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12人の騎馬隊は5万の軍勢に勝てるか。映画『ホース・ソルジャー』ネタバレ&感想

誰一人失わない。帰国するには勝てばいい。

2001年に起きたアメリカ同時多発テロ(911)を受け、対テロ戦争へと繰り出したグリーンベレー(米陸軍特殊部隊)の極秘任務が映画化されました。
わずか12人の男たちがアフガニスタンへと乗り込み、3週間という短いリミットの中想定外の「馬」に乗って5万人の敵に挑むという実話が元になっています。

主演は、『マイティ・ソー』のソー役でもおなじみのクリス・ヘムズワース。『アルマゲドン』『パイレーツオブカリビアン』シリーズ、『ブラック・ホークダウン』などを手掛けたジェリー・ブラッカイマーが製作を手掛けています。

パンフはこんな感じ!

A4サイズで26P、税抜き667円。監督によるインタビューのほか、リアリティを追求するための撮影トリビアなどが載っていました!

【映画情報】

【原題】12 Strong
【制作国】アメリカ
【監督】ニコライ・フルシー
【脚本】テッド・タリー、ピーター・クレイグ
【原作】ダグ・スタントン『ホース・ソルジャー(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)』
【製作】ジェリー・ブラッカイマー、モリー・スミス、サッド・ラッキンビル、トレント・ラッキンビル
【製作総指揮】アンドリュー・A・コソーブ、ブロデリック・ジョンソン、チャド・オマン、マイク・ステンソン、エレン・H・シュワルツ、ギャレット・グラント、イェール・バディック、バル・ヒル、ダグ・スタントン
【共同製作】ジョン・シュマッチャー
【撮影】ラスムス・ヴィデベック
【美術】クリストファー・グラス
【編集】リサ・ラセック
【衣装】ダン・レスター
【音楽】ローン・バルフ
【音楽スーパーバイザー】ジョナサン・ワトキンス
【キャスティング】ジョン・パプシデラ
【出演([]内は役名)】

  • クリス・ヘムズワース[ミッチ・ネルソン大尉]
  • マイケル・シャノン[ハル・スペンサー准尉]
  • マイケル・ペーニャ[サム・ディラー]
  • ナビド・ネガーバン[ドスタム将軍]
  • トレバンテ・ローズ[ベン・マイロ]
  • ジェフ・スタルツ[ショーン・コファーズ]
  • サッド・ラッキンビル[バーン・マイケルズ]
  • ロブ・リグル[バワーズ中佐]
  • ウィリアム・フィクトナー[マルホランド大佐]
  • エルザ・パタキー[ジーン・ネルソン]

【公開日(日本)】2018年5月4日
【上映時間】130分
【配給】ギャガ
【映倫区分】PG12
【IMDB】6.6/10.0  (およそ33,300人の評価)

【あらすじ】

米同時多発テロ翌日の2001年9月12日、対テロ戦争の最前線部隊に志願したミッチ・ネルソン大尉は、わずか12人でアフガニスタンへ乗り込み、テロ集団の拠点マザーリシャリーフを制圧する任務に就く。反タリバンの地元勢力を率いるドスタム将軍の協力が得られるものの、12人の部隊に対して敵勢力は5万人。加えて戦場のほとんどが険しい山岳地帯のため、馬こそが最大の武器だとドスタム将軍は言う。隊員のほとんどが乗馬経験のない中、ネルソン大尉らは馬に乗って厳しい戦いを強いられる。【引用元:映画.com

【感想】

☆2.8/5.0

普通に面白い!の★2.5からちょっと上!って感じでした!!!

実話ベースだと映画的な面白さを作るのが難しいのかな?とは思うんですけど、盛り上がるシーンのある後半までがけっこう長く感じられ・・・。退屈と言えば退屈だったかな・・・。

一緒に戦ったドスタム将軍はショーン・コネリーに少し似た風貌のダンディな役者さんでしたね!彼と主人公のミッチ・ネルソン大尉が繋ぐ兄弟の絆、というのが良かったです。

ソー役に馴染んでいるクリス・ヘムズワースは別の役を演じてもソーにしか見えないのかな?と不安にも思ったんですが、そんな心配も必要なかったです。ちゃんと勇敢でリーダー性のある優秀な軍人さんを演じていましたねー。

どんな作戦だったの?

本来ならば大軍を使うような重大な作戦だったようですが、その地形の複雑さや天候によって侵攻不可能になってしまうという難しい条件が重なり、少数精鋭を送り地元の反タリバン軍に協力を求め行動を共にしてマザーシャリフというテロ組織の拠点を落としに行く・・・という方法しか出来なかったようです。
反タリバン軍を率いるドスタム将軍の指示で一度も乗ったことのない馬に乗せられ、空爆を誘導する・・・。

物語の流れが読めてしまう

残念だったなーと思える要素の一つがこれでした。

ミッチ・ネルソン大尉は実戦経験がなく、上から舐められた目で見られている・・・という伏線もあり、彼らの進行がモタつくと上官は別の隊をドスタム将軍の勢力とは対立する組織に送る(アフガニスタンには沢山の対立組織がある)。そこでドスタム将軍は「敵の味方をするならもうついていかんぞ!」と袂を分かってしまう、んですが!

まぁ後から絶対に助けに来てくれるよね~~~

って分かってしまいますよね。

だってこの映画、戦争や戦いがメインというよりも、他国の、全く違う人生を歩み全く違う価値観を持った戦士が心を通わすというお話がメインで描かれているから。もう途中でそういうお話なんだなと分かっているので、ラストでドスタム将軍が戻ってきてくれるに違いないって思ってしまうんですよねーーー。

(この部分が脚色とかでなく本当にこうだったとしたらドスタム将軍ツンデレだしキザすぎて惚れる)

それでも最後には、ホッとするし二人の友情に感動するんですけどね。

ジェリー・ブラッカイマーと言えば海賊映画でドタバタやってるコメディタッチなアクションのイメージがちびぞうは強くて(ブラック・ホークダウンも面白かったけどあんまり印象として強くない)、今作は絆や精神性の物語なのでそれと比べると地味な印象(そこが今作の魅力でもありますが)。

意外だったのは

お涙頂戴な死亡シーンがなく、ミッチ大尉が宣言した通り「誰も死なずに帰還」したこと!

これは良かったですね。良い意味で裏切られました。絶対に一人か二人は死ぬだろうと思ったもん。これが実話なのは本当に素晴らしい。

原題は「12Strong」で兵員12名という意味で、グリーンベレーの最小単位らしいんですがちびぞうは12人の強い男たち、というイメージも受けました。作中では主人公とドスタム将軍のヒーロー性が強く描かれていますが、他の11名も間違いなくヒーローだったのだなと思えるこの原題が好きです。

まとめ

ド派手なアクションのある戦争映画とは少し違う、戦場が舞台のヒューマンドラマ、という感じで観て頂けたらいいのかな。

テロリストと戦う兵士は敬礼すらもしない(上官だということが敵にバレたら真っ先に狙われてしまう)など、細かな兵士たちの約束事も見れて、かなりリアリティのある作品になっていると思います。

エンターテイメントな作品とは違うので、911のテロ背景なんかも調べてから観るとより面白さが増すかもしれませんね。

 

 


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公開中止の問題作!?映画『マザー!』ネタバレ&感想

「――私の家から、出て行って!」

ちびぞう(@cbz_ewe)の大好きな映画監督の一人でありますダーレン・アロノフスキー監督の最新作!!!(2018年)

しかも!!!!

最近ちびぞうのイチオシ女優、ジェニファー・ローレンスとのタッグとあって、もう興奮が止まりません!!!!

なのに!?!?日本公開中止だってぇええええ!??!?!?

そのニュースを知った時、なぜそんなことになったのか・・・??とノンストップクエスチョンでしたよ。最近ようやくツタヤさんでレンタル出来ましたので早速観てみましたが・・・劇場で観たかったよぉおおおお。

しかも今作のポスターを描いているのが、『シェイプ・オブ・ウォーター』のポスターも手掛けていたアーティスト、ジェームズ・ジーン!!!

モンスターと恋しよう。映画『シェイプ・オブ・ウォーター』ネタバレ&感想

パンフレットも欲しかったなぁ・・・。

【映画情報】

【原題】 Mother!
【制作国】アメリカ
【監督/脚本】ダーレン・アロノフスキー
【製作】ダーレン・アロノフスキー、スコット・フランクリン、アリ・ハンデル、マーク・ヘイマン
【撮影】マシュー・リバティーク
【美術】フィリップ・メッシーナ
【衣装】ダニー・グリッカー
【編集】アンドリュー・ワイスブラム
【出演([]内は役名)】

  • ジェニファー・ローレンス[母親]
  • ハビエル・バルデム[彼]
  • エド・ハリス[男性]
  • ミシェル・ファイファー[女性]
  • クリステン・ウィグ[使者]
  • ドーナル・グリーソン[長男]
  • ブライアン・グリーソン[弟]
  • ジョヴァン・アテポ[召使]
  • スティーヴン・マクハティ[熱狂者]

【レンタル開始日(日本)】2018年3月23日
【上映時間】121分
【映倫区分】PG12
【IMDB】6.7/10.0  (およそ118,000人の評価)

【あらすじ】

郊外の一軒家に暮らす一組の夫婦のもとに、ある夜、不審な訪問者が現れたことから、夫婦の穏やかな生活は一変。翌日以降も次々と謎の訪問者が現れるが、夫は招かれざる客たちを拒む素振りも見せず、受け入れていく。そんな夫の行動に妻は不安と恐怖を募らせていき、やがてエスカレートしていく訪問者たちの行動によって事件が相次ぐ。そんな中でも妊娠し、やがて出産して母親になった妻だったが、そんな彼女を想像もしない出来事が待ち受ける。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレするよ!)】

☆2.5/5.0

 

ぶっちゃけて言ってしまいますけどね・・・

 

わけわかんない!!!!!!

イメージ的には、テレンス・マリック×ミヒャエル・ハネケって感じでしょうかね。
(分かる人にだけ伝わればいいという例え)

 

小説家の旦那と暮らす妻、彼の生まれ育った家が火事に遭い、その家をDIYで修繕していく妻。
そこに現れる無遠慮でデリカシーのない客たち。
彼らは勝手に増殖し、侵食し、戦争状態になり、家と家庭と彼女の腹に宿った新しい命をも破壊していく・・・

ラスト、ブチ切れた彼女が家に火を放つと、まるで時間軸が遡ったかのようにオープニングの映像に戻る・・・

おおまかに書けばこんな感じなんですけど、何を言ってるかわかんないって??いや説明してる私もわけわかってないですよ!!

メタだらけの聖書映画だった

実はこの映画、察しの良い観客であればすぐにこの物語の登場人物たちが何を表しているのか分かるらしいです。ちびぞうは最後の最後までサッパリ分かりませんでしたけどね!!!

そう、アメリカ人であれば馴染みの深い聖書。それがこの映画の表現したいものであったと言います。監督もそうハッキリ言っています。

  • 主人公(母)=母なる大地、地球
  • 修繕している家=地球そのもの
  • 主人公の夫であり作家(彼)=神
  • 最初の来客(男)=最初の人間アダム
    (男の背中右側にアザがありましたが、あれは神がアダムの肋骨を取ってイブを創造したという意味らしい)
  • 二人目の来客(男の妻)=二人目の人間イブ
    (二人は勝手に書斎に入り、夫の大切にしていたクリスタルを壊して追い出される=禁断の果実を食べてしまい楽園から追放されるアダムとイブ)
  • 男の長男と弟=カインとアベル
    (遺産相続で弟を憎んだ兄は、弟を殺した後いなくなる=人類最初の殺人と言われるカインによるアベル殺し)
  • 主人公の産んだ赤ちゃん=神の子イエス・キリスト
  • 作家が書いたベストセラー=聖書
  • 勝手に家に入り込み増えていく彼のファンたち=人間たち
    (彼らは勝手に彼(神)の家(地球)で神をあがめながら増殖し、地球を破壊し、戦争をし、そしてキリストを磔にして殺す)
  • 家を燃やす妻=温暖化によって滅ぼされる地球
  • 死んだ妻からクリスタルを取り出しオープニングへ戻る演出=神は惑星を変えずっと同じことをずっと繰り返してきた

こうやって説明されていればちびぞうも「あぁー!そういうことかぁあ!」となるんですけど、なるんですけどね・・・。

悔しかったなぁ。なんか時間の経過がおかしいな、という感じがしていたので「これは現実の話ではなく何か別の物を表しているのかな」と思いはしていたんですが、結局最後まで分からなかったですね・・・。

それにしてもあの黄色い粉(液体)は何の暗喩だったんだろう。
主人公が精神安定剤のように飲んでいたものですが、地球を一時的に癒す存在とは一体・・・?

公開中止に至った理由とは

配給である海外パラマウントさんの判断で日本での公開が中止になったらしいですね。

多分、単純に「客が入らないだろう」と思われたからかな。

神はDV夫であり、地球をめちゃくちゃにしているのはその信者であるとでも言いたげな内容でパッキリ賛否両論!となるほど日本では聖書の内容が浸透していないですもんね。

しかもはたから見たら無能な夫が妻より客を優先していて女性蔑視の作品のようにも見えますし、挙句の果てには赤ちゃん殺しのシーンもあります。これはエグい。
エグい上に問題しか感じさせないだろうと思うと、おそらく日本でこれを絶賛する人は海外ほど多くはないでしょうね・・・。

まとめ

ちびぞうは監督すきなので・・・、そしてジェニファー・ローレンスもすきなので・・・。

意味が分からなくとも夢中で観ました・・・。

面白かったかと言われると「(意味を聞いて)ふーん」て感じなんですけども(笑)

何気に、夫はペネロペ・クルスの旦那さんのハビエル・バルデム、来客はエド・ハリスとミシェル・ファイファーで、息子たちは今『ピーターラビット』などで旬のドーナル・グリーソンとブライアン・グリーソンという貴重な兄弟出演だしでキャストはものっすごく豪華なんですよね・・・。

世界一有名なうさぎの初・映画化!『ピーターラビット』ネタバレ&感想

人にはオススメしない映画ですが、キャストや監督さんが気になる方は一度、観てみてはいかがでしょうか・・・。

 

 

 


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画像引用元:映画.com

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ゲスの極み族VS侍。映画『忍びの国』ネタバレ&感想

「あやつの前に門はなし、ゆえに無門とはよう言うたもんじゃ」

ちびぞう母チョイスでレンタルしてみた作品。

和田竜による同名小説の映画化ですね!

主演の大野智とかはあんまり興味ないんですけども、鈴木亮平が出ているのでちょっと楽しみになりました・・・!!邦画で時代物(しかも忍者)って、滅多に観ないのでワクワクです!!

公式サイトはこちら

【映画情報】

【制作国】日本
【監督】中村義洋
【脚本/原作】和田竜「忍びの国(新潮社)」
【企画/プロデュース】平野隆
【エグゼクティブプロデューサー】藤島ジュリーK.
【プロデューサー】辻本珠子、原藤一輝、下田淳行、藤井和史
【アソシエイトプロデューサー】小野原正大、大楠正吾
【撮影】相馬大輔
【照明】佐藤浩太
【音響効果】伊藤瑞樹
【美術】清水剛
【装飾】秋田谷宣博
【衣装デザイン】黒澤和子
【編集】上野聡一
【音楽】高見優
【主題歌】嵐 -“つなぐ”
【出演([]内は役名)】

  • 大野智[無門]
  • 石原さとみ[お国]
  • 鈴木亮平[下山平兵衛]
  • 知念侑李[織田信雄]
  • マキタスポーツ[長野左京亮]
  • 平祐奈[北畠凛]
  • 満島真之介[下山次郎兵衛]
  • でんでん[下山甲斐]
  • きたろう[音羽の半六]
  • 立川談春[百地三太夫]
  • 國村隼[北畠具教]
  • 伊勢谷友介[日置大膳]

【公開日(日本)】2017年7月1日
【上映時間】125分
【配給】東宝
【映倫区分】G
【IMDB】8.1/10.0  (およそ1,670人の評価)

【あらすじ】

天下統一に向け、諸国を次々と攻め落としていた織田信長が攻め入ることができなかったただひとつの国、伊賀の国。人でなしの忍者衆が住む伊賀の国に暮らす忍者の無門は、伊賀一の凄腕を持つ忍者でありながら、怠け者の性分で、普段は女房のお国の尻に敷かれる毎日を送っていた。そんな中、ついに圧倒的な軍勢を率いた織田軍が伊賀に攻め込んできた。武力、兵力では太刀打ちできない無門率いる忍びの軍団は人知を超えた秘策で織田軍に抗戦する。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレするよ!)】

☆3.0/5.0

邦画はあんまり観ないので基本的に期待値が低い・・・(特に大野くんとか興味ないので)のもあったかと思うんですけど、でも

意外に面白いんですよ、これ・・・!!

忍者VSサムライのアクションが楽しい!

殺陣のシーンがすごく新鮮で楽しかった!

特に主人公無門の戦い方が、相手の振りや攻撃を受け流してヒョイヒョイヒョイと身軽に避けていく感じで(うまく説明できなさすぎる)、すごく楽しいんですよ!!

手裏剣だったり、ターザンだったり、吹き矢だったり、地面に埋もれて隠れる土遁の術や、木や岩の模様に似た布で隠れるこの葉隠れ的な術などなど、忍者ならではのアクションが盛りだくさんで、おおお実戦ではこんな感じになるのか!!と若干感動(もちろん誇張されてる部分もあるとは思いますが)

虎狼の族(ころうのやから)がゲスすぎる

伊賀忍者は虎狼の族と呼ばれるほど、血も涙もなく自己中心的な人たちだったということだったらしいんですけども、それがあまりにもひどい!

「自分が働いたとき誰が銭を払ってくれるのか」

ということを常に気にしていて、里が攻められるピンチであっても金を払える人がいなければサラッと里を捨てて京へ逃げようとしたりする・・・あまりの守銭奴ぶりに、伊賀忍者が全員きり丸(忍た〇乱太郎)に見える・・・と思いました(笑)

でもそれも、途中までは笑えるネタっぽい感じだったんですけど、徐々にそれが「洒落にならないレベル」だということが後半分かってくるんですよね。

まず赤子を別の国から拾ってきて強い忍びに育てるために厳しい訓練をさせ、その途中で子どもが死んでも「弱い奴は死ぬ。仕方のないことだ」と容赦なく言う。仲間が死んでもなんとも思わないし、自分の利になること以外にはやる気を示さない。

まさに外道

って感じなんですよね。

物語的にも、伊賀の家同士の小競り合いで弟を殺された下山平兵衛(鈴木亮平)が、父親に「長男でなければ下人と同じ。下人が死んでもなんとも思わん」と言われて「なんという非道な者たちだ。こんな国は滅びればいい」と祖国を裏切り、お隣の伊勢に行く。
そして伊勢を攻め落とした織田信長の息子信勝に、「伊賀の国のど真ん中に城を建てましょう」という作戦を伝えて伊賀を滅ぼそうとするが・・・実は最初(息子を裏切らせて伊勢の国へ行かせるところ)から全て伊賀のお偉いさんたちの作戦だった!!という感じで

まさに外道

って感じですよね。

史実なのかもしれないんですけど、ここの人たちの血が現代にも受け継がれているかも・・・みたいな、「性格悪い人はみんな伊賀から来た」みたいな印象付けはどうもやりすぎだった感もありましたね。

大野くんの演技けっこういいです

意外にこの、気の抜けた感じだけど実は強い!!!みたいの、ありがちだけど良いですね(笑)
冴羽 獠的なヒーロー像。

戦場で脱いだことないしって言いながら重そうな鎖帷子?鎧?を脱ぐところは笑ってしまったけど。ヤワラちゃんのおじーさんが履いてた鉄下駄を思い出しますね。
(さっきから例えが昭和)

彼は、最初は他の忍者たちと同じように血も涙もない性格をしていましたが、妻であるお国の存在や、平兵衛との命をかけた一騎打ちを通して人の心を取り戻していくんですよね。そこが良い。おちゃらけた演技もしつつ、真剣な演技も出来る。はまり役だったんじゃないかなー、と思います。

もちろん、その死闘の相手である鈴木亮平の演技も素晴らしかったですよ。シーン的にはすごく長い決闘だったけど、その分、その戦いが無門にもたらした物の大きさを示しているって感じがしてよい。

お国は若干浮いてたよね

どこかからさらわれてきたお姫様にしか見えないお国(石原さとみ)が、無門の奥さんだよと急に言われても・・・ボロボロの木造りの小屋で彼女は一体一日何をしているんだろう、とか、一人だけなんでそんなに着物が派手で綺麗(彩度がすごい高い)なんだろう・・・とか若干浮き気味だったんで、美しい人だっていうのは分かるんですけどもう少し周りの雰囲気になじませて欲しかったというかなんというか。。。

最後に、彼女が身を挺して無門を守ろうとする、というのもストーリー上は分からなくもないんですけど、彼女と無門の間にある愛情の度合いというものを測れるエピソードが特になかったので、いまいち感情移入できなかった、っていうのもありますね。

彼女を亡くして、彼女が気にかけていた子どもを無門が救いに行き育てる・・・という流れはすごく良いと思いました。
(そしてその子どもが成長して過去を語るって設定のモノローグも良いですね!)

まとめ

アクションは見応えあり!!!!ですし、大野くんや鈴木亮平の演技もなかなか良いので、興味持ってる人はぜひ観て欲しいなー、という感じ。

段々と重みを帯びていく伊賀忍たちのゲスさも最初はクスクス笑えて楽しいですし。

エンタメとして軽い気持ちで観るのに良い一本ですね(*’ω’*)

 

 


 

 

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ホロコーストの有無を法廷で裁く!映画『否定と肯定』ネタバレ&感想

その真実に圧倒される―――

ホロコースト(ユダヤ人収容所でのナチスによる大虐殺)があったのか否かを裁判で決める!?

このとんでもない題材(勿論実話です)の映画に惹かれないわけがないじゃないですか・・・!

レイチェル・ワイズ(ナイロビの蜂)×ティモシー・スポール(ハリー・ポッターシリーズ)の演技派二人の鋭い眼光による演技勝負も見どころです!

パンフはこんな感じ!

赤と黒の二色バイカラーがお洒落!「否定」と「肯定」の二色を表していると思われます…!

原作者でもあり、レイチェル・ワイズ扮するリップシュタット教授本人のインタビューも載っています!
22Pで税込み700円…少し(ページ数が)寂しいですね。

【映画情報】

【原題】Denial
【制作国】イギリス/アメリカ
【監督】ミック・ジャクソン
【脚本】デヴィッド・ヘア
【原作】デボラ・E・リップシュタット著『否定と肯定 ホロコーストの真実をめぐる闘い』
【製作】ゲイリー・フォスター、ラス・クラスノフ
【撮影】ハリス・ザンバーラウコス
【美術】アンドリュー・マッカルパイン
【編集】ジャスティン・ライト
【音楽】ハワード・ショア
【衣装】オディール・ディックス=ミロー
【出演([]内は役名)】

  • レイチェル・ワイズ[デボラ・E・リップシュタット]

  • トム・ウィルキンソン[イチャ―ド・ランプトン]

  • ティモシー・スポール[デイヴィッド・アーヴィング]

  • アンドリュー・スコット[アンソニー・ジュリアス]

  • ジャック・ロウデン[ジェームズ・リブソン]

  • カレン・ピストリアス[ローラ・タイラー]
  • アレックス・ジェニングス[サー・チャールズ・グレイ]

【公開日(日本)】2017年12月8日
【上映時間】110分
【配給】ツイン
【映倫区分】G
【IMDB】6.6/10.0  (およそ12,400人の評価)

【あらすじ】

1994年、イギリスの歴史家デビッド・アービングが主張する「ホロコースト否定論」を看過することができないユダヤ人女性の歴史学者デボラ・E・リップシュタットは、自著の中でアービングの説を真っ向から否定。アービングは名誉毀損で彼女を提訴するという行動に出る。訴えられた側に立証責任があるイギリスの司法制度において、リップシュタットは「ホロコースト否定論」を崩す必要があった。そんな彼女のために組織されたイギリス人大弁護団によるアウシュビッツの現地調査など、歴史の真実の追求が始まり、2000年1月、多くのマスコミの注目が集まる中、王立裁判所で歴史的裁判が開廷した。【引用元:映画.com

【感想】

☆3.6/5.0

「現実は小説より奇なり」という言葉があるように、映画としての面白さというよりかは、この題材になった裁判がとても興味深くて面白いものだったんだと思います。

ちびぞうは大元の裁判については知識ゼロでした。

まさか「ユダヤの大虐殺はなかった!それらは全てユダヤ人のねつ造だ!」と主張する人がいるなんてこの作品で初めて知ったし、驚いた。

しかし、この主張は自分の「教科書で知った」「学校で教わった」「たくさんの映画で語られてきたから知っている」というだけの知識を揺るがすには十分でしたね。本当のところはどうだったかなんて、自分で確証を持つまで調べてみたこともないし、漠然として「そういう歴史があった」と思っていただけの出来事をどうして心から「あった」と信じられたのか。自分でもとても不安になりました。

この裁判の中身は、実は「ホロコーストの有無」を裁くものではなく、ホロコースト否定論者のアーヴィングが「リップシュタット教授の書いた本の中で自分を嘘つきだと誹謗中傷した」という事について訴えたものだったんですよね。

つまり、アーヴィングの否定論が教授の言うように嘘ばかりだった場合、その誹謗中傷も「真実である」と切り返せる。そのために、アーヴィングの主張(ホロコーストはなかった)を裁判で否定する必要がある…しかしこの二者はそれぞれの界隈で非常に著名だったこともあり、ただの誹謗中傷の裁判ではなく「ホロコーストの有無を裁判で裁く」という歴史的にもセンセーショナルな裁判へと発展していくわけです。

ちびぞうは、この映画での「真実がどうだったか」という部分はそこまで大切ではないように感じました。なぜなら、ホロコーストはなかったと否定しているアーヴィング自体が差別主義者であり、他人に敬意を払えない人物…一言で言えば「クズ」のように描かれているから。

観ている人はどう考えても主人公を応援するし、当然裁判の結果だって主人公が勝つに決まってるわけです。つまり、この映画は最初から「ホロコーストはある」として作られている。

では何が大切なのか?

それは、ただの傍観者として情報を得る我々が「何を真実と信じるか」ということ。
情報を取捨選択し、自分なりの結論を出すまでに色々な可能性を考える必要がある、ということなんです。

ネットが普及し、SNS上でも嘘がまかり通る現代にとても合ったテーマだな、とも思いましたね。

印象的だったのは、裁判へ向かうリップシュタット教授へ掛けられる”応援する声”以外にもあった”中傷・避難の声”。いまだにユダヤ人への差別感情を持っている人たちが中傷しに来ている、という場面なのかもしれません。しかし、その後に来たアーヴィングにも、同じように”応援と中傷の声”がかけられる、そして、スーツに投げられる生卵…。

この場面を見てちびぞうは、この二人は、”同じ”なんだ。と感じたんです。

「否定を信じる人たち」からすればリップシュタット教授は悪であり、敵。
「肯定を信じる人たち」からすればアーヴィングは悪であり、敵。

それぞれの人たちにとって、裁判の結果がどうあれ自分たちが信じていることこそが「真実」であり「正義」なんですよね。

今作はアーヴィングが嘘や捏造した情報を見解として発表していたのもあって、結論も分かりやすくなりましたが、もし彼が誠実な人間であり、嘘もなく自分の信じることを「真実」だと発表していたら、一体どうなっていたんだろうと思います。

法廷モノとしてのエンターテイメント性を出すために、終盤、まさかの裁判官がアーヴィングを擁護?するような質問をするシーンがあります。優勢だと思っていた被告側が「まさか負けるの?」と冷や冷やするシーンですね。

しかしちびぞうは、あのシーンは物語を盛り上げるためだけのものではなく、あの裁判官の言葉にも「一つの真実」があったのではないか、と思いました。

まとめ

役者陣の目で語る力、がすごい映画でした。特に主人公のレイチェル・ワイズは裁判の間「黙秘」を徹底しなければいけない役柄上、表情だけでその心情を語っています。

対峙するティモシー・スポールも必要以上の発言はしておらず、多くの場面で表情だけで演じていました。

台詞の少ない二者の演技での闘いも含め、非常に重たい題材で非常に緊張感のある法廷バトルが観られる今作。自分なら何を信じるのか、ということを考えながら観て頂きたいですね。

イギリスの少し曇った画面、美しい建造物や小物などにも注目です。

 

 


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トム・クルーズが麻薬の運び屋に!映画『バリー・シール/アメリカをはめた男』ネタバレ&感想

THE SKY IS NEVER THE LIMIT

トム・クルーズの映画は、ただただカッコいい正統派なアクション映画、というものよりも、悪党だったり悪役だったりする方が好き。

個人的に彼の演技力が一番輝いているのは1994年の『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』だと思いますね。死体とダンスしながら笑うトムの、奇妙で耽美な演技が堪能できます!

それから2004年の『コラテラル』もお気に入り。殺し屋のトムの演技が素敵で、この作品は映画としても凄く面白い!音楽も良い。

そんなトムのアンチヒーロー的な姿が好きな私は、この映画も予告編ですっかり気に入ってしまった。逮捕されても無実で解放される麻薬・武器の運び屋なんて最強じゃん!!

パンフはこんな感じ。

横長デザイン、表紙はトムの顔だけ写真で他はイラストというお洒落な感じ。中も、クリーム色の紙に2色刷りがしてあってオシャレです。38Pで税抜き667円。

写真多め、実在したバリー・シールの人生をどんな風に脚色したか、劇中でバリーが移動していた国の空路地図なんかもイラスト付きで載っていてなかなか興味深い。

【映画情報】

【原題】American Made
【制作国】アメリカ
【監督】ダグ・リーマン
【脚本】ゲイリー・スピネッリ
【製作】ブライアン・グレイザー、ブライアン・オリバー、ダグ・ディヴィソン、キム・ロス、レイ・アンジェリク、タイラー・トンプソン
【製作総指揮】マイケル・プランク、ジョニー・リン、ゲイリー・スピネッリ、エリック・グリーンフェルド、パリス・カシドコスタス・ラティス、テリー・ドゥーガス、ブラント・アンダーセン、マイケル・フィンリー、マイケル・ベイシック、レイ・チェン、マルコス・テレシア、ジョシュア・スクラ
【撮影監督】セザール・シャローン
【プロダクション・デザイン】ダン・ヴェイル
【編集】アンドリュー・モンドシェイン
【衣装デザイン】ジェニー・ゲーリング
【音楽】クリストフ・ベック
【出演([]内は役名)】

  • トム・クルーズ[バリー・シール]

  • ドーナル・グリーソン[モンティ・”シェイファー”]

  • サラ・ライト・オルセン[ルーシー・シール]

  • ジェシー・プレモンス[ダウニング保安官]
  • ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ[JB]
  • ローラ・カーク[ジュディ・ダウニング]
  • ジェイマ・メイズ[デイナ・シボタ]
  • アレハンドロ・エッダ[ホルヘ・オチョア]
  • ベニート・マルティネス[ジェームズ・ランジェル]
  • E・ロジャー・ミッチェル[クレイグ・マッコール捜査官]

【公開日(日本)】2017年10月21日
【上映時間】115分
【映倫区分】G
【配給】東宝東和
【IMDB】7.2/10.0  (およそ34000人の評価)

【あらすじ】

敏腕パイロットとして民間航空会社に勤務するバリー・シールのもとに、ある日CIAのエージェントがやってくる。CIAのスカウトを受けたバリーは、偵察機のパイロットとしてCIAの極秘作戦に参加。作戦の過程で伝説的な麻薬王パブロ・エスコバルらと接触し、バリーは麻薬の運び屋としても天才的な才能を開花させる。エージェントとしてホワイトハウスやCIAの命令に従いながら、同時に違法な麻薬密輸ビジネスで数十億円の荒稼ぎをする破天荒な動きをするバリー。そんな彼にとんでもない危険が迫っていた……。【引用元:映画.com

【感想】

☆3.2/5.0

アメリカをはめた男、という副題が物議をかもしているようですね~。最終的には国の命令で麻薬王をハメようとして、「やつが裏切った!」と命を狙われる事になってしまう。助けを求めようとしてもCIAのシェイファーはとんずら・・・尻尾切りされる!その結果、彼はいつ殺されるかとビクつきながらの孤独な逃亡生活を余儀なくされ・・・という流れに

はめたんじゃなくて、はめられてるじゃん!

というツッコミを入れている人がほとんどでした(笑)

現実にいた人を元ネタにしている半伝記映画的な側面があるので、痛快!エンタメ!とはちょっと違った作品になっているんですよね。そこは予告編とちょっと違うって印象だったかな。

 

それでも私は、十分見応えあって面白かったと思いましたけどね!

元々はCIAの依頼で紛争地帯を低空飛行をして写真を撮る仕事だったのに、その腕を見初められて麻薬を運ぶことになったり、武器を運ぶことになったり。稼いだ金をマネーロンダリングする暇もないくらい忙しく、いくつも銀行を建てては預け建てては預け、それでもしまいきれないお金を庭に埋めたりガレージにしまったり。

沢山お金があっても悪いことして稼いでいたら決して幸せにはなれないんだという皮肉も込められていた気がした。

ただ、家族がなぁ・・・奥さんが異変に気付いて彼を止められなかったのかなぁと。バリー・シールという男は家族のためにはなんでもできる!ってくらい家族を愛していた男だったってパンフに書いてあったけど、奥さん側からの愛があんまり感じられなかったんですよね。

金さえあれば突然の(それこそ夜逃げのような)引っ越しでもいいのか!旦那の様子がおかしいことになぜ気付けないんだ!巻き込まれた子どもたちが可哀そうって感じでした。

どこまでが肉付けされたフィクション部分なのか分からないので、これは実際の奥さんに対する感想になってしまうのかもしれませんけどね(笑)

まとめ

トムの演技はなかなか良かった。やっぱり正統派イケメンの役よりも、ちょっと癖があるというか悪役の方が好感が持てる!

たまたま、ハリポタ(ロンのお兄ちゃん)やアバウトタイムなどに出演していたドーナル・グリーソンが見れてラッキーだったし、他の役者さんではバリーの奥さんの”駄目な弟役”のケイレブさんも良い感じだった。ああいう人がそばにいると不安になる気持ちわかる・・・(笑)今後の活躍に期待(*’ω’*)

 

アメリカのCIAはこんな工作をしているんだ世界って恐ろしい、という部分でもなかなか興味深かったし面白かったなぁ。

ただ、エンタメ的な画面の面白さなどはそんなにないので、劇場で観なくても十分かなぁ・・・といった感じ。気になる方はぜひDVDでどうぞ!

 

 


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真の信仰とは?映画『沈黙 ‐サイレンス‐』感想&ネタバレ

主はなぜこんなみじめな者まで愛せるのか?

画像引用元:映画.com

『ソーシャル・ネットワーク』、『アメイジング・スパイダーマン』、『ハクソーリッジ』なんかで活躍中のアンドリュー・ガーフィールド主演作!

スコセッシ監督の作品は難しくてとっつきにくい・・・という印象のある監督さん。今作は、日本でのキリシタン弾圧を書いた日本人作家の『沈黙』という作品が原作になっています。(読んではいませんが!)

私自身は特に信仰心などはないんですが、幼稚園と高校をカトリック系のところで過ごしたため、なんとなくキリスト教をテーマにした作品は身近に感じてしまうんですよね。

外国人の監督さんが日本で起きた宗教弾圧をテーマに、沢山の日本人俳優さんも起用されて、どんな作品になるんだろう?と興味津々で鑑賞しました。

【映画情報】

【原題】Silence
【制作国】アメリカ
【監督】マーティン・スコセッシ
【原作】遠藤周作『沈黙』
【脚本】ジェイ・コックス、マーティン・スコセッシ
【製作】マーティン・スコセッシ、エマ・ティリンガー・コスコフ、ランドール・エメット、バーバラ・デ・フィーナ、ガストン・パブロビッチ、アーウィン・ウィンクラー
【製作総指揮】デイル・A・ブラウン、マシュー・J・マレク、マニュ・ガルギ、ダン・カオ、ニールス・ジュール、チャド・A・ベルディ、ジャンニ・ヌナリ、レン・ブラバトニック、アビブ・ギラディ、ローレンス・ベンダー、スチュアート・フォード
【撮影】ロゴリゴ・プリエト
【美術】ダンテ・フェレッティ
【衣装】ダンテ・フェレッティ
【編集】セルマ・スクーンメイカー
【音楽】キム・アレン・クルーゲ、キャスリン・クルーゲ
【出演([]内は役名)】

  • アンドリュー・ガーフィールド[セバスチャン・ロドリゴ]
  • アダム・ドライバー[フランシス・ガルペ]
  • 浅野忠信[通辞]
  • キアラン・ハインズ[ヴァリニャーノ]
  • リーアム・ニーソン[クリストバン・フェレイラ]
  • 窪塚洋介[キチジロー]
  • イッセー尾形[井上筑後守]
  • 塚本晋也[モキチ]
  • 小松菜奈[モニカ]
  • 加瀬亮[ジュアン]
  • 笈田ヨシ[イチゾウ]

【公開日(日本)】2017年1月21日
【上映時間】159分
【配給】KADOKAWA
【IMDB】7.2/10.0  (およそ62,000人の評価)

【あらすじ】

17世紀、キリスト教が禁じられた日本で棄教したとされる師の真相を確かめるため、日本を目指す若き宣教師のロドリゴとガルペ。2人は旅の途上のマカオで出会ったキチジローという日本人を案内役に、やがて長崎へとたどり着き、厳しい弾圧を受けながら自らの信仰心と向き合っていく。【引用元:映画.com

【感想】

☆3.2/5.0

いやぁなかなかに考えさせられる作品でした。

当時のキリシタン弾圧が行われた日本側の事情というものを私は何も知らずに観たんですが、監督の言いたいことはなんとなく分かりました。

この作品の面白いところは、「別にどの宗教だっていいんじゃないか」という前提で「どこまで神を信じられるか」と説いているところだと思うんですよね。ただ単に、イエス万歳、キリスト教万歳!と言いたい作品ではなく、もっと大きな意味での「信仰とは」という部分に疑問を投げかけているんだと思います。

イエズス会の教えを信じ、「自分たちの師が棄教(自分の宗教を捨てること)したなんて信じられない、日本には自分たちの救いを待っている信者がたくさんいて、彼らを救わねばならない!」と長崎に渡る二人の宣教師。

しかし渡ってみれば自分たちの宗教は間違った形で日本に広がっており、自分たちがいるから殺されてしまう人々がいて、自分たちが棄教すれば救われる人々がいる。信仰を捨てることが信者を助けることになるという矛盾の中で苦しんでいても、神は何も言ってくれない。ただただ「沈黙」するのみ。その「沈黙」が何より恐ろしい、という主人公(ロドリゴ宣教師)の言葉は、なるほどなと思わさせられましたね。

他の映画でも時々、神を信じられなくなったという人が「あれだけの不幸が起きても神は救ってくれなかった。神など存在しないんだ」と言っている場面をよく見かける気がします。そういった理由で信仰を捨てる人はとても多そうだし、この映画では、そんな状況で主人公は神を信じ続けられるのか?という部分を何度も何度も試している気がしましたね。

特に、窪塚洋介扮するキチジローというキャラクターが興味深くて!

彼は、踏み絵を踏まず家族がみんな死んでいった中で自分一人だけ踏み、助かったという男なんですが、「自分は踏み絵を踏んだがずっと信仰を続けている、自分の罪に苦しんでいる。どうか許してください」と何度も何度も、告解に来る。そして何度も何度も踏み絵を踏む(笑)ロドリゴ宣教師の事も裏切るし、それでも何度も「赦してください」とやってくる。

もうね、悪魔かこいつはと思いましたね。宗教なんてこんなものだよ、と耳元でささやく悪魔のような存在。実際にロドリゴさんも「なんでこんなヤツまで神は許しちゃうの?」と言っちゃっているし(笑)

どこにでもいますけどね、「反省したんだ!今度こそギャンブルなんてやめるから金を貸してくれ!」とか言って同じ間違いを何度も繰り返す人。固い信仰心を根底から揺さぶる、良いキャラクターだったなキチジロー。人間の弱さの権化みたいな人でした。

勿論、まともな信者の人達も沢山いましたけどね!

塚本晋也さん演じるモキチなんて、鬼気迫っていて本当に素晴らしい演技でした。

まとめ

とても重くて苦しい映画でした。現代では考えられないほど理不尽な理由で沢山の人が処刑されていく場面が、これでもかと描かれています。とても観ていて辛いです。

だけど、宣教師ロドリゴと一緒に苦しみぬいた先に出会うフェレイラ神父の言葉、彼の生き様は「信仰を持ったまま人を自由にしてくれる」一種の光のようなもので、苦しんで映画を観るだけの価値があったと思わせてくれます。

自分の中で宗教とはビジネスである、というイメージがとても強いんですが。その反面、人々の心の支えになるとても不思議なものだなと感じています。

なんでだろう、結局こうしてキリスト教ネタの映画に惹かれてしまうのは、「何かを強く想い続ける人」に人としての強さを感じ憧れる部分があるからなのかもしれませんね。

ラストシーンで棺桶に入れられたキリスト像を見た時に、その強さを思い知ります。

とても、良い映画だったなぁ。

そして、支離滅裂な感想だなぁ・・・(笑)

 

 


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た行

絶体絶命を生き残れ。映画『ダンケルク』感想

When 400,000 men couldn’t get home…

Home came for them.

出ましたー!『ダークナイト』『インセプション』で人気を博したクリストファー・ノーラン監督の最新作!

今までと違い、史実ものかぁ・・・という若干の不安はあったものの、ノーラン監督ならきっと大丈夫でしょう!と思いながら映画館へ向かいました!

ちなみにダンケルクの戦いをテーマにした作品は他にも作られているようですが、そういったものは一本も観たことがありません。

パンフはこんな感じ♪

なんというオシャレな表紙!!カッコいいです。大きめで横長、右開き。50ページもあって税抜き760円。割とお得ですね!中身がフルカラーでなかったのは残念ですが、新聞のようでモノクロのページもオシャレでした。

内容としては、ノーラン監督の凄さをいろんな角度から切り取ったコラムがいくつも載っていたりダンケルクの歴史的な解説もあって、ボリューミーでしたね!

押井守監督も寄稿していたんですが、映画の感想よりも自分の映画作りについて書いてる部分が多くて笑ってしまいました(笑)

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は行

命を救う戦争の仕方。映画『ハクソー・リッジ』感想&ネタバレ

戦争は命を奪うが、僕は、命を救う――。

衛生兵にスポットライトを当てた実話ベースのお話と聞いて興味津々だったんですが、なんせ監督がメル・ギブソン・・・。彼の撮った『パッション』という映画でキリストがえげつないほど痛めつけられているのを観てからそれがトラウマになっていて(笑)メル・ギブソンの映画は危険だなぁという印象があったんですよね(笑)

でも。今回は映画仲間の「なかなか良かったぞ!」という言葉を信じて劇場へ足を運びました!

パンフはこんな感じ。表紙のデザインがめちゃめちゃカッコいいです!!!

26ページでちらほらカラーでないページも目立ったので、これで税抜き667円は少し高めかなと思ってみたり・・・(笑)

この映画の好き嫌いはやはり、戦う相手が日本兵だった・・・という一点ですかね。ここを気にならずに観れる方なら十分楽しめる作品かと。

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芸術家が見ている世界。映画『エゴン・シ―レ 死と乙女』感想&ネタバレ

愛の不毛の中で、誰ひとり幸せにはならなかった。

ただ数々の傑作だけが残った。

エゴン・シーレという画家については私は全く何も知らなかったんですが、とにかく『画家の伝記映画が好き』という理由だけで劇場へ足を運びました。

どうやらクリムトと交流があったり、ヒトラーさんが落ちた美術学校に受かったりしていた人らしいですね。

パンフはなんと売り切れ状態。仕方がないので都心に住む映画仲間に代わりに買ってきてもらいました(笑)

パンフはこんな感じ。18Pしかないのに税込み720円は少し高いですな!!それに、個人的にはチラシのこのデザイン(自室の壁に貼ってる)の方がオシャレで気に入ってるので、なぜこれをパンフの拍子にしなかったんだぁああああ・・・という若干の悲しみはあります(笑)

パンフの中身はエゴン・シーレの人生の年表や、発表した作品の数々等も載っていて非常に興味深かったです( ´ސު`)

【映画情報】

【原題】EGON SCHIELE – TOD UND MADCHEN / 英題:EGON – DEATH AND THE MAIDEN
【制作国】オーストラリア・ルクセンブルク
【監督】ディーター・ベルナ―
【脚本】ヒルデ・ベルガー、ディーター・ベルガー
【原作】ヒルデ・ベルガ―
【製作】フランツ・ノヴォトニー、アレクサンダー・グレール、バディ・ミンク、アレクサンダー・ドゥムライヒャー・イヴァンチャヌ
【音楽】アンドレ・ジェジュク
【撮影】カーステン・ヒーレ
【出演([]内は役名)】

  • ノア・サーベトラ[エゴン・シーレ]
  • マレシ・リーグナー[ゲルティ・シーレ]
  • ヴァレリー・パハナー[バリ・ノイツィル]
  • ラリサ・エメ・ブライトバッハ[モア・マンドゥ]
  • マリー・ユンク[エディット・ハルムス]
  • エリーザベト・ウムラウフト[アデーレ・ハルムス]
  • トーマス・シューベルト[アントン・ベシュカ]
  • ダニエル・シュトレーサー[ドム・オーゼン]
  • コーネリウス・オボンヤ[グスタフ・クリムト]

【公開日(日本)】2017年1月28日
【上映時間】109分
【配給】アルバトロス・フィルム
【映倫区分】R15+

【IMDB】6.6/10.0  (およそ300人の評価)

【あらすじ&解説】

20世紀初頭に活躍し、28歳の若さで早逝した異端の天才画家エゴン・シーレの半生を描いた伝記ドラマ。数多くのモデルと浮名を流すなど、スキャンダラスな逸話も多いシーレにとって、特に大きな存在となった2人の女性との濃密な日々が描かれる。1910年、美術アカデミーを退学したシーレは画家仲間と「新芸術集団」を結成し、妹ゲルティの裸体画で頭角を現す。ゲルティも16歳でヌードモデルを務め、敬愛する兄を献身的に支え続けた。グスタフ・クリムトから17歳のモデル、ヴァリを紹介されたシーレは、彼女と同棲を開始。幼児性愛者などと世間から誹謗中傷を浴びながらも、シーレはヴァリをモデルに数々の作品を発表。シーレが時代の寵児ともてはやされる中、第1次世界大戦が勃発。シーレとヴァリは時代の波に翻弄されることとなる。【引用元:映画.com】

【感想&ネタバレ】

☆3.8/5.0

アルバトロス・フィルムだったんだ!!(笑)

アルバトロスといえば知る人ぞ知るB級映画ばかりを輩出している配給会社でありまして・・・おもにB級ホラーとかが多いんですよね。たまにまともな作品もあったり、名作もあったりします『アメリ』とか!!

でもほとんどの作品が駄作だったりするので驚きです。けっこう面白いなと感じたので(笑)

画家の映画に弱い

主にモディリアーニの作品ばかりなんですが、結構観ています。やっぱり天才というか・・・才能のある芸術家という方々は、凡人にはない変わった感性があったりするので、だからこそ人生が波乱万丈になったりするんですよね。その波乱万丈な人生や独特の感性が創り出す作品を覗き見れる感じが、画家の伝記映画の面白さですね。

何が起きてこの作品が生まれたんだ、ということが分かると、絵画に対する見方も変わってきたりします。

エゴン・シーレという画家

エゴン・シーレという画家は、昔から幼い妹の裸を描くことにこだわったりしていたせいで幼児性愛者と疑われ裁判にかけられたり、その都度ミューズ(女神という意味合いですが、つまりは「彼女を描きたい!」とハマったりする相手(女性)ってことですね)と浮名を流したりと・・・あまり女性から見ていてよろしくない人生(笑)を送っていた画家さんだったかもしれませんね。彼の場合はその女性を愛していたというよりは、”女体を描くこと”に憑りつかれていた感じだったと思うので・・・。ミューズとして選ばれた女性は次々捨てられて行ってしまう形になってしまうのがなんとも言い難い・・・。私は別にその絵に対する情熱や姿勢に嫌悪感は感じないですが、許せない!と感じる女性陣は多いかもしれませんね。

生涯で一番惚れ込んだミューズ

恋人であり、人生で一番のミューズであるヴァレリーと出会うも、兵役をきっかけに離れ離れになってしまう。愛し合っていたはずなのに、戦地に連れて行く女性が必要(絵のモデルにする為に)だという理由だけでエゴンは別の愛してもいない女性と結婚してしまうんです。これにはヴァレリーも激怒。(それは怒るよねと私も思いますよさすがに)

ここが二人の分かれ道になってしまった・・・。それでも、エゴンの中での最高のミューズは彼女だけだったと、描かれた”死と乙女”というタイトルの絵画を観ると分かります。異常に切ないです。

何かにとりつかれた様に創作にいそしんでしまう人というのは、時として相手の人間を人間扱い出来ない事が多々ありますね・・・。だからこそ、人々に評価される作品が描けるのかもしれませんが。なんだか、悪魔と契約して特殊な才能を授かったようにも思えます。

まとめ

正直、誰一人幸せにはなりません。エゴン・シーレという画家が成功を掴んだ裏側にいた沢山のミューズ達の苦しみがあった事が分かるだけです。

それから、死と乙女というタイトルに込められた意味を最後に知ると、切なくて涙が止まらなくなるでしょう。

芸術家の人生は本当に、事実は小説より奇なりといいますか・・・面白いです。

クリムトという有名な画家もチラッとゲスト出演レベルで出て来るので、絵画などに興味がある方にはオススメですね!!

 

 


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あ行

こんな家族はイヤだ!映画『エル・クラン』ネタバレ&感想

僕はもう戻らないよ。兄さんもあの家を出た方が良い。

実話を元にしたという怪しげな家族の物語。彼らが隠していた物はなんだったのか?

本当は、近所のミニシアターで上映予定だったので観に行くつもりだったんですが、残念ながら逃してしまったんですよね~~・・・。

というわけでパンフもなく、おうちでDVDで観賞いたしました。

吹替え版がない!これはなかなか厳しい!