の活動は、自分の連絡先を公開し日夜問わず連絡してくる自殺志願者の電話やメールに応え、必要であれば直接会いに行く…というもの。

そしてひたすら彼らの話を聞き、受容して、励ます。根気よく、何度も何度も。

彼のこの熱意は、叔父と、高校時代の友人が自殺で亡くなっているところからきているらしい。「なぜ死を選んだのか」と悩み続け、「もう誰も死なせたくない」と強く願う。この願いそのものが、住職の活動に直結しているのだと感じました。

まとめ

ネガティブな感情を常に抱いている人や、人生に対して後ろ向きだったり、大きなトラウマを抱えて苦しんでいる人たちに寄り添って、励まし、彼らの人生を上向かせてあげようと思うことは、わりと多くの人が思う事なのかもしれません。

だけどそれを行動に起こすこと、実際にやってみること、最後まで寄り添い続けることは、とても難しいんです。なぜかと言うと、よほど強い精神力を持った人でなければ自分も疲弊してしまうし、削れてしまうし、共倒れてしまうから。誰だって自分の人生を一番に考えなければいけないし、そうやってマイナス方向に引っ張られてしまうような相手とは関わりたくないと思ってしまうものです。それが非人道的だとか優しくないとかそういうことではなく、生き物はすべて、自己防衛本能というものがあるからある意味それが当たり前というか。

実際、根本さんも無茶をしすぎて体調を崩してしまわれていますし…、自己防衛すべきなのは根本さんだよ!!(でもここまで献身的になれるからこそ偉大になれるのか…)

しかしこの映画を観ていて時々感じたのは、彼自体もどこか病んでいて、「人を死から救う事に囚われすぎているのでは」ということ。自らを犠牲にして人の為に行うのは素晴らしいけれど、その目的が素晴らしいから霞んでいるだけで「己の体や人生を大切にできない」という部分において自殺志願者と共通するものを感じてしまう。

そうやって根本さんが体を病むほどに負担を背負うのは、同じように自殺志願者の心に寄り添おうとする人が他にいないからなのかもしれませんけども。

ちびぞうが最初に言ったように、心を病んだ人に付き添うのは大変なこと。でももしかしたら、根本さんのように活動する人が増えて、みんなが少しずつ誰かの心を分け合うように背負えたら、引きずられて共倒れしてしまう、なんてこともなくなっていくのかもしれませんね。

 

映画を観たあとで、根本さんのお話を聞きましたがとても努力を積んできた人なんだなぁ、と思いましたね。真似できない。映画を観てるだけでは分からないようなお話(自殺志願者が立ち直って元気に生活している話とかとても嬉しい報告的なもの)も聞けて、根本さん自身のことも知れて、その人のことをよく知らないままに(映画の中だけの情報で)色々思うのは早計だなーと。

最後は、人の為に生きられる人にちびぞうもなりたいなぁ。と思いつつ、握手させて頂きました。

ここまで読んでくださってありがとうございました。

 

 


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画像引用元:映画.com

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イランの少女がラップで叫ぶ!ドキュメンタリー映画『ソニータ』ネタバレ&感想

沈黙のかわりに私は叫ぶ。

どうもちびぞうです!以前もレポートしました、ぎふアジア映画祭で鑑賞しました。

タリバンを逃れて亡命中の少女がラッパーを目指す!というドキュメンタリー映画。

『第40回/ぎふアジア映画祭』行って来たよレポ!

元々、イラン映画が好きなのもありましたが最近はちびぞうの中でドキュメンタリー映画がだいぶ熱いので、こちらもかなり期待して鑑賞しました!

公式サイトはこちら

残念ながらパンフはなし。欲しかったなぁ。

【映画情報】

【原題】Sonita
【制作国】スイス/ドイツ/イラン
【監督】ロクサレ・ガエム・マガミ
【製作】アリン・シュミット、カースティン・クリーク、ロクサレ・ガエム・マガミ
【製作総指揮】ゲルト・ハーク
【編集】ルネ・シュバイツァー
【音楽】ソニータ・アリダザー、セパンダマズ・エラヒ・シラジ
【出演([]内は役名)】

  • ソニータ・アリダザー
  • ロクサレ・ガエム・マガミ

【公開日(日本)】2017年10月21日
【上映時間】91分
【配給】ユナイテッドピープル
【IMDB】7.7/10.0  (およそ700人の評価)

【あらすじ】

アフガニスタンのタリバンから逃れてきた難民のソニータ。18歳になる彼女はパスポートも滞在許可証もなく、不法移民として施設でカウンセリングや将来のアドバイスを受けている。児童婚の伝統が残るアフガニスタンに住む彼女の母親は、ソニータを見ず知らずの男性に嫁がせようと、彼女を迎えにイランへやって来る。9000ドル(約100万円)払ってくれる結婚相手が見つかったので、嫁ぐようにと母親から促されるソニータが強制婚を逃れるために起こした行動、それはラップをすることだった。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレもするよ!)】

☆3.9/5.0

これは当たりのドキュメンタリー!!!

面白かったです!!!!泣いた!!!

オープニングはたくさんの子どもたちに自作のラップを聞かせるソニータのシーンから始まります。力強い歌声と、メッセージ性の強い歌詞が印象に残ります。

イランに亡命し、子どもを保護する支援施設で支援を受けながら生活するソニータ。彼女が16歳になるとアフガニスタンに残った母親から「兄の結納金を用意するために自分が用意した男性と結婚しろ」と手紙が。

幼い娘を財産として取引する結婚という文化

古くからある悪習で、アフガニスタンには18歳未満の幼い娘を無理やり結婚させる「児童結婚」や「強制結婚」というものがあるらしい。そして親は相手のおっさん達から結納金としてお金をもらう。アフガンの幼い少女たちは、まるで売り物のように、自分の意思とは関係なく親が決めた相手と血痕させられてしまう。

その背景には、発展途上国の貧困がある。

詳しく記事にしているブログがありましたので参照させて頂きますね↓↓↓

アフガニスタン:今もなお強制結婚の犠牲になる少女たち

今作のドキュメンタリーの主人公であるソニータも母親から結婚を強いる手紙をもらい苦しむ少女の一人。
彼女は自由のために、そして同じように苦しむ少女たちのために自分の想いをラップにして歌う事を決めます。

しかし、それを許さない母親!帰ってこい!と求めます。
兄の結納金が必要だからソニータを結婚させたいらしく、それを延期させたいなら多額のお金を渡せと養護施設に要求してきます(ほんとなんて親なんだ)
しかし、養護施設にそんなお金を要求することも、金銭的支援をするようなことも出来ません。

監督すらも巻き込まれるドキュメンタリー

ここで、ソニータを可哀想に思った今作のロクサレ・ガエム・マガミ監督が、彼女のために資金を出すかどうかという葛藤をし始めます。

ここは凄く難しい問題だな…と思いましたね。助けられるなら助けたいじゃないですか、目の前の少女を。しかし彼女が撮っているのはドキュメンタリー映画。ドキュメンタリーというのはあるがままを撮るべきであって、監督が己の資金を出して主人公の運命を変えるなんて行動はすべきではない。

人間としての自分と、監督としての自分の間で監督も悩んでいました。

しかし、ソニータの才能に気付いた監督は彼女のために資金援助することを決意。

ついでに彼女のMVも撮ります。
そしてその映像が動画投稿サイトにアップされると見る間に再生数が伸びていく!

そしてソニータは、監督の助けを得て、ミュージシャンとしての一歩を歩みだす。

ここの監督の葛藤は、結果「手出ししてしまう」ということになるのですが、しかしこの監督想いや悩む気持ち、ソニータのための苦しみ、そしてその結果の選択そのものも”ドキュメンタリー”だなあ。と感じました。

例えプロが手出ししたとしても、ソニータ自身に力がなければ注目されなかったでしょうしね。

撮る側だった監督が、物語の一部となって動き出すところも、今作の大きな魅力に感じました。

ちなみに以下がソニータが歌う動画です。英語の歌詞がついています。

タイトルは『売られる花嫁』

この目力がすごい。この曲は劇中フルで(日本語歌詞付きで)聴くことができます。ちびぞうはもう号泣でした。

イランで女性は歌えない

いまだ根強い男尊女卑の残るイラン。宗教上の理由で女性は歌手になることができません(人前で歌うことも出来ない)

ここでもまたソニータは苦戦を強いられます!歌で表現したいのに、動画もすごく伸びているのに、歌手として歌うことができない!!

しかし、動画を観たアメリカの非営利団体ストロングハートの人がソニータをアメリカの音楽学校に入学させたいと連絡をしてくれる!!!奨学金も出してもらえるという大盤振る舞い、ソニータにとっては夢を叶える大チャンス!!

最後に立ちはだかる母親の壁

ラストに立ちはだかるのは、お金で娘の結婚延期を承諾した母親の許しを得るという壁。

実家に帰った時、ソニータのラップを家族が聞くシーンはカメラも入っていたためかかなりアットホームというか・・・みんな楽しそうにソニータの歌を聞いていたんですけどね・・・。やはりそう簡単には理解してはもらえないようで。

ソニータは母親に嘘をつき、こっそり出入国のため謄本を取り、渡米。
そしてアメリカの学校から事実を報告・・・母親には電話を切られてしまい、話も出来ない状態になってしまいました。しかし、ソニータは見事アメリカの学校に入学することに成功。

映画の最後には入学先の学校で先輩たちの前で歌を披露し拍手喝さいを浴びるというシーンで終わっていました。

まとめ

シンデレラストーリーのような、ハッピーエンド。

しかし彼女の家族の事を考えると、あまり明るい気持ちにもなりきれません。

この現代日本でのほほんと暮らしているちびぞうにとって、こんな世界があるのかと衝撃を受けました。そして、悲惨な世界に生きている少女たちの凄さにも感銘を受けました。

彼女の眼の力は本当にすごい。こうして記事で読むだけでは感じられない少女たちの現実をぜひ、映画本編で知って欲しいと思います。

 

 

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画像引用元:映画.com

 

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4トンの壁に描かれた高額の落書き。映画『バンクシーを盗んだ男』ネタバレ&感想

“A WALL IS A VERY BIG WEAPON IT’S ONE OF THE NASTIEST THINGS YOU CAN HIT SOMEONE WITH.”

最近、東京でバンクシーのものと思われるグラフィティが防潮扉に描かれていて「誰かが持っていくと危ないから」と撤去されたニュースがありましたね!

その前にはザザビーズにて高額で落札されたバンクシーの絵が落札直後にシュレッダーにかけられるという衝撃的なニュース(額縁にシュレッダーがはめ込まれており”落札された絵が刻まれる”というところまでがバンクシーの意図)もありまして、ちょいちょい日本で普通に過ごしていても日常の中で「バンクシー」という名前を聞くようになってきました!

ちびぞうはネットでチラッとバンクシーの絵を見たことがある程度で『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』を視聴し、バンクシーのファンになったにわかです(笑)
その後に観た『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』も最高でしたね・・・

今回は以前、ミニシアターを紹介する記事にて書いたヒューマントラスト渋谷さんでの鑑賞でした!

ヒューマントラストシネマ渋谷:東京【素晴らしきミニシアターの世界】2館目

前売り券に、特典でトートバッグがついていたので前売り券を購入しました!トートバッグはこんな感じ。

 

大きさはおよそ33cm×26cmほど。材質はこれは布でなく紙…?ポリエステル…?的な。ツタヤとかゲオのレンタル袋と似たような感じです(笑)あんまり使い勝手良くなさそう!!(笑)

パンフはこんな感じ!

なんと、指定された席でくじ引きが行われ抽選に当たると非売品のTシャツがもらえるというキャンペーン?をやっていました!

この日は一緒に観る友人が遅れてくるということだったのでちびぞうが先に席を取り、そのあと友人が私の隣の席を取ったんですよね。

そしたらなんとその友人がTシャツを当ててしまったー!!!!!!ずるい!!!私が選んだ席の隣だったから当たったのでこれは私のTシャツでは!?!と思ったんですが大人げないので大人しく「ずるい!!!(大人しくない)」と騒ぎました。Tシャツは譲ってもらえませんでした。ずるい。

ちなみに当たったTシャツのデザインはこんな感じでした。

↑表

↓裏

【映画情報】

【原題】The Man Who Stole Banksy
【制作国】イギリス、イタリア
【監督】マルコ・プロゼルピオ
【脚本】マルコ・プロゼルピオ、フィリッポ・ペルフィド、クリスティアン・オモデオ
【撮影】ヤコポ・ファリーナ
【編集】ドメニコ・ニコレッティ
【音楽】フェデリコ・ドラゴーニャ、マッテオ・パンサーナ
【ナレーション】イギー・ポップ
【出演】

  • ロン・イングリッシュ[現代アーティスト]
  • スティーブ・ラザリデス[バンクシーの元マネージャー]
  • ステファン・ケスラー[収集家]
  • クリスチャン・オモデオ[芸術史家]
  • ベラ・バブウン[撮影当時のベツレヘム市長]
  • パオロ・ブッジャーニ[芸術家/パフォーマー/収集家]
  • フィリップ・トイヒトラー[収集家/芸術家]
  • カミッロ・タロッツィ[修復家]
  • ワリド・”ザ・ビースト”・ザワラー[タクシー運転手]
  • アブ・ヤメン[BANKSY’S SHOP店主]
  • マイケル・カナワティ[壁の元持ち主]

【公開日(日本)】2018年8月4日
【上映時間】93分
【配給】シンカ
【映倫区分】G
【IMDB】6.1/10.0  (およそ23人の評価)

【あらすじ】

パレスチナ・ヨルダン西岸地区にあるベツレヘム。紛争地区に指定されているその場所にはパレスチナとイスラエルを分断する高さ8メートル、全長450キロを超える巨大な壁が存在する。その壁にバンクシーが描いた「ロバと兵士」の絵は、パレスチナの住民たちの反感を買い、絵が描かれた壁はタクシー運転手のワリドによってウォータージェットカッターで切り取られてしまう。ワリドはその壁画をオークションに出品し、最高額の入札者への売却を試みるが……。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレなし)】

☆2.3/5.0

うーん。今までのバンクシー関連のドキュメンタリー映画の中では一番「あんまりだな・・・」って感じでしたね。

イギーポップの渋すぎるナレーションは良かったです!!!

なんというか、言いたいことは分かるんですよ!!!

パレスチナとイスラエルの壁に描かれたアートというかグラフィティという名の違法の落書き。おそらくバンクシーは己の落書きの世間的な価値を知っていてそれが消される(もしくは切り取られる)ことでその壁を崩すという事に世界の目を向けさせたくて行ったプロジェクトなわけで。

その壁に描かれた「兵士とロバ」という絵が地元住民の怒りを買い、それを切り取ったワリドという地元の男がネットオークションに4トンものコンクリートの壁を出品するという展開から、ワリドが本作の主人公として物語が語られるわけですが。

アートというカテゴリーの中にバンクシーの落書きを無理やりはめ込もうとする人たち、4トンものコンクリートの壁が絵画として高額で落札される事実。それに振り回される地元住民。

アートとは?グラフィティとは?それを取り巻く国の歴史的背景とは?

とても考えさせられる部分がたくさんあるんですけど、なんといっても

映画の構成がくどい!!!!

ちびぞう的にはこのくどい構成がダメでした・・・。93分間とそんなに長くはない映画なんですけど、長く感じる。沢山の人が出てきて意見を言うんですけど、大体の人が同じような話をするんですよ。

うんうんそれね、分かった分かった・・・という気分で観なければならず・・・。残念でした。こちらの映画はこれ単品で楽しむんではなく、今までに出ているバンクシーのドキュメンタリー映画『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』を観てからの鑑賞をオススメします!その方がバンクシーという人物についても知った上で、この国の現状だったりアート界の現状だったりに視点を向けて考えられると思うので。

以上、感想短めですがネタバレがどうのという作品ではないのでこれにて!

ここまで読んで頂きありがとうございました!ちびぞうでした!

 

 


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写真家・鋤田正義さんに迫るドキュメンタリー映画『SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬』感想

デヴィッド・ボウイ、YMO、忌野清志郎―――
時代を駆け抜けた天才たちの《永遠の時》を獲得した写真家・鋤田正義の軌跡をたどるドキュメンタリー

最近、ドキュメンタリー映画熱が少しずつ上がってきています!!!

こちらもちびぞうの働く映画館で上映されていた作品。

鋤田さんという写真家の方は存じ上げていなかったので前知識ゼロでの鑑賞です!
ちびぞうも知っているような有名人の方がたくさん出演されているのでそれだけでも興味がそそられますよねー!

残念ながらパンフレットの販売はしていなかったのでゲットできず・・・。

公式サイトはこちら!

【映画情報】

【制作国】日本
【監督】相原裕美
【プロデューサー】相原裕美、鋤田晃久
【エグゼクティブプロデューサー】石田美佐緒、金子学、松井智
【スーパーバイザー】井上智、追分史朗、近藤正司
【撮影】マーク東野、北島元朗
【整音】田辺邦明
【カラリスト】小林哲夫
【編集】臼杵恵理
【音楽】鋤田晃久
【助監督】松永光明
【出演([]内は役名)】

  • イギー・ポップ[ナレーション]
  • 鋤田正義
  • 布袋寅泰
  • 山本寛斎
  • 高橋靖子
  • ジム・ジャームッシュ
  • 永瀬正敏
  • フィル・アレキサンダー
  • 糸井重里
  • リリー・フランキー
  • クリス・トーマス
  • ポール・スミス
  • 細野晴臣
  • 坂本龍一
  • 高橋幸宏
  • 鋤田哲雄
  • 日暮真三
  • 平田比呂志
  • 寺山偏陸
  • デビッド・ゴドリス
  • アーロン・ジチェ
  • スージー・ロンソン
  • MIYAVI
  • 箭内道彦
  • 羽良多平吉
  • ロス・ハルフィン
  • マウリッツオ・グイドーニ
  • マッテオ・メイリ
  • ジョナサン・バーンブルック
  • アキマ・ツネオ
  • PANTA
  • 鋤田弘子
  • マーク東野
  • 内山直之
  • 是枝裕和
  • 北島元朗
  • 立川直樹
  • DRUM TAO
  • 宮原夢画
  • ガイ・ホワイト
  • 野上眞宏

【公開日(日本)】2018年5月19日
【上映時間】115分
【配給】パラダイス・カフェフィルムズ
【映倫区分】G

【解説】

デビッド・ボウイと40年以上も親交を重ね、イギー・ポップ、マーク・ボラン、YMO、寺山修司、忌野清志郎らのポートレート、アルバムジャケットなど数多く手がけた写真家・鋤田正義を追ったドキュメンタリー。1938年に九州の炭鉱町で生まれた鋤田は60年代に広告写真で注目を集め始める。70年代には海外へ飛び、ボウイとの運命的な出会いを果たした。布袋寅泰、山本寛斎、永瀬正敏、糸井重里、リリー・フランキーら鋤田と親交のある人びとの証言を交えて、2018年5月に満80歳を迎える鋤田の創作活動や人柄に迫っていく。【引用元:映画.com

【感想】

☆3.5/5.0

鋤田さんが幼少期の頃に家の店番をしていた時、その窓から見える外の景色をまるでカメラを通してみているようだった。窓枠が、自分の初めてのファインダーだった。というエピソードに、彼が生まれながらの写真家だと実感。

この映画で見れる鋤田さんの全ての作品は、被写体のかっこよさとかかわいさとか表面上のものを写したものではなく、その人の自然体を、魂そのものを写し出したような生々しさと力強さを感じるんですよね。総じて美しいって一言に収束しちゃうんですけど・・・!!!

劇中で「カメラは写真家の武器であって、武士が持っているような刀を突きつきられるようなものだから」という台詞があり、鋤田さんはその武器をもっているのに相手に突きつけられているという感覚を受けさせない。だから自然体を写し出すことができるんだなー、と感動しました。カメラマンとしてのプロの技はもちろんですがそれ以上に、鋤田さんが生まれながらにして持っているもの。という印象ですね。

以前、黒沢清監督の『ダゲレオタイプの女』を観た時も思ったんですけど、被写体と写真家の関係って少しエロスを感じるんですよちびぞうは。

『ダゲレオタイプの女』感想/黒沢清ミーツ仏映画!

「見る」って行為は縛って縛られての魂のぶつかりあいというか。

MIYAVIも劇中で「互いの全てをぶつけ合ってまるでセックスのようだった」って表現しているんですよねーーー。やっぱりそういう感覚あるんだ!?分かるーーー!!!と思ってしまった(笑)

最後の方で語られた、震災の時に写真が流れてしまった家族の話をしていて号泣してしまいました。亡くなったおばあちゃんの写真が、見つからない。おばあちゃんがどういう人物だったのかを語るものが何もない。とても悲しいことですよね。

ディズニーの『リメンバー・ミー』でも、祭壇に写真が飾られていない人は現世の家族に会いにいけないという縛りがありました。写真というものは、いなくなってしまった人と現世を生きる人を繋ぐ大切なものなんですよ。

愛してくれる人達を忘れない。CGアニメ映画『リメンバー・ミー』ネタバレ&感想

そう考えると写真家の人の仕事というのはとても偉大で、人ひとりの生きた証のようなものを後世に繋いでいく仕事なんですよね。

有名アーティストから名もない普通の人まで、鋤田さんの写真はその人の表面的ではない人としての軌跡のようなものが垣間見れる。だからこそ、これだけの人に愛される写真家さんなんでしょうね。

まとめ

素晴らしいことを学べる映画でした。有名な写真家さんは、古い手法にこだわる人も多い中で鋤田さんは最新の技術をすぐに取り込もうとするそうです。そういう姿勢も時代を超えて活躍する秘訣なのかもしれませんね。

 

ドキュメンタリーが好きな方にはオススメな作品です。

どうでも良いんですけど、ポール・スミスが出ていてめちゃめちゃカッコいいロマンスグレーのおじさま(おじいさま)でした!!!素敵すぎる!!!!

 

 


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世界で活躍する80歳のピアニスト!ドキュメンタリー映画『フジコ・ヘミングの時間』感想

世界を魅了する魂のピアニスト。

美しい音色はいかにして生み出されるのか―――。

ちびぞうの働く映画館にて上映されていた今作。

フジコ・ヘミングさんというピアニストの数奇な人生を彼女のピアノに乗せて綴る伝記的なドキュメンタリー映画。

お客さんの反応がとてもよく、「面白かった」と声をかけてくれる方も多かったんですよねー!パンフレットもけっこう売れていてオシャレだし、ミーハーなちびぞうは元々フジコ・ヘミングさんの事は一切知らなかったんですが一気に興味が出てしまい・・・。鑑賞することにしました!!

公式サイトはこちら

パンフはこんな感じ。

B5サイズぽいサイズ感、右開き。CINE SWICHという冊子のVol.324だそうです。表紙がもうとってもオシャレ!!!!税抜き29Pで649円。フジコが劇中で弾いていた曲の一覧なども載っています!

映画情報

【制作国】日本
【監督/企画/構成/撮影/編集】小松莊一良
【エグゼクティブ・プロデューサー】新井重人
【企画プロデュース】千葉広二
【プロデューサー】小室直子
【撮影監督】青木正
【サウンドトラックプロデューサー】西尾勇哉
【ミキシングエンジニア】坂元達也
【ラインプロデューサー】佐藤裕武、小松上花
【出演([]内は役名)】

  • フジコ・ヘミング
  • 大月ウルフ
  • 三浦透子[ナレーション]

【公開日(日本)】2018年6月16日
【上映時間】115分
【配給】日活
【映倫区分】G

【解説】

日本人ピアニストの母とロシア系スウェーデン人のデザイナーである父との間に生まれ、母の手ほどきによって5歳からピアノを習いはじめたフジコ。やがて演奏家として高い評価を受けるようになるが、大事なリサイタルの前に聴力を失うという大きなアクシデントに見舞われるなど、数奇な人生を歩んできた。1999年にNHKで放送されたドキュメント番組によって日本でも広く知られるようになったフジコの、初のドキュメンタリー映画となる今作では、ワールドツアーで世界を巡って演奏する姿や、自宅で愛する猫に囲まれて過ごす時間など、公私にわたるフジコの素顔に密着。【引用元:映画.com

【感想】

☆3.9/5.0

とっっても良かったです!!!!!

彼女のピアノを聴いた時に「あ、完璧に楽譜を再現しているような機械的な弾き方じゃない。独特のズレや遊びがあって、その中に彼女の性格や人生がにじみ出ている」と感じたんですよね。観ていると、彼女本人の口から「完璧に弾こうとしちゃだめ」といった発言があり、やはり・・・!と嬉しくなりました。

勿論、度重なる日々の練習と努力によって積み重ねられた技術が基盤にあって、その上で彼女らしさがとてもセンスの良い旋律になっているんだと思います。
絵とかでもそうですよね。ピカソなどの天才は奇抜な絵で有名ですが実は正統派な絵を描かせでもその技術はすさまじい。基本的な事は完璧に習得した上で、彼らの表現したいものに挑んでいるんです。フジコさんのピアノにはそれと同じ「芸術性」を感じました。

映画全体がオシャレ

フジコさんの生き方が全部オシャレなので、どのカットもとても芸術的で美しいんですよ!!!!

各国にある彼女の家は彼女のこだわった家具や装飾で彩られ、ごちゃごちゃしつつもセンスがあるんですよね。衣装も自分で決めているそうなんですが、それもゴージャスでゴシックで独特な美しさがある・・・。

劇中に彼女が14歳の頃に書いた絵日記が紹介されるんですけど、そこに描かれているイラストや文章も、とても個性があってとにかくセンスが良い!!!!!(センスがいい)

スウェーデン人の父親と日本人の母親の間にハーフとして生まれたという部分も日本人離れした感性の根源になっているのかなとも思いました。彼女たちが「外国人扱いされた」という過去も興味深かったですね。

苦労した人生が60歳を超えて報われる

上に書いたように、外国人として差別された幼少期から、ピアニストとして全く食べられなかった時期を経て60歳を超えてその才能が評価される!!!!そして80歳になった今も年間60本もコンサートをしている!!もうその情熱というか、死ぬまでピアニスト、死ぬならピアノを弾きながら・・・と思うくらいの人生の捧げっぷりが凄いんです。

そしてその人柄も、まるで少女のよう。

美しいものが好き、動物が好き。そして恋が好き。

今も彼女は恋をしているというシーンはとても印象的でしたね。

「恋って素晴らしいでしょ。2、3年だっていいのよ、その期間幸せでいられるなら」

この台詞すごく素敵だと思いました・・・。80代の女性から聞ける台詞とは思えないですよね。ほんとに心はいまだに少女。そんな瑞々しい気持ちでピアノに向き合っているからこそあんな素敵な音色が奏でられるのかな、と。

フジコ・ヘミングの時間を彩る12曲

劇中でフジコさんが弾いていた曲を一覧にしてご紹介。

♪月の光【C・ドビュッシー】 ベルガマスク組曲より第3曲
♪ため息【F・リスト】 3つの演奏会用練習曲より第3番
♪主題と変奏【F・リスト】 パガニーニ大練習曲より第6番
♪夜想曲 作品9‐2 変ホ長調【F・ショパン】
♪ピアノ協奏曲 第2番 イ長調 LW-H6【F・リスト】
♪トルコ行進曲【W・A・モーツァルト】 ピアノソナタ第11番 イ長調K.331
♪サマータイム【G・ガーシュウィン/編曲 吉田直矢】
♪ピアノ協奏曲 第1番 第3楽章【F・ショパン】
♪別れの曲【F・ショパン】練習曲作品10‐3
♪月光【L・V・べートーヴェン】 ピアノソナタ第14番第1楽章、第3楽章
♪ピアノソナタ 第11番K.331 イ長調【W・A・モーツァルト】第1楽章
♪ラ・カンパネラ【F・リスト】 パガニーニ大練習曲より第3番

まとめ

いやー、ドキュメンタリーも良いですね!最近、カメラマンの鋤田正義さんのドキュメンタリーも観たんですがそれも結構よくて。(近日中に感想アップします!)

やっぱり偉業を成し遂げてる人たちの言葉の重みみたいなものを感じたり、彼らの人生を少しだけ覗き見させてもらうというのはフィクションの映画に飛び込む冒険とはまた違った心の冒険が楽しめるというか。やはり真実を映し出しているので、そこの強さもありますね。

今作は、彼女の伝記でもあり、この映画自体が彼女のコンサートのような感覚で観れるのでピアノを聴くという目的で観るのも良いと思います。映画館で観れて良かったなぁ・・・。

 

今後ちょくちょくドキュメンタリー映画も観て、また感想を書いていきたいと思います!!

 

 


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か行

今更褒めても誰も驚かないけど映画『カメラを止めるな!』ネタバレ&感想書く

けんちゃん!私よ、私!目を覚まして!

実はこの映画、ツイッターの方でヒナタカ(@HinatakaJeF )さんがかなり早い段階でべた褒めツイートをしているのをお見掛けし「へー、ゾンビ映画で邦画で低予算で、POVで面白い映画があるのか~」って気になっていたんですよね。

その後、名古屋のミニシアターで立ち見御礼が続出!という話を聞いて「何事!?」となり、でも名古屋まで出ていくのはなぁ・・・と渋っていたらなんと8月からTOHOさんが全国的に上映決定!!岐阜にも来るじゃんやったね!!!ということで流れに乗るように鑑賞してきました(笑)

本当は8/7に観に行ったんですけど、感想書くのが遅れまくってしまった・・・。

たった2館からの上映から始まり口コミで全国に広がっていったという異常なまでの盛り上がり方(こんな風に流行ったホラー映画?は私の拙い知識ではSAW以来)に驚き、しかも本当に誰の感想を聞いても「面白い!!」しか言わないので自分の中でハードルが完全に上がり切ってしまい、これだけ期待しまくっていたら楽しめないかもしれない・・・結構ちびぞうはあまのじゃくな性格なのでそういう自分に不安にもなっていました・・・。

パンフはこんな感じ!!

B5よりも少し小さめの縦長長方形。完全ネタバレ仕様、の文字が優しい。裏面はこんな感じで

劇中にも登場した脚本と同じデザイン!!これは嬉しい!興奮する!!撮影前の決定稿という脚本が丸々載っていて、最近のパンフだと『バーフバリ 完全版』と同じく愛を感じましたね・・・!!

38Pで税込み800円は若干高め?とも思いますけど内容がもう充実しまくりで読んでて楽しすぎるので全く高いとは感じません!!!

関係ないけどバーフバリ完全版の記事貼っておきますね(笑)

インド映画の神再び!『バーフバリ2 王の凱旋 完全版』感想と通常版の違い

【映画情報】

【制作国】日本
【監督/脚本/編集】上田慎一郎
【原案】劇団PEACE「GHOST IN THE BOX!」
【撮影】曽根剛
【録音】古茂田耕吉
【特殊造形/特殊メイク】下畑和秀
【ヘアメイク】平林純子
【助監督】中泉裕矢
【制作】吉田幸之助
【音楽】永井カイル
【プロデューサー】市橋浩治
【主題歌/メインテーマ作曲】鈴木伸宏、伊藤翔磨 -Keep Rolling-
【主題歌/歌】山本真由美
【出演([]内は役名)】

  • 濱津隆之[日暮隆之]
  • 真魚[日暮真央]
  • しゅはまはるみ[日暮晴美]
  • 長屋和彰[神谷和明]
  • 細井学[細田学]
  • 市原洋[山ノ内洋]
  • 山崎俊太郎[山越俊助]
  • 大澤真一郎[古沢真一郎]
  • 竹原芳子[笹原芳子]
  • 吉田美紀[吉野美紀]
  • 合田純奈[栗原綾奈]
  • 浅森咲希奈[松浦早希]
  • 秋山ゆずき[松本逢花]
  • 山口友和[谷口智和]
  • 藤村拓矢[藤丸拓哉]
  • イワゴウサトシ[黒岡大吾]
  • 高橋恭子[相田舞]
  • 生見司織[温水栞]

【公開日(日本)】2018年6月23日(2017年11日4日)
【上映時間】96分
【配給】アスミックエース、ENBUゼミナール
【映倫区分】G
【IMDB】7.8/10.0  (およそ520人の評価)

【あらすじ】

とある自主映画の撮影隊が山奥の廃墟でゾンビ映画の撮影をしていたが、そこへ本物のゾンビが襲来。ディレクターの日暮は大喜びで撮影を続けるが、撮影隊の面々は次々とゾンビ化していき……。【引用元:映画.com

【感想(全力でネタバレ)】

☆4.2/5.0

もう本当に面白かったです!!!!ありがとう監督!!!!

 

こーーーーれは人に薦めたくなりますよ!!!口コミで広がるわけですよ!!!しかもネタバレは一切したくないから「とにかく観てよ!!」って言うしかないんですよ!歯がゆい!とにかく観て!!!!(笑)

 

ちびぞうは観終わったあと最初に思いました。
「立ち上がって全力で拍手したい・・・」と。なぜ日本人はそれをしないんだろう!めちゃしたかったのに!!映画館で映画を観た後素晴らしかったら拍手できる空気を今後作っていきたいと思いますよ私は!

とりあえず、そろそろもう映画が趣味な人でカメとめ!観てない人は少なくなってきてると思うので思い切りネタバレで行きたいと思います。

ハードルが上がりすぎても大丈夫な理由

これだけ周りに面白いよ面白いよと言われてニュースでも取り上げられて一種のブームを巻き起こしている本作。相当ハードルが上がってしまうんですよね。

でも大丈夫!!!

序盤のゾンビ映画パートのクオリティがだーーーーーいぶ低いんです。

ちびぞうは、ゾンビ映画を撮影していたクルーが実際にゾンビに襲われて一人ずつゾンビになっていくというありがち過ぎる設定、下手な演技と下手で不自然な間、作り物と一発でわかるゾンビや死体たち・・・これらを観て

「え・・・やっぱハードル上げ過ぎた・・・この調子で最後まで行ったらどうしよう・・・」

と不安になりました、そう!ここで上がり切ったハードルが一度下がるんです!!!

作品の中でハードルが一旦下がるから、本編開始ともいえるゾンビパート終了後からフラットに楽しめる、そういう作りになっているんですよね。そこも上手いなぁと思いました。

なんだかんだゾンビパートもそこそこ面白い

これで終わったらどうしよう、と思いつつも前半のゾンビパート。なかなか面白いと感じました。

途中で全てがワンカットで撮影されている?と気付いたので、「まさかそこが評価されているの?」とも不安に思ったんですが、30分ほどのゾンビパートがワンカットなのは地味にすごいし、しかも最後のオチ(ヒロインが覚醒してゾンビを倒しまくり目を真っ赤に染めて虚ろな目でカメラを見上げる。彼女が立つ地面には旧日本軍が実験で使ったと思わしき五芒星が血文字で描かれていて「ONE CUT OF THE DEAD」の文字が浮かび上がる)も好きでした・・・。あの時のヒロインの表情が本当に良くて、あそこでもしこの映画が終わっていてもちびぞうは「結構好き!」と言ったかもしれません。(彼女の演技が鬼気迫っていたのはワンカットで失敗なく終わらせられないという状況と本気の疲れが乗っていたせいなのは後から分かるんですが(笑))

ちびぞうのお気に入りのゾンビ映画の一つに『コリン ラブオブザデッド』があるんですがこれも確か日本円にすると5,000円ほどしかかけていない低予算のゾンビ映画。内容は全く似てないんですけど、近いものを感じました。
上手く言葉では表せられないんですけど、なんとなく、ただ「前半パートのネタとしてゾンビ映画にしよう」っていう感じではなく、ゾンビ映画も好きな監督の愛が感じられて好感が持てるんですよねーーー。(監督がゾンビ映画好きかどうかは知りませんが)

序盤だけでも監督のセンスの良さは、分かると思います。

スポーツしてる人を応援する感覚に近い

と、ちびぞうは思いました。

後半から今作の本筋(前半のゾンビパートを作る事になった監督とその家族の物語)がスタートします。

ワンカットで、しかも生放送で、一発で成功させなければならない。

誰もやりたがらない依頼を、娘との隙間を埋めたい!という気持ちから受けてみる主人公。しかし企画をスタートさせるも俳優陣はクソばっかりだし、自分が監督として、そして色々と問題があって女優をやめた奥さんも出演する羽目になるしでもう大変!!

映画の完成までを製作陣のハラハラドキドキを一緒に体感しながらその舞台裏を観る、という終盤の流れに、次第に気持ちは「頑張れ!!そこだ!いけぇーーー!!」みたいな。スポーツ観戦に近い感覚になるのではないかと。

よーーーやく完成させた組体操、本番の15秒間しか成功しなかったらしいですね。

あれは拍手したくなる!!!

序盤の伏線も綺麗に回収

序盤に観ていて違和感を感じた間だったり台詞、不自然な展開には全て意味があって、後半のパートで全てを回収しているんですよね。

だから、2度目観たくなる!というのもすごく分かる。

ちびぞうは2回目は観に行ってませんが、2回目を観ると「ここは実は裏でこんなドタバタがあったんだなぁ」と発見できて1周目とはまた違った楽しみ方が出来るのではないかなと思います。

リピーターが増えるのも納得。色んな劇場で「蘇り公演」と称して二回目以降の鑑賞にキャンペーンを行っていたりと、二回目の人が多いからこそのキャンペーンが行われていたのも興味深かったですね!

ゾンビ映画でもあり、ドキュメンタリーでもあり、家族映画でもある

ただ単にこの映画はカラクリが面白いだけではなく、それぞれのジャンルの良さを引き出していると思うんですよね。

前述したようにゾンビ映画としても愛があるのが分かるし、前半と後半でドキュメンタリータッチにもなっていて「映画制作とはなんぞや」的な問いかけにもなっている。

お金がなくたって、派手なCGやVFXがなくたって、脚本と構成が面白くて、出演者のやる気やセンスと根気があればこんなに面白いものが作れるんだ!

そんな風に感じました。

今の邦画業界で、これを観て悔しく思った作り手の人はきっと多いと思いますし、製作側の苦労なんかも描かれていて背中を押される、やる気を引き出される、そんな人も少なくないはず。

そして最後は、家族映画としての一面。
主人公と思春期を迎えた娘との微妙な距離感が縮まっていく様子が上手に描かれていて、序盤の嫌われっぷりは本当に切ないし酒を飲みながら娘の小さい頃の写真を見て涙する主人公の姿にはもらい泣きしてしまいます。そこから、映画制作という共通のライフワークを通じて「ダメな父親」から「尊敬される父親」へと主人公自体が成長するし、それを娘も認めていくという。ありがちだけど感動も出来て、微笑ましい家族の物語が上手に描かれていたと思います。

濱津隆之さんめちゃ好き

監督役をしていたこの役者さんの演技が好きすぎて・・・。可愛い。小動物的な可愛さがあります・・・今後追いかけていきたいと思います。

めちゃ好き。

まとめ

ぶっちゃけ褒めることしかしてないけど大丈夫????って感じだけどもう、いいの。これは。本当に面白いから。仕方ない。

最近は、盗作疑惑なんかも出て来ていましたが、ちびぞうはその真相がどうあれ「映画自体の面白さ」に変化はないと思っています。

原案の人と仲直り、出来るといいなぁ・・・。

ちびぞう的に、あのニュースのせいでワイドショーなどが映画の核心に迫るネタバレをしていたことが最高に嫌でした。

本当に野暮だと思うよ・・・。

 

 


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画像引用元:映画.com

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ま行

MCU製作秘話が語られるドキュメンタリー『マーベル・スタジオの世界』感想

「物語が完結しないからこそ、ヒーローが進化するんだ」

ちびぞうの父が定年してから始めた映画コレクション(今では七千本以上の映画がある)、通称”PAPAYA”の中にたまたま、ムービープラスで放送されたこちらのドキュメンタリーが『アベンジャーズ』の後に録画されていまして。

ウホこれはなんという幸運と思いつつ観ました!!!!!

このドキュメンタリーが放送されたのは2014年なので、少なくとも

  • アイアンマン(2008/9/27)
  • アイアンマン2(2010/6/11)
  • インクレディブル・ハルク(2008/8/1)
  • マイティ・ソー(2011/7/2)
  • キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー(2011/10/14)
  • アベンジャーズ(2012/8/14)
  • アイアンマン3(2013/4/26)
  • マイティ・ソー/ダーク・ワールド(2014/2/1)
  • キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー(2014/4/19)

これらの映画については語られている可能性がありますので未見の作品があったら注意が必要ですね!

【映画情報】

【原題】Marvel Studios: Assembling a Universe
【制作国】アメリカ
【エグゼクティブ・プロデューサー】DAVE BUSHORE
【プロデューサー】BRAD BARUH
【COプロデューサー】ALEXIA NECOECHEA, CORINNA VISTAN, JASON HILLHOUSE
【編集】MEGHAN LEON, ADAM GALLAGHER, MICHAEL FALLAVOLLITA
【ナレーション】MEGHAN LEON, JASON HILLHOUSE
【アナウンサー】ジェフ・マクネイル
【音楽】ブライアン・タイラー
【出演】

  • ロバート・ダウニー・Jr.
  • スカーレット・ヨハンソン
  • サミュエル・L・ジャクソン
  • グウィネス・パルトロウ
  • クラーク・グレッグ
  • クリス・ヘムズワース
  • クリス・エヴァンス
  • トム・ヒドルストン
  • ジェレミー・レナ―
  • マーク・ラファロ
  • ドミニク・クーパー
  • ロバート・レッドフォード
  • アンソニー・マッキー
  • クリス・プラット
  • ボビー・モイニハン
  • トム・モレロ
  • ケヴィン・ファイギ
  • アラン・ファイン
  • ジェフ・ブーシェ
  • ジョー・カザーダ
  • ダン・バックレー
  • ジェレミー・ラッチャム
  • ジョン・ファブロー
  • ジョス・ウェドン
  • スティーブン・ブルサード
  • ルイス・デスポジート
  • ルイス・レテリエ
  • アクセル・アロンソ
  • ケネス・ブラナ―
  • クレイグ・カイル
  • ジョー・ジョンストン
  • クリス・ハードウィック
  • シェーン・ブラック
  • アラン・タイラー
  • ブラッド・ウィンダーバウム

【公開日(アメリカ)】2014年3月18日
【上映時間】44分
【放送】アメリカン・ブロードキャスティング・カンパニー(ABC)
【IMDB】7.8/10.0  (およそ800人の評価)

【あらすじ】

サンディエゴ『コミコン2006』にて、マーベルのヒーロー達が一堂に会する「クロスオーバー」作品の計画が示唆された。アイアンマンことロバート・ダウニー・Jr.を始め、スカーレット・ヨハンソンやサミュエル・L・ジャクソンら豪華出演陣、そして製作陣のインタビュー映像、スクリーンテストの様子など、『アベンジャーズ』がいかにして成功したか、そして今後の作品にどう繋がったいくかの製作秘話が語られるドキュメンタリー。

【感想】

☆‐/5.0

「私がアイアンマンだ」

トニー・スタークの言葉で壮大な物語は始まった。
”ユニバース”という一つの世界に、各作品の英雄(ヒーロー)や悪党(ヴィラン)を共存させる構想だ。

MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)はどんなふうに始まったのか?

『アイアンマン』の成功から『マイティ・ソー』、『キャプテン・アメリカ』へと続き、この三本から『アベンジャーズ』へとどう繋げていくのか?
そして『アイアンマン3』フェイズ2へ、集まったキャラクターをどう個別の作品に還していくか。

などなどが製作陣や豪華キャストのインタビューで語られています。

序盤で語られた製作秘話をちょろっと紹介すると・・・

  • 人気ヒーローが使えないという状況の中で、新たな作品を作ることに。題材が山ほどある中で、どのヒーローを選ぶかがポイントだった。
    まずは二本、見せ所の多い「ハルク」と内容とコンセプトの良い「アイアンマン」が作られることになった。
  • 『アイアンマン』はスタジオ初の自主製作作品で、借金をして作った。失敗したら倒産の可能性もあった
  • 最初は30人の脚本家に断られたらしい!粘り強く「60年の歴史を持つマーベルの代表作だ」と依頼を続けたが、断られ続けた。
  • トニー役がロバート・ダウニー・Jr.に決まり原作ファンも大絶賛。MCUへの参加はロバートにとっては過去の罪への償いでもあった。
    というのも、ロバートは過去に薬物依存に苦しんでいたんですよね。原作コミックのアイアンマンことトニーも、アルコール依存症を抱えているキャラクターだったので、そういう共通性でもファンは興味を示したのかな。
  • グウィネス・パルトロウがジョン・ファブロー監督の元を初めて訪れた時、立派な役者が集まったという感動に彼は泣いてしまった。すると集まったスタッフもみんな泣き出した。「これから凄いものを作るんだ」という雰囲気があった。
  • ニック・フューリー役はサミュエルの事務所に売り込まれて決まった。かつてニック・フューリーの役はコミックでは白人だったがある時から黒人に変わった。それが、サミュエルをモデルにしているとすぐに彼は分かったらしい。
  • 『アイアンマン』の撮影終了後、一週間だけ休み『インクレディブル・ハルク』の撮影に入った。

などなど。
その他、スクリーンテストの様子もチラりと見れたり(*’ω’*)

フィル・コールソンやエージェント・カーター、マンダリンのその後などにスポットを当てた『マーベル・ワンショット』というビデオ短編シリーズ(MCU作品のブルーレイに収録されているらしいよ!)と、ドラマについての紹介やインタビューもありますよーーーー!

まとめ

映画?というかテレビ番組的なものだと思うので今回は点数はつけてません。

ちびぞうは「アイアンマンは人間の心の闇を反映しつつ、乗り越えられるという希望を与えてくれる」とグウィネス・パルトロウが語っていたところで、まさにそう!!そこが良いの!!と大興奮していました(笑)恋人であるペッパー役のグウィネスがアイアンマンを深く理解してるって知れるのも嬉しいですね!!

『マーベル・ワンショット』は未チェックというかこのドキュメンタリーで初めて存在を知ったので驚き・・・ブルーレイそんなに観る機会がないので(;;)DVDにも付けてくれよう(;;)となりました。
ドラマはタイトルが出なかったけど多分『エージェント・オブ・シールド』のことかな。こちらも全くチェックしていなかったので機会があれば観たい・・・。

MCUで活躍中の俳優さんたちも総出演でインタビューに答えていますし、ファンには堪らないドキュメンタリーでした(*’ω’*)

 

 


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あ行

アートの概念を揺さぶられる!映画『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』ネタバレ&感想

全ては仕組まれたことなのか、あるいはリアルなドキュメンタリーなのか…。

ちびぞうの、過去に観た映画もブログにまとめとこうシリーズ!ですね。

今作は、ストリートアート”グラフティ”で有名になったカリスマアーティスト、”バンクシー”初監督のドキュメンタリー!!

バンクシーというイギリスの覆面アーティストの作品はネットでニュースになることもしばしばあり、目にしたことがあって「なんてかっこいい作品を創る人なんだろう」と思っていたんですが…まさか映像の才能もあるとはね!!!DVDや画集も買ってしまったし、すっかりバンクシーのファンになってしまったちびぞうでした。

アップリンクさんによる公式サイトはこちら

ちなみになぜ覆面なのか?それはグラフィティのほとんどが持ち主の許可なく行われる犯罪行為(器物破損)だからですよ!!

【映画情報】

【原題】Exit Through the Gift Shop
【制作国】アメリカ・イギリス
【監督】バンクシー
【ナレーション】リス・エバンス
【音楽】ジェフ・バーロウ、ロニ・サイズ
【出演([]内は役名)】

  • ティエリー・グエッタ
  • スペース・インベーダー
  • シェパード・フェアリー
  • バンクシー

【公開日(日本)】2011年7月16日
【上映時間】90分
【配給】パルコ、アップリンク
【映倫区分】G
【IMDB】8.0/10.0  (およそ55,800人の評価)

【あらすじ】

ストリート・アートに関するドキュメンタリーを制作していた映像作家のティエリー・グエッタは、幸運にもバンクシーの取材に成功する。しかし、グエッタに映像の才能がないと気づいたバンクシーはカメラを奪い、グエッタを“ミスター・ブレインウォッシュ”というアーティストに仕立てあげ、カメラの前に立たせる。【引用元:映画.com

【感想】

☆3.6/5.0

おおまかなあらすじはこんな感じ

とあるビデオ撮影依存な男(ティエリー・グエッタ)がひょんなことからストリートアートに出会い、それを描く人たちを追い、制作過程を撮影する。
最初はただ撮るだけだった男もバンクシーとの出会いによって変わっていく。映像編集に手を出したり、果ては自分も”アーティストMBW(ミスターブレインウォッシュ)”となり、初めてのショーを成功させようと奮闘する…。

グラフィティと言えば

ちびぞうが高校時代に仲が良かった女の子がグラフィティをする男の子の話をよくしていたなぁ…と思い出しました。多分地元で、グラフィティをやってる若者が当時、いたんだと思います。それこそ15年位前、ネットも携帯も誰しが持っているという時代ではなかったけれど、どこからともなくやってきた”グラフィティ”というものは確かに人々を魅了しながら、海の向こうの日本にも広がってきていたんだなぁ…と思うと、「落書き」なんて言葉では表せない一つの文化なのかなと思ったりしますね(許可がなければ犯罪ですけども!!!!!!)

脱線しました。

この作品を観ていると、本物のアートとそうでないものの境目がボケてきて、「結局はお客に高い金積ませたモン勝ち」みたいな側面が見えてきます。
そして”あんたらが高い金出して買ったものは所詮この程度のものだよ”と皮肉ってるような…そんな意図も感じましたね。

最初はMBWがアーティスト達のドキュメンタリーを撮ろうとしていたのに、途中からバンクシーが監督してMBWを追うドキュメンタリーを作る逆転の流れも面白い!!バンクシーがMBWの編集した動画を見て「落ち着きのない頭のおかしいヤツが繋げただけの動画(セリフうろ覚え)」とズバッと切り捨ててたところで爆笑してしまいました(笑)

この非凡な男と平凡な男の対比も面白いですよね。

周囲の環境に影響されて、MBWが夢を見ていく過程も面白切ない。

夢を見ていく…と言っても収入的にはMBWの個展は大成功してしまうし、どこからが才能なのかってもう分からなくなりますね。

まとめ

いわゆる芸術の勉強なんて1ミリもしたことのないちびぞうには作品の真の価値とかは全くわからないけども、作中出てくるバンクシーの作品には心動かされたし、とても強い憧れを感じました。なんというか、技術だけなら誰でも身に着けられるけど、そこからもう一歩先んじるには「他人に出来ない発想」というのが必要なのだなと。しかもそれを誰より早くやってみる、という度胸や挑戦心も必要。

創作好きならきっと「アートとは一体なんぞや」と頭を悩ませながらも楽しめるし、良い刺激をもらえる映画ではないかなと思います!!

結論:カリスマは何やっても成功する。

 

 


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画像引用元:映画.com/IMDB