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実際に起きた”地獄”。映画『デトロイト』ネタバレ&感想

「お前らは犯罪の容疑者だ。銃はどこにあるのか正直に言え。撃ったのは誰だ?」

ちびぞうがまずこの映画に惹かれたのは一点。ウィル・ポールター君の顔がCMで映ったからです(笑)

ウィル・ポールター君とは!!!

「もし”タンタンの冒険”を実写映画化するなら間違いなくタンタン役は彼!」とちびぞうが一人孤独に推している役者さんであります。

タンタン↓

下の画像は『なんちゃって家族』の時のポールター君。

『メイズ・ランナー』でもギャリー役で活躍、近年ではデカプリオがアカデミーを獲った『レヴェナント』にも出演して、着々とキャリアを積んでいる彼。多分ちびぞうが初めて見たのは『ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島』だと思うんですが、さすがにそこの記憶はないな…調べてみたら子役出身だということに驚きました。

彼が挑む、黒人別の映画…。しかも、ものごっつ悪そうな役じゃないですか!こーれは観たい!ちびぞうは好きな役者さんが「嫌な役」をしているのが結構好きなのです(*’ω’*)

映画館に出かける数日前、たまたまこのデトロイトでの暴動、モーテルでの事件についてのドキュメンタリー番組がやっていたので(しっかり観たわけではないけど)、「実話ベースなのか!!」と更に映画に対する期待値アゲアゲ~になりましたね!

パンフはこんな感じ!

白人警官に抗議する黒人たち、そして赤の箔押しで大きくデトロイトの文字。カッコいいです。縦長A4ぽい大きさ、34Pで税抜き677円は普通。樋口毅宏さん、町山智浩さん、越智道雄さん、吉岡正晴さん、藤永康政さんなどが寄稿していました。

【映画情報】

【原題】Detroit
【制作国】アメリカ
【監督】キャスリン・ビグロー
【脚本】マーク・ボール
【製作】キャスリン・ビグロー、マーク・ボール、ミーガン・エリソン
【撮影監督】バリー・アクロイド
【美術】ジェレミー・ヒンドル
【編集】ウィリアム・ゴールデンバーグ
【衣装】フランシン・ジェイミソン=タンチャック
【音楽】ジェームズ・ニュートン・ハワード
【出演([]内は役名)】

  • ジョン・ボイエガ[ディスミュークス]

  • ウィル・ポールター[クラウス]

  • オースティン・エベール[ロバーツ准尉]

  • ジャック・レイナ―[デメンズ]

  • ジョン・クラシンスキー[アウアーバッハ弁護士]

  • ベン・オトゥール[フリン]

  • アンソニー・マッキー[グリーン]

  • ネイサン・デイヴィス・ジュニア[オーブリー]

  • ジェイソン・ミッチェル[カール]

  • ペイトン・アレックス・スミス[リー]

  • マルコム・デヴィッド・ケリー[マイケル]

  • アルジー・スミス[ラリー]

  • ジェイコブ・ラティモア[フレッド]

  • ハンナ・マリー[ジュリー]

  • ケイトリン・デヴァ―[カレン]

【公開日(日本)】2018年1月26日
【上映時間】142分
【配給】ロングライド
【映倫区分】G
【IMDB】7.4/10.0  (およそ24600人の評価)

【あらすじ】

67年、夏のミシガン州デトロイト。権力や社会に対する黒人たちの不満が噴出し、暴動が発生。3日目の夜、若い黒人客たちでにぎわうアルジェ・モーテルの一室から銃声が響く。デトロイト市警やミシガン州警察、ミシガン陸軍州兵、地元の警備隊たちが、ピストルの捜索、押収のためモーテルに押しかけ、数人の白人警官が捜査手順を無視し、宿泊客たちを脅迫。誰彼構わずに自白を強要する不当な強制尋問を展開していく。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレしているよ!)】

☆3.5/5.0

まず観終わって最初にちびぞうが思ったのは、

「地獄を観てきてしまった…」

という感想。

重苦しく、胸を締め付けられるような、恫喝と、嫌がらせと、暴力のシークエンスがかなり長く続く。しかし全体でみると142分もあるのに、そんな長さは感じられない。不思議。

この監督の作品は『K-19』くらいしか観てないちびぞうですが、「このひとめっちゃうまい!」と思いましたね。はい。その場にいるような臨場感はノーラン監督の『ダンケルク』のようだし、ただの差別映画ではない深みも感じられた気がしました。

そこで生きている例えば白人警官の「自分なりの正義」を信じる狂気。そこに、客観視すると確実に悪はあるんだけど、でも一言で悪と言い切れない恐ろしさ。

最近、スタンフォード監獄実験を映画化した『プリズン・エクスペリメント』を観ましたが「権力や自分のいる立ち位置が他人の人権を殺していく」過程が、今作ではよりリアルに、痛ましく、真実味を以て迫ってくる、そんな感じがしました(事実だから真実味があるというより、役者の演技や監督の演出がもたらすリアリズムのせいだと思う)

ただのアルバイトでも、立場や権力を与えられればあそこまで人を痛めつけるようになってしまうのに、そこに「長く続く差別の意識」だったり「歴史」だったりが絡めば、どれほど深く恐ろしいことになるか…。まさに地獄、だったなぁ。

看守と囚人ごっこで人は狂う。映画『プリズン・エクスペリメント』ネタバレ&感想

おおまかなストーリー

1967年、デトロイト暴動の最中に発生したアルジェ・モーテル事件がもとになっています。

白人警官が不当に黒人犯罪者を虐待したり、殺したりする世の中で、黒人の不満が爆発。暴動が起き、州兵や軍なども出動する中、モーテルでおもちゃの銃を発砲した10代の黒人がいた。

狙撃犯を探せ!と州兵とデトロイト市警がモーテルへ急行。そこへ、近くの食料品店で警備員をしていた黒人のディスミュークスも駆けつける。白人警官たちはモーテルの黒人たちを壁に向かって並べ、「誰が狙撃犯なんだ、銃はどこにある、吐け」と脅し、暴力をふるい、死のゲーム(一人ずつ別室へ連れて行き、床などに発砲「黙っていなければ次は本当に殺す」と脅す。廊下に並んでいた人たちは実際に殺されてしまったと思い込む。そして、「ああなりたくなければ本当のことを言え」と脅すというもの)を行う。

しかし、警官の一人がその死のゲームのことを把握しておらず、本当に一人撃ち殺してしまう。そして「まずいことになった、引き揚げろ」と警官は全員を逃がす。この、モーテルで10代の黒人が3人殺害されたという事件で、その場を取り仕切っていたクラウス(ウィル・ポールター)含む三名の警官が裁判にかけられるが、結果は無罪。(陪審員は全員白人であった)

そして、その事件に巻き込まれた”ザ・ドラマスティックス”のボーカル・ラリーは、俗世音楽を白人のために歌うのを拒絶し、教会で聖歌を歌うようになる…。

役者陣の演技・キャスティングのすばらしさ

さっすが新進気鋭の三枚目実力派俳優、ウィル・ポールター君!!!

ゲスな差別主義者の白人警官を演じています。

彼の顔が童顔で「ちょっと若く見えすぎてしまうんじゃない?」というのが観てる間気になっていたんですが、実はそれは狙いだったよう。差別主義者の幼稚さというものを彼の童顔が表していたようで。なるほど!!!

対する黒人側の被害者の一人、ラリー役のアルジー・スミスもとってもいい演技をしています。彼の歌声は本当に心に染みます。劇中では彼のモデルになったラリー本人が作った曲を二人でデュエットしているようですね。最後にラリーが教会で歌うシーンは本当に胸に来ます。

そして、黒人と白人の間のようなポジションにいた、黒人警備員のディスミュークス(ジョン・ボイエガ)。警官側のメインキャラは複数の人物を一人に落とし込めていたり、名前も変えられていたりするんですが、彼の名前だけは実名らしいところも面白い。

彼は制服を着て、白人に上手く近付く術も持っており、酷い扱いを受けそうになる黒人を何度も白人から救っていました。彼はちょうどその差別社会の間にいるグレーな立場というか、95%が白人だったという警官たちの中で警備員としての”制服”を着ていた彼だけが、差別を受けずに済んでいた、という状況が物語っている”制服”の表す権力の力のようなものが感じられますよね。前述した、スタンフォード監獄実験でも制服は過大な力を与えていましたもんね。

このディスミュークスという人物は、世の中を変えていく希望にも思え、この地獄のような映画の中で唯一のオアシスになり得る存在でした。彼を演じたジョン・ボイエガの演技はまさに「ポスト・デンゼルワシントン」といった感じ。かなり話が進むまで「スターウォーズ新章のフィン」だという事に気付かないくらい、演じ分けがしっかりされていたと思います。

まとめ

この映画がもたらす社会への影響、だったり、差別に対するどうのこうのなんて難しいことはちびぞうにはさっぱり分かりません。真実はどうであったか、と判断するのは鑑賞者それぞれの心が決めればいいことですし。

だけど、こういった事実があったということを知るきっかけになったり、黒人差別というものがどんなものだったのか、考えたり興味を持ったりすることに意義がある、と思います。それだけでもすごく価値のある映画だったと思う。

他にも黒人の青年が白人警官に射殺された事件(これはなんと2009年の事件。きっと今でもこういうことは普通に行われているんだと思う)を扱った『フルートベール駅で』だったりと、実際に起きている黒人への虐待や殺人事件を取り扱った映画はたくさんあります。最近だと『それでも夜は明ける』という黒人奴隷時代の映画もありましたね。

探せば多分もっとたくさんある。だけどあんまり多くの人に観られてはいない。

ぜひ、一つの事象を知るきっかけとして、とても実録という以上に映画としての面白さもあるので、劇場に観に行って欲しいな。辛く重い気持ちになるけど、価値があるから。そう思う作品でありました。

 

 


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ドムはいないけど観よう!映画『ワイルド・スピードX2』ネタバレ&感想

限界を突き抜けろ!!

今作は、『ワイルド・スピード』の二作目に当たります。時系列的にも二本目。

車好きがぶっ飛ぶ伝説の始まり。映画『ワイルド・スピード』ネタバレ&感想

シリーズの主要キャラになっていくドムは前回のラストでメキシコに旅立ったりしたので出てきません。ドムがいないならば俺も俺も!という感じで妹ミアも恋人レティも出てきません。

ブライアンと、黒いハゲがメインです。
あとおまけでエヴァ・メンデスも出てます。

それなら、シリーズ的に観なくても良いのかな?と思ってしまいがちですが、そうではない!!!!

というのも、今作に登場するメインキャラの二人、ローマン・ピアース(タイリース・ギブソン)とテズ・パーカー(クリス・”リュダクリス”・ブリッジス)の二人が5作目にあたる『ワイルド・スピードMEGAMAX』から再登場するんです!!!

なので、ファミリーを知る上では今作も外せないですよ!

【映画情報】

【原題】2 Fast 2 Furious
【制作国】アメリカ
【監督】ジョン・シングルトン
【脚本】マイケル・ブランド、デレク・ハース
【原案】マイケル・ブランド、デレク・ハース、ゲイリー・スコット・トンプソン
【エグゼクティブ・プロデューサー】リー・R・メイズ
【製作】ニール・H・モリッツ
【撮影】マシュー・F・レオネッティ
【編集】ブルース・キャノン、ダラス・ピュエット
【音楽】デビッド・アーノルド
【出演([]内は役名)】

  • ポール・ウォーカー[ブライアン・オコナ―(ブリット)]
  • タイリース・ギブソン[ローマン・ピアース]
  • エヴァ・メンデス[モニカ・フェンテス]
  • コール・ハウザー[カーター・ベローン]
  • クリス・”リュダクリス”・ブリッジス[テズ・パーカー]
  • トム・バリー[ビルキンス捜査官]
  • ジェームズ・レマー[マークハム捜査官]
  • スーキー[デヴォン青木]
  • アマウリ―・ノラスコ[オレンジ・ジュリウス]
  • マイケル・イーリー[スラップ・ジャック]

【公開日(日本)】2003年8月23日
【上映時間】108分
【配給】UIP
【前作】車好きがぶっ飛ぶ伝説の始まり。映画『ワイルド・スピード』ネタバレ&感想
【次作】ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT
【IMDB】5.9/10.0  (およそ216,000人の評価)

【あらすじ】

マイアミ。警官の職を失ったブライアン・オコナー(ポール・ウォーカー)は、ストリート・カー・レースで勝利して賞金を手にする。その直後、一斉取締まりで逮捕。しかしそれは、ブライアンを再び囮捜査の任務に就かせようとする警察の意図によるものだった。今回の標的は、貿易商という表の顔を持ちながら、実は国際的なマネー・ロンダリング組織のボスであるカーター(コール・ハウザー)。ブライアンは幼なじみの前科者、ピアース(タイリース)を相棒に指名。ピアースは、捜査が成功すれば前科記録を抹消するという約束で、協力を承諾する。やがて二人は、首尾よくカーターのドライバーとして雇われる。カーターの愛人を演じている囮捜査官のモニカ(エヴァ・メンデス)も加わり、ついに、汚れた金を運ぶ命令がカーターから下った。【引用元:映画.com

【感想】

☆2.3/5.0

2 Fast 2 Furiousという原題がクールすぎる本作。

一番最初にこの映画を観た時のちびぞうの感想が以下です。

「相変わらずのニトロ。ストーリーは頭に入ってこない。
そしてドミニクがいない。いなくなって気付くドミニクの大切さ。
戻ってきてドム!!!!いやブライアン君がドムの元へ戻れ!!

正直全然内容覚えてないので、レビューってレベルのことが書けません。
デヴォン青木は見かけるとテンションが上がる女優さんの一人なのでちょっと嬉しかった。
次に期待!!!!!」

見返しましたが、相変わらず内容はあまり入ってこない…という感想は変わりませんでした(笑)

今回のおおまかなストーリーは映画.comさんのあらすじを観てもらえれば大丈夫なので特に書かなくても良いかぁ(やる気のなさがにじむ文章)。

ワイスピがややこしくなる人のための記憶ポイント

  • ドムファミリーがいない
  • 舞台はマイアミである
  • 今回は黒いハゲ(ローマン・ピアース)とコンビを組む
  • 今回はエヴァ・メンデスと一緒に潜入捜査する
  • デヴォン青木がドピンクのAP1S 2000に乗っていてめちゃ可愛い

大体こんなところを押さえておけばオッケー!!!

まとめ

カーアクションの勢い、見せ場は前作よりも多くなっていますが、キャラの魅力が全体的にちょっと薄め。敵役にもいまいち魅力が感じられず、『トリプルX』ともごちゃごちゃになりそう…。

それから、何度も書いていますが、『シン・シティ』でちびぞうが惚れたデヴォン青木も登場していたりします。彼女も好き。
登場する女性たちが強くてカッコいい!というのもこのシリーズの魅力の一つですよね。

次作として作られたのは妻夫木くんの出ている『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』なんですが、話の時系列的に三作目になるのは四本目のMAXなので、次はそれを見返したいと思います。

関連記事

再起動へ向けて、映画『トリプルX &ネクストレベル』おさらいレビュー

 

 


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画像引用元:IMDB

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車好きがぶっ飛ぶ伝説の始まり。映画『ワイルド・スピード』ネタバレ&感想

十秒足らずの時間だけ―――俺は自由だ

2018年2月現在でシリーズ第10作目の制作も決まっているという長寿大ヒットシリーズの原点!!!伝説の始まりですね!!

ワイルド・スピードと言えば、ちびぞうがニュージーランドに滞在している時にちょうどワイスピ2が劇場で公開される、というタイミングでしてその時お世話になっていたホストファミリーのホストブラザー(確か14歳くらい)が「大好きなんだ!」と言って観に行っていたのを覚えています。

その子は車が、特に日本車が大好きで「スカイラインが一番好き」とよく話を聞かせてくれていたなぁ…部屋の壁や天井には車の雑誌から切り抜いた車の写真を隙間なく貼っていて…今でもこの映画のシリーズを観るたびに彼の事を思い出します(笑)

おっさんになった今も新作をワクワクしながら観に行ってるんだろうか。

脱線しましたね。

何の縁なのか、実は60歳を超えるちびぞうの母親もこのワイスピシリーズを大好きでありまして、新作が出る度に1から何度も見返している様子なので、今回ちびぞうも一緒にシリーズを見返しつつブログをしたためようかと思いましたー!

ちなみに現時点での最新作・ワイスピ/アイスブレイクの記事もあります。

ハゲと筋肉がもつれ合う最新作!映画『ワイルド・スピード ICE BREAK』感想

【映画情報】

【原題】The Fast and the Furious
【制作国】アメリカ
【監督】ロブ・コーエン
【脚本】ゲイリー・スコット・トンプソン、エリック・バーグクィスト、デビッド・エアー
【原案】ゲイリー・スコット・トンプソン
【製作総指揮】ダグ・クレイボーン、ジョン・ポーグ
【製作】ニール・H・モリッツ
【撮影】エリクソン・コア
【美術】ウォルドマー・カリノウスキー
【編集】ピーター・ホネス
【衣装デザイン】サーニャ・ミルコビック・ヘイズ
【音楽】BT
【音楽監修】ゲイリー・ジョーンズ、ハッピー・ウォルターズ
【出演([]内は役名)】

  • ポール・ウォーカー[ブライアン・オコナ―]
  • ヴィン・ディーゼル[ドミニク・トレット]
  • ミシェル・ロドリゲス[レティ]
  • ジョーダナ・ブリュースター[ミア・トレット]
  • リック・ユーン[ジョニー・トラン]
  • チャド・リンドバーグ[ジェシー]
  • ジョニー・ストロング[レオン]
  • マット・シュルツ[ヴィンス]
  • テッド・レビン[タナ―巡査部長]
  • ジャ・ルール[エドウィン]

【公開日(日本)】2001年10月20日
【上映時間】107分
【配給】UIP
【次作】ドムはいないけど観よう!映画『ワイルド・スピードX2』ネタバレ&感想
【IMDB】6.7/10.0  (およそ301,000人の評価)

【あらすじ】

ロサンゼルスを車で自在に走り回るドミニク(ヴィン・ディーゼル)は、夜な夜なレースに挑んでくる連中を相手に、一度のレースで一万ドルを稼ぐ凄腕。そんな彼に、謎めいた男ブライアン(ポール・ウォーカー)がレースに挑むことになる。実はブライアンは、トラックの連続ジャック事件を極秘に追う警官だった。容疑者は腕の立つストリート・レーサーたちだったので、潜入捜査を行なっていたのだ。しかし、ドミニクと、チャイニーズ系のジョニー(リック・ユーン)がそれぞれ率いる二大組織の対立が高まりつつある中、ブライアンはドミニク、また彼の妹ミア(ジョーダナ・ブリュースター)との絆を深めていく。【引用元:映画.com

【感想】

☆2.4/5.0

当時、見始めようと思ったときは「このシリーズも観ておくかぁ」と軽い気持ちで重たい尻を上げ観賞することにしたんですよねー。
カーアクションものは一切観てこなかったのでこういう系はサッパリわからない私でした(今も車のことはよくわかっていません)。

結局、重たい尻を上げて見始めた割には、この後しっかりユーロミッションまで観るし、しかも登場キャラクターの一人、ハンを大好きになるというミーハーっぷりを発揮しますが。

今見返すと、

ブライアン若い!!!
ドムも若い!!!
レティも若い!!!!

と大騒ぎすること間違いなし(笑)

オープニングの強盗シーンで、車がトラックの下を並走するアクションシーンがインパクトすごくてめっちゃカッコいいです!!!

ワイスピがややこしくなる人のための記憶ポイント

  • ブライアンとドムの出会いが潜入捜査だったよ!
  • ブライアンとミアの出会いもあったよ!
  • ドムとレティはまだカップルっぽくないよ!
  • 敵対するのは中国系ギャングだよ!
  • ADHDの子がレースに負けたのに逃げ出しちゃうよ!
  • ハゲは一人だけ!分かりやすい!
  • ドムの親父のエピソードが印象的だよ!

大体これくらいのポイントを覚えておけば、1のことはバッチリですね。

ストーリーはありがちな潜入捜査モノ。

ストリートレースという賭け事が流行っている地元の不良たちグループが車両強盗とかもしていて、そこへ潜入捜査を始めたブライアンが次第に強盗グループのトップ”ドム”とファミリーの魅力(あと女)にほだされてしまう…という展開でわりとサクサク観れます。

後半、警官だと嘘がバレる前のポールとヴィンさんの仲の良さにほっこり。

最後はドムを逃がしてしまったことでブライアンは警官をクビになってしまった…というのが続編で語れらるんですけども…いいのかそれは(笑)

しっかし、ニトロね!!!ニトロというのは当時は爆発物をエンジンに仕込んでその爆発の威力で馬鹿みたいにスピードを上げるという感じのものだと思っていたんですが、今調べてみるとwikiさんには

「自動車等のエンジンに亜酸化窒素を送って一時的に出力を上げるシステムの俗称」

と書かれているのでそっちのことかもしれませんね。

どっちにしろ、毎回観るたびに「いいのあれ?あれさえ積んどけば速い!的な!金かけたもんだけが強い、みたいな今時の課金ゲ―みたいですね!!」と思ってしまうんですけどね(笑)
まぁ、ニトロを使って加速するのにも度胸やドライブテクが要るのかもしれませんが…ちびぞうのような素人にはよくわかりません。

まとめ

大好きなレティ(ミシェル・ロドリゲス)が本当にかっこよくて良かったー!ロザリオ・ドーソンと並んで大好きな女優さんです!!!

音楽もカッコいいし、車好きにはたまらない一本!!
この作品単品だけだとそこまで面白い!!!とはならないんですが、ここからシリーズを追いかけてどんどこと観ていくとブライアンがほだされたように、ドム率いるファミリーの魅力にハマっていくこと間違いなし…です。

ここから先もどんどんシリーズが出ていくと思うので、未見の方は早めに見返してみてはいかがでしょうか。

ちなみに、次作である『ワイルド・スピードX2』にはドムもレティも登場しません…更に言えば3作目である『東京ドリフト』にはブライアンすら出ません(笑)

東京ドリフトは時系列的には6作目と7作目の間の話なので、今回は製作順ではなく、時間軸に沿って追いかけたいと思います!

 

 

 


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あ行

なぜ15年も監禁されたのか。映画『オールド・ボーイ』ネタバレ&感想

お前は誰だ!? なぜ俺を15年監禁した!?

ずっっっと前から名前は知っていた有名な作品。

ちびぞうは昔からハリウッド系ばかりで邦画含めアジア系の映画はほとんど観ておらず、韓国映画も『箪笥』『悪い男』『誰かがあなたを愛してる』『私の頭の中の消しゴム』『母なる証明』くらいしか観た事がないんですよねー。両手で数えられるってすごい…。

あ、最近『殺人の告白』も観ましたね。特に理由はなく食わず嫌いしていたので、最近はちょくちょく気になるもの、オススメされるものは観ています(*’ω’*)b

”22年目の告白”の原案!映画『殺人の告白』感想&ネタバレ

ちなみに監督は鬱映画で有名?なパク・チャヌク監督…。今作は復讐三部作と題された三本の作品のうちの二作目に当たるようです。

【映画情報】

【原題】올드 보이
【制作国】韓国
【監督】パク・チャヌク
【脚本】ワン・ジョユン、イム・ジュンヒュン、パク・チャヌク
【原作】土屋ガロン(作)、嶺岸信明(画)『ルーズ戦記 オールドボーイ』
【製作】キム・ドンジュ
【撮影】チョン・ジョンフン
【美術】リュ・ソンヒ
【音楽】イ・ジス、チェ・スンヨン、シム・ヒョンジュン
【出演([]内は役名)】

  • チェ・ミンシク[オ・デス]
  • ユ・ジテ[イ・ウジン]
  • カン・へジョン[ミド]
  • チ・デハン[ノ・ジュファン]
  • オ・ダルス[パク・チョルン]
  • イ・スンシン[ヒョンジャ]
  • ユン・ジンソ[イ・スア]
  • キム・ビョンオク[ハン警護室長]
  • オ・テギョン[デス(高校時代)]
  • ユ・イラン[ジュファン(高校時代)]
  • アン・ヨンソク[ウジン(高校時代)]

【公開日(日本)】2004年11月6日
【上映時間】120分
【配給】東芝エンターテイメント
【映倫区分】R15+
【IMDB】8.4/10.0  (およそ412500人の評価)

【あらすじ】

理由も分からないまま15年間も監禁されていた男オ・デス。突然解放された彼の前に謎の男ウジンが出現、5日間で彼が監禁された理由を解き明かせと迫る。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレもあるよ!)】

☆4.1/5.0

完っっ全に食わず嫌いしてましたが、友人の強い勧めで観賞してみたら「あーら面白いじゃないの!!!こんな面白いのなんで観てなかったのばかー!」と自分に対し憤慨して反省しました(笑)

グロいシーン、痛いシーン、そして暴力シーン、倫理的にアララなシーンも大いにある、さすがR指定の作品ですねといった感じの内容でしかも後味も最高に悪いので、人を選ぶこと間違いなし!

しかし、傑作なんですよ…

おおまかなストーリー(ここからネタバレするよ!)

15年間意味もわからず監禁された男(デス)が突然解放され、監禁していた男(ウジン)が現れて「お前が監禁されていた理由を五日間で解き明かせ」と命令してくる。そして主人公は苦悩しながらその真相を探るよ!!という五日間(短い!!!)のお話です。

途中でミドという若い女性に出会い、手助けされ、恋に落ち、体を重ね、そしてついに真相に辿り着く!!!!しかし、その答えはあまりにも残酷なものだった…!!!

実は監禁の理由というのは、

高校時代にデスがウジンの姉弟での近親相姦を目撃、それをデスが言いふらしてしまったことでウジンの姉が自殺。愛する姉が死んだ原因を作ったデスに復讐しようと、ウジンが仕組んだのが今回の計画。そのおそるべき内容というのは

「デスを監禁、妻を殺害しその罪をデスに着せる。そしてデスの娘を誘拐、別人として暮らさせる。15年の年月が経った後で、親子を再会させると、二人は恋に落ち…」

そう、ミドという若い女性がデスの実の娘だったのです!!!というどんでん返しが最後に待っている。なんという恐ろしい計画!!!その事実を知らされたデスの絶望…。

ほんっとうに良くできた脚本

ドロッドロの愛憎劇で、ラスボス(ウジン)の狂いっぷりも大好きだし、オチも好きでした。台詞選びも全部好き。
ウジンというキャラが、あれほどに人を憎んで生きて、それだけが生き甲斐になって。達成してしまったら生きていく目的を失ってしまう感じも切ない。自分のことも憎んでいただろうけど、誰かを憎むことで生きてきた、といっても過言ではないですよね。

ああ切ない。

よくよく考えると主人公は単なるとばっちりじゃん?って思わなくもない…んですが。でも、自分にとって「え?そんなことで?」って思うような事でも他人をとてつもなく苦しめたり傷付けたりすることって確かにあるわけで。
だから現実的に考えるとリアリティのない、突拍子のないことしてる異次元の映画にも思えるんですが、根本の部分はとても身近にある感情なんだなと思う。そこが怖いんです。

演出もうまい。

主人公の頑なな強さを前半でしっかりと描いているから、ラスト周辺でそれが崩れた姿を見た時に「それほどまでに大切なのか・・・!」と驚愕できる。

あんなに強い印象があったデスなのに、愛する娘のために地面に這いつくばって靴を舐めたりするんですよ…!号泣ですよ。

この落差、主人公の変貌ぶりの演出がすごく上手だと思いましたね。

ここらへんは主演二人の名演技による力も大きいと思う。

まとめ

何度も言うけどほんとうにすごい映画。傑作。

だけど、だけど、どうしてもちびぞうは今一つ突き抜けて好きになれない感じもあるんです。…韓国映画特有の後味の悪さが若干苦手なのかなぁ。
いやーな感覚がつきまとう終わり方が、どうも肌に合わないのかもしれませんね。

しかしこれ、サスペンスやミステリー好きな方なら間違いなく楽しめる一本だと思う。オススメです。

きっと映画好きなら観てる人の方が多い映画ですが、未見の方にはぜひ観て貰いたい…と、こんだけネタバレしといて言います(笑)

 

 


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画像引用元:IMDB

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父と息子の絆を描くアニメ映画『バケモノの子』ネタバレなし感想

「キミとなら、強くなれる。」

試写会にて鑑賞!なので残念ながらパンフはなし!

細田守監督と言えば、『時をかける少女』『サマーウォーズ』などなど有名ですね!ちびぞうも「よろしくおねがいしまぁああ!!!!す!!!」のサマーウォーズは大好き!(*’ω’*)

今回も期待値アゲアゲで鑑賞しました!

公式サイトはこちら

【映画情報】

【制作国】日本
【監督/原作/脚本】細田守
【製作】中山良夫、齋藤佑佳、井上伸一郎、市川南、柏木登、中村理一郎、薮下維也、熊谷宜和
【ゼネラルプロデューサー】奥田誠治
【エグゼクティブプロデューサー】門屋大輔、高橋望
【プロデューサー】齋藤優一郎、伊藤卓哉、千葉淳、川村元気
【ラインプロデューサー】和気澄賢
【アソシエイトプロデューサー】佐藤譲、伊藤整、鈴木智子
【作画監督】山下高明、西田達三
【美術監督】大森崇、高松洋平、西川洋一
【色彩設計】三笠修
【CGディレクター】堀部亮
【美術設定】上條安里
【衣装】伊賀大介
【編集】西山茂
【録音】小原吉男
【音響監督】赤澤勇二
【音楽】高木正勝
【音楽プロデューサー】北原京子
【主題歌】Mr.Children – “Starting Over”
【出演([]内は役名)】

  • 役所広司[熊徹]
  • 宮崎あおい[久太(少年期)]
  • 染谷将太[久太(青年期)]
  • 広瀬すず[楓]
  • 山路和弘[猪王山]
  • 宮野真守[一郎彦(青年期)]
  • 山口勝平[二郎丸(青年期)]
  • 長塚圭史[久太の父]
  • 麻生久美子[久太の母]
  • 黒木華[一郎彦(少年期)]
  • 諸星すみれ[チコ]
  • 大野百花[二郎丸(少年期)]
  • 津川雅彦[宗師]
  • リリー・フランキー[百秋坊]
  • 大泉洋[多々良]

【公開日(日本)】2015年7月11日
【上映時間】119分
【配給】東宝
【映倫区分】G
【IMDB】7.7/10.0  (およそ12400人の評価)

【あらすじ】

人間界「渋谷」とバケモノ界「渋天街」は、交わることのない二つの世界。ある日、渋谷にいた少年が渋天街のバケモノ・熊徹に出会う。少年は強くなるために渋天街で熊徹の弟子となり、熊徹は少年を九太と命名。ある日、成長して渋谷へ戻った九太は、高校生の楓から新しい世界や価値観を吸収し、生きるべき世界を模索するように。そんな中、両世界を巻き込む事件が起こり……。【引用元:シネマトゥデイ

【感想】

☆3.0/5.0

結論から言えば、非常に無難な作りになっていると感じました。
面白くはあるんだけど、突き抜ける感じ、アツさ、諸々足りない感じ。

期待してしまったのかなー!!!どうしても『サマーウォーズ』、『千と千尋の神隠し』などと比べてしまいますね!!

前半は千と千尋

主人公が序盤でバケモノの世界へと迷い込んでしまう描写など、どことなく『千と千尋の神隠し』を彷彿としてしまい、それと比べてもやっぱり世界観の作り込みなどが薄い感じが。
千と千尋が見事過ぎるのかもしれませんが、やっぱりああいう世界に行ったならば「もしかしたらもう二度と現実世界へは戻れないかもしれない」という怖さが欲しい。
そしてその上であの場所で過ごしていくということを選ぶ覚悟なんかも見たかったですね。(現実世界の父親は離婚してしまっているという事実以外はまともな人そうだし、その父のところへ行くという選択肢を捨ててしまえるほど主人公が切羽詰まっていた感もあまり感じられなかった)なので後半で、簡単に現実世界に行ったり帰ったりしているところを見ると・・・、なんだかバケモノの世界の価値がぐんと下がってしまう感じがして・・・。
あの時あの瞬間に、彼だからこそ辿り着けた、選ばれた感じが欲しかったです。

中盤はベストキッド

なんとなく彷彿となっただけで別に意識してるとかはないかもしれませんが。主人公が熊徹から学んで強くなっていくところは良かったですね。熊徹のダメ師匠っぷりも引き立っていた。弟子である九太を通じて熊徹の父性も育てていく。そんな熊徹の変化も良かった。

中盤~後半に関しては

色々と気になる点も多く、(例えばどうして熊徹のライバルの息子は鯨って漢字が読めたのか?とか)ヒロインの影も薄く、実の父親の影も非常に薄い。

青く光るクジラが渋谷の交差点の下を泳いでいく絵の美しさはとっても良かったんですが、それがなければだいぶ厳しいことになっていたかもしれない。

ラストの展開もお涙頂戴ではあるけれども一線を越えて行かない安心感。

うーん悪くないけど・・・悪くないけどなんかさ・・・!!

そして最後に、主人公(大)の声優を務めた染谷くん・・・。か、滑舌が・・・!滑舌が気になって話に集中出来ない!!
俳優さんなのでお笑い芸人やアイドルを起用するのよりは何倍もマシだけど、ちゃんと通用する技量がある人を選んで欲しい。
こういう時、プロの声優さんにほんと失礼。といつも思う。

まとめ

おそらく期待しすぎもあったんですが、普通に家族で見て普通に楽しめる良作ではあるとは思います。

が、思い出に深く残るような名作にまでは至らない…そんな感じの一本でしたね。

 


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引用元:映画.com

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負け犬たちの復讐劇!映画『予告犯』ネタバレなし感想

「明日の予告を 教えてやる―――。」

2015年に公開された本作。予告CMにホイホイされて劇場まで足を運びました!

今見返してみると相当キャストが豪華!ですね!

監督は『白雪姫殺人事件』などの中村義洋監督。

パンフレットはこんな感じ。

縦長A4くらいのサイズでモノクロ写真にピンク!可愛いですね。裏側はこんな感じ。

38Pで税抜き574円!お安め!劇中に出てきたキーワードの解説ページなども載っています(*’ω’*)

【映画情報】

【制作国】日本
【監督】中村義洋
【脚本】林民夫
【企画・プロデュース】平野隆
【プロデュース】武田吉考
【撮影】相馬大輔
【美術】清水剛
【照明】佐藤浩太
【録音】松本昇和
【編集】松竹利郎
【音楽】大間々昴
【出演([]内は役名)】

  • 生田斗真[奥田宏明(ゲイツ)]

  • 戸田恵梨香[吉野絵里香]

  • 鈴木亮平[葛西智彦(カンサイ)]

  • 濱田岳[木村浩一(ノビタ)]

  • 荒川良々[寺原慎一(メタボ)]

  • 宅間孝行[岡本大毅]

  • 坂口健太郎[市川学]

  • 福山康平[ネルソン・カトー・リカルテ(ヒョロ)]

  • 窪田正孝[青山祐一]

  • 田中圭[公安部・北村]

  • 小松菜奈[ラーメン屋の娘・楓]

  • 滝藤賢一[IT会社社長・栗原]

  • 本田博太郎[加藤]

  • 小日向文世[衆議院議員・設楽木匡志]

【公開日(日本)】2015年6月6日
【上映時間】119分
【配給】東宝
【映倫区分】G
【IMDB】6.5/10.0  (およそ420人の評価)

【あらすじ】

ある日、動画サイトに新聞紙製の頭巾で顔を隠した謎の男が現われ、集団食中毒を起こした挙句に開き直った食品加工会社に火を放つと予告する。警視庁サイバー犯罪対策課のキャリア捜査官・吉野絵里香は、その謎に包まれた予告犯「シンブンシ」の捜査を開始。シンブンシが単独犯ではなく複数犯であることを見抜く。やがて予告通り、食品加工会社の工場が放火される事件が発生。その後もシンブンシは、警察や法律で罰することのできない犯罪者たちへの制裁を次々と予告しては実行に移す。ついには政治家の殺人予告にまで至り、シンブンシの存在は社会現象を巻きおこしていく。【引用元:映画.com

【感想】

☆3.8/5.0

「社会が裁けん悪者はわいが裁いたるで!」とデスノートの月ばりに歪んだ正義感で、人々を粛清していく予告犯。
そのやり方は、まず動画投稿サイトに「予告」の動画を上げ、その予告通りに「実行」した様子もまた動画にしてネットにアップするというもの。

最初は単独犯と思われていましたが、徐々に複数犯であるということが分かっていき、予告犯達を追う刑事(戸田恵梨香)のシークエンスと、犯人側のリーダー(生田斗真)のシークエンスが交互に描かれていきます。
そして少しずつ、”予告犯達”に隠された哀しい真実が明らかになっていく…という流れ。

ポイントは私刑という形で下される鉄槌を気持ち的に許せるかどうか…でしょうか。

この映画は、月くんのように人生順風満帆な天才高校生が振りかざす正義とはまた違うものがその背景にあるので、ぜひそこを観て頂きたい。

無難な脚本なのに涙が止まらない

正直この映画の脚本って、ものすごく無難だと思うんです。
登場人物が出揃った時点である程度の展開やオチは予測が出来てしまうし、終わり方も予測を裏切らない感じ。

だけど、だけど不思議と涙が止まらないんですよぉおおお・・・!!!!!
正直中盤あたりから泣けるポイントがちょいちょい出てきて、泣いた数を数えるのも億劫になってくる後半はずっと泣き通しでした。

ちびぞうの映画鑑賞時の3大ウィークポイント

「高齢者」
「社会のはみ出し者」
「ゲイや障害者などのマイノリティ」

の一つ「社会のはみ出し者」にひっかかってしまったのも大号泣の要因の一つですね。

決して自分に非があったわけではないのに社会の中でうまく生きていけず、はじき出されてしまう人達…。毎日毎日を無難に、一生懸命に生きているつもりでも、なぜか苦しい。誰かにこの苦しみを何とかして欲しい、助け出して欲しい、自分だって何かが出来るはず、だけどどう行動を起こしたらいいか分からない。そういうモヤモヤを抱えている人たち。

この映画の中にも、そういう人達が出てきて予告犯を支持する場面がありましたが、彼らが予告犯に寄せる期待のようなものに共感できる人は意外にも沢山いるのではないでしょうか。

生田さん演じる主人公の行動を(オチも含めて)よくよく考えてみると、実は全然社会のためとかそういうものではなく、単なるエゴから来るものなんだと思います。でも彼のエゴが起こした行動によって「世界的にも幸福度の低い日本という国」で生きる人々の抱える闇が浮き彫りになっていくのは面白いし、やるせない。きっと彼に影響されて人生に変化を起こそうと決意した人も少なくないと思います。
その周囲に与える影響に関して、似ても似つかないストーリーではあるけども、私の大好きな『嫌われ松子の一生』と似た構成だなぁと感じました。

ヒロインとの鏡像関係

戸田恵梨香は生田斗真と相反する思想の持ち主で、まるで光と闇のように2つの価値観がぶつかり合う場面が面白いです。
この世には、人生でくじけて底辺で生きていくしかない者もいれば、くじけず這い上がって輝く者もいる。どちらが正しいとかはもちろんないのだけど、違いのある者同士がもっと早くに出会ってお互い歩み寄ることが出来れば、もう少しラストが変わってきていたかもしれないと思うとうーんなんとも切ないですね!

「努力出来ただけマシなんだよ」という台詞がありましたが、その、努力出来る人と出来ない人との違いはどちらなんだろう。ちびぞうはどっちかと言えば努力出来ない側の人間なので、生田斗真のセリフには胸が痛みましたね。

まとめ

自分でも何が伝えたいのかいまいちよくわかってないですが…とにかく!!

この映画が持つのは社会を変えるだのなんだのって大げさなテーマじゃなく、誰しもが寄り添えるような身近なテーマだと思います。

興味のある人は一度試しに観てみて欲しいですね!!!

 

 


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岩井俊二監督の吸血鬼映画『ヴァンパイア』ネタバレなし感想

惹かれ合う孤独な魂たち
この世の果ての恋物語

こちらもちびぞうの過去鑑賞作をまとめようのシリーズ。

 

岩井俊二監督が外国の俳優さんたちを起用しカナダで撮影したという本作!!

異質なヴァンパイア映画ということで…ヴァンパイア映画が大好きなちびぞうにとってどのように映るのか!?

あまり国内外の評価は高くなさそうなので期待はしない方がよさそうです…。

ちなみに岩井俊二監督の映画はそんなに多く観ていませんがちびぞうは『リップヴァンウィンクルの花嫁』が好きですね!!

今作の公式サイトはこちら

【映画情報】

【原題】Vampire
【制作国】アメリカ/カナダ/日本
【監督/プロデュース/脚本/編集/音楽】岩井俊二
【出演([]内は役名)】

  • ケヴィン・ゼガーズ[サイモン]
  • ケイシャ・キャッスル=ヒューズ[ゼリーフィッシュ]
  • 蒼井優[ミナ]
  • アデレイド・クレメンス[レディバード]
  • トレヴァー・モーガン[レンフィールド]
  • アマンダ・プラマー[ヘルガ]
  • クリスティン・クルック[マリア・ルーカス]
  • レイチェル・リー・クック[ローラ・キング]

【公開日(日本)】2012年9月15日
【上映時間】119分
【配給】ポニーキャニオン
【映倫区分】PG12
【IMDB】5.4/10.0  (およそ1,300人の評価)

【あらすじ】

高校教師のサイモン(ケヴィン・ゼガーズ)は、アルツハイマーの母親(アマンダ・プラマー)と一緒に暮らしている。ある日、彼はウェブサイト上で、一緒に自殺してくれる仲間を探している人々が集まる自殺サイトを見ていた。サイモンは、そのサイトで血をくれる人を探していた。そんな彼は、自殺を志願する人々から“ブラッドスティーラー”や“ヴァンパイア”と呼ばれていて……。【引用元:シネマトゥデイ

【感想】

☆3.9/5.0

好き。愛しい。ちびぞうはこの映画が好きです!!!

数多くのヴァンパイア映画を愛でてきたちびぞうですが(言うほど観てないけど)、この作品に新しい吸血鬼映画の可能性を感じた!!

(吸血鬼映画としての異質さは『モールス』なんかと近い部分があるかも)

主人公は高校の教師(理系)。休みの日には自殺志願者の集うサイトで自殺志願者(女性ばかり)を物色。自殺オフに見せかけて相手の血を注射器でスマートに抜いて殺し、その血を飲む。その行為が吸血鬼ゆえなのか、ただの血が飲みたいだけの人間だから(血液嗜好症とか)しているのか…それとも殺すこと自体に意味があるのか。明確にはされません。そのふわっと感がまた良い。
主人公と出会う様々な女達はみな一様に美しく、そして死を渇望している。散る間際の命ってどうしてこうも綺麗に見えるのか…!薄幸美人ってことなのでしょうか!?

死が全体を覆っている物語なんですが、その中にいくつかの愛の物語が散りばめられていて、どれも切ないです…!!
主人公の行動は倫理に反するけど本当に彼女たちを思いやっていて、愛があると感じられたし、ある一人の少女と出会ってその愛の形に変化が訪れる瞬間は鳥肌モノです。

あのシーンだけでいいから観て欲しい!(前後も大事だけどさ…そうね、とりあえず全部観ましょう!)

生徒役で出ていた蒼井優も脇役ですが、良い演技してました!!(ただ役どころに見合わない存在感で、最後までこの子何かあるわね!?感が拭えなかった)

一言で言えば異端な男子の愛の物語。そこに吸血鬼と言うエッセンスが加わって新たな世界観が生まれています。(退屈だと思う人には退屈かもしれない…血を飲むシーンとかグロいと感じる人にはグロいし、結局人を選ぶ作品化もしれません)

岩井俊二監督の映画はあまり観ていないのでこの人らしいかどうかはわかりませんが、私は凄く好きでした。ネット上で色々と感想を見ていると、確かに他の方が言ってるみたいに外国人キャストでやる意味はあまりないのかも?しれないんですが、いかにも洋画な画面なのに音楽や脚本が邦画っぽくて不思議な世界観なんですよね。そこが非日常感を煽ってて良い感じです。

正統派な吸血鬼映画とは少し違うんだけど、巷でよくあるパターンの作品に辟易し始めた人に、ちょっぴり「こんなのはどう?」とオススしたい一本です!!(*’ω’*)

 

 


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粉ミルクで赤ちゃんが…映画『汚れたミルク/あるセールスマンの告発』ネタバレ&感想

子どもたちを守るため、男は世界最大企業を敵にまわした――

インド映画好きのちびぞうの食指が伸びました!!!

何の前知識もなく、DVDにて鑑賞。ぶっちゃけ手に取るまではこの邦題エロくない…?と思っていました、汚れていたのはちびぞうの心でした。

しかし安心してレジへ持って行ってください、本作には「あるセールスマンの告発」という非常に真面目な副題がついていますからね。

何の話かよく分からなくなってきたところで本題へ。

この監督さん、『鉄くず拾いの物語』『ノーマンズランド』の人でした!!!実話ものが得意なんでしょうかね~『ノーマンズランド』は好きな作品なので、期待が高まります(*’ω’*)

公式サイトはこちら

【映画情報】

【原題】Tigers
【制作国】インド/フランス/イギリス
【監督】ダニス・タノビッチ
【脚本】ダニス・タノビッチ、アンディ・パターソン
【製作】プラシタ・チョーダリー、クシティジ・チョーダリー、グニート・モンガ、アヌラグ・カシャップ、アンディ・パターソン、キャット・ビラーズ、チェドミール・コラール、マルク・バシュット
【製作総指揮】アチン・ジャイン、カレン・テンコフ、ミヒャエル・ベバー、プラビーン・ハシュミ
【撮影】エロル・ズブツェビッチ
【衣装】ニハリカ・カーン
【編集】ブレールナー・サイガル
【音楽】プリータム
【出演([]内は役名)】

  • イムラン・ハシュミ[アヤン]
  • ギータンジャリ[ザイナブ]
  • ダニー・ヒューストン[アレックス]
  • カーリド・アブダッラー[ナディーム]
  • アディル・フセイン[ビラル]
  • サティーヤディーブ・ミシュラ[ファイズ]
  • マリアム・ダボ[マギー]
  • ハイノ・フェルヒ[ミヒャエル]
  • サム・リード[フランク]
  • ビノード・ナグパル[ムスタファ]
  • スプリヤ・パタク[アヤンの母]

【公開日(日本)】2017年3月4日
【上映時間】90分
【配給】ビターズ・エンド
【IMDB】7.2/10.0  (およそ300人の評価)

【あらすじ】

あるグローバル企業がパキスタンで粉ミルクを強引に販売したため、不衛生な水で溶かした粉ミルクを飲んだ乳幼児の死亡率が増加してしまう。自分の販売した粉ミルクが子どもたちの命を脅かしていることを知ったセールスマンのアヤンは、企業を訴えようとするが……。【引用元:映画.com

【感想】

☆3.8/5.0

いやー、面白かった!

1977年から実際に起きた「ネスレ・ボイコット」を基にした作品ですね。

主人公のアヤンを演じたイムラン・ハシュミさんが既視感ある顔をしていて…ブラピのような…エリック・バナのような…誰かに似てるんだよなぁ…

大体のあらすじ

元々、国産の製薬会社の営業をしていた主人公(アヤン)だったが、国産の薬はもう置いてもらえないところがほとんど。多国籍企業である大手のラスタ社が募集していた「大卒者のみ」という求人に応募、大卒ではなかったが奇跡的に受かり、ラスタ社の粉ミルクをセールスすることになる。

まず上司に大金を渡され、「医者にこれを配って、うちの粉ミルクを出してもらえるように頼め」としょっぱなからアウト―!なやり方で自社製品を売るように指示されるアヤン。

医者の好みや家族構成などを調べつくし、彼らの欲しがっているものを渡しては営業成績を伸ばす毎日だったが、ある日医者のファイズに「ラスタの粉ミルクを飲んでいる赤ちゃんが下痢を繰り返し脱水症状で死んでいる」という現実を知らされる。

その凄惨な状況にショックを受けたアヤンは退社を決め、粉ミルクの販売を中止するように企業を相手に闘い始める―――という感じ。

もうね。大企業の後ろには政府あり。こわいこわい。

構成が面白い!

この企業の悪事を暴くために、アヤンを主人公にしたドキュメンタリーを撮ろう、という体で行われる撮影風景とドラマ部分を交互に描くというモキュメンタリー風の構成になっています。

序盤に思いっきり”ネスレ社”という文字を出しておきながら「さすがに企業名はふせておこうか」という意見が出て劇中の社名は全て”ラスタ社”に統一される(笑)

いやいや、後から伏せる意味(笑)

この、過去と現在、そして撮影風景とドラマ部分を交互に挿入するやり方は映画としても飽きることなく観れて面白いやり方だと思いました。

悲惨な写真や動画も出るので注意

劇中に登場する、弱った乳児の写真や動画はおそらく当時の実際の映像を使用していると思われます。脱水症状でやせ細ってしまい、骨と皮だけのようになってしまった赤ちゃん。私たちの知っている乳幼児の姿(ぷくぷくもちもちとしたコロコロのまんまる赤ちゃんのイメージ)とはかけ離れています。観ていて非常に胸が痛みますので、耐性がない方はやめておいた方がいいかもしれません。

この粉ミルク問題、粉ミルク自体に危険性があるということではなく、

貧困層の家庭に対し医師が安全性をしっかりと配慮したうえで処方した粉ミルクではなかった、ということ。金の力で買収され、ラスタ社の言うがままに粉ミルクを処方していた。ここに問題があったわけです。

医師が粉ミルクをすすめ、母乳が出るのにも関わらず母乳を飲ませることをやめてしまう母親が出たり、貧困層の家庭では汚染された水で粉ミルクを薄めに薄め飲ませることで栄養が欠乏してしまう、そして汚染された水による病気を併発する…そして乳幼児が死んでいく…という事なんです。

何が一番恐ろしいかと言うと

物語のオチというオチはなかったですね。

ラスタ側がアヤンの訴えは脅迫目的であると言ってきて、撮影していた番組を流すかどうかという部分で悩まさせられる。

どうなるの、これ!?というところで物語は終わります。

そして、主人公のモデルとなった人は故郷で暮らすことは出来ず、外国に家族を移住させ暮らすようになった…というテロップが流れます。

企業の力があまりにも大きく、本国パキスタンでは平和に暮らすことも出来なくなってしまったんですね。結局、撮影していた映像が流されたのかどうかは明かされません。

なぜなのか?

ちびぞうは、映画にして訴えても何も変わらない、という事が言いたかったのかな、と思いました。ネスレボイコットを調べてみると、終息宣言されていない、とwikiには書かれていました。つまり、1977年から始まったこの問題も、いまだに解決されていない、ということなんです。

その事実が、何よりも恐ろしい。大企業、おそるべしです。

まとめ

エンディングは『ノーマンズランド』と似ていて、ただ真実を突きつけて終わる、という感じでした。

きっとこの監督はこの作品で少しでも問題を周知してもらおうと思ったのかな。映画としての面白さで楽しませてくれるだけでなく、こんな問題が世界にはあるよ!と教えてくれている。

私たちには映画を観て、伝聞して、とにかく「知る人」を増やすこと。それしか出来ないですが…

少しでも興味のある方には一度観てもらいたい一本です。
まとまってないけど終わり(笑)

 

 


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ホロコーストの有無を法廷で裁く!映画『否定と肯定』ネタバレ&感想

その真実に圧倒される―――

ホロコースト(ユダヤ人収容所でのナチスによる大虐殺)があったのか否かを裁判で決める!?

このとんでもない題材(勿論実話です)の映画に惹かれないわけがないじゃないですか・・・!

レイチェル・ワイズ(ナイロビの蜂)×ティモシー・スポール(ハリー・ポッターシリーズ)の演技派二人の鋭い眼光による演技勝負も見どころです!

パンフはこんな感じ!

赤と黒の二色バイカラーがお洒落!「否定」と「肯定」の二色を表していると思われます…!

原作者でもあり、レイチェル・ワイズ扮するリップシュタット教授本人のインタビューも載っています!
22Pで税込み700円…少し(ページ数が)寂しいですね。

【映画情報】

【原題】Denial
【制作国】イギリス/アメリカ
【監督】ミック・ジャクソン
【脚本】デヴィッド・ヘア
【原作】デボラ・E・リップシュタット著『否定と肯定 ホロコーストの真実をめぐる闘い』
【製作】ゲイリー・フォスター、ラス・クラスノフ
【撮影】ハリス・ザンバーラウコス
【美術】アンドリュー・マッカルパイン
【編集】ジャスティン・ライト
【音楽】ハワード・ショア
【衣装】オディール・ディックス=ミロー
【出演([]内は役名)】

  • レイチェル・ワイズ[デボラ・E・リップシュタット]

  • トム・ウィルキンソン[イチャ―ド・ランプトン]

  • ティモシー・スポール[デイヴィッド・アーヴィング]

  • アンドリュー・スコット[アンソニー・ジュリアス]

  • ジャック・ロウデン[ジェームズ・リブソン]

  • カレン・ピストリアス[ローラ・タイラー]
  • アレックス・ジェニングス[サー・チャールズ・グレイ]

【公開日(日本)】2017年12月8日
【上映時間】110分
【配給】ツイン
【映倫区分】G
【IMDB】6.6/10.0  (およそ12,400人の評価)

【あらすじ】

1994年、イギリスの歴史家デビッド・アービングが主張する「ホロコースト否定論」を看過することができないユダヤ人女性の歴史学者デボラ・E・リップシュタットは、自著の中でアービングの説を真っ向から否定。アービングは名誉毀損で彼女を提訴するという行動に出る。訴えられた側に立証責任があるイギリスの司法制度において、リップシュタットは「ホロコースト否定論」を崩す必要があった。そんな彼女のために組織されたイギリス人大弁護団によるアウシュビッツの現地調査など、歴史の真実の追求が始まり、2000年1月、多くのマスコミの注目が集まる中、王立裁判所で歴史的裁判が開廷した。【引用元:映画.com

【感想】

☆3.6/5.0

「現実は小説より奇なり」という言葉があるように、映画としての面白さというよりかは、この題材になった裁判がとても興味深くて面白いものだったんだと思います。

ちびぞうは大元の裁判については知識ゼロでした。

まさか「ユダヤの大虐殺はなかった!それらは全てユダヤ人のねつ造だ!」と主張する人がいるなんてこの作品で初めて知ったし、驚いた。

しかし、この主張は自分の「教科書で知った」「学校で教わった」「たくさんの映画で語られてきたから知っている」というだけの知識を揺るがすには十分でしたね。本当のところはどうだったかなんて、自分で確証を持つまで調べてみたこともないし、漠然として「そういう歴史があった」と思っていただけの出来事をどうして心から「あった」と信じられたのか。自分でもとても不安になりました。

この裁判の中身は、実は「ホロコーストの有無」を裁くものではなく、ホロコースト否定論者のアーヴィングが「リップシュタット教授の書いた本の中で自分を嘘つきだと誹謗中傷した」という事について訴えたものだったんですよね。

つまり、アーヴィングの否定論が教授の言うように嘘ばかりだった場合、その誹謗中傷も「真実である」と切り返せる。そのために、アーヴィングの主張(ホロコーストはなかった)を裁判で否定する必要がある…しかしこの二者はそれぞれの界隈で非常に著名だったこともあり、ただの誹謗中傷の裁判ではなく「ホロコーストの有無を裁判で裁く」という歴史的にもセンセーショナルな裁判へと発展していくわけです。

ちびぞうは、この映画での「真実がどうだったか」という部分はそこまで大切ではないように感じました。なぜなら、ホロコーストはなかったと否定しているアーヴィング自体が差別主義者であり、他人に敬意を払えない人物…一言で言えば「クズ」のように描かれているから。

観ている人はどう考えても主人公を応援するし、当然裁判の結果だって主人公が勝つに決まってるわけです。つまり、この映画は最初から「ホロコーストはある」として作られている。

では何が大切なのか?

それは、ただの傍観者として情報を得る我々が「何を真実と信じるか」ということ。
情報を取捨選択し、自分なりの結論を出すまでに色々な可能性を考える必要がある、ということなんです。

ネットが普及し、SNS上でも嘘がまかり通る現代にとても合ったテーマだな、とも思いましたね。

印象的だったのは、裁判へ向かうリップシュタット教授へ掛けられる”応援する声”以外にもあった”中傷・避難の声”。いまだにユダヤ人への差別感情を持っている人たちが中傷しに来ている、という場面なのかもしれません。しかし、その後に来たアーヴィングにも、同じように”応援と中傷の声”がかけられる、そして、スーツに投げられる生卵…。

この場面を見てちびぞうは、この二人は、”同じ”なんだ。と感じたんです。

「否定を信じる人たち」からすればリップシュタット教授は悪であり、敵。
「肯定を信じる人たち」からすればアーヴィングは悪であり、敵。

それぞれの人たちにとって、裁判の結果がどうあれ自分たちが信じていることこそが「真実」であり「正義」なんですよね。

今作はアーヴィングが嘘や捏造した情報を見解として発表していたのもあって、結論も分かりやすくなりましたが、もし彼が誠実な人間であり、嘘もなく自分の信じることを「真実」だと発表していたら、一体どうなっていたんだろうと思います。

法廷モノとしてのエンターテイメント性を出すために、終盤、まさかの裁判官がアーヴィングを擁護?するような質問をするシーンがあります。優勢だと思っていた被告側が「まさか負けるの?」と冷や冷やするシーンですね。

しかしちびぞうは、あのシーンは物語を盛り上げるためだけのものではなく、あの裁判官の言葉にも「一つの真実」があったのではないか、と思いました。

まとめ

役者陣の目で語る力、がすごい映画でした。特に主人公のレイチェル・ワイズは裁判の間「黙秘」を徹底しなければいけない役柄上、表情だけでその心情を語っています。

対峙するティモシー・スポールも必要以上の発言はしておらず、多くの場面で表情だけで演じていました。

台詞の少ない二者の演技での闘いも含め、非常に重たい題材で非常に緊張感のある法廷バトルが観られる今作。自分なら何を信じるのか、ということを考えながら観て頂きたいですね。

イギリスの少し曇った画面、美しい建造物や小物などにも注目です。

 

 


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冒険ファンタジーの金字塔!映画『ジュマンジ』ネタバレ&感想

死にたくなかったら、ゲームを続けるしかない。

『ジュマンジ』と言えばかーなり昔に一度観たような観てないような・・・で、いつかちゃんと観ないといけないなーと思いつつここまで来てしまったちびぞうですが、今年、『ジュマンジ/ウェルカムトゥジャングル』が公開されるということで、ようやく1を見返してみましたー!

ちなみに続編としては『ザスーラ』という映画がありましたが、今作と話が繋がっているわけではなく、同じ絵本を題材にしたお話で、精神的続編・・・?という謎の扱いのようです。

若かりし頃のロビン・ウィリアムズだけでなく、キルスティン・ダンストも見れますよ!!(*’ω’*)

【映画情報】

【原題】 Jumanji
【制作国】アメリカ
【監督】ジョー・ジョンストン
【脚本】ジョナサン・ヘンズリー、グレッグ・テイラー、ジム・ストレイン、クリス・バン・オールズバーグ
【原作】クリス・バン・オールズバーグ
【製作総指揮】テッド・フィールド、ラリー・J・フランコ、ロバート・W・コート
【製作】スコット・クルーフ、ウィリアム・ティートラー
【撮影】トーマス・アッカーマン
【美術】ジェームズ・ビッセル
【音楽】ジェームズ・ホーナー
【編集】ロバート・ダルバ
【特殊効果】インダストリアル・ライト・アンド・マジック
【出演([]内は役名)】

  • ロビン・ウィリアムズ[アラン・パリッシュ]
  • ジョナサン・ハイド[サム・パリッシュ/ヴァン・ペルト]
  • キルスティン・ダンスト[ジュディ]
  • ブラッドリー・ピアース[ピーター]
  • ボニー・ハント[サラ]
  • ベベ・ニューワース[ノラ]
  • デビッド・アラン・グリア[ベントレー]
  • パトリシア・クラークソン[キャロル・パリッシュ]
  • アダム・ハン=バード[若い頃のアラン]
  • ローラ・ベル・バンディ[若い頃のサラ]

【公開日(日本)】1996年3月20日
【上映時間】104分
【配給】コロンビア トライスター映画
【次作】『ザスーラ』
【IMDB】6.9/10.0  (およそ244000人の評価)

【あらすじ】

1869年、深夜の森で2人の少年が大きな木箱を地中深くに埋めた……。1969年、製靴工場を営むニューハンプシャーの名家パリッシュ家の12歳になる一人息子アラン(アダム・ハン=バード)は気の弱い少年で、厳格な父サム(ジョナサン・ハイド)にいつも叱られていた。ある日、彼は工事現場の土中から、大きな木箱を掘り出す。それは「ジュマンジ」と書かれたゲーム盤で、アランはガールフレンドのサラ(ローラ・ベル・バンディ)とプレイをする。ところが、このゲームは投げたダイスの目に応じた結果が、実際に起こるのだった。アランはサラの目前で、ゲーム盤の中のジャングルの世界へと吸い込まれて消えてしまった。さらに26年後、アラン一家が住んでいた屋敷に、伯母ノーラ(ベベ・ニューワース)に連れられた、ジュディ(キルスティン・ダンスト)とピーター(ブラッドリー・ヒアース)の幼い姉妹が住むことになった。彼らは屋根裏部屋で「ジュマンジ」を発見し、さっそくプレイしてみる。だか、吸血蚊、猿、そしてライオンが出現してしまった。そこへ、ピーターの出した目のおかげで26年ぶりに生還したアラン(ロビン・ウィリアムズ)も現れる。【引用元:映画.com

【感想】

☆2.7/5.0

ファミリー向け、コメディタッチのファンタジーアドベンチャー!という感じなんですが、ちょっとホラー要素の方が強い気がしましたねー。

同監督の映画は『ミクロキッズ』を観たことがありますが、すごく似た雰囲気があります。

クスクス笑える感じではなく、ワクワクして「次はどうなるんだろう!?主人公はどうなってしまうんだろう!?」というドキドキハラハラ、そしてちょっぴり怖さも含むイメージ。

今見るとCGもそんなに感動的な出来ではないんですが、当時の人からしたら、これは凄かったんだろうなぁ・・・。

ちびぞう的にハッとしたのは、最初に子ども達がジュマンジを地中に埋める場面から100年が経ち、主人公と思わしき男の子(アラン)が建設現場でジュマンジを再発見。ゲームを始めてしまう・・・という始まり。

このアランという男の子が主人公でジュマンジのゲームをしていくんだろうなー、と思って観ていると、ダイスが最初に導いたマスは「次に5か8が出るまでジャングルで待つ」というもの。するとアランがジュマンジに吸い込まれて消えてしまう!!!

画面に出る「26年後」の文字。

えっ!?

すっかり古びた屋敷に、新しい持ち主だという家族(姉弟)がやってくる・・・。

「えっ!?アランどうなったの!?」

という驚きと怖さ、はんぱなかったです。まさかの展開すぎた。

そして当然のように放置されていたジュマンジを見つける姉弟。ゲームを始めて5だったかな?を出したら、ゲームの中から大人になったアランが出てくる!まさか生き伸びてたなんて!!

ここの流れ、すごくワクワクするし大好きですね。26年もジャングルで過ごしていた男が現実に戻ってくる、というコミカルさもありました。

それと、この映画はジュマンジというゲームをクリアする、という部分だけではなく、クリアした後、ゲームを始めた日に戻れる、という設定があって、おじさんになったアランもゲームクリア後に当時の自分の家に帰ることが出来るんです。

そこで、父親の不幸を回避するために行動したりと、タイムトラベラー映画の要素もあって、そこも面白い。序盤に出てきたアランの私生活のシーンも重要な伏線になっていたりして。

いやーこれは名作ですね。

出来れば公開当時に、映画館で観たかったなぁ・・・。

新作の『ジュマンジ/ウェルカムトゥジャングル』も楽しみ!すごろくゲームではなく、テレビゲームとなったジュマンジがどんな大冒険を見せてくれるのか、非常に楽しみです!

 

 


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画像引用元:映画.com/IMDB