「あなたは――本当に身勝手ね」
最近公開された『22年目の告白 ―私が殺人犯です―』を観まして、その原作となったという今作にも興味が湧いたのでレンタルして観てみました。
この作品は、同じく韓国映画『殺人の追憶』のネタ元となった「華城連続殺人事件(80年代に実際に韓国で起きた未解決の連続殺人事件)」からインスピレーション?を受けて作られた作品のようです。
韓国映画は両手の指で数えられるほどしか観ていないので、レアですね!!
ちなみに吹き替え版で観ました( ´ސު`)
【映画情報】
【原題】내가 살인범이다 (Nae-ga sal-in-beom-i-da)
【洋題】CONFESSION OF MURDER
【制作国】韓国
【監督 / 脚本】チョン・ビョンギル
【製作】イ・ヨンヒ
【音楽】キム・ウー・ドングン
【出演([]内は役名)】
- パク・シフ[イ・ドゥソク(”私が殺人犯だ”と名乗り出た男)]
- チョン・ジェヨン[チェ・ヒョング(15年前に連続殺人犯を捕まえられなかった刑事)]
- キム・ヨンエ[ハン・ジス(最後の被害者女性の母親)]
- チャン・グァン[TV局長]
- チョ・ウンジ[ガンスク(遺族の一人。ボウガンの女)]
- チェ・ウォニョン[チョン・テソク(最後の被害者女性の兄弟(兄か弟かは不明))]
- オ・ヨン[カン・ドヒョク(遺族の一人。出所した男)]
- チョン・ヘギョン[J(仮面の男)]
- チョン・スヨン[ミン・ジア(最後の被害者で現在も行方不明)]
- リュ・ジェスン[チョン・ヒョンシク(遺族の一人。男)]
【公開日(日本)】2013年6月1日
【上映時間】119分
【配給】ツイン
【映倫区分】PG12
【IMDB】7.1/10.0 (およそ5,000人の評価)
【あらすじ】
15年前に起こった連続殺人事件の犯人だと名乗り出た男、イ・ドゥソクは、時効が成立しているために無罪となった上、自分の犯した殺人について詳細に記した本を出版。その衝撃的な内容と美しいルックスが相まって、ドゥソクは一躍時の人となる。しかし、15年間事件を追い続けていた刑事チェ・ヒョングは、本の中に最後の未解決失踪事件の真相が書かれていないことに気づく。そんな中、自分こそが真犯人だと主張する人物が現れ……。【引用元:映画.com】
【感想&ネタバレ】
☆2.5/5.0
うううううううんん!!これは!!!なかなか!!ツッコミどころの多い!!!映画でしたね!!(笑)香港映画のようなノリのアクションシーンや、変にコミカルな笑いが入っていたり、そういうものが良い方向に作用するパターンもあるようですが、私には微妙でした(笑)
とりあえず映画の流れを追いながら、感想(ツッコミ)を書いていきたいと思います。
2005年初冬 時効目前 犯人を捕り逃がす
15年前の女性ばかりを狙った連続殺人犯とチェ班長との追いかけっこ&格闘シーン!マスクくらいはがしたったらいいのに!
「このババアはお前のせいで死んだんだ」
と巻き込まれた飯屋のおばさんが可哀想です。
「お前は俺の広告塔だからな」
と言って口だけ斬りつけて逃げる犯人。痛そう。
時効が成立。最後の被害者である女性(スヨン)の弟とみられる男性をチェ班長は実の弟のように可愛がってあげていたようですが、彼は犯人が捕まらなかった絶望から飛び降り自殺をして死んでしまいます。ちゃんとお葬式をあげるシーンもありました。
2年後、2007年 晩秋 殺人犯が自ら名乗り出る
私が殺人鬼です、と名乗り出た男(ドゥソク)が自伝の発表について記者会見を行う。警察に撃たれた時の傷痕やレントゲン写真も見せて証拠にする。
記者がチェ班長に群がるところにやってくるドゥソク。握手をしようと差し出された手をはたくとそばにいた拘留中の女性がドゥソクの手を掴んで離さない。
耳元で何事かを囁かれ、ジャージャー麺を投げるチェ班長(笑)ジャージャー麺て!!!
ノリが(笑)なんというかテーマの割に軽い印象です。この辺りから「なんだかコミカルだなぁ」と思い始めました。
被害者家族の復讐の会が結成される
刑務所帰りの男を女が車で拾う。どうやら女は行方不明になっている最後の被害者スヨンの母親で、犯人ドゥソクに復讐するための「被害者遺族の会」を結成する様子。
男が立ちションしていると、突然目の前に蛇が現れてそれをボウガンを持った女が撃ち殺すシーンがシュール(笑)イナバウアーというかマトリックスというか
この演出いる!?
遺族会の復讐(誘拐劇)始まる
出版した本のサイン会でキャーキャー言われたり(イケメンなので人気が出た)逆に罵倒されたり(連続殺人鬼なので当然ですね)するドゥソクさん。
終わったあとはプールでひと泳ぎ。そこに、遺族会の復讐が!!なんと清掃員に化けた遺族がプールに毒蛇を放つ!!!それしか方法なかったの?
やっぱりノリがコミカル(笑)
救急隊員のフリしてやってきた遺族達に注射を打たれるドゥソクさん。偽の救急車に乗せられ拉致される。ドゥソクさんを誘拐事件から救おうとするチェ班長。すれ違った救急車の運転手が遺族だと気付きそこからカーチェイスが始まる!
走行する車の上で行われるアクションシーンがめっちゃシュールなんですが!!
バスローブの合間から水着がチラチラしてます。
緊張感がなさすぎる(笑)
しかし結局助けられずに遺族に誘拐されるドゥソクさん。単身、暗視スコープを手に助けに行くチェ班長。停電で遺族たちが混乱している中、暗視スコープを使ってドゥソクさんを救出!!
ボウガン女に追われたりと、かーなりアクション要素が強めですね。そしてシュールですね(笑)
ドゥソク・チェ班長・真犯人と名乗り出たJとの三者討論
誘拐した遺族のことは熱心なファンと言い変え、彼らを訴える資格は罪を犯した自分にはないと言うドゥソクさん。
ついに、ドゥソクさんをゲストに迎えた討論番組が始まります。するとそこへ、「自分こそ真犯人だ」と名乗る男(J)から電話が!!その電話を逆探知すると、なんとチェ班長の自宅(ママと2人暮らし)からだった!ママが危ない!と自宅へ急ぐチェ班長。するとママは無事で、そこで一つのビデオテープを見つける。
その内容は、チェ班長の恋人だった(とここで判明する)スヨンの殺害シーンだった!!!!しかも殺す前に、警察へ電話をかけてスヨンにチェ班長の声を聞かせるという・・・なんともえげつない・・・。
「真犯人は別にいる」とチェ班長がテレビで発表するも、証拠のナイフは盗まれたものだとドゥソクさんは反論。テレビ局は、真犯人を交えた三者討論をやろうと目論みます。ドゥソクさんの会見にJの生放送を差し込み、そこで三者討論をテレビでやろうとドゥソクさんに提案するJ。それを承諾し、ついに三者討論が始まる。仮面を外してJも参加する。
生放送で顔出しちゃうんだ!!!
ついに真相が明らかに!!
Jが自分が真犯人として示したナイフの他にも証拠があった。それは、最後の被害者であるスヨンの死体の場所を教えるというもの。死体はどうやら証言通りに見つかった様子。
そしてついに、ドゥソクさんが「私は犯人ではない」と打ち明ける。本を書いたのはチェ班長で、自己顕示欲の強い犯人をおびき出す為、被害者遺族の一人である医者に手伝ってもらい時効成立時に飛び降り自殺をしたと思われていたスヨンの弟が実は整形してドゥソクとして犯人のフリをしていた・・・。と計画の全てを打ち明ける。
Jは、嵌められたことを知り
「あんたを舐めてたよ。でもとっくに時効は過ぎてる。これは何のためだ?」
と余裕。
どんでん返りからのツッコミ
どうやらチェ班長はスヨンがどうなったか聞くため、もし殺していたなら埋めた場所を聞くために、今回の計画を立てていたらしい。Jの質問に、件のビデオの映像を流すチェ班長。実はその音声の後ろで流れていたニュースの内容から、
「この時の日時はいついつで時間は何時。つまり・・・最後の犯行からお前の時効まで14分残っているんだ!!!」
と銃を向ける。
ここで泣き寝入りするフリをしてスヨン殺害に至った理由をJが語るシーンが入るんですが。これが結構えげつない。2年間も彼女を拘束した上、なんと”間違って妊娠させたから殺した”という・・・。それをしたり顔で語るJ(チョン・ヘギョン)の気持ち悪さったらすさまじいですよ!!!
さぁー!どんでん返った!ここからどうなる!?という緊張感の中、逃げ出すJ!!!
みなさん、残り14分という発言から、Jの泣き寝入りのシーンを挟んで逃亡劇が始まった、という事をよーーーーく覚えていてください。
ここからのおおまかな流れ。
- スタジオに来ていたスヨンの母親を人質にテレビ局から逃げようとするJ
- その途中、エレベーターの中でドゥソクさんとのバトルを繰り広げる
- ドゥソクさんからJが逃亡
- 警備員?が追いかけたり遺族会の人らが工事車両でJを殺そうとするも失敗
- 出前のバイクを奪って逃げだすJ
- Jを追ってチェ班長もトラックで追跡
- 高速でのカーチェイス開始!!!Jが走行するトラックのバンパー部分にしがみついて登ってくるとかいう
また無茶なアクションシーンが挟み込まれる!!! - ようやくトラックを降りて拳で殴り合うチェ班長とJ!!!
- そしてチェ班長の決め台詞「まだ3分残ってるんだ!!!」
いやうそでしょ!!!
スタジオからここまでの流れを全部、たったの11分で行ったっていうのはうそでしょ!!
DVDで観ていたんですが、思わずテレビに向かって叫んでしまいましたね。
それとも私の見逃しがあって、最初に提示した「14分」というのはJを騙すためのチェ班長の嘘だったんでしょうか?
わかりません。(笑)
ラストシーンまでの流れ
ここでドゥソクさんやら遺族の方々が追い付いてきてJを殺そうとしますがそれをチェ班長が止めます。しかし、最後に遺族会のボスであるスヨンの母が持っていた毒入りペンでJを殺したのは、チェ班長でした・・・
最後はスヨンとの思い出を回想し、Jを殺した罪で刑務所に行ったチェ班長が刑期を終えて出てきたのを遺族らが出迎えて、その口の傷はもう消しましょう。と言われ、みんなで記念撮影をして終了。
まとめ
最後のなんというか、復讐はせずに許してあげなきゃというところで殺してしまうのが韓国っぽいような気もするんですけども。その、最後の記念撮影のシーンもなんとなく不気味な後味を残していて、それはそれで良かった気もするんですけど。
あまりにもコミカルな演出と長ったらしいアクションシーンと、最後の11分間へのツッコミで大体のメッセージ性みたいなものが吹っ飛んでしまって、うーん。残念。。といった印象でした。
統一感がない、というか。うまい具合に混ぜ込んで一つの作品として成り立っているという見方もあるかもしれませんが、私にはちょっとそうは思えなかったですね。
今まで観て来た数少ない韓国映画の鬱蒼とした雰囲気を期待していたり、それから『22年目の告白』を先に見ていたせいで、やたらとシリアスな作品をイメージしてしまった、というのも良くなかったかもしれません。
しかし、個人的には『22年目の告白』の方が脚本も良く出来てて面白い作品だと感じました。今作を観ていない方でも十分楽しめるので、ちびぞうはそちらの方をオススメします!!(笑)
あっ!ただ、J役のチョン・ヘギョンの怪演は本当に素晴らしいです!!!
と最後にそれだけ叫んで〆とします(笑)