何度斬られても、守り抜く――
こちらも三池監督が漫画「無限の住人」を実写化した作品。主演は木村拓哉。
原作も未読で、私には縁のない映画だったんですが、たまたま映画好き仲間と集まった時にこの作品の名前が挙がり、観る流れに。自分ではチョイスしないであろう作品を観る機会って、予想外に楽しめる作品に出会えたりするのでとても貴重ですね!(この作品が楽しかったかどうかはさておき)
パンフレットはこんな感じ。とっても分厚いです!
背表紙もあるよ!
なんと54ページもあります。税抜き760円ですが、とってもボリューミーなので納得のお値段。
原作者のインタビューページにイラストも載っていました♪
【映画情報】
【制作国】日本
【監督】三池崇史
【脚本】大石哲也
【製作】高橋雅美、亀山慶二、吉羽治、ピーター・ワトソン、鄭泰成、奥野敏聡、大川ナオ、荒波修
【音楽】遠藤浩二
【出演([]内は役名)】木村拓哉[万次]、杉咲花[浅野凜/町]、福士蒼汰[天津影久]、市原隼人[尸良]、戸田恵梨香[乙橘槇絵]、北村一輝[黒衣鯖人]、栗山千明[百琳]、満島真之介[凶戴斗]、金子賢[司戸菱安]、山本陽子[八百比丘尼]、市川海老蔵[閑馬永空]、田中泯[吐鉤群]、山崎努[伊羽研水]
【公開日(日本)】2017年4月29日
【上映時間】140分
【配給】ワーナー・ブラザース映画
【映倫区分】PG12
【IMDB】8.4/10.0 (およそ50人の評価)
【あらすじ】
伝説の人斬り・万次は、妹の命を奪われて生きる意味を見失った時、謎の老婆によって無理やり永遠の命を与えられ、死にたくても死ねない「無限の体」になってしまう。そんな永遠の時間を孤独に生き続けるだけの日々を送っていた万次の前に、剣客集団・逸刀流に両親を殺された少女・浅野凛が現われ、仇討ちの助っ人を依頼する。凛の姿に亡き妹の面影を重ねた万次は、用心棒として凛を守ることを決意し、凄絶な戦いに身を投じていく。【引用元:映画.com】
【感想(ネタバレもあるよ!)】
☆2.4/5.0
地雷っぽい雰囲気もありつつ、実はそこまでつまらなくもない。心配だったキムタクの演技もそんなに問題じゃないし普通に観れる(いつものキムタクって感じは拭えませんが)。そこそこ観れるけど、観終わった後で「なんだかうーん」という気持ちが残る・・・佳作にあと一歩といった感じの作品ですかね。
最近、同監督が実写化した『テラフォーマーズ』の感想を書いたんですが、大体その感想がこちらにも当てはまるような・・・そんな感じですかね。ただそれと比べればこっちの方が格段に面白いですが。
世界観・キャラクターのブレ
あくまで時代劇っぽい雰囲気を持たせていて、ファンタジー方面に100%振り切れているわけでもないのに、なぜか金髪の女が普通にいたり、ひらりひらりと宙を舞い消えたかと思えば頭上に移動してるみたいなリアリティない戦い方する女がいたりする。あと普通の人間なのに切断された腕を加工して自分の骨を武器として使う男も出てくる。絶対痛いと思うぞ!
そもそもが「不死身となった男の戦い」を描いているわけでその時点でファンタジーなんだから別になんでもありじゃないかと思えばそれでいいのかもしれないんだけど、どうもそこらへんがツッコミどころにしか見えなくなってしまうんですよね。
- 主人公の設定がブレブレ
不死身の体だけど、劇中出てくる”毒を塗られた剣”で切られてしまえばその体も弱まって死にそうになる。というか多分普通に死ねる。むしろ同じ境遇だった市川海老蔵が死んだ時点で不死身ではないのでは??と思ってしまうんですがどうなんだろうか!
- 主軸となる杉咲花ちゃんの復讐劇がブレブレ。
なぜか親の仇である福士蒼汰を目の前にすると杉咲花ちゃんの復讐心が落ち着いてしまうように見える。後半の共闘っぽいシーンとか違和感しかないし、最終的にはキムタクに誰を斬ればいいのかと聞かれ「私を殺そうとする人!」と答えるし。えっ!そうなの!?と思ってしまう(笑)
(関係ないけど杉咲花ちゃんの叫び声辛かったな・・・)
- 敵役の福士蒼汰もブレブレ
かなりえげつない事をする部下を従えているわりに、後半で彼なりの事情とかが出てきて「思ったよりまともな人、彼もまた復讐者であった」みたいな雰囲気がかもしだされる。杉咲花が彼に復讐することをためらうきっかけになるんだろうけど、ちょっとそこもしっくり来ない。前半で彼女が自分で「復讐に善も悪もない」と言い切ってしまっているからなおさら、敵にも事情があったとしてもそこは関係ない、と思わないといけないのでは。
謎が多い
結局は世界観の構築がしっかりと行われていないせいで説明不足の部分が多くなってしまうんでしょうかね。
一番重要な、なぜ不死身にさせられたのか?という部分は一切明かされずに終わるし、
戸田恵梨香と福士蒼汰の関係も謎。命をかけて福士蒼汰を守るという戸田恵梨香の立ち位置はなんとなくわかるものの、そこまで出来るならなぜあの時キムタクを殺せなかったのか・・・という謎も浮かぶ。かなりノリノリで攻撃してきて土壇場で「私無理・・・」となるあの場面は本当に不自然だった。(原作では戸田恵梨香のキャラクターの背景もきちんと描かれているので、その流れでもちゃんと納得できるらしい)
良かったところ!
- キムタクが最強!というほど強くなくかなりボコボコにされるのでそれなりにハラハラドキドキ観れる。140分というわりと長めな上映時間を気にせずに観れたの大きかった。
- 福士蒼汰くんの演技が良い。
- 戸田恵梨香の再登場シーンがアツい。
- そこそこグロい。
まとめ
台詞や展開なんかもわりとクサいなぁと感じてしまったんですが、原作をちゃんと読んでる仲間に聞いたところ「話の展開も漫画に沿っていたし、クサいと感じた場面もよく考えたら原作にもあった」とのこと(笑)
しかし不思議とクサさを感じず普通に読んでいたそうです。
これ多分、漫画の中では”その漫画の中ならではのリアリティや世界観”がしっかりと作られていて、お話にのめり込めていたからなのかなと。映画版ではそこがブレブレで、観客が置き去りにされてしまう。だから物語に入り込めずにツッコミばかりしてしまう感じになるのかな、と感じました。
原作読んでた仲間も特に批判していたわけでもないし、原作知らない私もそれなりに観れたし。そこまでダメってことではないんです。
なんとなく、惜しさの漂う作品。全体的にそんな印象でした。
あ!MIYABIの主題歌すごくかっこよかったです!!
あとこれだけ最後にどうしても言わせてほしい。
市原隼人のこのシーン、
ラオウにしか見えなくないですか!?(笑)