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宇宙で彼女を落とす方法。映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』ネタバレ&感想

”無限の愛を注いであげて。計れる愛は、貧しい愛よ―――”

来ましたー!!!!!リュック・ベッソン×デイン・デハーン!!!

デハーン様がこんな大衆映画??っぽい大作??に主役として登場するなんてー!!!これは観ねばなるまい観ねばなるまいとある種の強迫観念にかられて劇場へ!!!

ちなみにCMなどでは「地雷臭」がすごくってもう不安しかなかったんですけども・・・ツイッターなんかで「これはヤクをキメたスターウォーズ」という呟きを見かけて妙に期待してしまいましたね・・・。

何気にクライヴ・オーウェンだとかイーサン・ホークが出ていて(イーサンは本当にちょい役)地味に豪華・・・。

ちなみにちびぞうは原作であるバンド・デシネ(フランス版コミックのこと)に関しては全くの無知!でした!

パンフはこんな感じ!

横長でキラキラ加工がされています!けど、若干の手抜き感がぬぐえない表紙・・・(笑)
というか配給がキノフィルムズさんなんですね!!キノフィルムズさんと言えばハイセンスなミニシアター系映画を配給している会社だという印象が強かったので、意外でした・・・。いつもシンプルかつオシャレなパンフ作ってるから、こういうSFアクションものはどういう雰囲気のパンフにすればいいのか分からなかったのかな・・・(笑)

裏面はこう!

34Pで税抜き667円。普通なお値段。個人的に映画評論家の村山章さんのコラムが最高でした!

【映画情報】

【原題】Valerian and the City of a Thousand Planets
【制作国】フランス
【監督/脚本】リュック・ベッソン
【原作】ピエール・クリスタン(作)、ジャン=クロード・メジエール(画)
【製作】ヴィルジニ―・ベッソン=シラ
【コンセプト・デザイン】パトリス・ガルシア、ベン・マウロ、マーク・̪シモネッティ、ジュー・フェン、シルベイン・デプレ、アラン・ブリオン
【VFXスーパーバイザー】スコット・ストクダイク
【VFXプロデューサー】ソフィー・ルクレール
【撮影】ティエリー・アルボガスト
【衣装】オリヴィエ・ベリオ
【美術】ユーグ・ティサンディエ
【編集】ジュリアン・レイ
【音楽】アレクサンドル・デスプラ
【出演([]内は役名)】

  • デイン・デハーン[ヴァレリアン]

  • カーラ・デルヴィーニュ[ローレリーヌ]

  • クライヴ・オーウェン[フィリット司令官]

  • リアーナ[バブル]

  • イーサン・ホーク[客引きジョリー]

  • ハービー・ハンコック[国防長官]

  • クリス・ウー[ネザ軍曹]

  • ジョン・グッドマン[アイゴン・サイラス]

  • ルトガー・ハウアー[世界連邦大統領]

 

【公開日(日本)】2018年3月30日
【上映時間】137分
【配給】キノフィルムズ
【映倫区分】G
【IMDB】6.5/10.0  (およそ110,000人の評価)

【あらすじ】

西暦2740年。銀河をパトロールする連邦捜査官のバレリアンとローレリーヌは、あらゆる種族が共存する「千の惑星の都市」として銀河にその名を知られるアルファ宇宙ステーションを訪れる。しかしその深部には宇宙を揺るがす邪悪な陰謀や、歴史から抹殺されようとしていたある秘密が隠されていた。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレしているよ!)】

☆2.5/5.0

残念。この映画は映像と、主演二人の美しさが全てを持って行っている映画です・・・。

映画的な良さで言えばオープニングの、デヴィッド・ボウイの”Space Oddity”をバックに宇宙ステーションの発展を描く数分が一番クールで面白かった。それ以降は、うん。まぁ、うん。

~ここから若干の脱線~

まず観終わって最初に頭によぎったのは「アレハンドロ・ホドロフスキー監督」の名前。そして次に「これ、リュック・ベッソンの脳内を可視化した映画だ」と思いました。

つまり一言でいえば「監督が好き放題やっただけ」ってことなんですけど(笑)

なぜホドロフスキー監督の名前がよぎったのかは自分でもよくわかってないんですが、彼の映画『ホーリー・マウンテン』『リアリティのダンス』など、「ああ監督の脳内を見せられている」と思った部分に共通点があったのかな。
しかしよくよく調べてみると、この『ヴァレリアン』の原作は『スター・ウォーズ』シリーズにも影響を与えたコミックだったそうじゃないですか!!ホドロフスキー監督の『ホドロフスキーのDUNE』『スター・ウォーズ』シリーズに影響を与えた作品だったんですよね。(ヴァレリアンの原作の方が古い)そういう意味でも共通点があったのかー!と一人感動するちびぞう。

~脱線終わり~

脚本のことは考えてはいけない

話の流れはもうめちゃめちゃというか、主人公のヴァレリアンがひたすら相棒のローレリーヌを口説いているっていうだけの話の背景に政府が滅亡させたのをなかったことにしたパール人の復讐劇があったりなかったりするんですけども、その部分はものっすごい薄いですしね、悪役になってる司令官も影が薄かったりして「ドラマ」としての部分の弱さが半端ないです。

ドラマが妙に薄いのに、なぜかバブルという宇宙人(リアーナ)のショーシーンがフルで見せられて「いや、こんなに長くなくてよくないか」と思ったりして。彼女が亡くなる時のセリフはなかなか良かったんですけどね。それが最終的にヴァレリアンに活かされているのかどうかも謎ですし。あってもなくてもよかったよなぁ。(ついでに言えばイーサン・ホークもなんだったのか・・・)

最後、政府にとって多大な利益をもたらすであろう変換器をパール人に返すかどうかの重大な場面で兵士としての規律を守ろうとしているヴァレリアンに
「私のこと愛してるなら信じて好きにさせてよ」
って感じで説得しちゃうローレリーヌと説得させられちゃうヴァレリアンの「大切な事決めるのにそんな痴話げんかの延長みたいな話でいいのかよ」って感じもどうもなぁ・・・。

まぁこんな感じで内容はひっじょうに軽いんです。遊び人ヴァレリアンの口説きほどに軽い。彼が遊び人かどうかの描写もないに等しいですけども。
元々ローレリーヌも彼のこと好きって感じがしてるし、ヴァレリアンの彼女に対する口説きもいまいちどうほかの女性に対するそれと違って特別感が出ているのかも、ローレリーヌを口説く場面しかないから観客は測れないんですよね。だから恋愛ドラマとしても弱い・・・いいとこなしか、監督・・・)

邦題センスも微妙・・・

そもそも、アルファ宇宙ステーションは「千の惑星の種族が集まる街」であって「千の惑星」ではないんですよね。しかも話の流れ的に、最後の爆発でアルファが滅びる危機に陥っていたわけでもないので「アルファを救った」というわけでもないんです。なので

「千の惑星の救世主」とかいう嘘八百なサブタイトルは本当にひどいと思う・・・。

「千の惑星の集まる街で彼女を落とす方法」とかでいいですよもう・・・(脱力)

映像を観よう!そして主演を観よう!

この、監督の素晴らしい才能溢れる脳内を映像化させて、それを観れるという幸福ですね!それを味わいましょう!

何十、何百という種類のいる宇宙人たちのデザインを楽しめますし、アクションシーンもすごく新鮮!!

特に別次元が同じ場所に存在しているという「ビッグマーケット」での敵との追いかけっこシーンは「ゴーグルをつけている間だけ別の世界が見えている」という特殊な(今でいうVRゴーグルみたいな。VRの世界で攻撃されたら実際に怪我をする、みたいな感じに近い)場面で、とても楽しい!!!

それから、アルファという幾千もの種族が住んでいる宇宙ステーションの中を、壁を突っ切りながら進む無茶苦茶なシーンの、色んな世界がまるで本のページをめくっているみたいに素早く切り替わっていく様がとっても面白いです。

ちびぞうは大好きなデハーン様が病んでない役をするのが非常に珍しかったので、それだけでも眼福でしたね~~~~~~~

見てください、この笑顔。こんな顔、彼の他の映画ではなかなか見れませんよ!!!!!

特にバブルのショーを眺めるデハーン様のニヤついたり驚いたりする表情のバリエーションが本当にアホっぽくて最高に可愛いです(笑)

ダブル主演の女の子の方(カーラ・デルヴィーニュ)もかなりの美人ですよ。モデル出身らしい!
彼女の魅力もぜひ劇場で楽しみましょう!

 

 

以上!!!!ちびぞうでした!!

 

 


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エイリアンいくせいにっき。映画『ライフ』ネタバレ&感想

「人類の夢も未来も砕かれる」

誰かがオススメしていた・・・?か、観たいと言っていたのを聞いてなんとなくレンタル。

確か、劇場で予告編を見たとき少しだけ「面白そう!」と思った記憶があるんですよね。

主演のジェイク・ギレンホールさんは好きな俳優ではあるんですが、結構当たりはずれの振り幅も広い気が・・・。

公式サイトはこちら

【映画情報】

【原題】 Life
【制作国】アメリカ
【監督】ダニエル・エスピノーサ
【脚本】レット・リース、ポール・ワ―ニック
【製作】デビッド・エリソン、ダナ・ゴールドバーグ、ボニー・カーティス、ジュリー・リン
【製作総指揮】ドン・グレンジャー、ビッキー・ディー・ロック
【撮影】シーます・マッガーベイ
【美術】ナイジェル・フェルプス
【衣装】ジェニー・ビーバン
【編集】フランシス・パーカー、メアリー・ジョー・マーキー
【音楽】ヨン・エクストランド
【出演([]内は役名)】

  • ジェイク・ギレンホール[デビッド・ジョーダン]
  • レベッカ・ファーガソン[ミランダ・ノース]
  • ライアン・レイノルズ[ローリー・アダムス]
  • 真田広之[ショウ・ムラカミ]
  • アリヨン・バカーレ[ヒュー・デリー]
  • オルガ・ディホビチナヤ[エカリテーナ・”キャット”・ゴロフキナ]

【公開日(日本)】2017年7月8日
【上映時間】104分
【配給】 ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
【映倫区分】PG12
【IMDB】6.6/10.0  (およそ143,500人の評価)

【あらすじ】

火星で未知の生命体の細胞が採取され、世界各国から集められた6人の宇宙飛行士が国際宇宙ステーションで極秘調査を開始した。しかし、生命体は次第に進化・成長して宇宙飛行士たちを襲いはじめる。高い知能を持つ生命体を前に宇宙飛行士たちの関係も狂い出し、ついには命を落とす者まで現われる。【引用元:映画.com

【感想】

☆2.6/5.0

ちょい厳しめ判定かなぁ・・・。

いや、でも・・・はっきり言ってあんまし面白くなかったです。

面白いところもあった!

火星で見つけた単細胞の生物を刺激して生命活動をスタートさせることに成功!!!からの、すごい勢いで育っていって・・・という流れはその生命体の見た目が可愛くて(クリオネとヒトデを混ぜたような)結構ワクワクして観られる。

その生命体(カルビンと名付けられるので以下カルビン)が、ラボ内の気圧変化で動きを止めてしまったのをなんとか起こそうと電気ショック療法を施したのがきっかけで、活動を再開したカルビンが凶暴化?してしまう。そこから物を使って箱の外へ逃げたり(ものすごく賢い!)逃げ出した先でラットを襲って殺したりするシーンも結構面白い。

襲った、と書きましたがこれは多分正しくなくて、まず最初にラットの方から興味深そうに近寄ったカルビンに噛み付くんですよね。それで、ビックリして反撃した・・・というのが正しいかな。このシーンが最初に物語っているように、カルビンは必ずしも人間を襲いたくて襲っているわけではない・・・というのがポイントだと思います。

最初に電気ショックを受けて人間に反撃するのもそうだし、その後、火炎放射器で殺処分になりそうになったら逃げる、食料となる水分が必要で船内の色々なものを壊す、酸素がなければ生きられないので酸素がある方へ行くと必然的にそこに人間がいて、更に人間とは水分の塊(つまり食料になる)なので襲う・・・

つまりカルビンはカルビンとして自分の生命を維持、または成長するために動いているだけであって、「殺される!このまま地球に行かせてしまっては人類は滅亡だ!」と大騒ぎしているのは人間だけという構図が深くて面白いなと。黒人の博士が言っていた台詞が全てを物語っていますね。

「身を守るために、本能で襲って来てる・・・憎しみがあるわけではない。でも奴は・・・自分たちを殺す」

もっと序盤からカルビンを大切にしてやれば分かり合えた可能性もあったのではないか、と思うと、人間の欲の深さというか業の深さ故の自業自得ストーリーになっているんだな、というのがよくわかりますね。

そういえば人間の体内にカルビンが入り込んで中から殺すシーンも、無重力空間に漂う血の表現が新鮮で恐ろしくて目を見張りました。ライアン・レイノルズさんの熱演も見れたし、良いシーンだった。

しかし何が一番つまんなかったかって

オチどころか大体のストーリーが読めてしまうこと。これ。

真田広之さん扮するショウも死亡フラグがビンビンだし、次々に希望が絶たれていく展開も予想通りで驚きがあまりない。そして、最後に2つしかない救命ポッドで片方は地球へ戻り、片方はカルビンと一緒に宇宙の彼方に去る計画・・・そりゃギレンホールさんが宇宙の彼方へ行くんだろうね!!!なんてったって主人公だし!地球には戻りたくない的な伏線もあったしね!!

そんでもってこれ、今ポッド入れ替わったよね?多分、地球へ向かったのカルビンの方だよね?

やっぱりそうじゃーん。という、最後のオチまでもが予想通りで・・・。

おそらく最後の最後で希望が打ち砕かれて絶望する『ミスト』的な終わりにしたかったのかもしれませんが・・・驚きも何もないよ・・・。

そして地球を蝕む人類は、カルビンによって淘汰されていく・・・と。

最近流行りの「人間は地球にとって害悪だから殲滅しちゃおう」というテーマに行きつくわけですね・・・。

そういえば途中で船員が言ってましたね。

「美しい地球だからこそ守る価値がある。ただ80億のクソたれが住んでいる」

と。

言いたいことは分かるんですけど、『インフェルノ』でも『キングスマン』でもやってたから「またか」となるわけで・・・。

まぁ、一匹しかいないなら、地球に降りてきても倒せるかもしれませんけどね。そこが確実でない辺り、ちょっぴり絶望値も足りないわけで。

色んな方面で、中途半端と言うか、残念な作品でした。

 

 


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画像引用元:映画.com

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目覚めたらひとりぼっち!映画『パッセンジャー』ネタバレ&感想

私はこの船で暮らし―――
永遠に旅をする 辿り着けない旅を・・・見知らぬ男とともに

劇場で予告編を観たときに気になってはいたものの、結局何気なくスルーしてしまっていた今作。家族の勧めもあってようやく、今回自宅で鑑賞しました。

主演俳優には、ヒロイン役にジェニファー・ローレンス!大好きな女優さんです(『ハンガー・ゲーム』や『世界に一つだけのプレイブック』で有名ですが、個人的には『X-MEN』シリーズのレイヴン(ミスティーク)が印象的)。そして主人公にはクリス・プラット、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のスターロード役が記憶に新しいですね-!彼は宇宙に縁があるのかな(笑)

【映画情報】

【原題】Passengers
【制作国】アメリカ
【監督】モルテン・ティルドゥム
【脚本】ジョン・スパイツ
【製作】ニール・H・モリッツ、スティーブン・ハーメル、マイケル・マー、オリ・マーマー
【製作総指揮】デビッド・ハウスホルター、ベン・ブラウニング、ジョン・スパイツ、ブルース・バーマン、グレッグ・バッサー、ベン・ワイスブレン、リンウッド・スピンクス
【撮影】ロドリゴ・プリエト
【編集】メリアン・ブランドン
【音楽】トーマス・ニューマン
【声の出演([]内は役名)】

  • クリス・プラット[ジム・プレストン]
  • ジェニファー・ローレンス[オーロラ・レーン]
  • マイケル・シーン[アーサー]
  • ローレンス・フィッシュバーン[ガス・マンキューゾ]
  • アンディ・ガルシア[ノリス船長]

【公開日(日本)】2017年3月14日
【上映時間】112分
【配給】ソニーピクチャーズ・エンターテイメント
【IMDB】7.0/10.0  (およそ230,000人の評価)

【あらすじ】

20XX年、乗客5000人を乗せた豪華宇宙船アヴァロン号が、新たなる居住地を目指して地球を旅立ち、目的地の惑星に到着するまでの120年の間、乗客たちは冬眠装置で眠り続けていた。しかし、エンジニアのジムと作家のオーロラだけが予定よりも90年近く早く目覚めてしまう。絶望的で孤独な状況下で生き残る方法を模索するうちに、2人は惹かれ合っていくのだが……。【引用元:映画.com

【感想】

☆3.5/5.0

壮大で美しい宇宙と船内の映像

まず賞賛したいのはこれ!!

宇宙の映像の美しさ、無機質で洗練された宇宙船内外のデザイン!それ以外にも、無重力で浮いてしまうプールの水の表現や、隕石の激突によって起きた異常によって熱暴走する船室、そしてラストの”楽園”のシーンまで、どれも非常に美しく、それだけでも観る価値はあるかな、と思えます!

実力派俳優たちの共演

ジェニファー・ローレンスの美しさ!首元のホクロがすごく色っぽくてきれいです!そして彼女の、恋する女の目から憎しみに満ちた目に変わっていく演技!自分を起こしたのがジムだと知った後の、殴るわ蹴るわの暴行シーンが何気に鬼気迫っててゾッとしましたね。彼のした事の重さを再確認させられるというか。

対するクリス・プラットも、影のあるイケメンを演じていましたね・・・。目覚めてから、ジャケットの着方を鏡で確認して、これから始まるであろう新たな人生にウキウキする様子、そこから自分が一人だと知って絶望していく様子・・・。オーロラに対して、恋人をしながらも時々見せる罪悪感の滲んだ表情・・・。どれもすごく上手でしたね。

そして!!忘れてはいけない、アンドロイドのアーサーを演じたマイケル・シーン!凄いです、もう見た目は人間にしか見えないのに、ちゃんとアンドロイドしている。絶妙に噛み合っているようで噛み合っていない台詞回しとか、些細な表情筋の使い方とか「あ、本当の意味では理解されていない」というゾッとする感じが上手かったです。だからと言って完璧にロボット・・・とも少し違う、絶妙に愛着の持てる感じが凄く良かったんですよね。

この三人だけでほとんどの場面を回していくのに、後半の船長が目覚めるまで退屈しないのが本当にすごい。映像と、脚本と、演技者の力の賜物だと思います。

あと一番最後に出て来るノリス船長?という名前の人らしいですが、アンディ・ガルシアでビックリ(笑)もはやカメオ出演ですよね(笑)アンディ・ガルシアも大好きな俳優さんなので、ラスト「あっ!!!」とテンション上がってしまいました(笑)

泣けるけどご都合主義

残念な点になってしまうのかなぁ。切なくて、泣けるシーンも終盤あるんですが、途中まではわりとツッコミどころ満載で観てしまっていました。

ジムの孤独にもっと共感させてほしかった

彼がひとりで過ごした一年と三週間という時間をもう少し詳細に観たかったですね。全裸で徘徊したって誰も気にも留めない・・・というところとか切なくて良かったんですが。

ちょっと尺というか、表現不足だったかな。引用させてもらったあらすじも、予告編もそうだったんですけどまるで「偶然二人で目覚めた」というアオリなわけです。でも実際は全然違う!!

実際は、ひとりで目覚めたジムが残り90年の人生を孤独に過ごすのに耐え切れず、一目惚れした美女を自分の都合で起こしてしまう・・・。それは、殺人にも等しい、人の人生をまるごと奪うような行為なわけで。この情報を知らずに観た人は、きっとジムの行動には共感出来ないどころか嫌悪感さえ持ってしまうかも。

だからこそ、ジムの孤独にあともう少しでも共感を呼ぶ表現が必要だったかな、と。じゃないと物語への没入感が薄れてしまうから。「絶対に共感しない、自分ならそんなことはしない」と言い切れる人もいるかもしれないですが、本当にそうなのかな、と思います。あの状況になってみないとまずジムの気持ちは分からないし、人間は弱いから。極限状態であればまともな判断が下せず”人生を百万倍良くする方法”に縋ってしまうかもしれないですよね。

船長の台詞に「溺れる者は誰かに縋るものだ、でないと死んでしまう」という台詞がありましたが。この部分について、「ああ、この状況では仕方ないのかもしれない・・・」と思わせる表現が、もう少し欲しかった、という事ですね。

イケメンじゃなかったらどうするんだ問題

ジムがものすごいブサメンだったり、技術者ではなかったり、ものすごい幼かったり、逆に老人だったりしたら・・・というツッコミですね(笑)相手がいくら美女でも、彼女にも選択する権利があるわけで。そもそも技術者でなかったら、誰かを起こすことも出来なかったんですよねー。全体的に、予定調和な脚本であることは、間違いないです。

もし、ジムがサイコキラーだったらホラーな展開になるかも!とも思います。それはそれで観てみたい(笑)

 

船長の存在も都合がいい

後半になって起きて来る船長ですが、5000人以上もいる中で彼が目覚めたという偶然もものすごい。そしてすぐに死んでいなくなってしまうのも、都合が良い。最後に扉を開けに行く役をジムにさせるには、再度二人っきりにする必要がありますもんね。しかし最初から最後まで二人では船のシステムの深い部分まで入り込めない+医療機器の限界突破をさせることが出来ないわけで。監督の意図に沿って登場したキャラだなぁ、と冷静に思えてしまうところが残念でした。

ジムの罪は最初から許されるべくして犯された

最後の方で「沈みゆく船」だったんだ、とオーロラも観客も気付きます。つまり、ジムが彼女を起こそうが起こさないままだろうが、全員死にゆく運命だったんですよね。

この作品の最大のテーマは「人命の価値」で、武田泰淳の短編小説『ひかりごけ』のように、極限状態に置かれた人間が犯すタブーについてどう考えるか、という部分がキモだと思うんです。許されない罪に対してジムとオーロラがどうしていくのか、そこが観たいんですよね。

でも、物語は「最初からジムが許される」ように作られているわけで。

まぁラブロマンスをメインにしてしまうとそうなるのかもしれませんが・・・。原作でのラストは映画版とは違い、もう少し暗澹としたものだったようなので、そっちの方も観てみたかったなーと思いました。

まとめ

散々色々言いましたが(笑)

あまり深いことを考えずにラブロマンスとして観れば、ロマンチックなシーンも沢山ありますし、何より映像が美しい。

それから主演陣のキャラクターも魅力的で惹き込まれます。もっと素直に観れば、オーロラが「偉業を達成する人生」よりも大切な物を見つける物語なわけで。ヒューマンドラマなのか、ラブストーリーなのか、どちらに重点を置くかで見方もまた変わってくるのかなー、と。

これだけ色々とツッコんでおきながら最後の方は泣いてしまったちびぞうなので、決して失敗はしない良作だと思います(笑)

 

 

 


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