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奇想天外な奪還作戦!映画『ネイビー・シールズ ナチスの金塊を奪還せよ!』ネタバレ&感想

「湖の下に何がある?」
「金塊だよ。ナチの金塊だ」

映画館で観ようかなーと思っていたんですが、観れないまま気付いたら終わってた系のやつですね。レンタルが出ていたので借りて観てみました!

想像としては、この金塊の奪還作戦が痛快でとんちが効いてて(?)ドタバタコメディっぽい雰囲気もあるエンタメ大作かなーというイメージ。実際はどうなのでしょうか!!

主演陣にはあまり見知ったお顔の俳優さんはいなかったのですが、助演的なところに『セッション』のJ.K.シモンズが出ています!これは嬉しい!!

アスミックエースさんの公式サイトはこちら

【映画情報】

【原題】Renegades
【制作国】フランス・ドイツ合作
【監督】スティーブン・クォーレ
【脚本】リチャード・ウェンク、リュック・ベッソン
【原案】リュック・ベッソン
【製作】リュック・ベッソン、ラファエル・ベノリエル
【撮影】ブライアン・ピアソン
【美術】ユーグ・ティサンディエ
【衣装】エスター・バルツ
【編集】フロラン・バッソー
【音楽】エリック・セラ
【出演([]内は役名)】

  • サリバン・ステイプルトン[マット・バーンズ]
  • チャーリー・ビューリー[スタントン・ベイカー]
  • シルビア・フークス[ララ・シミッチ]
  • ジョシュア・ヘンリー[ベン・モラン]
  • ディアミッド・マルタ[カート・ダッフィー]
  • ディミトリー・レオニダス[ジャクソン・ポーター]
  • ユエン・ブレムナー[ジム・レイニー]
  • J・K・シモンズ[ジェイコブ・レヴィン少将]
  • クレーメンス・シック[ペトロヴィッチ]

【公開日(日本)】2018年1月12日
【上映時間】105分
【配給】アスミック・エース
【映倫区分】G
【IMDB】5.4/10.0  (およそ5,400人の評価)

【あらすじ】

1995年、紛争末期のサラエボで大胆な戦略を展開するマット率いる5人のネイビーシールズのもとに、ある日、湖に重さ27トン、総額は3億ドルに及ぶナチスの金塊が眠っているとの情報が入ってくる。この金塊があれば、戦争に苦しむ避難民を救うことができると、メンバーの1人が恋に落ちたウェイトレスから懇願された5人は、金塊を奪取するため作戦を計画。敵陣の真っただ中に位置する水深45メートルの湖から、8時間という限られた時間で金塊を運び出すミッションがスタートする。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレするよ!)】

☆2.7/5.0

この映画はですね・・・

J.K.シモンズが全てを持っていく映画になっております。

というのも彼は「ちょっと行動が派手でルールに反しちゃうところもある主人公チーム」の上司役を演じているんですが・・・これがもう・・・にくい!鬼上司に見せかけて、実は非常にチームの事を理解しており、怒るところは怒る!でもさりげなく褒めるし褒美を出す!という飴と鞭が非常に上手なおひと・・・。

原題の意味は?

この映画の原題は「Renegades」となっていて「裏切り者」とか「背教者」といった意味があるようです。深い宗教的な意味合いも含まれているかもしれませんが、宗教観の薄いちびぞうにはパッときませんね~。「アウトロー」「はぐれ者」というような意味合いの方が近い気がしていて、ちょっと道に外れたようなことはするけども、彼らなりの正義がある。そんな人たちを表す原題なんじゃないかなーと思っています。

オープニングでも、サラエボで敵の将軍を人質に取る作戦をしているんですが途中で見つかって追い詰められてしまい逃げることに。その時に取った彼らの行動が、戦車で街中を破壊しながら失踪、橋から川に突っ込んで水中から逃走・・・というとても大胆で派手な作戦!上からの指示ではなく、彼らの独断でこういうことをしちゃうチームなんですよね。

だから、彼らのこういう型にはまらないというか「おいおいそれはやりすぎじゃ?」って思えちゃうような作戦だったりの破天荒さを表してるタイトルだと思ったんです。

ちょっと分かりにくい

紛争地帯の事とかまったく分かっていないちびぞうなので、主人公たちネイビーシールズの他にもNATO軍だったりセルビアの兵士だったりと勢力が色々出てくるのがちょっと分かりにくい・・・。力関係というか、どこが対戦していてどこが共闘関係なのかとか、この場面のこの兵士はどこの所属の人?とかですね。

ぶっちゃけそこまで細かく把握していなくても話の大筋はとてもシンプルなものなので普通に楽しめましたが、こういう世界情勢的なものとか、それぞれの国の歴史とか、軍の仕組みなんかにも軽く知識があるとより楽しめるのかもしれませんね。

(そういう知識に詳しすぎると逆にリアリティのない部分に気が散って楽しめない部分も出て来てしまうのかもしれませんが(笑))

話のオチとまとめ

大昔にドイツがフランスから奪った金塊が、爆破によって湖の底に沈んだ町に眠ったままになっているという情報を地元のバー店員をしている恋人に聞いたネイビーシールズのメンバー。

彼女はその金塊を回収してその半分を祖国の復興に使いたい、だから手伝って欲しいと頼まれて軍には秘密にしたまま金塊奪還作戦を敢行するチーム。

湖の中に入れた大きな布に空気を入れ、気球のような形にして水面まで運ぶという作戦が実行されます。が、その国の人達にも金の存在がバレて狙われる。結局は軍にも作戦がバレて助けて来てもらう形で終わる。

金塊はアメリカ軍が回収、フランスに返すよって話になるんですが・・・ここで、J.K.シモンズが実際は3億200万ドルくらいの価値がある金塊を1億5000万と説明(笑)しかも、その作戦は最初から海軍が把握していましたと軍の手柄にしちゃうんです(笑)
そして最後にちゃんと減らした分のお金をみんなに配るんですが、その金額がどう見ても少ない(30万円くらい)。まさかシモンズさんネコババしたの?と思ったら(地元の復興にお金を使いたいと言っていた)彼女だけが沢山貰っている!!というオチ。

ね、シモンズさんが全部良いとこ取りしちゃうでしょ!!劇中のメインの作戦内では一切出てこないしなんなら最初と最後にしか出てこないけどかっこよすぎだよ!!

雑なまとめだけど終わります。読んでくださってありがとうございました(笑)

 

 


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画像引用元:映画.com

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12人の騎馬隊は5万の軍勢に勝てるか。映画『ホース・ソルジャー』ネタバレ&感想

誰一人失わない。帰国するには勝てばいい。

2001年に起きたアメリカ同時多発テロ(911)を受け、対テロ戦争へと繰り出したグリーンベレー(米陸軍特殊部隊)の極秘任務が映画化されました。
わずか12人の男たちがアフガニスタンへと乗り込み、3週間という短いリミットの中想定外の「馬」に乗って5万人の敵に挑むという実話が元になっています。

主演は、『マイティ・ソー』のソー役でもおなじみのクリス・ヘムズワース。『アルマゲドン』『パイレーツオブカリビアン』シリーズ、『ブラック・ホークダウン』などを手掛けたジェリー・ブラッカイマーが製作を手掛けています。

パンフはこんな感じ!

A4サイズで26P、税抜き667円。監督によるインタビューのほか、リアリティを追求するための撮影トリビアなどが載っていました!

【映画情報】

【原題】12 Strong
【制作国】アメリカ
【監督】ニコライ・フルシー
【脚本】テッド・タリー、ピーター・クレイグ
【原作】ダグ・スタントン『ホース・ソルジャー(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)』
【製作】ジェリー・ブラッカイマー、モリー・スミス、サッド・ラッキンビル、トレント・ラッキンビル
【製作総指揮】アンドリュー・A・コソーブ、ブロデリック・ジョンソン、チャド・オマン、マイク・ステンソン、エレン・H・シュワルツ、ギャレット・グラント、イェール・バディック、バル・ヒル、ダグ・スタントン
【共同製作】ジョン・シュマッチャー
【撮影】ラスムス・ヴィデベック
【美術】クリストファー・グラス
【編集】リサ・ラセック
【衣装】ダン・レスター
【音楽】ローン・バルフ
【音楽スーパーバイザー】ジョナサン・ワトキンス
【キャスティング】ジョン・パプシデラ
【出演([]内は役名)】

  • クリス・ヘムズワース[ミッチ・ネルソン大尉]
  • マイケル・シャノン[ハル・スペンサー准尉]
  • マイケル・ペーニャ[サム・ディラー]
  • ナビド・ネガーバン[ドスタム将軍]
  • トレバンテ・ローズ[ベン・マイロ]
  • ジェフ・スタルツ[ショーン・コファーズ]
  • サッド・ラッキンビル[バーン・マイケルズ]
  • ロブ・リグル[バワーズ中佐]
  • ウィリアム・フィクトナー[マルホランド大佐]
  • エルザ・パタキー[ジーン・ネルソン]

【公開日(日本)】2018年5月4日
【上映時間】130分
【配給】ギャガ
【映倫区分】PG12
【IMDB】6.6/10.0  (およそ33,300人の評価)

【あらすじ】

米同時多発テロ翌日の2001年9月12日、対テロ戦争の最前線部隊に志願したミッチ・ネルソン大尉は、わずか12人でアフガニスタンへ乗り込み、テロ集団の拠点マザーリシャリーフを制圧する任務に就く。反タリバンの地元勢力を率いるドスタム将軍の協力が得られるものの、12人の部隊に対して敵勢力は5万人。加えて戦場のほとんどが険しい山岳地帯のため、馬こそが最大の武器だとドスタム将軍は言う。隊員のほとんどが乗馬経験のない中、ネルソン大尉らは馬に乗って厳しい戦いを強いられる。【引用元:映画.com

【感想】

☆2.8/5.0

普通に面白い!の★2.5からちょっと上!って感じでした!!!

実話ベースだと映画的な面白さを作るのが難しいのかな?とは思うんですけど、盛り上がるシーンのある後半までがけっこう長く感じられ・・・。退屈と言えば退屈だったかな・・・。

一緒に戦ったドスタム将軍はショーン・コネリーに少し似た風貌のダンディな役者さんでしたね!彼と主人公のミッチ・ネルソン大尉が繋ぐ兄弟の絆、というのが良かったです。

ソー役に馴染んでいるクリス・ヘムズワースは別の役を演じてもソーにしか見えないのかな?と不安にも思ったんですが、そんな心配も必要なかったです。ちゃんと勇敢でリーダー性のある優秀な軍人さんを演じていましたねー。

どんな作戦だったの?

本来ならば大軍を使うような重大な作戦だったようですが、その地形の複雑さや天候によって侵攻不可能になってしまうという難しい条件が重なり、少数精鋭を送り地元の反タリバン軍に協力を求め行動を共にしてマザーシャリフというテロ組織の拠点を落としに行く・・・という方法しか出来なかったようです。
反タリバン軍を率いるドスタム将軍の指示で一度も乗ったことのない馬に乗せられ、空爆を誘導する・・・。

物語の流れが読めてしまう

残念だったなーと思える要素の一つがこれでした。

ミッチ・ネルソン大尉は実戦経験がなく、上から舐められた目で見られている・・・という伏線もあり、彼らの進行がモタつくと上官は別の隊をドスタム将軍の勢力とは対立する組織に送る(アフガニスタンには沢山の対立組織がある)。そこでドスタム将軍は「敵の味方をするならもうついていかんぞ!」と袂を分かってしまう、んですが!

まぁ後から絶対に助けに来てくれるよね~~~

って分かってしまいますよね。

だってこの映画、戦争や戦いがメインというよりも、他国の、全く違う人生を歩み全く違う価値観を持った戦士が心を通わすというお話がメインで描かれているから。もう途中でそういうお話なんだなと分かっているので、ラストでドスタム将軍が戻ってきてくれるに違いないって思ってしまうんですよねーーー。

(この部分が脚色とかでなく本当にこうだったとしたらドスタム将軍ツンデレだしキザすぎて惚れる)

それでも最後には、ホッとするし二人の友情に感動するんですけどね。

ジェリー・ブラッカイマーと言えば海賊映画でドタバタやってるコメディタッチなアクションのイメージがちびぞうは強くて(ブラック・ホークダウンも面白かったけどあんまり印象として強くない)、今作は絆や精神性の物語なのでそれと比べると地味な印象(そこが今作の魅力でもありますが)。

意外だったのは

お涙頂戴な死亡シーンがなく、ミッチ大尉が宣言した通り「誰も死なずに帰還」したこと!

これは良かったですね。良い意味で裏切られました。絶対に一人か二人は死ぬだろうと思ったもん。これが実話なのは本当に素晴らしい。

原題は「12Strong」で兵員12名という意味で、グリーンベレーの最小単位らしいんですがちびぞうは12人の強い男たち、というイメージも受けました。作中では主人公とドスタム将軍のヒーロー性が強く描かれていますが、他の11名も間違いなくヒーローだったのだなと思えるこの原題が好きです。

まとめ

ド派手なアクションのある戦争映画とは少し違う、戦場が舞台のヒューマンドラマ、という感じで観て頂けたらいいのかな。

テロリストと戦う兵士は敬礼すらもしない(上官だということが敵にバレたら真っ先に狙われてしまう)など、細かな兵士たちの約束事も見れて、かなりリアリティのある作品になっていると思います。

エンターテイメントな作品とは違うので、911のテロ背景なんかも調べてから観るとより面白さが増すかもしれませんね。

 

 


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ダンケルクの実話映画を作れ!映画『人生はシネマティック!』ネタバレ&感想

「我々で、客を泣きながら帰らせてやろう」

ほんっとうにキノフィルムズさんは気になる映画ばかりを配給されている・・・!

この映画は確か、地元の映画館で『否定と肯定』を観た時に予告編でやっていた作品なんですよね。気にしつつもいつの間にか終わっていたので、レンタルにて鑑賞しました。

ホロコーストの有無を法廷で裁く!映画『否定と肯定』ネタバレ&感想

監督は『17歳の肖像』『ワン・デイ 23年のラブストーリー』のロネ・シェルフィグ。女性の監督です。

ちびぞうの大好きなビル・ナイが助演として出ています!!楽しみ!!

公式サイトはこちら

【映画情報】

【原題】Their Finest
【制作国】イギリス
【監督】ロネ・シェルフィグ
【脚本】ギャビー・チャッペ
【原作】リッサ・エバンス
【製作】スティーブン・ウーリー、アマンダ・ポージー、フィノラ・ドワイヤー、エリザベス・カールセン
【製作総指揮】クリスティーン・ランガン、エド・ウェザレッド、ロバート・ノリス、アイバン・ダンリービー、トーステン・シューマッハー、ピーター・ワトソン、ジギー・カマサ
【撮影】セバスチャン・ブレンコー
【美術】アリス・ノーミントン
【衣装】シャーロット・ウォルター
【編集】ルシア・ズケッティ
【音楽】レイチェル・ポートマン
【音楽監修】ローラ・カッツ
【出演([]内は役名)】

  • ジェマ・アータートン[カトリン・コール]
  • サム・クラフリン[トム・バックリー]
  • ビル・ナイ[アンブローズ・ヒリアード]
  • ジャック・ヒューストン[エリス・コール]
  • ヘレン・マックロリー[ソフィー・スミス]
  • ポール・リッター[レイモンド・パーフィット]
  • レイチェル・スターリング[フィル・ムーア]
  • リチャード・E・グラント[ロジャー・スウェイン]
  • エディ・マーサン[サミー・スミス]
  • ジェレミー・アイアンズ[陸軍長官]
  • ジェイク・レイシー[カート・ランドベック]

【公開日(日本)】2017年11月11日
【上映時間】117分
【配給】キノフィルムズ
【映倫区分】PG12
【IMDB】6.8/10.0  (およそ13,015人の評価)

【あらすじ】

1940年のロンドンでカトリンはコピーライターの秘書として働いていた。人手不足のため、彼女が代わりに書いたコピーが情報省映画局の特別顧問バックリーの目に留まり、ダンケルクでドイツ軍の包囲から兵士を救出した姉妹の感動秘話を映画化する脚本チームに加わることとなった。戦争で疲弊した国民を勇気づけるための映画だったが、製作が開始され、ベテラン俳優のわがまま、政府と軍による検閲や横やりなどトラブルが続出。そのたびにカトリンたちの脚本は二転三転してしまう。なんとか撮影は大詰めを迎えるが、最後に最大級のトラブルが待ち受けていた。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレするよ!)】

☆3.7/5.0

面白かった!良かった!さすがのキノフィルムズさんの安定感!(笑)

映画好きな人なら、古い時代の映画作りの方法などが見れてとっても興味深いと思います!

物語も、タイトル通りシネマティック(映画のような信じられないような事が次々に起こる)。
その中にも笑える要素がたくさん散りばめられていて、かつ理不尽で残酷で、まるで人生そのものを映し出したような映画。

「ダンケルクでの戦いで兵士を救ったとされる双子の姉妹の映画を作る」という軸があるので、ノーラン監督の『ダンケルク』を観てから鑑賞するとより理解が深まるかもしれませんね!世界観に没頭しやすくなるというか。

絶体絶命を生き残れ。映画『ダンケルク』感想

主人公の女性は男性より給料が半分以下だったり、女性にしか書けないというスロップ(映画で女性同士がする会話をそう呼んでいた)を任されるんですけど、そこらへんサラッとくどくない程度に女性差別の実態みたいなものも描かれていましたね。

おおまかなストーリー

あらすじに補足するような感じで核心のネタバレをしていきます!(笑)

まず最初に主人公のカトリン(ジェマ・アータートン)が双子の姉妹に会いに行くと、彼女たちはエンジンのトラブルで船が出せず、ダンケルクの兵士を救ってはいなかった・・・(むしろ動けなくなっていたところを帰還する船に牽引してもらった)ということが真実であったと判明します。しかし双子はその事実が恥ずかしく、周りが騒ぐような美談だったと嘘をついていたらしい。

しかしカトリンはお金をもらうために仕事を続けねばならず、この事実を隠して映画製作をスタート。

空襲も来るなかで脚本を書くカトリン、老年の俳優は我儘放題だし、一緒に暮らしている恋人は浮気をするしで色々と大変ななか、同じ脚本チームのトム(サム・フラクリン)と良い感じになっていくカトリン。

映画製作の途中で、船はダンケルクに着かなかった、ということが上に発覚、製作中止の危機に立たされる。
しかしトムが、「たった1つの実話に基づいてなくていい、ダンケルクの兵士が民間の船に助けられ数十万人が帰還した、そこには100の実話がある。その中の一つでも映画に入っていれば良いんだ」的なけっこう強引な説得で情報省の人を納得させ、映画作りを続行。

他の映画でもよく見る「実話に基づくストーリー」という触れ込みの一体何割が真実なんだろうと若干疑いたくなる場面でした・・・(笑)

脚本は完成するものの、ラストシーンにパンチが足りないと書き直しを要求される。
(ここの、アメリカ人を馬鹿にするわけではないがと前振りをしつつ、「奴らは爆破、衝突、角を勢いよく曲がる救急車みたいなものが好きなんだ、彼らの好む展開にしろ」と言われるシーンは笑ってしまいました。国民性で求めるストーリーって違うんだなぁ)

ラストシーンの執筆に行き詰まるトム。代わりにカトリンが脚本を書き上げ、あとは撮影を終わらせるのみ・・・二人の恋愛も上手くいき、これからラブラブするぞ!というそんな時スタジオが空爆に襲われ、目の前でトムを亡くしてしまうカトリン。

スタッフに死傷者が出て映画の撮影も停滞、カトリンは映画業界から身を引こうとするも、老年俳優ヒリアード(ビル・ナイ)が説得しにやってくる。

ヒリアードの言葉に心を動かされたカトリンは撮影現場に復帰、公開すれば映画は大成功。
その後もカトリンは映画作りを続けていく。という感じで映画が終わる。

良かったところ!

映画が始まってすぐに”メインの軸になる物語が実際は全然違った!”というのが発覚するのが良い意味で期待を裏切られて好きでした。まずそこで「ここからどうするの!?」と興味を持ち物語に引き込まれますね!

当時の映画(脚本)の作り方?も面白い!例えば

  • ジョニー(最初)
  • 犬→ダンケルク→エンジンの故障→叔父の死
  • 無事に帰還(最後)

こんな感じでいくつかキーワードを出し、話の流れをおおまかに決め、その間を埋めて行くというやり方で作られていました。一人で一から百までやるのではなく、皆で意見を出し合いながら構築するっていうやり方もあるんですね~。

その中で、最初はエンジンの故障だったのに「それだとイギリスの造船技術がちゃんとしていないと思われる」と言われスクリューに何かが挟まって動かなくなる、という筋書きに変更されたり、上で書いたようにアメリカ人の好みに合わせてエンディングが変更されたり、女性は活躍させられないからスクリューは叔父が直すという流れにしようと言われたり、大人の事情ってやつで脚本が作られていくのがよーーーく分かります。映画製作って本当にたいへん・・・

脚本だけでなく、キャスティングにも大人の事情が大きく絡んでいました・・・。
陸軍省の命令でアメリカ人の軍人を起用しろと言われてとても見栄えのする軍人さんを連れて来たのはいいもの、絶望的に演技が下手・・・!!!

観てる側としては笑えるんですけど、作り手としては本当に大変ですよね(笑)

ビル・ナイ最高!

『ラブ・アクチュアリー』の頃から好きな俳優さんの一人、ビル・ナイ。

齢66歳にしてこのカッコよさ・・・なんなの・・・。

彼の演じるヒリアードという役がまた良いんですよ。
無駄にプライドが高くて扱いにくい低迷期に突入した高齢の役者。過去にヒットした1キャラクターの栄光にしがみついていてどこかもの悲しい。自分は主人公のジョニーを演じるものだと思い込んでいて蓋を開けてみれば酔いどれクズな叔父の役。こんなのやれるか!と不満たらたらの彼をカトリンはしっかりと尊厳を尊重しながら懐柔し、やる気にさせる。
するとその実力は本物で、この映画の公開後も演技の仕事がまた入るようになるという。

このヒリアードという役は劇中でしょうもない老いどれ役者、という立ち位置から徐々に変化し、最後はカトリンの父のような役割も担うようになるという重要で味わいの深い役。

彼がやる気になった時に言った「我々で、客を泣きながら帰らせてやろう」という台詞も良かったし、

トムを亡くして映画業界から離れようとするカトリンを説得しに行った時の

「我々のようなもの(老人や女性かな)に仕事が回ってくるのは若い男が戦争で死んでいるから。彼らが死んで得たチャンスを無駄にするのは、死に生を支配されている状態だと思わないか」

うろ覚えなんですけれど、この台詞もすごく良かった・・・。

それから、ビル・ナイの歌声も聴けます!すごく渋カッコいい!!66歳サービスしまくり!!

まとめ

空爆されながらのすごく過酷な環境下での映画製作なんですが、映画自体はとてもコミカルであまり重さがなく、笑えるポイントもたくさんあるし、考えさせられる場所もあるし、

何より強い女性が頑張る姿が観れます!!!

これはぜひ、女性に観てもらいたいですね。

最後に、トムが語っていた台詞でちびぞうがとても心に残ったものがあるのでそちらを紹介して終わりたいと思います。

どうして人は映画を観ると思う?ちゃんとストーリーがあるからだ。悪いことが起きるのも仕組まれているし、それにも意味がある。人生とは違う。

たまにでいいから価値のある映画が作りたい。
―――その人の人生の一時間半を費やせるような。

映画が好きだという事がひしひしと伝わってきます。良い映画でした。

 

 


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画像引用元:映画.com

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スナイパーから生き残れるか。映画『ザ・ウォール』ネタバレ&感想

壁の向こうは、生存確率0%!

スナイパーものの映画と言えば実在したアメリカの軍人クリス・カイルの伝記的映画『アメリカン・スナイパー』がありましたね。

今作は何も前知識なしに観たんですが、イラクの”ジューバ”という狙撃手(2005年にアメリカ兵士を始めとするPKO軍の兵士を狙撃する動画をアップした人の名前らしく実在した個人なのか組織なのかは不明らしい)が元ネタになっているようです。

かと言ってアメスナっぽい映画かと聞かれたら別にそういう感じではなく・・・どちらかと言えば最近観たガエルさん主演の『ノー・エスケープ 自由への国境』と近い雰囲気かも・・・

メキシコ移民をヘッドショット!映画『ノー・エスケープ 自由への国境』ネタバレ&感想

【映画情報】

【原題】The Wall
【制作国】アメリカ
【監督】ダグ・リーマン
【脚本】ドウェイン・ウォーレル
【製作】デヴィッド・バーティス
【製作総指揮】レイ・アンジェリク
【撮影】ロマン・バシャノフ
【美術】ジェフ・マン
【衣装】シンディ・エヴァンス
【編集】ジュリア・ブロッシュ
【出演([]内は役名)】

  • アーロン・テイラー=ジョンソン[アレン・アイザック]
  • ジョン・シナ[シェイン・マシューズ]
  • ライト・ナクリ[ジューバ]

【公開日(日本)】2017年9月1日
【上映時間】90分
【配給】プレシディオ
【映倫区分】G
【IMDB】6.2/10.0  (およそ16,000人の評価)

【あらすじ】

2007年、イラクの荒廃した村。アメリカ兵のアイザックとマシューズは、瓦礫の中に残る大きな壁に潜む敵を狙っていたが、5時間まったく動きがないため、マシューズが様子を見るために壁に近づいたところ、想定外の場所から銃撃されてしまう。援護に向かったアイザックも銃弾に狙われ、なんとか壁の背後に退避したものの、まったく身動きが取れなくなってしまった。その時、仲間を名乗る謎の男から無線が入り、その声にかすかな訛りを聞き分けたアイザックは、男の正体を確認しようとするが……。【引用元:映画.com

【感想(結末までネタバレ!)】

☆2.1/5.0

登場するキャラクターは(モブ含めて)5、6人!

ワンシチュエーションモノです。

90分という短めで観やすい時間配分は好感持てますがそれにしても退屈・・・!

おおまかなストーリー

2007年末のイラク戦争が終結しつつある時期。戦後処理に駐屯している兵士たちが、イラク復興のためのパイプライン建設現場で偵察中に何者かに狙撃される・・・誰が何のために?ここから生きて帰れるのか?というスリラーテイストな物語。

二人しか兵士がおらず、一人は撃たれて倒れ、もう一人(主人公)は朽ちた学校の壁が一枚残るその裏に隠れる。

無線機も水のボトルも狙い撃ちされ、通信が通じたー!!と思ったらその相手は自分を狙っているイラク兵で・・・という流れで途中、イラク兵とアメリカ兵のお喋りが差し込まれます。なぜかお前のことが知りたいからお話しようって言ってきたり、エドガー・アラン・ポーの本の内容を朗読してきたり(ここが結構退屈だったりして・・・)します。

ものすごい腕のスナイパー(75人のアメリカ兵を狙撃した”死の天使”)らしく、周囲の人間は全てヘッドショットされているのにも関わらずなぜ主人公たちだけは頭を撃たれなかったのかとか、なぜ敵は主人公の仲間だったディーンという兵士について知っているのかとか、ちょっと不自然に思えるところも多々ありましたね。

スナイパーが言うには彼はバグダッドで教師をしていて、爆撃された過去があるらしく、おそらく教え子の復讐にためにやっているのかな?という感じですが、どこまでが本当のことなのか分からない・・・。

途中、着弾から発砲音までかかった時間や弾の入射角度からスナイパーのおおよその位置を計算したり、無線から聞こえてくる音と望遠鏡から覗いた景色の動きが合う場所を見つけたり、「おっ!反撃できるのか!?」と思えるシーンがあったり、死んだと思っていた仲間が実は生きてるじゃん!というシーンは若干ワクワクするものの。

後半、無線がようやく直ったー!本部に連絡できる!と思ったらそれは自分ではなく敵スナイパーと本部の無線の音が聞こえて来ているだけだった・・・スナイパーがアメリカ兵に扮して返した言葉に騙されて応援が来て、そのヘリもスナイパーによって撃ち落とされてしまう!!!結局一発も反撃出来ないまま、終わってしまう。

最後に主人公は、自分も同じような方法で敵に呼び寄せられたのだと知る。

というなんとも後味悪い感じでエンディング。

緊張感がーーーもう少し欲しかったですねーーーーーー!
自分を狙ってくるスナイパーと無線でお喋りするっていう状況にリアリティがあるかどうかは分かりませんけども、ここまで計画的にアメリカ兵を殺そうとしている愉快犯にも思える相手というのが”サイコパス”過ぎて。戦場とサイコパスってなんかちょっとミスマッチ。

それと絵面がほとんど変わらない映画なので、よほど内容に面白さがないと間が持たない・・・。

まとめ

戦争の爪痕、というのは残酷だなぁ、と思わせられる作品ではありました。

戦後の復興のためでも現地で働く兵士は危険だし、現地の人からしてみたら兵士のしていることの何が自分たちの助けになるかなんて分からないですもんね。戦争が終わった!と思えるのは離れている人たちだけで、その場に残された人たちには明確な区切りなんてないのかもしれません。

しかしその事実と、映画としての面白さが結び付くかというと、ちょっと難しい。そんな作品でした。

 

 


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絶体絶命を生き残れ。映画『ダンケルク』感想

When 400,000 men couldn’t get home…

Home came for them.

出ましたー!『ダークナイト』『インセプション』で人気を博したクリストファー・ノーラン監督の最新作!

今までと違い、史実ものかぁ・・・という若干の不安はあったものの、ノーラン監督ならきっと大丈夫でしょう!と思いながら映画館へ向かいました!

ちなみにダンケルクの戦いをテーマにした作品は他にも作られているようですが、そういったものは一本も観たことがありません。

パンフはこんな感じ♪

なんというオシャレな表紙!!カッコいいです。大きめで横長、右開き。50ページもあって税抜き760円。割とお得ですね!中身がフルカラーでなかったのは残念ですが、新聞のようでモノクロのページもオシャレでした。

内容としては、ノーラン監督の凄さをいろんな角度から切り取ったコラムがいくつも載っていたりダンケルクの歴史的な解説もあって、ボリューミーでしたね!

押井守監督も寄稿していたんですが、映画の感想よりも自分の映画作りについて書いてる部分が多くて笑ってしまいました(笑)

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続編に期待高まる!映画『キングコング:髑髏島の巨神』ネタバレ&感想

人類よ、立ち向かうな

私一人ではスルーしていたかもしれない今作。映画仲間が「エンディングロールの後がすごいよ!」と笑いながら強く推していたので、レンタルで鑑賞。

主演は『マイティ・ソー』でソーの情緒不安定な弟役ロキを演じているトム・ヒドルストン。日本からは、ギタリストのMIYAVIが冒頭シーンで米兵と対峙する日本兵を演じています。

どうでもいいですが、「YOUは何しに日本へ」という番組でこの映画の監督がインタビューを受けていました(笑)ひげもじゃで結構若そうな監督でしたね~

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命を救う戦争の仕方。映画『ハクソー・リッジ』感想&ネタバレ

戦争は命を奪うが、僕は、命を救う――。

衛生兵にスポットライトを当てた実話ベースのお話と聞いて興味津々だったんですが、なんせ監督がメル・ギブソン・・・。彼の撮った『パッション』という映画でキリストがえげつないほど痛めつけられているのを観てからそれがトラウマになっていて(笑)メル・ギブソンの映画は危険だなぁという印象があったんですよね(笑)

でも。今回は映画仲間の「なかなか良かったぞ!」という言葉を信じて劇場へ足を運びました!

パンフはこんな感じ。表紙のデザインがめちゃめちゃカッコいいです!!!

26ページでちらほらカラーでないページも目立ったので、これで税抜き667円は少し高めかなと思ってみたり・・・(笑)

この映画の好き嫌いはやはり、戦う相手が日本兵だった・・・という一点ですかね。ここを気にならずに観れる方なら十分楽しめる作品かと。