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正統派SFアクション!映画『マイノリティ・リポート』感想&ネタバレ

人は信じるものを自ら選ぶのではなく、選ばれるのだ。

かーなり昔に観た記憶はあるんですが、全く覚えていなかったのでテレビで再放送していたのを家族と鑑賞、テレビ版は30分ほどカットされているようだったので改めてDVDで見直してみました~。

特別編はなんとディスクが2枚!!!(笑)2枚目は特典映像らしいですねー。豪華です。

SF映画もアクションもついでにトム・クルーズの映画もあまり好きなものが多くない私なので、年月が経ってから見直すと果たしてどういう感想になるのか。

【映画情報】

【原題】Minority Report
【制作国】アメリカ
【監督】スティーヴン・スピルバーグ
【脚本】ジョン・コーエン、スコット・フランク

【原作】フィリップ・K・ディック 『マイノリティ・リポート(”少数報告”)』
【製作総指揮】ゲイリー・ゴールドマン、ロナルド・シャセット
【製作】ボニー・カーティス、ジェラルド・R・モーレン、ヤン・デ・ボン、ウォルター・F・パークス
【音楽】ジョン・ウィリアムズ

【出演([]内は役名)】

  • トム・クルーズ[ジョン・アンダートン]
  • コリン・ファレル[ダニー・ウィットワー]
  • サマンサ・モートン[アガサ]
  • マックス・フォン・シドー[ラマー・バージェス]
  • ロイス・スミス[アイリス・ハイネマン]
  • ピーター・ストーメア[エディ・ソロモン]
  • ティム・ブレイク・ネルソン[ギデオン]
  • スティーヴ・ハリス[ジャッド]
  • キャスリン・モリス[ララ・クラーク]
  • ダニエル・ロンドン[ウォリー]
  • 二―ル・マクドノー[フレッチャー]
  • パトリック・キルパトリック[ノット]

【公開日(日本)】2002年12月7日
【上映時間】145分
【配給】20世紀フォックス映画
【IMDB】7.7/10.0  (およそ423,000人の評価)

【あらすじ】

2054年のワシントン。プリコムと呼ばれる予知能力者が未来の殺人を予知、犯罪予防局が未然に逮捕することで犯罪が90%減少していた。犯罪予防局のアンダートンは最もそのシステムを信じていたが、自分が見知らぬ男を殺すことを予知され、一転して追われる身に。彼はプリコグの一人を連れて逃亡するが……。【引用元:映画.com】

【感想&ネタバレ(黒幕が誰かまで書いてるよ!)】

☆3.8/5.0

○○年前の自分どうした!?と思うくらい面白かったです(笑)

未来のスタイリッシュな映像

アクションシーン含め、この映画は全てスタイリッシュなんですが、『アイアンマン』でスターク社長がやっていたような、”空中に浮かぶスクリーンに移った映像を指先で動かし操る”という未来のコンピューターがめっちゃカッコいいです。あれやってる時絶対「自分かっこいい」ってなりそう。私ならなる!!(笑)

この映画の中のアクションシーンで特に有名なのは、縦に走る車の上を飛び移っていくシーンですよね!

あそこも映像がすごくて・・・2002年の映画とは思えないクオリティです。いまだに未来感がある。さすがスピルバーグさん。

 

ある意味タイムリープ的な要素

プリコグと言う3人の予知する”未来の犯罪”を未然に防ぐ事が出来ている近未来。四日前には予知が現れ、加害者と被害者の名前が茶色のブラウンボールに印字されて出て来る仕組み。そこから名前とプリコグたちの見た映像を頼りに場所などを特定する。

突発的に行われる犯罪は赤色のレッドボールとなり、ギリギリまで分からないことが多い。

そして捕まった犯罪者は裁判もなく逮捕後すぐにカプセルに入れられ半永久的に仮眠状態に・・・

未来を予知して未然に防ぐという仕組みが、過去に戻って未来を変える、というタイムリープ(実際に時を超えたりはしていないけど)に近しい感じがしましたね。他のタイムトラベル系SF映画にはない新しさを感じます!

脚本もすごくイイ、伏線もばっちり

もしかしたら直前で犯罪を犯すことを止めるかもしれないのに、事前に逮捕してしまうというシステムに若干の不安を覚えつつ見ていました。行っているのは特殊な能力があると言っても人間だし、もし機械だったとしても何らかの理由で間違いの結果が出ることもある。

もしこのシステムに欠陥があれば、冤罪者が生まれてしまうということになりますからね・・・。冤罪で半永久的にカプセル入りはたまったもんじゃないですよ!

すると、その不安を突くようにブラウンボール

「予防局で捜査官をする主人公を”次に殺人を犯すのはこの人!”と示してしまう!

というワクワクする楽しい展開に!!!

トム・クルーズ扮する犯罪予防局のジョン・アンダートンは

「俺が犯人だって?誰だよこいつ(未来の被害者)・・・知らない人なのに殺すはずないだろ・・・」

と思いつつも、このままでは自分は逮捕されてしまう。

逃げるしかない!!!

何故自分が!誰を殺すって!?ハメられたのか!?運命なのか!?未来は変えられないのか!?!?

と、わけも分からないまま目を変え顔を変えの逃亡劇が始まります。


結論を先に言えば、”黒幕の爺さん(犯罪予防局・局長)が過去に犯した殺人”を暴くきっかけを掴んでしまったために、主人公はその爺さんにハメられ捏造された未来の映像によって冤罪逮捕を目論まれる・・・というところが、この逃亡劇の真相でした。

そして実は最初に出て来たブラウンボール。これ、衝動殺人ならばレッドボールになるはずなんですよね。爺さんの仕組んだジョン(主人公)の犯す殺人は”衝動殺人”の予定だった。なぜなら、過去にジョンの息子を誘拐した犯人(という設定で爺さんに雇われた人)と対峙させることで、突発的に殺させるという計画だったから。

しかしボールは突発的殺人のレッドボールではなくブラウンボールだったんです!この時点で計画されている事だとハッキリ示されている・・・。こういう細かいところにも、主人公の行動との矛盾点が生まれそれが伏線となっている・・・。ううーんお見事でした。

爺さんの過去の殺人とは?なぜ逮捕されなかったのか

劇中では、政府と犯罪予防局とで利権争いが勃発していましたね。この犯罪予防のシステムを全国展開させようという取り組みの前に、司法省が待ったをかけたりしていました(そしてシステムを調べに来たのがコリン・ファレル)。

つまり、それだけ世の中を動かせる力があるシステムだということですね。

過去に、爺さんはこのシステムを確立していくために非常に強力な能力を持ったアガサ(プリコグの一人)を母から奪う必要があった。「アガサを私の元へ返せ」と言う母親を黙らせアガサを手に入れるために殺した・・・という理由での殺害だったと思います。。

そして殺した時、なぜ爺さんが犯人だと予知されなかったのか?これは、プリコグが見る”エコー”と呼ばれる現象を爺さんが利用したからでした。

エコーとは

プリコグが見る記憶の断片のようなものの中で、重複して何度も見てしまう映像がある。そういった重複映像を”エコー”と呼び、技師はそれらの重複したものは同一事件として削除してしまう。

つまり爺さんはまず、アガサの母親を”雇ったホームレス”に殺させようとします。しかし、その犯罪は予知され、予防局の人間がホームレスを逮捕する。その時現場に駆け付けた捜査官の中に若かりし日の爺さんもいました。そして、その現場で捜査官たちが立ち去った直後、爺さんはホームレスと同じ格好、手口で、アガサの母親を殺してしまうのです・・・。この予知映像があまりにもホームレスの時のものと似ていたため、技師はエコーとして記録から削除してしまった・・・。そして爺さんはアガサの記憶からもこの事件の事を消してしまった。これで爺さんの完全犯罪が成り立ってしまったんです。

爺さんはなぜ主人公を嵌めようとしたのか

ジョンがアガサに近付いた時、突然見せられた映像が上記の殺害時の映像でした。気になって調べてみるとこの映像の記録がアガサのだけ抜けている。まるで誰かに削除されたかのように。その事を局長である爺さん本人に相談してしまうジョン。これで、自分の過去の犯罪が明るみに出たらマズいと、爺さんはジョンを消すことに決めたんですねー。

自分の価値を立場や顕示欲に求めている人というのは時折、こうして人間ではないような一面を見せますよね。本当におっそろしい。

未来は変えられる、というメッセージ

ジョンが止めておけばいいのに未来の自分の犯罪現場を突き止め、その被害者に会いに行こうとする。そして、その相手が自分の息子を誘拐した犯人だと知ってしまうんですね(爺さんの捏造ですが)。そして、本当は殺す気などなかったのに、憎しみから銃を向けてしまう。やはり予知は絶対なのか――!?というところで

ジョンは引き金を引かず、「貴方には守秘義務があり・・・」と逮捕の向上を述べだす!!!この時の苦しそうなトムの演技も良いですよ。運命は自分の手で変えられる、というメッセージ性を感じるすごく良いシーンでした。

この物語の中での「マイノリティ・リポート」とは

”未来の殺人”として計上されている予知は、プリコグ達3人の予知夢が全員合致した時の物だけを指していて、その時3人の見る夢で一致しないものは”少数報告”として捨てられているんですよね。そしてその捨てられた予知の事こそが「マイノリティ・リポート」と呼ばれているものだったんです。

つまり物語の設定上、”プリコグの予知は絶対”というルールも守りつつ、人間がその隙間を突いて”未来を変えられる可能性”という逃げ道もしっかり残しているんですよね。予知夢としての確実性は低くなるけれど、プリコグが起き得ないはずの未来を別個で見ている場合、その選択だって未来に起き得たということ。つまりそのマイノリティ・リポートを人間が自らつかみ取れば、システム上選ばれるはずのなかった未来を起こすことが出来る、ということなんです。

言ってみればこれは犯罪予防としてのプリコグの欠点も指し示しているわけで。本当に良く出来た脚本だなぁーーーー!(笑)面白いですよね!

ラストシーンもお見事!

「はーい、ジョンは殺人をしなかった!未来を変えられたね良かったね!ちゃんちゃん♪」では終わりにしないところがまた良い。

最後に黒幕の悪事を暴き追い詰めて、ジョンは自らに殺意を抱かせることで爺さんを逆に嵌めるんです!

「このまま貴方が自分を殺さなければ、未来が変わりシステムの欠陥を自分で証明することになる。しかしこの場で殺せば捜査官たちが止めにやってきて、貴方は捕まります。どうしますか?」

なんていう決断を、システムをずっと支えてきた局長本人に選ばせるという!!殺す意思を見せて捕まればシステムは確かだと身を持って証明出来るがそうすると自分は刑務所(カプセル)行き!こんな絶体絶命ありますかね!相手が銃を持っている、明らかに自分の方が立場が弱いのに、それを覆せるだけの状況を作り出すという・・・ジョンも賢い!

すごいです。

まとめ

感想がめちゃくちゃ長くなってしまって笑ってしまいました。でもそれだけよく出来た作品なので、有名作ですし未見の方は映画ファンの中には少ないかもしれないですが、もしまだ観てないよって方がいらっしゃればぜひぜひご自分の目で面白さを確かめてみて下さい!

トム・クルーズとコリン・ファレル、今ではあり得ないような大物二人の共演も見どころです( ´ސު`)

 

 


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