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天才児の育て方?映画『ギフテッド』ネタバレ&感想

「メアリーがこんなに素敵で賢く優しい子なら――育て方は正しかった」

映画仲間たちとの忘年会にて、鑑賞。

何の前知識もなく予告も観ずに行ってきました!

監督は『500日のサマー』のマーク・ウェブ氏!そして主演にはキャプテン・アメリカで有名なクリス・エヴァンス!

子役のマッケナちゃんがとにかく可愛いです・・・。

タイトルにもある『ギフテッド』というのは、”特別な才能を持つ子ども”という言葉。この映画で初めて知りました。

パンフはこんな感じ。

来ました!フォックスサーチライトマガジン!Vol.9!お洒落!
50Pで税込み820円。

ギフテッド教育についての座談会のページが非常に興味深かったです。

【映画情報】

【原題】 Gifted
【制作国】アメリカ
【監督】マーク・ウェブ
【脚本】トム・フリン
【プロデューサー】カレン・ライダー、アンディ・コーエン
【エグゼクティブ・プロデューサー】グレン・バスナー、ベン・ブロウニング、モリ―・アレン
【撮影監督】スチュアート・ドライバーグ、ASC
【プロダクションデザイナー】ローラ・フォックス
【編集】ビル・バンコウ、ACE
【コスチュームデザイナー】アビー・オサリヴァン
【音楽】ロブ・シモンセン
【音楽スーパーバイザー】ランドール・ポスター&メーガン・カリアー
【出演([]内は役名)】

  • クリス・エヴァンス[フランク]

  • マッケナ・グレイス[メアリー]

  • リンゼイ・ダンカン[イブリン]

  • ジェニー・スレイト[ボニー]

  • オクタヴィア・スペンサー[ロバータ]

【公開日(日本)】2017年11月23日
【上映時間】101分
【配給】 20世紀フォックス映画
【映倫区分】G
【IMDB】7.6/10.0  (およそ人53,400の評価)

【あらすじ】

生まれて間もなく母親を亡くした7歳のメアリーは、独身の叔父フランクとフロリダの小さな町でささやかながら幸せな毎日を送っていた。しかし、メアリーに天才的な特別な才能が明らかになることで、静かな日々が揺らぎ始める。メアリーの特別扱いを頑なに拒むフランクのもとに、フランクの母エブリンが現れ、孫のメアリーに英才教育を施すため2人を引き離そうと画策する。母の画策に抵抗を続けるフランクには、亡き姉から託されたある秘密があった。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレしているよ!)】

☆3.8/5.0

2017年ベスト1を狙えたかも!

と、思うほど面白いな・・・と感じました。

が、しかし映画仲間7人で観たんですが、意見は半々、全くダメな映画だと言う人もいれば相当良かったと褒める人もいる結果でした。

行間を読ませる演出が多い

意見が大きく割れる原因についてはおそらく、「物語の穴」の部分が多く、不明瞭な情報をとっちらかせてる印象があるからでしょうかね。

ツッコミどころが多い。とか、説明不足。とか。

ちびぞうは、この不明瞭な点に関しては曖昧なままでも十分想像で補完出来うるなと思いました。

脚本が好き

例えば、序盤でメアリ―が持つ数学に突出した才能を大人が見出す辺り。彼女が大人顔負けの頭脳を持っていることが発覚しますが、フランクの話す”入念に”という言葉の意味をメアリーは知りません。
「入念って?」
「知らないなら学校に行かなきゃね」
というやり取りがあるんですが、これはメアリーが突出しているのはある1点の才能の部分のみで、それ以外は普通の7歳の子どもと何ら変わらない、という事を示すシーンでもあります。

そして”普通な子どもとして普通の学校に通わせたい”というフランクの想いもここで見えてきます。たったこれだけのやり取りで分からせる!そういう会話のテクニックが多くみられる映画だと思いました。

群像劇でもある

パッと見は、姪っ子と叔父の家族の愛の物語であり、特別な才能を持っているがゆえに大好きな人と引き離されてしまう、という切なさが描かれているお涙頂戴な作品・・・なのですが。

実はこの作品、群像劇でもあると思うんです。

  • メアリ―の自殺した母親ダイアンの悲しい人生と、母親への想い
  • 数学に人生を捧げられなかった自分の選択を呪い、その全てを子ども、そして孫に託そうとする祖母イブリン
  • ギフテッド教育を受けたが”数10人”が辿り着ける天才の高みには辿り着けなかったフランクの想い
  • 数学の才能を持ち、普通の学校では生きにくさを感じているメアリー

主にこの家族の、それぞれの想いが交錯した群像劇なんですよね。
どの人にも人生があって、考え方があって、己のためであったり、誰かのためであったり、選択し、後悔し、何かを委ねたり、取り戻そうとしたりする。
そんな人間としてのあがく姿というのが彼らの関わりを通して見えてくる。

そこが面白かった・・・!!!

泣けたシーン

ちびぞう的に泣けたシーンは

  1. 祖父イブリンが裁判で「ダイアンの愛していた男性と無理やり引き離したこと」を理由に自殺の原因は貴方にあるのでは?と言うニュアンスで暗に責められ、己の主義主張(ダイアンが数学を愛していたこと、彼女が数学に徹することにどれだけの歴史的価値があるかなど)を熱弁する場面
  2. フランクに「離れたくない置いて行かないで約束したじゃない」と縋りつくメアリーの場面
  3. 実は難題の証明を達成していたダイアンがそれをフランクに託し、「母親の死後」に公表して欲しいと頼んだと気付かせる場面

この3つですかね。

1は、とにかく母親の狂信的なまでの数学への固執が悲しくて悲しくて。とても可哀そうな人にも見えるけど、でも言っている事が100%間違っているかといえばそうでもない・・・。自分でも自分のおかしさは理解していて、それでも認められない。そんな彼女の熱弁になんとも言えない気持ちになり、涙腺がやられましたね。

2はメアリーの名演技が涙を誘います。ほんとずるい。

3は、個人的に息を飲んだ名シーン!
「死後に公表してくれと頼まれた」
「ダイアンが死んだのは6年も前よ」
「彼女の死後じゃない」
この3つのセリフのやりとりだけで・・・見えてきます。ダイアンの真意、母親への想い、自殺の理由・・・ギフテッド教育の闇。そしてこのイブリンに対する復讐とも言える遺言は、母親の異常なまでの数学へのこだわりが前半で強く描かれれば描かれるほど、効いてくる演出になってるんです。
それが本当に上手だなぁと思いましたね。

まとめ

パンフレットで初めて知りましたが、特別な子ども達に受けさせる「ギフテッド教育」というものがあるんですね。

学校に適応できない子供は「普通ではない」ように見えて実は才能を持っている・・・。というのは親にとってとても大きな希望になりますよね。

だからと言って、本当に一般的な子どもたちの過ごす時間から切り離し、特別な教育を与えることだけが彼らのためになるのか?という疑問。本作はそこにスポットを当てた映画です。

そして、ただ単純に「子どものあるべき場所」というものを示しているだけでなく、「ギフテッド教育」で目覚ましい結果を残せなかった人もまた親になる、という教育が残した傷の連鎖のようなものも合わせて見せてくれるところがとっても興味深い作品。

普通に生きる、その人らしく生きる、そして何よりも「自分が楽しめる人生を歩む」事の大切さを教えてくれる。素晴らしいです。

クスッと笑える場面もあるし、笑って泣けてほっこりできる、

2017年では、上位3本に入る名作!

最後にこれだけ

猫を救う人に悪い奴はいないよ!!!!!(笑)

 

 


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実写版映画『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN(前編)』ネタバレ&感想

この世界は、残酷か。

よくぞこの作品を実写化したなぁ・・・というのが第一印象。

この映画を観た2015年の段階では、原作は12巻(エレン奪還作戦)まで、アニメとアニメ映画は観賞済という状況でした。

脚本に映画評論家の町山智浩さんが参加ということで、当時大変話題になりましたね~。

パンフレットはこんな感じ。

ちょっと分かりにくいですがメタリックな表紙の加工になっています。A4サイズっぽい大きさ。42ページで税抜き662円。まぁまぁなお値段。

【映画情報】

【制作国】日本
【監督】樋口真嗣
【脚本】渡辺雄介、町山智浩
【原作】諌山創
【特撮監督】尾上克郎
【音楽】鷺巣詩郎
【撮影】江原祥二(J.S.C)
【照明】杉本崇
【美術】清水剛
【録音・整音】中村淳
【録音】田中博信
【扮装統括】柘植伊佐夫
【特撮美術】三池敏夫
【特殊造形プロデューサー】西村善廣
【スタントコーディネーター】田淵景也
【編集】石田雄介
【テクニカルプロデューサー】大屋哲男
【VFXスーパーバイザー】佐藤敦紀、ツジノミナミ
【音響効果】柴崎憲治(J.S.A)
【主題歌】SEKAI NO OWARI – “ANTI-HERO”
【出演([]内は役名)】

  • 三浦春馬[エレン]

  • 長谷川博己[シキシマ]

  • 水原希子[ミカサ]

  • 本郷奏多[アルミン]

  • 三浦貴大[ジャン]

  • 桜庭ななみ[サシャ]

  • 松尾諭[サンナギ]

  • 渡部秀[フクシ]

  • 水崎綾女[ヒアナ]

  • 武田梨奈[リル]

  • 国村淳[クバル]

  • 石原さとみ[ハンジ]

  • ピエール瀧[ソウダ]

【公開日(日本)】2015年8月1日
【上映時間】98分
【配給】東宝
【映倫区分】PG12
【次作】実写版映画『進撃の巨人 エンド オブ ザ ワールド(後編)』ネタバレ&感想
【IMDB】5.1/10.0  (およそ10,000人の評価)

【あらすじ】

100年以上前、突如現れた巨人たちに人類の大半が捕食され、文明は崩壊。生き延びた人々は巨大な壁を三重に築き、その中で暮らしていた。壁に守られた安寧とした生活に苛立ちを覚えるエレンは、まだ見ぬ外の世界を夢見ていたが、ある時、そんなエレンの目の前に人類の想定を超える超大型巨人が出現。壁の一部を破壊し、そこから巨人たちが町になだれ込んでくる。次々と巨人が人間を食らう地獄をからくも生き延びたエレンは、2年後、対巨人兵器の立体機動装置で武装した調査兵団の一員になっていた。調査兵団は壊された壁の修復作戦を決行するが……。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレもあるよ!)】

☆2.0/5.0

わりと長い前置き

感想というか・・・なので全然飛ばしていただいて構いません(笑)

 

まず最初に。実写化に対する文句とかはもうどうでもいい
人気が出れば実写化するのが当たり前になってきているし(低迷し続ける日本映画界で、世界に注目してもらうにはMANGAの力に頼るしかない部分があるのは仕方ないしむしろOTAKU文化は武器にすべきと思う)、中には成功してるものあるしね!!!

今作が実写になると知ってからずっと敬遠していたんですが(予告編観ればキャラ改変は一目瞭然だし嫌な予感しかしてなかった)じわじわと届く前情報は
「海外で大絶賛!」
「試写会後、炎上。原作ファンぶち切れ」
「中には意外に高評価な人も」
と、二転三転!!

本当のところはどうなの?と気になりまくってしまい、気付けば町山さん(脚本を担当する一人で、映画評論家)のラジオを聴いていた・・・。

「この映画は絶対に勝ち目のない戦いに挑む話。だから作る側もそうじゃなきゃおかしい(つまり叩かれる覚悟の上で挑んでる)」

この言葉を聞いて、本当だよなぁうまくやったってどうせ叩かれるのにそこに挑むのはまさに進撃の巨人状態だよな・・・と妙に胸を打たれ「その心意気を観に行こう!たとえ原作と全く違ったとしても!!」と劇場での観賞を決めました。

前置き終わりようやく感想(辛口)

結論から言えば、大体が中途半端!!!

良かった点を悪かった点が遥かに上回り、面白さを消してしまっていました。

結局ガッカリさせられたし、人目に付くところ(ラジオ)でファンも多い評論家が自分の作品の評価を底上げするため誘導しているようにも思えてしまい、鑑賞前に聞いた町山さんの熱弁に引いてしまいすらした。(この人は出来あがったものを冷静に見れているのだろうか)
作り手も叩かれるの覚悟で命かけて挑んだって言うなら、原作と違いがあってもそれなりに観れるものになってなければカッコ悪いじゃないですか・・・。

結局これって炎上商法なんですよね。
メンバー全員違う名前にして、漫画とは全く違うものにしても良かったのに、中途半端に主要人物の名前を使ったのは、叩かれたくてやった、そんな風にしか・・・。
私、乗せられてしまった。そう思うしかない。

とりあえず、良かった点と悪かった点を箇条書きにしていきます!
(私も命かけて引かれる覚悟で本音書くよ!)

*良かったところ

  • 超大型巨人出現→巨人群襲い来る!シーンの地獄絵図っぷり。
    巨人の怖さは原作よりもアニメよりもこちらが圧倒的に上。最恐。あまりの恐ろしさに感動して涙が滲みさえした。これは期待出来るぞ!!そんな風に思えた序盤の神体験
  • リヴァイさんがいなかったところ
    進撃の巨人でおそらく最強の人気を誇るリヴァイさんは登場せず、代わりに長谷川博己さん演じる「シキシマ」というキャラがリヴァイさんのポジションのキャラとして登場しています。理由はどうあれ、実写化が難しいと判断したら潔くキャラを削除する。この姿勢いいよね。だってリヴァイさんほどの人気キャラ、誰かが演じるとか無理だと思う。絶対に叩かれますもん。
    むしろ全員削除しても良かったんですよ!!!

*悪かったところ

  • キャラ設定の弱さ、中途半端さ
    序盤に主要メンバーの絆の深さが描かれていないため、静かにしなきゃダメって言われてるのに絶叫しちゃうほどキレたり、アルミンのために自分から巨人の口の中に突撃するエレンの心情や、後半、巨人の正体がエレンだという事に気付けるミカサなどなど・・・彼らの行動理由に全く理解が及ばない。
  • アニメ調演技の役者映画調演技の役者が入り混じってて全体の統一感にも欠けてる。
  • それからシキシマさんは一体何がしたい人なのか、読めない。
    女自慢して高みの見物して余裕っぷり見せてるけど貴方の凄さ全然伝わってきてません!!逆に噛ませ犬っぽさが出まくってる!「お邪魔したかな?」とか言いながらダイレクトにリンゴ投げてきてるじゃん!かまってちゃんか!もっと人類最強、というところを見せつけて欲しかったですね。
  • 立体起動装置が遅い(色んな意味で)
    飛ぶ速度が遅く感じてしまい爽快感ゼロ。これはアニメと比べてしまっているかも。あと使い出すのも遅い。絶望的な状況で勝ち目のない戦いに挑むんだから出し惜しみせず使わなきゃ何のための立体起動装置よ?ってなりませんか。ちゃんと「まだ使えない」理由とかが明示されてれば良かったんだけど。
  • エロシーンも中途半端
    伏線でもないなら特に描かなくても良いようなぬるい濡れ場を挟む時点でB級ホラーのお約束か!?と思うほど安っぽさが出てしまってる・・・。どうせやるなら死んだ彼氏の上に跨り腰降って喘ぐ女団員、くらいのエグさでお願いしますよ!!絶望の世界なんでしょ!ここ(私に)引くとこね!!
  • 巨人がただの人
    迫力満点だけど、大きな人にしか見えないんだよなぁ。顔、どうにか出来なかったのかなぁ。ああいう恐怖の集団って、ゾンビと同じで没個性していることがモンスターとしての魅力だと思う。たくさんいるけどどれも同じような感じで印象に残らない。無個性の不気味さ。それなのに、どうも見たことあるような顔してるやつもいて、恐怖感が削がれてしまう。巨人群に目立つ奴がいたら個性を持ってる巨人の異端さが際立たなくなってしまうしね。
  • 巨人に慣れたら次は眠さとの戦い
    良かったところを二か所しか挙げてないのでお分かりかと思いますが、巨人の怖さに慣れると後半とにかく退屈で・・・寝落ちしそうになるのをこらえるので必死でした。時間稼ぎをしているかのようなグダついた展開が多くて後半の巨人VS巨人のところでも完全覚醒には至らず・・・。多分、時間配分がおかしいのでは。前半、メイン三人の関係性を描く時間をもっと割いてくれてれば、ドラマとしても面白くなったかもしれないですね。

まとめ

序盤にかなり期待させられて興奮したせいで、観終わった後のガッカリ感も大きかったです。出来るだけ原作と切り離して観てみたつもりだったけどやっぱり難しい。

とりあえず、作り手が頑張ってるのはどこの国の映画でも同じはずなんだから、やっぱり作り手の苦労まで加味して面白さに影響が出てはいけないなと思いましたね。


後半のエンドオブザワールドについての鑑賞は・・・
今作では光る部分があった。し、圧倒されて涙を滲ませ感動した自分もいた。
まだ物語の途中なんだし、後編を観て評価がガラリと変わる可能性も否めない。結局劇場で観ちゃうかもしれない。と、悩んでいました。

結局劇場で観ました(笑)

後編についてもそのうち記事を上げると思います。
ここまで読んで頂きありがとうございました!

 

 


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映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』ネタバレ&感想

もういちど輝くために、 もういちど愛されるために、 すべてを手放し、羽ばたこう。

アカデミー賞で作品賞・監督賞・脚本賞・撮影賞を受賞し、その他主演男優賞などでも多数ノミネートをされたアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督×マイケル・キートンの、なんとも表現しにくい作品(笑/特にジャンルが)。アカデミー賞以外でも多数の映画賞を受賞している非常~~~~~に評価が高い作品です!

イニャリトゥ監督と言えば、レオさんがよ~~~~やくアカデミーを獲った『レヴェナント 蘇りし者』なんかの記憶が新しいですね!それ以前の作品では『バベル』くらいしか観ていなかったんですが・・・私的にはあまり好きな監督さんではなかったという・・・。

しかし、今作にはなかなか唸らさせられました。

パンフはこんな感じ!

激お洒落!!!!58ページで税込み860円という値段に見合う分厚さです。

珍しく左開き。最後の方に配給の20世紀フォックスの子会社である「フォックスサーチライトピクチャーズ」の紹介(どんな映画を配給しているか)等の情報ページもあってなかなかにボリューミー。

【映画情報】

【原題】Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance)
【制作国】アメリカ
【監督】アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
【脚本】アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、ニコラス・ヒアコボーネ、アレクサンダー・ディネラリス・Jr、アルマンド・ボー
【製作】アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、ジョン・レッシャー、アーノン・ミルチャン、ジェームズ・W・スコッチドープル
【撮影監督】エマニュエル・ルベツキ、ASC/AMC
【プロダクション・デザイナー】ケヴィン・トンプソン
【編集】ダグラス・クライズ、スティーヴン・ミリオン,A.C.E
【キャスティング】フランシーヌ・メイスラ―,CSA
【衣装デザイナー】アルバート・ウォルスキー
【ドラム・スコア】アントニオ・サンチェス
【製作総指揮】クリストファー・ウッドロウ、モリ―・コナーズ、サラ・E・ジョンソン
【出演([]内は役名)】

  • マイケル・キートン[リーガン]

  • ザック・ガリフィナーキス[ジェイク]

  • エドワード・ノートン[マイク]

  • アンドレア・ライズブロー[ローラ]

  • エイミー・ライアン[シルヴィア]

  • エマ・ストーン[サム]

  • ナオミ・ワッツ[レズリー]

  • リンゼイ・ダンカン[タビサ]

  • メリット・ウェヴァー[アニー]
  • ジェレミー・ジャモス[ラルフ]
  • ビル・キャップ[クレイジー・マン]
  • ダミアン・ヤング[ガブリエル]

【公開日(日本)】2015年4月10日
【上映時間】120分
【配給】20世紀フォックス映画
【映倫区分】PG12
【IMDB】7.8/10.0  (およそ462,200人の評価)

【あらすじ】

かつてスーパーヒーロー映画「バードマン」で世界的な人気を博しながらも、現在は失意の底にいる俳優リーガン・トムソンは、復活をかけたブロードウェイの舞台に挑むことに。レイモンド・カーバーの「愛について語るときに我々の語ること」を自ら脚色し、演出も主演も兼ねて一世一代の大舞台にのぞもうとした矢先、出演俳優が大怪我をして降板。代役に実力派俳優マイク・シャイナーを迎えるが、マイクの才能に脅かされたリーガンは、次第に精神的に追い詰められていく。【引用元:映画.com

【感想(ラスト部分のネタバレ有り!)】

☆3.3/5.0

演出の面白さ!

まず最初にウキウキしたのはノートンさんとの舞台上での練習シーン!あんな風に、熱のこもった演技のやりとりしてみたい!って興奮してしまいました!!
次にウキウキしたのは、超絶カッコいいジャズドラムと台詞のセッション!!登場人物が喋るタイミングに合わせてドラミングする人のシークエンスが挟み込まれるんですが、リズミカル過ぎて観ながら肩が揺れてしまいましたよ恥ずかしい!あんな音響効果初めてでほんとにワクワクが止まりませんでした!!

脚本の面白さ!

バードマンというドッカーン!バコーン!!的な大衆向けヒーローモノ映画でかつて人気者になった俳優が落ちぶれ、過去の栄光に縛り付けられながらも演技派の役者として成功したいと葛藤する!この今時のハリウッド映画を皮肉るようなシナリオもたまらんんんんんん!!!と唸らせてくれました。
超能力があるように見えて本当はないのかも?どっちだーーという演出も好きだし、もはや亡霊のような扱いのバードマンも良い味出してます。
主演の人がバットマンだったことを知らなかったので本当に悔しかったなぁ。知ってたらもっともっと楽しめた。

残念だった点

さてここまではとっても好意的に書いてきたんだけども、しかし!

しかしだ!

どういう意図でこの作品が作られたのか後半からよくわからなくなってしまった。。この映画が何故アカデミーに気に入られたのか、納得した〜と思って観ていたのに。
まるで最後の最後で怖くなって結末を観る相手に委ねたように感じられて、途中の皮肉や風刺のような表現が全てなくても良かったもののように感じた(少なくとも私は)。

もしラストで死んでしまうならば、バードマンとの決別は意味をなさないですよね。せっかく、批評家を”本気で”仕事させるのに成功したのにも関わらず…筋が全く通らなくなるような気がして仕方がない。決別したように見えて、結局実弾に頼ることしかできなかった自分を嘆いたのか。どうにもしっくり来ない。
大衆向け娯楽映画を批判しすぎて反感買うの嫌だから中途半端にボカしたようにしか見えないんですよねぇ…本当に残念だ。
(本当はスコアは5.0から始まったんですが3.3まで落ちてしまった・・・)

まとめ

しかしながらこの作品は観る人によって本当に意見が変わるし、生きてた派死んでた派(死んでた派の中にもいつどのタイミングで死んだかで派閥がある)超能力使える派使えない派と議論が絶えません!!
周囲に語り合える映画好きがいる人にとっては、鑑賞後とても有意義に過ごせる映画であることは間違いないと思います(*’ω’*)

 

余談ですが、この映画を観たあとマイケル・キートンが「バードマン」に扮する『スパイダーマン/ホームカミング』を鑑賞すると色んな意味で楽しくなると思います(笑)

MCU参戦!映画『スパイダーマン : ホームカミング』ネタバレなし感想

 

 


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孤独死を悼む人。映画『おみおくりの作法』ネタバレ&感想

人と出会い、死と向き合い、人生は輝きだす。

これも、映画館で観れて良かったと思える一本。

超高齢化社会に突入して、独居のご老人の増加に比例して、孤独死する人も非常に多くなっている日本では、かなり心に響く人が多い映画なのではないかと思う。

パンフレットはこんな感じ。

B5サイズくらいのコンパクトサイズ、22Pで税込み700円は少しだけお高め・・・。
ジョンが旅した場所が地図付きで載っていました!裏面はこう。

【映画情報】

【原題】Still Life
【制作国】イギリス、イタリア
【監督/脚本/製作】ウベルト・パゾリーニ
【製作】フェリックス・ヴォッセン、クリストファー・サイモン
【撮影監督】ステファーノ・ファリヴェーネ
【編集】トレイシー・グレンジャー、ガヴィン・バックリー
【音楽】レイチェル・ポートマン
【美術監督】リサ・マリー・ホール
【衣装】パム・ダウン
【キャスティング】スージー・フィギス
【ヘアメイク】エマ・スレイター
【出演([]内は役名)】

  • エディ・マーサン[ジョン・メイ]

  • ジョアンヌ・フロガット[ケリー]

  • カレン・ドルーリー[メアリー]
  • アンドリュー・バカン[プラチェット氏]
  • キアラン・マッキンタイア[ジャンボ]
  • ニール・ディスーザ[シャクティ]
  • ポール・アンダーソン[ホームレスの男]
  • ティム・ポッター[ホームレスの男]

【公開日(日本)】2015年1月24日
【上映時間】91分
【配給】ビターズ・エンド
【IMDB】7.4/10.0  (およそ5,750人の評価)

【あらすじ】

ロンドンに暮らすジョン・メイは、孤独死した人を弔う民生係として働いてきたが、人員整理で解雇を言い渡され、自宅の真向かいに住むビリーの弔いが最後の案件になる。これまでも誠実に故人と向き合い、弔いをしてきたジョンだったが、最後の仕事にはいつも以上に熱心になり、故人を知る人を訪ね、葬儀に招く旅を経て、心の中に変化が生じていく。【引用元:映画.com

【感想】

☆3.5/5.0

ロンドンの民生係、ジョン・メイ(エディ・マーサン)。
彼は身寄りなく孤独死した人達の遺品から遺族を探し、一人でも多く葬儀に参列してもらえるよう電話をかける。
しかし大体葬儀に参加するのは彼一人だけ。孤独に生きた彼らをたった一人でおみおくりする。
そんなある日、ジョン・メイのアパートの向かいに住む住人ビリーが孤独死する。仕事が遅いと上司にクビを宣告された彼は、最後の仕事にビリーの遺族を探す旅に出る…。

ジョン・メイとはどんな人?

  • イギリス、ロンドン、ケニントン地区の民生係
  • 勤続22年
  • おみおくりした人は数知れず
  • 妻子無し
  • 笑顔は苦手
  • クロスワードパズルが好き
  • 几帳面、部屋はいつも綺麗
  • 白衣をカバンに常備

ジョン・メイ流のおしごと

  • 亡くなった方の写真を見つけ出す
  • 故人の宗教を探し出す
  • その人に合った弔辞を書く
  • その葬儀にふさわしいBGMを選ぶ
  • 故人の知人を探し、葬儀に招待する
  • 葬儀に列席する

本当に静か

音楽も時々流れるピアノの音色くらいしかなく、とても静かな映画だった。まるでお葬式のような物悲しい静けさ。

淡々と流れる風景をただただ見つめる・・・そういう雰囲気の映画を得意としない人には退屈に思える部分も大きいかもしれない。

ジョン・メイという人の変化

最初は、主人公が故人をしっかり弔おうと奮闘する姿が遺族の心に何かを与える映画かと思ったけれど、それだけじゃなかった。ジョン・メイ自身も家族がないと知った時、この映画は主人公の“生前葬”なんだと思った。
孤独に死んだ人々を一人一人大切に思い弔って写真をアルバムに残す。まるで家族のように。故人に未来の自分の姿を重ね大切にすることで孤独な自分自身をも慰めていたんだろうな。すごくネガティブ。そう、とても几帳面で真面目な主人公だけど、ジョン・メイは最初とてもネガティブな思考の持ち主だと思った。

電車に乗る場面が何度か出てくるが、いつも彼は人のいない車内で進行方向と逆向きのシートに座っている。

しかし旅の終わりに大きな出会いをし、初めて彼は前向きのシートに座るのだ!この演出はきちんと観ていないと気付かないだろうしとてもささやかだけど、確実に彼の心境が前向きに変化した事を表していた。

驚きの結末

そして物語は…ジョン・メイの変化とは別の方向に意外性を見せて終わる。納得出来ない人も多いだろうし、ラストシーンをやりたいがための結末にも思えるけども、私個人としては彼が自分のために行っていた”生前葬”のつもりで観ていたのでとても綺麗にまとめたな、と思えた。

無駄だと言われた仕事での努力も、死んでしまった人達への想いも、全て報われたんだなぁきっと。
彼の後ろ向きな人生の中で輝ける瞬間を見出せたことにとても感動できた。

こんな職業があるんだなーと新聞記事を見て、そこから映画にしよう!と結びつける監督のセンス憧れる。どんな職業にも、ドラマが潜んでるんだもんなぁ。

 

 


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ショーン・コネリーの泥棒一家!映画『ファミリー・ビジネス』ネタバレ&感想

人は愛されていることを武器に何でも言えるのさ。

反対に誰かを愛せば――武器を渡すことになる

『恋愛小説家』が観たい。と言ってディスクまで出して来たら、母がおもむろに映画を再生したので「お、気が利くね」と思って観ていた。

あれ?あれれ?これ、恋愛小説家・・・?この人、ジャック・ニコルソンじゃなくない・・・?(笑)

私「ショーンコネリーじゃない・・・?これ」

母「そうだよ?」

私「何再生したの?」

母「”ファミリービジネス”

私「!?!??」

という非常にどうでも良い経緯で見始めた本作。どうやらBSで録画したものを再生したようです。

1990年というともう30年近く前の作品になるんですね・・・

【映画情報】

【原題】Family Business
【制作国】アメリカ
【監督】シドニー・ルメット
【脚本】 ヴィンセント・パトリック
【製作】 ローレンス・ゴードン
【製作総指揮】バート・ハリス、ジェニファー・オグデン
【撮影】 アンジェイ・バートコウィアク
【編集】アンドリュー・モンドシャイン
【音楽】 サイ・コールマン
【出演([]内は役名)】

  • ショーン・コネリー[ジェシー・マクマレン]
  • ダスティン・ホフマン[ヴィトー・マクマレン]
  • マシュー・ブロデリック[アダム・マクマレン]
  • ロザンナ・デ・ソート[エレイン]
  • ジャネット・キャロル[マージ]
  • ヴィクトリア・ジャクソン[クリスティーン]
  • デボラ・ラッシュ[ミッシェル・デンプシー]
  • ジミー・チュウ[B・D・ウォン]
  • ルイス・ガスマン[トーレス]

【公開日(日本)】1990年1月20日
【上映時間】110分
【配給】日本ヘラルド映画
【IMDB】5.7/10.0  (およそ10,300人の評価)

【あらすじ】

ニューヨークに暮らすジェシーは泥棒家業ひと筋に生きる男。その息子ビトーは結婚し、息子が生まれたことを機に泥棒を引退していた。ところがビトーの息子アダムは祖父のジェシーを秘かに尊敬し、新製品の強奪計画を提案。ビトーも父と息子を放っておくことができず、それに加わることに。父子、そして孫から成る泥棒チームは計画を実行に移すが……。【引用元:映画.com

【感想】

☆2.6/5.0

泥棒一家に起きた悲劇というか喜劇というか。

一応ジャンル的にはコメディに入るらしく、内容は不適切なものを含んでいる(冒頭にそう出る)もののコミカルなタッチでクスりと出来るところも多い。

親子三代揃って一緒に網タイツをかぶり、じいちゃんととうさんがタイツを直し合ったりする場面が可愛くて、強盗中なのに微笑ましく思えてしまう(笑)

父と息子の確執のようなものが

全面的に描かれていて、特に

泥棒稼業に誇りすら持っていそうな破天荒な祖父(ジェシー)

に、育てられ小さいころから盗みの手伝いされて来たことに辟易し、ジェシーを反面教師にして肉を解体する工場でまっとうに勤めている父(ヴィト―)

に、育てられ非常に賢く、奨学金をもらって通った大学をあと少しで卒業というところでドロップアウトしてしまった孫(アダム)。(父よりも祖父を尊敬している)

という三代に渡る”子育て”、”父親としての在り方”が見え隠れする。

ヴィト―はジェシーを毛嫌いして、自分の息子はこんなに頭がよくなって奨学金まで貰った、自分の子育ては正しかった!と言うけれども、どうもアダムはそうは思っておらずヴィト―に腫れものに触るように育てられ、「一人の男として認めてもらった事がない」と言っていた。

そしてアダムは、自分を男として認めてくれる祖父に傾倒していく・・・。

その内容というのが「一緒に泥棒しようぜ!」というものだから、普通の父と息子の物語としては決定的に倫理観がずれているのだけど、そこがまた笑いに繋がるのかな。

バカな親子たちだなぁ、という。

相手の為にすることと、相手が本当に望むことの差異

ヴィト―は、アダムのためにジェシーを売る(自分も自首する)ことで、警察に捕まった息子の刑を少しでも軽くしようとする。それは父親として当然の行動だと私たちの価値観からすると思うんだけど、実はそれはアダムにとっては正しい選択ではなかった。

相手を思ってすることが、本当に本人のためになるのかと言えばそうでもないよなぁ・・・と切なく思いながら観ていた。

親子を繋げる”死”

和解のタイミングは、わりとありがちな”祖父の死”を通じてやってくる。

初めてヴィト―はそこで父のありがたみを想い、息子への謝罪を向ける。

息子もようやく、不器用な父の愛を知る。

家族が祖父の死によって一つになる。

倫理的に色々おかしなことを言っていた映画だったけど、ジェシーが最後に容赦なく終身刑にも当たるような30年近い刑を下された事もきちんと「報いを受ける」結果になっていたし、それなりに話はしっかりしていたのかな。

コメディという点

家族モノとしてのドラマも多分に含まれている+サスペンスに毛の生えたような展開があったりもするので、何も考えず頭を空っぽにして観れる!!という感じの映画とは少し違うかな。

けど、時々クスッと出来るシーンはあります。

ジェシーが刑務所へ送られるトラックの中で威張ってるやつをボコボコにしたら、周りの囚人たちが口をそろえて「彼は転んだだけ」と言うところが大好き。

名優・ショーンコネリーの魅力

ダスティン・ホフマンと比べて立ってるシーンを見るとめちゃめちゃでかいんですよ!!

そのせいかものすごくプロポーションも良くて、高級なスーツを身に纏う姿がカッコいいったらないですね。胸毛を見せびらかしながら入浴するシーンもあって、60とは思えぬ色香を放っています(笑)

ショーン・コネリーは母が大好きな俳優さんで、私もわりと好きなんですが、2006年に引退宣言をしてからスクリーンで観る機会はなくなってしまったんですよね・・・。

彼のファンだという方はぜひ、古い作品も観漁って、彼の若い頃の魅力という物にも浸ってもらいたいなと思います!!

 

 

 


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パニックを捨てたネズミの映画『ベン』ネタバレ&感想

ベン―――死なないで!

以前、感想を書いた『ウイラード』の続編に当たります『ベン』の感想をば!

ネズミが大量に襲いくるCG無しのパニック映画『ウイラード』ネタバレ&感想

こちらも同じく1973年の古い映画なのですが、TSUTAYAのいわゆる名作発掘リストに載っていたようで、新作扱いでレンタルされていたので借りてきました!

前作とは違い、どうやらパニック映画というよりは友情物語に力を入れているようで・・・?

【映画情報】

【原題】Ben
【制作国】アメリカ
【監督】フィル・カールソン
【脚本】ギルバート・A・ラルストン
【原作】スティーブン・ギルバート
【製作】モート・ブリスキン
【撮影】ラッセル・メッティ
【音楽】ウォルター・シャーフ
【歌】マイケル・ジャクソン
【出演([]内は役名)】

  • リー・ハーコート・モンゴメリー[ダニー]
  • ジョセフ・キャンパネラ[クリフ]
  • アーサー・オコンネル[ビリー]
  • メレディス・バクスター[イブ]
  • カズ・ガラス[ジョー]

【公開日(日本)】1973年1月7日
【上映時間】94分
【配給】NCC
【前作】ネズミが大量に襲いくるCG無しのパニック映画『ウイラード』ネタバレ&感想
【IMDB】5.3/10.0  (およそ1850人の評価)

【あらすじ】

孤独な青年ウィラードによって飼いならされたねずみの大集団のボス“ベン”--。奇妙な友情で結ばれていた、このねずみと人間の間に生じた突然の亀裂はウィラードがベンを裏切ったことから始まる。ウィラード殺害の犯人はねずみであることが、巡査部長カートランド(J・カンパネラ)を悩ました。この信じられない事件は続いて発生した。ウィラードの家宅を捜査中の警官がベン一族の巣を発見し、ねずみに殺害されてしまったのだ。町の住民の恐怖をよそに、ダニー少年(L・H・モンゴメリー)だけは、ねずみの脅威に何の反応も示さなかった。ダニーは心臓手術を受けたばかりで、その経過は母や姉のイブ(M・バクスター)を心配させていた。ダニーもまた幼な心に死の危機を予知し、孤独だった。そんなダニーの心の空白を1匹のねずみが生めた。1切れのパンで知り合った少年とねずみの交遊は密かに進んで入った。少年はねずみに、全てを話せる友を求め、ねずみは純粋な少年に裏切ることのない信頼を見いだした。だから、ダニーはねずみの名前があの悪名高いベンと知ってもなお暖かい愛情を贈り、友情の証に「ベンの歌」を作って捧げた。生きるためには人間を敵とするベンもまた、ダニーだけは別格だった。ベンはダニーを秘密の棲家へも案内した。一方、ねずみの駆除に全力を挙げるカートランドでは、下水道の掃除作戦を計画していた。【引用元:映画.com

【感想】

☆2.7/5.0

今回も、映画.comさんのあらすじがあらぶりすぎていて話のオチまであったので、そこは割愛。

えー、前作とは打って変わって、ネズミと少年との、友情物語になっています!!

続編も続編、なんと『ウイラード』のラストシーンで、ベンにウイラードが追い詰められるシーンから始まっています。そのままの地続きで始まるわけです。なので、あまり間を開けずに鑑賞することをオススメします!

少年がとにかく切ない

ダニーは生まれつき心臓が弱く、外で遊ぶこともあまりできない少年。

自作の人形劇で遊んでは心をいやす日々・・・

そこに現れた、一匹のネズミ!ベン!

ベンも、飼い主に裏切られ家を追われたところで少年ダニーと出会い、彼と友情を育むことで傷付いた心を癒すのだった・・・。

ネズミのパニックホラーはどこいったの?

と思ってしまうんですけど、もうそこはあきらめましょう。

このおどろおどろしいジャケット写真はなんなの?

とも思うんですけど、目をつむりましょう。

この作品は友情物語ですから!!

ラスト、増え過ぎたネズミを町民がみんなでこぞって倒そうとします。

そのシーンが冗長気味です。

しかし、そのすべてを許させてしまう歌「ベンのテーマ」と、ラストの少年の涙に、きっとほろりとすること間違いなし・・・。

マイケル・ジャクソンが歌っていた!

この映画のテーマソングである、「ベンのテーマ」というのは、知らない人などいないであろうあのマイケル・ジャクソンがジャクソン5に居た頃に歌った大ヒット曲なんです。

動画をペタリしておきますね。

この曲がまた・・・切ない。

映画が気になる人でなくても、マイケルのファンならぜひ一度は観て欲しい!

まとめ

前回に引き続き、ベンを演じるネズミの演技も素晴らしいです(笑)

ネズミの演技しか言う事なかった前回とは違い

物語としても心に切なく響く作品になっています。

少年と動物をテーマにした作品に目がない人には、ぜひおすすめしたい一本ですね!

 


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痛快西部劇!映画『マグニフィセント・セブン』ネタバレ&感想

「七人の侍」、「荒野の七人」、その魂を受け継ぐ

申し訳ありませんが、原作である黒澤明監督の『七人の侍』も、またそれを基にした1960年の西部劇映画『荒野の七人』もどちらも未見です!!

ちなみに今作は、『荒野の七人』を更にリメイクした作品らしいですよ!

私は、「イ・ビョンホンが出ている」というただそれだけで鑑賞を決めました(笑)

西部劇はジャンルとして敬遠しがちだったんですが、タラちゃんことタランティーノ監督の『ジャンゴ 繋がざる者』を観てから好きなジャンルになりました・・・。いやぁ、食わず嫌いってよくないですよ!(笑)

公式サイトはこちら!

【映画情報】

【原題】The Magnificent Seven
【制作国】アメリカ
【監督】アントワン・フークア
【脚本】ニック・ピゾラット、リチャード・ウェンク
【原作】 黒澤明、橋本忍、小国英雄『七人の侍』
【製作】ロジャー・バーンバウム、トッド・ブラック
【製作総指揮】ウォルター・ミリッシュ、アントワン・フークア、ブルース・バーマン、ベン・ワイスブレン
【撮影】マウロ・フィオーレ
【美術】デレク・R・ヒル
【衣装】シャレン・デイビス
【編集】ジョン・ルフーア
【音楽】ジェームズ・ホーナー、サイモン・フラングレン
【出演([]内は役名)】

  • デンゼル・ワシントン[サム・チザム]
  • クリス・プラット[ジョシュ・ファラデー]
  • イーサン・ホーク[グッドナイト・ロビショー]
  • ヴィンセント・ドノフリオ[ジャック・ホーン]
  • イ・ビョンホン[ビリー・ロックス]
  • マヌエル・ガルシア=ルルフォ[バスケス]
  • マーティン・センズメアー[レッド・ハーベスト]
  • ヘイリー・ベネット[エマ・カレン]
  • ピーター・サースガード[バーソロミュー・ボーグ]
  • ルーク・グライムス[テディQ]
  • マット・ボマー[マシュー・カレン]
  • ジョナサン・ジョス[デナリ]
  • キャム・ギガンデット[マッキャン]

【公開日(日本)】2017年1月27日
【上映時間】133分
【配給】ソニー・ピクチャーズ・エンターテイメント
【IMDB】6.9/10.0  (およそ143,000人の評価)

【あらすじ】

暴虐の限りを尽くす男、バーソロミュー・ボーグに支配されたローズ・クリークの町の人々は、賞金稼ぎのサムを中心に、ギャンブラー、流れ者、ガンの達人など7人のアウトローを雇う。最初は金のため町を守ることになったサムらだったが、いつしかその目的が金だけではなくなっていることに気付く。【引用元:映画.com

【感想】

☆3.9/5.0

なんて楽しい西部劇なんだっっ!

面白いくらいにドンパチしています!

ストーリーも単純明快。

悪者が村を苦しめているよ!たくさん家族や友達が殺されているよ!このままじゃ村はあいつ(ボーグ)に滅ぼされてしまう!!助けて!チザム!

そして、通りすがりの黒人(委任執行官)チザムさんが

「なに!私と過去に因縁のあるボーグが村を荒らしているだと!!!ならば助けてやろう!そのためには仲間が必要だ!」

と言い、七人の勇気ある仲間を集め、ボーグを退治したのであった・・・。

という勧善懲悪っぽい感じの復讐劇。分かりやすい!分かりやすいストーリーというのはエンタメ作品にとっても重要だと思うの!

そして後半、敵が出してくる最終兵器「ガトリングガン!!」

そんなの卑怯すぎるwwwと思わず草が生えてしまうほどの絶望感!ここからどうやって巻き返す!?というワクワクも合わさって更に楽しい!

小気味よい仲間同士のやりとりが楽しい!

単純なストーリーに、よく出来た脚本が乗っかると、こんなにも楽しくなる!

集まった7人のなんとも言えない友情というか、絆というか、で結ばれた皮肉交じりのやりとりが非常に小気味よい。

個人的に、イーサン・ホーク扮するグッドナイトと、イ・ビョンホン扮するビリーがとっても仲良しなんだけど、二人がやられてしまう前にしてた会話が最高だった。

グッドナイト「俺の親父がよくこう言ってた・・・」

ビリー「なんて?」

グッドナイト「・・・忘れちまった。とにかく、親父は色々言ってた」

(笑い合う二人)

もうすっっっごい可愛くないですかね(笑)

絶体絶命の場面で、もう二人とも死んでしまうかもしれない。そんなシーンで、良い台詞を言うとかありがちなんですけど、そこのいいセリフを忘れさせちゃうっていうね(笑)

多分グッドナイトはこういう抜けたところが結構あって、カッコつけるべき場面でカッコつけきれないというか。そして、そんなグッドナイトをビリーも大好きなんだろうな、と。

二人の友情が死に際に色濃く出た場面で、本当にお気に入りです。

イ・ビョンホンがとにかくカッコいい

ナイフの名人なんです!ビリーは!!

百発百中のナイフ技をこれ見よがしに披露しています!

決して主役とは言い難い立ち位置ではありますが、それなりに活躍するし見せ場もちゃんとあるので、イ・ビョンホン見たさに鑑賞する人にもきっと楽しんでもらえるはず♪

まとめ

友情あり笑いありアクションあり、実力ある俳優さん揃いで気軽に観れるエンターテイメント、とっても入りやすい西部劇。

ちょっぴり長めですが気にならないくらいの楽しさはあります。

西部劇って聞くだけでもちょっと苦手・・・という人にもおすすめ出来ます。

残念ながらリメイク元の映画とどういう違いがあるのかは私には分からないので、それが分かればもっと楽しめるのかなぁ・・・ということでそのうち、『荒野の七人』も観てみたいと思います!

 


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危険に歪んだラブストーリー。映画『ピアニスト』ネタバレ&感想

「知的な顔でクソ同然の中身か」

出ましたー!

鬱な映画で検索すると必ず名前が上位に上がる、ミヒャエル・ハネケ監督の至極のラブストーリー!!(笑)

そして主演は、最近「ELLE」でも怪演を見せていたイザベル・ユペール!こじらせた中年女性を演じさせたら彼女の右に出るものはいません!!!

→関連「倫理観が崩壊する不条理スリラー。映画『エル ELLE』感想

対する相手役は、なかなかハリウッドではお見掛けすることの少ない、ブノワ・マジメルさん・・・。今作で一目惚れした俳優さんです。

そして最初に、「好きだと言えば人格が疑われそうな映画ばかり好きですいません」と平謝りしときます。

【映画情報】

【原題】La Pianiste
【制作国】フランス、オーストリア、ドイツ
【監督】ミヒャエル・ハネケ
【脚本】ミヒャエル・ハネケ
【原作】エルフリーデ・イェリネク
【製作】ファイト・ハイドゥシュカ
【製作総指揮】イボン・クレン、クリスティーヌ・ゴズラン、ミヒャエル・カッツ
【撮影】クリスティアン・ベルガー
【美術】クリストフ・カンター
【音楽】フランシス・ヘインズ
【出演([]内は役名)】

  • イザベル・ユペール[エリカ]
  • ブノワ・マジメル[ワルター]
  • アニー・ジラルド[エリカの母親]
  • ウド・ザメル[Dr.ジョージ]
  • アンナ・シガレビッチ[アンナ]

【公開日(日本)】2002年2月2日
【上映時間】132分
【映倫区分】R15+
【配給】日本ヘラルド
【IMDB】/10.0  (およそ人の評価)

【あらすじ】

エリカは、国立音楽院の厳格なピアノ教授。学生ワルターは彼女に恋して授業を受けるが……。【引用元:映画.com

【感想】

☆4.3/5.0

びっくりするほどあらすじが短い!!!(笑)

引用させてもらうのも気が引けるほどの短さですな映画.comさん(笑)

簡単にあらすじを

主人公のエリカは処女をこじらせたような中年女性。母親からの過干渉される日々を経て、倒錯的な性癖?に目覚める。ピアノの教え子であるワルターに求愛され、彼にその倒錯的な欲求を満たしてもらおうとするが、拒絶されてしまい・・・

 

という感じの非常に危険な香りのする物語。倒錯的な欲求というのはいわゆるSMで言うところのマゾ趣味ですね。R15+だからここから先は大人だけ!(と言ってもそんなハードな感想書けません)

そして感想

行き遅れアラフォー女子とプルシェンコ似のケツアゴ美青年との年の差恋愛をアブノーマルかつヒステリックに描いたキュンキュンラブストーリー!!!(当社比)

↑つまり私にとってはこういう作品に見えているよ、という叫び。

オープニングのワンシーン挟みながらのクレジットがお洒落で惹きつけられる演出はさすがの一言。ピアノをガチで弾いてるキャスト陣の身を捧げた演技も本当に良い!

そして物語。
前半のエリカの、彼に対する「気持ちに素直になれないけどあからさまに嫉妬しちゃう、拒絶しつつも露骨にお洒落しちゃう」という少女さが不気味可愛い…。
そこに王子様のような紳士的で笑顔が煌めく彼の猛アタックよ……正直トイレでのキスシーンはキュンしすぎて叫び声を上げずにはいられませんでした。家で一人で観てて良かったと本当に思った。

主人公の狂気性

正直ドMなだけなら特殊な性癖を持ってるだけで全然病気と言うほどでもないじゃんという気持ちで観ていたけども、母親に気持ちをぶちまけるシーンで初めて彼女の”狂気”に気付いた。
抑圧され統制された生活を小さな頃から送ってきたんだろう。父親がいないことも原因の一つかもしれないけど、母親との歪んだ関係ってつくづく人格に問題を起こさせるなぁと悲しい気持ちになる。
(『ブラック・スワン』の主人公も似たような境遇だった。昇華の対象に人ではなくバレエを選んだという違いはあれど、ラストの余韻も似たような印象を受ける)

→関連「衝撃の映画体験!ナタリー・ポートマンの『ブラック・スワン』感想

惹かれあいながらもすれ違う二人

そして、惹かれ合いながらもすれ違う2人…。

ここからは勝手な解釈だけど、主人公はなんちゃってドMだったんだと思う。妄想はしていたけれど、問題はもっと別のところにあってそれに気付けないまま誤った方向に進んでしまったのかな、と。
そして彼の方はというと、実は隠されたSの素質を彼女によって見出されてしまったのではないか?このレビュー冒頭の台詞も彼の言葉の抜粋だけども、手紙を読んでからの彼の言動は仮にも愛した女性に対するものとは程遠い違和感を覚えた。元が紳士的?だし余計に。だからこそ戸惑い、突っぱねてみたり、押し入ってみたり、自分でもわからない感情に流されるままに行動してしまったんだろう。もちろん彼女の希望に沿いたいというのもあるかもしれない、だけどそれだけでは嫌悪したという言葉からは想像できない身の切り替え方をしてると思う。
そう考えると最後の演奏会で会った時の態度も頷ける気がする(これからうまくいけると思った?)。でも彼女の方は絶望している…っていう切なさ。

まとめ

もちろん私が書いてきたのは全て推測(というかほぼ妄想に近いですが)だから他の人と”解釈の相違”があってもそれはそれで良し!!

いわゆるスルメ系映画な気がするので、一度目と二度目でまた感想が違ってきそうな気がするのも楽しいですね。

ぶっちゃけこの作品を苦手に思う人の方が圧倒的に多いと思うので、決してオススメは出来ません。ちびぞうのパーソナル・ラブ映画といったところなので、注意が必要です。

だからこそ、この映画が好き!と言える人とは親友になれる・・・そんな作品です(笑)

 

それにしても「精神の黄昏」「シューベルトの譜面が持つ極端さ」などなど、うまいこと序盤に蒔いた伏線を咲かせて散らす、見事なハネケ節でありました。
大好き!!

 

 


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わ行

”独り”で幸せになる方法?映画『ワタシが私を見つけるまで』ネタバレ&感想

シングルでいるのもラクじゃない!?

レンタル屋で母が手に取ったので、観ることになった本作。

実は『あと1センチの恋』の監督で、原作小説は『そんな彼なら捨てちゃえば?』の人だったみたいですね!しかも製作総指揮にドリュー・バリモアの名前が!

個人的に有名女優さんが製作している映画はあまり成功しない・・・というイメージがあるんですがどうなんでしょうか!

個人的に、『ピッチパーフェクト』で今注目している女優さん、レベル・ウィルソンが助演しているということでそこが地味に気になっています!

ワーナーの公式サイトはこちら

【映画情報】

【原題】 How to Be Single
【制作国】アメリカ
【監督】クリスチャン・ディッター
【原作】リズ・タシーロ
【原案】アビー・コーン、マーク・シルバースタイン
【脚本】アビー・コーン、マーク・シルバースタイン、デイナ・フォックス
【製作】ジョン・リカード、デイナ・フォックス
【製作総指揮】ドリュー・バリモア、マーカス・ビシディ、リチャード・ブレナー、マイケル・ディスコ、デイブ・ノイスタッター、ミシェル・ワイス、ナンシー・ジュボネン
【撮影】クリスティアン・ライン
【美術】スティーブ・サクラド
【音楽】フィル・アイスラー
【音楽監修】シーズン・ケント
【出演([]内は役名)】

  • ダコタ・ジョンソン[アリス]
  • レベル・ウィルソン[ロビン]
  • デイモン・ウェイアンズ・Jr[デビッド]
  • アンダーズ・ホーム[トム]
  • アリソン・ブリー[ルーシー]
  • ニコラス・ブラウン[ジョシュ]
  • ジェイク・レイシ―[ケン]
  • ジェイソン・マンツォーカス[ジョージ]
  • レスリー・マン[メグ]

【初公開日(中国)】2016年1月8日
【上映時間】110分
【配給】ワーナー
【IMDB】6.1/10.0  (およそ65,000人の評価)

【あらすじ】

これまで一度も彼氏が途切れたことのないアリスは、自分を見つめ直すべく同棲中の恋人と距離を置くことを決め、ニューヨークで暮らす産婦人科医の姉メグの家に転がり込む。アリスが就職した法律事務所の同僚ロビンは、毎日のように違う男性と一夜限りの関係を楽しんでいる。一方、ロビンが通うバーの上で暮らすルーシーは結婚願望が強く、デート相手紹介サイトで夫探しに明け暮れていた。【引用元:映画.com

【感想】

☆2.6/5.0

”独り身でいる”という事をテーマにした群像劇!

独り身、というのは独身でいる、という事とも少し違って、今作では「彼氏がいない状態」も含めてテーマにしている。だからと言って「独身万歳、独り身最高!」という作品ではないので注意。

というのも、あらすじにも登場する4人の女性たちの中で、彼氏と別れて姉メグの家に転がり込むアリスを主軸にした群像劇として、それぞれの女性が幸せを見つけるまでを描いているのだが

例えば、アリスの姉メグは、一人で人工授精をして赤ちゃんを授かろうとして、妊娠した途端に自分を好いてくれる年下の男子と出会う。そして今までの経験からその男性を拒もうとするものの、結局は彼の押しに根負け?する形で付き合いだす。

そして、一人で妊娠したという事実も勇気を出して打ち明け、彼と共に赤ちゃんを育てるという結末になる。というふうに、きちんと「男性と共に生きることの幸せ」というのも描かれている。

と、思えばアリスの同僚ロビンは、独身を楽しむ女の権化のようなキャラクターで、毎日クラブやバーに通いつめ日毎に男を変え「同じ相手とは2度寝ない」という感じの破天荒キャラ。

つまり、「人それぞれ色んな幸せへの向き合い方があっていいよ」と言いつつ、いちばんに言いたいことをメインに押し出していく構成になっている。

一番に言いたいことというのはつまり主軸になっているアリスの話

今まで彼氏が途切れたことがなく、自分と向き合ったことがないアリスが一人になる時間を持ち、様々な生き方をする女性たちと関わることによって友情や家族愛を育みながら「男と生きることに必死になる前に、自分自身と向き合って、一人でいられる時間の幸福さも知ってみよう」という話なのである。

人によって違う、それぞれの幸せというものを追い求める色んな女性が出てくるので、独身女性にとっても既婚女性にとっても腹立たしい!となるようなお話ではなく、「あくまでそんな選択肢もあるよね」と気軽に観れるところがこの映画の良さかなと思う。

キュンポイントもある

メグの彼氏になりたい男が、「クリスマスの木は枯らせてしまうから」と言われて人工の木を買ってくるシーンがお気に入り。

駄目と言われてもあきらめず、「これならいいでしょ?」と別角度から提案してくれるってのはいいですねぇ・・・ただし好意を持ってる男性にされたら嬉しいよねって前提

シングルをテーマにしながら、きちんとキュンさせるポイントも抑えているし、うまくまとまっているなぁ。

レベル・ウィルソンがやっぱり最高だった

超おデブなのに美人!そして可愛い!憎めない!

痩せたら絶対に美人ですよねこの人。

今作でもパワフルなキャラがさく裂していて、何度も笑わせてくれる。

それから派手なファッションや小物も可愛くて、こんな友達本当にいたら楽しいなと思います(笑)

さすがコメディアンであるだけあって、「女優だからこんなことしないのよ」みたいなラインがない!下品なことでもなんでもかんでもやってくれる安心感があります。

大好き。

まとめ

家族愛あり、同性との友情あり、下ネタあり、笑いあり、ほろりあり、楽しいドタバタアホコメディでした(笑)

と、言いつつ点数が少し低めなのは以下が理由。

シングルの良さを説いてる作品ではないんだよーってところが鑑賞者に伝わるまでがハッキリしなくて、この映画はどういう目線で観ればいいのか?と迷うところがありましたね。

色んな生き方があっていい、というのは色んな人に媚び売ってる感もあって、もう少し片側に突っ切ったテーマでも良かったのかなーと思います。シングルで生きる方が幸せだ!と極端な事を言うのが勇気が要るように、映画でも極端な描き方をするのは勇気がいると思う。でも色んな方向に気を遣うと、少しだけ中途半端な出来になってしまうのかなと、思った本作でした。

 

 


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30年越しの新作!『ブレードランナー2049』ネタバレ&感想

誰かを愛する為には、時には他人にならねばならない―――

来ましたー!2049!

映画館で間に合いました!ゴズリングさんは『君に読む物語』『ラースとその彼女』で大好きな俳優さん。最近は『ラ・ラ・ランド』での活躍もありましたね!

→関連「賛否両論!?映画『ラ・ラ・ランド』ネタバレ無し感想

パンフはこんな感じ。46ページと分厚くて四角くてディズニーのアニメパンフっぽいです。

お値段は税抜き760円。まぁ普通ですね。

これは今回の主役、Kが乗っている車。最高にハイセンス。

中身も、今作のオリジナル用語の解説や、前作から何が起きていたかの年表などもあってこの世界観を深く理解する手助けが沢山!

監督も、『プリズナーズ』や『複製された男』などのドゥニさん。結構好きな監督さんなので映像表現にも期待です。

→関連「先が読めない!異色のサスペンス映画『プリズナーズ』ネタバレ&感想【前編】

【映画情報】

【原題】Blade Runner 2049
【制作国】アメリカ
【監督】ドゥニ・ヴィルヌーブ
【脚本/原案】ハンプトン・ファンチャー
【脚本】マイケル・グリーン
【製作】アンドリュー・A・コソーヴ、ブロードリック・ジョンソン、バッド・ヨーキン、シンシア・サイクス・ヨーキン
【製作総指揮】リドリー・スコット、ビル・カラッロ、ティム・ギャンブル、フランク・ギストラ、イェール・バディック、ヴァル・ヒル
【共同製作総指揮】イアン・マッグローイン、オーサ・グリーンバーグ、
【共同プロデューサー】カール・O・ロジャース、ダナ・ベルカストロ、スティーブン・P・ウェグナー
【撮影】ロジャー・ディーキンス、ASC、BSC
【プロダクション・デザイン】デニス・ガスナー
【視覚効果監修】ジョン・ネルソン
【衣装デザイン】レネー・エイプリル
【音楽】ハンス・ジマー、ベンジャミン・ウォルウィッシュ
【出演([]内は役名)】

  • ライアン・ゴズリング[K]

  • ハリソン・フォード[リック・デッカード]

  • アナ・デ・アルマス[ジョイ]

  • シルヴィア・フークス[ラヴ]

  • ロビン・ライト[ジョシ]
  • マッケンジー・デイヴィス[マリエッティ]
  • カーラ・ジュリ[アナ・ステライン]
  • レニー・ジェームズ[ミスター・コットン]
  • デイヴ・バウティスタ[サッパー・モートン]
  • ジャレッド・レト[ニアンダー・ウォレス]

【公開日(日本)】2017年10月27日
【上映時間】163分
【映倫区分】PG12
【配給】ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
【前作】新作に向けて復習しよう!映画『ブレードランナー(1982)』ネタバレ&感想
【IMDB】8.4/10.0  (およそ145,000人の評価)

【あらすじ】

2022年にアメリカ西海岸で大規模な停電が起きたのをきっかけに世界は食物供給が混乱するなど危機的状況を迎える。2025年、科学者ウォレス(ジャレッド・レトー)が遺伝子組み換え食品を開発し、人類の危機を救う。そして、元捜査官デッカード(ハリソン・フォード)が突然行方をくらませて以来30年の月日が流れた2049年には、レプリカント(人造人間)の寿命に制限がなくなっていた。【引用元:シネマトゥデイ

【感想(おもきしネタバレしています)】

☆3.8/5.0

結構、好き。これ。

一言で言えば、『テクノロジー!』

本当に、最先端のテクノロジーを感じます。映像表現の最高峰って感じ。

きっと、1982年に公開された前作も、当時の人たちにはきっと「最先端」を感じさせるような映像表現だったんだろうなぁ。

スパイク・ジョーンズ監督、ホアキン・フェニックス主演の『her/世界でひとつの彼女』で、現実で言うところのiphoneのsiriさんと恋しちゃう男の話があって、あれもかなり最先端だなー!と思ったんですが今作は更にそれよりも磨きをかけて最先端です!(何回最先端って言うんだ)

レプリカント(人造人間)であるKが、話し相手であり恋仲としてそばに置いている女性はなんとホログラムのバーチャル彼女!その名もジョイ!

もはや人間×人造人間ではないんですよ!

人造人間×機械の恋なんですよ!最先端!!

そして、二人が結ばれるシーンはものすごく印象的。その辺に歩いている娼婦(実際はただの娼婦ではないけど)を連れてきて「彼女と同期すればあなたに抱いてもらえる」という発想!

実際の人間にホログラムの彼女を重ねて、口付けするシーンはもう・・・眩暈がするほど最先端(6回目)。

なんだなんだ。何を見せられているんだ私は。ロマンチックすぎる。切なすぎる。

その他にも、あまり現実味はないんですが未来を感じさせる映像が津波のように押し寄せます!ラストで敵とドタバタする謎の波打ち際とか、地球なんだけど宇宙みたいで怖い。なにここどこなの。おじさんがおぼれちゃう!

Kがデッカードに会いに行ったあと、エルビスなどの古き良き歌手がホログラムで歌って踊るホール(誰もいない)で撃ち合いをするシーンも最高にハイセンスでしたね・・・。

それから、Kの記憶として子ども時代の映像が出てくるんですが、その子ども時代に過ごしていたであろう場所が「階段×ごちゃごちゃしたむき出しの鉄パイプ×焼却炉」のハイブリッドで、工場萌え属性の私を最高に興奮させてくれました。

本当にドゥニさん天才だよ・・・

人造人間が人間を超えていく表現

実はこのテーマは前作でもあったんですが、「人造人間であるレプリカントの方が人間らしさを見せる」というのがこのシリーズの良さであると思っています。

今回は、Kがより人間らしくなり、人なら誰しも一度は妄想するであろう

「この世界の主人公ってま、まさか俺じゃん!?」

という状態に。

(”史上初の奇跡の存在、人間とレプリの子ども”が自分では、と勘違いする場面ですね。本当は子供は男の子ではなく女の子だった)

しかし実際は違うよーんという悲しい現実にガックリと肩を落とす。

これは人生で本当によくある事だと思います。「自分は特別な存在」だと期待する思春期を経てから、社会に出て「自分はたくさんいる人間の一人でしかなく、とてもちっぽけな存在なんだ」と気付く。それはとても人間らしい気付きであり、成長でもあると思うんですが、Kはこの映画の中で人造人間ながらその成長を我々に見せてくれます。

本当にね「自分だと思ったのね?」とか、やめたれよwwと思うんですが(笑)

それでも、「正しいことの為に死ぬのが人間らしさ」という言葉にある意味気持ちを持ち直した彼は、人間らしく「自分は何者なのか」という疑問と絶望を乗り越えたのかなと。感じました。

前述した機械の恋人であるジョイが「彼女は機械でしかなかった」と見せつけられるシーンもあって、人造人間であるKの人間らしさがより際立つ演出になっていて良かったなと。

人間ではないのかもしれないけど、機械ではない。限りなく人間に近い何かは、いずれ人間を超えていく。

そんな最先端なヒューマンドラマ・SFロマンを見せつけてくれましたね!本作はね!

前作ファンにも嬉しい要素もりだくさん

あんまり細かいことには気づけていないと思うんですが、まずオープニングでKがレプリを撃つシーンでは、壁をぶち抜くというシークエンスがありました。

前作のオープニングでも同じように壁をぶち破ってましたね!

同じデッカードというキャラを同じ俳優が演じるというファンなら垂涎モノの演出ですが・・・(そしてその彼が相変わらず弱いところも良い(笑))

なんと!前作のヒロイン・レイチェルが当時とほぼそのままの姿で登場します!!

いやぁ美しかった。CG技術すごい・・・。最近、スターウォーズでも亡くなった俳優さんをCGで再登場させるというのがありましたが・・・。CGも使いようによっては上手い演出になりますね・・・。

まとめ

ありがちなストーリー運びを裏切るちょっとした仕組みがあって、退屈知らず。

前作から引き継いだ”謎の間”が若干の中だるみを感じさせるので、苦手な人はひっじょーーーーに長く感じるかも。

それと、一度この世界観を冷めた目で見てしまうと大体の物が「ギャグ」っぽく見えてしまう可能性もあるかと(笑)デッカードおじさんが溺れかけるシーンは結構ね、来ますね(笑)

 

しかし、一度は観ておいて損はない映像美と音楽と切なさがあります。ぜひとも映画館で!!

落書きファンイラスト

最後に、ちょちょっと描いたちびぞうの絵を載せておきます。

ジョイちゃん可愛かったなぁ・・・

 

 


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