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アメリカ原住民の不遇と苦しむ父親たち。映画『ウィンド・リバー』感想&ネタバレ

なぜ、この土地〈ウィンド・リバー〉では少女ばかりが殺されるのか―――

こちらもちびぞうの働く映画館にやってきた作品!

アベンジャーズシリーズで「ホークアイ」を演じているジェレミー・レナ―、そして「スカーレット・ウィッチ」を演じているエリザベス・オルセンの二人の共演作!!!二人はアベンジャーズシリーズの配役でも絆が見え、きっと俳優さん自体も仲良しなんだろうなーと予想されます!!

ジェレミー・レナ―はオファー当時忙しく、一度『ワンダー・ウーマン』でスティーブ・トレバーを演じていたクリス・パインにも話が行ったらしいです。しかしワンダー・ウーマンで忙しかったクリスもオファーを受けられず、結局レナ―さんがやることになったそう。

こういう話を聞くと「この俳優さんだったらどうなったかな?」と想像してしまいますけども、ちびぞう的にはこの配役でバッチリだったかなーと!

パンフはこんな感じです。

真っ白い雪の中に飛び散る血痕と足跡。それを見つめる男性の後ろ姿。もーこの表紙だけでも想像が掻き立てられますね!!!大きさはB5よりも少し縦長かな?26Pで税抜き667円!
ネイティブアメリカンについての豆知識がまとめられてるページが映画の理解を深めます!!

【映画情報】

【原題】Wind River
【制作国】アメリカ
【監督/脚本】テイラー・シェリダン
【製作】ベイジル・イヴァニク
【製作総指揮】エリカ・リー
【撮影監督】ベン・リチャードソン
【編集】ゲイリー・D・ローチ
【プロダクション・デザイン】ニール・スピサック
【衣装デザイン】カリ・パーキンス
【音楽】ウォーレン・エリス、ニック・ケイヴ
【出演([]内は役名)】

  • ジェレミー・レナ―[コリー・ランバート]
  • エリザベス・オルセン[ジェーン・バナー]
  • ジョン・バーンサル[マット(掘削所警備員)]
  • ギル・バーミンガム[マーティン(ナタリーの父親)]
  • ジュリア・ジョーンズ[ウィルマ(コリーの元妻)]
  • ジェームズ・ジョーダン[ピート(掘削所警備員)]
  • ケルシー・アスビル[ナタリー(殺された少女)]
  • グレアム・グリーン[ベン(部族警察長)]

【公開日(日本)】2018年7月27日
【上映時間】107分
【配給】KADOKAWA
【映倫区分】G
【IMDB】7.7/10.0  (およそ151,150人の評価)

【あらすじ】

ネイティブアメリカンが追いやられたワイオミング州の雪深い土地、ウィンド・リバーで、女性の遺体が発見された。FBIの新人捜査官ジェーン・バナーが現地に派遣されるが、不安定な気候や慣れない雪山に捜査は難航。遺体の第一発見者である地元のベテランハンター、コリー・ランバートに協力を求め、共に事件の真相を追うが……。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレするよ!!)】

☆3.6/5.0

この映画は、実際に起きているネイティブアメリカンの女性たちの境遇をサスペンス仕立てに見せた社会派ドラマです!!!!

コリー役のジェレミー・レナ―の演技の渋いこと渋いこと!!

社会派サスペンスでもありながら、父親と娘の話でもあります。とっても深い味のある良い映画です。

おおまかなストーリー

雪山で死体を発見したのは、野生生物局で働く白人ハンターのコリー。その死体が、自分の娘の親友の女の子であったことから彼は胸を痛めます。

この雪山で見つかった死体は性的暴行を加えられており、どこかから裸足で5キロ以上逃げてきて肺が凍り破裂して死亡してしまったということが明らかに。

FBIの新人女性捜査官ジェーンは現地の人にも舐められまくり。

死因が肺出血だったことで他殺にはできないと検視官に言われますが、それに納得いかないジェーン!!!動物の足跡を見分け、追跡するプロであるコリーに助手になるよう頼み、二人で犯人捜しをはじめます・・・。

コリーはかつて自分の娘を亡くしインディアンの奥さんと別れています。そして今回の被害者の女の子は自分の娘とも友達、両親ともお友達、更に娘が見つかった状態も酷似している(しかしコリーの娘の事件は未解決のまま)。過去の辛い気持ちが蘇って苦しむコリー。

犯人への想いというものが、自分の娘に対するものと重なっていきます。

現場の近くでもう一つ、今度は白人男性の遺体が見つかります。彼は近くの掘削所の警備員をしており殺された女の子の恋人でした。そこから、他の警備員たちに聞き込みを始めるジェーン捜査官。どうやら警備員たちが怪しい!

事の真相は、彼女と警備員の恋人が彼らの住まいでイチャついているところに別の警備員たちが帰ってきて、揉め始める。レイプしようとする警備員たちから彼女を守ろうとするも、撲殺されてしまう。暴行を受けた彼女は殴られる恋人を後ろ目に白銀の山の中を逃げ出します。

そしておよそ7キロほど離れた山の中で肺が破裂し、死亡。というものでした。

捜査官や保安官と警備員たちとの銃撃戦から逃れた主犯の男を見事狙撃し、雪山の山頂付近へ運んだコリー。

「彼女はとても強かった。裸足で雪山を七キロも走ったんだ。お前はどれくらいできる」

と問いかけ、わざと男を裸足で逃がします。しかし男はすぐに倒れ込んでしまう。コリーが頭を撃って殺す。

犯人を捜すために共に過ごしていたジェーンとコリーの間には親子にも近い絆が芽生えていました・・・って感じで映画は終わります。

哀しい映画だけどイイ台詞がある

コリーが、娘を亡くしたインディアンの友人に向けて語る言葉が深イイんです。

「時間が癒してくれると言うが、実際は何も解決してくれない。傷は消えない、しかし痛みに慣れることは出来る。その痛みを忘れるな、苦しみ続けろ。娘との思い出に生きたいならば、決して忘れてはならない」

ちょっとかいつまんでますが、こんなようなセリフでした。

娘を亡くした時にコリー自身が医者?か誰かに言ってもらった言葉のようで、時間が傷を癒やすのを待つのではなく、その痛みこそ娘と共に生きているという証だから抱えて生きろっていう言葉でした。確かにそう考えた方が、痛みを受け入れやすくなるかもしれないなって目から鱗でしたし、とても感動しました。

 

そして、コリーが何度も口にする「彼女は強い人だった」という言葉も印象的。彼女が人間的にいかに強く美しい魂を持っていたのかという表現でもありますし、こんな理不尽な仕打ちを受けるべきではない、という悔しさも伝わって来ますね。

まとめ

原住民が白人からどういう目で見られ、どういう扱いを受けているのかという痛ましい真実を静かに、重厚に描かれていて、深く胸に突き刺さります。

更に娘を亡くした父親の苦しみと愛にも触れることができます。

映画を観終わってちびぞうは仲間たちに「流石ホークアイさん百発百中!!!」としか感想を言わなかったんですけど(笑)本当はもっと色々語りたくなる映画です(笑)

ジェーン役のエリザベス・オルセンは強くて美しく、スカーレット・ウィッチの時より大人っぽい魅力がありました。ほとんど見た目は変わらないのに、同じキャラクターに見えないというのはさすが役者さんですね!(ジェレミー・レナ―は若干”ホークアイさん休暇で事件に巻き込まれる”感あったけど(笑))

 

雪山の映像は恐ろしく冷たくて綺麗ですし、ぜひ機会があれば劇場で観ていただきたい一本です!

 

 


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父親が三人!?伝説的ミュージカルの映画化!『マンマ・ミーア!』ネタバレ&感想

結婚式に、出てもらいたいの!

こちらの作品はだいぶ前にDVDで観たんですけども、今回新作が公開されたという事で記事は前後してしまいましたが先におさらいとして観ましたー!

10年ぶりの新作!映画『マンマ・ミーア!ヒア・ウィ・ゴー』ネタバレ&感想

監督は『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』などのフィリダ・ロイド。

主演はアマンダ・セイフリッドちゃん始めメリル・ストリープピアース・ブロスナン、コリン・ファースなどとっても豪華!!!製作総指揮にはトム・ハンクスの名前もあります!!

【映画情報】

【原題】Mamma Mia
【制作国】アメリカ
【監督】フィリダ・ロイド
【脚本】キャサリン・ジョンソン
【製作】ジュディ・クレイマー、ゲイリー・ゴーツマン
【製作総指揮】ベニー・アンダーソン、ビョルン・ウルバース、リタ・ウィルソン、トム・ハンクス、マーク・ハッファム
【撮影】ハリス・ザンバーラウコス
【美術】マリア・ジャーコビク
【音楽】ベニー・アンダーソン、ビョルン・ウルバース(ABBA)
【振付】アンソニー・バン・ラースト
【出演([]内は役名)】

  • メリル・ストリープ[ドナ]
  • ピアース・ブロスナン[サム]
  • コリン・ファース[ハリー]
  • ステラン・スカルスガルド[ビル]
  • アマンダ・セイフライド[ソフィ]
  • ドミニク・クーパー[スカイ]
  • ジュリー・ウォルターズ[ロージー]
  • クリスティーン・バランスキー[ターニャ]

【公開日(日本)】2009年1月30日
【上映時間】108分
【配給】 東宝東和
【次作】10年ぶりの新作!映画『マンマ・ミーア!ヒア・ウィ・ゴー』ネタバレ&感想
【IMDB】6.4/10.0  (およそ182,200人の評価)

【あらすじ】

エーゲ海に浮かぶギリシャの小島で、20歳のソフィは結婚式を間近に控えていた。母子家庭で育ったソフィの願いは父親とバージンロードを歩くこと。母親ドナの日記を内緒で読んだソフィは、父親の可能性がある母の昔の恋人3人に招待状を出すのだが……。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレするよ!!)】

☆2.8/5.0

ちびぞうが過去に鑑賞した時に書いた感想が残っていたので貼り付けておきます。

まず最初に。
ピアース・ブロスナンさんは歌ってはいけない。


あれれ!?実はメリル・ストリープが主役だったの!?と観ててビックリした。アマンダよりも歌いまくってる。
ストーリーはそんなに深くないんだけど無難に楽しめる。結婚式のシーンはあり得ない状況過ぎて笑えた。
ABBA縛りということで歌詞をストーリーにリンクさせるのが大変だなぁと思った。


そして最後に。
ピアース・ブロスナンさんは歌ってはいけない。

こんな感じでしたねー。

いや。見返してもやっぱりサムに扮するピアース・ブロスナンの歌声がちびぞう的にはキツかった・・・!!!!!

歌詞に合わせたストーリー展開は流石で、名曲が流れるとそれだけでウキウキするのは確かにあります!!!でも正直、ちょっと退屈なんですよね・・・。中だるみ?するというか。

ミュージカルなので歌の中でストーリーが進行していくんですけど、そこに入り込めないとちょっと流れが雑に感じてしまうかも。2の方がちびぞう的には楽しかったです。

自分の父親が誰か分からない、とりあえず母親の日記から過去にかかわりのあった男たちを呼び寄せよう!3人いるけどね!!!そして集まった3人の男たち。誰が本当の父親なの???

まぁいっか!三人とも父親で!!!

っていう感じなんですよね。「普通」にこだわらない新しい家族の形を示している素晴らしいお話なんですけども、細かく考えてしまうと

「なんで10数年前にお別れしたゆきずりの相手の連絡先が今になって分かるのか???」

などなどツッコミしだすとキリがないです。

まとめ

ABBAの楽曲と役者たちの歌声を楽しみに気楽なノリで観るのが良いですね!!!

(でもブロスナンさんは以下略)

 

 


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キムタクVSニノの演技バトル!映画『検察側の罪人』ネタバレ&感想

一線を、超える。

正直、キムタクかぁ、と思いつつも予告編を観て、酒向芳さんのピエロのような怪しげな見た目とキャラのインパクトに惹かれ二宮君も嫌いじゃないしと劇場へ足を運びました。

キムタクの映画は『無限の住人』以来ですねー。その時はボッコボコ(物理)にされてたけど今作はどうなのか・・・

不死身の男がボコられる!映画『無限の住人』感想&ネタバレ

パンフはこんな感じ。

赤と白と黒のシンプルなデザイン、46Pとかなり分厚い!!税抜き760円です。監督のインタビューやキャスト陣のコメントだけでなくスタッフさんのコメントも充実している印象。

 

【映画情報】

【制作国】日本
【監督/脚本】原田眞人
【原作】雫井脩介
【製作】市川南
【共同製作】藤島ジュリーK.
【エグゼクティブプロデューサー】山内章弘
【企画/プロデュース】臼井央
【プロデューサー】佐藤善宏、西野智也
【撮影】柴主高秀
【編集】原田遊人
【美術】福澤勝広
【装飾】籠尾和人、高橋光、岩井健志
【照明】大坂章夫
【録音】矢野正人、鶴巻人
【VFXスーパーバイザー】オダイッセイ
【衣装】宮本まさ江
【出演([]内は役名)】

  • 木村拓哉[最上毅]
  • 二宮和也[沖野啓一郎]
  • 吉高由里子[橘沙穂]
  • 松重豊[諏訪部利成]
  • 平岳大[丹野和樹]
  • 大倉孝二[弓岡嗣朗]
  • 八嶋智人[小田島誠司]
  • 酒向芳[松倉重生]
  • 音尾琢真[千鳥]
  • 大場泰正[前川直之]
  • 谷田歩[青戸公成]
  • 矢島健一[高島進]
  • キムラ緑子[桜子]
  • 芦名星[運び屋の女]
  • 山崎紘菜[最上奈々子]
  • 東風万智子[丹野よしこ]
  • 山崎努[白川雄馬]

【公開日(日本)】2018年8月24日
【上映時間】123分
【配給】東宝
【映倫区分】G
【IMDB】/10.0  (およそ人の評価)

【あらすじ】

都内で発生した犯人不明の殺人事件を担当することになった、東京地検刑事部のエリート検事・最上と、駆け出しの検事・沖野。やがて、過去に時効を迎えてしまった未解決殺人事件の容疑者だった松倉という男の存在が浮上し、最上は松倉を執拗に追い詰めていく。最上を師と仰ぐ沖野も取り調べに力を入れるが、松倉は否認を続け、手ごたえがない。沖野は次第に、最上が松倉を犯人に仕立て上げようとしているのではないかと、最上の方針に疑問を抱き始める。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレするよ!)】

☆2.7/5.0

掴みは悪くないんですけど・・・全体的にまとまりがない映画でした。

テーマが多すぎてとっちらかってるんですよね。

オープニングからキムタク扮する最上の講義を聞く二宮君(沖野)の場面で、沖野は最上を検事として尊敬(崇拝)している・・・という二人の関係性が描かれます。

この、最上と沖野の検事としての二人の男が己の正義を挟んで対立関係になっていく。

最上検事は幼馴染的な女の子を殺害した過去の事件で犯人として名前が挙がっていた松倉をいわゆる私怨から今回の事件でも追い詰めていきます(過去の事件では有罪に出来なかったけど、松倉が犯人だった)。しかし今回の事件の犯人は弓岡という男。つまり松倉は冤罪という形になります。

どうしても松倉を罰したい最上検事は、弓岡が捕まる前に接触し逃亡の手伝いをすると持ち掛けて殺してしまいます。今作の、「罪人」というのは最上検事の事なんだなー。という事が分かってきます。

この最上検事の怪しい行動に気付いた沖野検事は、彼の行動を信じたい。でも明らかにおかしい。尊敬する検事はおかしくなってしまったのか?自分はどうするべきなのか?正義を信じて尊敬する人に立ち向かっていくのか?そんな葛藤がこの話のメインの流れになって行きます。

しかし!!!!!

これ以外にも沢山の要素が散りばめられています。

例えば太平洋戦争の時に日本軍が行ったというインパール作戦。この時に参加していた兵士同士が親族にいるという設定が、最上検事と諏訪部の間にあるのですが・・・

正直この設定、いる?

パンフを読むと監督オリジナルの追加設定ぽかったので、なかった方が良かったよなぁ。と思いました。せっかくの本筋の問題がくらむというか。とっちらかった印象になってる原因の一つがこれ。

それからもう一つ。

吉高由里子扮する橘さんの設定。

彼女は、実は小説家で面白いネタを掴むために試験を受けて潜入している・・・というぶっとんだ設定なのですが。その彼女の正体がバレるタイミングというのが、最上検事の行動が皆に怪しまれ始めた頃。最上検事が自分に向いた目を逸らさせるために彼女の正体をバラすんですよね。

正直、せっかくの彼女の設定も「そのためだけに」用意されたような感じがして、残念でした・・・。橘と沖野の恋愛関係も唐突だったし、バレてからの二人の関係の描写も薄く感じました。

あと、このタイトルなのに

法廷シーンすっ飛ばしってどうなんですか?????

まとめ

もんのすごくディスりまくりですけども(笑)

このタイトルも好きですし「罪人」とは誰なのか、正義とは何なのか、と考えさせるテーマも好きなんですけどね!!!オチもそんなに嫌いじゃなかった、ただそれを活かせてない感がすごい。

あとキムタクはこういうアンニュイというか、格好良いだけじゃないキャラクターの路線で行くのかな今後。演技力の問われる路線だと思うので頑張って行って欲しいです。

ニノはもう少しこうなんか、静かな役がいいなぁ。ニノがキムタクを食ってた、という感想も見かけましたが、ちびぞう的にはそんなに食ってる感じもなかったです。

 

アッ!あと酒向さんの怪演よかったですよ!!!!

 

 


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見世物家族の人間喜(悲)劇。映画『女と男の観覧車』ネタバレ&感想

まわる、まわる。秘密の恋が回る。

ウディ・アレン監督の52本目の監督作!(多分)
この監督はすごい・・・1965年の監督&出演作『何かいいことないか子猫チャン』からほぼほぼ毎年のように(出演だけの映画も含め)映画を作っている!!ここ数年だと2015年に『教授のおかしな妄想殺人』、2016年『カフェ・ソサエティ』『ウディ・アレンの6つの危ない物語』、そして2017年の『女と男の観覧車』、そして今年には『A Rainy Day in New York』が予定されています。主演には『君の名前で僕を呼んで』のティモシー・シャラメを迎えているようです!日本に来るのは来年かな?

きっと死ぬまで作り続けるんだろうな・・・。ウディ・アレンの監督作はあまり好きではなかったんですが、2013年の『ブルージャスミン』で落ちぶれてゆくセレブの狂気を見事に演じたケイト・ブランシェットにやられて以降はちょいちょい監督の新しい作品に期待をして観ているちびぞうなのです。今作は、『タイタニック』のケイト・ウィンスレットそしてミュージシャン出身のジャスティン・ティンバーレイクが二大主演しています!!ちびぞうはこのジャスティン・ティンバーレイクという俳優は意外に良い演技をする(特に『ブラック・スネーク・モーン』が良かった)と知っているので、彼に対する期待もありつつで劇場に足を運びました。

パンフはこんな感じなんですがめちゃめちゃオシャレ!!

B5のノートサイズほどで、アンティークな遊園地を舞台にしたこの映画にピッタリのデザイン・・・。26Pで税込み720円。

【映画情報】

【原題】 Wonder Wheel
【制作国】アメリカ
【監督/脚本】ウディ・アレン
【製作】レッティ・アロンソン、エリカ・アロンソン、エドワード・ウォルソン
【編集】アリサ・レプセルター
【衣装】スージー・ベンジンガー
【撮影監督】ヴィットリオ・ストラーロ
【美術】サント・ロカスト
【キャスティング】パトリシア・ディチェルト
【出演([]内は役名)】

  • ケイト・ウィンスレット[ジニ―]
  • ジャスティン・ティンバーレイク[ミッキー]
  • ジム・ベル―シ[ハンプティ]
  • ジュノー・テンプル[キャロライナ]
  • ジャック・ゴア[リッチー]
  • デヴィッド・クラムホルツ[ジェイク]
  • マックス・カセラ[ライアン]

【公開日(日本)】2018年6月23日
【上映時間】101分
【配給】ロングライド
【映倫区分】G
【IMDB】6.2/10.0  (およそ15,400人の評価)

【あらすじ】

コニーアイランドの遊園地内にあるレストランで働いている元女優のジニーは、再婚同士で結ばれた回転木馬操縦係の夫・ハンプティと、ジニーの連れ子である息子のリッチーと3人で、観覧車の見える安い部屋で暮らしている。しかし、ハンプティとの平凡な毎日に失望しているジニーは夫に隠れて、海岸で監視員のアルバイトをしながら劇作家を目指している若い男ミッキーと不倫していた。ミッキーとの未来に夢を見ていたジニーだったが、ギャングと駆け落ちして音信不通になっていたハンプティの娘キャロライナの出現により、すべてが大きく狂い出していく。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレもするよ!)】

☆3.8/5.0

ううううううううーーーーんん!!!好きです!!でもやっぱり『ブルージャスミン』には劣るけども!!!

おおまかなストーリー

夫の前妻との娘が「ギャングの夫から逃げてきた」と突然現れ、かくまってやることにした主人公。しかしその娘に不倫相手を奪われそうになると嫉妬妖怪(比喩)へと変貌し、ギャングに見つかりそうになった娘を「こいつが消えれば彼は私の元へ戻ってくるかも」と思ったかどうかは分からないけれども助けれそうだったのを見殺しにしてしまう・・・。そして不倫相手の男とも破局し惨めを極めて終わる・・・という感じ。

ケイト・ウィンスレットの芝居がイイ!

何が良いってやっぱり主人公・ジニ―を演じるケイト・ウィンスレット!

過去の栄光にすがる元女優・現ウェイトレスという役柄を見事に演じています・・・。特に良いのは彼女の後半のキレ演技の中で見せてくれる「ドスドス」と床を踏む音が聞こえてきそうな歩き方!!いわゆるおっさんみたいな歩き方をしてるんですけど、これがもう元女優の片鱗もなく・・・。

不倫相手のミッキーと浜辺で出会った頃の彼女は悲哀感を漂わせた危なげな人妻で、その姿が美しくもあったんですよね。(これはある意味で余裕のあった彼女が演じていた姿ともいえる)
しかし、惨めな生活から脱させてくれるであろうと信じたミッキーが若い娘に取られてしまうという絶望と嫉妬にまみれてしまうと余裕もぶっとび、妖怪ババアへと変貌するわけです・・・。このシーン、若い頃に着たという舞台衣装をまとっていて、劇中では一番華やかな格好をしているはず、なんですけども。その衣装が逆に彼女の醜さを際立たせています。そのコントラストもお上手。

画面がとにかく美しい

1950年代のコニーアイランドを舞台とした浜辺の遊園地が本当に綺麗で、オシャレ。キラキラとしていて、レトロ感があって、ポップでハイセンス!
小物や衣装がオシャレなのにも合わせて、光の差し込む感じがとてもきれい。そんなに突飛なストーリーではないのに幻想的でお伽話っぽい雰囲気もあります。(ジャスティン・ティンバーレイクが出演者なのに語り手としてナレーションをしているから、そこもお伽話っぽさを手伝っているのかもしれない)

この画面を観るためだけでも映画館に行って良かった!!と思えます。

皮肉で哀しいコメディ

この家族のドタバタが描かれる家というのが、遊園地の中にあり過去に見世物小屋だったというおうち。この家族のドタバタそのものが「見世物小屋である」という隠喩を感じさせてとっても皮肉。

主人公は旦那のことを小ばかにしているし、また旦那の方も自分の奥さんがウェイトレスなのに自分の娘には「ウェイトレスなんてさせる未来は避けさせたい」と言って遠回しに彼女の人生を否定している。お互いが辛いときに助けてもらった、と言い合いながらその実態は「酒に溺れた惨めな自分」を理解し合えたという一点でのみ繋がっていた夫婦なんです。

若くしてギャングと駆け落ちした娘も、ドラマティックな女性に惹かれてしまうミッキーも、火遊びに夢中になる息子も、本当に滑稽で哀しい人ばかり。

まとめ

流石コメディアンのウディ・アレン。人生の中の悲劇と喜劇の紙一重なところを上手に描いていると思います。前述した通り、ストーリー自体はとてもありふれていて、なんてことないお話です。だけどその台詞だったり、演出だったりにセンスがあって、観ていて飽きない。

さすがにブルージャスミンほどのインパクトは私の中では残りませんでしたが、十分に楽しめる一本でした。この幻想的なおとぎ話をぜひ、映画館で観てもらいたいです。

 

 


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画像引用元:映画.com 

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情熱と悪夢が交じり合うイタリア映画『結婚演出家』ネタバレ&感想

映画監督フランコ・エリカを次々と襲う不可解な出来事―――

地元、柳ケ瀬の映画館シネックスにて『Viva!イタリア vol.4』のうちの1作が公開されていましたので観てきました!

ちなみにVol.4の他作品は『あのバスをとめろ』『いつだってやめられる7人の危ない教授たち』でした。どっちも面白そうーーー!!

監督は『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』『母の微笑』などのマルコ・ベロッキオ。パンドラさんによる公式サイトはこちら

パンフはなく、代わりに関係者に配られる非売品のプレスシートが100円?で売っていました。

映画評論家でもあり映画監督でもある田中千世子さんが寄稿していましたー。

【映画情報】

【原題】 Il regista di matrimoni
【制作国】イタリア、フランス
【監督/脚本】マルコ・ベロッキオ
【制作】マルコ・ベロッキオ、マッシモ・ビリア
【撮影】パスクァーレ・マリ
【美術】マルコ・デンティチ
【衣装】セルジョ・バッロ
【編集】フランチェスカ・カルベリ
【音楽】リカルド・ジャーニ
【出演([]内は役名)】

  • セルジオ・カステリット[フランコ・エリカ]
  • ドナテッラ・フィノッキアーロ[ボーナ・グラヴィーナ]
  • サミー・フレイ[フェルディナンド・グラヴィーナ]
  • マウリツィオ・ドナドーニ

【公開日(日本)】2018年6月23日
【上映時間】100分
【配給】パンドラ
【制作年】2006年
【IMDB】6.3/10.0  (およそ630人の評価)

【あらすじ】

。貴族出身の小説家マンゾーニの原作「いいなづけ」の映画化準備を進めていたベテラン映画監督のフランコは、ある時、ミステリアスな女性と出会う。それからしばらくして、シチリアで新婚カップルを撮影中の演出家エンツォの家に招かれたフランコは、そこで奇妙な貴族から、自分の娘の結婚式の撮影をしてほしいと依頼される。その娘は望まぬ結婚を迫られており……。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレするよ!)】

☆2.4/5.0

まるで悪夢のような作品でした・・・。

悪夢だと思うほどつまらないって意味ではなくて、本当に悪夢を見ているような感覚になる作品というか。

ストーリーはそこまで難しい感じではないです。「いいなづけ」という作品の熱烈なファンだったミステリアスな美女が、その作品が映画化されると知り監督である主人公を訪ねてくるオープニングから始まります。しかし彼女は男たちに追われている様子で、監督には会えないまま去ってしまう。
そして場所は変わりシチリア。ひょんなことから監督がある貴族から「娘の結婚式を撮影して欲しい」と頼まれますが、その娘というのが冒頭で登場した美女!
その美女は父親に無理やり政略結婚をさせられそうになっていて全く結婚に乗り気ではなかった。そんな時に出会った監督と美女は惹かれ合う。しかし迫る結婚式!

二人は何度かの逢瀬を経て愛を確かめ合い、最後には二人で逃げ出す・・・。というもの。

しかしこの映画、悪夢的な演出が多くて「どこまで現実の出来事なのか?」少し分かりづらくなっていると思います。そこがけっこうモヤモヤしてしまうところなんだよねぇ。

印象的なシーンが多い

オープニングから古い映画のワンシーンのようなものが挟み込まれるし、時々画面がモノクロ?調になったりします。それに意図があるのかどうなのか、ちびぞうは凡人なので全く分かりません。ヨーロッパ映画的と言ってしまえばそうなのかも。

突然死んだと思っていた知り合いの映画監督が登場したり、その人が花火をバックに飛び降り自殺したり、美女を追いかけて不法侵入して飼い犬に話しかけたり、街を歩いていたら布に下半身を入れてピョンピョン飛んでる男たちに襲われたりと意味の分からない場面も多いです(笑)

でもそれが不思議と印象的。イタリアの伝統的な結婚式での歌も、厳かで幸せな雰囲気もあるんですけどちょっと怖く感じられたり。そういった不可思議でちょっと不快感のあるシーンが前述した悪夢的な演出になっているのかもしれません。

ちびぞうの好きなシーン

主人公がシチリアの浜辺を歩いていると、出会った結婚ビデオの撮影現場。そこで監督をしていた男に、主人公が有名監督だという事がバレ「貴方ならどんな演出をします?」と聞かれて答えるシーンが好き。
短いショートフィルムなんですが、いきなり浜辺で新郎が新婦のドレスを脱がしてまぐわり始める!そして二人が去ったあとで、脱ぎ捨てられたドレスを見て新婦の母親が「新婦は海に身投げした!」と誤解して泣き崩れる。母親を慰めて撮影隊は去っていく・・・という感じの内容。

けっこう奇抜な発想の作品で、良いなーと思いましたね。

それからもう一つ、新聞記事で死亡したと報じられていた主人公とは別の監督が実は生きていた!というのが発覚してからのシーンが面白い。
その監督は実は自分で死んだという嘘情報を流して、賞レースを勝とうとしていたんです。

「死んだ監督の作品だから」という理由で票が集まり、実際に受賞してしまう。狙い通りになったはずなのに、その監督は逆に絶望してしまう。生きているままで評価されたいですよね、そりゃね。という気持ちがすごく切なくて、彼の熱弁を聞いていたら目頭が熱くなってしまいました。

まとめ

イタリア映画だなぁ。って感じしますね。そんなに驚くほど面白い!って感じではないけども、おそろしくつまらない!とも思わないし難しい。

人に勧めるか?と聞かれたら、多分勧めません(笑)

それでもイタリア映画が好きな人は一度観てみるといいかも。シチリアという場所は、本当に美しいですしね。

 

 


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画像引用元:映画.com

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12人の騎馬隊は5万の軍勢に勝てるか。映画『ホース・ソルジャー』ネタバレ&感想

誰一人失わない。帰国するには勝てばいい。

2001年に起きたアメリカ同時多発テロ(911)を受け、対テロ戦争へと繰り出したグリーンベレー(米陸軍特殊部隊)の極秘任務が映画化されました。
わずか12人の男たちがアフガニスタンへと乗り込み、3週間という短いリミットの中想定外の「馬」に乗って5万人の敵に挑むという実話が元になっています。

主演は、『マイティ・ソー』のソー役でもおなじみのクリス・ヘムズワース。『アルマゲドン』『パイレーツオブカリビアン』シリーズ、『ブラック・ホークダウン』などを手掛けたジェリー・ブラッカイマーが製作を手掛けています。

パンフはこんな感じ!

A4サイズで26P、税抜き667円。監督によるインタビューのほか、リアリティを追求するための撮影トリビアなどが載っていました!

【映画情報】

【原題】12 Strong
【制作国】アメリカ
【監督】ニコライ・フルシー
【脚本】テッド・タリー、ピーター・クレイグ
【原作】ダグ・スタントン『ホース・ソルジャー(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)』
【製作】ジェリー・ブラッカイマー、モリー・スミス、サッド・ラッキンビル、トレント・ラッキンビル
【製作総指揮】アンドリュー・A・コソーブ、ブロデリック・ジョンソン、チャド・オマン、マイク・ステンソン、エレン・H・シュワルツ、ギャレット・グラント、イェール・バディック、バル・ヒル、ダグ・スタントン
【共同製作】ジョン・シュマッチャー
【撮影】ラスムス・ヴィデベック
【美術】クリストファー・グラス
【編集】リサ・ラセック
【衣装】ダン・レスター
【音楽】ローン・バルフ
【音楽スーパーバイザー】ジョナサン・ワトキンス
【キャスティング】ジョン・パプシデラ
【出演([]内は役名)】

  • クリス・ヘムズワース[ミッチ・ネルソン大尉]
  • マイケル・シャノン[ハル・スペンサー准尉]
  • マイケル・ペーニャ[サム・ディラー]
  • ナビド・ネガーバン[ドスタム将軍]
  • トレバンテ・ローズ[ベン・マイロ]
  • ジェフ・スタルツ[ショーン・コファーズ]
  • サッド・ラッキンビル[バーン・マイケルズ]
  • ロブ・リグル[バワーズ中佐]
  • ウィリアム・フィクトナー[マルホランド大佐]
  • エルザ・パタキー[ジーン・ネルソン]

【公開日(日本)】2018年5月4日
【上映時間】130分
【配給】ギャガ
【映倫区分】PG12
【IMDB】6.6/10.0  (およそ33,300人の評価)

【あらすじ】

米同時多発テロ翌日の2001年9月12日、対テロ戦争の最前線部隊に志願したミッチ・ネルソン大尉は、わずか12人でアフガニスタンへ乗り込み、テロ集団の拠点マザーリシャリーフを制圧する任務に就く。反タリバンの地元勢力を率いるドスタム将軍の協力が得られるものの、12人の部隊に対して敵勢力は5万人。加えて戦場のほとんどが険しい山岳地帯のため、馬こそが最大の武器だとドスタム将軍は言う。隊員のほとんどが乗馬経験のない中、ネルソン大尉らは馬に乗って厳しい戦いを強いられる。【引用元:映画.com

【感想】

☆2.8/5.0

普通に面白い!の★2.5からちょっと上!って感じでした!!!

実話ベースだと映画的な面白さを作るのが難しいのかな?とは思うんですけど、盛り上がるシーンのある後半までがけっこう長く感じられ・・・。退屈と言えば退屈だったかな・・・。

一緒に戦ったドスタム将軍はショーン・コネリーに少し似た風貌のダンディな役者さんでしたね!彼と主人公のミッチ・ネルソン大尉が繋ぐ兄弟の絆、というのが良かったです。

ソー役に馴染んでいるクリス・ヘムズワースは別の役を演じてもソーにしか見えないのかな?と不安にも思ったんですが、そんな心配も必要なかったです。ちゃんと勇敢でリーダー性のある優秀な軍人さんを演じていましたねー。

どんな作戦だったの?

本来ならば大軍を使うような重大な作戦だったようですが、その地形の複雑さや天候によって侵攻不可能になってしまうという難しい条件が重なり、少数精鋭を送り地元の反タリバン軍に協力を求め行動を共にしてマザーシャリフというテロ組織の拠点を落としに行く・・・という方法しか出来なかったようです。
反タリバン軍を率いるドスタム将軍の指示で一度も乗ったことのない馬に乗せられ、空爆を誘導する・・・。

物語の流れが読めてしまう

残念だったなーと思える要素の一つがこれでした。

ミッチ・ネルソン大尉は実戦経験がなく、上から舐められた目で見られている・・・という伏線もあり、彼らの進行がモタつくと上官は別の隊をドスタム将軍の勢力とは対立する組織に送る(アフガニスタンには沢山の対立組織がある)。そこでドスタム将軍は「敵の味方をするならもうついていかんぞ!」と袂を分かってしまう、んですが!

まぁ後から絶対に助けに来てくれるよね~~~

って分かってしまいますよね。

だってこの映画、戦争や戦いがメインというよりも、他国の、全く違う人生を歩み全く違う価値観を持った戦士が心を通わすというお話がメインで描かれているから。もう途中でそういうお話なんだなと分かっているので、ラストでドスタム将軍が戻ってきてくれるに違いないって思ってしまうんですよねーーー。

(この部分が脚色とかでなく本当にこうだったとしたらドスタム将軍ツンデレだしキザすぎて惚れる)

それでも最後には、ホッとするし二人の友情に感動するんですけどね。

ジェリー・ブラッカイマーと言えば海賊映画でドタバタやってるコメディタッチなアクションのイメージがちびぞうは強くて(ブラック・ホークダウンも面白かったけどあんまり印象として強くない)、今作は絆や精神性の物語なのでそれと比べると地味な印象(そこが今作の魅力でもありますが)。

意外だったのは

お涙頂戴な死亡シーンがなく、ミッチ大尉が宣言した通り「誰も死なずに帰還」したこと!

これは良かったですね。良い意味で裏切られました。絶対に一人か二人は死ぬだろうと思ったもん。これが実話なのは本当に素晴らしい。

原題は「12Strong」で兵員12名という意味で、グリーンベレーの最小単位らしいんですがちびぞうは12人の強い男たち、というイメージも受けました。作中では主人公とドスタム将軍のヒーロー性が強く描かれていますが、他の11名も間違いなくヒーローだったのだなと思えるこの原題が好きです。

まとめ

ド派手なアクションのある戦争映画とは少し違う、戦場が舞台のヒューマンドラマ、という感じで観て頂けたらいいのかな。

テロリストと戦う兵士は敬礼すらもしない(上官だということが敵にバレたら真っ先に狙われてしまう)など、細かな兵士たちの約束事も見れて、かなりリアリティのある作品になっていると思います。

エンターテイメントな作品とは違うので、911のテロ背景なんかも調べてから観るとより面白さが増すかもしれませんね。

 

 


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あなたは人間を信じますか?映画『ザ・スクエア 思いやりの聖域』ネタバレ&感想

「この中ではすべての人が平等に権利を持ち、公平に扱われる」

劇中の美術館で行われる「ザ・スクエア」という展示。

これは”傍観者効果”という、誰かが助けを求めていた時にその場にいる人間が多ければ多いほど「自分じゃなくても誰かがやるだろう」と責任が分散してしまうという心理にスポットを当て、地面に引かれた四角い線の中でもし誰かが助けを求めていたら、その中にいる人はその人を「助けなければならない」という義務が生じるという実験的な展示だという。

こういった人間の根本的な善の心とそれに対して実際に動けるのかどうか?という部分にメスを入れ、皮肉をふんだんに入れ込んだ今作。さらりとあらすじを読んだだけでちびぞうは引き込まれてしまいまして。

最近、『万引き家族』が受賞したカンヌ国際映画祭のパルムドールを獲った作品のようです!!

パルムドール受賞作のここがイイ!映画『万引き家族』ネタバレ&感想

地元の映画館で母と共に鑑賞してきました!

パンフはこういう感じ!

スクエアです。ちゃんと真四角。26Pで税込み800円。
UltRA Graphicsの山田裕紀子さんがデザインされています。中は黄色を基調としていてとってもオシャレ・・・!美術館をテーマにした映画だけあってスタイリッシュですね。

【映画情報】

【原題】The Square
【制作国】スウェーデン、ドイツ、フランス、デンマーク合作
【監督/脚本】リューベン・オストルンド
【製作総指揮】トマス・エスキルソン、アグネタ・ペルマン、ダン・フリードキン、ブラッドリー・トーマス
【製作】エリク・ヘンメンドルフ、フィリップ・ボベール
【撮影】フレドリック・ヴェンツェル
【美術】ジョセフィン・アスベルグ
【衣装】ソフィー・クルネガルド
【ヘアメイク】エリカ・スペツィク
【音響デザイン】アンデシュ・フランク
【ミックス】アンドレアス・フランク、ベント・ホルム
【編集】リューベン・オストルンド、ジェイコブ・シュルシンガー
【キャスティング】ポーリーヌ・ハンソン
【挿入曲】ボビー・マクファーリン、ジャスティス
【出演([]内は役名)】

  • クレス・バング[クリスティアン]
  • エリザベス・モス[アン]
  • ドミニク・ウェスト[ジュリアン]
  • テリー・ノタリー[オレグ]

【公開日(日本)】2018年4月28日
【上映時間】151分
【配給】トランスフォーマー
【映倫区分】G
【IMDB】7.3/10.0  (およそ34250人の評価)

【あらすじ】

現代アート美術館のキュレーターとして周囲から尊敬を集めるクリスティアンは、離婚歴があるものの2人の娘の良き父親で、電気自動車に乗り、慈善活動を支援している。彼が次に手がける展示「ザ・スクエア」は、通りかかる人々を利他主義へと導くインスタレーションで、他人を思いやる人間としての役割を訴えかけるものだ。そんなある日、携帯電話と財布を盗まれたクリスティアンは、その犯人に対して取った愚かな行動によって予想外の状況に陥ってしまう。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレするよ!)】

☆3.5/5.0

社会やSNSに対する風刺、ブラックコメディ、矛盾への指摘と・・・満載で考えられさせられることばかり!!!すごく面白かった!

北欧の、スウェーデンという国は福祉に手厚い、というような印象を持ってる人は衝撃を受ける”真実”がこの映画にはありました。

主人公のキャラクターが良い!

主人公は映画の序盤で「男に追われて泣き叫んでいる女」を助けようとするんですが、実はそれは詐欺師の罠で、財布とスマホを盗まれてしまう。
スマホのGPSで大体の位置は掴めるものの、団地のどの家の人が盗んだのかまでは分からない。困った主人公が部下に相談すると「私はお前の住所も把握している。私から盗んだものを全て返さないと・・・」という脅迫めいた文章を打った紙を全世帯のポストに入れて回りましょう!というハチャメチャな提案をされ、それを仕方なく受け入れることに。

この方法もアホっぽくてなぜ警察に頼らないのかが不思議なんですが・・・ともかく主人公はその作戦を決行する。そして盗まれた財布とスマホは戻ってくる。一件落着・・・かと思いきや!後日、その手紙のせいで両親に泥棒扱いされてしまったという男の子が主人公の前に現れる。
しかし主人公は彼の両親に電話で説明してやろうともせず、帰れと追い払うばかり。揉み合って階段から落ちてしまった様子の男の子も助けない。

このように「ザ・スクエア」の展示を企画した主人公が、自分の社会に対する”善の意識”を私生活で別の人間にしっかりと行動で示せているかと思えばそうではないんです。

富裕層と貧困層の人々では、住んでいる場所が区分けされていて、富裕層に属する主人公は貧困層の住む団地の人間を見下しているし人間扱いをしていない。そこの矛盾がこの映画で何よりも大きく、一番の風刺ポイント。

パンフレットには、「善行は心に余裕のある者しか行えない」的な事が書いてありましたがこの主人公がまさにそれで、序盤に困っている人を助けようとした時の心理状態と、中盤、男の子を追い払おうとする場面での心理状態では大きな違いがあり、「自分に余裕がないと人は助けられない」というのを上手く表現していましたね・・・。

主人公はラストで、男の子の家に電話をかけたり、謝罪する動画を撮ったり、娘たちと一緒に団地へ出向いて彼の家を探したりするんですが・・・すでに男の子の家族は引っ越してしまっていました。
謝罪することの出来なかった主人公の後ろ姿を娘が見つめます。しかし主人公は振り返らないのでどんな表情をしているかは分からない・・・そして映画は終わります。

ちびぞうはこの理想とする生き方を実際には出来ていないという矛盾たっぷりの主人公が物語全体を面白くしていて非常にいいキャラクターだと思いました。
ラストでそんな自分に気付いて終わる、という形だと思うんですけど、表情が分からないので主人公が人間的な変化をしたのかどうかは観客に委ねられます。

ちびぞうは良い方に変化したと思うんですけどね・・・。

モンキーマンの演技がすごい!!

パフォーマー・オレグとして登場するテリー・ノタリーは『猿の惑星』や『キング・コング:髑髏島の巨神』などで活躍するモーション・キャプチャー俳優。

続編に期待高まる!映画『キングコング:髑髏島の巨神』ネタバレ&感想

こちらの猿の惑星の記事でテリー・ノタリーの写真が見られます。

今作では、展示のお披露目パーティが開催され、そこにゲストとして招かれた猿人間として登場しますが・・・この猿の演技が本当にすごい・・・。そしてこの猿の演技に会場の気まずい空気もものすごく辛い!!しかも結構な長回し・・・。
この場にいたら本当に恐ろしいなと思いました・・・。

この映画はこのシーンだけでも観る価値ありです!!!

って言っても過言ではないです。それくらいインパクトのあるシーンでした。

まとめ

スウェーデンの社会にメスを入れるための皮肉や風刺たっぷりのブラックコメディを軸にした、ヒューマンドラマという感じですね。

笑えるシーンと笑えないシーンのさじ加減が上手ですし、気まずいシーンは本当に気まずい。
観終わった後は色々と考えさせられます。

「ただのバッグでも美術館の1コーナーに飾れば芸術品となり得る」・・・という台詞を聞いて、『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』を思い出しました。

美術館やアート界に興味がある人にもオススメです!

 

 


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松崎まこと監督の短編映画『ヒロイン』感想

  1. 私たち、もう友達ではいられないの?

どうもこんにちは、ちびぞう(@cbz_ewe)でーす。

この間、映画仲間と行って来ました「夜空と交差する空の上映会」が二本立てになっていまして、『スタンド・バイ・ミー』の前に上映されたのがこちらの作品でした。

静岡県の『夜空と交差する空の上映会(三島スカイウォーク)』行って来たよレポ

↑イベントレポはこちら。

予告はこんな感じです。

 

【映画情報】

【制作国】日本
【監督】松崎まこと
【共同脚本/編集】野本梢
【撮影】明田川大介

【録音】柳田耕佑
【音楽】hoto-D
【監督補】柴田啓佑
【出演】

      • 芋生 悠
      • 木村知貴
      • 篠崎 誠
      • 森レイ子
      • 生見司織
      • 林田沙希絵
      • 水井章人
      • 阿武勇輝

【公開日(日本)】2018年1月1日
【上映時間】18分

【あらすじ】

病室にて父の最期を看取る娘。

父の最期に遺した言葉”かおり”とは一体誰の事なのか。父が生前撮った映画のヒロインは全てかおりという名前だった。父の軌跡を知るべく、過去のヒロイン”かおり”達に会いに行く。

【感想】

☆–/5.0

すいません、点は付けられないですね。

会場の音響の関係でセリフが一部聞き取れなかった…というのもあるので真っ当な感想も書けないかもしれません。

どういうチョイスで選ばれた作品なのかは分かりませんが、スタンドバイミーと同時上映するにはちょっと酷な気も…。

一番最初に主人公が父親の病室にいて、「私たちもう、友達ではいられないの?」と声をかけるんですけど、その時点ではベッドに寝ている相手が父親だって事が分からないんですよね。すぐ後に容態が悪化して亡くなってしまう場面で「お父さん!」と呼ぶのでそこでようやく父と娘なんだなーと分かるという。

 

狙ってるかどうかは分かりませんが、あまり分かりやすいお話ではなかったと思います。起承転結もあまりハッキリしていないし、謎が謎のまま放置されていて「雰囲気映画」と言ってしまうとそれまでって感じがしました。

そそもそも、父が学生時代に撮った8ミリの作品、というのが劇中劇としてチラッと出てくるんですけど、それもあんまり面白くなさそうという…。

劇中の父親の監督としての地位というかレベルのようなものがどのくらいの設定にされているのか分かりませんが、トータル18分という短編の中で登場する劇中劇、しかも父が映画監督という部分はとても重要な設定だと思うんですが、残念ながらその設定が映えるような映画を撮っている父には見えなかったんですよね…(学生時代からすごい人はすごいじゃないですか!)

登場する3人の女性も、どういう意味合いを持ったキャラクターなのかよく分からず(最後に登場したキャスターをしている女性が父の本命だったという事なのかなぁ)、かおりという女性にこだわっていた理由もよく分からず終わってしまいます。

 

ちびぞうは意味がわからなくてと何となくフィーリングでこれ好き!となったりもするんですが…今作はそれもなく。特に思うこともなかったのでとりあえず記録として記事に残すことにしました。

 

いつか別のちゃんとした環境で鑑賞出来る日が来たらしっかり見直そうかなーと思うんですけど、マイナー過ぎてその機会はこなさそうな気がします…。

 

 


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ハネケ監督の描く『ハッピーエンド』とは。映画ネタバレ&感想

うつな映画を撮ることで有名なハネケ監督の最新作・・・!
劇場で観たかったんですよぉおお・・・!

地元のミニシアターで遅れて上映してくれたおかげで、ちびぞうも鑑賞することが出来ました!!!良かったぁああありがとうありがとう!!

ちなみにちびぞうは『ファニーゲームU.S.A.』『ピアニスト』が大好きです!!!

パンフレットも無事ゲット!!!

縦長でA5くらいのコンパクトさ。縦に開く変形パンフですね!この表紙も劇中に登場するエヴのスマホを表していてスタイリッシュ!監督だけでなく主演のイザベル・ユペールのインタビューも載っています!

公式サイトはこちら

【映画情報】

【原題】 Happy End
【制作国】フランス、ドイツ、オーストラリア
【監督/脚本】ミヒャエル・ハネケ
【製作】マルガレート・メネゴス、シュテファン・アルント、ファイト・ハイドゥシュカ、ミヒャエル・カッツ
【撮影】クリスティアン・ベルガー
【美術】オリビエ・ラド
【衣装】カトリーヌ・ルテリエ
【編集】モニカ・ウィリ
【出演([]内は役名)】

  • イザベル・ユペール[アンヌ]
  • ジャン=ルイ・トランティニャン[ジョルジュ]
  • マチュー・カソビッツ[トマ]
  • ファンティーヌ・アルドゥアン[エヴ]
  • フランツ・ロゴフスキ[ピエール]
  • ローラ・ファーリンデン[アナイス]
  • トビー・ジョーンズ[ローレンス]
  • ハッサム・ガンシー[ラシッド]
  • ナビア・アッカリ[ジャミラ]

【公開日(日本)】2018年3月3日
【上映時間】107分
【配給】ロングライド
【映倫区分】G
【IMDB】6.8/10.0  (およそ7,350人の評価)

【あらすじ】

建設会社を経営し、豪華な邸宅に3世代で暮らすロラン一家。家長のジョルジュは高齢のためすでに引退し、娘のアンヌが家業を継いでいた。アンヌの弟で医者のトマには、別れた前妻との子で13歳になる娘エヴがおり、両親の離婚のために離れて暮らしていたエヴは、ある事件をきっかけにトマと一緒に暮らすためカレーの屋敷に呼び寄せられる。それぞれが秘密を抱え、互いに無関心な家族の中で、85歳のジョルジュは13歳のエヴにある秘密を打ち明けるが……。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレあり)】

☆3.0/5.0

やっぱり難解で、そして決してハッピーエンドではなかった・・・

もうこのタイトルを見た瞬間から、ハネケファンは嫌な予感というか逆に言えば「ハネケ節来た」って気持ちになったと思うんですけど(笑)だって絶対にハッピーエンド(私たちの思うような幸せな最後)にはなり得ないでしょって思うから!!それがファン的には期待通りで嬉しいところもあったりして・・・。

家族の秘密、とは

まず、13歳のエヴちゃんは母親の飲んでいる薬を過剰摂取させて入院させる。そして母親はそのまま亡くなってしまう。

エヴの母親が入院中に彼女と暮らすことになった父親は、現在の妻と生まれたばかりの息子を影で裏切り、不倫相手とアブノーマルな関係を構築している。
そしてその事実を知ったエヴは狙いか本心かは謎だが薬を飲んで自殺未遂をする。

更に、同じ家で暮らす祖父は老々介護で妻を殺したという過去があり、希死念慮に囚われている。その秘密をエヴにのみ打ち明け、ラストでは彼女に自殺の手助けをさせる。

この他にも、父親の姉とその息子も歪んだ関係を修復できないまま進んでいくし、この家族の秘密には絶望と破滅しかない、そんな印象でした。

この映画で描いている問題

オープニングとエンディングが、エヴちゃんが撮っているスマホの録画画面で統一されていて、更にその動画をネット上の”誰か”に公開しているであろうという事もうかがえます。

インターネットの普及で問題になっているSNSによるプライバシーの公開であったり、過激なものを見せて鑑賞者から良い反応を貰おうという誤った自己顕示欲だったり、そういう問題が全面に押し出されていましたね。

劇中で、祖父が小鳥が別の鳥に捕食される様子を見た時の話をしていましたが、その時に「テレビで観る光景であればきっと気にしなかっただろう」と言っていたんですよね。これはテレビという言葉が”映画”と置き換えられ、映画の中でどれだけ過激なシーンがあっても鑑賞者は本物を見ているわけではない、という皮肉かなとも思ったのですが。後々考えていると、これはスマホの画面を通して物事を見ているエヴは、イコール現実を見てはいないんだ、という事が言いたかったのかもしれません。だからあれほどに、残酷になれるのだ、と。

 

この他にも、家族の絆の薄れだったり、移民に対するブルジョワジーの差別意識のようなものも描かれていました。

好きなところ

ちびぞうは、この映画を観たあとの衝撃がすごくて、「またハネケさんにしてやられた」という感じが強かったですね。

特にエンディングからのエンドロールの入りが最高だったんですよ。

波の音がうるさいくらい聞こえていて、そこにイザベル・ユペールの叫び声が乗って、そして暗転して突然の静寂、そのままエンドロール。普通はエンドロールって楽曲が流れたりするんですが、それが一切ないんですよ。

無音の衝撃というか、攻撃力がすごかったですね。

この愛のない世界の痛ましさが胸にドン、と殴られたように響いてきて苦しくなりました。

これだけ胸の中を掻きむしられるというか、ザワついたり、嫌な気持ちになるんだけどでもそれが癖になるみたいな感覚は本当にハネケ監督特有の魅力だと思います。

スマホ画面を使うナウさも、70後半のお爺様が作られたとは思えないくらいのハイセンスで、さすがの御大、といった感じです。

まとめ

最初に難解、と言いましたが、他にもこの監督の作品で難解なものは沢山あるんですよね。

そう考えるとわりと入りやすい作品だったのかも。

最近までずっと、『ハッピーエンド』とはどういう意味なのかを考えていました。あのエンディングはどう考えてもハッピーではないし、ネガティブなオチだけど誰かにとっては幸せだよ、みたいな意味でもない気がしたんですよね。

だったらなぜハッピーエンドなのか・・・と。

そうしたらネットで「”幸せ”の終わり」と解釈している方がいて、なるほど!!!!となりました。やっぱり絶望的な意味合いですねーーー結局絶望ですね!!(笑)
もうこの世界は幸せが終わるだけ、みたいな・・・でもこの映画が逆に刺激になって、自らの生き方を考えてみる・・・ということが幸せの始まりに繋がったりして・・・?

うーんでも正直、ハネケさんの映画を観て生き方を考えるような人はエヴちゃんみたいなことにはならないような気もしなくもない。

なんというジレンマ・・・。

ちびぞうはハネケ監督のファンだし、その分評価が上がってるのはあると思います(笑)

ただやっぱりこうして、観終わったあともあーでもないこーでもないと考えを巡らせられる映画は好きだな、と。

そんな感じで感想終わり。

 

 


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画像引用元:映画.com

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アン・ハサウェイが怪獣とリンクする映画『シンクロナイズド・モンスター』ネタバレ&感想

ダメウーマン⇔怪獣 シンクロ率100%

えーとえーとすいません、アン・ハサウェイがとてつもなく地雷臭のするB級(ぽい)映画に出ているのに衝撃を受けて「あんまり面白くないんだろうなぁ」と思いつつもレンタルしました、ちびぞうです。

多分彼女に釣られてレンタルしてみた方は沢山いるかと思います。

こんなに地雷がハッキリと見えているのもなかなか珍しいですけど、アン・ハサウェイはこの脚本にかなり食い付いて、製作にも携わっちゃったようです。観る人が観れば名作!?という賛否両論な作品になる予感?

あああ、今気付いたけどアルバトロスの配給ですね・・・。

監督は『ブラック・ハッカー』のナチョ・ビガロンド。確かあの映画も色々とツッコミどころがあってそこそこだったような・・・。

【映画情報】

【原題】Colossal
【制作国】カナダ
【監督/脚本】ナチョ・ビガロンド
【製作】ニコラス・シャルティエ、ゼブ・フォアマン、ドミニク・ラスタム、ナイカリ・イピニャ、ラッセル・レビン
【製作総指揮】アン・ハサウェイ、ショーン・ウィリアムソン、ジョナサン・デクター、ナチョ・ビガロンド、ギャレット・バッシュ、ジャスティン・バーシュ、イ・ジェウ、チェ・ピョンホ、クリス・リットン
【撮影】エリック・クレス
【美術】スーザン・チャン
【衣装】アントワネット・メッサン
【編集】ルーク・ドゥ―ラン、ベン・ボーデュアン
【音楽】ベアー・マクレアリー
【音楽監修】リンダ・コーエン
【出演([]内は役名)】

  • アン・ハサウェイ[グロリア]
  • ジェイソン・サダイキス[オスカー]
  • ダン・スティーブンス[ティム]
  • オースティン・ストウェル[ジョエル]
  • ティム・ブレイク・ネルソン[ガース]

【公開日(日本)】2017年11月3日
【上映時間】110分
【配給】アルバトロス・フィルム
【映倫区分】G
【IMDB】6.2/10.0  (およそ44,600人の評価)

【あらすじ】

ニューヨークで職を失い、毎晩のように酒に酔って暴走した挙句、同棲中の彼氏に追い出されてしまったグロリア。すべてを失った彼女は生まれ育った故郷の田舎町に帰ってくる。その一方、韓国ソウルで謎の大怪獣が出現したというニュースが世間を騒がせていた。テレビに映し出された怪獣の映像を見たグロリアは、ある異変に気づく。それは自分の動作が巨大怪獣の動きと見事にシンクロしているという驚きの事実だった。舞い上がったグロリアは、怪獣を操り世界を混乱に陥れるが……。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレあるし酷評だよ!)】

☆1.5/5.0

いやー、ちびぞうはダメでしたね。全くもってダメでした。

楽しいところがまるでない。

主人公のアルコール依存症の問題についても、もう少し描写があれば深刻度が増したかもしれなかったですが・・・全体的に設定がフワッとしていましたね。あらすじに一応の顛末は書かれていますが、そうだったのか!と思うくらい分かりにくいです。

途中に挟まれたラブ?要素も蛇足感がありましたし、意味が分からない場面が多い!

そもそも、怪獣と自分の動きがリンクしているという事実に気付けるという、一番重要なところに説得力がないんですよね・・・。普通は気付かないと思う・・・。

おおまかなストーリー

地元に戻ってきて幼馴染のオスカーのバーで働き始めたグロリア。

ある日韓国に現れた怪獣が、自分の動きとリンクしていると気付いたグロリア(アン・ハサウェイ)。

近所の公園が韓国とリンクしており、砂場に入ると怪獣が出現すると知り、それを幼馴染の男たちに教えるグロリア。

彼女は酔っぱらって公園で暴れ、そのせいで怪獣が人間を殺してしまっていた。
ある時、もう一体の怪獣が韓国に出現。なんと幼馴染の一人、オスカーも怪獣とリンクしており彼が砂場に入ったことが原因だった。

オスカーはグロリアに淡い恋心を抱いているが、グロリアはオスカーの友達のイケメンと寝てしまう。その辺りからオスカーの嫉妬が激しくなり、態度が厳しくなり、わざと砂場に入って怪獣を出現させるなど、徐々に行動がエスカレートしていく。

彼に愛想を尽かせたグロリアは、元カレからのちょっかいを振り払いつつ、オスカーのバーも辞め、暴走する彼を止めるべく単身韓国へ向かう。

そして、韓国でオスカーの怪獣を前にすると、場所がリンクしているため地元の公園のオスカー本人の目の前にグロリアの怪獣が現れ、彼をガシッと掴んでポーイ!怪獣も韓国から吹っ飛んでいき平和が戻る・・・

という感じで映画が終わる。

いまいち分からない

怪獣がなぜ現れたのか?→分からない。

一応、小さい頃にグロリアとオスカーが雷に打たれるシーンがありまして、おそらくそれが原因で怪獣が生まれた・・・という事なんだと思いますが。なぜ??と聞かれても答えられない。砂場と韓国だけがリンクしているのも謎です。(雷に打たれた時、グロリアは自分で作った韓国の都市の模型を持っていて、いじめっこオスカーにそれを踏みつぶされたりしていたから過去のトラウマと韓国が結び付いている感じはしますが)

こういう怪獣映画の場合、理由なんて別になくたって楽しめる場合はありますよね。例えば戦闘シーンが楽しいとか、破壊のシーンに恐怖と迫力があるとか、怪獣のデザインがそもそもカッコよくて見栄えするとか。
でもそういう、理由なんて意味なんて分からなくても楽しい!!!というポイントが一切ない・・・。ストーリーもテンポがあまり良くないし、グロリアとオスカーの良い感じの会話シーンのあとでグロリアが別の男と寝てしまうという「裏切られ感」もちょこちょこあり・・・。元々のオスカーの人格はそんなに悪い人っぽくないので、後半の暴走の様子を見ていてもそんなに感情移入できないんです。

誰かが言っていました、悪役に魅力がある映画は面白くなる、と。
その逆で、悪役に魅力のない映画は面白くならない・・・ということなんですよね・・・。

まとめ

どこにでもいそうな、問題を抱えまくった一個人と、都市を破壊してしまえるような巨大な怪獣がシンクロしているという発想は面白いですし、何気なくしている行為が地球を破壊しているとか、これがまさに人間だというものを表している!的な意見があるのも分からなくもないんですが・・・。
そのネタを活かしきれてない感じがして、もったいなかったですね。

ジャケットもかなりファンキーな感じがしたけど、そんなにコメディ要素はなく、地味なお話なんですよ。
怪獣映画なのか、ヒューマンドラマなのか、コメディなのか、はたまた恋愛映画なのか、アン・ハサウェイのMV映画なのか・・・どの目線で見れば良いのかそもそもそこが分からないし、どの目線で観てもそんなに面白くはない・・・と思います。

褒めるところがなさすぎて困る!!!でも、とっても評価している方もたくさんいるようなので、これも結局は好みの問題なんですかね。

アン・ハサウェイは相変わらずキュートで可愛かったです☆

 

 

 


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画像引用元:映画.com