カテゴリー
や行

吉高由里子が美しき殺人鬼に。映画『ユリゴコロ』ネタバレ&感想

私のように平気で人を殺す人間は、脳の仕組みがどこか普通と違うのでしょうか。

この、とてもインパクトのある書き出しから始まる美しき殺人鬼の告白文。

そしてその殺人鬼を吉高由里子が、ノートを発見し読み解く男を松坂桃李が!さらに不眠に悩むメッシー君を松山ケンイチが!という魅力的なキャスティング。うーん観るしかない、と思ってしまいますね。

吉高由里子の主演映画は『蛇にピアス』しか観たことないんですが、この一本だけでも「結構いい演技をする女優さんだ」という印象があったので、今作も自然に「観たい」と思いました。今作も、蛇にピアスも、仄暗い欲求に憑りつかれた女性の役で、なんとなく当時の演技がここにも活きているのかな、と思いました。

鑑賞後に原作も読みまして、映画版との違いを書いた以下の記事もぜひ一緒にどうぞ!

沼田まほかる著・小説『ユリゴコロ』映画版の違いと感想(ネタバレ)

パンフレットはこんな感じ。

26Pで税抜き667円。独特な表紙ですね~映画を観終わってから見ると、あれの写真かなこれの写真かなと色々想いが巡りますね。

【映画情報】

【制作国】日本
【監督/脚本】熊澤尚人
【原作】沼田まほかる「ユリゴコロ」
【製作総指揮】佐藤直樹
【製作】永山雅也、村松秀信、三宅容介、木下直哉、大柳英樹、片岡尚、戸塚源久、細字慶一、大沼渉
【エグゼクティブプロデューサー】千葉善紀、柳迫成彦、大熊一成
【プロデューサー】石田雄治
【音楽】安川午朗
【撮影】今村圭佑
【美術】高橋泰代
【衣装】宮本まさ江
【出演([]内は役名)】

  • 吉高由里子[美紗子]

  • 松坂桃李[亮介]

  • 松山ケンイチ[洋介]

  • 佐津川愛美[みつ子]

  • 清野菜名[千絵]

  • 清原果耶[美紗子(中学生)]

  • 平尾菜々花[美紗子(小学生)]
  • 貴山侑哉[亮介の父]
  • 木村多江[細谷]

【公開日(日本)】2017年9月23日
【上映時間】128分
【映倫区分】PG12
【配給】東映、日活
【IMDB】—/10.0  (およそ0人の評価)

【あらすじ】

亮介は余命わずかな父の書斎で1冊のノートを見つける。「ユリゴコロ」と書かれたそのノートには、ある殺人者の記憶が綴られていた。その内容が事実か創作か、そして自分の家族とどんな関係があるのか、亮介は様々な疑念を抱きながらも強烈にそのノートに惹きつけられていく。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレ注意)】

☆2.6/5.0

とてつもなく惜しい作品なんです。

なぜ惜しく感じるのか

  • 現代(亮介)パートの取ってつけた感。
  • ノートを読み終わってからの展開。
  • 全体的な伏線の弱さ!

この三つですかね。

全て、脚本と演出が台無しにしているのかと思いましたが、原作の方もノートを読み終わる辺りから失速していっていたので、そこはもうどうしようもなかったのかなぁと。

ノートの内容、特に松山ケンイチと出会って子どもが生まれるくらいのところまでの内容が素晴らしいんです。だけどどうしても、予想通りの展開が多すぎて。

例えば「この後みつ子の腕を切って殺してやるんだろう」とか、「この男、あの時の鉄蓋の男では?」とか、「おっ、妊娠か?」「母親が殺人鬼ってオチ?」「この女が美紗子だろう」などなど、安易に想像出来てしまうことが多すぎる・・・ミステリー仕立てにしては安直で、驚きがあまり少なく、てぬるい!と感じてしまいましたね。

現代パートはどうしてあんなに蛇足感が強いんだろう。

失踪した婚約者にはヤクザの旦那がいて体を無理やり売らされていたとか、ベタにも程がある設定だし。しかも突然やってきた婚約者の元同僚の女が、居場所まで突き止めてくれるなんて都合が良すぎませんか!

いやいやそんなの自分の婚約者なんだから、自分で調べたり探したりしようよって思うんだけど、それよりも何よりも亮介くんはノートの中身に夢中で「自分は殺人鬼の息子なのか?」って、うぅーん。そのくせ見つかったら見つかったで「俺が旦那を殺したくなるのは殺人鬼の血が入ってるから・・・?」って悩むのもなんだか軽い!

大切な人が散々な目に合わせられてれば血縁なんて関係なしに殺意が湧くことなんてあると思いますよ。うん。

そんなこんなで現代パート(主に映画で改変された箇所)がものすごくご都合主義で軽くなっちゃってるもんですから、松坂桃李くんの狂っていくような演技がオーバーでオーバーでまるでコントのよう・・・冷めた目で見てしまいます。

良かったと思ったところ

吉高由里子の演技と、モノローグ、それからノートの中身の過去パートはどこも素晴らしかった。映像も記憶に残る鮮やかさと美しさ、独特のセンスがあったように感じましたし。

だからこそ他の部分が惜しく感じるんですよね。

うまく料理仕切れていない感というか。

実はこの話はミステリーというよりも「愛の話」であって、一人の女性が生き辛さから解放されていくまでの変化を描いている話。だから驚きも謎解きもなくていいはずなんですが、どうしても原作から外した謎解きの部分が剥がしきれていなくて中途半端に残ってしまった感じがします。

まとめ

ぜひ原作も合わせて楽しんでもらいたい!

何度も言いますがノートの中身がとても面白く、切ないです。

とても感情移入は出来ない殺人鬼美紗子の感じたこと考えたことが映画よりもっと深く知れるはず。

正直、観終わったあとで仲間に色々と文句を言ってしまった今作ですが、意外にも記憶に凄く残るというか、本当につまらないと思っていたらきっと原作なんか買う気にもならないでしょうし、それだけのものがあったのかなぁと。

だからトータルすると「すごく惜しい作品」なんでしょうね。

 

 

この原作者の映画は今月の28日にも「彼女がその名を知らない鳥たち」が公開されます。阿部サダヲと宮崎あおい主演で、またも松坂桃李くんが出ています。

そちらも楽しみ。

 

 


にほんブログ村 映画ブログへ
ランキング参加中です♪よろしければポチりお願いします(‘ω’)ノ

カテゴリー
や行 原作小説

沼田まほかる著・小説『ユリゴコロ』映画版の違いと感想(ネタバレ)

こんばんは!ちびぞうです(*´∀`*)

2017年10月現在、劇場にて上映中の吉高由里子、松坂桃李、松山ケンイチ主演、熊澤尚人監督の映画『ユリゴコロ』を観て来まして、原作にも非常に興味が湧いたので買って読んでみました!

感想も交えつつ、映画版との違いなど書いていきたいと思います。

※原作と映画両方のネタバレにも触れて紹介しますので、どちらも未見の方はご注意を!

原作と映画の相違点

まず小説の裏表紙より引用しましたあらすじを載せておきます。

ある一家で見つかった「ユリゴコロ」と題された四冊のノート。それは殺人に取り憑かれた人間の生々しい告白文だった。この一家の過去にいった何があったのか――。

映画版は少し曖昧な点もありますが、記憶を頼りに表にしてみました。

原作版 映画版
主人公・亮介の仕事 会員制の、犬の運動場付きの喫茶店「シャギーヘッド」を経営 ハイカーの集まる喫茶店(店名は同じ)を経営
亮介の父 末期のすい臓がん 病名は明かされないが恐らくがん
亮介の母方の祖母 ケアハウスで暮らし、もう身内の顔もハッキリ見分けることができない 登場しない
亮介の母① 亮介が四歳になる前の入院時期までにいたと思われる母親 登場しない
亮介の母② 亮介の入院後に入れ替わった?と思われる母親。最近、不審な交通事故で亡くなった。死の間際怯えていたようにも見えた 登場しない
亮介の弟、洋平 一浪、留年もしている大学生 登場しない
亮介の恋人、千絵 亮介に200万を借りて突然失踪した。実は結婚しており、旦那であるDV男に両親の弱みを握られており、そこに戻って薬漬けにされる。体を売るような仕事もさせられていた様子 亮介と婚約した途端、失踪。実は結婚しており、ヤクザ者だった旦那に両親の弱みを握られ、彼の元へ戻って監禁される。体を~は左に同じ。
細谷さん 亮介の喫茶店で働く中年女性。離婚歴有り。千絵のことを娘のように可愛がり、失踪した千絵の居場所を突き止めてくれ、彼女をそこから連れ戻してくれる 千絵の昔の同僚と名乗る中年女性。偶然ホテルで再会した彼女に亮介への伝言を頼まれ「シャギーヘッド」へと訪れる。原作と同じく、千絵が監禁されている場所を突き止めてくれる
塩見 千絵の旦那。ギャンブルで財産を失いヤクザに追われ、千絵の”人には見せられない写真とネガ”をネタに金を要求してくる。亮介が殺そうとする直前で受け渡し先であったドライブウェイの先の展望台で何者かに殺害される。死体はなく、血の飛び散った車を亮介が処分する 千絵の旦那。ヤクザ者で、亮介が殺そうとする直前でヤクザの事務所のような場所で仲間と共に何者かに殺害される。その現場には、オモナミ(草むらなどに入ると服にくっつくトゲトゲの小さな実のような植物)が落ちていた
告白文「ユリゴコロ」 父の書斎の段ボール箱の中に、古ぼけた女物の鞄を見つける。”美紗子”と書かれた和紙の包みが入っており、中には一束の女の髪。その箱の一番奥に、全部で四冊のノートを見つける 父の書斎の段ボール箱の一番上に、袋に入ったノート一冊を見つける
告白文「ユリゴコロ」に登場する私(美紗子) 本名、美紗子。幼少期から殺人(人の死)を「ユリゴコロ(拠り所)」としてきた殺人者。一人の男性との出会いを通じて、徐々に変化していく 左に同じ
告白文「ユリゴコロ」の内容 前半はみつ子の思い出を綴るために書かれたもので、後半は「アナタ」への告白文となっている 全編通して「アナタ」への告白文となっている
ユリゴコロに登場する植物 ヌスビトハギの小さな種 オモナミの実
ミチルちゃん  美紗子の捕まえたカエルを見せて貰う時、光に驚いて飛び出したカエルにびっくりして池に落ちた。靴下に足が引っかかって起き上がれず、溺死 美紗子が彼女の帽子を「あげる」と差し出し、その中に入っていたカエルが飛び出して池に落ちた。死因は同じ
美紗子の両親 告白文の序盤に母親と、父親もチラッと登場。

亮介の父と結婚後、父と本当の家族のように交流を持っていた。美紗子が追い詰められ、自ら命を絶とうとした晩も両親の家からの失踪で、川から彼女を救い出した時も彼らは一緒に捜索した

告白文の序盤に母親のみ登場
ノートの発見者 妹の英美子が、美紗子が死のうと失踪した晩に発見 亮介の父が美紗子が死のうと失踪した晩に発見
美紗子の妹・英美子 失踪したとされる妹で、戸籍から外されている。しかし実際は、美紗子を家族で亡き者にした後、姉として生きることを決意。亮介の母②になった 登場しない
美紗子の職場 建材会社の事務員。そこの上司と退社後に再会、体を買われようとしたところを殺害。後々、亮介の父と幸せに暮らしていたが当時の出入り業者に見つかり(恐らくこの人も殺害)、警察に疑わる事に 料理の専門学校に通っていたため、料理屋のキッチンで働いていた。退社後に上司と再会、体を買われようとした時に殺害。直前に上司が「あの女を買う」と出入り業者の男に電話していたため、その人にも疑われ、警察が家に来ることに
 美紗子の行く末 「アナタ」に嘘をついた苦しみから死のうとするが、亮介の父と自分の家族に助けられる。ノートが家族全員に読まれ、「罪を償わせる」という目的で、実の両親に紐で縛られ目隠しをされてダムの底に沈められる。しかし実際はそうする前に父親がこっそり美紗子を助けており、別人として生きろと逃がしてやっていた。

十年以上経ってから美紗子は亮介の父に会いに行き、年に一度だけ会う関係を続けていた。そして亮介が開店させた喫茶店で「細谷」として働くように。

最後は死の淵に立つ亮介の父を連れて二人で旅行に出る

原作と同じように死のうとするが、良助の父に助けられる。ノートを読んだ父は「生かしておくわけにはいかない」と美紗子の手を紐で縛り重りを付けてダムに沈めようとする。しかしギリギリで止め、別人として生きろそして二度と自分たちの前に現れるなと言って逃がしてやる。

千絵の働くレストラン?で彼女と交流を持つようになった美紗子は、そこを退職した後偶然再会した千絵に伝言を頼まれ、偶然にも亮介の経営する「シャギーヘッド」へと現れる。

母子として対峙し、訣別した二人だが、美紗子は亮介の父へと会いに行く

ミステリーとしての面白さ

表を見て貰えばわかる通り、原作には映画版に登場しない亮介の母親や弟、美紗子の両親などが沢山出てきます!

そして、亮介の「小さかった頃に母親が別人になった気がする」という記憶。これと合わせて父の持つノートを読むことで、

「このノートは父が書いた小説か?それとも母の自伝なのか?だとしたら自分の母親は殺人鬼なのか?もし、入れ替わりが行われたとしたらどちらの母親が本当の母親なのだろうか」

という謎が次から次へと湧いてきて、続きが気になって目が離せない!となります。

それから、泣き虫で情に厚く、兄・亮介の言い出した突拍子もないノートの話にふざけながらも耳を傾けてくれる弟・洋平との兄弟関係も素敵ですし、兄の推理の手伝いをサクサクッとしてくれ、真実が明かされたあとも飄々としていてとても魅力的なキャラクターです。

この前半の謎解き要素もとても面白かった。

単純に「ユリゴコロ」が面白い!

これは映画版でも思ったことですが、ノートの内容がとにかく面白い!読み始めたら止まらない!

父親の家にあまり出入りできず、隠れて読んでいるという設定上、亮介の都合によって読者もノートの続きが読めない「おあずけ状態」にされてしまいます。それがもう、もどかしい。話の中での現実に戻ってくると、ハッとして、そこまで息も止まる勢いで読んでいた自分に気付いて深く息を吐く・・・という事が何度もありました。

それくらい、美紗子の綴る「ユリゴコロ」という告白文が面白い。

前半の、みつ子という友人を殺すまでの話を綴った時の彼女と、後半の、「アナタ」に真実を打ち明けようと書いている、とある男との出会いによって変化していく彼女の違い。本当の心のユリゴコロ(拠り所)は愛であり、それを手に入れた女が束の間の幸福を手に入れていく姿がとても切ないんです。

実は純粋なラブストーリーである

・・・ということに、読み終わると気付くんですが、ここは少し個人的に惜しかったですねー。

前半にあったミステリーっぽさは最後には実を結ばない感じがしてしまうんですよね。美紗子が結局「アナタ」の元へと戻ってしまうところもどうかなと思ってしまいますし。

謎解きの最後にある「そうだったのか!」という驚きはあまり用意されておらず、周囲にいる人たちのドラマも結局は美紗子と父の二人の愛に巻き込まれただけという感じがしなくも、ない。

特に亮介の、「殺人者の血が流れている」という苦悩も安直で、千絵の身の上話や起きる事件も「用意されたエピソード」という感じがとても強かったですね。あまりにも「運命」というものを強調しすぎた結果かなぁ。

あのノートを読み解くのが息子であるという事はそこまで重要でなかったかもしれない。ノートの内容自体がとても面白かったので、それが活かせるシチュエーションなら何でもよかったのかなと思ってしまいますねー。

まとめ

元々、少し映画の方に不満を感じていて、「きっと原作は面白いに違いない!確かめてみよう!」と読み始めたんですが

やっぱり原作は面白いです!

ただ、両方とも、ノートを読み終えた辺りから失速していったイメージがどうしてもありますね。残念。

美紗子と「アナタ」の恋の切なさは断然、原作の方が上ですし、息子とその恋人の色々も、母子の愛についても原作の方が自然な感じになっています。なので、映画が面白かった!と思う人はぜひとも原作の方も読んでもらいたいなと。(散々ネタバレしてしまいましたが!)

ラストがかなり違うので、エンディングに関してはどちらにも良さがあるかとは思いますが(もうこれは個人の好みの問題かな・・・)私としてはもっと切なく美紗子にとっての救いがないまま終わってしまっても良かったかなと。

映画の方の感想も書く予定なので、そちらも合わせて読んで頂ければ幸いです!

カテゴリー
ら行

感情を持つ事が悪とされる世界で。映画『ロスト・エモーション』ネタバレ&感想

マルハナバチよ。
航空力学的には飛べないのに 彼らは知らずに飛び続ける

ジャケットの裏の”感情がなくなった世界”という文章と、主演が『エックスメン』シリーズのビースト(若い時)や『マッドマックス』のウォーボーイで知られるニコラス・ホルトというその2点のみでレンタルを決めました!

彼の出演作は『ウォーム・ボディーズ』が一番好きなんですが、ほんと、青白い顔と無表情が似合うというか上手いですよね・・・(笑)

ちなみに相手役は『トワイライト』のヒロイン役で有名なクリステン・スチュアートです。私は彼女の開いたままの口と前歯が気になって仕方がないので・・・ちょっと残念なキャスティングだなぁ。

カテゴリー
あ行

もしもあの時。アニメ映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』ネタバレ&感想

繰り返す、夏のある一日。花火が上がるとき、恋の奇跡が起きる――

TOHOさんの6本で1本無料があったのでね、気軽な気持ちで観に行ってみました!映画館へ!

原作は岩井俊二監督の同名作品。邦画もありますし、ドラマにもなっているようです。そして更にその原作となった小説もある!

私はどれも未見で、観てきました。

パンフはこんな感じ

何気に42Pもあって分厚いです。税抜き667円!安い!気合入ってる!

カテゴリー
は行

目覚めたらひとりぼっち!映画『パッセンジャー』ネタバレ&感想

私はこの船で暮らし―――
永遠に旅をする 辿り着けない旅を・・・見知らぬ男とともに

劇場で予告編を観たときに気になってはいたものの、結局何気なくスルーしてしまっていた今作。家族の勧めもあってようやく、今回自宅で鑑賞しました。

主演俳優には、ヒロイン役にジェニファー・ローレンス!大好きな女優さんです(『ハンガー・ゲーム』や『世界に一つだけのプレイブック』で有名ですが、個人的には『X-MEN』シリーズのレイヴン(ミスティーク)が印象的)。そして主人公にはクリス・プラット、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のスターロード役が記憶に新しいですね-!彼は宇宙に縁があるのかな(笑)

【映画情報】

【原題】Passengers
【制作国】アメリカ
【監督】モルテン・ティルドゥム
【脚本】ジョン・スパイツ
【製作】ニール・H・モリッツ、スティーブン・ハーメル、マイケル・マー、オリ・マーマー
【製作総指揮】デビッド・ハウスホルター、ベン・ブラウニング、ジョン・スパイツ、ブルース・バーマン、グレッグ・バッサー、ベン・ワイスブレン、リンウッド・スピンクス
【撮影】ロドリゴ・プリエト
【編集】メリアン・ブランドン
【音楽】トーマス・ニューマン
【声の出演([]内は役名)】

  • クリス・プラット[ジム・プレストン]
  • ジェニファー・ローレンス[オーロラ・レーン]
  • マイケル・シーン[アーサー]
  • ローレンス・フィッシュバーン[ガス・マンキューゾ]
  • アンディ・ガルシア[ノリス船長]

【公開日(日本)】2017年3月14日
【上映時間】112分
【配給】ソニーピクチャーズ・エンターテイメント
【IMDB】7.0/10.0  (およそ230,000人の評価)

【あらすじ】

20XX年、乗客5000人を乗せた豪華宇宙船アヴァロン号が、新たなる居住地を目指して地球を旅立ち、目的地の惑星に到着するまでの120年の間、乗客たちは冬眠装置で眠り続けていた。しかし、エンジニアのジムと作家のオーロラだけが予定よりも90年近く早く目覚めてしまう。絶望的で孤独な状況下で生き残る方法を模索するうちに、2人は惹かれ合っていくのだが……。【引用元:映画.com

【感想】

☆3.5/5.0

壮大で美しい宇宙と船内の映像

まず賞賛したいのはこれ!!

宇宙の映像の美しさ、無機質で洗練された宇宙船内外のデザイン!それ以外にも、無重力で浮いてしまうプールの水の表現や、隕石の激突によって起きた異常によって熱暴走する船室、そしてラストの”楽園”のシーンまで、どれも非常に美しく、それだけでも観る価値はあるかな、と思えます!

実力派俳優たちの共演

ジェニファー・ローレンスの美しさ!首元のホクロがすごく色っぽくてきれいです!そして彼女の、恋する女の目から憎しみに満ちた目に変わっていく演技!自分を起こしたのがジムだと知った後の、殴るわ蹴るわの暴行シーンが何気に鬼気迫っててゾッとしましたね。彼のした事の重さを再確認させられるというか。

対するクリス・プラットも、影のあるイケメンを演じていましたね・・・。目覚めてから、ジャケットの着方を鏡で確認して、これから始まるであろう新たな人生にウキウキする様子、そこから自分が一人だと知って絶望していく様子・・・。オーロラに対して、恋人をしながらも時々見せる罪悪感の滲んだ表情・・・。どれもすごく上手でしたね。

そして!!忘れてはいけない、アンドロイドのアーサーを演じたマイケル・シーン!凄いです、もう見た目は人間にしか見えないのに、ちゃんとアンドロイドしている。絶妙に噛み合っているようで噛み合っていない台詞回しとか、些細な表情筋の使い方とか「あ、本当の意味では理解されていない」というゾッとする感じが上手かったです。だからと言って完璧にロボット・・・とも少し違う、絶妙に愛着の持てる感じが凄く良かったんですよね。

この三人だけでほとんどの場面を回していくのに、後半の船長が目覚めるまで退屈しないのが本当にすごい。映像と、脚本と、演技者の力の賜物だと思います。

あと一番最後に出て来るノリス船長?という名前の人らしいですが、アンディ・ガルシアでビックリ(笑)もはやカメオ出演ですよね(笑)アンディ・ガルシアも大好きな俳優さんなので、ラスト「あっ!!!」とテンション上がってしまいました(笑)

泣けるけどご都合主義

残念な点になってしまうのかなぁ。切なくて、泣けるシーンも終盤あるんですが、途中まではわりとツッコミどころ満載で観てしまっていました。

ジムの孤独にもっと共感させてほしかった

彼がひとりで過ごした一年と三週間という時間をもう少し詳細に観たかったですね。全裸で徘徊したって誰も気にも留めない・・・というところとか切なくて良かったんですが。

ちょっと尺というか、表現不足だったかな。引用させてもらったあらすじも、予告編もそうだったんですけどまるで「偶然二人で目覚めた」というアオリなわけです。でも実際は全然違う!!

実際は、ひとりで目覚めたジムが残り90年の人生を孤独に過ごすのに耐え切れず、一目惚れした美女を自分の都合で起こしてしまう・・・。それは、殺人にも等しい、人の人生をまるごと奪うような行為なわけで。この情報を知らずに観た人は、きっとジムの行動には共感出来ないどころか嫌悪感さえ持ってしまうかも。

だからこそ、ジムの孤独にあともう少しでも共感を呼ぶ表現が必要だったかな、と。じゃないと物語への没入感が薄れてしまうから。「絶対に共感しない、自分ならそんなことはしない」と言い切れる人もいるかもしれないですが、本当にそうなのかな、と思います。あの状況になってみないとまずジムの気持ちは分からないし、人間は弱いから。極限状態であればまともな判断が下せず”人生を百万倍良くする方法”に縋ってしまうかもしれないですよね。

船長の台詞に「溺れる者は誰かに縋るものだ、でないと死んでしまう」という台詞がありましたが。この部分について、「ああ、この状況では仕方ないのかもしれない・・・」と思わせる表現が、もう少し欲しかった、という事ですね。

イケメンじゃなかったらどうするんだ問題

ジムがものすごいブサメンだったり、技術者ではなかったり、ものすごい幼かったり、逆に老人だったりしたら・・・というツッコミですね(笑)相手がいくら美女でも、彼女にも選択する権利があるわけで。そもそも技術者でなかったら、誰かを起こすことも出来なかったんですよねー。全体的に、予定調和な脚本であることは、間違いないです。

もし、ジムがサイコキラーだったらホラーな展開になるかも!とも思います。それはそれで観てみたい(笑)

 

船長の存在も都合がいい

後半になって起きて来る船長ですが、5000人以上もいる中で彼が目覚めたという偶然もものすごい。そしてすぐに死んでいなくなってしまうのも、都合が良い。最後に扉を開けに行く役をジムにさせるには、再度二人っきりにする必要がありますもんね。しかし最初から最後まで二人では船のシステムの深い部分まで入り込めない+医療機器の限界突破をさせることが出来ないわけで。監督の意図に沿って登場したキャラだなぁ、と冷静に思えてしまうところが残念でした。

ジムの罪は最初から許されるべくして犯された

最後の方で「沈みゆく船」だったんだ、とオーロラも観客も気付きます。つまり、ジムが彼女を起こそうが起こさないままだろうが、全員死にゆく運命だったんですよね。

この作品の最大のテーマは「人命の価値」で、武田泰淳の短編小説『ひかりごけ』のように、極限状態に置かれた人間が犯すタブーについてどう考えるか、という部分がキモだと思うんです。許されない罪に対してジムとオーロラがどうしていくのか、そこが観たいんですよね。

でも、物語は「最初からジムが許される」ように作られているわけで。

まぁラブロマンスをメインにしてしまうとそうなるのかもしれませんが・・・。原作でのラストは映画版とは違い、もう少し暗澹としたものだったようなので、そっちの方も観てみたかったなーと思いました。

まとめ

散々色々言いましたが(笑)

あまり深いことを考えずにラブロマンスとして観れば、ロマンチックなシーンも沢山ありますし、何より映像が美しい。

それから主演陣のキャラクターも魅力的で惹き込まれます。もっと素直に観れば、オーロラが「偉業を達成する人生」よりも大切な物を見つける物語なわけで。ヒューマンドラマなのか、ラブストーリーなのか、どちらに重点を置くかで見方もまた変わってくるのかなー、と。

これだけ色々とツッコんでおきながら最後の方は泣いてしまったちびぞうなので、決して失敗はしない良作だと思います(笑)

 

 

 


にほんブログ村 映画ブログへ
ランキング参加中です♪よろしければポチりお願いします(‘ω’)ノ

カテゴリー
さ行

スパイディの成り立ちが分かる!映画『スパイダーマン』ネタバレ&感想

大いなる力には、大いなる責任が伴う

今年、『スパイダーマン / ホームカミング』を観まして、過去のスパイダーマンも見返したい!と思ったので復習がてらDVDにて再鑑賞しました!

ちなみに新スパの方も記事を上げていますので良ければどうぞ!→三度目の映画化!『スパイダーマン : ホームカミング』感想

トビー・マグワイヤのスパイダーマン・・・少し陰鬱すぎて苦手だったんですよね。今はどう感想が変わるでしょうか・・・

カテゴリー
わ行

DCの新女性ヒーロー!映画『ワンダーウーマン』感想(ネタバレなし)

最強の美女戦士、あらわる――

元々、DCコミックの映画はあまり観て来ておらず、しかも女性ヒーローの映画は興味がなかったのもあって、もしかしたらこれ単体であればスルーしていたかもしれない本作・・・。

DC版アベンジャーズである『ジャスティスリーグ』が始まるということで、後から急いで追いかけることになるなら、今のうちに観ておこう!と思い立って劇場へ向かいました。

監督は『モンスター』のパティ・ジェンキンス監督、製作に私の好きなザック・スナイダーも関わっています!!

パンフはこんな感じ。

神々しい!!衣装もかっこいいし、ダイアナの魅力を前面に押し出した表紙です・・・(*^ω^*)

大体ヒーローもののパンフは大きめ縦長でキラキラしてますね!34Pで税込760円!若干豪華で若干安め。

ワンダーウーマンの成り立ちや他ヒーローとの関係性が詳しく載っていたり、ページ下部のほそーい部分にまで豆知識が載っていて楽しいパンフです^^

カテゴリー
た行

今度は合体もするよ!映画『トランスフォーマー/リベンジ』感想&ネタバレ

私はオプティマス・プライム

このメッセージを――我々の過去を永遠に記録するために送る

その記憶の中で 我々は生き続ける

新作のトランスフォーマーのために過去作を観直しているんですが、残念ながら劇場公開までには間に合わなそうな雰囲気がビンビンしています(笑)

だってまだあと2本あるもんな・・・家族と観てるし、なかなかタイミングが。

初見は劇場で観に行ったような気がしたんですけど、パンフがなかったので違ったみたいです。それか、パンフを買うようになる前に、行ったのかな。

今回はバンブルビーが大活躍します!楽しみですね!!

カテゴリー
は行

ラブラブ絶好調!のはずが?映画『ブリジット・ジョーンズの日記/きれそうなわたしの12か月』感想&ネタバレ

物語の最後がどうなるかはみんな気になるところ。

マリアとトラップ大佐。白雪姫と七人の小人。

ブリジット・ジョーンズとマーク・ダーシー。

私はついにハッピーエンドを見つけた。この幸せに、水を差すものは何もない・・・

どうもこんにちはこんばんは、ちびぞうです!( ´∀` )

ブリジット・ジョーンズの新作のために旧作を見返そうのコーナーです!このシリーズはかなり昔に1を観て以降観たいとは思いつつも観れずにいたので、新作はいいきっかけになるなぁと思いつつ、自宅でDVDで鑑賞しました。

【映画情報】

【原題】Bridget Jones: The Edge of Reason
【制作国】イギリス、アメリカ
【監督】ビーバン・キドロン
【脚本】ヘレン・フィールディング、アンドリュー・デイヴィス、リチャード・カーティス、アダム・ブルックス
【原作】ヘレン・フィールディング
【製作】ティム・ビーヴァン、ジョナサン・カヴェンディッシュ エリック・フェルナー
【撮影】エイドリアン・ビドル
【出演([]内は役名)】

  • レニー・ゼルウィガー[ブリジット・ジョーンズ]
  • コリン・ファース[マーク・ダーシー]
  • ヒュー・グラント[ダニエル・クリーバー]
  • ジム・ブロードベント[コリン(ブリジットの父親)]
  • ジェマ・ジョーンズ[パメラ(ブリジットの母親)]
  • ジャシンダ・バレット[レベッカ]
  • ジェームス・キャリス[トム]
  • シャーリー・ヘンダーソン[ジュード]
  • サリー・フィリップス[シャザー]

【公開日(日本)】2005年3月19日
【上映時間】108分

【配給】ユニバーサル・ピクチャーズ
【映倫区分】
【前作】ラブコメディの金字塔!映画『ブリジット・ジョーンズの日記』ネタバレ&感想
【次作】『ブリジット・ジョーンズの日記/ダメな私の最後のモテ期』
【IMDB】5.9/10.0  (およそ85,000人の評価)

【あらすじ】

弁護士のマークとの交際を始めて幸せいっぱいのブリジットだったが、マークと彼の美人アシスタント、レベッカの仲が怪しいとの噂を聞いて不安になり、さらに誤解が重なってマークと大ゲンカしてしまう。【引用元:映画.com】

【感想】

☆3.0/5.0

ブリジットすごい太ってる!!

ブリジット役のレニー・ゼルウィガーは、『コールドマウンテン』で心奪われてから私の大好きな女優さんです。

今回の撮影のため、前回の時よりもかなり増量したとか・・・(笑)それにしても太りすぎでしょ(笑)

タプタプの腹出して歩いてくる場面なんかお腹にしか目が行かなかったよ!!

あと顎の下の肉もすごかったです。もうあと少しで二重アゴぎりぎりって感じで・・・いつ二重アゴになってしまうんだろうと観ててハラハラしました(笑)

そしてタイでの拘置所暮らしね・・・あれが一体何日間に及んだのかについては明らかにされていませんが、釈放されたあともあんまり痩せてない(笑)

少し体重増やしすぎで、余計なところが気になってしまった今作でした(笑)

ありがちストーリーとマンネリ化

最初はあまりよく思っていなかった幼馴染のマークとくっ付いて、付き合い始めて幸せいっぱいのブリジット。だけど二人の間には仕事の格差や育ちの格差などがあって、二人とも互いの価値観を否定しがち、そして案の定すれ違っていきます。そこに、いかにも当て馬っぽい脚長美女がマークの近くに現れ、「もしや浮気?」なんて疑心暗鬼なところに元カレで遊び人のダニエルが近づいてくる・・・。

ものすごくあるあるな展開すぎますね(笑)

浮気と疑っていた女はやっぱり当て馬だし、もう愛されてないと思ったら自分の為にマークが裏で奮闘していたと知り告白にしに行くくだりとかも、だいぶありふれたストーリーな感じがしています。

しかも、セックス依存を治したと語るダニエルが相変わらずクズだった!という流れも、もう二度目となるとマンネリ化してしまいますね・・・。いや、うん。クズでももうあんまり驚かないよ(笑)

しょぼしょぼな喧嘩シーンが最高

タイで逮捕されそうになっているブリジットをダニエルが見捨てた事でマークが怒り、今作でも二人のしょっぼい喧嘩シーンが楽しめます。二人ともそんな喧嘩強い!って感じじゃないからじゃれてるようにしか見えなくて可愛い(笑)

これはもう、このシリーズの風物詩というか、何度観ても笑えます(笑)

やっぱり一番の魅力はブリジット!

彼女の心の強さは尊敬に値しますよね。異国の地で逮捕されてしまうとか、たくさんの犯罪者たちと同じ檻に入れられるとか、普通なら泣いたり落ち込んだり怯えたりしそう・・・なのに。ブリジットは(きっとすごく怖くても)あまりそれを外には出さない女性なんですよね。そして独特のテンションとノリとぶっ飛んだ発想で会う人会う人を惹きつけ、ピンチも自分で切り抜けていく!彼女のキャラがなければこのシリーズは成り立たないですよねー!

まとめ

ブリジットの間の悪さ(彼氏に甘々な電話をかけたら重役たちとの会議中でスピーカーで聞かれちゃってるとか)や、アホっぽいノリ、凹んでも負けじと立ち上がるところに、笑わさせられるし、ほっこりさせられるし、応援したくなります。

どうやら遊び人のダニエル(ヒュー・グラント)は3作目では出てこないようで、上で散々マンネリがどうとか言った割には、それはそれで寂しいというか・・・(笑)

ほぼ十年ぶりの新作、そして公開時(2016)の時点で47歳になったレニーのブリジットは、どんなキャラクター、そして物語になるのでしょうか・・・!多少の不安もありつつ、とても楽しみです。早く観たい!!

また、観たら感想を上げたいと思います。

ではでは、ここまで読んでくださった方、ありがとうございました♪

 

 


にほんブログ村 映画ブログへ
ランキング参加中です♪よろしければポチりお願いします( ´ސު`)

カテゴリー
は行

【おまけ】映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』あらすじ(詳細)

どうも!ちびぞうです!

前回の、まさかの4作目!映画『パイレーツ・オブ・カリビアン ~生命の泉~』感想&ネタバレを書いた時の、DVDで観直している間に取ったあらすじメモ(コメント付き)が残っていたので、それを読める程度に直して記事として残しておきたいと思います。

まさかの4作目!映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』感想&ネタバレ

前回の記事よりもかなり詳細なあらすじを書いていますのでネタバレ必至です、ご注意を!!