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ささいな揉め事が社会を巻き込む法廷劇に。映画『判決、ふたつの希望』ネタバレ&感想

ただ、謝罪だけが欲しかった。

ポスターをひと目見た時から気になっていた今作!

ロングライドさん配給、監督はレバノン出身のジアド・ドゥエイリ。タラちゃん監督の『レザボア・ドッグス』『パルプ・フィクション』『ジャッキー・ブラウン』などのカメラアシスタントもしていたようです。

第90回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた作品です。ちなみにその年の同賞には、ミヒャエル・ハネケ監督の『ハッピーエンド』

ハネケ監督の描く『ハッピーエンド』とは。映画ネタバレ&感想

日本映画の『湯を沸かすほどの熱い愛』が出品されていましたね!

そして主演の一人、カメル・エル・バシャは第74回ベネチア国際映画祭 最優秀男優賞を受賞しています!

しかしこのレバノンという国は一体?ちびぞうは”レバノン”という国を良く知りません。FOXのミュージカルドラマgleeでブリトニーというキャラクターが作ったTシャツの文字を”レズビアン”と書こうとして”レバノン人”と間違えてしまったエピソードで知ってる程度しか知りません(笑)

なので少し調べてみました。

レバノンとはレバノン共和国のこと、中東にあり南にイスラエル、北から東にかけてはシリアと隣接しているようです。

宗教もイスラム教とキリスト教が同居しているようで・・・

こう聞いただけでとてもややこしそうな予感!!!

パンフレットはこんな感じ。

全26P、サイズはB5くらい。税抜き667円。監督と憲法学者の木村草太さんの対談や、映画の内容を紐解くための歴史的背景に関する記事、キーワード解説、レバノン現代史年表なども載っています。

ロングライドさんによる公式サイトはこちら

【映画情報】

【原題】قضية رقم ٢٣(洋題:The Insult)
【制作国】レバノン、フランス
【監督】ジアド・ドゥエイリ
【脚本】ジアド・ドゥエイリ、ジョエル・トゥーマ
【撮影】トマソ・フィオッリ
【編集】ドミニク・マルコンブ
【音楽】エリック・ヌブー
【出演([]内は役名)】

  • アデル・カラム[トニー・ハンナ]
  • カメル・エル・バシャ[ヤーセル・サラーメ]
  • リタ・ハーエク[シリーン・ハンナ]
  • クリスティーン・シュウェイリー[マナール・サラーメ]
  • カミール・サラーメ[ワジュディー・ワハビー弁護士]
  • ディアマンド・アブ・アッブード[ナディーン・ワハビー弁護士]

【公開日(日本)】2018年8月31日
【上映時間】113分
【配給】ロングライド
【映倫区分】G
【IMDB】7.7/10.0  (およそ11,013人の評価)

【あらすじ】

自宅アパートのバルコニーの溝が違法建築であると指摘されたトニーは修繕しようかという工事業者の現場監督であるヤーセルの申し出を断る。しかしヤーセルはバルコニーを勝手に修繕しようとし、トニーはそれを止めようと妨害、するとヤーセルはトニーに対して「クソ野郎」と暴言を吐く。
トニーは修繕会社に暴言について謝罪を求めるよう要求し、会社に指示されたヤーセルは謝罪に向かう。しかしそこでも二人の人種や政治的思想、宗教観念などが絡み、今度はトニーが吐いた暴言に対しヤーセルがトニーを殴る事態に。些細なことがきっかけで起きた諍いは、法廷劇へと発展していく。

【感想(ネタバレするよ!!)】

☆4.5/5.0

とっても好きですこの映画!!!!
2018年に観た映画の中でもTOP10には食い込むレベルで好きです!!!!!

正直、主人公二人の人生の過酷さや、人種問題、政治的問題、宗教観念などはちびぞうにとっては全くの未知の世界であり、共感できるような部分は何一つなく、登場人物たちの抱える苦悩を”そういう風に生きてる人もいるんだ”という感覚で受け止めることしか出来ません。
しかし、色んな難しい問題をそぎ落として「二人の男」という部分だけをクローズアップしても観ることの出来る本作は、「本来のテーマを本当の意味で理解することのできない観客」に対しても遠い国で起きている諍いが身近に感じられるように出来ているんです。ややこしい問題を理解してなくても、シンプルなプロットになじめる、そんなイメージ。

和解への伏線が好き

些細な諍いが裁判沙汰へと発展し、メディアや市民を巻き込んでの大騒動へと発展していくんですが、その裏側で主人公二人が和解していくまでの過程がさりげなく伏線としても描かれています。

工事の現場監督をするヤーセルと自動車の整備士?をするトニー。

二人は法廷でお互いの人生について知っていく過程で互いの苦しみについても理解していく。同じ傷を負ったある種の仲間意識のようなものも芽生えたかもしれません。そして、車のエンジンがかからず困っているヤーセルをトニーが手助けして車を直してやるシーンなどでも、少しずつ二人の心の距離が縮まっていくのが分かります。

決めてとなったのはトニーが弁護士にも話していなかった自分の過去を法廷で明らかにされたこと。

それを知ったヤーセルはトニーに会いに行き(かつてトニーが自分にしたように)トニーのタブーについて悪態をつき、そしてぶちぎれた彼に思い切り殴られる。そこでヤーセルは今までの事を全て謝罪する。

お互いに、お互いの痛みを抉り、罵倒し、これでお互い様、痛み分けだ。という感じですね。

こういう、二人の関係性が分かりやすく変化していく場面以外にも、観客だけに分かる伏線が用意されています。
かなり序盤の方でトニーが「中国製の製品」についてダメ出しをしているシーンがあるんですが、忘れたころにヤーセルも中国製品について言及するシーンがあるんです。その2つのシーンはバラバラで、お互いはそのことを知りませんが、観客だけが「もしかしてこの二人、職人として気が合うのでは」とうっすら思うことができます。

宗教や政治的思想やらを取っ払った時に残るのは、一人の男であること、職人であること、そして人間であること。その根本的な部分で二人は共鳴することが出来た。だからこそきっとお互いの痛みを受け入れるという選択肢も取れたのでしょう。

この演出がすごくさりげなくて、ちびぞうは大好きなんです。

ひとつだけ気になる

二人の弁護を担当した弁護士は親子だったんですが、彼らに対しても知識があれば楽しめたかもしれません。が、ちょっとあの設定は蛇足なように感じてしまったかな。親子の諍いを持って来られても・・・という感じがしてしまったんですよね。内戦を知らない世代である若い弁護士が相手だからということで独特な話運びになっていたのかもしれませんが、それなら別にただ若い弁護士にすればいいし親子である必要性はなかったような気もする。

そもそも親子で裁判で戦うって可能なんですかね。

ちょっとこの部分だけがノイズのように気になってしまった点でした。

まとめ

いがみ合うような関係性だったとしても、別の角度から触れ合えば分かり合える可能性が残っている、それこそがこの邦題にある「希望」なのかなと感じました。

正直泣けたし、すごく心に残った。

ある程度の事前知識はあった方がより物語について入り込めるとは思いますが、意外に何も知らなくても映画的楽しみを見出せる傑作だと思います。

おすすめ。

最近、中東の映画を観る機会が多くて、そこらへんの歴史や情勢などにも興味がうっすらと出てきました。

数時間、椅子に座って画面を見つめるだけで世界を知れるきっかけをもらえる。映画ってほんとすごい。

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ま行

賛否両論を呼ぶ鬱映画『ミリオンダラー・ベイビー』ネタバレ&感想

「愛に、打たれる。」

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どうもこんにちはこんばんは、ちびぞうです。

エロもグロもゴアもナンセンスもカルトも鬱映画も大体ヤバそうなジャンルは受け入れられるちびぞうではあるのですが、数少ない「鬱過ぎて辛くて観るのをやめた」映画の一つが今作品。

高校時代だったかな・・・観たの・・・。クリント・イーストウッド初体験にして枯れに対する苦手イメージを植え付けられてしまったんですよね。そもそも、おそらくもっと単純なボクシングのサクセスストーリーだと思い込んで観たところがあったのかもしれない。それがいけなかったのかもしれない。

でも後半の展開なんて観てみないことにはわかんないじゃないですかぁああああああああ

もう何年越しになるか分からないですが、知人に勧められて観ました。

ようやく、この映画のラストと向き合うことができます。

【映画情報】

【原題】Million Dollar Baby
【制作国】アメリカ
【監督】クリント・イーストウッド
【脚本】ポール・ハギス
【原作】F・X・トゥール(ジェリー・ボイド)『Rope Burns:Stories From the Corner』
【製作】クリント・イーストウッド、ポール・ハギス、トム・ローゼンバーグ、アルバート・S・ラディ
【撮影】トム・スターン
【美術】ヘンリー・バムステッド
【編集】ジョエル・コックス
【音楽】クリント・イーストウッド
【出演([]内は役名)】

  • クリント・イーストウッド[フランキー・ダン]
  • ヒラリー・スワンク[マギー・フィッツジェラルド]
  • モーガン・フリーマン[エディ・“スクラップ・アイアン”・デュプリス]
  • アンソニー・マッキー[ショーレル・ベリー]
  • ジェイ・バルチェル[デンジャー]
  • マイク・コルター[ビッグ・ウィリー]
  • ブライアン・F・オバーン[ホーヴァク神父]
  • マーゴ・マーティンデイル[アーリーン・フィッツジェラルド]
  • ネッド・アイゼンバーグ[サリー・メンドーサ]
  • ブルース・マックビッティ[ミッキー・マック]

【公開日(日本)】2005年5月28日
【上映時間】133分
【配給】 ムービーアイ、松竹
【映倫区分】 R15+
【IMDB】8.1/10.0  (およそ584,000人の評価)

【あらすじ】

ロサンゼルスの寂れたボクシングジムの門を叩いた田舎育ちのマギー。ジムのオーナー兼トレーナーのフランキーは彼女を拒んでいたが、彼女の真剣さに打たれ、彼女のトレーナーとなる。お互いに父娘の関係をなくしている2人は、激しいトレーニングの中で人間的に歩み寄っていく。【引用元:映画.com

 

【感想(ネタバレするよ!)】

☆3.5/5.0

やはり賛否両論の作品のようですね!!!!!

序盤と後半のストーリーの展開の意外さ、そして「尊厳死」や「安楽死」といったテーマについて政治・宗教的な観念から物議をかもしていたようです。

おおまかなストーリー

舞台はロサンゼルスのとある寂れたボクシングジム。有能な止血係からトレーナーとなり、ジムを経営していたフランキー・ダン(クリント・イーストウッド)の元へ、家族から愛を注がれず育った貧しいトレーラー暮らしのマギー・フィッツジェラルドが訪れる。

彼女はプロボクサーとして成功するためにダンにトレーナーになって欲しいと願うが、彼女が女性であることや32歳というボクサーとしては若くないということを理由にダンは断る。

しかしジムの雑用係でありダンの旧友でもある元ボクサーのエディが彼女の素質を見抜いたことや、毎日練習に励む彼女の努力に絆されてダンは彼女のトレーナーとなる。

マギーはダンに指導されどんどん強くなり、相手のトレーナーに金を渡さないと試合相手が見つからないほどに。イギリス・チャンピオンとのタイトルマッチを経ても勝ち続けるマギー。ダンはついにウェルター級のWBA女子チャンピオン、ビリー(青い熊という異名を持つ)との戦いを決める。しかし彼女は反則技を使う危険なボクサーとして有名だった。
試合はマギーが優勢だったが、試合後にビリーが放った反則パンチにより転倒、首を骨折したマギーは首から下が一切動かせない全身不随となってしまう。

親子のような絆を育んできたダンとマギー。ダンはマギーの本当の家族よりよっぽど彼女を深く愛していた。
自分が設定した試合でこうなってしまったことを深く後悔し自己嫌悪するダン。全身不随となった彼女を励ますが、彼女は回復の見込みのない自分の状態に絶望し、自殺未遂を繰り返すように。そして最終的にはダンに自分を安楽死させてくれと頼む。

最初はそんなことは出来ないと拒絶したダンだったが、悩んだ末、彼女にアドレナリンを過剰投与し姿を消す。

彼のジムでは旧友エディがダンの帰りを待つが、彼は帰ってこなかった。

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親子の愛の物語

「安楽死」や「尊厳死」の方が重いので目が行きがちだし、賛否を呼ぶのは仕方ないですよね。

でもそのテーマって結局は人の考え方に左右されるし、正しい正解なんてないじゃないですか。アメリカでも患者が自分の意思で治療を打ち切って欲しいと願えば病院側はそれを聞く義務があるようですし、逆にそう望んでいる患者に延命措置を強行すればそれが患者を苦しめていると判断されることもあるようで。

ちびぞうは、もちろんその時の状況にもよりけりですが本人の意思が全てであり、尊厳死や安楽死自体はタブーだと感じていないので、ここのテーマに多くの人の目が行きがちなのは少し寂しいかなと思いましたね。アメリカはキリスト教の影響がすごく大きいので仕方のない部分なのかもしれませんが。

実際はこの作品のもっと大きなテーマは「血縁のない家族」がいかにして作られていくかの過程であったり、彼らの絆の重さを感じるということにあるとちびぞうは感じています。

ダンの性格や、それがもたらしてきた今までの人生、娘との関係、その全てがラストシーンに帰結しており、大きな愛を表現しています。ちびぞうは単純にその家族愛の形に胸が熱くなりました!!

「モ・クシュラ」という言葉

wikiさんには

「 モ・クシュラ」は「おまえは私の鼓動だ(My pulse)」を意味するゲール語の親愛表現であり、『A chúisle mo chroí』(ああ、私の心臓の鼓動よ)の短縮形である。

とありまして、つまりは「お前は私の全てだ」という最上級の愛を伝える言葉なんですねぇ~~~~。

ほんと、イーストウッドさんはこういうとこある!ロマンチックというか!ダンディ極めてるというか!ちびぞうは彼の映画は数えるほどしか観た事がありませんが、なんとなく彼のナルシズムとかロマンチストなところを感じていましてね。
今回のこのモクシュラという言葉をマギーの異名にしたり、安楽死させる直前まで意味を教えなかったりと、かなりロマンチック…。しかしかなりジーンとくる演出なんですよそれが!!

この言葉、言いたくなりますね。無駄に言いたくなります。素敵です。

ダンという愛情表現が苦手で不器用な男がゲール語で愛を…うーんずるい。あざとさすら感じるけど感動しちゃう。悔しい。

助演のモーガン・フリーマンも素晴らしい

元ボクサーで夢破れたエディの役をモーガン・フリーマンが演じています。

彼は37歳まで戦い、最後の試合で片目の視力を失ってしまいますが、その試合前に止められなかったことをダンはずっと悔やんでいました。

このエディという存在がまたダンの過去への後悔や自己嫌悪を後押しする良いキャラクターなんですよね。ラストシーンのダンの選択への伏線の一つにもなっている。

そしてエディ自身が夢を追う事を諦めていないという希望のある対照的なキャラで、彼がジムで見出した若者が一度は夢破れ出ていくものの、後々戻ってくるシーンとか最高です。地味に感動するしちびぞうのすごく好きな場面です。

まとめ

昔は、あまりにも意外な展開でマギーの状況がどんどん悪くなってくるのがつらく、最後まで観ることが出来ずに途中で止めてしまいましたが。

今回はきちんと最後まで観ることができました!これでまた苦手を一つ克服!

というか、ちゃんと観るべきだったのかなぁ、でもどうなんだろうなぁ。過去のちびぞうは、結末を受け入れられなかったかもしれませんし、また違った感想を持ったかもしれませんね。

それはそれで面白いなぁ。人は時間を経て変化していくものですし、過去に良くなかったと思う作品でも、しばらくしてまた見返してみるというのも面白いですね。感想が変化することで自分の変化にも気付けるかもしれないし。

今のちびぞうは今作をとてもいい映画・・・とは言いにくいんですけども、心に残る名作だし面白いなと感じました。前評判とかで観るのが怖くなっている人とかにもぜひ、一度観てもらいたい作品です!

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た行

法改正させた誘拐劇!映画『天国と地獄』ネタバレ&感想

こちらは以前レポ↓を書いた、ぎふアジア映画祭で鑑賞した作品です。どうも!ちびぞうです!

『第40回/ぎふアジア映画祭』行って来たよレポ!

何気に黒澤明監督の作品は、『羅生門』に引き続き2本目!ちびぞうはミーハーですから、名作と言われる作品や巨匠の古い作品などは観てなかったりするものも多いのです・・・。

誘拐犯に対する刑の軽さについての憤りをぶつけたという作品でもあるということにも注目したいですね。

【映画情報】

【制作国】日本
【監督】黒澤明
【脚本】 黒澤明、菊島隆三、久板栄二郎、小国英雄
【原作】エド・マクベイン『キングの身代金』
【製作】田中友幸、菊島隆三
【撮影】中井朝一、斉藤孝雄
【美術】佐藤勝
【録音】矢野口文雄
【照明】森弘充
【整音】下永尚
【監督助手】森谷司郎
【現像】 ヌタ・ラボラトリー
【製作担当者】根津博
【音楽】佐藤勝
【出演([]内は役名)】

  • 三船敏郎[権藤金吾]
  • 香川京子[権藤伶子]
  • 仲代達矢[戸倉警部]
  • 木村功[荒井刑事]
  • 山崎努[竹内銀次郎]
  • 三橋達也[河西]
  • 佐田豊[青木]
  • 石山健二郎[田口部長刑事]
  • 加藤武[中尾刑事]
  • 田崎潤[ナショナル・シューズ宣伝担当重役・神谷]
  • 中村伸郎[ナショナル・シューズデザイン担当重役・石丸]
  • 島津雅彦[青木の息子・進一]
  • 江木俊夫[権藤の息子・純]

【公開日(日本)】1963年3月1日
【上映時間】143分
【配給】東宝
【IMDB】8.4/10.0  (およそ23,500人の評価)

【あらすじ】

製靴会社の専務権藤の息子と間違えられて、運転手の息子が誘拐された。要求された身代金は三千万円。苦悩の末、権藤は運転手のために全財産を投げ出して三千万円を犯人に受け渡し、無事子供を救出する。非凡な知能犯の真の目的とは。【引用元:映画.com】

【感想(ネタバレするよ)】

☆3.5/5.0

純粋に面白い!ということと、純粋にすごい!ということをまず感じましたね。

143分という時間は結構長いじゃないですか。しかしその長さを感じさせない緊迫感の連続。誘拐劇が起き、誘拐された親側の葛藤も、警察の仕事っぷりも、かなり細部まで描かれた推理劇の構成がお見事!といった感じでした。

犯人からの電話を分析するシーンも面白かったですし、犯人が家を覗き見ていたということから、高台にある被害者宅の周辺のどの一体に犯人が潜んでいるのかという目星をつける捜査も楽しかった。
最初に犯人が富豪の息子ではなく、その富豪の運転手の息子を誤って誘拐されてしまったという点もストーリーとしてとても二転三転して面白かったですね。

自分の息子であれば迷わず身代金を払おうとしたけども、運転手の子どもなら払わない!と言ったり、しかしやはりそこで良心との葛藤があり払おうとしたり・・・そこにナショナルシューズという会社の権力争いなどが絡んできて話はどんどん複雑絡んで大きくなっていきます。

更に、あの頃の日本にあんな乱れた場所が!?と思うほど薬に乱れた人々の描かれ方。あれもびっくりでしたね。

誘拐犯に狙われる富豪役を三船敏郎が演じています。彼の演技、そして纏った雰囲気が素晴らしく、三船敏郎のおかげで物語に引き込まれたと言っても過言ではない!

そしてちびぞうが一番気に入ったのは誘拐犯役の山崎努。当然だけどわっかい!!!!最近、木村拓哉と二宮和也W主演の『検察側の罪人』などでも見かけたので余計に若い!!!と思いました(笑)

彼は貧しいインターンで、富豪の暮らしを一方的に羨み妬んで犯行に至ったということらしいのですが、特に深い彼の気持ちや生い立ちなどは語られません。

この犯人の私刑が確定したのち、三船敏郎がラストで格子越しに対面するシーンがあるのですが、このシーンが一番印象的で素晴らしいシーンでした。見つめ合った二人の間に漂う空気というか。山崎努の発狂、二人の間におろされるシャッター。

富豪の人生は天国、自分の人生は地獄と語った山崎努のセリフが映画を終わったあとも強烈な余韻として残りました。

いやーこれが巨匠の映画。そして名優たちの演技。それを引き出す演出。

どれも素晴らしかった。

こういう古い作品で面白い!楽しい!と感じる時、ちびぞうはいつも同じことを思うんですが「この映画が公開された当初にリアルタイムで観たかった」・・・と今回も思いましたね。

きっと忘れられない映画体験になったことでしょう。

 

今作が公開された当初、現実でも誘拐事件が多発し、国会でも問題視され刑法改正されたというエピソードもこの映画が世間に与えた影響の大きさを物語っていますね。

今の邦画界でそこまで影響を与える映画があるか?と思うとやはりないと思うんです。そういう意味でもこの映画は、すごかった。

 

 

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か行

大富豪の孫が誘拐!?実話系映画『ゲティ家の身代金』ネタバレ&感想

彼女の戦う相手は誘拐犯、そして世界一の大富豪

ちびぞう母チョイスでレンタルした作品。どうも本当にあった誘拐事件の映画化らしいのですが、ちびぞうは全く事件の事に関しては知らず…。

監督は巨匠リドリー・スコット!『エイリアン』『ブレードランナー』『グラディエーター』などなど、史劇やSFが多い印象の監督。最近では『オデッセイ』などもありましたね。ちびぞうは十戒をテーマにした『エクソダス:神と王』が好きです!

主演はミシェル・ウィリアムズ、ウィリアム・プラマー、そしてマーク・ウォールバーグととっても渋オシャレなメンツ。本当は大富豪役はケヴィン・スペイシーだったそうなんですが、例のセクハラ発覚事件の炎上で降板してしまったんですよね。何とも言えない気持ちになります。

公式サイトはこちら

【映画情報】

【原題】All the Money in the World
【制作国】アメリカ
【監督】リドリー・スコット
【脚本】デビッド・スカルパ
【原作】ジョン・ピアソン
【製作】ダン・フリードキン、ブラッドリー・トーマス、クエンティン・カーティス、クリス・クラーク、リドリー・スコット
【撮影】ダリウス・ウォルスキー
【美術】アーサー・マックス
【衣装】ジャンティ・イェーツ
【編集】クレア・シンプソン
【音楽】ダニエル・ペンバートン
【出演([]内は役名)】

  • ミシェル・ウィリアムズ[アビゲイル(ゲイル)・ハリス]
  • クリストファー・プラマー[ジャン・ポール・ゲティ]
  • マーク・ウォールバーグ[フレッチャー・チェイス]
  • ロマン・デュリス[チンクアンタ]
  • ティモシー・ハットン[オズワルド・ヒンジ]
  • チャーリー・プラマー[ジャン・ポール・ゲティ3世]
  • アンドリュー・バカン[ジャン・ポール・ゲティ2世]

【公開日(日本)】2018年5月25日
【上映時間】133分
【配給】KADOKAWA
【映倫区分】R15
【IMDB】6.8/10.0  (およそ58,900人の評価)

【あらすじ】

73年、石油王として巨大な富を手に入れた実業家ジャン・ポール・ゲティの17歳の孫ポールが、イタリアのローマで誘拐され、母親ゲイルのもとに、1700万ドルという巨額の身代金を要求する電話がかかってくる。しかし、希代の富豪であると同時に守銭奴としても知られたゲティは、身代金の支払いを拒否。ゲイルは息子を救うため、世界一の大富豪であるゲティとも対立しながら、誘拐犯と対峙することになる。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレあり)】

2.1☆/5.0

もーーーーーーしわけない!!!けどちびぞう的には退屈でした・・・。うーーーんんんn

おおまかなあらすじ

1979年夜のローマ、娼婦街。

17歳という若さで娼婦を値踏みして歩く孫ポール(ゲティ三世)が、近付いてきた車に突然拉致されてしまう誘拐シーンから始まる。

彼の回想シーンで、世界でも歴史上でも一番の金持ちの祖父は一般人とゲティ家の人間は違う、と言っていたのを思い出す。

ジャン・ポール・ゲティ(クリストファー・プラマー)さんの「資産を数えられるようでは本物の富豪ではない」という名言も飛び出す。

時間は遡り、9年前へ。祖父(ゲティ氏)は父である息子にも興味がなかったらしい。(しかし息子が仕事をくれと言ったら一家を呼び寄せて仕事を世話してやるし、孫とも交流をちゃんと持つし、変わってるけど悪い人ではないのかな?良い父親ではなかったのかもしれないけど)

孫ポールの母であるゲイル(ミシェル・ウィリアムズ)のシーン。旦那が女と麻薬に溺れて浮気しまくりーーーー!!!そして離婚することになったけど、ゲイルは一切金銭の要求をせず子どもの監護権のみを要求したらしい。この離婚劇以降、父は跡継ぎの役目を果たしておらず、そのせいで孫ポールとゲティ氏の関係も疎遠になっていたらしい。

そして場面は現在へ戻る。ゲティ氏は1700万の身代金を要求する誘拐犯に対し、メディアの前で「孫は14人いて、身代金を払えば他の孫も誘拐される」とコメント。(確かに正論に思える。しかし、孫に見合う金額はと聞かれてゼロと答えるのはなぁ)

原油会社のOPEC?と取引しようとしているフレッチャー氏(元諜報員?)が登場。ゲイルは身代金を払って息子を助けてくれとゲティ氏に直談判しに会いに行く。

フレッチャー(マーク・ウォールバーグ)はゲティ氏に「ローマに行ってポールを取り戻せ」と指示される。ゲティ氏いわく、孫は全員愛しているがポールは特別に感じているらしい。会いに来ている母親に関しては「母親に人質交渉が出来るわけがないから放っておけ」と言う。

ゲティ家には世界中から「貴方の子どもを誘拐した」という手紙が届いている。1700万ドルという身代金に目がくらんで悪者が群がってきたようだ。

孫ポールの人となりも描かれる。彼はかつて学校に火をつけるなどして退学になっていた。誘拐犯はそんな彼に対し「お前は愛されていない」と言う。

孫ポールが実は自分で誘拐劇を仕立て上げようとしていた事がゲティ氏にバレてしまい、彼の信頼を失ってしまう(今回は自分で仕立てたものではなく本当の誘拐)ゲティ氏は孫ポールの調査を打ち止め。

更に、孫ポールは犯人の顔を見たという理由で撃たれる?(はっきり撃たれるシーンはない)

見つかった死体の確認をすると、それは大人の死体であり、孫ポールの死体ではないという事が分かる。死体を詳しく調べてみると、それは前科者の死体だった。その死体から誘拐犯の基地へたどり着くフレッチャー。しかしそこに孫ポールの姿はなかった。すでにポールは資産家に売り飛ばされていた。

孫ポールは監禁場所へ火をつけて脱出し、警察署へ向かう。ゲイルに電話をかけるも資産家が現れ電話を切られてしまう。

資産家に捕まった孫ポールは耳を切り落とされる。資産家はその耳を母親の元へ送りつけたりする。ゲイルはゲティ氏に身代金を支払わせるため画策、金もないのに勝手に身代金を支払うと発表。その動きが功を奏したのかゲティ氏が身代金を払う事に。

ポールは解放されたと連絡が来るが、警察の手が迫っていると知った資産家は解放したポールを殺せと指示。ポールが襲われそうになっているところをゲイルとフレッチャーが保護し、そのまま国外へ逃亡。無事、孫ポールは保護される。

ゲティ氏はおそらく老衰?で自慢のコレクション部屋で死亡。その後、ゲイルが跡取りとなる。

まとめ

このだいぶはしょった良く分からないあらすじを見てもらえれば分かると思うんですけども、ちびぞうは難しいところが何一つわかっていません(笑)

世界一の大富豪となるまでの富を築いたゲティ氏という人物の偉大さと人として足りていない部分の露出、母親の息子を助けるという堅い意思、金が絡み信頼関係を崩壊させたり、逆に誘拐犯との会話劇で語られた”ファミリー(仲間・家族)を大切にする”という言葉で描かれる家族ではない人との些細な絆。

こういう濃厚でさりげない、人間ドラマが交錯していく感じがすごくよくできていた脚本なのかなぁ、というのは分かりました。

しかしそれを面白さとして実感するほど深く物語に入り込めなかったというか・・・ちびぞうは退屈してしまったのでなんとも言えない感想になってしまいました。

本国では非常に評価されている作品だそうです!!!!ということでシメ!!

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画像引用元:映画.com

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あ行

死なせたくない一心で。ドキュメンタリー映画『いのちの深呼吸 上映&トークショー』感想

この願いは”いまを生きる”わたしたちの希望―――

どうもどうも、ちびぞうです。

こちらの映画は去年の10月21日に、地元のCINEXさんで岐阜新聞映画部の方と行っているコラボ企画イベント的な上映会&トークショーで鑑賞してきましたぁあ!

トークショーに登壇したのは本作品の主人公でもあります根本一徹さん!!

映画のあとにはサイン会(握手付き)も行っていて、ちびぞうもちゃっかり握手させてもらってきました!!!(笑)

…こんなテンションで幕開けしてしまいましたが、とっても重たく真摯で熱い内容の映画となっておりますのでご注意ください。

パンフレットはこのような感じ。

表紙にサイン頂いています。合掌。

著名人のコメント、自殺大国ニッポンの現状を調べた統計や、脳科学者の茂木健一郎さん、精神科医の斎藤環先生などの寄稿があり、映画のパンフレットというよりは「日本人の自殺」に知ることのできる参考資料といった感じ。14Pと頼りないページ数ですが、内容はとても充実しているなと感じました。(お値段書いてない&忘れてしまったので未記載ですいません)

【映画情報】

【原題】 The Departure
【制作国】アメリカ
【監督/製作】ラナ・ウィルソン
【製作総指揮】サリー・ジョー・ファイファー、リリー・ハートレイ、マイク・ラーナー、ダイアン・L・マックス、レジーナ・K・スカリー、ジェフリー・タラント
【共同プロデューサー】エリ・ヨコヤマ
【共同エグゼクティブ・プロデューサー】クレア・シルバーマン
【撮影】エミリー・トッパー
【編集】デビッド・ティーグ
【オリジナル音楽】ネイサン・ミシェル
【挿入曲】クリスチャン・フェネス、坂本龍一
【製作】Drifting Cloud Productions,Roast Beef Productions
【共同製作】ITVS
【製作協力】Artemis Rising Foundation
【出演([]内は役名)】

  • 根本一徹

【公開日(日本)】2018年9月8日
【上映時間】87分
【配給】パンドラ
【IMDB】7.1/10.0  (およそ120人の評価)

【あらすじ】

岐阜県大禅寺で住職を務める根本一徹のもとには、全国の自殺志願者からのメールや電話が昼夜を問わず届く。追いつめられ、誰にも頼ることができないSOSの声を受け、根本は彼らのもとを駆けつけるが、何か特別なことをするわけでもない。ただ話に耳を傾け、彼らとともに食事を摂り、さりげなく寄り添う。そんな根本の存在に安堵した自殺志願者は、少しずつ生きる気力を取り戻していく。実は根本自身にも、身近な人を自殺で亡くした過去があった。そして心臓に病を抱える根本にとって、大量のメールや電話に対応するには心身ともに限界にきていたが……。【引用元:映画.com

【感想】

☆3.2/5.0

邦画なのかな?と思ったら監督は外国人!

監督のラナ・ウィルソンは2013年にニューヨークで根本一徹さんの記事を読み、彼の活動に興味を持ったそうです。そして根本さんの行っている自殺志願者向けのワークショップに参加するなど、外側からだけでなく内側からも体験してみるアプローチをしています。

この映画では「人と人のつながり」を描いており、つながりこそが人生に生きる価値を与えるものだとコメントしています。

第三者・傍観者としてではなく当事者の目線で作ろうとしている監督の真摯さも、根本さんに共通する部分だなと思ったりしました。

 

この作品をドキュメンタリー映画として面白いかどうかで考えるのは難しいですね。重いテーマを扱ったドキュメンタリー映画はほかにもありますが、テーマやその主人公として描かれる人物の魅力や強さに圧倒されるものばかりで、もはや”映画”として観れているのかどうかも怪しい。例えば演出方法がーとか構成がーとか色々と言えることもあるのかもしれませんは、ちびぞうは情けないことにそういう面での映画の知識などに乏しく…結局は今回もこのテーマについてどう思うのか、という部分に触れるのみになってしまいそうです。

根本一徹という人物

音楽が好きで、バンド経験もあり、僧侶になった今でも時折クラブに赴いて体を揺らしている。悩める人が助けを乞えばバイクに乗って深夜でも駆けつける。そんなファンキーな一面を持つ根本さんは、岐阜県関市の大善寺の住職。

彼は「旅立ち」というワークショップを自殺志願者のために開いており、その内容は自分にとって大切なものを書き出させ、それを少しずつ取捨選択して捨てさせる。そしてそれが全てなくなった時「これが死です」と告げ、「死んでしまうとはどういうことか」を想像させる・疑似体験させるというもの。実際に横になり、顔に白い布をかぶせて死体のように過ごす場面も劇中でありました。

そのワークショップ以外の活動は、自分の連絡先を公開し日夜問わず連絡してくる自殺志願者の電話やメールに応え、必要であれば直接会いに行く…というもの。

そしてひたすら彼らの話を聞き、受容して、励ます。根気よく、何度も何度も。

彼のこの熱意は、叔父と、高校時代の友人が自殺で亡くなっているところからきているらしい。「なぜ死を選んだのか」と悩み続け、「もう誰も死なせたくない」と強く願う。この願いそのものが、住職の活動に直結しているのだと感じました。

まとめ

ネガティブな感情を常に抱いている人や、人生に対して後ろ向きだったり、大きなトラウマを抱えて苦しんでいる人たちに寄り添って、励まし、彼らの人生を上向かせてあげようと思うことは、わりと多くの人が思う事なのかもしれません。

だけどそれを行動に起こすこと、実際にやってみること、最後まで寄り添い続けることは、とても難しいんです。なぜかと言うと、よほど強い精神力を持った人でなければ自分も疲弊してしまうし、削れてしまうし、共倒れてしまうから。誰だって自分の人生を一番に考えなければいけないし、そうやってマイナス方向に引っ張られてしまうような相手とは関わりたくないと思ってしまうものです。それが非人道的だとか優しくないとかそういうことではなく、生き物はすべて、自己防衛本能というものがあるからある意味それが当たり前というか。

実際、根本さんも無茶をしすぎて体調を崩してしまわれていますし…、自己防衛すべきなのは根本さんだよ!!(でもここまで献身的になれるからこそ偉大になれるのか…)

しかしこの映画を観ていて時々感じたのは、彼自体もどこか病んでいて、「人を死から救う事に囚われすぎているのでは」ということ。自らを犠牲にして人の為に行うのは素晴らしいけれど、その目的が素晴らしいから霞んでいるだけで「己の体や人生を大切にできない」という部分において自殺志願者と共通するものを感じてしまう。

そうやって根本さんが体を病むほどに負担を背負うのは、同じように自殺志願者の心に寄り添おうとする人が他にいないからなのかもしれませんけども。

ちびぞうが最初に言ったように、心を病んだ人に付き添うのは大変なこと。でももしかしたら、根本さんのように活動する人が増えて、みんなが少しずつ誰かの心を分け合うように背負えたら、引きずられて共倒れしてしまう、なんてこともなくなっていくのかもしれませんね。

 

映画を観たあとで、根本さんのお話を聞きましたがとても努力を積んできた人なんだなぁ、と思いましたね。真似できない。映画を観てるだけでは分からないようなお話(自殺志願者が立ち直って元気に生活している話とかとても嬉しい報告的なもの)も聞けて、根本さん自身のことも知れて、その人のことをよく知らないままに(映画の中だけの情報で)色々思うのは早計だなーと。

最後は、人の為に生きられる人にちびぞうもなりたいなぁ。と思いつつ、握手させて頂きました。

ここまで読んでくださってありがとうございました。

 

 


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画像引用元:映画.com

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あ行

アメリカ原住民の不遇と苦しむ父親たち。映画『ウィンド・リバー』感想&ネタバレ

なぜ、この土地〈ウィンド・リバー〉では少女ばかりが殺されるのか―――

こちらもちびぞうの働く映画館にやってきた作品!

アベンジャーズシリーズで「ホークアイ」を演じているジェレミー・レナ―、そして「スカーレット・ウィッチ」を演じているエリザベス・オルセンの二人の共演作!!!二人はアベンジャーズシリーズの配役でも絆が見え、きっと俳優さん自体も仲良しなんだろうなーと予想されます!!

ジェレミー・レナ―はオファー当時忙しく、一度『ワンダー・ウーマン』でスティーブ・トレバーを演じていたクリス・パインにも話が行ったらしいです。しかしワンダー・ウーマンで忙しかったクリスもオファーを受けられず、結局レナ―さんがやることになったそう。

こういう話を聞くと「この俳優さんだったらどうなったかな?」と想像してしまいますけども、ちびぞう的にはこの配役でバッチリだったかなーと!

パンフはこんな感じです。

真っ白い雪の中に飛び散る血痕と足跡。それを見つめる男性の後ろ姿。もーこの表紙だけでも想像が掻き立てられますね!!!大きさはB5よりも少し縦長かな?26Pで税抜き667円!
ネイティブアメリカンについての豆知識がまとめられてるページが映画の理解を深めます!!

【映画情報】

【原題】Wind River
【制作国】アメリカ
【監督/脚本】テイラー・シェリダン
【製作】ベイジル・イヴァニク
【製作総指揮】エリカ・リー
【撮影監督】ベン・リチャードソン
【編集】ゲイリー・D・ローチ
【プロダクション・デザイン】ニール・スピサック
【衣装デザイン】カリ・パーキンス
【音楽】ウォーレン・エリス、ニック・ケイヴ
【出演([]内は役名)】

  • ジェレミー・レナ―[コリー・ランバート]
  • エリザベス・オルセン[ジェーン・バナー]
  • ジョン・バーンサル[マット(掘削所警備員)]
  • ギル・バーミンガム[マーティン(ナタリーの父親)]
  • ジュリア・ジョーンズ[ウィルマ(コリーの元妻)]
  • ジェームズ・ジョーダン[ピート(掘削所警備員)]
  • ケルシー・アスビル[ナタリー(殺された少女)]
  • グレアム・グリーン[ベン(部族警察長)]

【公開日(日本)】2018年7月27日
【上映時間】107分
【配給】KADOKAWA
【映倫区分】G
【IMDB】7.7/10.0  (およそ151,150人の評価)

【あらすじ】

ネイティブアメリカンが追いやられたワイオミング州の雪深い土地、ウィンド・リバーで、女性の遺体が発見された。FBIの新人捜査官ジェーン・バナーが現地に派遣されるが、不安定な気候や慣れない雪山に捜査は難航。遺体の第一発見者である地元のベテランハンター、コリー・ランバートに協力を求め、共に事件の真相を追うが……。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレするよ!!)】

☆3.6/5.0

この映画は、実際に起きているネイティブアメリカンの女性たちの境遇をサスペンス仕立てに見せた社会派ドラマです!!!!

コリー役のジェレミー・レナ―の演技の渋いこと渋いこと!!

社会派サスペンスでもありながら、父親と娘の話でもあります。とっても深い味のある良い映画です。

おおまかなストーリー

雪山で死体を発見したのは、野生生物局で働く白人ハンターのコリー。その死体が、自分の娘の親友の女の子であったことから彼は胸を痛めます。

この雪山で見つかった死体は性的暴行を加えられており、どこかから裸足で5キロ以上逃げてきて肺が凍り破裂して死亡してしまったということが明らかに。

FBIの新人女性捜査官ジェーンは現地の人にも舐められまくり。

死因が肺出血だったことで他殺にはできないと検視官に言われますが、それに納得いかないジェーン!!!動物の足跡を見分け、追跡するプロであるコリーに助手になるよう頼み、二人で犯人捜しをはじめます・・・。

コリーはかつて自分の娘を亡くしインディアンの奥さんと別れています。そして今回の被害者の女の子は自分の娘とも友達、両親ともお友達、更に娘が見つかった状態も酷似している(しかしコリーの娘の事件は未解決のまま)。過去の辛い気持ちが蘇って苦しむコリー。

犯人への想いというものが、自分の娘に対するものと重なっていきます。

現場の近くでもう一つ、今度は白人男性の遺体が見つかります。彼は近くの掘削所の警備員をしており殺された女の子の恋人でした。そこから、他の警備員たちに聞き込みを始めるジェーン捜査官。どうやら警備員たちが怪しい!

事の真相は、彼女と警備員の恋人が彼らの住まいでイチャついているところに別の警備員たちが帰ってきて、揉め始める。レイプしようとする警備員たちから彼女を守ろうとするも、撲殺されてしまう。暴行を受けた彼女は殴られる恋人を後ろ目に白銀の山の中を逃げ出します。

そしておよそ7キロほど離れた山の中で肺が破裂し、死亡。というものでした。

捜査官や保安官と警備員たちとの銃撃戦から逃れた主犯の男を見事狙撃し、雪山の山頂付近へ運んだコリー。

「彼女はとても強かった。裸足で雪山を七キロも走ったんだ。お前はどれくらいできる」

と問いかけ、わざと男を裸足で逃がします。しかし男はすぐに倒れ込んでしまう。コリーが頭を撃って殺す。

犯人を捜すために共に過ごしていたジェーンとコリーの間には親子にも近い絆が芽生えていました・・・って感じで映画は終わります。

哀しい映画だけどイイ台詞がある

コリーが、娘を亡くしたインディアンの友人に向けて語る言葉が深イイんです。

「時間が癒してくれると言うが、実際は何も解決してくれない。傷は消えない、しかし痛みに慣れることは出来る。その痛みを忘れるな、苦しみ続けろ。娘との思い出に生きたいならば、決して忘れてはならない」

ちょっとかいつまんでますが、こんなようなセリフでした。

娘を亡くした時にコリー自身が医者?か誰かに言ってもらった言葉のようで、時間が傷を癒やすのを待つのではなく、その痛みこそ娘と共に生きているという証だから抱えて生きろっていう言葉でした。確かにそう考えた方が、痛みを受け入れやすくなるかもしれないなって目から鱗でしたし、とても感動しました。

 

そして、コリーが何度も口にする「彼女は強い人だった」という言葉も印象的。彼女が人間的にいかに強く美しい魂を持っていたのかという表現でもありますし、こんな理不尽な仕打ちを受けるべきではない、という悔しさも伝わって来ますね。

まとめ

原住民が白人からどういう目で見られ、どういう扱いを受けているのかという痛ましい真実を静かに、重厚に描かれていて、深く胸に突き刺さります。

更に娘を亡くした父親の苦しみと愛にも触れることができます。

映画を観終わってちびぞうは仲間たちに「流石ホークアイさん百発百中!!!」としか感想を言わなかったんですけど(笑)本当はもっと色々語りたくなる映画です(笑)

ジェーン役のエリザベス・オルセンは強くて美しく、スカーレット・ウィッチの時より大人っぽい魅力がありました。ほとんど見た目は変わらないのに、同じキャラクターに見えないというのはさすが役者さんですね!(ジェレミー・レナ―は若干”ホークアイさん休暇で事件に巻き込まれる”感あったけど(笑))

 

雪山の映像は恐ろしく冷たくて綺麗ですし、ぜひ機会があれば劇場で観ていただきたい一本です!

 

 


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さ行

あなたは人間を信じますか?映画『ザ・スクエア 思いやりの聖域』ネタバレ&感想

「この中ではすべての人が平等に権利を持ち、公平に扱われる」

劇中の美術館で行われる「ザ・スクエア」という展示。

これは”傍観者効果”という、誰かが助けを求めていた時にその場にいる人間が多ければ多いほど「自分じゃなくても誰かがやるだろう」と責任が分散してしまうという心理にスポットを当て、地面に引かれた四角い線の中でもし誰かが助けを求めていたら、その中にいる人はその人を「助けなければならない」という義務が生じるという実験的な展示だという。

こういった人間の根本的な善の心とそれに対して実際に動けるのかどうか?という部分にメスを入れ、皮肉をふんだんに入れ込んだ今作。さらりとあらすじを読んだだけでちびぞうは引き込まれてしまいまして。

最近、『万引き家族』が受賞したカンヌ国際映画祭のパルムドールを獲った作品のようです!!

パルムドール受賞作のここがイイ!映画『万引き家族』ネタバレ&感想

地元の映画館で母と共に鑑賞してきました!

パンフはこういう感じ!

スクエアです。ちゃんと真四角。26Pで税込み800円。
UltRA Graphicsの山田裕紀子さんがデザインされています。中は黄色を基調としていてとってもオシャレ・・・!美術館をテーマにした映画だけあってスタイリッシュですね。

【映画情報】

【原題】The Square
【制作国】スウェーデン、ドイツ、フランス、デンマーク合作
【監督/脚本】リューベン・オストルンド
【製作総指揮】トマス・エスキルソン、アグネタ・ペルマン、ダン・フリードキン、ブラッドリー・トーマス
【製作】エリク・ヘンメンドルフ、フィリップ・ボベール
【撮影】フレドリック・ヴェンツェル
【美術】ジョセフィン・アスベルグ
【衣装】ソフィー・クルネガルド
【ヘアメイク】エリカ・スペツィク
【音響デザイン】アンデシュ・フランク
【ミックス】アンドレアス・フランク、ベント・ホルム
【編集】リューベン・オストルンド、ジェイコブ・シュルシンガー
【キャスティング】ポーリーヌ・ハンソン
【挿入曲】ボビー・マクファーリン、ジャスティス
【出演([]内は役名)】

  • クレス・バング[クリスティアン]
  • エリザベス・モス[アン]
  • ドミニク・ウェスト[ジュリアン]
  • テリー・ノタリー[オレグ]

【公開日(日本)】2018年4月28日
【上映時間】151分
【配給】トランスフォーマー
【映倫区分】G
【IMDB】7.3/10.0  (およそ34250人の評価)

【あらすじ】

現代アート美術館のキュレーターとして周囲から尊敬を集めるクリスティアンは、離婚歴があるものの2人の娘の良き父親で、電気自動車に乗り、慈善活動を支援している。彼が次に手がける展示「ザ・スクエア」は、通りかかる人々を利他主義へと導くインスタレーションで、他人を思いやる人間としての役割を訴えかけるものだ。そんなある日、携帯電話と財布を盗まれたクリスティアンは、その犯人に対して取った愚かな行動によって予想外の状況に陥ってしまう。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレするよ!)】

☆3.5/5.0

社会やSNSに対する風刺、ブラックコメディ、矛盾への指摘と・・・満載で考えられさせられることばかり!!!すごく面白かった!

北欧の、スウェーデンという国は福祉に手厚い、というような印象を持ってる人は衝撃を受ける”真実”がこの映画にはありました。

主人公のキャラクターが良い!

主人公は映画の序盤で「男に追われて泣き叫んでいる女」を助けようとするんですが、実はそれは詐欺師の罠で、財布とスマホを盗まれてしまう。
スマホのGPSで大体の位置は掴めるものの、団地のどの家の人が盗んだのかまでは分からない。困った主人公が部下に相談すると「私はお前の住所も把握している。私から盗んだものを全て返さないと・・・」という脅迫めいた文章を打った紙を全世帯のポストに入れて回りましょう!というハチャメチャな提案をされ、それを仕方なく受け入れることに。

この方法もアホっぽくてなぜ警察に頼らないのかが不思議なんですが・・・ともかく主人公はその作戦を決行する。そして盗まれた財布とスマホは戻ってくる。一件落着・・・かと思いきや!後日、その手紙のせいで両親に泥棒扱いされてしまったという男の子が主人公の前に現れる。
しかし主人公は彼の両親に電話で説明してやろうともせず、帰れと追い払うばかり。揉み合って階段から落ちてしまった様子の男の子も助けない。

このように「ザ・スクエア」の展示を企画した主人公が、自分の社会に対する”善の意識”を私生活で別の人間にしっかりと行動で示せているかと思えばそうではないんです。

富裕層と貧困層の人々では、住んでいる場所が区分けされていて、富裕層に属する主人公は貧困層の住む団地の人間を見下しているし人間扱いをしていない。そこの矛盾がこの映画で何よりも大きく、一番の風刺ポイント。

パンフレットには、「善行は心に余裕のある者しか行えない」的な事が書いてありましたがこの主人公がまさにそれで、序盤に困っている人を助けようとした時の心理状態と、中盤、男の子を追い払おうとする場面での心理状態では大きな違いがあり、「自分に余裕がないと人は助けられない」というのを上手く表現していましたね・・・。

主人公はラストで、男の子の家に電話をかけたり、謝罪する動画を撮ったり、娘たちと一緒に団地へ出向いて彼の家を探したりするんですが・・・すでに男の子の家族は引っ越してしまっていました。
謝罪することの出来なかった主人公の後ろ姿を娘が見つめます。しかし主人公は振り返らないのでどんな表情をしているかは分からない・・・そして映画は終わります。

ちびぞうはこの理想とする生き方を実際には出来ていないという矛盾たっぷりの主人公が物語全体を面白くしていて非常にいいキャラクターだと思いました。
ラストでそんな自分に気付いて終わる、という形だと思うんですけど、表情が分からないので主人公が人間的な変化をしたのかどうかは観客に委ねられます。

ちびぞうは良い方に変化したと思うんですけどね・・・。

モンキーマンの演技がすごい!!

パフォーマー・オレグとして登場するテリー・ノタリーは『猿の惑星』や『キング・コング:髑髏島の巨神』などで活躍するモーション・キャプチャー俳優。

続編に期待高まる!映画『キングコング:髑髏島の巨神』ネタバレ&感想

こちらの猿の惑星の記事でテリー・ノタリーの写真が見られます。

今作では、展示のお披露目パーティが開催され、そこにゲストとして招かれた猿人間として登場しますが・・・この猿の演技が本当にすごい・・・。そしてこの猿の演技に会場の気まずい空気もものすごく辛い!!しかも結構な長回し・・・。
この場にいたら本当に恐ろしいなと思いました・・・。

この映画はこのシーンだけでも観る価値ありです!!!

って言っても過言ではないです。それくらいインパクトのあるシーンでした。

まとめ

スウェーデンの社会にメスを入れるための皮肉や風刺たっぷりのブラックコメディを軸にした、ヒューマンドラマという感じですね。

笑えるシーンと笑えないシーンのさじ加減が上手ですし、気まずいシーンは本当に気まずい。
観終わった後は色々と考えさせられます。

「ただのバッグでも美術館の1コーナーに飾れば芸術品となり得る」・・・という台詞を聞いて、『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』を思い出しました。

美術館やアート界に興味がある人にもオススメです!

 

 


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は行

ハネケ監督の描く『ハッピーエンド』とは。映画ネタバレ&感想

うつな映画を撮ることで有名なハネケ監督の最新作・・・!
劇場で観たかったんですよぉおお・・・!

地元のミニシアターで遅れて上映してくれたおかげで、ちびぞうも鑑賞することが出来ました!!!良かったぁああありがとうありがとう!!

ちなみにちびぞうは『ファニーゲームU.S.A.』『ピアニスト』が大好きです!!!

パンフレットも無事ゲット!!!

縦長でA5くらいのコンパクトさ。縦に開く変形パンフですね!この表紙も劇中に登場するエヴのスマホを表していてスタイリッシュ!監督だけでなく主演のイザベル・ユペールのインタビューも載っています!

公式サイトはこちら

【映画情報】

【原題】 Happy End
【制作国】フランス、ドイツ、オーストラリア
【監督/脚本】ミヒャエル・ハネケ
【製作】マルガレート・メネゴス、シュテファン・アルント、ファイト・ハイドゥシュカ、ミヒャエル・カッツ
【撮影】クリスティアン・ベルガー
【美術】オリビエ・ラド
【衣装】カトリーヌ・ルテリエ
【編集】モニカ・ウィリ
【出演([]内は役名)】

  • イザベル・ユペール[アンヌ]
  • ジャン=ルイ・トランティニャン[ジョルジュ]
  • マチュー・カソビッツ[トマ]
  • ファンティーヌ・アルドゥアン[エヴ]
  • フランツ・ロゴフスキ[ピエール]
  • ローラ・ファーリンデン[アナイス]
  • トビー・ジョーンズ[ローレンス]
  • ハッサム・ガンシー[ラシッド]
  • ナビア・アッカリ[ジャミラ]

【公開日(日本)】2018年3月3日
【上映時間】107分
【配給】ロングライド
【映倫区分】G
【IMDB】6.8/10.0  (およそ7,350人の評価)

【あらすじ】

建設会社を経営し、豪華な邸宅に3世代で暮らすロラン一家。家長のジョルジュは高齢のためすでに引退し、娘のアンヌが家業を継いでいた。アンヌの弟で医者のトマには、別れた前妻との子で13歳になる娘エヴがおり、両親の離婚のために離れて暮らしていたエヴは、ある事件をきっかけにトマと一緒に暮らすためカレーの屋敷に呼び寄せられる。それぞれが秘密を抱え、互いに無関心な家族の中で、85歳のジョルジュは13歳のエヴにある秘密を打ち明けるが……。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレあり)】

☆3.0/5.0

やっぱり難解で、そして決してハッピーエンドではなかった・・・

もうこのタイトルを見た瞬間から、ハネケファンは嫌な予感というか逆に言えば「ハネケ節来た」って気持ちになったと思うんですけど(笑)だって絶対にハッピーエンド(私たちの思うような幸せな最後)にはなり得ないでしょって思うから!!それがファン的には期待通りで嬉しいところもあったりして・・・。

家族の秘密、とは

まず、13歳のエヴちゃんは母親の飲んでいる薬を過剰摂取させて入院させる。そして母親はそのまま亡くなってしまう。

エヴの母親が入院中に彼女と暮らすことになった父親は、現在の妻と生まれたばかりの息子を影で裏切り、不倫相手とアブノーマルな関係を構築している。
そしてその事実を知ったエヴは狙いか本心かは謎だが薬を飲んで自殺未遂をする。

更に、同じ家で暮らす祖父は老々介護で妻を殺したという過去があり、希死念慮に囚われている。その秘密をエヴにのみ打ち明け、ラストでは彼女に自殺の手助けをさせる。

この他にも、父親の姉とその息子も歪んだ関係を修復できないまま進んでいくし、この家族の秘密には絶望と破滅しかない、そんな印象でした。

この映画で描いている問題

オープニングとエンディングが、エヴちゃんが撮っているスマホの録画画面で統一されていて、更にその動画をネット上の”誰か”に公開しているであろうという事もうかがえます。

インターネットの普及で問題になっているSNSによるプライバシーの公開であったり、過激なものを見せて鑑賞者から良い反応を貰おうという誤った自己顕示欲だったり、そういう問題が全面に押し出されていましたね。

劇中で、祖父が小鳥が別の鳥に捕食される様子を見た時の話をしていましたが、その時に「テレビで観る光景であればきっと気にしなかっただろう」と言っていたんですよね。これはテレビという言葉が”映画”と置き換えられ、映画の中でどれだけ過激なシーンがあっても鑑賞者は本物を見ているわけではない、という皮肉かなとも思ったのですが。後々考えていると、これはスマホの画面を通して物事を見ているエヴは、イコール現実を見てはいないんだ、という事が言いたかったのかもしれません。だからあれほどに、残酷になれるのだ、と。

 

この他にも、家族の絆の薄れだったり、移民に対するブルジョワジーの差別意識のようなものも描かれていました。

好きなところ

ちびぞうは、この映画を観たあとの衝撃がすごくて、「またハネケさんにしてやられた」という感じが強かったですね。

特にエンディングからのエンドロールの入りが最高だったんですよ。

波の音がうるさいくらい聞こえていて、そこにイザベル・ユペールの叫び声が乗って、そして暗転して突然の静寂、そのままエンドロール。普通はエンドロールって楽曲が流れたりするんですが、それが一切ないんですよ。

無音の衝撃というか、攻撃力がすごかったですね。

この愛のない世界の痛ましさが胸にドン、と殴られたように響いてきて苦しくなりました。

これだけ胸の中を掻きむしられるというか、ザワついたり、嫌な気持ちになるんだけどでもそれが癖になるみたいな感覚は本当にハネケ監督特有の魅力だと思います。

スマホ画面を使うナウさも、70後半のお爺様が作られたとは思えないくらいのハイセンスで、さすがの御大、といった感じです。

まとめ

最初に難解、と言いましたが、他にもこの監督の作品で難解なものは沢山あるんですよね。

そう考えるとわりと入りやすい作品だったのかも。

最近までずっと、『ハッピーエンド』とはどういう意味なのかを考えていました。あのエンディングはどう考えてもハッピーではないし、ネガティブなオチだけど誰かにとっては幸せだよ、みたいな意味でもない気がしたんですよね。

だったらなぜハッピーエンドなのか・・・と。

そうしたらネットで「”幸せ”の終わり」と解釈している方がいて、なるほど!!!!となりました。やっぱり絶望的な意味合いですねーーー結局絶望ですね!!(笑)
もうこの世界は幸せが終わるだけ、みたいな・・・でもこの映画が逆に刺激になって、自らの生き方を考えてみる・・・ということが幸せの始まりに繋がったりして・・・?

うーんでも正直、ハネケさんの映画を観て生き方を考えるような人はエヴちゃんみたいなことにはならないような気もしなくもない。

なんというジレンマ・・・。

ちびぞうはハネケ監督のファンだし、その分評価が上がってるのはあると思います(笑)

ただやっぱりこうして、観終わったあともあーでもないこーでもないと考えを巡らせられる映画は好きだな、と。

そんな感じで感想終わり。

 

 


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画像引用元:映画.com

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さ行

その死体は、悪臭漂う湿地で見つかった。映画『湿地』ネタバレ&感想 

「このミステリーがすごい!」選出。世界的傑作ベストセラーを完全映画化

というアオリ文なんですけどね。どうなんですかね。

こちらレンタル店にてちびぞう母チョイスのミステリー?です。

もう一つのアオリ文は

「”ドラゴン・タトゥーの女””特捜部Q”に続く北欧ミステリーの衝撃作!!」

なんですけども・・・北欧ミステリーってちびぞう的には少し微妙だったりするんですよね・・・。『ドラゴン・タトゥーの女』のハリウッド版の映画は大好き!!だったんですけど、そこから原作となった北欧ミステリーのテレビドラマ版?を観たら

寝てしまいましてね・・・

最後までちゃんと観れなかったんだよなぁ。なのでちょっと不安になりつつも鑑賞です。

【映画情報】

【原題】Myrin
【制作国】アイスランド、デンマーク、ドイツ
【監督/脚本】バルタザール・コルマウクル
【原作】アーナルデュル・インドリダソン
【撮影】ベルクステイン・ビョルグルフソン
【美術】アトリ・ゲール・グレタルソン
【編集】エリザベト・ロナルドドッティル
【音楽】ムギソン
【出演([]内は役名)】

  • イングバール・E・シーグルズソン[エーレンデュル警部]
  • オーグスタ・エバ・アーレンドスドーティル[エヴァ]
  • ビョルン・フリーヌル・ハラルドソン[オルン]
  • オーラフィア・フロン・ヨンスドッティル[エレンボルク]
  • アトゥリ・ラフン・シーグルスソン[オルン]
  • テオドール・ユーリウソン[ルーナル]
  • ソルステイン・グンナルソン[ホルベルク]

【公開日(日本)】2015年1月31日(トーキョーノーザンライツフェスティバル2015にて)
【上映時間】94分
【IMDB】7.0/10.0  (およそ4,600人の評価)

【あらすじ】

アイルランドの湿地帯に建つ家屋で男性の死体が発見された。エーレンデュル刑事は捜査を開始。部屋の中を捜索すると、引き出しの裏側に一枚の写真を見つける。それは数十年前に起きたレイプ事件の被害者が生んだ娘ウイドルの墓の写真であった。少女の墓を調べ遺体を掘り返すと脳がなく、悪性の脳腫瘍で亡くなっていたことが発覚。刑事は、かつてホルンベルクという男が行ったと思われるレイプ事件の被害者を探すことに・・・。

【感想(ネタバレするよ!!)】

☆1.0/5.0

わーこれあらすじがどこにも載ってないやつだ!困った!自分で書くしかない!書きました!!

ううううううううううううんんんんんごめんなさい!!!!!!

「これだから北欧ミステリーは!」

と一括りにはしたくないんですけどね!?

やっぱりつまんなかったです・・・。

ちなみに原題の「MYRIN」はまんま「湿地」という意味です。端から端まであまりひねりがない・・・。(すいません・・・)

ちびぞう的には悲惨なんだけど、IMDBだと結構評価があったりするので・・・好きな人は好きなのかもしれない・・・。

おおまかなストーリー

難病の娘が治療の甲斐なく亡くなってしまい、葬式が営まれるシーンがオープニングです。

そして場面は飛んでエーレンデュル刑事が湿地帯の家屋で発見された死体の捜査を始める場面から物語は始まります。

その湿地は夏場は悪臭が漂う家だった・・・(そして後に床下からも死体が見つかるんだけどね!その臭さもあって悪臭漂ってたのかな!)

家の引き出しの裏側から見つかった封筒に入っていた写真から、とある墓地を特定する。そこを暴くと、ウイドルという娘の死体が発見された。

刑事は、彼女の母が何十年か前にレイプされて生まれた子どもだという事を明らかにし、そこから同じレイプ事件の別の被害者を探そうとする。
同時にその死体には脳がなく、悪性の腫瘍で亡くなっていたことが分かるのであった。

なんやかんやあって、犯人はオープニングに登場した「娘を病気で亡くした男」だと言うことが判明。

彼(犯人)は自分の娘の病気が極めて稀な遺伝性の病気にかかっていたと知り、そのルーツを独自に探していた。すると、自分の本当の母親は別におり、彼女がレイプされて自分が生まれたのだということを知る。

そして、レイプ犯でもあり実の父親であるホルンベルクを殺害するのであった・・・。

なんやかんや推理した刑事に事件を暴かれた父親は拳銃自殺してしまう。

というお話!

感想は・・・

うーん退屈ですね。全体的に画面が暗くて、物語の盛り上がりも特になく、淡々と話が続いていく・・・

更に時系列がややこしくなっていたり、登場人物が誰が誰やら分からなかったり、名前も聞き慣れないものばかりで覚えにくしで・・・観てるこっちが臭い沼にズブズブとはまって抜け出せなくなりそうです(笑)

こういうのが北欧ミステリー!!って印象を付けられてしまうとあんまり良くないとは思うんですけど、「ドラゴン・タトゥーの女」もちびぞう的には似たような感じであんまり好きにはなれなかったので・・・きっと北欧ミステリーとちびぞうの相性が良くないんだな!!!(笑)

設定的には、亡くなった娘が持っていた遺伝性の病気が発症した原因が何か突き止めようとする、そしたら自分がレイプで生まれた子どもだという事を知る。その原因となった男を(娘を亡くした復讐心から)殺してやろう!という動機で結構真新しいというかぶっとんでるというか。もしかしたら原作は面白いのかもしれませんね・・・。

(でも元を辿れば遺伝元はその先にもいるわけで、しかも確かに娘は病気で亡くなってしまったんだけども、父親がいなかったら娘も生まれてこないわけで・・・というタイムトラベルのジレンマのようなことを悶々と抱えてしまうな・・・)

つまりまぁ、亡くなってしまったけど、そこまでのかけがえのない時間や娘と過ごした幸せな思い出だって、言ってみればそのレイプ犯のおかげだったりするわけで(しかも蓋を開けてみればレイプというかただの浮気で後々母親は脅されたらしいけど行為自体は合意だったらしいし)殺すほどのことなの?と思ってしまうというか。

うーーーーーーーん動機が弱い!!!

まとめ

全くオススメしません!!(笑)

マイナーな俳優さんばかりだから、俳優目的で観てねとかもなかなか言えないし・・・。

観てみようかな?って思った人がいたら、多分原作を読んだ方が面白いかもしれませんよ。

 

 


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画像引用元:映画.com

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政治ロビイストがどんでん返す!映画『女神の見えざる手』ネタバレ&感想

彼女がアメリカを「毒」で正す―――。

どうもこんにちは!ちびぞう(@cbz_ewe)でっす!

こちらはちびぞう母チョイスの作品。レンタルでの鑑賞。

配給がキノフィルムズさんなんですけども、今のところキノフィルムズさんの映画はハズレがないんですよ・・・たとえばどんなのがあるかというと

ハクソー・リッジ』『パトリオット・デイ』『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』『ヒトラーの忘れもの』『ニュースの真相』などなど・・・どれも良作ばかりですよね。オシャレなミニシアター系!と言われれば思い出すのもキノフィルムズさんでもあります。パンフも毎回素敵だし!

今作は何やら、政治ロビイストという職業の人が主人公なようですが・・・?内容的に難しいのかな?

【映画情報】

【原題】Miss Sloane
【制作国】フランス、アメリカ
【監督】ジョン・マッデン
【脚本】ジョナサン・ペレラ
【製作】ベン・ブラウニング、クリス・サイキエル、アリエル・ゼトゥン
【製作総指揮】クロード・レジェ、ジョナサン・バンガー、パトリック・チュウ、アーロン・ライダー
【撮影】セバスチャン・ブレンコー
【美術】マシュー・デイビス
【衣装】ジョージナ・ヤーリ
【編集】アレクサンダー・バーナー
【音楽】マックス・リヒター
【出演([]内は役名)】

  • ジェシカ・チャステイン[エリザベス・スローン]
  • マーク・ストロング[ロドルフォ・シュミット]
  • ググ・バサ=ロー[エズメ・マヌチャリアン]
  • アリソン・ピル[ジェーン・モロイ]
  • マイケル・スタールバーグ[パット・コナーズ]
  • サム・ウォーターストン[ジョージ・デュポン]
  • ジョン・リスゴー[スパーリング上院議員]
  • ジェイク・レイシー[フォード]
  • デビッド・ウィルソン・バーンズ[ダニエル・ポスナー]
  • ラウール・バネジャ[R・M・ダットン]
  • チャック・シャマタ[ボブ・サンフォード]
  • クリスティーン・バランスキー[エヴリン・サマー]

【公開日(日本)】2017年10月20日
【上映時間】132分
【配給】キノフィルムズ
【映倫区分】G
【IMDB】7.5/10.0  (およそ42,150人の評価)

【あらすじ】

大手ロビー会社の花形ロビイストとして活躍してきたエリザベス・スローンは、銃の所持を支持する仕事を断り、銃規制派の小さな会社に移籍する。卓越したアイデアと大胆な決断力で難局を乗り越え、勝利を目前にした矢先、彼女の赤裸々なプライベートが露呈してしまう。さらに、予想外の事件によって事態はますます悪化していく。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレするよ!)】

☆3.2/5.0

面白かった!!!!綺麗ーーーーーーなどんでん返し!

ちびぞうのようにあまり政治的なお話がよく分からないゾウにも分かりやすい方だったかと思います。

ロビイストとは?

ちびぞうはこの映画で初めてこの単語を耳にしました・・・

調べてみると

ロビー活動の専門家。
ロビー活動とは、特定の利益をはかるために議員・官僚・政党などにはたらきかけ,政治的決定に影響を及ぼそうとする院外活動。特にアメリカにおけるものをいい,議会ロビーにおける議員への陳情だけでなく,世論の形成・動員までも含める。ロビイング。(by weblio辞書)

という事だったらしいですねー!

分からないまま最後まで観てしまいましたが、それでも物語には支障なく観れたので問題なかったです。分かってて観るとまた理解も深まるとは思いますけどね!

おおまかなストーリー

ワシントンDCにある連邦議事堂で上院議員による聴聞会が開かれ、そこの証言台に立たされる女性(マデリン・エリザベス・スローン)が主人公。

場面は切り替わり、なぜ彼女がこのような立場に立たされたのか?という数か月前の話が差し込まれます。

 

マデリンは銃規制法案を通したいと小さな会社に引き抜かれ、今やっている仕事もやめて会社を移動。女性を銃賛成派にしたいという銃ロビーたちと戦おうとする。

しかし彼女の仕事のチームメイトの何人かは一緒に会社を移動したものの、マデリンの人柄にうんざりしていた風の後輩ちゃんは彼女について行かなかった。

なぜかというと、マデリンはあまりにも目的を達成することに執着していて、そのためには手段をも選ばない冷酷さを持っていたから。

実際に移動した先の会社でも、銃乱射事件の被害者であることを隠していた社員を利用し、メディアの前で暴露するなど、人道的にどうなのよという方法で議員たちの票を獲得しようとする。

しかし、彼女のあまりに目立つ仕事ぶりから、敵に目を付けられ、潰されそうになってしまう。
銃ロビーを支援する議員たちが裏で画策し、彼女の人柄を晒し上げて本来の流れから世間の目を外させ、銃規制法案に対する追い風を風化させようと目論んだのだ。

そして前の会社に残った後輩ちゃんが、以前マデリンが担当していた仕事で文書改ざんが行われていたことを発見し、それを理由に聴聞会が開かれる(これが冒頭のシーン)。
聴聞会では、彼女の私生活の問題(薬を飲んでわざと眠らない生活をしていたり、男娼を買ったりしていること)まで暴かれそうになる。

しかし、彼女は最後に”言いたいことを話す権利”を使って上院議員の裏取引の録画と音声を大暴露!
実は、この聴聞会そのものが彼女が最初に計画した作戦の一部であり、会社に残った後輩ちゃんも実はグルで、彼女の改ざん書類をネタにわざと聴聞会を開かせ、そこで議員の裏取引を暴露・・・そして完全勝利!!というところまでが彼女の筋書き通り・・・

そして刑務所に行く代わりに、銃規制法案を通すという・・・なんと恐ろしい女なんだ!!!!

ラストの場面では、刑務所を出た彼女が”誰か”を見るような、そんな場面で終わっています。

ジェシカ・チャスティンという女優

マデリンは目的のために同僚も平気で犠牲にするし、それだけではなく、自分のことすら平気で犠牲にする。勝利への執着のみで生きていると言っても過言でないほどに聡明で、冷たく、そして病的、とても孤独な女性でもあります。

彼女の過去などには一切触れられませんが、もしかしたら銃による事件の犠牲者・・・という可能性もなくはないかもしれません。でもそこはそんなに問題でもない。彼女は、彼女なりの正義を持って、何が正しいかを見極め、それを後押ししている。

やり方はえげつないところも多々ありますが、それでもなぜかカッコいいと思えてしまう。
なんだかダークヒーローのような、そんな印象がある深みのあるキャラクターでした。

そんなマデリンを演じているのが女優ジェシカ・チャスティン
ちびぞうは『ツリー・オブ・ライフ』や『MAMA』、『クリムゾン・ピーク』などで彼女を見た事がありましたが、今作ほど演技力に痺れさせられ、ハマり役だ!と感じたのは初めてでしたね。

彼女の力強く、鋭くよく切れるのに簡単に壊れてしまいそうなガラスのナイフのような演技を観るためだけにもレンタルして頂きたい!そんな名演技でした。

邦題のセンスの良さ

この邦題もすごくイイです。原題は「ミス・スローン」で主人公マデリンの名前です。
しかし邦題は「女神の見えざる手」。この、”神の見えざる手”というのは、経済を動かしている力を表す言葉らしいのですが、それを女神に変えているんですねー。彼女がまるで政治・経済を動かす見えざる手なのだ、と言いたげな大仰なタイトルですけど、でもそれもあながち間違っていないな!と思えるくらいにマデリンは凄い

この邦題のセンスも含めて、好きです。

まとめ

ラストの演出もすごく好きなんです。

刑務所から出てきたとき、何かを見るマデリン。

そこには何があったのか?もしかしたら、誰かが待っていたりしたのでは?と想像させるようなラスト。

劇中で登場した男娼役のフォード(ジェイク・レイシー)とは、客という垣根を超えた何かがあったように感じました。だからきっと彼がね、迎えに来てくれてたらいいなと思うんですよ・・・。(完全な妄想感)

だって、あんなに壊れそうに張り詰めている女性がね、たった独りでいていいはずがないんですよ!!だからね、自分を犠牲にしてまで勝ち取った勝利のね、ご褒美があっても良いと思うんですよ!

・・・こんな感じで熱くなってしまう映画です。
静かで政治的ですけど、すごくイイ映画です。さすがキノフィルムズさんです。

 

女性が強い映画が好きなあなたにオススメです!!!!!

 

 


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