スマホの中に、人に言えない秘密はありますか?
スマホの中身を見せ合おうゲーム!するよ!!みたいなあらすじに「なんてアホな事を…」と思いつつも、秘密が暴かれてワチャワチャするコメディなんて楽しそうじゃない!!と釣られて借りてみました。
レンタルだったのでパンフなどはなーし。
出演陣で特に知ってる!という人はいなかったんですが、『人生、ここにあり!』のジュゼッペ・バッティストンが出演しています!
公式サイトはこちら。
【映画情報】
【原題】Perfetti sconosciuti
【制作国】イタリア
【監督】パオロ・ジェノベーゼ
【脚本】フィリッポ・ボローニャ、パオロ・コステラ、パオロ・ジェノベーゼ、パオラ・マミーニ、ロランド・ラベッロ
【製作】マルコ・ベラルディ
【撮影】ファブリッツィオ・ルッキ
【編集】コンスエロ・カトゥッチ
【音楽】マウリツィオ・フィラルド
【出演([]内は役名)】
- ジュゼッペ・バッティストン[ペッペ]
- アンナ・フォリエッタ[カルロッタ]
- マルコ・ジャリ―二[ロッコ]
- エドアルド・レオ[コジモ]
- バレリオ・マスタンドレア[レレ]
- アルバ・ロルバケル[ビアンカ]
- カシア・スムトゥアニク[エバ]
【公開日(日本)】2017年3月18日
【上映時間】96分
【配給】アンプラグド
【映倫区分】G
【IMDB】7.8/10.0 (およそ30,900人の評価)
【あらすじ】
新婚カップルや娘の反抗期に悩む夫婦、倦怠期を迎えた2人など、食事会に集まった7人の大人たちが、「メールが届いたら全員の目の前で開くこと」「かかってきた電話にはスピーカーに切り替えて話すこと」というルールを設定し、「信頼度確認ゲーム」を開始する。ゲームが進むにつれ、夫婦間のもめ事や家庭の問題、仕事や性格についての悩みなど、7人の本当の姿が次々と露呈していく。【引用元:映画.com】
【感想(ネタバレしていくよ!)】
☆3.6/5.0
こ、これは・・・!コメディの皮をかぶった恐怖さえ感じる人間ドラマ!!!!!!
笑える場面も確かにあるっちゃあるんですけど、個々の隠し持っていた秘密とやらが「段々洒落にならなくなってくる」んです(笑)
イタリア映画かー。先にそれに気付けば良かった。
ちびぞうの個人的見解なんですけども、イタリアの映画というのは「笑いを誘っといてドスンと突き落としてくる映画」が多い。
冒頭に書いた『人生、ここにあり!』もそうですが『これが私の人生設計』や『神様の思し召し』なども同じような雰囲気のイタリア映画ですね。なんというか、前触れもなく平気な顔で突然重い展開にしてくるんです。その落差というか、「これから重くなりますよ」という雰囲気がない分、腹に来ますね。
先にイタリア映画って事が頭に入っていれば、おおよその雰囲気もつかめたかもしれません。
そう、つまりはそういう感じの映画だったんです(笑)
おおまかな流れ!
- ビアンカとコジモ(夫婦)
- エヴァとロッコ(夫婦)
- カルロッタとレレ(夫婦)
- 独身の男ペッペ
最初は、仕事の話や、豊胸手術の話だったのが、段々雲行きがあやしくなってくる。
レレという男が、若い女から毎晩10時に送られてくるエロ写真を誤魔化すために、唯一独身男のペッペに「お前と俺は携帯が同じだから交換してくれ」と提案する。
友達のためと渋々了承したペッペ。レレへ送られてきた写真をみんながペッペ宛と思い込み見て爆笑したあと、今度はペッペ宛に届いたメールが物議を醸しだす!!
なんと、ペッペは最近ゲイだという自分に迷っており、みんなに彼女がいる、と伝えていた相手が実は男だった…。その結果、ペッペの携帯に届いたゲイの恋人からのメッセージがレレ宛だということになり、レレの奥さん、そして友達も唖然・・・。
ここからが阿鼻叫喚の始まり。
それぞれ、出会い系だったり、旦那の母親を施設に入れようとしていたりと色々暴かれていくんですが、一番ヤバいのは、コジモという男の元にかかってきた電話。
なんとコジモは職場の女と浮気をしており、その女から「どうしよう、妊娠しちゃった…」という内容の電話がかかってくるのだ!!!!妻のビアンカはほぼ発狂状態。かと思えば夫婦仲間だったはずのエヴァも「あんた最低よ」とコジモをこっそりビンタ。そして着けていたピアスをコジモに帰す。
そう、なんとコジモは夫婦で友達だったエヴァとも不倫していたのだ…!!
ゲスいーーーーゲスマン選手権があったら優勝間違いなし。
まぁそんな感じで地獄絵図になったあと、ペッペが素直に「ゲイだったのはレレではなく自分。だけどそれを打ち明けるだけの価値が君たちにないのが分かった(台詞うろ覚え)」みたいに言う。
ラストでは、飛び出していったビアンカを追え!と言われてコジモが追いかけていく・・・すると、何故か平和そうに建物から出てくるビアンカとコジモの二人のシーンに。そして、平和そうに「今夜も楽しかったよ」と解散する7人の姿が。
どういうこと?と思っていると、家に残ったロッコとエヴァの会話が。
「どうしてあのゲームに反対したの?」
「携帯はブラックボックスだ。見てもろくなことにならないのは分かり切ってる」
そう、ここで小さなどんでん返し。
つまり本編の地獄絵図は「もしこのゲームが実際に行われていたらどうなるか?」というifを見せたものだったんです!!!!!!
そして、それぞれの持った嘘がそのままに、解散して映画は終了。
脚本がよくできてる
この、最後の小さなどんでん返しが面白い。
こんな地獄絵図になって関係が破綻するってだけでは単純ですが、「こうはならなかった」という現実があって、しかし観客は全員の秘密を全て知っている。
そうすると、彼らのついている嘘も全て見えてくるし、そもそも人間関係ってすごく恐ろしくね??という気持ちになってくるんです。
これはもう、ホラーの域。
やられたー…という後味の悪さ、すごい。
個人的には、ペッペがレレと携帯を交換したことによって、「友達がゲイだった、旦那がゲイだった」という場合のみんなの真のリアクションを見ることが出来たペッペが「君たちに話す価値なかったよ」みたいに言うシーンがすごく深かったです。
ペッペは他のみんなとは少し距離があるキャラクターなので、ペッペがゲイだという事を知らされた場合、きっとみんなはその場では「にこやかに受け入れる」という選択をしつつも、裏で色々と悪口を言ったでしょう。(ペッペが来る前に、ペッペの元カノについてみんなが噂をするシーンから、「変わり者ペッペは話題のネタになる」感じが見て取れますし、ペッペだけはサッカーに誘われない)
もはや友情すら嘘、ゲイというマイノリティに対する偽善も見えてきて、最悪なんです本当に(笑)
いやー、上手だった。
コジモの浮気が発覚したあと、真っ赤なルージュを塗るビアンカのシーンが印象的。
まとめ
どこがコメディなの!?と最後はなること間違いなし。
笑えるシーンもなくはないですけどね(笑)どちらかと言えば恐怖だったり、これホラーじゃんと思う人の方が多いかもしれない。
ワンシチュエーションものなのでずっと同じ家の中での会話劇になります。そういうのが好きな人にはオススメ。
ちびぞうが去年のクリスマス時期にアップした、「絶対に恋人を観てはいけない映画」の中にエントリーできる、そんな作品でした(笑)