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なぜ15年も監禁されたのか。映画『オールド・ボーイ』ネタバレ&感想

お前は誰だ!? なぜ俺を15年監禁した!?

ずっっっと前から名前は知っていた有名な作品。

ちびぞうは昔からハリウッド系ばかりで邦画含めアジア系の映画はほとんど観ておらず、韓国映画も『箪笥』『悪い男』『誰かがあなたを愛してる』『私の頭の中の消しゴム』『母なる証明』くらいしか観た事がないんですよねー。両手で数えられるってすごい…。

あ、最近『殺人の告白』も観ましたね。特に理由はなく食わず嫌いしていたので、最近はちょくちょく気になるもの、オススメされるものは観ています(*’ω’*)b

”22年目の告白”の原案!映画『殺人の告白』感想&ネタバレ

ちなみに監督は鬱映画で有名?なパク・チャヌク監督…。今作は復讐三部作と題された三本の作品のうちの二作目に当たるようです。

【映画情報】

【原題】올드 보이
【制作国】韓国
【監督】パク・チャヌク
【脚本】ワン・ジョユン、イム・ジュンヒュン、パク・チャヌク
【原作】土屋ガロン(作)、嶺岸信明(画)『ルーズ戦記 オールドボーイ』
【製作】キム・ドンジュ
【撮影】チョン・ジョンフン
【美術】リュ・ソンヒ
【音楽】イ・ジス、チェ・スンヨン、シム・ヒョンジュン
【出演([]内は役名)】

  • チェ・ミンシク[オ・デス]
  • ユ・ジテ[イ・ウジン]
  • カン・へジョン[ミド]
  • チ・デハン[ノ・ジュファン]
  • オ・ダルス[パク・チョルン]
  • イ・スンシン[ヒョンジャ]
  • ユン・ジンソ[イ・スア]
  • キム・ビョンオク[ハン警護室長]
  • オ・テギョン[デス(高校時代)]
  • ユ・イラン[ジュファン(高校時代)]
  • アン・ヨンソク[ウジン(高校時代)]

【公開日(日本)】2004年11月6日
【上映時間】120分
【配給】東芝エンターテイメント
【映倫区分】R15+
【IMDB】8.4/10.0  (およそ412500人の評価)

【あらすじ】

理由も分からないまま15年間も監禁されていた男オ・デス。突然解放された彼の前に謎の男ウジンが出現、5日間で彼が監禁された理由を解き明かせと迫る。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレもあるよ!)】

☆4.1/5.0

完っっ全に食わず嫌いしてましたが、友人の強い勧めで観賞してみたら「あーら面白いじゃないの!!!こんな面白いのなんで観てなかったのばかー!」と自分に対し憤慨して反省しました(笑)

グロいシーン、痛いシーン、そして暴力シーン、倫理的にアララなシーンも大いにある、さすがR指定の作品ですねといった感じの内容でしかも後味も最高に悪いので、人を選ぶこと間違いなし!

しかし、傑作なんですよ…

おおまかなストーリー(ここからネタバレするよ!)

15年間意味もわからず監禁された男(デス)が突然解放され、監禁していた男(ウジン)が現れて「お前が監禁されていた理由を五日間で解き明かせ」と命令してくる。そして主人公は苦悩しながらその真相を探るよ!!という五日間(短い!!!)のお話です。

途中でミドという若い女性に出会い、手助けされ、恋に落ち、体を重ね、そしてついに真相に辿り着く!!!!しかし、その答えはあまりにも残酷なものだった…!!!

実は監禁の理由というのは、

高校時代にデスがウジンの姉弟での近親相姦を目撃、それをデスが言いふらしてしまったことでウジンの姉が自殺。愛する姉が死んだ原因を作ったデスに復讐しようと、ウジンが仕組んだのが今回の計画。そのおそるべき内容というのは

「デスを監禁、妻を殺害しその罪をデスに着せる。そしてデスの娘を誘拐、別人として暮らさせる。15年の年月が経った後で、親子を再会させると、二人は恋に落ち…」

そう、ミドという若い女性がデスの実の娘だったのです!!!というどんでん返しが最後に待っている。なんという恐ろしい計画!!!その事実を知らされたデスの絶望…。

ほんっとうに良くできた脚本

ドロッドロの愛憎劇で、ラスボス(ウジン)の狂いっぷりも大好きだし、オチも好きでした。台詞選びも全部好き。
ウジンというキャラが、あれほどに人を憎んで生きて、それだけが生き甲斐になって。達成してしまったら生きていく目的を失ってしまう感じも切ない。自分のことも憎んでいただろうけど、誰かを憎むことで生きてきた、といっても過言ではないですよね。

ああ切ない。

よくよく考えると主人公は単なるとばっちりじゃん?って思わなくもない…んですが。でも、自分にとって「え?そんなことで?」って思うような事でも他人をとてつもなく苦しめたり傷付けたりすることって確かにあるわけで。
だから現実的に考えるとリアリティのない、突拍子のないことしてる異次元の映画にも思えるんですが、根本の部分はとても身近にある感情なんだなと思う。そこが怖いんです。

演出もうまい。

主人公の頑なな強さを前半でしっかりと描いているから、ラスト周辺でそれが崩れた姿を見た時に「それほどまでに大切なのか・・・!」と驚愕できる。

あんなに強い印象があったデスなのに、愛する娘のために地面に這いつくばって靴を舐めたりするんですよ…!号泣ですよ。

この落差、主人公の変貌ぶりの演出がすごく上手だと思いましたね。

ここらへんは主演二人の名演技による力も大きいと思う。

まとめ

何度も言うけどほんとうにすごい映画。傑作。

だけど、だけど、どうしてもちびぞうは今一つ突き抜けて好きになれない感じもあるんです。…韓国映画特有の後味の悪さが若干苦手なのかなぁ。
いやーな感覚がつきまとう終わり方が、どうも肌に合わないのかもしれませんね。

しかしこれ、サスペンスやミステリー好きな方なら間違いなく楽しめる一本だと思う。オススメです。

きっと映画好きなら観てる人の方が多い映画ですが、未見の方にはぜひ観て貰いたい…と、こんだけネタバレしといて言います(笑)

 

 


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画像引用元:IMDB

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看守と囚人ごっこで人は狂う。映画『プリズン・エクスペリメント』ネタバレ&感想

人はどこまで残酷になれるのか―――

わーーーーしまった!これまたもアレか!スタンフォード監獄実験のやつか!

『少年は残酷な弓を射る』でファンになったエズラ・ミラーくん(最近は『ジャスティス・リーグ』のフラッシュにも大抜擢されましたね!!)に釣られて大してあらすじも読まず、

「ほうー心理実験のアルバイトね、面白そう!」

と借りてしまいました…が。

これアレです。超有名な2002年のドイツ映画『エス -es-』と同じ、実際にあった「学生を囚人と看守役に分けて2週間完璧に演じさせてみたらどういう心理的変化が起きるのか」というスタンフォード大学の心理実験を元ネタにした映画であります。エスのリメイク版はすでに『エクスペリメント』というタイトルの映画がありまして、「まぁ観たしいいか」とスルーしていたんですけども。

今作は別にリメイクというわけではなく、元ネタが同じ、ということですね。
しまったなぁ、知ってたら多分借りなかったのにな…(笑)

公式サイトはこちら

【映画情報】

【原題】The Stanford Prison Experiment
【制作国】アメリカ
【監督】カイル・パトリック・アルバレス
【脚本】ティム・タルボット
【原作】フィリップ・ジンバルドー
【製作】ローレン・ブラットマン、ブレント・エメリー、リジー・フリードマン、カレン・ローダー、グレッグ・リトル
【製作総指揮】ケイティ・リアリー、ボブ・リアリー、ブライアン・ジェラティ
【撮影】ジャス・シェルトン
【美術】ゲイリー・バルボサ
【編集】フェルナンド・コリンズ
【音楽】アンドリュー・ヒューイット
【出演([]内は役名)】

  • ビリー・クラダップ[フィリップ・ジンバルドー]
  • マイケル・アンガラノ[クリストファー・アーチャー]
  • エズラ・ミラー[ダニエル/8612番]
  • タイ・シェリダン[ピーター/819番]
  • オリビア・サールビー[クリスティーナ]
  • ネイサン・エリス[ジェシー・フレッチャー]
  • トーマス・マン[416番]
  • キー・ホン・リー[3401番]

【公開日(日本)】2017年7月19日
【上映時間】122分
【配給】AMGエンタテインメント
【IMDB】6.9/10.0  (およそ25,600人の評価)

【あらすじ】

1971年8月。スタンフォード大学心理学部のジンバルドー教授は、夏休み中の校舎を利用してある実験を開始する。その内容は、被験者として集めた18人の男子学生たちをそれぞれ9人ずつ看守役と囚人役に分けて刑務所生活を再現し、「立場」や「役割」が人に与える影響を調べるというもの。被験者たちの行動は次第にエスカレートしはじめ暴力が横行するようになるが、教授はスタッフの制止もきかず実験続行を命じる。【引用元:映画.com

【感想】

☆2.5/5.0

うーん。映画の面白さというより、これも題材の興味深さが勝ってますね。

しかも、同じ元ネタの映画をすでに観てしまっているので、驚きも特になく。基本的にエスと比較しながら観る形になってしまいました。

エスでは確か、エスカレートした看守の暴力がいきすぎて死人が出るところまで行ってしまった感じだったかな?看守役が囚人役に尿をかける、という衝撃的なシーンが非常に記憶に残っておりまして…(笑)映画を観ていて初めてちびぞうがモザイク無しの男性器を確認したのも同作品だったように思います(笑)

それと比べますと…内容は柔らかくなっていますね。今作は、肝心の看守の暴力性が顔を出すまでが早いので実験のせいなのか元々のその人の性格なのかあやふや(一応看守役と囚人約はサイコロでランダムに選ばれるけど)、しかもその暴力性の内容はぬるい(あくまでもエスと比べ)感じになっています。途中で退場も出来るし、さすがに死人は出ませんよ!

まぁ、ベッドメイクを何十回もやり直しさせられたり、理不尽に罰を与えられたりとストレスフルな扱いを囚人が受けているのは間違いなく、観ていて気持ちの良い作品ではないので注意が必要です。

今作は囚人と看守のやりとりだけでなく、この実験を行っている教授本人も「実験に飲み込まれている」という描写があったのが良かった。そして途中でその事実に気付き、「この実験はもう終わりだ」と言いに行くシーンで終わっているのもホッとします。

しかし、本当に恐ろしいなと思ったのは教授が「この実験は終わりだ」と告げても、みんなピンと来てない顔をするところ。そこで教授は「この刑務所は閉鎖する。君たちは自由だ」と言葉を変える。そうするとようやく皆は安堵の表情を浮かべるわけです。

設定に心の底からはまり込んでしまって、現実と虚構の違いが分からなくなってくる…。「役割」が人へもたらす影響力の大きさが垣間見えて、恐ろしくなりました。

逆に言えば、人は思い込むことでいくらでも違う自分になれる…という事なのかな。

今回はこれがマイナスに働く実験でしたが、プラスに働く効果もきっとあるはず。
そんな風に考えないと、怖すぎます。

ちなみにエズラ・ミラーくんは相変わらずいい演技をしていました。

でもちょっと声が特殊で耳に障る感じだったかな…。あんまり叫んでほしくない(笑)

 

 


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画像引用元:映画.com