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夫がある日、宇宙人に変わっていたら。映画『散歩する侵略者』ネタバレ&感想

世界は終わるのかもしれない。それでも、一緒に生きたい。

こんにちは、ちびぞうです!

今作は、去年に書きました『ぎふアジア映画祭』のレポ記事内で”予兆”の方を観まして。その予兆を観るのに予習した方がいいかな?と思い慌てて借りてきて鑑賞したものになります。

『第40回/ぎふアジア映画祭』行って来たよレポ!

監督はちびぞうもファンの黒沢清監督。主演は旬真っ盛り!な長澤まさみと、松田龍平。ちびぞうの大好きな長谷川博己さんも助演しています!!!

元々(原作)は舞台作品だったようですね。

公式サイトはこちら

【映画情報】

【制作国】日本
【監督】黒沢清
【脚本】田中幸子、黒沢清
【原作】前川知大(劇団イキウメ)
【製作】中山良夫、永山雅也、大村英治、大角正、薮下維也、三宅容介、大柳英樹、松田美由紀、桜井良樹
【エグゼクティブプロデューサー】門屋大輔、千葉善紀、青木竹彦
【企画プロデュース】石田雄治、藤村直人
【撮影】芦澤明子
【照明】永田英則
【録音】渡辺真司
【美術】安宅紀史
【編集】高橋幸一
【音楽】林祐介
【出演([]内は役名)】

  • 長澤まさみ[加瀬鳴海]
  • 松田龍平[加瀬真治]
  • 高杉真宙[天野]
  • 恒松祐里[立花あきら]
  • 長谷川博己[桜井]
  • 前田敦子[加瀬明日香]
  • 満島真之介[丸尾]
  • 児嶋一哉[車田]
  • 光石研[鈴木]
  • 東出昌大[牧師]
  • 小泉今日子[医者]
  • 笹野高史[品川]

【公開日(日本)】2017年9月9日
【上映時間】129分
【配給】 松竹、日活
【映倫区分】G
【関連作】予兆 散歩する侵略者
【IMDB】6.0/10.0  (およそ1,000人の評価)

【あらすじ】

数日にわたって行方がわからなくなっていた夫・真治が、まるで別人のように優しくなって帰ってきたことに戸惑う妻・鳴海。それ以来、真治は毎日どこかへ散歩に出かけるようになる。同じ頃、町で一家惨殺事件が発生し、不可解な現象が続発。取材を進めるジャーナリストの桜井は、ある事実に気づく。不穏な空気が町中を覆う中、鳴海は真治から「地球を侵略しに来た」という衝撃的な告白を受ける。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレするよ!)】

☆2.7/5.0

まずこの映画はオープニングがなかなかハイセンスだったというか、さすが黒沢清監督!!って感じでした。ちょっとうろ覚えなんですが

「オープニングの五分間で”この映画の内容はこんな感じなのよ”と表現できている作品が素晴らしい」

と誰かの言葉がありまして。この映画のオープニングはこんな感じ↓

金魚すくいのシーンから始まる。金魚を手に歩く女子高生の後ろ姿。
静かな住宅街に突然の老婆の悲鳴。勝手口から逃げようとする老婆が何者かに引きづられて玄関の中へ戻される。血まみれの家の中、女子高生が血だらけで立っている。手についた血を舐め、血だらけのまま外を出て田舎道を歩く。(まるで何気ない散歩をしているよう!)
横転するトラックと乗用車がぶつかるのをバックに笑う女子高生(立花あきら)。

「開始5分でタイトルを回収するオープニング!」

どうですか、お見事じゃないですか!?おそらく女子高生は何者か(宇宙人?)に乗り移られているんですよね!この一連のシーンはちびぞうのクソみたいな文章ではなく映像で観るとすごく格好いいんですけどね・・・説明しきれてる気がしない・・・。

おおまかなストーリー

病院に保護されたという夫(真治)を迎えに来た妻(鳴海)。夫はまるで別人のように変わってしまっていたらしい。若年性のアルツハイマーか事故による人格の変化だと医者は言う。
しかし妻は夫に対して怒っている様子。夫は最近不貞を働いていたのがバレていたかららしい。夫婦関係は終わっていると言われ夫は妻に突然「ガイドになってくれ」と意味不明なことを頼む。

「分からないことも多いし一人では道もまともに歩けない」と言う夫は天気予報の番組を観ながら動きの練習をしている(どう考えても宇宙人に乗っ取られてる!!)

桜井(長谷川博己)登場!週刊誌の雑誌記者らしい!米軍基地も自衛隊も1週間取材拒否していて、どうも何か起こっているようだと桜井は予想している。
彼はオープニングで殺された家族の取材に。そこに生き残った女子高生(立花)を探している男の子(天野)がやってきて「目的は地球の侵略」だと言われる。

夫婦(真治と鳴海)の元に鳴海の妹、明日香(前田敦子)がやってくる。親と喧嘩したので泊めて欲しいらしい。義理の兄(真治)がおかしくなってしまったので「家族」という概念について教える妹。真治が「それいいね。もらうよ」と言って人差し指を彼女の額に当てると、妹は突然おかしくなってしまう。急に帰る、と言い出す妹。

場面は変わって桜井と天野組のシーン。天野君の家に招かれる桜井。天野君のご両親は抜け殻みたいになってる。色々と”概念”を奪ったかららしい。彼らがガイドと呼ぶ人間からは奪わないと言う。
言葉の根本にある概念を奪うと、奪われた側はそれを失ってしまうらしい。(でもこれ、奪われる側の言葉の概念が間違ってたらそのまま間違って伝わるってことだよね?というかこんな子供の戯言にライターが付き合う必要なんてないのに!!!)

地球人は地球の支配者だと思い込んでるとか色々言われる。地球はほっといてもあと100年くらいで滅びるらしい。

鳴海は大きい仕事をもらえるが、上司にセクハラを受ける。

真治は鳴海の理想の夫になると宣言する。人類の前に自分(真治)のことを理解し、彼を作り直す気らしい。(ちょっとここらへん『PK』に似てるなー。人間を学んでいく宇宙人)

真治は鳴海が家から出るなという言いつけを破って近所を散歩。近くに住む男から『所有の”の”』という概念を奪う。すると結果的にその男は引きこもり状態から脱することに!(笑)
その後も散歩してたら犬にかまれる真治。やっぱりガイドが必要だと鳴海の事を信頼できるパートナーと言う。鳴海も少しずつ、変化した真治を受け入れていく。

立花さんは警察に保護されてるっぽい。彼女を見回る役の刑事もちょっとどこかおかしくなっている様子。誰か?と問われると自分は自分だよって言う。
立花さんがいる病室に簡単に入っちゃう桜井と天野。その後、意味の分からない格闘シーンが繰り広げられる。
刑事から”自分と他人”という概念を奪うと、どこか清々しい顔を見せる刑事。

立花さんと天野くんが合流すると、もう一人いる侵略者(真治)を見つけるために情報を仕入れて来いと桜井に指示する。これから通信機も作るから材料を仕入れて来いとも言われる。桜井は彼ら宇宙人の記事を本気で書くつもりになっている。

場面変わって鳴海の職場。真治は妻を締め付ける”仕事”の概念を上司から奪って彼女を救う。そこでようやく鳴海に自分は宇宙人だと打ち明ける!
元の真治は今、眠ってもらっていて、彼の記憶とかを引き継いで宇宙人が新しい加瀬真治になったと言う。彼ら宇宙人の本来の姿は地球人には見えないらしい。目的は、人間の”概念”を集めること。

桜井に厚生労働省の者だと名乗る男が近付く!新型のウイルスに立花が感染しているという話をしてくる!(でも本当に厚生労働省の男かどうか怪しい)
宇宙物理学者が自衛隊と一緒に行動しているところを目撃する。
立花が警察に見つかり、彼女は警察を容赦なく殺す!桜井は彼女たちにインチキだってキレたり、だいぶ動揺?している様子。

真治も謎の組織に追跡されて、鳴海と二人で逃げる。
真治は教会で神父から愛の概念を奪おうとするがうまくいかない。そんなもの誰にもイメージ出来ないのよと鳴海は言う。

真治は味覚も変わって、以前は食べられなかったご飯も美味いと言うように。そこに医者から「彼はウイルスに感染している」という電話がかかってくる。
(ウイルス感染を信じたとして、鳴海は彼を治療したいと思うのかなぁ。元のシンジに戻したいって思わないんじゃないかなぁ)

二人で病院に向かうと、そこには概念を奪われた人々がたくさんきていて阿鼻叫喚の図。

夫婦の元に桜井がやって来る。最初は宇宙人じゃないフリをしようとした真治、しかしガイドという言葉を聞いて態度が豹変!そこに立花と天野がやってくるー!
彼ら宇宙人の話し合いは一瞬で完了。しかし仲間と合流しても、真治は鳴海の夫でいることを選び、二人で逃げ出す。
立花は追いかける途中で車にひかれて死亡。
通信機を作る作業は桜井と天野の二人でする。桜井には別れた妻と息子がいるらしい。(ここで桜井は息子と天野を重ねたのかな?)
人類のサンプルとして選ばれた地球人は生き残れるという話を聞いて、それに志願しようかなと言う桜井。

すると厚生労働省を名乗った謎の組織の男たちがやってきてバトル!

戦いで倒れた天野の代わりに桜井が侵略開始の通信機をオンにする!笑顔を見せる桜井!
(地球の軍も桜井じゃなくて最初に無線機を破壊すればいいのに…)

桜井の働きにより、宇宙人の地球侵略が始まる。
全てが消えてなくなる前に真治の手で自分を消させようとする鳴海。自分の首を握らせて殺させようとする。しかし真治は殺せない。すると今度は愛の概念をイメージするから奪ってと鳴海は言う。
”愛”の概念を奪われた彼女は何も感じなくなってしまった。逆に真治は愛を知って感動している様子。

 

そして二か月後!侵略者は侵略をなぜか途中で終えたらしい。
鳴海には後遺症が残っている。(ここでまさかの小泉今日子がカメオ出演!)

廃人のようになってしまった鳴海に向かって真治は「ずっと一緒にいるよ、最後まで」と声をかける。

愛についてのお話

基本的には、夫婦という関係から愛について知る映画なのです。
宇宙人が、人類から愛を学ぶ。というお話。

夫婦とは何か?という問いについて、「夫婦」という肩書を大切にするのではなくその関係になってからも二人が「信頼できるパートナー」になるということに意味があるという事が言いたいのかもしれない。

子供たちに愛とは何か聞くところも面白いですよね!教会にいる神父が「愛はあなたの内側にあります」と説いていて、その神父からは”愛の概念”をうまく奪えなかったのも興味深い。鳴海の「そんなもの誰にもイメージできないのよ」っていう言葉も深い。これが真理だー!!となりますね(笑)

最終的に、鳴海からは愛を学ぶことができたわけだし、神父のおかげでそこの演出も引き立ちますね。

わりとツッコミどころも

多いんですよ。宇宙人の強さ設定もガバガバな感じがする(立花は車にひかれて死んだのに天野の方は銃に撃たれても平気そう(笑))し、謎の組織も宇宙人のこと知ってて戦いに来てるのに全然対策してない感じがしたり(概念奪われまくり)

天野が殺されても、仲間がたくさんいるって言ってたからあんまり意味はない気もしたり。。。

桜井も、二人の宇宙人と一緒に行動してて彼らに無理やりやらされているのか自分の仕事のために自分からついて行ってるのかわかりにくい!彼らを止めたいのか止めたくないのかどっち!?!?って感じがする。

最終的には天野に情が移る感じなんだと思うけど、そこに行くまでの描写がなさすぎてどうしたい人なのか分からない。自分の体に乗り移られるほどの気持ちの変化がどこで起きていたのかも分からないし。

(しかしこのラストには諸説あるようで、桜井は乗り移られていないのに自らの意志で通信機をオンにしたという説もあります。だとしても、どうしてそういう心境になったのかが謎なんだけどね)

最後の侵略のシーンも、ちょっと古臭い特撮感があったり(笑)音楽も(笑)
侵略行為って人間に対してのものだけだからもう少しスマートな方法なのかと思ったら普通に物理的に攻撃しててそこも笑ってしまった!!ほかの生物も死にそうじゃん!!

 

一番のメインである”概念を奪う”という部分に関しても、奪われた人間が廃人のようになるのがいまいち納得できず。学び直せばいいだけでは??赤ちゃんに戻ったようなもんなんだし。と思ってしまいますね、正直。

まとめ

けっこうツッコミどころ満載なんですけど、主演二人の演技は良いし、夫婦の関係が少しずつ変改していく過程も良かった。愛について学ぶというのも良かったですね。

ラスト付近で鳴海が真治に「愛を奪って」と言うシーンはなんとなく官能的に見えて、夫婦として二人が結ばれたようにも思えました。

 

ちなみに、トークショーで監督への質問に「刑事が自分は自分、と苦悩する場面があり、映画”CURE”の中で出てきた”自分は自分”という台詞の酷似しているがわざとでしょうか」というものがありましたが、監督が意図したわけではないようです。

そういう同じ監督の作品で繋がりが見えると、ついつい嬉しくなってしまうものだけど!!意外と製作側は何も考えてなかったりすることってわりとありますよねー・・・と思った瞬間でした。

 

トークイベントで観た方の予兆の感想も上げました!↓そちらもぜひご一緒に!

宇宙人から夫を守れ!映画『予兆 散歩する侵略者』ネタバレ&感想

ここまで読んで頂きありがとうございました!ちびぞうでした!!

 

 


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画像引用元:IMDB

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元祖・ピエロが襲う恐怖映画『IT イット(前後編)』ネタバレ&感想

「みんなふわふわ浮いてるよ」

どうもー!ちびぞう(@cbz_ewe)です!

今作はちびぞうが高校生の時に友達と観ようとして、「前編」「後編」と別れていたビデオの「前編」だけを借りて観たんですけども・・・「前編」は幼少時代の物語がメインで、恐ろしいホラー展開はあまりなかった記憶。夜中に観ていたこともあって眠気に負けてましたね。

結局「後編」は借りずに終わってしまったという思い出の一本・・・。

最近『IT イット ”それ”が見えたら、終わり。』というタイトルでリメイクされて話題になっていたので、どうせなら観なかった古いバージョンから観ようと思って、今回レンタルしてみました・・!!!!

これ、DVDで両面再生できるんですよ!!
「A面の再生が終わったらひっくり返してB面を読み込む」というカセットテープのような仕様・・・珍しい!!(ゲオで借りたのでツタヤの仕様はわかりません)元々映画ではなくテレビ版なので187分と長い・・・!耐えきれるのか!

主演のペニー・ワイズ(ピエロ)にはなんと、ティム・カリー。ティム・カリーと言えば伝説的カルトムービー『ロッキー・ホラー・ショー』で古田―博士を演じた俳優さんです!!白塗りピエロですが、これは楽しみですね!!

【映画情報】

【原題】It
【制作国】アメリカ、カナダ
【監督】トミー・リー・ウォーレス
【脚本】ローレンス・D・コーエン、トミー・リー・ウォーレス
【原作】スティーブン・キング
【撮影】リチャード・レイターマン
【音楽】リチャード・ベリス

【出演([]内は役名)】

  • ハリー・アンダーソン[リッチー・トージア]
  • デニス・クリストファー[エディ・カスプブラク]
  • リチャード・トーマス[ビル・デンブロウ]
  • アネット・オトゥール[べバリー・マーシュ]
  • ジョン・リッター[ベン・ハンスコム]
  • ティム・カリー[ペニー・ワイズ]
  • リチャード・メイサー[スタンリー・ユリス]
  • オリヴィア・ハッセ―[オードラ・デンブロウ]
  • ジョナサン・ブランディス[ビル・デンブロウ(12歳)]
  • セス・グリーン[リッチー・トージア(12歳)]

【公開(日本)】1991年
【上映時間】187分
【リメイク版】IT イット “それ”が見えたら、終わり。
【IMDB】6.9/10.0  (およそ95,300人の評価)

【あらすじ】

メイン州の田舎町デリーで、子どもだけを狙った連続殺人事件が発生した。その犯人が少年時代の自分たちを恐怖のどん底に陥れた謎のピエロ、ペニーワイズであることを確信したマイクは、かつての仲間たちと連絡を取り、30年ぶりに彼らと再会を果たす。【引用元:映画.com

【感想】

☆2.5/5.0

いやぁ正直、めちゃめちゃ時間かけて観てしまいました・・・トータルで5時間以上・・・途中1.5倍速も使ったのに・・・「はっ、しまった今観てなかった」と巻き戻しては止め、巻き戻しては止め・・・ツムツムをやりつつ・・・

まったく集中して観れてないやん!!!?!?!?

というお叱りの言葉、はい、とっても身に染みます。

これでも結構キングさん好きなんですけどね・・・!!

おおまかなストーリー

アメリカのデリーという田舎町で子ども達が行方不明になったり遺体で見つかったりする事件が発生、どうもその犯人は謎の怪人ピエロ・・・。
その町に暮らすいじめられっこたち7人(弟をピエロに殺された吃音症のビル、喘息もちのエディ、引っ越してきたぽっちゃりベン、ボーイスカウトのスタンリー、お喋りメガネのリッチー、マドンナ的存在ベバリー、引っ越してきた黒人マイク)が力を合わせ、一度はそのピエロを倒した。そしてもし再び奴が現れることがあれば必ずまた集まろう、と約束をした。


30年後、大人になり町を出て成功した6人へ町に残っていたマイクから電話が入る。

「あいつ”IT”が現れた。約束を覚えているか?」と。

そして再び集まったかつての仲間たち。今度こそピエロの息の根を止めてやろうと、地下水道に巣くう化け物退治へと繰り出すのであった!!

 

 

このピエロというのは、町に何百年も生きている怪人のような存在で、劇中で「ペニー・ワイズ」という名前で登場します。子ども達をたぶらかし、幻影や洗脳を使って下水道へ引きずり込んだり殺したりする悪役ピエロですね。

このキャラクターはおそらく実在した殺人鬼ジョン・ウェイン・ゲイシーが元ネタかなと思うんですけど詳しくは分かりません。

しかし、終盤になって驚いたんですけども、下水道に潜んでいるペニー・ワイズの正体というのは

SF臭漂う超巨大グモだった・・・!(何やら胸が光る)

まさかの展開でした。そして銀の塊をパチンコ(Y字の木の枝にゴムを張ったもの)で撃つと巨大クモに大ダメージ!を与えられます。あとは仲間たちが素手でぼこぼこにしたり内臓を取り出したりして倒します(なんというえげつない方法)

戦いの後遺症をそれぞれ乗り越え、再びそれぞれの人生に戻っていく・・・という感じのお話でした。

キングさんらしさ

原作のキングさんらしいなーと思うのは、『スタンド・バイ・ミー』のように子ども達が目的を持つことで一致団結する友情の部分だったり、

イット(IT)というのはピエロの道化師を指すのではなく「町全体がITなんだ」と言うように、怪奇現象の根底には町全体が関わっているといった部分。キングさんの短編作品集『8つの悪夢』でもありましたね、そんなような話が。

そしてクラシカルなオカルトホラーっぽい雰囲気を持たせつつラスボスが宇宙外生命体を思わせる巨大グモってところも『ミスト』っぽい。

他にもキングさんらしいなぁと思うところがちょいちょいありました。

ツッコミどころも

テレビサイズなので、この長さはもうどうしようもないかもしれませんが、いかんせん集中力が持たない・・・ホラー耐性・グロ耐性が高い人はおそらくあまり怖いとか感じることもないので、ピエロが襲い来るシーンでも退屈に感じてしまうかも・・・

まぁ、ホラー映画といえど”子どもが殺されるシーン、いたぶられるシーン”はほぼほぼ禁忌とされているので、メインキャラは大人になるまで死なないし、それまではピエロがちょいちょい血や風船やトゲトゲの歯を見せて脅かしてくるくらいしか見せ場がないんですよね・・・。

あとちびぞう的に、マドンナ的立ち位置であるベバリーがあまりにもみんなとイチャイチャしすぎてて(なんかビッチっぽい)と思ってしまったような。ビルとキスしたりベンとキスしたり定まらない!!!って感じで(笑)

 

結局、町全体がおかしいんだっていう部分も明かされなかったし(過去に250人以上がこつぜんと姿を消した事件について女性教師が何か知ってるっぽかったけど特にその後その件については語られなかった・・・)、ペニー・ワイズがなんだったのか、なぜあの七人は助かったのか、戦えたのか、という具体的な部分は一切謎です。あの巨大クモが定期的に餌を食べるために町の人を操って幻影などを見せて地下道に子どもを誘い入れていた、ってことでいいのかな。

良かったところ!

子ども時代に起きた怪奇現象(アルバムや洗面器が血まみれになるなど)も、子ども達の目にしか見えておらず大人は血を触りつつも気付いてない・・・!という演出が結構不気味で良かった・・・!

大人になってからは、子どもの頃のトラウマを思い起こさせるような嫌がらせの数々も結構えぐくて良かったですね。ビルには吃音症を直すために母親が何度も繰り返し練習させていた「彼はこぶしを突き出ししつこく主張した」という文章を見せたりとか。

過去に一致団結した時のように、ビルが大人になった仲間たちが逃げ出そうとするところで「戦おう。力を貸してくれ」と説得するシーンがあるんですけども、そこで子どもの頃ビルがみんなを説得していた映像が再び流れるのが良かったですね。泣けた。

 

登場人物たちそれぞれのキャラクターも、個性があって良かったですね。
本当はビビりまくりなのにお調子者キャラだから皆の前では強気にふるまったりとか、町を出て成功した側と、町に残ってくすぶっていた人の間になんとなくある気まずさとか、童貞のまま死んでいったアイツとか・・・。


あの子ども時代があっての今があるんだなぁという過去からの繋がりも意識しつつ、しっかりと登場人物それぞれのドラマがあって、よく出来ている作品だなぁと感じました。

どうでもいい脱線(バタフライ・エフェクト)について

この映画を観ていてずーーーーーーっと、思っていたんですけど、ちびぞうの大好きな『バタフライ・エフェクト』はこの作品に相当影響を受けているな?と思いました。

どこがと言われると説明が難しいんですけど、子ども時代と大人時代が描かれる構成だったり、デブやマドンナやいじめっこがいたり、なんとなーーーーーーくなんとなく『バタフライ・エフェクト』の雰囲気を感じ取っていまして。(全くの勘違いかもしれませんが)

そのあと全てが終わって、みんなの記憶がだんだん薄れている・・・という場面でマイクが手記を読み上げているんですけど、そこで

「もうこの手記を読まないと思い出せない」

みたいな台詞があったんですよね。そしてその時のノートがこちら!!

そして『バタフライ・エフェクト』で過去の記憶を呼び覚まし、タイムスリップの鍵となるノートがこちら・・・!

似てるなーーーーー似てるなーーーーーというか同じデザインのノートに見えるなーーーー!

どちらも、ノートによって記憶が蘇るというところが共通していますよね。なんかもうこれで「あ、バタフライエフェクトの製作陣は絶対ITのファンじゃん」と思ってしまいました。

(でもこのノートは別の映画でもちょくちょく見かけるので、日本でいうところのKOKUYOのキャンパスノートと同じくらいアメリカでは大衆的なノートな可能性はあるけどね)

~どうでもいい脱線終わり~

まとめ

こういった昔の作品というのはやっぱりその時代に観るのが一番楽しめるんだろうな、と当たり前のことを思いました。昔ながらのホラーが好きな人にはいまだに楽しめる名作かもしれませんが。

とにかくもう長い!それがでかい。

リメイク版では、135分と一時間近く削られているので、そちらの方が無駄なく楽しめるかもしれません。そちらもレンタルしてきたので、近日中には感想をアップできるかもしれません~

 

 


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画像引用元:IMDB

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80年代風クリーチャー映画『ザ・ヴォイド 変異世界』ネタバレ&感想

奈落が開かれる―――

どうもこんにちは、ちびぞうでっす!!!!

こちらも、GEOさん先行レンタルの作品。
何やら未知のクリーチャーに襲われる系の、古き良きSFホラーを踏襲した作品になっているようです。

R18と書かれていたり、R15 +と書かれていたりして映倫区分がどうなってるのかよく分かりませんが、ちびぞうの個人的な見解で言えば「なぜこれがR15+以上になるのか・・・」という感じ。

【映画情報】

【原題】The Void
【制作国】カナダ
【監督/脚本】ジェレミー・ギレスピー、スティーブン・コスタンスキ
【製作】ケイシー・ウォーカー、ジョナサン・ブロンフマン
【製作総指揮】トッド・ブラウン、デビッド・ワトソン、ジェームズ・ノーリー、スティーブン・ヘイズ、ピーター・グレアム、ロス・M・ディナースタイン、ジェレミー・プラット、ミック・フォーシイ、ロン・モルナー
【撮影】サミー・イネイヤ
【美術】ヘンリー・フォン
【音楽】ブリッツ//ベルリン
【出演([]内は役名)】

  • アーロン・プール[ダニエル・カーター]
  • ダニエル・ファザーズ[父親]
  • キャスリーン・マンロー[アリソン・フレイサー]
  • エレン・ウォン[キム]
  • アート・ヒンドル[ミッシェル]
  • ケネス・ウェルシュ[リチャード・パウエル医師]

【公開日(日本)】2018年1月13日
【上映時間】90分
【配給】彩プロ
【IMDB】5.8/10.0  (およそ20,000人の評価)

【あらすじ】

保安官のダニエルは、深夜のパトロール中に発見した血まみれの男を病院に連れて行く。しかしその病院にいる人々は「人間ではない何か」に変身しようとしていた。そんな中、銃を持った中年男と斧を持った若者が病院に乱入。さらに大型ナイフを手にした白装束のカルト集団もやって来て、病院が包囲されてしまう。誰が敵で誰が味方なのかもわからないまま、ダニエルは生き残った人々を連れて脱出を図るが……。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレするよ!!)】

☆1.9/5.0

閉じられた病院、外には額に△の穴が開いてる白装束の集団、突然患者を襲い出す看護師、そして未知のクリーチャーに変貌する人々・・・そんな時に臨月の妊婦が苦しみだす!もう帝王切開するしか母子は助けられない!主人公の妻である女医は単身薬品室へ向かう・・・

武器を取りに外の車へ向かう主人公一行・・・しかし戻った時には、妻の姿はなかった。

この全ての怪異を巻き起こしたのは病院の院長で、カルト教団の教祖であり、闇の力を使いかつて亡くした娘を蘇らせようとしていた・・・!

(でもなんかその儀式で開いた異次元?に院長をタックルしたら解決したし蘇った娘クリーチャーも普通に倒されて平和になって終わる)

 

と、いう何の変哲もない(といっても話の核心に触れる部分は特に種明かしされない仕様なんですけど)よくある感じのホラー。

封鎖的な空間に追い込まれて人間同士で揉めたりなんだりって展開はゾンビ映画でもよく見る光景ですけどキャラクター同士のアツい物語があったりするわけではありません。

監督は70年代~80年代のホラーをリスペクトしていて、そのオマージュなどがふんだんに散りばめられた鋭意的な作品のようなんですが・・・。

いかんせん80年代っぽさが活かされきれてない・・・

「あーあるあるこんな感じのSFホラー」という感想を上回るものが特に何もないんですよね。

白装束のカルト教団はなんとなくKKK(実在する団体で白装束のカルト集団で有名だった)を思い起こさせるし、その額部分の布が△に切り抜かれていたり、儀式をする教祖の世界には大きな三角の山(ピラミッド?)があって、なんとなくイルミナティ(秘密結社)を連想させる感じ。。

で、別にそういうものと一切関係のない話なのかもしれませんが「意味深に演出しよう」という意図からそういったモチーフを安易に選んでる感じがどうしてもしてしまうんですよね。「どう?なんか恐ろしい秘密や謎が隠されているように見えるだろう?」って感じで。
本当に何も語る気がなく、意味深な部分を不可解な謎として残すなら、もう少しオリジナリティのあるカルト集団だったりマークだったりを考案してそれを採用すべきだったのかなと。

ぐちゃぐちゃになってるクリーチャーも、なんとなく画面が暗かったり点滅していたりで見辛い・・・。せっかくデザインしたんだから全部見せようよ!本当にそのデザインがクリーチャーとして成功してたなら真昼間に明るいところで観てもかっこよく見えたりするものだから!たぶん!
(H・R・ギーガー氏のエイリアンなんかフィギュアの状態でもかっこいいもんね)

と、いうわけで今作はちびぞうの中で佳作にもう一歩!といった感じの作品になりました。

ここまで読んで頂きありがとうございました!

 

 


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