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殺人鬼カップルを描いた問題作『地獄愛』ネタバレ&感想

”私たちの無限の愛を誰もわかってくれないの

でも私は貴方を見つけた”

はい、ちびぞうさんの「好きだと言うと人格を疑われる系映画」の時間です(笑)

 

ファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督が実在した殺人鬼カップルを題材に描いた

「ベルギー闇三部作」の第二弾だそうですよ!!!!!

なんだそれ?と聞かれてもちびぞうはよく知りませんが、第一弾はなに?という質問になら答えられます!それは

2006年公開の『変態村』!!!

内容の説明がはばかられるような狂気と不快感に満ちた作品なんですが、こんなタイトルでも別にふざけた感じの作品ではないです。ちびぞうは好きな映画です。気になる方はぜひググってみてくださいね~

そして今回は変態村に続く第二弾ということで、監督の名前に惹かれてDVDを手にとってみました。

同じカップルを元ネタにした映画『ハネムーンキラーズ』との合同公式サイトはこちら

そういえば、娘役で『神様メール』のピリ・グロインちゃんが出ていました。端役だけど輝いてる。

ベルギー発のファンタジックコメディ!映画『神様メール』ネタバレ&感想

【映画情報】

【原題】 Alleluia
【制作国】ベルギー/フランス
【監督】ファブリス・ドゥ・ベルツ
【脚本】ファブリス・ドゥ・ベルツ、バンサン・タビエ、ロマン・プロタ
【製作】バンサン・タビエ、クレマン・ミゼレ、マチュー・ワルテル、バート・バン・ランゲンドンク
【共同製作】ジャック=アンリ・ブロンカール、オリビエ・ブロンカール、ファブリス・ドゥ・ベルツ
【撮影】マニュアル・ダコッセ
【衣装】クリストフ・ピドレ、フロランス・ショルテ
【編集】アン=ロール・ゲガン
【音楽】バンサン・カエイ
【出演([]内は役名)】

  • ローラン・リュカ[ミシェル]
  • ロラ・ドゥエニャス[グロリア]
  • エレーナ・ノゲラ[ソランジュ]
  • エディット・ル・メルディ[マルグリット]
  • アン=マリー・ループ[ガブリエラ]
  • ピリ・グロイン[イヴ]
  • ダビッド・ミュルジア[ペレ・ルイス]

【公開日(日本)】2017年7月1日
【上映時間】93分
【配給】 アンプラグド
【映倫区分】R15+
【IMDB】6.2/10.0  (およそ2,040人の評価)
【劇中で登場する映画】『アフリカの女王(1951)』

【あらすじ】

シングルマザーのグロリアは、出会い系サイトで知り合った男ミシェルに心を奪われる。実はミシェルは寂しい女性の性的欲求を満たして生計を立てる結婚詐欺師だったが、ミシェルの正体を知ってもグロリアの愛は冷めることなく、2人は兄妹と偽って一緒に結婚詐欺を繰り返すように。2人の歪んだ愛はやがて狂気へと変ぼうし、寂しい女性たちを次々と殺害していく。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレしているよ!)】

☆3.2/5.0

点数点けるのとか本当に難しい系の映画ですよね・・・。エロもグロもたっぷりで。

ただちびぞうはこの監督の映像表現が好きなので、結構スコアを上げがちになってしまいます。

元ネタになったレイモンド・フェルナンデスとマーサ・ベックのロンリー・ハート事件の映画はもう一つあって、タイトルはそのまま『ロンリー・ハート』主演はなんとジョン・トラボルタだというのでびっっっくりしました。

これは観ないと!!!

ちなみに事件の詳細などは「殺人博物館」さんの方で読めるので興味ある方は遊びに行ってみてください。どの部分が脚色かなども分かってなかなか興味深いです。

おおまかな流れ

グロリアが病院で死体を拭くシーンからスタート。

第1幕から第4幕までの章構成になっていて、タイトルに女性の名前がついています。

第1幕:グロリア

ミシェルとグロリアがネットのデートサイトで出会う所から恋に落ちるところまでが描かれる。
グロリアはミシェルが結婚詐欺師だという事をすぐに知る上に捨てられそうになるけども、彼と一緒に生きていきたいと愛を告白する。そして娘を友人に預け、二人で結婚詐欺師としての旅を始める。

第2幕:マルグリット

グロリアを妹と偽って、詐欺する相手の家に転がり込む二人。
他の女性とミシェルが体の関係を持つ事に激しい嫉妬を覚えたグロリアは、マルグリットに襲いかかり絞殺してしまう。
元々、病院で死体を綺麗にする仕事をしていたグロリアさん。ゴリゴリ切ってバラバラにて処理します。

第3幕:ガブリエラ

今度は宗教家の女を騙す。
ガブリエラは結構高齢でお世辞にも美しいとは言えない感じの女性なので、濡れ場のシーンは結構厳しい物があります(笑)

しかし今回も結局グロリアが激おこになってしまいガブリエラを撲殺して解体。パターン化してきてるのに避けようとしないところがなんともかんとも。やっぱり異常なんですよね。二人とも。

こんだけ面倒なグロリアを手放さない、というところに確かに二人にしかわからないような愛があったのかもしれません。

第4幕:ソランジュ

最後は牧場の美しき未亡人。可愛らしい娘のイブちゃんと暮らしています。
ここで大きく物語が動く。
グロリアの娘には興味なかったミシェルがイブちゃんと仲良くしていたり、ソランジュとイチャつくところをグロリアに見せないように薬を盛って眠らせたりして、明らかにソランジュとイブをグロリアから守ろうとするミシェルの姿が垣間見れる。真実の愛を見つけてしまったのか、な…?と思いきや。

結局はソランジュにミシェルの子どもを身ごもったと言われて二人の関係を知り発狂したグロリアに「斧でソランジュを殺せ!」と煽られて、ミシェルは彼女を殺してしまう。次にイブちゃんをも手にかけようとしたグロリアにミシェルが掴みかかり、イブちゃんだけは逃がすことに成功。

グロリアが自分の娘に電話して「もうすぐ戻るからね」と約束して、エンドロール。

ラスト、ミシェルの体を拭くグロリアの姿はオープニングと重なる演出になっています。

どうでもいい感想とまとめ

二人でデートで映画を観てケラケラ笑っていたのが印象的。こうしてみると普通のカップルなのにな・・・。

この映画だとただの結婚詐欺師を殺人鬼に仕立てたのは女の方・・・。
ですが、元ネタになったレイモンドの方も殺人の前科があったらしく、実際は二人が出会って最悪な化学変化を起こした結果そうなってしまったんだな・・・という感じですね。

この監督の、毒々しい色の使い方とか、狂気を感じる病的な映像表現がすごく好きなんです。

殺人鬼というだけではない二人の人生や彼らなりの愛を狂気混じりによく表現していたと思います。

ミュージカル映画でもないのに、第2幕で突然グロリアが歌い出す演出があったり、その曲がエンディングでも流れると…なんかもう…すごい…(言葉では表せない)となりますね。

オープニングとエンディングがリンクするところも好き。

それから、第4幕で薬を盛られたグロリアが目を覚ました後に”過去に殺した女たち”の幻覚を見るシーンがあるんですが、ここがもう不快度MAX!!!「なんでこんな映像を意図的に作れるんだろう」と監督の正気を疑いたくなりますが、好きです><

 

絶対に人には勧めませんが、こういったマニアックで人に隠れてこそこそ観る系の作品が好きなアンダーグラウンダーの皆さんはぜひ、手に取ってみてください。

ついでに同監督の『変態村』は今作より不快で不可解で難解なのでそちらも併せてどうぞ!!(結局すすめちゃう)

…ハネムーンキラーズとロンリー・ハートも観ないとだなー。

 

 


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岩井俊二監督の吸血鬼映画『ヴァンパイア』ネタバレなし感想

惹かれ合う孤独な魂たち
この世の果ての恋物語

こちらもちびぞうの過去鑑賞作をまとめようのシリーズ。

 

岩井俊二監督が外国の俳優さんたちを起用しカナダで撮影したという本作!!

異質なヴァンパイア映画ということで…ヴァンパイア映画が大好きなちびぞうにとってどのように映るのか!?

あまり国内外の評価は高くなさそうなので期待はしない方がよさそうです…。

ちなみに岩井俊二監督の映画はそんなに多く観ていませんがちびぞうは『リップヴァンウィンクルの花嫁』が好きですね!!

今作の公式サイトはこちら

【映画情報】

【原題】Vampire
【制作国】アメリカ/カナダ/日本
【監督/プロデュース/脚本/編集/音楽】岩井俊二
【出演([]内は役名)】

  • ケヴィン・ゼガーズ[サイモン]
  • ケイシャ・キャッスル=ヒューズ[ゼリーフィッシュ]
  • 蒼井優[ミナ]
  • アデレイド・クレメンス[レディバード]
  • トレヴァー・モーガン[レンフィールド]
  • アマンダ・プラマー[ヘルガ]
  • クリスティン・クルック[マリア・ルーカス]
  • レイチェル・リー・クック[ローラ・キング]

【公開日(日本)】2012年9月15日
【上映時間】119分
【配給】ポニーキャニオン
【映倫区分】PG12
【IMDB】5.4/10.0  (およそ1,300人の評価)

【あらすじ】

高校教師のサイモン(ケヴィン・ゼガーズ)は、アルツハイマーの母親(アマンダ・プラマー)と一緒に暮らしている。ある日、彼はウェブサイト上で、一緒に自殺してくれる仲間を探している人々が集まる自殺サイトを見ていた。サイモンは、そのサイトで血をくれる人を探していた。そんな彼は、自殺を志願する人々から“ブラッドスティーラー”や“ヴァンパイア”と呼ばれていて……。【引用元:シネマトゥデイ

【感想】

☆3.9/5.0

好き。愛しい。ちびぞうはこの映画が好きです!!!

数多くのヴァンパイア映画を愛でてきたちびぞうですが(言うほど観てないけど)、この作品に新しい吸血鬼映画の可能性を感じた!!

(吸血鬼映画としての異質さは『モールス』なんかと近い部分があるかも)

主人公は高校の教師(理系)。休みの日には自殺志願者の集うサイトで自殺志願者(女性ばかり)を物色。自殺オフに見せかけて相手の血を注射器でスマートに抜いて殺し、その血を飲む。その行為が吸血鬼ゆえなのか、ただの血が飲みたいだけの人間だから(血液嗜好症とか)しているのか…それとも殺すこと自体に意味があるのか。明確にはされません。そのふわっと感がまた良い。
主人公と出会う様々な女達はみな一様に美しく、そして死を渇望している。散る間際の命ってどうしてこうも綺麗に見えるのか…!薄幸美人ってことなのでしょうか!?

死が全体を覆っている物語なんですが、その中にいくつかの愛の物語が散りばめられていて、どれも切ないです…!!
主人公の行動は倫理に反するけど本当に彼女たちを思いやっていて、愛があると感じられたし、ある一人の少女と出会ってその愛の形に変化が訪れる瞬間は鳥肌モノです。

あのシーンだけでいいから観て欲しい!(前後も大事だけどさ…そうね、とりあえず全部観ましょう!)

生徒役で出ていた蒼井優も脇役ですが、良い演技してました!!(ただ役どころに見合わない存在感で、最後までこの子何かあるわね!?感が拭えなかった)

一言で言えば異端な男子の愛の物語。そこに吸血鬼と言うエッセンスが加わって新たな世界観が生まれています。(退屈だと思う人には退屈かもしれない…血を飲むシーンとかグロいと感じる人にはグロいし、結局人を選ぶ作品化もしれません)

岩井俊二監督の映画はあまり観ていないのでこの人らしいかどうかはわかりませんが、私は凄く好きでした。ネット上で色々と感想を見ていると、確かに他の方が言ってるみたいに外国人キャストでやる意味はあまりないのかも?しれないんですが、いかにも洋画な画面なのに音楽や脚本が邦画っぽくて不思議な世界観なんですよね。そこが非日常感を煽ってて良い感じです。

正統派な吸血鬼映画とは少し違うんだけど、巷でよくあるパターンの作品に辟易し始めた人に、ちょっぴり「こんなのはどう?」とオススしたい一本です!!(*’ω’*)

 

 


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アートの概念を揺さぶられる!映画『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』ネタバレ&感想

全ては仕組まれたことなのか、あるいはリアルなドキュメンタリーなのか…。

ちびぞうの、過去に観た映画もブログにまとめとこうシリーズ!ですね。

今作は、ストリートアート”グラフティ”で有名になったカリスマアーティスト、”バンクシー”初監督のドキュメンタリー!!

バンクシーというイギリスの覆面アーティストの作品はネットでニュースになることもしばしばあり、目にしたことがあって「なんてかっこいい作品を創る人なんだろう」と思っていたんですが…まさか映像の才能もあるとはね!!!DVDや画集も買ってしまったし、すっかりバンクシーのファンになってしまったちびぞうでした。

アップリンクさんによる公式サイトはこちら

ちなみになぜ覆面なのか?それはグラフィティのほとんどが持ち主の許可なく行われる犯罪行為(器物破損)だからですよ!!

【映画情報】

【原題】Exit Through the Gift Shop
【制作国】アメリカ・イギリス
【監督】バンクシー
【ナレーション】リス・エバンス
【音楽】ジェフ・バーロウ、ロニ・サイズ
【出演([]内は役名)】

  • ティエリー・グエッタ
  • スペース・インベーダー
  • シェパード・フェアリー
  • バンクシー

【公開日(日本)】2011年7月16日
【上映時間】90分
【配給】パルコ、アップリンク
【映倫区分】G
【IMDB】8.0/10.0  (およそ55,800人の評価)

【あらすじ】

ストリート・アートに関するドキュメンタリーを制作していた映像作家のティエリー・グエッタは、幸運にもバンクシーの取材に成功する。しかし、グエッタに映像の才能がないと気づいたバンクシーはカメラを奪い、グエッタを“ミスター・ブレインウォッシュ”というアーティストに仕立てあげ、カメラの前に立たせる。【引用元:映画.com

【感想】

☆3.6/5.0

おおまかなあらすじはこんな感じ

とあるビデオ撮影依存な男(ティエリー・グエッタ)がひょんなことからストリートアートに出会い、それを描く人たちを追い、制作過程を撮影する。
最初はただ撮るだけだった男もバンクシーとの出会いによって変わっていく。映像編集に手を出したり、果ては自分も”アーティストMBW(ミスターブレインウォッシュ)”となり、初めてのショーを成功させようと奮闘する…。

グラフィティと言えば

ちびぞうが高校時代に仲が良かった女の子がグラフィティをする男の子の話をよくしていたなぁ…と思い出しました。多分地元で、グラフィティをやってる若者が当時、いたんだと思います。それこそ15年位前、ネットも携帯も誰しが持っているという時代ではなかったけれど、どこからともなくやってきた”グラフィティ”というものは確かに人々を魅了しながら、海の向こうの日本にも広がってきていたんだなぁ…と思うと、「落書き」なんて言葉では表せない一つの文化なのかなと思ったりしますね(許可がなければ犯罪ですけども!!!!!!)

脱線しました。

この作品を観ていると、本物のアートとそうでないものの境目がボケてきて、「結局はお客に高い金積ませたモン勝ち」みたいな側面が見えてきます。
そして”あんたらが高い金出して買ったものは所詮この程度のものだよ”と皮肉ってるような…そんな意図も感じましたね。

最初はMBWがアーティスト達のドキュメンタリーを撮ろうとしていたのに、途中からバンクシーが監督してMBWを追うドキュメンタリーを作る逆転の流れも面白い!!バンクシーがMBWの編集した動画を見て「落ち着きのない頭のおかしいヤツが繋げただけの動画(セリフうろ覚え)」とズバッと切り捨ててたところで爆笑してしまいました(笑)

この非凡な男と平凡な男の対比も面白いですよね。

周囲の環境に影響されて、MBWが夢を見ていく過程も面白切ない。

夢を見ていく…と言っても収入的にはMBWの個展は大成功してしまうし、どこからが才能なのかってもう分からなくなりますね。

まとめ

いわゆる芸術の勉強なんて1ミリもしたことのないちびぞうには作品の真の価値とかは全くわからないけども、作中出てくるバンクシーの作品には心動かされたし、とても強い憧れを感じました。なんというか、技術だけなら誰でも身に着けられるけど、そこからもう一歩先んじるには「他人に出来ない発想」というのが必要なのだなと。しかもそれを誰より早くやってみる、という度胸や挑戦心も必要。

創作好きならきっと「アートとは一体なんぞや」と頭を悩ませながらも楽しめるし、良い刺激をもらえる映画ではないかなと思います!!

結論:カリスマは何やっても成功する。

 

 


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画像引用元:映画.com/IMDB

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女性と少年しかいない禁断の島で。映画『エヴォリューション』ネタバレ&感想

そこはユートピアか、ディストピアか。

なんとも不可解な雰囲気のする今作。

監督はかのロリコン映画として有名な『エコール』の監督さんじゃないですか!!それは知らずに鑑賞しましたが、やはり雰囲気というか芸術的な画面と不穏な空気、そして深すぎる意味不明さは健在でしたね…(笑)

先に劇場で観ていた映画仲間も感想を言いにくそうにしていたので、なんとなくどんな内容なのかは察していました(笑)

アップリンクさんが展開している公式サイトはこちら

【映画情報】

【原題】 Evolution
【制作国】フランス
【監督】ルシール・アザリロビック
【脚本】ルシール・アザリロビック、アランテ・カバイテ
【製作】シルビー・ダントン、ブノワ・ケノン、ジェローム・ビダル
【撮影】マニュ・ダコッセ
【美術】ライラ・コレット
【衣装】ジャッキー・フォコニエ
【音楽】ザカリアス・M・デ・ラ・リバ、ヘスス・ディアス
【出演([]内は役名)】

  • マックス・ブラバン[二コラ]
  • ロクサーヌ・デュラン[ステラ]
  • ジュリー=マリー・パルマンティエ[母親]
  • マシュー・ゴールドフェルド[ビクター]
  • ニシム・レナード[フランク]
  • ナタリー・レゴレス[医者]

【公開日(日本)】2016年11月26日
【上映時間】81分
【配給】アップリンク
【映倫区分】PG12
【IMDB】6.0/10.0  (およそ4210人の評価)

【あらすじ】

少年と女性しか住んでいない島で母親と暮らす10歳の少年ニコラ。その島の少年たちは、全員が奇妙な医療行為の対象となっていた。そんな島の様子に違和感を覚えたニコラは、夜遅く外出する母親の後をつけてみることに。やがて海辺にたどり着いた彼は、母親がほかの女性たちと「ある行為」をしているのを目撃してしまう。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレしているよ!)】

☆2.3/5.0

うぅーーーーん!!!!難解!!!!!

ただ、オープニングで出てくる海の中の光景だったり、白く四角い建物が並んだ海辺の街並みだったり本っっっ当に美しいです!!!

それから、冒頭で主人公の少年が「海の中で死体を見た」というシーンも印象的。その死体の腹の辺りにはヒトデらしきものがいた、というのですが、母親が潜ってみてもそんなものはないと言われてしまう…

ネタバレすると

この島に住んでいる女性は全員、背中にタコの吸盤のようなものがついていて、どうやら普通の人間ではないようです。

タイトルにもある「エヴォリューション」が示しているように、この映画の世界観自体が、人間の進化の形の一つ、という意味なのかもしれません。

そしてその女性たちは夜な夜な海辺に集まり全裸でハァハァ言いながら何やら怪しげな行為にふけっている…(これがこの島での生殖行為?なのかは分かりません)

そして、少年たちに施されている医療行為…というのはなんと少年を孕ませて赤ちゃんを出産させる(出産と言っても手術で取り出すわけですが)」というショッキングな内容。

ヒトデの意味は?

あらゆる場面でサブリミナルのように差し込まれるヒトデの映像。

女性の背中の吸盤も、ヒトデを連想させますね。

ちびぞうなりにヒトデについて調べてみたんですが、ヒトデの生殖の種類はいくつもあり、その中には「雌しかおらず無精卵を生んでそこから(母親のクローンとなる)子どもが生まれる」という単為生殖で子孫を増やす種がいるようです。ただし、生まれてくるのは全部メスのみですが。

この、特殊な子孫繁栄の仕方からインスピレーションを得て、女性だけで作った卵子を少年に移植することで子どもを作る…という方法を思いついたのかな?と予想しました。おそらく生まれてくるのは男女両方だけど、男は少年のうちに出産して死亡、大人になれるのは女性だけ…というかなりフェミニズムを感じる設定…。

不在の重要性を描く作品?

しかし、この映画は「女性だけの世界万歳!理想郷!」という映画ではないと思います。

というのも、この世界に不信感を持った主人公二コラを、二コラと心を通わせた看護師の女性が島から脱出させてあげるというオチなんです。

船に乗り島を出た二コラが漂流ののち目をしたものは、大都市の明かりだった…。

多分この大都市は私たちの住む世界と同じ、普通の世界なのではないかと思います。

つまり、この映画は劇中で見せてきた世界を最終的には「逃げるべき世界」として描いている。もうその時点で「女性だけの島万歳!」という内容とは違うと言うのが分かりますよね。

あくまでも、この映画は人間のエヴォリューション(進化)の可能性の一つであり、必ずしも幸せで正しいものではない…という事が言いたいのかな。

二コラと心通わせた看護師が、二コラの描いた絵を見てほんの一瞬、笑顔を見せるのも印象的でしたしね。(劇中の女性は基本無表情)

そしてこの映画で一番重要なのは、一切出てくることがない”成人男性”の存在なのではないでしょうか。
その存在を描かないことによって際立たせる、「不在の重要性」を描いた作品なのかと思いました。

あくまでもちびぞうの見解ですが。

まとめ

非常にアーティスティックで、無言で語りかけてくる絵画のような作品です。

台詞も説明もなく、いきなりポイッとこの世界に放り込まれる感じがすごく不可解。
国で一括りにはしたくないですが、フランス映画ってこんな感じだよなぁ…うん。

面白いかそうでないかと言われるとちびぞうは…うーんなんとも言えません(笑)

この監督の独特な世界観、画の作り方が好きな方はきっと楽しめるでしょう。

 

 


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ま行

発達障がい児とその母を包む愛のドラマ。映画『Mommy/マミー』ネタバレ&感想

架空のカナダで起こった、現実―――。

グザヴィエ・ドラン監督の作品は

『私はロランス』→『マイ・マザー』→『胸騒ぎの恋人』と観て、4本目。

初めて彼の作品を劇場で鑑賞出来ました。ちなみに『トム・アット・ザ・ファーム』はこの次の鑑賞になりますね。

ドラン監督のサイコサスペンス映画『トム・アット・ザ・ファーム』ネタバレ&感想

パンフはこんな感じ。

映画のパンフレットというよりは、アート雑誌のよう。グザヴィエ・ドラン監督の美麗なお写真が沢山載っているので、ファンは大喜びの一冊ですね。個人的に、カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した時のスピーチが載っているのが興味深かったです。

来場者特典として、ポケットティッシュが配られていました。

裏はこう。もったいなくて使えません!!!!

 

【映画情報】

【原題】Mommy
【制作国】カナダ
【監督/脚本/衣装/編集】グザヴィエ・ドラン
【製作】ナンシー・グラン、グザヴィエ・ドラン
【撮影】アンドレ・ターピン
【美術】コロンブ・ラビ
【音楽】ノイア
【出演([]内は役名)】

  • アンヌ・ドルヴァル[ダイアン・デュプレ(ダイ)]

  • スザンヌ・クレマン[カイラ]

  • アントワン=オリヴィエ・ピロン[スティーヴ・デュプレ]

【公開日(日本)】2015年4月25日
【上映時間】134分
【配給】ピクチャーズ・デプト
【映倫区分】PG12
【IMDB】8.1/10.0  (およそ37,000人の評価)

【あらすじ】

とある世界のカナダでは、2015年の連邦選挙で新政権が成立。2か月後、内閣はS18法案を可決する。公共医療政策の改正が目的である。中でも特に議論を呼んだのは、S-14法案だった。発達障がい児の親が、経済的困窮や、身体的、精神的な危機に陥った場合は、法的手続きを経ずに養育を放棄し、施設に入院させる権利を保障したスキャンダラスな法律である。

15歳の息子スティーヴを育てる、気の強いシングルマザーのダイアン。スティーブはADHD(多動性障害)のため情緒も不安定で、普段は知的で純朴だが、一度スイッチが入ると攻撃的な性格になってしまう。そんな息子との生活に右往左往していたダイアンだが、隣家に住む引きこもりがちな女性教師カイラと親しくなったことから、少しずつ日々に変化が訪れる。精神的ストレスから吃音に苦しみ休職中だったカイラも、スティーブの家庭教師を買って出ることで快方に向かっていくが……。【引用元:パンフレット、映画.com

【感想(ネタバレもあるよ)】

☆3.4/5.0

障がいを持つ息子と母親の不安定な関わり、それから法案によって引き裂かれてしまう切ない現実を描く本作。

天才的な演出の才能が爆発!

音楽の使い方、画面の構成、光の加減、色彩、どれもこれも斬新で、これから彼は映画シーンを変えていくんだ。そんな可能性を感じました。
特に、1:1の正方形だった画面のアスペクト比がグググッと広がっていくシーンは映画館で観れて本当に良かったと心から思える演出でした!!!

思わず涙で顔がぐしゃぐしゃになってしまいましたよ・・・本当に幸せな映画体験でした。

今回も女性がキレるシーンが清々しかったし、ブラボー!ドランさん最高です!ここまでなら星5!なんですけどね!!

まるで1枚のアルバム

秀逸な演出の中に、アスペクト比1:1の画面と、それを取り巻く音楽の存在があります。

主人公が幸せだった頃の事を思い出すかのように、かつて亡くなった父と行ったカルフォルニアへの家族旅行で作ったコンピレーションの曲たちがサントラとして劇中で流れます

アルバムが売れなくなり、一曲単位でネットで曲が買えるようになってしまった今では感覚として分かりづらいかもしれませんが「アルバム」である良さというものの一番は、それぞれ別個であるはずの曲たちが数10曲連なり、その並びから一つの物語を創り出すところ。だとちびぞうは思っています。
アーティストの方々がそれを前提として作っているのかは知りませんが、一つのアルバム全体で一つの作品になるように創っている方は少なくないでしょう。

この映画は、そんなアルバムの流れから想像できる一つの物語のような、そんな作品になっているんです。映画でありアルバム、アルバムであり映画のような。

アスペクト比1:1という画面は、CDジャケットの比率も連想させ、登場人物たちに寄り添う事の出来るサイズ・・・というだけでなく、この映画のどの場面を切り取ってもCDジャケットになるような、そんなお洒落さ、物語性が隠されているのだと思います。

本当に、ハイセンス。この一言に尽きますね。

さてさて脚本は?

ここからちょっと厳しめ感想。

ドランさんは美的センスが素晴らしすぎて・・・脚本のマイナス点を芸術面でほとんど補ってしまうから怖いんですよ。
(逆に言えば脚本と芸術性のバランスが取れた時、ものすごい映画が出来上がるんじゃないかと信じています!!なので次の作品も必ず観ます!)

今回は私のリサーチ不足もあったんですが、オープニングで流れる「カナダで改正された法案(あらすじの冒頭に載せた文ですね)」というもの自体がフィクションだったと知って心底ガッカリしてしまいました。

障がい者にスポットを当てるならば実話をベースにした方が観た人にも考えてもらえる映画になる気がするんですよね。(啓発が目的の映画ではなさそうだからそこまで求める必要ないかもしれないけど)
とにかく、法案ネタを冒頭に持ってきていかにも物語のメイン!という感じなのにそこはあまり物語の芯に関係なかった感じもして。正直あの設定、なくても良かったかな。

それから主人公の母親。彼女があまりにも息子の障がいを理解してなさすぎて…ツライ。自傷他害の可能性を知ってて目を離しすぎだし、これまでずっとこの問題と向き合ってきた人にしては疑問に思える行動が多々あった。もっと本人のためを思って一生懸命愛そうと頑張る母親っているだろうし。
そもそもドランさんは不器用で不完全な(しかし力強くて美しい)母親像を描きたいのであって”障がい児とその母親”というスタイル自体にはあまり意味がないのかもしれないなーと思ってしまいますね。やっぱり、法案の設定はいらなかったのかも。

まとめ

今回は脚本の部分にあまり納得ができなかったので、演出と映像が素晴らしすぎて星5から始まったスコアも下がり気味。

それでもドラマとして面白いといえば面白い映画だとは思います!

多分、ちびぞうのドラン監督に対するハードルが相当上がってるのもあるんでしょうね。
でもいつか、そのハードルを軽々と越えてきてくれるって信じています!!

 

 

 


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た行

ドラン監督のサイコサスペンス映画『トム・アット・ザ・ファーム』ネタバレ&感想

「10月のトウモロコシはナイフ」

画像引用元:IMDB

カナダの奇才・天才、グザヴィエ・ドラン監督が、ミシェル・マルク・ブシャール(カナダの人気劇作家)の同名戯曲を映画化!

ドラン監督は、私の敬愛するガス・ヴァン・サント監督も一目置いているという事で追いかけ始めた監督さん。非常にアーティスティックで繊細で、セクシャルマイノリティな作品を作る監督さんです。

監督だけでなく、脚本、編集、衣装まで手掛け、更に主演までしてしまうという天才ぶり・・・最初に書いた脚本が10代の時の物だったということもあり、「若手のカリスマ」とも呼ばれていますね。

彼の作品は、『私はロランス』→『マイ・マザー』→『胸騒ぎの恋人』→『Mommy/マミー』と来て5本目の鑑賞になります。

アップリンクさんの公式サイトはこちら

【映画情報】

【原題】 Tom a la ferme
【制作国】カナダ、フランス
【監督/編集】グザヴィエ・ドラン
【脚本】グザヴィエ・ドラン、ミシェル・マルク・ブシャール
【原作】ミシェル・マルク・ブシャール
【製作】グザビエ・ドラン、ナタナエル・カルミッツ、シャルル・ジリベール
【撮影】アンドレ・トュルパン
【音楽】ガブリエル・ヤーレ
【出演([]内は役名)】

  • グザヴィエ・ドラン[トム]
  • ピエール=イブ・カルディナル[フランシス]
  • リズ・ロワ[アガット]
  • エブリーヌ・ブロシュ[サラ]
  • マニュエル・タドロス[バーテンダー]

【公開日(日本)】2014年10月25日
【上映時間】100分
【配給】アップリンク
【映倫区分】PG12
【IMDB】7.0/10.0  (およそ12,000人の評価)

【あらすじ】

。恋人の男性ギョームが亡くなり悲しみに暮れるトムは、葬儀に出席するためギョームの故郷を訪れる。しかし、ギョームの母アガットはトムの存在を知らず、息子の恋人はサラという女性だと思っている。トムの存在を唯一知るギョームの兄フランシスは、トムに恋人であることを隠すよう強要。当初は反発を覚えたトムだったが、次第にフランシスの中に亡きギョームの姿を重ねるようになり……。【引用元:映画.com

【感想(容赦なくネタバレしているよ!)】

☆3.9/5.0

主人公のトム(ゲイ)が恋人の葬儀で訪れた農場で出会う、恋人の母・兄・そして残された”嘘”

この作品は他のドラン監督の作品とは明らかに毛色が違い、鮮やかな色彩や明るい音楽もなく、終始暗く、息が詰まるような雰囲気が漂うサイコスリラーとなっています。
(『サイコ』とかをパロってたりしてちゃんとホラー感も出してる!!)

監督本人は「複雑な脚本を練る時間がなかったので戯曲を元にした」と言っていたらしいので、若干脚本に隙はあるのだろうけども、それでも十分「凄い」と思えるその才能が憎い。嫌味にすら聞こえてしまいますね!(笑)

物語の解釈

”抑圧されたマイノリティからの解放”とかがまぁ分かりやすいと思います。

暴力的で目的のためには手段を選ばず、相手を飼いならしてしまう兄貴像。これは彼がラスト付近でトムを追って見せた背中、そのTシャツに書かれた三つの文字(USA)の象徴ということなのでしょうね。(つまりアメリカという国、その存在のセクマイへの抑圧を兄のキャラクターに落とし込んでいる)

しかし!私にはこの映画を観ていてどうしてもぬぐい切れなかった一つの”仮説”があって、それは物語が進めば進むほど確信へと変わっていってしまう。

単なる妄想に過ぎないと思うのでここから先はスル―でどうぞ(笑)

ちびぞうの妄想的観測

この映画は、”愛する者を失った二人の男”が心に開いた穴を埋め合う哀しい哀しい愛の物語なのです!!!
簡単に言えば、兄フランシスもゲイだろ、ということ(短絡的)。

そう感じた理由は、兄の全ての行動にあります。

あれだけ体格もデカく暴力的な兄が、母親にビンタをくらっても何も言わない場面があります。あそこで一瞬、抑圧され歪んだ家庭の姿が垣間見えます。
それに加えタンゴを踊るシーンでの兄の台詞。トムを脅してまで嘘をつかせ必死に母の平穏を守ろうとする姿と比べるとどうもミスマッチだと感じるんです。兄の母親に対する愛情は、そこまで深くない気がする。

閉塞的で信仰心の強い田舎の村で、ゲイであることは重い罪であり、バレれば大変なことになるのだろうと予測できますよね。

兄が本当に恐れていたのは「死んだ弟がゲイだとバレてしまい母親を悲しませることではなく、その”事実”が明らかになった時、自分にも飛び火してしまうこと」だったのではないか。とちびぞうは考えたのです。

そう考えて観てみると、

  • 昔兄弟でタンゴを踊っていたこと
  • バーでの過去話(顎を破壊された男が握っていた”噂”は最後まで明かされないが、彼はギョームのことだけでなくフランシスの事も何か掴んでいたのではないか。そうでなければそこでのフランシスの暴走っぷりは完全に意味不明になってしまう)
  • トムとの暴力的で官能的な絡み(複数回)
  • トムとフランシスのベッドの配置の変化・・・(離れて置いてあったベッドが後半、隣り合っています)

などなど、全ての要素がそこ(兄ゲイ説)に繋がっている気がして仕方ないんです。
ゲイほどゲイを憎む、とも言うしね。
そう、そしてこの映画の肝である”嘘”というのは兄がついてる盛大な”嘘”ともリンクするのです!(強引)

同じ男を愛した二人はお互いの中に愛する人の姿を見て、現実ではなく虚構の関係性にハマっていく。。兄は支配することで自分を満たし、トムはそれに順ずる(依存する)ことで満たされた(だから逃げられず戻ってしまうんです)。

しかし後半のサラの登場やバーでの昔話などによってようやくトムは現実を見る決意をする。傷を舐め合っていても仕方がないんだと、過去との決別、再出発をするわけです。

・・・と、そういう解釈・裏設定があると切ないじゃないですか!っていうちびぞうの妄想でした。

まとめ

上の方でも書きましたがTシャツの文字が象徴していることがテーマなのは明らかなので・・・監督は特に兄ゲイ説を意識してなかったかもしれないですね。
ジャンルはサイコサスペンス、だし。

しかしこういう見方が出来る余地が”隙”なのか”深み”なのかは分かりませんが、とにかく楽しく夢中で観れたことは確か。

映像の美しさ、ドラン監督の美しさ、脚本の凶暴さ・・・好きな人はハマること間違いなし。

『Mommy/マミー』で使われていた画面アスペクト比のテクニックもまた見れたし、ファンとしては感動しました。
やっぱりドラン監督は凄いのだ!!

というなんとも雑な感じで〆ます。笑

ああ早く監督の次回作が観たい!!!絶対に劇場で!

 

 


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○○な映画まとめ

絶対に【恋人と観てはいけない映画8選!】気まずい。

どうも、ちびぞうですー!

そろそろクリスマスに向けて恋人たちが色々とデートの計画を立てたり立てなかったりしている時期だと思います。

今年もくりぼっちなちびぞうが、そんな恋人たちが「おうちデート」をする時に間違って

「鑑賞後気まずい空気が流れてしまう」映画を選んでしまわないように、

【恋人と観てはいけない映画8本】

を選び抜きました!!簡単なあらすじとどう気まずいのかを一言添えて紹介。

対象作品はこんな感じ。

  • 普通の恋愛映画っぽいジャケット
  • 普通の恋愛映画っぽいタイトル
  • タイトルとジャケットからは想像出来ない突飛な展開、鬱展開
  • 作品の面白さとは別に「恋人と観ると鑑賞後気まずくなる」

恋人と観て気まずい空気が流れないよう、クリスマスデートには借りないように気を付けてくださいねー!

ブルーバレンタイン

ラ・ラ・ランドでも有名なライアン・ゴズリングさん主演作。

●おおまかな内容
【主人公とヒロインの出会ってから恋に落ちるラブラブな蜜月期と、結婚7年目の冷め切った倦怠期が交互に描かれる、過去と現在が入り混じる愛情の変化が切ない異色作】

この説明だけで分かりますね、カップルで観ると「その暗い未来」を予想させてしまうような鬱な気持ちに二人で落ち込んでしまうこと間違いなしです。

ドン・ジョン

これまたスカヨハとジュリアン・ムーア、そしてジョセフ・ゴードン=レヴィット主演(監督)作品という豪華な一本!

●おおまかな内容
【AV中毒、自慰中毒なスーパープレイボーイが二人の女性の間で揺れたり、真の愛を見つけたり見つけなかったりする男性の性事情に対する本音が赤裸々な作品】

何が気まずいって主に赤裸々な部分。パートナーに対し「自分もこんな風に思われてるのかな・・・」という不安は持ちたくないもんですよね(笑)こういう赤裸々なところをあけっぴろげに出来るカップルは素敵だと思いますが・・・きっと一般的には隠したいところが見えている作品だからこそ注意が必要!

胸騒ぎの恋人

カナダの天才、グザヴィエ・ドラン監督、主演のアーティスティックな作品。

●おおまかな内容
【ストレートの女性と、ゲイの男性が同じ二コラという男性を好きになるという一風変わった三角関係が描かれます】

当人同士、もしくはこういう状況に陥った人でなければ理解しづらい恋愛模様、しかも二コラを愛する二人もちょっと距離感が特殊・・・共感できる人はあまり多くはなさそうです。

愛、アムール

ミヒャエル・ハネケ監督作。

●おおまかな内容
【突如病に倒れてしまう妻を長年寄り添って来た夫がお世話する。老々介護のリアルが描かれている臓腑に重たいハードな作品】

ハネケ監督と言えばこのブログでも何度も書いてるように「鬱な映画」で有名な監督。アオリには「至高の愛の作品」とありますが、よくある感動ものとは全く違います!決して気軽に手を出してはいけません。

トゥー・ラバーズ

アイアンマンのヒロインでも有名なグウィネス・パルトロウ主演作!

●おおまかな内容
【婚約者に捨てられ躁うつ病になり自殺未遂をした男が、正反対の魅力を持つ二人の美女の間で揺れ動く恋模様を描く】

一言で言えば「同時進行複数形!」です。とても味わい深い作品ではありますが、恋人とハッピーな気持ちで観たい作品かと言うとそうではない・・・ちょっと主人公の状況からしてちょっぴり胃もたれしてしまうかも。

愛してる、愛してない・・・

『アメリ』で有名なオドレィ・トトゥ主演作!

●おおまかな内容
【一本のバラをきっかけに恋をした男性の”ストーカー”と化してしまうヤンデレ女子の恐怖を描いたサスペンスストーリー】

アメリのイメージが強いこの女優さん×このパッケージ!「純愛ものかな?」と思って観るとしっぺ返しを食らってしまいます!!!

テイク・ディス・ワルツ

奇遇にも、上で紹介した『ブルー・バレンタイン』のミシェル・ウィリアムズ主演作・・・。

●おおまかな内容
【結婚5年目に起きる夫婦の変化。旅先で出会った青年に心惹かれるヒロイン、帰宅するとなんとその青年が自宅の向かいに住んでいると知り禁断の関係へと踏み出してしまう】

いわゆる不倫もの。奥さんの方が青年と火遊びするストーリー。これも決して軽い作品ではなく、夫婦関係の危うさにメスを入れている重めの作品。カップルでの鑑賞後、溜息が漏れてしまうでしょう。

それでも愛するバルセロナ

スカヨハ、そしてペネロペ・クルスという二大美女が共演!!

●おおまかな内容
【夏のバルセロナ、女友達と二人でバカンス。そして出会ったイケメン芸術家に二人して恋に落ち、更にその元奥さんまで出てきて大混乱なコメディもの】

コメディと言ってますが、まず二人そろって同じ男に恋をしてその両方と関係を持つ芸術家だとか、そこに出てきた元奥さんと三人で愛し合っちゃおう!みたいな「ザ・おフランス」的、恋に狂った人たちの価値観が遠すぎて、置いてきぼりになってしまうので笑いとは程遠い・・・。少なくとも日本人の感覚にとっては複雑すぎます。

 


以上、ちびぞう厳選の【恋人と観てはいけない映画8選】でした!

 

メリークリスマース!!!!

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映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』ネタバレ&感想

もういちど輝くために、 もういちど愛されるために、 すべてを手放し、羽ばたこう。

アカデミー賞で作品賞・監督賞・脚本賞・撮影賞を受賞し、その他主演男優賞などでも多数ノミネートをされたアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督×マイケル・キートンの、なんとも表現しにくい作品(笑/特にジャンルが)。アカデミー賞以外でも多数の映画賞を受賞している非常~~~~~に評価が高い作品です!

イニャリトゥ監督と言えば、レオさんがよ~~~~やくアカデミーを獲った『レヴェナント 蘇りし者』なんかの記憶が新しいですね!それ以前の作品では『バベル』くらいしか観ていなかったんですが・・・私的にはあまり好きな監督さんではなかったという・・・。

しかし、今作にはなかなか唸らさせられました。

パンフはこんな感じ!

激お洒落!!!!58ページで税込み860円という値段に見合う分厚さです。

珍しく左開き。最後の方に配給の20世紀フォックスの子会社である「フォックスサーチライトピクチャーズ」の紹介(どんな映画を配給しているか)等の情報ページもあってなかなかにボリューミー。

【映画情報】

【原題】Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance)
【制作国】アメリカ
【監督】アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
【脚本】アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、ニコラス・ヒアコボーネ、アレクサンダー・ディネラリス・Jr、アルマンド・ボー
【製作】アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、ジョン・レッシャー、アーノン・ミルチャン、ジェームズ・W・スコッチドープル
【撮影監督】エマニュエル・ルベツキ、ASC/AMC
【プロダクション・デザイナー】ケヴィン・トンプソン
【編集】ダグラス・クライズ、スティーヴン・ミリオン,A.C.E
【キャスティング】フランシーヌ・メイスラ―,CSA
【衣装デザイナー】アルバート・ウォルスキー
【ドラム・スコア】アントニオ・サンチェス
【製作総指揮】クリストファー・ウッドロウ、モリ―・コナーズ、サラ・E・ジョンソン
【出演([]内は役名)】

  • マイケル・キートン[リーガン]

  • ザック・ガリフィナーキス[ジェイク]

  • エドワード・ノートン[マイク]

  • アンドレア・ライズブロー[ローラ]

  • エイミー・ライアン[シルヴィア]

  • エマ・ストーン[サム]

  • ナオミ・ワッツ[レズリー]

  • リンゼイ・ダンカン[タビサ]

  • メリット・ウェヴァー[アニー]
  • ジェレミー・ジャモス[ラルフ]
  • ビル・キャップ[クレイジー・マン]
  • ダミアン・ヤング[ガブリエル]

【公開日(日本)】2015年4月10日
【上映時間】120分
【配給】20世紀フォックス映画
【映倫区分】PG12
【IMDB】7.8/10.0  (およそ462,200人の評価)

【あらすじ】

かつてスーパーヒーロー映画「バードマン」で世界的な人気を博しながらも、現在は失意の底にいる俳優リーガン・トムソンは、復活をかけたブロードウェイの舞台に挑むことに。レイモンド・カーバーの「愛について語るときに我々の語ること」を自ら脚色し、演出も主演も兼ねて一世一代の大舞台にのぞもうとした矢先、出演俳優が大怪我をして降板。代役に実力派俳優マイク・シャイナーを迎えるが、マイクの才能に脅かされたリーガンは、次第に精神的に追い詰められていく。【引用元:映画.com

【感想(ラスト部分のネタバレ有り!)】

☆3.3/5.0

演出の面白さ!

まず最初にウキウキしたのはノートンさんとの舞台上での練習シーン!あんな風に、熱のこもった演技のやりとりしてみたい!って興奮してしまいました!!
次にウキウキしたのは、超絶カッコいいジャズドラムと台詞のセッション!!登場人物が喋るタイミングに合わせてドラミングする人のシークエンスが挟み込まれるんですが、リズミカル過ぎて観ながら肩が揺れてしまいましたよ恥ずかしい!あんな音響効果初めてでほんとにワクワクが止まりませんでした!!

脚本の面白さ!

バードマンというドッカーン!バコーン!!的な大衆向けヒーローモノ映画でかつて人気者になった俳優が落ちぶれ、過去の栄光に縛り付けられながらも演技派の役者として成功したいと葛藤する!この今時のハリウッド映画を皮肉るようなシナリオもたまらんんんんんん!!!と唸らせてくれました。
超能力があるように見えて本当はないのかも?どっちだーーという演出も好きだし、もはや亡霊のような扱いのバードマンも良い味出してます。
主演の人がバットマンだったことを知らなかったので本当に悔しかったなぁ。知ってたらもっともっと楽しめた。

残念だった点

さてここまではとっても好意的に書いてきたんだけども、しかし!

しかしだ!

どういう意図でこの作品が作られたのか後半からよくわからなくなってしまった。。この映画が何故アカデミーに気に入られたのか、納得した〜と思って観ていたのに。
まるで最後の最後で怖くなって結末を観る相手に委ねたように感じられて、途中の皮肉や風刺のような表現が全てなくても良かったもののように感じた(少なくとも私は)。

もしラストで死んでしまうならば、バードマンとの決別は意味をなさないですよね。せっかく、批評家を”本気で”仕事させるのに成功したのにも関わらず…筋が全く通らなくなるような気がして仕方がない。決別したように見えて、結局実弾に頼ることしかできなかった自分を嘆いたのか。どうにもしっくり来ない。
大衆向け娯楽映画を批判しすぎて反感買うの嫌だから中途半端にボカしたようにしか見えないんですよねぇ…本当に残念だ。
(本当はスコアは5.0から始まったんですが3.3まで落ちてしまった・・・)

まとめ

しかしながらこの作品は観る人によって本当に意見が変わるし、生きてた派死んでた派(死んでた派の中にもいつどのタイミングで死んだかで派閥がある)超能力使える派使えない派と議論が絶えません!!
周囲に語り合える映画好きがいる人にとっては、鑑賞後とても有意義に過ごせる映画であることは間違いないと思います(*’ω’*)

 

余談ですが、この映画を観たあとマイケル・キートンが「バードマン」に扮する『スパイダーマン/ホームカミング』を鑑賞すると色んな意味で楽しくなると思います(笑)

MCU参戦!映画『スパイダーマン : ホームカミング』ネタバレなし感想

 

 


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危険に歪んだラブストーリー。映画『ピアニスト』ネタバレ&感想

「知的な顔でクソ同然の中身か」

出ましたー!

鬱な映画で検索すると必ず名前が上位に上がる、ミヒャエル・ハネケ監督の至極のラブストーリー!!(笑)

そして主演は、最近「ELLE」でも怪演を見せていたイザベル・ユペール!こじらせた中年女性を演じさせたら彼女の右に出るものはいません!!!

→関連「倫理観が崩壊する不条理スリラー。映画『エル ELLE』感想

対する相手役は、なかなかハリウッドではお見掛けすることの少ない、ブノワ・マジメルさん・・・。今作で一目惚れした俳優さんです。

そして最初に、「好きだと言えば人格が疑われそうな映画ばかり好きですいません」と平謝りしときます。

【映画情報】

【原題】La Pianiste
【制作国】フランス、オーストリア、ドイツ
【監督】ミヒャエル・ハネケ
【脚本】ミヒャエル・ハネケ
【原作】エルフリーデ・イェリネク
【製作】ファイト・ハイドゥシュカ
【製作総指揮】イボン・クレン、クリスティーヌ・ゴズラン、ミヒャエル・カッツ
【撮影】クリスティアン・ベルガー
【美術】クリストフ・カンター
【音楽】フランシス・ヘインズ
【出演([]内は役名)】

  • イザベル・ユペール[エリカ]
  • ブノワ・マジメル[ワルター]
  • アニー・ジラルド[エリカの母親]
  • ウド・ザメル[Dr.ジョージ]
  • アンナ・シガレビッチ[アンナ]

【公開日(日本)】2002年2月2日
【上映時間】132分
【映倫区分】R15+
【配給】日本ヘラルド
【IMDB】/10.0  (およそ人の評価)

【あらすじ】

エリカは、国立音楽院の厳格なピアノ教授。学生ワルターは彼女に恋して授業を受けるが……。【引用元:映画.com

【感想】

☆4.3/5.0

びっくりするほどあらすじが短い!!!(笑)

引用させてもらうのも気が引けるほどの短さですな映画.comさん(笑)

簡単にあらすじを

主人公のエリカは処女をこじらせたような中年女性。母親からの過干渉される日々を経て、倒錯的な性癖?に目覚める。ピアノの教え子であるワルターに求愛され、彼にその倒錯的な欲求を満たしてもらおうとするが、拒絶されてしまい・・・

 

という感じの非常に危険な香りのする物語。倒錯的な欲求というのはいわゆるSMで言うところのマゾ趣味ですね。R15+だからここから先は大人だけ!(と言ってもそんなハードな感想書けません)

そして感想

行き遅れアラフォー女子とプルシェンコ似のケツアゴ美青年との年の差恋愛をアブノーマルかつヒステリックに描いたキュンキュンラブストーリー!!!(当社比)

↑つまり私にとってはこういう作品に見えているよ、という叫び。

オープニングのワンシーン挟みながらのクレジットがお洒落で惹きつけられる演出はさすがの一言。ピアノをガチで弾いてるキャスト陣の身を捧げた演技も本当に良い!

そして物語。
前半のエリカの、彼に対する「気持ちに素直になれないけどあからさまに嫉妬しちゃう、拒絶しつつも露骨にお洒落しちゃう」という少女さが不気味可愛い…。
そこに王子様のような紳士的で笑顔が煌めく彼の猛アタックよ……正直トイレでのキスシーンはキュンしすぎて叫び声を上げずにはいられませんでした。家で一人で観てて良かったと本当に思った。

主人公の狂気性

正直ドMなだけなら特殊な性癖を持ってるだけで全然病気と言うほどでもないじゃんという気持ちで観ていたけども、母親に気持ちをぶちまけるシーンで初めて彼女の”狂気”に気付いた。
抑圧され統制された生活を小さな頃から送ってきたんだろう。父親がいないことも原因の一つかもしれないけど、母親との歪んだ関係ってつくづく人格に問題を起こさせるなぁと悲しい気持ちになる。
(『ブラック・スワン』の主人公も似たような境遇だった。昇華の対象に人ではなくバレエを選んだという違いはあれど、ラストの余韻も似たような印象を受ける)

→関連「衝撃の映画体験!ナタリー・ポートマンの『ブラック・スワン』感想

惹かれあいながらもすれ違う二人

そして、惹かれ合いながらもすれ違う2人…。

ここからは勝手な解釈だけど、主人公はなんちゃってドMだったんだと思う。妄想はしていたけれど、問題はもっと別のところにあってそれに気付けないまま誤った方向に進んでしまったのかな、と。
そして彼の方はというと、実は隠されたSの素質を彼女によって見出されてしまったのではないか?このレビュー冒頭の台詞も彼の言葉の抜粋だけども、手紙を読んでからの彼の言動は仮にも愛した女性に対するものとは程遠い違和感を覚えた。元が紳士的?だし余計に。だからこそ戸惑い、突っぱねてみたり、押し入ってみたり、自分でもわからない感情に流されるままに行動してしまったんだろう。もちろん彼女の希望に沿いたいというのもあるかもしれない、だけどそれだけでは嫌悪したという言葉からは想像できない身の切り替え方をしてると思う。
そう考えると最後の演奏会で会った時の態度も頷ける気がする(これからうまくいけると思った?)。でも彼女の方は絶望している…っていう切なさ。

まとめ

もちろん私が書いてきたのは全て推測(というかほぼ妄想に近いですが)だから他の人と”解釈の相違”があってもそれはそれで良し!!

いわゆるスルメ系映画な気がするので、一度目と二度目でまた感想が違ってきそうな気がするのも楽しいですね。

ぶっちゃけこの作品を苦手に思う人の方が圧倒的に多いと思うので、決してオススメは出来ません。ちびぞうのパーソナル・ラブ映画といったところなので、注意が必要です。

だからこそ、この映画が好き!と言える人とは親友になれる・・・そんな作品です(笑)

 

それにしても「精神の黄昏」「シューベルトの譜面が持つ極端さ」などなど、うまいこと序盤に蒔いた伏線を咲かせて散らす、見事なハネケ節でありました。
大好き!!

 

 


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30年越しの新作!『ブレードランナー2049』ネタバレ&感想

誰かを愛する為には、時には他人にならねばならない―――

来ましたー!2049!

映画館で間に合いました!ゴズリングさんは『君に読む物語』『ラースとその彼女』で大好きな俳優さん。最近は『ラ・ラ・ランド』での活躍もありましたね!

→関連「賛否両論!?映画『ラ・ラ・ランド』ネタバレ無し感想

パンフはこんな感じ。46ページと分厚くて四角くてディズニーのアニメパンフっぽいです。

お値段は税抜き760円。まぁ普通ですね。

これは今回の主役、Kが乗っている車。最高にハイセンス。

中身も、今作のオリジナル用語の解説や、前作から何が起きていたかの年表などもあってこの世界観を深く理解する手助けが沢山!

監督も、『プリズナーズ』や『複製された男』などのドゥニさん。結構好きな監督さんなので映像表現にも期待です。

→関連「先が読めない!異色のサスペンス映画『プリズナーズ』ネタバレ&感想【前編】

【映画情報】

【原題】Blade Runner 2049
【制作国】アメリカ
【監督】ドゥニ・ヴィルヌーブ
【脚本/原案】ハンプトン・ファンチャー
【脚本】マイケル・グリーン
【製作】アンドリュー・A・コソーヴ、ブロードリック・ジョンソン、バッド・ヨーキン、シンシア・サイクス・ヨーキン
【製作総指揮】リドリー・スコット、ビル・カラッロ、ティム・ギャンブル、フランク・ギストラ、イェール・バディック、ヴァル・ヒル
【共同製作総指揮】イアン・マッグローイン、オーサ・グリーンバーグ、
【共同プロデューサー】カール・O・ロジャース、ダナ・ベルカストロ、スティーブン・P・ウェグナー
【撮影】ロジャー・ディーキンス、ASC、BSC
【プロダクション・デザイン】デニス・ガスナー
【視覚効果監修】ジョン・ネルソン
【衣装デザイン】レネー・エイプリル
【音楽】ハンス・ジマー、ベンジャミン・ウォルウィッシュ
【出演([]内は役名)】

  • ライアン・ゴズリング[K]

  • ハリソン・フォード[リック・デッカード]

  • アナ・デ・アルマス[ジョイ]

  • シルヴィア・フークス[ラヴ]

  • ロビン・ライト[ジョシ]
  • マッケンジー・デイヴィス[マリエッティ]
  • カーラ・ジュリ[アナ・ステライン]
  • レニー・ジェームズ[ミスター・コットン]
  • デイヴ・バウティスタ[サッパー・モートン]
  • ジャレッド・レト[ニアンダー・ウォレス]

【公開日(日本)】2017年10月27日
【上映時間】163分
【映倫区分】PG12
【配給】ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
【前作】新作に向けて復習しよう!映画『ブレードランナー(1982)』ネタバレ&感想
【IMDB】8.4/10.0  (およそ145,000人の評価)

【あらすじ】

2022年にアメリカ西海岸で大規模な停電が起きたのをきっかけに世界は食物供給が混乱するなど危機的状況を迎える。2025年、科学者ウォレス(ジャレッド・レトー)が遺伝子組み換え食品を開発し、人類の危機を救う。そして、元捜査官デッカード(ハリソン・フォード)が突然行方をくらませて以来30年の月日が流れた2049年には、レプリカント(人造人間)の寿命に制限がなくなっていた。【引用元:シネマトゥデイ

【感想(おもきしネタバレしています)】

☆3.8/5.0

結構、好き。これ。

一言で言えば、『テクノロジー!』

本当に、最先端のテクノロジーを感じます。映像表現の最高峰って感じ。

きっと、1982年に公開された前作も、当時の人たちにはきっと「最先端」を感じさせるような映像表現だったんだろうなぁ。

スパイク・ジョーンズ監督、ホアキン・フェニックス主演の『her/世界でひとつの彼女』で、現実で言うところのiphoneのsiriさんと恋しちゃう男の話があって、あれもかなり最先端だなー!と思ったんですが今作は更にそれよりも磨きをかけて最先端です!(何回最先端って言うんだ)

レプリカント(人造人間)であるKが、話し相手であり恋仲としてそばに置いている女性はなんとホログラムのバーチャル彼女!その名もジョイ!

もはや人間×人造人間ではないんですよ!

人造人間×機械の恋なんですよ!最先端!!

そして、二人が結ばれるシーンはものすごく印象的。その辺に歩いている娼婦(実際はただの娼婦ではないけど)を連れてきて「彼女と同期すればあなたに抱いてもらえる」という発想!

実際の人間にホログラムの彼女を重ねて、口付けするシーンはもう・・・眩暈がするほど最先端(6回目)。

なんだなんだ。何を見せられているんだ私は。ロマンチックすぎる。切なすぎる。

その他にも、あまり現実味はないんですが未来を感じさせる映像が津波のように押し寄せます!ラストで敵とドタバタする謎の波打ち際とか、地球なんだけど宇宙みたいで怖い。なにここどこなの。おじさんがおぼれちゃう!

Kがデッカードに会いに行ったあと、エルビスなどの古き良き歌手がホログラムで歌って踊るホール(誰もいない)で撃ち合いをするシーンも最高にハイセンスでしたね・・・。

それから、Kの記憶として子ども時代の映像が出てくるんですが、その子ども時代に過ごしていたであろう場所が「階段×ごちゃごちゃしたむき出しの鉄パイプ×焼却炉」のハイブリッドで、工場萌え属性の私を最高に興奮させてくれました。

本当にドゥニさん天才だよ・・・

人造人間が人間を超えていく表現

実はこのテーマは前作でもあったんですが、「人造人間であるレプリカントの方が人間らしさを見せる」というのがこのシリーズの良さであると思っています。

今回は、Kがより人間らしくなり、人なら誰しも一度は妄想するであろう

「この世界の主人公ってま、まさか俺じゃん!?」

という状態に。

(”史上初の奇跡の存在、人間とレプリの子ども”が自分では、と勘違いする場面ですね。本当は子供は男の子ではなく女の子だった)

しかし実際は違うよーんという悲しい現実にガックリと肩を落とす。

これは人生で本当によくある事だと思います。「自分は特別な存在」だと期待する思春期を経てから、社会に出て「自分はたくさんいる人間の一人でしかなく、とてもちっぽけな存在なんだ」と気付く。それはとても人間らしい気付きであり、成長でもあると思うんですが、Kはこの映画の中で人造人間ながらその成長を我々に見せてくれます。

本当にね「自分だと思ったのね?」とか、やめたれよwwと思うんですが(笑)

それでも、「正しいことの為に死ぬのが人間らしさ」という言葉にある意味気持ちを持ち直した彼は、人間らしく「自分は何者なのか」という疑問と絶望を乗り越えたのかなと。感じました。

前述した機械の恋人であるジョイが「彼女は機械でしかなかった」と見せつけられるシーンもあって、人造人間であるKの人間らしさがより際立つ演出になっていて良かったなと。

人間ではないのかもしれないけど、機械ではない。限りなく人間に近い何かは、いずれ人間を超えていく。

そんな最先端なヒューマンドラマ・SFロマンを見せつけてくれましたね!本作はね!

前作ファンにも嬉しい要素もりだくさん

あんまり細かいことには気づけていないと思うんですが、まずオープニングでKがレプリを撃つシーンでは、壁をぶち抜くというシークエンスがありました。

前作のオープニングでも同じように壁をぶち破ってましたね!

同じデッカードというキャラを同じ俳優が演じるというファンなら垂涎モノの演出ですが・・・(そしてその彼が相変わらず弱いところも良い(笑))

なんと!前作のヒロイン・レイチェルが当時とほぼそのままの姿で登場します!!

いやぁ美しかった。CG技術すごい・・・。最近、スターウォーズでも亡くなった俳優さんをCGで再登場させるというのがありましたが・・・。CGも使いようによっては上手い演出になりますね・・・。

まとめ

ありがちなストーリー運びを裏切るちょっとした仕組みがあって、退屈知らず。

前作から引き継いだ”謎の間”が若干の中だるみを感じさせるので、苦手な人はひっじょーーーーに長く感じるかも。

それと、一度この世界観を冷めた目で見てしまうと大体の物が「ギャグ」っぽく見えてしまう可能性もあるかと(笑)デッカードおじさんが溺れかけるシーンは結構ね、来ますね(笑)

 

しかし、一度は観ておいて損はない映像美と音楽と切なさがあります。ぜひとも映画館で!!

落書きファンイラスト

最後に、ちょちょっと描いたちびぞうの絵を載せておきます。

ジョイちゃん可愛かったなぁ・・・

 

 


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