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目を背けてはいけない。映画『ヒトラーの忘れもの』感想

第二次大戦直後のデンマーク。ナチが埋めた200万個の地雷を除去したのは、異国に置き去られたドイツの少年兵たちだった―――。

 

前知識も特になく、どんな内容なのかもわからない状態で鑑賞しました。

とにかく、ものすごい緊張感のある映画です!!!

パンフレットはこういう感じ。

高さ15センチほどで、横長のデザインになっています。こういう変則デザイン好き。

この写真のチョイスも良いですねぇ。裏面の写真は、砂浜で”休日”にサッカーを楽しむ場面になっていて、表と裏の表紙の対比が素晴らしいです。

22ページで定価税込700円。安い方ですね。

↑横一列に並び、砂浜を這うようにして一つ一つ地雷を除去していく場面。

↑地雷エリアに入ってしまった少女に語らいに行く場面。

私この場面ものすごく好きです…

【映画情報】

【原題】LAND OF MINE
【制作国】デンマーク、ドイツ
【監督・脚本】マーチン・サントフリート
【プロデューサー】ミケール・クリスチャン・リークス
【音楽】スーネ・マーチン
【出演】ローラン・ムラ、ミゲル・ボー・フルスゴー、ルイス・ホフマン、ヘルムート・モアバッハ、エルンスト&ヴェルナー・レスナー
【公開日(日本)】2016年12月17日
【上映時間】101分
【配給】キノフィルムズ
【IMDb】★7.8/10.0

【あらすじ】

とてもシンプルです。デンマークを占拠していたドイツ軍が戦争に負けて、デンマーク軍が捕虜のドイツ少年兵に地雷の撤去をさせる…というもの。もちろん史実に基づいていますが、当時のデンマークの人々はこの事実に目を背け、今では知っている人はほとんどいないそう。

ドイツ軍を憎みまくっているラムスン軍曹の元に現れた11人の少年兵たち。撤去の為の満足な訓練も受けないまま必要な装備品や食料もなく働かされ、それでもいつかは国へ帰るんだと夢を見る。地雷撤去を指揮するラムスン軍曹は、彼らと過ごす中で少しずつ心境が変化していき…

【感想】

★4.3/5.0 とても重いテーマでした!!!ものすごく深く心に突き刺さり、決して後味の良い映画ではないのですがラストにささやかな希望があり、暫くはこの映画の事で頭がいっぱいになってしまいました。

パンフでも監督が語っていましたが、「憎しみがいかにして赦しへ変わっていくか」という部分が表現された作品のようです。

中学生や高校生くらいの年齢の子どもたちが、兵士として過酷な環境に置かれてしまう…とても理不尽で残酷な戦争の爪痕をリアルに感じることが出来ました。軍曹の、映画の中の変化はきっと映画ならではの脚色であり、現実はもっと悲惨だったのかもしれない…と想像でしか言えませんが、そう思います。

とにかくハラハラドキドキ!!

地雷撤去の練習のシーン、実際に浜辺での撤去のシーン、兵士たちが立てまくる死亡フラグを地味にズラしたタイミングで起きる爆発。あ、ここは来るな?と思ったタイミングだったりそうじゃなかったりと、監督の匙加減がいやらしいです(笑)「いつかは絶対爆発するんだろうな~」と分かっていても、結局はかなり驚いて飛び跳ねそうになってしまいました(笑)

正直、ラストに希望はほんのりとあるんですが(企画の段階では絶望しかないラストになる予定だったらしいです;;)、そのシーンですら「またそこに地雷があるんじゃないの?」と不安になってしまう始末。

きっと当事者である兵士たちは、これとは比べものにならない不安と闘っていたんだろうなぁ。

静かで美しい浜辺に響き渡る爆発音。

この監督、撮影監督は奥さんみたいなんですが息ぴったりでしかも二人ともすごくセンスが良いなぁと感じました。

ほとんどBGMのないまるで絵画のような浜辺の画作りが美しいです。こんなに残酷な映画でも、惹きつけられてしまうのはきっと監督のセンスのせいだ。そうに違いない。

そしてその美しさと対照的に響き渡る爆発音と、負傷した少年兵の阿鼻叫喚の姿のコントラストが残酷さを際立てている。脇役だけど、人形を持った近所の少女も、「きっと戦争のせいで話せなくなってしまったのかもしれない」と思わせられるキャラクター設定が上手だったと思います。上でも画像を貼りましたが、そんな少女を助けに行って語らうドイツ少年兵と彼女の心が通ったなと思える瞬間は、涙・涙です。

ラムスン軍曹と少年兵たちの疑似家族的な心のやりとりも良かったですし、軍曹の許したい気持ち、憎い気持ちの葛藤も良かったです。

彼と対称的に出てくる冷徹そうなエベ大尉も良かったですね…

まとめ

なんだか、褒めてばかりになってしまっていますが、特にマイナス点も思いつかず…。出来れば音響の良い劇場で鑑賞して欲しいですね!

余談ですが、この映画は原題に「私の土地」「地雷の土地」と二つの意味があって、そこも上手いなぁと思いました。

ドイツ語の題名も「砂の下」という意味のタイトルらしくて、それも良いですね。

邦題はあまり褒められてはいないようですが…私はこの一見ポエティックなタイトルと中身のギャップにインパクトがあって…悪くないと思います。「ヒトラー」という名前を入れるだけで、歴史を良く知らない人でも入りやすくなりますしね!

 

ではでは、今回もまとまりのない終わり方になってしまいましたが、ここまで読んで下さった方いましたら…ありがとうございました!^^

 

 


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