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ら行

感情を持つ事が悪とされる世界で。映画『ロスト・エモーション』ネタバレ&感想

マルハナバチよ。
航空力学的には飛べないのに 彼らは知らずに飛び続ける

ジャケットの裏の”感情がなくなった世界”という文章と、主演が『エックスメン』シリーズのビースト(若い時)や『マッドマックス』のウォーボーイで知られるニコラス・ホルトというその2点のみでレンタルを決めました!

彼の出演作は『ウォーム・ボディーズ』が一番好きなんですが、ほんと、青白い顔と無表情が似合うというか上手いですよね・・・(笑)

ちなみに相手役は『トワイライト』のヒロイン役で有名なクリステン・スチュアートです。私は彼女の開いたままの口と前歯が気になって仕方がないので・・・ちょっと残念なキャスティングだなぁ。

【映画情報】

【原題】Equals
【制作国】アメリカ
【監督・原案】ドレイク・ドレマス
【脚本】ネイサン・パーカー
【製作】マイケル・シェイファー、アン・ロアク、ジェイ・スターン、チップ・ディギンス
【製作総指揮】リドリー・スコット、ラッセル・レビン、イ・ジェウ
【撮影】ジョン・ガレセリアン
【編集】ジョナサン・アルバーツ
【音楽】サッシャ・リング、ダスティン・オハローラン
【出演([]内は役名)】

  • ニコラス・ホルト[サイラス]
  • クリステン・スチュアート[ニア]
  • ガイ・ピアース[ジョナス]
  • ジャッキー・ウィーバー[ベス]
  • オーロラ・ペリノ―[アイリス]

【公開日(日本)】2017年3月4日
【上映時間】102分
【配給】ツイン
【IMDB】6.0/10.0  (およそ18,300人の評価)

【あらすじ】

世界戦争によって地上の99.6%が破壊された近未来。滅亡の危機に瀕した人類は、遺伝子操作を施した感情のない人間の共同体「イコールズ」をつくった。そこで暮らす人々は保健安全局の監視下に置かれ、愛情や欲望といった感情が生まれると、「発症」したとして隔離施設へ送られ、安楽死させられる運命にあった。そんな環境下で、感情を「発症」してしまったサイラスは、同僚であるニアにも感情があるのではと気付く【引用元:映画.com

【感想】

☆3.0/5.0

私これ、好きです。ネットを見てみると結構酷評されているようですが。好きな俳優さんが出ていると評価が少し高くなってしまうミーハーなところもあるんですけども、そこを差し引いても好きです。

ヒロインのクリステン・スチュアートは、昔に比べると口を閉じていて、そんなに気にならりませんでした(笑)しかし、せっかく『トワイライト』でヒロインをやったのに、役柄が暗かったせいかその後はホラー映画で見かけたり、なんだか暗い役が多いですね。顔の作りが男性っぽいからかなぁ。

全体的に蒼白い画面

見るからに冷たくて異質で、”私たちが住んでる世界とは何かが違う”とハッキリと意識させられる、そんな画面作りになっています。

人が来ている服も基本無地で白かグレー。建物や室内も全てが白く、無機質です。

なんと建物には日本の建築家・安藤忠雄さんの建築物が使われているそうです。

ベッドもクローゼットも使わない時は壁にしまわれていて、本当に何もない、真っ白な部屋。この部屋で普通に生活している人たちの異常さのようなものが際立ちますが、この世界ではそれが当たり前。そこが恐ろしいポイントでもあります。

感情を抑えるということは

きっと、想像しているよりはるかに難しい事なのではないでしょうか。例えば本作の1シーンでもありましたが、目前に自殺者が落ちて来る場面。人の死に直面しても何も感じない人なんてほとんどいないと思います。だけど「発症」した人は、そんな場面でも動揺を表さないようにしなければいけない。

それから、この映画では「走る人」が一人もいません。あえてそう演出されているとは思うんですが、走っている人って何かを焦っていたりするんですよね。でもそういう人は一人もいない。私生活の面でも仕事の面でも常に感情がフラットなので、規律が乱れることがない。だから遅刻をする人もいなければ、何かの為に急いで走っていくなんて人もいないわけです。

だからこそ、主人公たちが窮地に陥った時、どんなに感情が急いたって、走ることすら叶わない。走ってしまえば、それだけで目立ち「発症者」だという目で見られてしまいますからね。

恋愛的な感情に限らず、あらゆる場面で常にフラットを保たなければいけない・・・相当辛いことだと感じました。その辛さを考えると、主人公の痛みがふつふつと伝わってくるようで・・・涙が出ました。

そして、抑えに抑えた感情があふれ出てしまう、サイラスとニアが初めて触れ合うシーンは神聖さがあってまるでアダムとイブのようでした。ロマンティックだし切なくて、凄く良いなぁと思ったんですけどね。それと、一度あふれ出たらなかなか抑えられなくなってしまう、というのも凄く共感できて辛い。

「発症」しても治療をせず闇感染者として生きている人たちがひそかにコミュニティを作っているんですが、そこの自助グループでの対話もすごく深くて泣けました。

終盤の展開からオチ

終盤の妊娠については簡単に予測が出来たんですが、それでニアが捕まり助けられ、別人に成り代わる事で逃げたのに、サイラスはニアが死んでしまったと誤解して感情を消す治療を受けてしまう・・・というすれ違いの展開は、彼が自殺を選ぶより残酷な展開だなと思ったのでそれも凄く良かったです。ただ単にしんでしまいました。終わり。じゃない所がいい。

「感情が消えてしまった僕も、愛し続けると約束してくれ。決して僕を諦めないと誓ってくれ」

とサイラスがニアに懇願するところなんか本当に切なくて鼻水が止まらなかったんですよ!

そしてラストシーン。感情が消えてしまったサイラスが外の世界に出ることを選んだ事自体驚きでしたが、絶望だけでない希望が残るラストでそれも良かった。

本当に絶望して終わったら、ただの後味の悪い映画になってしまいますもんね。

まとめ

ニコラス・ホルトが大好きでない貴女もきっと楽しめるはず!(笑)ニコラス・ホルトが大好きな貴女はもっと楽しめると思いますけどね!(笑)無表情からの笑顔、可愛いです。

近未来のSFラブストーリーですから、その世界観だけ受け入れることが出来れば、あとはきっとロミジュリのようなロマンティックさを楽しめる・・・はずです。

それだけではない、現代社会で感情を抑圧させられている、もしくは抑えようと努力して苦しんでいる人がいたら、ぜひとも見てもらいたいですね・・・。人間らしい生き方というか、社会のために苦しみながら我慢することって、本当に必要なのかな、という部分も少しだけ、考えられる気がします。

 

 


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