―――あなたは、死の瞬間を観たいですか?
ジャケットのあらすじを読んで、なんてぶっとんだ設定の映画なんだよって思いつつ借りてみました♡
再生してみたらあーらまアルバトロス(ニューセレクト)の配給じゃないですか!!
久々にアルバトロス(B級ホラー映画の配給として有名)の作品だぁ・・・と思いながら視聴。なんと、カメオ出演レベルですがジェイムズ・フランコが出ているのでドびっくりしてしまいました・・・
主演は『トランス・フォーマー』シリーズのジョシュア・デュアメル、『X-MEN』シリーズのファムケ・ヤンセンなど。
監督は『メイズ・ランナー』シリーズにも出ていた俳優のジャンカルロ・エスポジート!
今作は、”世界で最も危険な映画”決定戦「モースト・デンジャラス・シネマグランプリ2017」のエントリー作品のようですね。
グランプリのサイトはこちら!
【映画情報】
【原題】This Is Your Death
【制作国】アメリカ
【監督】ジャンカルロ・エスポジート
【脚本】ケニー・ヤッケル
【原案】ケニー・ヤッケル、ノア・ピンク
【製作】クリストファー・デリア、マイケル・クライン、ジャンカルロ・エスポジート、ローリーン・ヤックル
【製作総指揮】ショーン・ウィリアムソン、ジェイミー・ゴーリング、ケビン・リーソン、ロバート・ハルミ・Jr.、ジム・リーブ
【撮影】ポール・ミッチニック
【美術】ジェームズ・ロビンス
【衣装】シンシア・アン・サマーズ
【編集】ジェイミー・アラン
【音楽】リッチ・ウォルターズ
【出演([]内は役名)】
- ジョシュ・デュアメル[アダム・ロジャース]
- ジャンカルロ・エスポジート[メイソン・ワシントン]
- ファムケ・ヤンセン[イレーナ・カッツ]
- サラ・ウェイン・キャリーズ[カリーナ]
- ケイトリン・フィッツジェラルド[シルヴィア]
- クリス・エリス[ケラー]
- ルシア・ウォルターズ[レベッカ・ワシントン]
- ブルーク・ワリントン[イブ・ワシントン]
- ジェイデン・ノエル[デリック・ワシントン]
- ギャリー・チャック[バーニー]
- ガイルズ・パントン[ダレン・ブラッドショウ]
- スコット・リスター[ザック]
- ショーン・タイソン[ボブ]
- ジェームズ・フランコ[男性キャスター]
【公開日(日本)】2017年12月9日
【上映時間】105分
【配給】[MDGP]上映委員会
【IMDB】5.6/10.0 (およそ2,900人の評価)
【あらすじ】
低視聴率に悩む放送局WBCの番組で、出演者が生放送中に自殺するというショッキングな事件が発生。司会者のアダムは罪の意識にさいなまれるが、高視聴率を叩き出したことに味をしめたプロデューサーは、リアルタイムで自殺の瞬間を放送する番組を企画する。最初は反対していたアダムも自分が構成を担当するという条件で承諾し、ついに番組が放送されることに。衝撃映像の連続に賛否両論の嵐が巻き起こる中、視聴者を逃さないために番組内容はどんどんエスカレートしていく。【引用元:映画.com】
【感想(ネタバレするよ!)】
☆2.5/5.0
こーれは意外に・・・意外に・・・面白い・・・?かもしれない・・・?(笑)
あくまでもこの異常な設定を受け入れられればですけども!!!
ホラーでありファンタジー寄りの社会派ドラマって感じですかね。
おおまかなストーリー
よくある「大富豪の花嫁を決めよう」系のドキュメンタリーの最終段階、「最後に残った二人のうち、選ばれるのはどっち!?」というところで、選ばれなかった出演者の女が大富豪の男へ発砲、そして拳銃を口に咥えて自殺してしまう。
その司会を務めていた男(アダム)が、別のニュース番組に「彼らを救おうとした勇敢な司会者」として出演。「自殺した女性は病んでいた、それに気付けていれば防げたかも」という内容の話をする予定が、途中で独断で「私たち製作側は二人の女性を競い合わせていた、あの結果はテレビのせいだ。しかしあれこそがリアリティであり、視聴者が望むものだ」と発言してしまう。
事件の起きた番組は視聴率が大幅にアップ。調子に乗ったプロデューサー(イレーナ)が自殺を生放送で中継する番組「あなたの死に様」を提案。
(一応、”末期がんの患者などに自死を選択する権利が与えられていたが、その権利は一般人にも今は与えられていて、医者や精神科医などがその場にいてケアできる状態であれば自殺を放送するのは違法ではない”みたいな説明が劇中でされます)
その番組に誘われたアダムも最初は拒否する姿勢だったが自分に構成を任せてもらえるならと受け入れる。
自殺者のどうしようもできない暮らしの実情をVTRにして流す。そして、彼らに寄付を募る。寄付と同額をテレビ局も自殺者の家族に渡すと約束。
つまり、自殺者が死ぬのは自分の家族のためであり、テレビで死ねば高額な寄付金が家族に与えられる・・・という仕組み。
「自殺によって家族や友人を救う」という大義名分を掲げて、「貧しさなどで窮地に陥っている人たちに逃げ場がないということを真実として視聴者に見せ、世の中の目を覚まさせる」とアダムは主張する。番組は大成功、視聴率ナンバーワンとなる。
しかしとある自殺者が死ぬのに時間がかかってしまい視聴者に飽きられるのを恐れたアダムは「番組の裏で死なせればいいから今は死んだことにしろ」と生きているのに死んだことにしてしまう。それを目撃した視聴者から「あの番組はデマだ」とネットで拡散される。出演者が生きていると都合が悪いため、番組の裏で殺してしまうアダム。
番組の視聴率が落ちるのを恐れてどんどん内容をエスカレートさせるアダム。そんなアダムの変化を嘆いたうつ病の妹が秘密裏に番組に出演。唯一の家族が自殺してしまうと知り、必死に止めるアダム。しかし妹は自殺を実行してしまう。
この流れと同時進行で、仕事を失い家族のために金を稼がねばならない黒人男性(メイソン)の物語が同時進行で描かれる。高齢で雇ってくれる場所もなく、金貸しにも頼れない。そんな彼が最後に「あなたの死に様」で100万ドルが手に入ると知り、番組で自殺をしようと応募。
番組の最終回の最後の出演者として死のうとするメイソンだったが、死ぬに死にきれず
「私にはできない、私は家族を愛している。金なんかいらない。家に帰りたい。みんなも何を見ているんだ。家に帰ろう」
と語り始める。番組を観覧していた客に喝采を受け、妹を乗せた救急車を見送って呆然とするアダムを横目に去っていく。
設定はもうめちゃめちゃ、だけども?
どう考えたってこんな企画が生放送で通るなんてあり得ないと思うんですよ。現実的に考えて。
でも、そこを無理やりにでも通さないと描けない物語というのがあったのは確かだと思います。
例えば、自死の権利についての物語。
これはもうちびぞう一個人の意見でしかないですけども、生まれてきてその人生をどうするかはその人次第。生きる権利もあれば死ぬ権利もある、という発想自体は別にいいと思うんですよね。どうにもならない状況で苦しんでいる自分を救えるというだけでなく、誰かを現実的に救える、という状況が追随しているなら尚更。
(まぁそこで誰かに迷惑をかけたり、悲しむ人がいる場合、”周りの人のことも考えるかどうか”で色々と変わっていくと思いますが)
そういった自死を扱うには確かに若干雑な設定ではあると思いますが、それはそれで色々と考えさせられて面白かったかなと。
主人公のアダムがどんどん悪い方向へと変化していったように、人間はいずれ変わっていくものだというのを表している。その逆も考えられる。人は生きていれば良い方向にも変わっていける(その時はどん底だと思っていてもなんとかなるのではないか)というメッセージも込められていたりすると思うんですよね。
必ずしも自死を選ぶことが良い結果を与えるわけではない、と考える余地を残しているし、だけど、確かにそれで救われる人もいる。という事実(現実)も確かにある。
アダムが、自分の家族にだけ「死ぬな!」と声をかけるところも面白かったですね。
人間は悲しいけど、自分に関係ない人間に対しては鬼のように冷徹になれたりするもんです。
そういう人間の根本的な「生きる」というテーマだったり、身近な人とそうでない人の「死の重さ」だったりが見え隠れする、なかなか興味深い作品でした。
気軽に観れるエンタメ系ではないけど、突拍子もない世界観をとりあえず許せる人は観てみても良いかなー。という感じの作品。
最後に二つだけ
「伝統のハラキリ」で自殺した日本人が出てきてましたけど
切腹って確かそれだけじゃなかなか死ねないから、首切り人(介添え人?)が横についていて、その人が首を落とすんですよね。本当に腹切りだけで死ぬわけではないですよね。
番組中に切腹で死ぬってあまりにも非現実的!!!!
そういうのやりたいならもうちょっと調べてからやって!!
それと、メイソンが死ねなくて胸中を話したら急に手のひら返す観客!!
一番胸糞悪いよ・・・
画像引用元:映画.com