出ました!ティム・バートン監督が描く父と子の人間ドラマの傑作!
この映画には全米が泣いた!って言われても信じます(笑)それくらい泣ける映画だと思います。わりと自信あり!
劇場で観た記憶があるんですが、残念ながらパンフは無し。
【映画情報】
【原題】Big Fish
【制作国】アメリカ
【監督】ティム・バートン
【脚本】ジョン・オーガスト
【原作】ダニエル・ウォレス『ビッグフィッシュ – 父と息子のものがたり』
【音楽】ダニー・エルフマン
【出演】 ユアン・マクレガー、アルバート・フィニー、ビリー・クラダップ、ジェシカ・ラング、ヘレナ・ボヘム・カーター、マリオン・コティヤール、スティーブ・ブシェミ
【公開日(日本)】2004年5月15日
【上映時間】125分
【配給】ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
【IMDb】☆8.0/10.0
【あらすじ】
小さい頃から父(エドワード)が聞かせてくれる奇想天外な昔話が大好きだった息子のウィル。しかし、大人になるにつれてエドワードから聞かされる同じ話に辟易し、それが次第に作り話であったと気付いたウィルは父を敬遠するようになる。
ウィルの結婚式の日にもエドワードはウィルの生まれた日に”巨大な魚”を釣り上げた話で場を湧かせ、長年の不満が溜まっていたウィルは「今日の主役は父さんじゃない!」と怒りを爆発させ、そこからまた疎遠になってしまう。
数年後、エドワードが倒れたと聞き実家に戻ったウィルは、「本当の父さんを知りたい」と父の人生とはどんなものだったのか、探ろうとする…。
【感想】
★3.8/5.0
ううーん!この映画はストーリーだけでなく、映像も本当に良いんですよね!
ウィルが主人公ですが、父の語った昔話を回想するシーンが大部分なんです。エドワードの摩訶不思議な世界観がファンタジックに表現されていて、ファンタジー好きな方にも楽しめる作品にもなっているかと思います!
当時、CMでも印象的だった二つの場面。
①エドワードが若い頃、サーカスで運命の女性サンドラに出会い、一目惚れをした時の場面。エドワード以外の全ての物が止まり、空に散らばったポップコーンをパラパラと落としながら彼女の元へ向かおうとする。
②サンドラを振り向かせるために、エドワードが彼女の好きな水仙を五つの州から取り寄せて作った一万本の花畑での場面!ここでライバルにボコボコにされたエドワードは、歯に血を滲ませ爽やかな笑顔でサンドラの心をつかみ取ります。
愛にまっすぐで一生懸命なエドワードのロマンチストっぷりが素敵。
これ以外にも、ビッグフィッシュを釣り上げたエピソードから始まり、巨人の男と旅をしてみたり狼男と遭遇したり、戦地へ行けば下半身のくっついた双子の歌手に出会ったり…不思議なエピソードが次から次へと出てきて大忙しです(笑)
観客もきっと、現実と空想の境目が曖昧なエピソードの数々に「大体はホラ話だろう」と思うようになるんですよね。息子のウィルと同じように。
”本当の父”を知る旅の中で、観客とウィルは一体何を目にするのか?というところが物語の肝!
物語も映像もとても美しい映画だと思うので、未見の方には是非オススメしたいです。
以下ネタバレありで見解を語っていますのでご注意を。
この話は、父と子の和解の物語。
たくさんの不思議なエピソードも全て、終盤の父の最期のシーンに繋がっていきます。
床に臥したエドワードは、ウィルに「自分の最期の日の話を語ってくれ」と願います。「そんな話は今まで聞いたことがないよ」と最初は困惑するウィルですが、父の必死の頼みに、彼なりの”ホラ話”を語って聞かせます。
今まで敬遠していた父のように、息子がお話を…!ここのシーンでも涙腺が。許して、受け入れて、理解しようとしている、そんな風に思える名場面だと思います。
そして葬儀のシーン。ここでも涙腺崩壊しますよね。今までエドワードが語って来たファンタジーとしか思えないような不思議な人々が次々に現れる!もちろん、現実的な姿で。本当は少しだけ尾ひれを付けて聞く人が楽しいように語っていただけなのだけども、全てが嘘のように感じてしまっていた。
でも実際は、本当か嘘かなんて重要ではなくて、その人を知ろうとする事そのものに意味があって。
そして、第三者の客観的な目で父を知るという事も大切。二者関係だけの狭い世界では、自分の思い込みだけでその人を見てしまいがちですから。
それにしても、葬儀の場面でそこに集まった人々から、遺族がその人の生前の姿を初めて知る…というシーンを重要な場面に使っている映画は他にもありますが、私はそういう演出が凄く好きです。
亡くなった後にしかわからない事があるというのも、切ないですよね。
逆に、亡くなった後でもその人について知り、考えることが出来るというのは、その人の死が、人生が、亡くなったその先も続いているように思えてとても素敵。
ビッグフィッシュはエドワード自身だった…と思わせるシーンも大好き。
バートン監督、お見事です。