何年も何年も積んでいたこの作品をようやく読みまして、更に映画版の方も鑑賞したので、どんな違いがあったか?をメインにレポートしていきたいと思いますー!
映画版の主演は前田のあっちゃんと松田翔太でしたね!
そっちの感想もあるよ!
ネタバレも多大にしていきますので、未見の方は本当に注意してください!(笑)
こちらの表紙、地味にカバーのサイズが本の大きさと合ってないんですよね・・・(笑)なぜ!と思ってめくってみると
なるほど!映画化するから慌てて包んだのね!という事がよく分かります(笑)
元々のこの表紙の方が好きだなぁ私は。
簡単なあらすじ
僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて・・・。甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆到で描いた青春小説―――と思いきや、最後から二行目(絶対先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。(裏表紙より)
叙述トリックのネタ
ここから先、この物語の核心に迫るネタバレがあります。
映画版共に未見の方は決して先を読まないでください!
結局のところどういう部分で「二度読みたくなるか」という部分の解説をします。
side Aの物語は、鈴木とマユの出会いから恋人になるまでの流れ、そしてside Bの物語は、就職した会社で異動が決まり、静岡と東京で遠距離恋愛になってしまった鈴木とマユの恋物語が鈴木の浮気によって壊れていくまでを描いている。
・・・と、見せかけて。
実は、side A の鈴木とside Bの鈴木は名字が同じなだけの別人であり、時系列もA→Bという風に流れているように見せて実は同時進行(Bの鈴木と付き合ったのが先であり、Aの方が後の恋愛)だったりという二重のトリックになっている!!!
それを最後から二行目に、鈴木の下の名前を第三者に呼ばせる事によって「え?Aの鈴木とは違う人!?」という驚きを読者に与えている。
よーーーく読んでいると、マユが大好きだという「男女七人物語」のシリーズがAとBで前後していたり、「JR」という名称が馴染んでいるかどうかという部分で、時間軸にもトリックが隠されている・・・というのが読み解けたりする。きっとこれ以外にもヒントは沢山散りばめられていたんでしょうな!!
私はそれらのヒントをサラッと掴んでいて、違和感は持っていたものの、最後の最後までネタに気付けなかったのですごく悔しかったんですよね・・・。
しかし、それは事前に「叙述トリックの作品だよ」とオススメされていて読んでいたからこそ!何も知らずに読んでたらきっとヒントにも気付くことなく、ネタバレされても理解できなかったかもしれません(笑)
原作と映画の相違点
サイドAの鈴木は「鈴木A」、サイドBの鈴木は「鈴木B」と記載しています。
特に改変のない部分については触れていません。
原作 | 映画 | |
鈴木Aの見た目 | メガネをかけている。地味で生真面目そうで「NHKのアナウンサー」っぽい印象、素顔はイケメン。服にも頓着しないタイプ。 | メガネはかけていない。地味で冴えないデブ男。→俳優:森田甘路 |
マユの見た目 | 決して美人ではないが愛嬌のある顔立ち、ファ二―フェイスと鈴木に評されている。男のようなショートカット。 | ポニーテール。女性らしく、人目を引く可愛らしさ。→俳優:前田敦子 |
マユが鈴木の下の名前を聞いたタイミング | 最初の合コン。 | 最初のデート。 |
2人のベッドシーン | 鈴木Aとマユ。 | 鈴木B(松田翔太)とマユ。 |
酒が入ると鈴木は | Aは記憶がなくなるほどはっちゃけてしまう時がある。 Bは暴力的になる。 |
特にどちらも酒を飲むとどうというシーンはない。 |
マユから鈴木へのクリスマスプレゼント | 革製の財布とパスケースのセット。 | ナイキの赤いスニーカー。「男の人にプレゼントしたことなくて」と言いつつ、鈴木ABどちらにも同じ物を贈っている。 |
ラスト、鈴木Bは | マユの電話での反応に不穏な気持ちになり彼女との思い出を思い出す。 | マユの電話での反応に不穏な気持ちになり、彼女がクリスマスに予約したホテルをキャンセルしたことを知らず一人で待っているかもしれないと思い、静岡まで会いに行く。そしてそこでマユと、鈴木Aとばったり鉢合わせる。 |
感想
ぶっちゃけた話、叙述トリックと知っていて読んでいたせいか驚きは少なかったですね。
最後の二行で全てを理解する、ということも私には難しく、再び読むにも至らずネットでどういう事だったのか解説サイトを見て回ってしまいました・・・。
実写化映画ではなかなかないことですが、これに限っては映画版の方がトリックとしてよく出来ていたし、ネタばらしも非常に分かりやすかったので、そちらの方が面白かったなー。と思いました。
個人的に、クリスマスのプレゼント、映画版では全く同じ靴を鈴木ABにプレゼントしていたマユですが、原作ではどうだったかな?と思ったら革製の財布とキーケースのセットを贈っているんですね。
多分、これは鈴木Bと別れなかったら二人とデートしていたであろうマユのプレゼントを両方鈴木Aが貰ったという事なんだろうなと解釈しました(笑)
そういえば、この記事を書くためにパラパラと見返していたら、二人が貸し借りしていた本の中に「十角館の殺人」があったのを見つけてニヤリとしました(笑)
やっぱり、叙述トリックのお話として非常に有名な綾辻さんの作品ですから、リスペクトしているんでしょうかね!!それとも、「こういう意味の驚きが来るよ」という、ささやかなヒントだったのかもしれないですね(笑)