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モノクロの映像美!映画『羅生門』ネタバレなし感想

むせかえる真夏の草いきれの中で繰り展げられる 盗賊と美女とその夫の、息詰まるような愛慾絵巻。

こちらも以前(もはや去年)に書いたぎふアジア映画祭で鑑賞した作品。

『第40回/ぎふアジア映画祭』行って来たよレポ!

実は先日アププした『天国と地獄』よりも先に観た、初めての黒澤明監督作品だったりします。

法改正させた誘拐劇!映画『天国と地獄』ネタバレ&感想

今作は黒澤明監督が海外で評価される一端を担った作品。日本では評価されず、海外に出して賞賛されその評価に持ち上げられる形で日本でも注目を浴びたといういわゆる逆輸入の作品というのは有名ですね。

【映画情報】

【制作国】日本
【監督】黒澤明
【原作】芥川龍之介『藪の中』『羅生門』
【製作】箕浦甚吾
本木荘二郎
【撮影】宮川一夫
【録音】大谷巖
【美術】松山崇
【照明】岡本健一
【編集】西田重雄
【助監督】加藤泰
【記録】野上照代
【音楽】早坂文雄
【出演([]内は役名)】

  • 三船敏郎[多襄丸]
  • 京マチ子[真砂]
  • 森雅之[金沢武弘]
  • 志村喬[杣(そま)売り]
  • 千秋実[旅法師]
  • 上田吉二郎[下人]
  • 本間文子[巫女]
  • 加東大介[放免]

【公開日(日本)】年月日
【上映時間】分
【配給】
【映倫区分】
【前作】
【次作】
【IMDB】8.3/10.0  (およそ134,000人の評価)

【あらすじ】

平安時代、都にほど近い山中で貴族女性が山賊に襲われ、供回りの侍が殺された。やがて盗賊は捕われ裁判となるが、山賊と貴族女性の言い分は真っ向から対立する。検非違使は巫女の口寄せによって侍の霊を呼び出し証言を得ようとする、それもまた二人の言い分とは異なっていた……。【引用元:映画.com

【感想】

☆2.5/5.0

本間文子さん扮する巫女の口寄せシーンの役者さんの覇気というか目力というか、とにかく力強くて圧倒!

三船敏郎の演技も素晴らしいのですが、ちびぞう個人としては京マチ子をはじめ女性陣の圧を感じる演技合戦が特に素晴らしく感じました。

モノクロの映像と風に舞う布!世界観がエモい!スクリーンの奥の出来事なのにまるですぐそばにあって触れられそうな圧倒的存在感と言いますか!すごかった。

ちびぞうは芥川龍之介の羅生門と言えば小学校の頃国語の教科書で読んだ事があり、小汚い老婆が羅生門で追い剥ぎに遭うという恐ろしい話だ、という認識があったのですが、観れども観れども小汚い老婆が出てこない!!!!あれ?羅生門って芥川龍之介の羅生門を原作にしているのではないの…?と思っているとだいぶ気が散ってしまったのですが。

観終わってから調べてみると、今作は芥川龍之介の『藪の中』の方をストーリーの軸としているようです。

そりゃ婆さん出てこないわけだわ!!!!!!

ちびぞうは文学少女だったわけでもなく、文学女なわけでもありませんので、当然のように藪の中は読んだことがありません。それ故の混乱でした。中途半端な原作知識が映画を観る邪魔をしてしまったのです。残念すぎる。

今作は、3人の人物が一つの事象についてそれぞれの角度から違った真相を語り、どれが本当の話なのか分からない…!というのが面白さのメインとなるテーマ。

今回のぎふアジア映画祭では元々の味わいを堪能して欲しい、ということでわざと古く画面も荒く音も聞き取り辛いものを上映したそうで、当時の味わいはこれか…!と思う反面セリフがやはり聞き取りにくいところが多々あり、またちびぞうの地頭の問題もあってストーリーがよく分からないまま流れていってしまいました…。

味わいとの兼ね合い、難しい。

ちびぞうの働く映画館もフィルム上映をしていてたまに古すぎてフィルムが途中で切れてしまうのですが『そこがいいんだ!フィルムが切れなきゃ映画じゃない!』とおっしゃるお客様もいるので世の中いろんな需要があるんだなぁと脱線しながら締めたいと思います(笑)

まとめ

こちらの映画はやはり映像美、そして古い映画ならではの画面のザラザラ感と鬼気迫る役者陣の顔の演技、そしてそれが映えるモノクロを楽しむ映画だと思います。

キャッチコピーにあるような【愛慾絵巻】は描かれていませんでしたが、藪の中でむせかえる真夏は感じることができました。

機会がある方はぜひ、発掘してみてはいかがでしょうか。

ここまで読んでいただきありがとうございました!ちびぞうでした!

 

 

 

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ゲスの極み族VS侍。映画『忍びの国』ネタバレ&感想

「あやつの前に門はなし、ゆえに無門とはよう言うたもんじゃ」

ちびぞう母チョイスでレンタルしてみた作品。

和田竜による同名小説の映画化ですね!

主演の大野智とかはあんまり興味ないんですけども、鈴木亮平が出ているのでちょっと楽しみになりました・・・!!邦画で時代物(しかも忍者)って、滅多に観ないのでワクワクです!!

公式サイトはこちら

【映画情報】

【制作国】日本
【監督】中村義洋
【脚本/原作】和田竜「忍びの国(新潮社)」
【企画/プロデュース】平野隆
【エグゼクティブプロデューサー】藤島ジュリーK.
【プロデューサー】辻本珠子、原藤一輝、下田淳行、藤井和史
【アソシエイトプロデューサー】小野原正大、大楠正吾
【撮影】相馬大輔
【照明】佐藤浩太
【音響効果】伊藤瑞樹
【美術】清水剛
【装飾】秋田谷宣博
【衣装デザイン】黒澤和子
【編集】上野聡一
【音楽】高見優
【主題歌】嵐 -“つなぐ”
【出演([]内は役名)】

  • 大野智[無門]
  • 石原さとみ[お国]
  • 鈴木亮平[下山平兵衛]
  • 知念侑李[織田信雄]
  • マキタスポーツ[長野左京亮]
  • 平祐奈[北畠凛]
  • 満島真之介[下山次郎兵衛]
  • でんでん[下山甲斐]
  • きたろう[音羽の半六]
  • 立川談春[百地三太夫]
  • 國村隼[北畠具教]
  • 伊勢谷友介[日置大膳]

【公開日(日本)】2017年7月1日
【上映時間】125分
【配給】東宝
【映倫区分】G
【IMDB】8.1/10.0  (およそ1,670人の評価)

【あらすじ】

天下統一に向け、諸国を次々と攻め落としていた織田信長が攻め入ることができなかったただひとつの国、伊賀の国。人でなしの忍者衆が住む伊賀の国に暮らす忍者の無門は、伊賀一の凄腕を持つ忍者でありながら、怠け者の性分で、普段は女房のお国の尻に敷かれる毎日を送っていた。そんな中、ついに圧倒的な軍勢を率いた織田軍が伊賀に攻め込んできた。武力、兵力では太刀打ちできない無門率いる忍びの軍団は人知を超えた秘策で織田軍に抗戦する。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレするよ!)】

☆3.0/5.0

邦画はあんまり観ないので基本的に期待値が低い・・・(特に大野くんとか興味ないので)のもあったかと思うんですけど、でも

意外に面白いんですよ、これ・・・!!

忍者VSサムライのアクションが楽しい!

殺陣のシーンがすごく新鮮で楽しかった!

特に主人公無門の戦い方が、相手の振りや攻撃を受け流してヒョイヒョイヒョイと身軽に避けていく感じで(うまく説明できなさすぎる)、すごく楽しいんですよ!!

手裏剣だったり、ターザンだったり、吹き矢だったり、地面に埋もれて隠れる土遁の術や、木や岩の模様に似た布で隠れるこの葉隠れ的な術などなど、忍者ならではのアクションが盛りだくさんで、おおお実戦ではこんな感じになるのか!!と若干感動(もちろん誇張されてる部分もあるとは思いますが)

虎狼の族(ころうのやから)がゲスすぎる

伊賀忍者は虎狼の族と呼ばれるほど、血も涙もなく自己中心的な人たちだったということだったらしいんですけども、それがあまりにもひどい!

「自分が働いたとき誰が銭を払ってくれるのか」

ということを常に気にしていて、里が攻められるピンチであっても金を払える人がいなければサラッと里を捨てて京へ逃げようとしたりする・・・あまりの守銭奴ぶりに、伊賀忍者が全員きり丸(忍た〇乱太郎)に見える・・・と思いました(笑)

でもそれも、途中までは笑えるネタっぽい感じだったんですけど、徐々にそれが「洒落にならないレベル」だということが後半分かってくるんですよね。

まず赤子を別の国から拾ってきて強い忍びに育てるために厳しい訓練をさせ、その途中で子どもが死んでも「弱い奴は死ぬ。仕方のないことだ」と容赦なく言う。仲間が死んでもなんとも思わないし、自分の利になること以外にはやる気を示さない。

まさに外道

って感じなんですよね。

物語的にも、伊賀の家同士の小競り合いで弟を殺された下山平兵衛(鈴木亮平)が、父親に「長男でなければ下人と同じ。下人が死んでもなんとも思わん」と言われて「なんという非道な者たちだ。こんな国は滅びればいい」と祖国を裏切り、お隣の伊勢に行く。
そして伊勢を攻め落とした織田信長の息子信勝に、「伊賀の国のど真ん中に城を建てましょう」という作戦を伝えて伊賀を滅ぼそうとするが・・・実は最初(息子を裏切らせて伊勢の国へ行かせるところ)から全て伊賀のお偉いさんたちの作戦だった!!という感じで

まさに外道

って感じですよね。

史実なのかもしれないんですけど、ここの人たちの血が現代にも受け継がれているかも・・・みたいな、「性格悪い人はみんな伊賀から来た」みたいな印象付けはどうもやりすぎだった感もありましたね。

大野くんの演技けっこういいです

意外にこの、気の抜けた感じだけど実は強い!!!みたいの、ありがちだけど良いですね(笑)
冴羽 獠的なヒーロー像。

戦場で脱いだことないしって言いながら重そうな鎖帷子?鎧?を脱ぐところは笑ってしまったけど。ヤワラちゃんのおじーさんが履いてた鉄下駄を思い出しますね。
(さっきから例えが昭和)

彼は、最初は他の忍者たちと同じように血も涙もない性格をしていましたが、妻であるお国の存在や、平兵衛との命をかけた一騎打ちを通して人の心を取り戻していくんですよね。そこが良い。おちゃらけた演技もしつつ、真剣な演技も出来る。はまり役だったんじゃないかなー、と思います。

もちろん、その死闘の相手である鈴木亮平の演技も素晴らしかったですよ。シーン的にはすごく長い決闘だったけど、その分、その戦いが無門にもたらした物の大きさを示しているって感じがしてよい。

お国は若干浮いてたよね

どこかからさらわれてきたお姫様にしか見えないお国(石原さとみ)が、無門の奥さんだよと急に言われても・・・ボロボロの木造りの小屋で彼女は一体一日何をしているんだろう、とか、一人だけなんでそんなに着物が派手で綺麗(彩度がすごい高い)なんだろう・・・とか若干浮き気味だったんで、美しい人だっていうのは分かるんですけどもう少し周りの雰囲気になじませて欲しかったというかなんというか。。。

最後に、彼女が身を挺して無門を守ろうとする、というのもストーリー上は分からなくもないんですけど、彼女と無門の間にある愛情の度合いというものを測れるエピソードが特になかったので、いまいち感情移入できなかった、っていうのもありますね。

彼女を亡くして、彼女が気にかけていた子どもを無門が救いに行き育てる・・・という流れはすごく良いと思いました。
(そしてその子どもが成長して過去を語るって設定のモノローグも良いですね!)

まとめ

アクションは見応えあり!!!!ですし、大野くんや鈴木亮平の演技もなかなか良いので、興味持ってる人はぜひ観て欲しいなー、という感じ。

段々と重みを帯びていく伊賀忍たちのゲスさも最初はクスクス笑えて楽しいですし。

エンタメとして軽い気持ちで観るのに良い一本ですね(*’ω’*)

 

 


 

 

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不死身の男がボコられる!映画『無限の住人』感想&ネタバレ

何度斬られても、守り抜く――

こちらも三池監督が漫画「無限の住人」を実写化した作品。主演は木村拓哉

原作も未読で、私には縁のない映画だったんですが、たまたま映画好き仲間と集まった時にこの作品の名前が挙がり、観る流れに。自分ではチョイスしないであろう作品を観る機会って、予想外に楽しめる作品に出会えたりするのでとても貴重ですね!(この作品が楽しかったかどうかはさておき)

パンフレットはこんな感じ。とっても分厚いです!

背表紙もあるよ!

なんと54ページもあります。税抜き760円ですが、とってもボリューミーなので納得のお値段。

原作者のインタビューページにイラストも載っていました♪