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モンスターと恋しよう。映画『シェイプ・オブ・ウォーター』ネタバレ&感想

”彼を助けないんだったら―――

私たちだって、人間じゃないわ”

『パンズ・ラビリンス』『パシフィック・リム』のギレルモ・デル・トロ監督が贈る、異種族(モンスター)との恋。

もう劇場で予告編を観た時からちびぞうは劇中の主演二人に恋してしまいましてね…

「これは名作の予感!」と映画館に足を運ばずにはいられませんでした。

パンフレットはこんな感じ。

20世紀フォックスさんと一目で分かるようになってきました(笑)

表紙を飾るジェームズ・ジーンのイラストも最高・・・!!!

50ページで税抜き760円はホクホクです。内容もインタビューが充実していて良いですね~(*’ω’*)

【映画情報】

【原題】The Shape of Water
【制作国】アメリカ
【監督/原案】ギレルモ・デル・トロ
【脚本】ギレルモ・デル・トロ、ヴァネッサ・テイラー
【製作】ギレルモ・デル・トロ、J・マイルズ・デイル
【撮影監督】ダン・ローストセン
【美術】ポール・オースタベリー
【編集】シドニー・ウォリンスキー
【音楽】アレクサンドル・デスプラ
【衣装】ルイス・ケセイラ
【出演([]内は役名)】

  • サリー・ホーキンス[イライザ]

  • マイケル・シャノン[ストイックランド]

  • リチャード・ジェンキンス[ジャイルズ]

  • ダグ・ジョーンズ[不思議な生き物]

  • マイケル・スタールバーグ[ホフストラー博士]

  • オクタヴィア・スペンサー[ゼルダ]

【公開日(日本)】2018年3月1日
【上映時間】123分
【配給】20世紀フォックス
【映倫区分】R15 +
【IMDB】7.7/10.0  (およそ101,100人の評価)
【劇中で登場する映画】『砂漠の女王(1960)』『恋愛候補生(1958)』

【あらすじ】

1962年、冷戦下のアメリカ。政府の極秘研究所で清掃員として働く女性イライザは、研究所内に密かに運び込まれた不思議な生き物を目撃する。イライザはアマゾンで神のように崇拝されていたという“彼”にすっかり心を奪われ、こっそり会いに行くように。幼少期のトラウマで声が出せないイライザだったが、“彼”とのコミュニケーションに言葉は不要で、2人は少しずつ心を通わせていく。そんな矢先、イライザは“彼”が実験の犠牲になることを知る。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレしているよ!)】

☆4.1/5.0

 

いやぁ、こんな完璧に美しいおとぎ話が他にありますか???!

ないよね!!!(でも『シザーハンズ』も素晴らしいけどね!)

インテリアから小物から衣装からクリーチャーのデザインまでがため息が出るほどに美しくて芸術的で、監督のセンスをこれでもか!と味わうことが出来た至福の2時間でした・・・
色や音楽にもこだわっていて、本当に隙がないというか、隅々までが本当にオシャレ。

冴えない中年女性の主人公が映画館の上に住んでいるという設定も最高だし、主人公イライザを演じたサリー・ホーキンスの繊細で軽やかで踊るような演技も素晴らしい・・・さすが、監督が「この役は彼女にしかできない」と彼女のために脚本を当て書きしただけあります。
きっと監督のイメージを最大限引き出す演技を見せてくれたんだと思います。

おおまかなお話としては、「人魚姫」やティム・バートン監督の『シザーハンズ』やディズニーの『美女と野獣』に近しいものがありますね。

しかしそれらのファンタジーとは少し違っていて、スタンダードな異種族との愛を描き「むかしむかーしのお話だよ」とおとぎ話に見せつつ、実は私たちが生きる現代と非常に深くリンクしている・・・という側面があります。

もうこれ涙無しでは観られないよ!!!

おおまかなストーリー

ソ連との冷戦下のアメリカ、政府の極秘研究所が舞台。

そこの清掃員として働くイライザと、アマゾンの奥地で発見された”不思議な生き物”とが出会い、声なき交流を通して絆を深めていく。

研究者であるホフストラー博士は、「彼を宇宙へ送って宇宙開発でソ連より先んじよう」と提案するが、政府のお偉いさんは”生き物”を解剖して研究しろと決定してしまう。

解剖されてしまうと知ったイライザは、アパートの隣室に住む友人のジャイルズに「彼を一緒に助けよう」と頼み説得する。

ゲイのジャイルズは会社から追われ、好意を寄せていたカフェ店員から拒絶され失恋したことをきっかけに、イライザの計画を手伝う事を決意する。

その計画とは、監視カメラを動かし”彼”を搬入口へ運び、画家であるジャイルズが偽装したIDを使って搬入口へトラックで侵入、示し合わせたイライザと”彼”をトラックに積んで脱出させるというもの。

しかし、”彼”の警護役をしていたストイックランドに気付かれ、計画を邪魔されそうに!そこへホフストラー博士、清掃員仲間のゼルダが助け舟を出し、無事”彼”をイライザのアパートへ連れ出すことに成功。

イライザと”彼”は愛を深めていくが、彼は水と塩を入れただけのバスタブでは生きていくことが出来ない。雨の降る日に桟橋から彼を逃がそうと決めるイライザ。

しかし、ストイックランドも上司に脅され、死に物狂いで”彼”を逃がした犯人を捜す。解剖に反対していたホフストラー博士が裏でソ連と通じていることに気付いたストイックランドは、博士を拷問し「ただの清掃員がやった」と口を割らせる。

そこからゼルダの家に行き、ゼルダを恫喝、計画を知っていたゼルダの夫が「口がきけない女がラボから何かを盗んだんだ」と喋ってしまう。イライザの家に向かうストイックランド。危険を知らせるためイライザに電話をかけるゼルダ。

アパートが危ない!と知ったイライザはジャイルズと共に”彼”を車に乗せて桟橋へと急ぐ。ストイックランドが到着した時、アパートはもぬけの殻だったが、カレンダーに書かれた”雨、桟橋”というメモを見て桟橋へと追いかける。

桟橋に着いた3人が今まさに別れようとしているところでストイックランドも追って来て発砲。”彼”とイライザは致命傷を負ってしまう。しかし”彼”はまるで神のように銃弾の傷を治し復活、ストイックランドの喉を掻っ切って殺す。

死体となってしまったイライザを抱き海へと飛び込む”彼”。”彼”がイライザへ口付けすると、彼女の首にあった傷がエラのように開き彼女は息を吹き返す。

美しい光を放ちながら、海の中で抱き合った二人のシーンに、ジャイルズのモノローグが重なって映画は終わる。

ちびぞうが泣いたポイント

①イライザが、友人ジャイルズに「私と一緒に彼を助けて」と説得するシーン。

手話で必死に

「私を見て!私はなんなの?彼は人間の言葉が話せない。私と何が違うの」

「彼を助けないなら、私たちも人間ではない」

と伝えるイライザの言葉が本当に痛ましくて、切実で、泣かずにはいられなかった。

赤ちゃんの頃に喉を切りつけられた?という過去があり声帯が機能していない彼女は、きっと今までの人生、マイノリティとして他人に差別的な目で見られてきたんだろうな。

そんな自分と”彼”を重ねて、見た目や種族や言語なんか関係なく”彼”を”彼”のまま愛したんだろうなーと思うと。なんて優しくて温かい女性なんだろう、という気持ちになりましたね。こんな風に自分に周囲と違う部分があっても、そのままを見て愛してくれる相手に出会えるのは本当に幸せなことだ。

②ラストシーンでの”彼”とイライザの手話のやりとり

彼「”あなたと 私 一緒”」

イライザ「”違う、私とあなたは一緒じゃない”」

最高に切なくて泣けました。彼を生かすためには離れ離れにならなければいけない、というイライザの断腸の思いも、ここにきて突き放されてしまう”彼”のショックも、どちらも辛くて切ない。

”彼”も、顔が微妙に変化して悲しみや怒りを表現できるんですけど、その表情も本当に繊細。

その後の展開は悲しみも十分にあるけれど二人にとってはハッピーエンドで、温かな水の中でゆったりと漂うような心地よさがあって、ちびぞうの心もホッと温まりました。

いや、ほんと、胸がポワッとあったかくなって、そしてまた涙が出るそんな感じなんです・・・

まとめ

ギレルモ監督の映画は毎回追いかけてるわけではないですが、『パンズ・ラビリンス』は大好きだし、『クリムゾン・ピーク』も良かった。

今作は、今のところギレルモ監督の作品の中では一番好きな映画になりそうです。

パンフレットのインタビューで監督も言っていたけど『美女と野獣』でヒロインが美人だったり、野獣は最後に王子になったりするのは”外見は関係ない”というテーマに反する部分だと思っていたんですよね。そういう映画的な都合をまったく取り外して、ただただ「モンスターと恋する素朴な女性」を描いている、ファンタジーだけどリアルで、真実味があって、正直な映画だと思いました。

脇を固めるのもゲイや黒人女性、祖国を離れたロシア人といったマイノリティたち。

むかしむかしのおとぎ話、と言いながら、現代で生きづらいと感じているマイノリティたちに元気を与える”今”を描いた映画でもあると思います。

 

しかも、こういうメッセージ性の深い芸術的な映画でありながら、クスッと笑えるシーン、恐ろしく痛ましいシーンもちょこちょことあって、全体的にバランスが良い・・・。完璧です・・・。

 

あぁ、本当に幸せなハッピーエンドをありがとう監督!

元ネタになった『大アマゾンの半魚人(1954)』も観てみます!!

 

あ、最後に一言。

雰囲気ぶち壊しのボカシ、本当に要らなかったです。

 

 


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