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ロンドン貴族の群像ミステリー。映画『ゴスフォード・パーク』ネタバレ&感想

「完璧な使用人は、先を読むものよ」

友人にオススメだよーと勧められ手に取ってみた今作!

ロンドンのオシャレな雨模様から始まります…。

主演には、なんと、ハリポタのダンブルドア校長を演じていたマイケル・ガンボンとマクゴナガル先生でおなじみのマギー・スミスが夫婦役で出ていると言うハリポタファンにはちょっぴり面白いキャスティング。
その他には、ちびぞうが個人的に気に入っている『クルーエル・インテンションズ』のライアン・フィリップくん、『シン・シティ』のクライヴ・オーウェンなんかも出ています!!

監督のロバート・アルトマンは、マーティン・スコセッシ、ウディ・アレンと並んでアメリカの俳優から最も尊敬される監督の一人である。とwikiさんに書かれていたんですが…すいません全く知りませんでした…あと一本も作品観てません…。

ポール・トーマス・アンダーソン監督の『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』はこの監督に捧げられた作品らしい…という話を聞くところからも、彼の偉大さが垣間見えますね~。

【映画情報】

  • 【原題】Gosford Park
    【制作国】イギリス
    【監督】ロバート・アルトマン
    【脚本】ジュリアン・フェロウズ
    【原案】ロバート・アルトマン、ボブ・バラバン
    【製作】ロバート・アルトマン、ボブ・バラバン、デビッド・レビ
    【製作総指揮】ジェーン・バークレイ、シャロン・ハレル、ロバート・ジョーンズ、ハンナ・リーダー
    【撮影】アンドリュー・ダン
    【音楽】パトリック・ドイル
    【出演([]内は役名)】
    「階上」の人々
  • マギー・スミス[コンスタンス・トレンサム伯爵夫人]
  • マイケル・ガンボン[ウィリアム・マッコードル]
  • クリスティン・スコット・トーマス[シルヴィア・マッコードル]
  • カミーラ・ラザフォード[イゾベル・マッコードル]
  • ジェラルディン・ソマーヴィル[ルイ―ザ・ストックブリッジ]
  • チャールズ・ダンス[レイモンド・ストックブリッジ]
  • ナターシャ・ワイトマン[ラヴィニア・メレディス]
  • トム・ホランダー[アンソニー・メレディス]
  • ジェームズ・ウィルビー[フレディ・ネスビット]
  • クローディー・ブレイクリー[メイベル・ネスビット]
  • ローレンス・フォックス[ルパート・スタンデッシュ]
  • トレント・フォード[ジェレミー・ブロンド]
  • ジェレミー・ノーサム[アイヴぁ―・ノヴェロ]
  • ボブ・バラバン[モリス・ワイズマン]
    「階下」の人々(使用人)
  • アラン・ベイツ[ジェニングス]
  • ヘレン・ミレン[ミセス・ウィルソン]
  • デレク・ジャコビ[プロバート]
  • メグ・ウィン・オーウェン[ルイス]
  • エミリー・ワトソン[エルシー]
  • リチャード・E・グラント[ジョージ]
  • ジェレミー・スウィフト[アーサー]
    キッチンの使用人
  • アイリーン・アトキンス[ミセス・クロフト]
  • ソフィー・トンプソン[ドロシー]
  • テレサ・チャーチャー[バーサ]
    賓客の付き人
  • ケリー・マクドナルド[メアリー・マキーシュラン]
  • クライヴ・オーウェン[ロバート・パークス]
  • ジョアンナ・モード[レネー]
  • エイドリアン・スカーボロ[バーンズ]
  • フランセス・ロー[サラ]
  • ライアン・フィリップ[ヘンリー・デントン]
    警察
  • スティーヴン・フライ[トンプソン警部]
  • ロン・ウェブスター[デクスター巡査]

【公開日(日本)】2002年10月26日
【上映時間】137分
【配給】UIP映画
【IMDB】7.3/10.0  (およそ67,000人の評価)

【あらすじ】

32年の英国、郊外にある貴族のカントリー・ハウス、ゴスフォード・パークに貴族、召使い、ハリウッドから来た映画プロディーサーらが集う。やがて、館の主人が変死する事件が起きたことから、秘められていた人間関係が顕わになっていく。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレもしているよ!)】

☆2.3/5.0

う、うぅーーーーーーん。

雰囲気はとても良い!!!!!

ただ登場人物はめっちゃくちゃ多い!!そしてみんな同じ人に見える!!!(笑)

そして結構、長い…後半の物語が大きく動くまでが結構長い…群像劇がメインなので、そこまでにキャラクターを描く時間が必要なのは分かりますけどね…。

ぶっちゃけちびぞうはそんなに好き…というほどでもなかったですね…。

貴族と召使の群像劇

おおよそのストーリーは、カントリーハウスに集まった貴族たちと召使たちのごちゃごちゃと入り組んだ群像劇が進んでいき、後半館の主人が何者かによって刺殺(本当は毒殺)される。

そしてその犯人は捕まったかどうかは語られず、(おそらく主人公であろう)メイドだけが真実を知り、物語は終わる…という感じ。

殺人事件の真相はこうでした。

招かれた貴族の従者の中に施設暮らしだったというロバート(クライヴ・オーウェン)という男がいて、彼は実は屋敷の主人が自分の工場に勤める女に手を出して出来た子どもであった。父親に捨てられ母親はロバートを生んですぐ死んだと思っており、復讐のために主人を殺す。しかし、本当はロバートが刺殺しようとしたときに主人はすでに死んでいて、毒殺したのは召使のミセス・ウィルソン(ヘレン・ミレン)だった。
彼女は死んだと思われていたロバートの実の母親で、息子が罪に手を染める前に、彼の人生を守るため主人を殺したのだという…

実際、殺人事件は起きるのでミステリーだと思うのですが、ぶっちゃけこの展開はあまりにも簡単に予測できてしまう。ので、ミステリーとして楽しむよりかは貴族と召使の間の複雑な群像劇を楽しむ方が良いと思われます。

雰囲気も楽しもう

オープニングが雨から始まって、エンディングは晴れやかな天気で終わっているように、なぜか不思議と後味がスッキリする映画なんです。

物語だけを観れば息子を守るために殺人を犯し、さらに母親が生きているという事実も明かすことなくサヨナラになってしまうとっても切ない話なんですが…。不思議と後味スッキリ。

従者としての強さのようなものにも惹かれますし、イギリス貴族独特のエレガントさ、オシャレさ、人間模様、空気感もぜひ、楽しんでもらいたいです。

 

あと、ライアン・フィリップくんが美しいよ!!!!!!

 

 


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冒険ファンタジーの金字塔!映画『ジュマンジ』ネタバレ&感想

死にたくなかったら、ゲームを続けるしかない。

『ジュマンジ』と言えばかーなり昔に一度観たような観てないような・・・で、いつかちゃんと観ないといけないなーと思いつつここまで来てしまったちびぞうですが、今年、『ジュマンジ/ウェルカムトゥジャングル』が公開されるということで、ようやく1を見返してみましたー!

ちなみに続編としては『ザスーラ』という映画がありましたが、今作と話が繋がっているわけではなく、同じ絵本を題材にしたお話で、精神的続編・・・?という謎の扱いのようです。

若かりし頃のロビン・ウィリアムズだけでなく、キルスティン・ダンストも見れますよ!!(*’ω’*)

【映画情報】

【原題】 Jumanji
【制作国】アメリカ
【監督】ジョー・ジョンストン
【脚本】ジョナサン・ヘンズリー、グレッグ・テイラー、ジム・ストレイン、クリス・バン・オールズバーグ
【原作】クリス・バン・オールズバーグ
【製作総指揮】テッド・フィールド、ラリー・J・フランコ、ロバート・W・コート
【製作】スコット・クルーフ、ウィリアム・ティートラー
【撮影】トーマス・アッカーマン
【美術】ジェームズ・ビッセル
【音楽】ジェームズ・ホーナー
【編集】ロバート・ダルバ
【特殊効果】インダストリアル・ライト・アンド・マジック
【出演([]内は役名)】

  • ロビン・ウィリアムズ[アラン・パリッシュ]
  • ジョナサン・ハイド[サム・パリッシュ/ヴァン・ペルト]
  • キルスティン・ダンスト[ジュディ]
  • ブラッドリー・ピアース[ピーター]
  • ボニー・ハント[サラ]
  • ベベ・ニューワース[ノラ]
  • デビッド・アラン・グリア[ベントレー]
  • パトリシア・クラークソン[キャロル・パリッシュ]
  • アダム・ハン=バード[若い頃のアラン]
  • ローラ・ベル・バンディ[若い頃のサラ]

【公開日(日本)】1996年3月20日
【上映時間】104分
【配給】コロンビア トライスター映画
【次作】『ザスーラ』
【IMDB】6.9/10.0  (およそ244000人の評価)

【あらすじ】

1869年、深夜の森で2人の少年が大きな木箱を地中深くに埋めた……。1969年、製靴工場を営むニューハンプシャーの名家パリッシュ家の12歳になる一人息子アラン(アダム・ハン=バード)は気の弱い少年で、厳格な父サム(ジョナサン・ハイド)にいつも叱られていた。ある日、彼は工事現場の土中から、大きな木箱を掘り出す。それは「ジュマンジ」と書かれたゲーム盤で、アランはガールフレンドのサラ(ローラ・ベル・バンディ)とプレイをする。ところが、このゲームは投げたダイスの目に応じた結果が、実際に起こるのだった。アランはサラの目前で、ゲーム盤の中のジャングルの世界へと吸い込まれて消えてしまった。さらに26年後、アラン一家が住んでいた屋敷に、伯母ノーラ(ベベ・ニューワース)に連れられた、ジュディ(キルスティン・ダンスト)とピーター(ブラッドリー・ヒアース)の幼い姉妹が住むことになった。彼らは屋根裏部屋で「ジュマンジ」を発見し、さっそくプレイしてみる。だか、吸血蚊、猿、そしてライオンが出現してしまった。そこへ、ピーターの出した目のおかげで26年ぶりに生還したアラン(ロビン・ウィリアムズ)も現れる。【引用元:映画.com

【感想】

☆2.7/5.0

ファミリー向け、コメディタッチのファンタジーアドベンチャー!という感じなんですが、ちょっとホラー要素の方が強い気がしましたねー。

同監督の映画は『ミクロキッズ』を観たことがありますが、すごく似た雰囲気があります。

クスクス笑える感じではなく、ワクワクして「次はどうなるんだろう!?主人公はどうなってしまうんだろう!?」というドキドキハラハラ、そしてちょっぴり怖さも含むイメージ。

今見るとCGもそんなに感動的な出来ではないんですが、当時の人からしたら、これは凄かったんだろうなぁ・・・。

ちびぞう的にハッとしたのは、最初に子ども達がジュマンジを地中に埋める場面から100年が経ち、主人公と思わしき男の子(アラン)が建設現場でジュマンジを再発見。ゲームを始めてしまう・・・という始まり。

このアランという男の子が主人公でジュマンジのゲームをしていくんだろうなー、と思って観ていると、ダイスが最初に導いたマスは「次に5か8が出るまでジャングルで待つ」というもの。するとアランがジュマンジに吸い込まれて消えてしまう!!!

画面に出る「26年後」の文字。

えっ!?

すっかり古びた屋敷に、新しい持ち主だという家族(姉弟)がやってくる・・・。

「えっ!?アランどうなったの!?」

という驚きと怖さ、はんぱなかったです。まさかの展開すぎた。

そして当然のように放置されていたジュマンジを見つける姉弟。ゲームを始めて5だったかな?を出したら、ゲームの中から大人になったアランが出てくる!まさか生き伸びてたなんて!!

ここの流れ、すごくワクワクするし大好きですね。26年もジャングルで過ごしていた男が現実に戻ってくる、というコミカルさもありました。

それと、この映画はジュマンジというゲームをクリアする、という部分だけではなく、クリアした後、ゲームを始めた日に戻れる、という設定があって、おじさんになったアランもゲームクリア後に当時の自分の家に帰ることが出来るんです。

そこで、父親の不幸を回避するために行動したりと、タイムトラベラー映画の要素もあって、そこも面白い。序盤に出てきたアランの私生活のシーンも重要な伏線になっていたりして。

いやーこれは名作ですね。

出来れば公開当時に、映画館で観たかったなぁ・・・。

新作の『ジュマンジ/ウェルカムトゥジャングル』も楽しみ!すごろくゲームではなく、テレビゲームとなったジュマンジがどんな大冒険を見せてくれるのか、非常に楽しみです!

 

 


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画像引用元:映画.com/IMDB

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タランティーノが仕掛ける雪山の密室劇!映画『ヘイトフル・エイト』ネタバレ&感想

第1章「レッドロックへの最後の駅馬車」

画像引用元:映画.com

出ましたー!DVDで鑑賞してしまったけれど

映画館で観たかった!!!

と血涙流す系の作品です!!!あーパンフ欲しかったなぁ。。

どうしてタラちゃん(タランティーノ監督)の西部劇はこんなに面白いのだろう・・・。西部劇にはあまり食指が動かなかった私が大歓声を上げて鑑賞した同監督の『ジャンゴ 繋がれざる者』もオススメです!

のっけから話題が逸れました。

カート・ラッセルの兄貴が大活躍してますので、ファン必見です!

ではいつもの映画情報から。

【映画情報】

【原題】The Hateful Eight
【制作国】アメリカ
【監督/脚本】クエンティン・タランティーノ
【製作】リチャード・N・グラッドスタイン、ステイシー・シェア、シャノン・マッキントッシュ
【製作総指揮】ボブ・ワインスタイン、ハーベイ・ワインスタイン、ジョージア・カカンデス
【撮影】ロバート・リチャードソン
【美術】種田陽平
【衣装】コートニー・ホフマン
【編集】フレッド・ラスキン
【音楽】エンニオ・モリコーネ
【出演([]内は役名)】

  • サミュエル・L・ジャクソン[マーキス・ウォーレン]
  • カート・ラッセル[ジョン・ルース]
  • ジェニファー・ジェイソン・リー[デイジー・ドメルグ]
  • ウォルトン・ゴギンズ[クリス・マニックス]
  • デミアン・ビチル[ボブ]
  • ティム・ロス[オズワルド・モブレー]
  • マイケル・マドセン[ジョー・ゲージ]
  • ブルース・ダーン[サンディ・スミザース]

  • ジェームズ・パークス[O.B. ジョーダン]
  • デイナ・グーリエ[ミニー・ミンク]
  • ゾーイ・ベル[六頭馬のジュディ]
  • リー・ホースリー[エド(ジュディの相棒)]
  • ジーン・ジョーンズ[スウィート・デイブ]
  • キース・ジェファーソン[チャーリー(ミニーの店の黒人男性店員)]
  • グレイグ・スターク[チェスター・チャールズ・スミザース]
  • ベリンダ・オウィーノ[ジェマ(ミニーの店の黒人女性店員)]
  • チャニング・テイタム[ジョディ・ドミングレ]
  • クェンティン・タランティーノ[ナレーター]

【公開日(日本)】2016年2月27日
【上映時間】168分
【映倫区分】R18+
【配給】ギャガ
【IMDB】7.8/10.0  (およそ361,100人の評価)

【あらすじ】

雪が降りしきる中で馬を失った賞金稼ぎマーキス(サミュエル・L・ジャクソン)は、同じ稼業であるジョン(カート・ラッセル)と彼が捕らえたデイジー(ジェニファー・ジェイソン・リー)を乗せた駅馬車に同乗する。途中で保安官を名乗るクリス(ウォルトン・ゴギンズ)を拾った馬車は、猛吹雪から避難するためにミニーの紳士洋品店へ。メキシコ人の店番ボブ(デミアン・ビチル)や怪しげな絞首刑執行人オズワルド(ティム・ロス)などの存在にジョンが強い警戒心を抱く中で、事件が起こる。【引用元:シネマトゥデイ

【感想(ネタバレあり)】

☆4.1/5.0

大好きです!タラちゃん大好き!

差別用語や下品な言葉が飛び交い、銃弾も血液も飛び交い、容赦なく人が死んでいきます。グロ描写があったり男性のフルヌードがあったり、ボカしも全力で仕事しています。

タラちゃんらしいです。

苦手な人は苦手な作品かもしれませんが、私的には素晴らしかったです。

どうミステリーなのか?

いきなり物語の核心に触れてしまいますが、今作は雪山のお店(ミニーの服飾店)に集まった八人が、吹雪によって足止めされてしまう中、何者かによって毒殺事件が起こる・・・という話なんですね。

その真相としては、首吊り人ジョン・ルースがレッドロックで絞首刑にするため連れている女犯罪者(ドミングレギャング団の頭の姉)をドミングレ一味(四人)が雪小屋で救出しようと、そのお店の人達を皆殺しにして「留守を預けられた店員とそのお客」のフリをしてジョン・ルースを待ちわびていた・・・というもの。

一人が「9人目の男」となり、床下に潜んでジョン・ルースを殺す機会をうかがっているわけです。

しかし彼らの誤算としては、ウォーレンとマニックスという二人が偶然、ジョン・ルースの乗る駅馬車に乗り合い、「ミニーの服飾店」へ来てしまったということ。

ウォーレンはミニーの店に詳しく、「留守を預けられていた男」の嘘も次々に暴いていく・・・そして、ついに床下の男が登場する!

  • 誰が毒をコーヒーに入れたのか?
  • ミニーとデイブはどこにいったのか?
  • 客の中に女と手を組んでいる人がいるのか?いるとしたら何人だ?

という謎が解き明かされて、まさか床下にもう一人いるとは(笑)となるのが物語のピークなわけです。

本当にこの物語、脚本がよく出来ていて、冗長で無駄に思われる会話もちゃんと伏線になっていたりするので地味に気が抜けないんです(笑)

会話劇としての面白味

前述したとおり、脚本が面白い!上映時間が3時間近くあるので、正直中だるみしてしまうというか、前半がやたらと長く感じられしんどいなと感じる人もいるかもしれません。

画面的にも雪山、山小屋、馬車、とあまり変化がないですしね・・・。

ただ、ちゃんとその長ったらしい無駄に思える会話にもきちんと意味があって、当時の時代背景も読み取れるし、なぜタイトルが「ヘイトフル(憎むべき、憎しみに満ちた)エイト(八人)」なのかということもしっかり描かれています。

どの人物も戦争相手や肌の色の違いを憎み、大勢を殺したり略奪してきた人たち。本当の悪というものは、犯罪者として連行されているデイジーだけではない。という部分の面白味があります。だから、ラストの(おそらく)全員が死ぬという展開も納得できる。

その中でも、黒人差別の世界から生き抜こうと書かれた「嘘のリンカーンの手紙」を朗読するシーンや、首吊り人ジョン・ルースの意向を汲んでやろうとするシーンなど、なぜかジーンとしてしまう描写もあって。終始殺伐としていた中で、人間の情味がチラッと見えるというか。

ヘイトフルですが、なんとなく憎めない映画なんですよね!

鬼気迫る演技

ぶっちゃけサミュエルさんは色んな映画に出過ぎだろうと思って辟易している部分もあるんですが、でもその実力は相当だなぁ、と今作でも思わせられてしまいますね。

私の愛してやまないカート・ラッセルもどっしりとしてカッコよく、時に優しさも見せるいい男(?)を演じているし、女犯罪者のデイジーを演じたジェニファー・ジェイソン・リーも、アカデミー賞やゴールデングローブ賞で助演女優賞を受賞しているだけあって、本当に気が狂ったような恐ろしい女を演じています。

その他の面々も、個性的で演技派揃い。こういった会話だけで物語が進む映画は、大体が素晴らしい演技と脚本に支えられていますよね。

ポスター、アートワークがオシャレ

全く関係ないんですが、海外版のポスターやネットで見かけるアートワークが本当にオシャレで堪らないので、紹介させてください。

こちら海外版のポスターですね。背中だけというのが憎い!

こちらは登場人物が横並びで、背後に赤線がビュッと引かれているもの。

その赤背景バージョン。微妙に並びが違ったりするのが面白いですね!

そして一番カッコいいと思っているのがこれ!!六頭馬の駅馬車が走っていく後には血が・・・というシンプルなデザイン。赤と黒と白で統一されていてハイセンスすぎます。大好き。

まとめ

タラちゃんファン必見、カートラッセルファン必見、ミステリーというよりはバイオレンスが多めですのでそこらへんだけ注意してもらいたい会話劇。そんな感じですね。

この映画、65mmフィルムというものが使われており、日本では上映できる映画館がなかったので編集版が公開されているようです。本国の人が羨ましい。普段の映画館の映像とどう違いがあるのか専門的な事は分かりませんが、監督が拘った映像をそのままに映画館で楽しめるというのは最高だと思います!

 

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や行 原作小説

沼田まほかる著・小説『ユリゴコロ』映画版の違いと感想(ネタバレ)

こんばんは!ちびぞうです(*´∀`*)

2017年10月現在、劇場にて上映中の吉高由里子、松坂桃李、松山ケンイチ主演、熊澤尚人監督の映画『ユリゴコロ』を観て来まして、原作にも非常に興味が湧いたので買って読んでみました!

感想も交えつつ、映画版との違いなど書いていきたいと思います。

※原作と映画両方のネタバレにも触れて紹介しますので、どちらも未見の方はご注意を!

原作と映画の相違点

まず小説の裏表紙より引用しましたあらすじを載せておきます。

ある一家で見つかった「ユリゴコロ」と題された四冊のノート。それは殺人に取り憑かれた人間の生々しい告白文だった。この一家の過去にいった何があったのか――。

映画版は少し曖昧な点もありますが、記憶を頼りに表にしてみました。

原作版 映画版
主人公・亮介の仕事 会員制の、犬の運動場付きの喫茶店「シャギーヘッド」を経営 ハイカーの集まる喫茶店(店名は同じ)を経営
亮介の父 末期のすい臓がん 病名は明かされないが恐らくがん
亮介の母方の祖母 ケアハウスで暮らし、もう身内の顔もハッキリ見分けることができない 登場しない
亮介の母① 亮介が四歳になる前の入院時期までにいたと思われる母親 登場しない
亮介の母② 亮介の入院後に入れ替わった?と思われる母親。最近、不審な交通事故で亡くなった。死の間際怯えていたようにも見えた 登場しない
亮介の弟、洋平 一浪、留年もしている大学生 登場しない
亮介の恋人、千絵 亮介に200万を借りて突然失踪した。実は結婚しており、旦那であるDV男に両親の弱みを握られており、そこに戻って薬漬けにされる。体を売るような仕事もさせられていた様子 亮介と婚約した途端、失踪。実は結婚しており、ヤクザ者だった旦那に両親の弱みを握られ、彼の元へ戻って監禁される。体を~は左に同じ。
細谷さん 亮介の喫茶店で働く中年女性。離婚歴有り。千絵のことを娘のように可愛がり、失踪した千絵の居場所を突き止めてくれ、彼女をそこから連れ戻してくれる 千絵の昔の同僚と名乗る中年女性。偶然ホテルで再会した彼女に亮介への伝言を頼まれ「シャギーヘッド」へと訪れる。原作と同じく、千絵が監禁されている場所を突き止めてくれる
塩見 千絵の旦那。ギャンブルで財産を失いヤクザに追われ、千絵の”人には見せられない写真とネガ”をネタに金を要求してくる。亮介が殺そうとする直前で受け渡し先であったドライブウェイの先の展望台で何者かに殺害される。死体はなく、血の飛び散った車を亮介が処分する 千絵の旦那。ヤクザ者で、亮介が殺そうとする直前でヤクザの事務所のような場所で仲間と共に何者かに殺害される。その現場には、オモナミ(草むらなどに入ると服にくっつくトゲトゲの小さな実のような植物)が落ちていた
告白文「ユリゴコロ」 父の書斎の段ボール箱の中に、古ぼけた女物の鞄を見つける。”美紗子”と書かれた和紙の包みが入っており、中には一束の女の髪。その箱の一番奥に、全部で四冊のノートを見つける 父の書斎の段ボール箱の一番上に、袋に入ったノート一冊を見つける
告白文「ユリゴコロ」に登場する私(美紗子) 本名、美紗子。幼少期から殺人(人の死)を「ユリゴコロ(拠り所)」としてきた殺人者。一人の男性との出会いを通じて、徐々に変化していく 左に同じ
告白文「ユリゴコロ」の内容 前半はみつ子の思い出を綴るために書かれたもので、後半は「アナタ」への告白文となっている 全編通して「アナタ」への告白文となっている
ユリゴコロに登場する植物 ヌスビトハギの小さな種 オモナミの実
ミチルちゃん  美紗子の捕まえたカエルを見せて貰う時、光に驚いて飛び出したカエルにびっくりして池に落ちた。靴下に足が引っかかって起き上がれず、溺死 美紗子が彼女の帽子を「あげる」と差し出し、その中に入っていたカエルが飛び出して池に落ちた。死因は同じ
美紗子の両親 告白文の序盤に母親と、父親もチラッと登場。

亮介の父と結婚後、父と本当の家族のように交流を持っていた。美紗子が追い詰められ、自ら命を絶とうとした晩も両親の家からの失踪で、川から彼女を救い出した時も彼らは一緒に捜索した

告白文の序盤に母親のみ登場
ノートの発見者 妹の英美子が、美紗子が死のうと失踪した晩に発見 亮介の父が美紗子が死のうと失踪した晩に発見
美紗子の妹・英美子 失踪したとされる妹で、戸籍から外されている。しかし実際は、美紗子を家族で亡き者にした後、姉として生きることを決意。亮介の母②になった 登場しない
美紗子の職場 建材会社の事務員。そこの上司と退社後に再会、体を買われようとしたところを殺害。後々、亮介の父と幸せに暮らしていたが当時の出入り業者に見つかり(恐らくこの人も殺害)、警察に疑わる事に 料理の専門学校に通っていたため、料理屋のキッチンで働いていた。退社後に上司と再会、体を買われようとした時に殺害。直前に上司が「あの女を買う」と出入り業者の男に電話していたため、その人にも疑われ、警察が家に来ることに
 美紗子の行く末 「アナタ」に嘘をついた苦しみから死のうとするが、亮介の父と自分の家族に助けられる。ノートが家族全員に読まれ、「罪を償わせる」という目的で、実の両親に紐で縛られ目隠しをされてダムの底に沈められる。しかし実際はそうする前に父親がこっそり美紗子を助けており、別人として生きろと逃がしてやっていた。

十年以上経ってから美紗子は亮介の父に会いに行き、年に一度だけ会う関係を続けていた。そして亮介が開店させた喫茶店で「細谷」として働くように。

最後は死の淵に立つ亮介の父を連れて二人で旅行に出る

原作と同じように死のうとするが、良助の父に助けられる。ノートを読んだ父は「生かしておくわけにはいかない」と美紗子の手を紐で縛り重りを付けてダムに沈めようとする。しかしギリギリで止め、別人として生きろそして二度と自分たちの前に現れるなと言って逃がしてやる。

千絵の働くレストラン?で彼女と交流を持つようになった美紗子は、そこを退職した後偶然再会した千絵に伝言を頼まれ、偶然にも亮介の経営する「シャギーヘッド」へと現れる。

母子として対峙し、訣別した二人だが、美紗子は亮介の父へと会いに行く

ミステリーとしての面白さ

表を見て貰えばわかる通り、原作には映画版に登場しない亮介の母親や弟、美紗子の両親などが沢山出てきます!

そして、亮介の「小さかった頃に母親が別人になった気がする」という記憶。これと合わせて父の持つノートを読むことで、

「このノートは父が書いた小説か?それとも母の自伝なのか?だとしたら自分の母親は殺人鬼なのか?もし、入れ替わりが行われたとしたらどちらの母親が本当の母親なのだろうか」

という謎が次から次へと湧いてきて、続きが気になって目が離せない!となります。

それから、泣き虫で情に厚く、兄・亮介の言い出した突拍子もないノートの話にふざけながらも耳を傾けてくれる弟・洋平との兄弟関係も素敵ですし、兄の推理の手伝いをサクサクッとしてくれ、真実が明かされたあとも飄々としていてとても魅力的なキャラクターです。

この前半の謎解き要素もとても面白かった。

単純に「ユリゴコロ」が面白い!

これは映画版でも思ったことですが、ノートの内容がとにかく面白い!読み始めたら止まらない!

父親の家にあまり出入りできず、隠れて読んでいるという設定上、亮介の都合によって読者もノートの続きが読めない「おあずけ状態」にされてしまいます。それがもう、もどかしい。話の中での現実に戻ってくると、ハッとして、そこまで息も止まる勢いで読んでいた自分に気付いて深く息を吐く・・・という事が何度もありました。

それくらい、美紗子の綴る「ユリゴコロ」という告白文が面白い。

前半の、みつ子という友人を殺すまでの話を綴った時の彼女と、後半の、「アナタ」に真実を打ち明けようと書いている、とある男との出会いによって変化していく彼女の違い。本当の心のユリゴコロ(拠り所)は愛であり、それを手に入れた女が束の間の幸福を手に入れていく姿がとても切ないんです。

実は純粋なラブストーリーである

・・・ということに、読み終わると気付くんですが、ここは少し個人的に惜しかったですねー。

前半にあったミステリーっぽさは最後には実を結ばない感じがしてしまうんですよね。美紗子が結局「アナタ」の元へと戻ってしまうところもどうかなと思ってしまいますし。

謎解きの最後にある「そうだったのか!」という驚きはあまり用意されておらず、周囲にいる人たちのドラマも結局は美紗子と父の二人の愛に巻き込まれただけという感じがしなくも、ない。

特に亮介の、「殺人者の血が流れている」という苦悩も安直で、千絵の身の上話や起きる事件も「用意されたエピソード」という感じがとても強かったですね。あまりにも「運命」というものを強調しすぎた結果かなぁ。

あのノートを読み解くのが息子であるという事はそこまで重要でなかったかもしれない。ノートの内容自体がとても面白かったので、それが活かせるシチュエーションなら何でもよかったのかなと思ってしまいますねー。

まとめ

元々、少し映画の方に不満を感じていて、「きっと原作は面白いに違いない!確かめてみよう!」と読み始めたんですが

やっぱり原作は面白いです!

ただ、両方とも、ノートを読み終えた辺りから失速していったイメージがどうしてもありますね。残念。

美紗子と「アナタ」の恋の切なさは断然、原作の方が上ですし、息子とその恋人の色々も、母子の愛についても原作の方が自然な感じになっています。なので、映画が面白かった!と思う人はぜひとも原作の方も読んでもらいたいなと。(散々ネタバレしてしまいましたが!)

ラストがかなり違うので、エンディングに関してはどちらにも良さがあるかとは思いますが(もうこれは個人の好みの問題かな・・・)私としてはもっと切なく美紗子にとっての救いがないまま終わってしまっても良かったかなと。

映画の方の感想も書く予定なので、そちらも合わせて読んで頂ければ幸いです!

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【後編】映画『プリズナーズ』ネタバレ&感想

こちらの記事は先が読めない!異色のサスペンス『プリズナーズ』ネタバレ&感想【前編】から続いています!

ネタバレ注意!

 

◆宗教色の強さ、随所に散りばめられたキーワードで裏の意味を深読みする?しない?

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先が読めない!異色のサスペンス映画『プリズナーズ』ネタバレ&感想【前編】

僕がいる間は、泣かなかった―――。

 

 

『X‐MENシリーズ』のウルヴァリンで有名なヒュージャックマンを主演に迎えた、『複製された男』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督と主演ジェイク・ギレンホールの再タッグ作品!

ギレンホールさんは『ゾディアック』のように陰鬱なミステリーが本当に良く似合う役者さんですよね!

 

今作はメインの誘拐劇に加え、考察大好きな映画ファンが裏の意図を色々と妄想できる、そんな深みある作品です(笑)

下にも書いていますが、今回はお目当ての俳優さんがいたのもあって劇場で鑑賞いたしました。

パンフレットはこんな感じ!

税抜き667円で30ページあるのですが、持ってみるとひじょーーーーにうっすい!薄さが不安になるパンフです(笑)

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映画『インフェルノ』感想/ラングドン教授の大冒険第三弾!

このまま地球の人口が増え続ければ、環境破壊は止まらず、人間も絶滅するだろう。今このスイッチを押せば、人類の半分は死ぬ――。

 

さぁ来ました!!

『ダヴィンチ・コード』『天使と悪魔』に続くダン・ブラウン原作ミステリーの映画化第三弾です!!!

(原作では”ロスト・シンボル”が三作目、こちらは四作目になるそうです)

原作未読。

パンフはこんな感じです。A4サイズ、39ページとなかなかの厚み。

洋画の大作パンフは大体こんな感じの装丁。