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子どもを奪った夫婦と、奪われた夫婦の映画『光をくれたひと』ネタバレ&感想

「一度 赦すだけでいいから」

こちらはちびぞう(@cbz_ewe)未チェックの作品。母が観たいと選んだのでレンタルしてみましたー!

監督と脚本は『ブルーバレンタイン』『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命 』デレク・シアンフランス!ブルーバレンタインはカップルで観ると微妙な気持ちになってしまう映画のまとめの中に出て来ていましたね!

絶対に【恋人と観てはいけない映画8選!】気まずい。

プレイス・ビヨンド・ザ・パインズはちびぞうのお気に入りの映画でして、この監督は夫婦間の微妙な気持ちの変化とか、親子の絆とか描くのが上手だなと思っています。

主演はマイケル・ファスベンダー!『X-MEN ファースト・ジェネレーション』などでマグニートーを演じている役者さんですね~。奥さん役のアリシア・ヴィキャンデルは最新のトゥーム・レイダーでララ・クロフトを射止めた実力者!

監督そして演者ともに安心して観られる感じですね^^

【映画情報】

【原題】The Light Between Oceans
【制作国】アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド
【監督/脚本】デレク・シアンフランス
【原作】M・L・ステッドマン『海を照らす光(ランダムハウス発行)』
【製作】デヴィッド・ハイマン、ジェフリー・クリフォード
【製作総指揮】トム・カーノウスキー、ロージー・アリソン、ジェフ・スコール、ジョナサン・キング
【撮影】アダム・アーカポー
【美術】カレン・マーフィ
【衣装】エリン・ベナッチ
【編集】ロン・パテイン、ジム・ヘルトン
【音楽】アレクサンドラ・デプラ
【出演([]内は役名)】

  • マイケル・ファスベンダー[トム・シェアボーン]
  • アリシア・ヴィキャンダル[イザベル・シェアボーン]
  • レイチェル・ワイズ[ハナ]
  • ブライアン・ブラウン[セプティマス・ポッツ]
  • ジャック・トンプソン[ラルフ・アディコット]

【公開日(日本)】2017年5月26日
【上映時間】133分
【配給】ファントム・フィルム
【映倫区分】G
【IMDB】7.2/10.0  (およそ39,230人の評価)

【あらすじ】

第1次世界大戦後のオーストラリア。孤島ヤヌス・ロックに灯台守として赴任した帰還兵トムは、明るく美しい妻イザベルと幸せな日々を送りはじめる。やがてイザベルはトムの子を身ごもるが、立て続けに流産と死産に見舞われてしまう。そんな矢先、男性の死体と生後間もない赤ん坊を乗せたボートが島に流れ着く。赤ん坊に心を奪われたイザベルは本土に報告しようとするトムを説得し、赤ん坊にルーシーと名付けて我が子として育てはじめるが……。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレします!)】

☆3.0/5.0

とっっても繊細な映画でした・・・。

この、タイトルも良いですよね。「光をくれた人」。灯台守をしている主人公トム(マイケル・ファスベンダー)が、光を与える側かと思いきや、この光をくれる人というのはトムに生きる希望を与えてくれた妻そのものだったという。
ちびぞうはそう解釈しました。

おおまかなストーリー

最初、戦争を終えて灯台守の仕事を請け負ってやってきたトムは、港町に住む娘イザベルと交流をする。「感覚を失った」というトムにイザベルは戦争で兄を亡くしたという話をする。

イザベルの話は切ないけど、こういう話を聞いて元軍人はどう思うんだろうなぁ。自分たちが殺してきた兵士にも同じように家族がいてこうして悲しみにくれているのかもしれないと思うと、可哀そうにというだけではなくて罪悪感みたいなものも感じるのかもしれないし。もしくは劇中で語られていたように完全に感覚というものを失って、思う事が特にないのかもしれない。それも悲しいですよね。

二人は港と灯台のある島で文通を始めて、映画の開始から20分ほどで結婚します。この辺りの流れはサクサクです。

そしてここからが映画のメインの展開!!!!!

子どもを望むけど立て続けに流産、死産が続き精神的にイザベルが参っている時、海を漂う一艘のボートに赤ちゃんが乗ってやってくる!!!
一緒に父親らしき男性も乗っていますが、すでに亡くなっている様子。赤ちゃんをあやすためのカラカラ?も見つかります。

全てを報告せねば、というトムに対し「報告しないで」と懇願するイザベル。
そう、船に乗ってやってきた赤ちゃんを自分たちの子どもとして育てよう!!と言い出すのです!!

トムは「今報告すれば養子の申請が出来る」と言うけど、「何もない灯台の夫婦では認めてもらえない。どこかの養護施設に送られてしまうわ」とイザベル。

トムは仕方なく妻のために男の死体を島に埋めて、報告書には「早めに赤ん坊が生まれた」と嘘を書いてしまうー!!

そしてここからが物語の第二段階・・・

 

港町の墓所で旦那と赤ん坊を亡くした未亡人を見つけるトム。彼女が赤ちゃんの本当の母親だと気付いてしまう。夫はドイツ人で、差別により暴行を受けそうになったところをボートで逃げ出してそのまま遭難、帰らぬ人になってしまったらしい。トムは本当の母親へ

「あなたの娘は幸せに暮らしています。旦那さんは神の御許で安らかに」

とメモを残す。母親は子どもが生きているかもしれないと探し始める。

その後赤ちゃんはルーシーと名付けられ4歳に育つ。灯台の40周年のお祝いで、ルーシーの本当の母親ハナと会話するイザベル。そこで彼女が本当の母親だと気付いてしまう。しかし、ルーシーにとっての母親は私よ、と返すつもりのなさそうなイザベル。

トムはルーシーを見つけた時にボートで見つけたカラカラをハナにこっそり返す。

おそらく、トムはイザベルの説得が無理だと思い、わざとハナにルーシーを見つけて貰うように動いてるんだろうな・・・。

カラカラの写真が貼りだされて、情報に賞金がかけられる。すぐにルーシーがハナの娘だとバレ、警察がトムを捕まえる。トムは全ての罪をかぶって投獄される覚悟で「自分が妻を従わせた」と嘘をつく。

ルーシーはハナの元に戻されるが、ママの元へ返して!と聞かない。本名はグレースだけど、それも受け入れられない。イザベルを探して迷子になってしまうルーシー。
ハナはその様子に、イザベルの元へ返してやろうと決める。イザベルに「旦那(トム)の罪を証言して監獄に入れられたら娘を連れてきます」と言いに行く。

イザベルはトムのせいで娘を手放すことになったとトムを恨んでいたけど、ハナがルーシーを返そうとしたことで読まずに置いていたトムからの手紙を読んで、全ての罪を告白することを決める。

夫婦一緒に投獄されることになるが、ハナが二人を赦すと言ったことで(おそらく)刑が軽くなる。

ルーシーはハナの元で暮らし続け(名前もルーシー・グレースに改名)、大人になり子どもを産み、トムの元へ会いに行く。イザベルはすでに亡くなっていたが、彼女からの手紙を読んで、映画は終わる。

罪を犯した大人たちに振り回される子ども

4歳になったルーシーに本当の母親が見つかるけど、もう今更ですよね。今更。
「ママの所に帰りたい」と言うのが本当に可哀そう。振り回されてる子どもが一番かわいそう。

流産して辛いから他の親から赤ちゃんを奪うなんてもってのほか、妻を説得させられない旦那もダメダメだし、しかも嘘をつくと決めるなら一生かけてでも守らないといけないのでは?
結局、自分の罪悪感をなんとかしたくて本来の母親に返そうとしているし、トムもルーシーのことなんて考えていないように見えました。
先々の事まで考えるべきだよなぁ、大人は。人間は弱いなぁ。と常々感じながら鑑賞していました。
子どもを作ろう、と思うのがすでに親の身勝手だから仕方ないのかもしれない。

トムは妻の為に罪をかぶって投獄された。一度は(戦争で)死んでいたかもしれない身。感覚も失ってしまっていた自分に人生をくれたのは妻だから、とかばう。

この夫婦はお互いのことはとても愛していたと思うんですけどね。子どものことは愛せない夫婦でしたね。

対照的に赦す夫婦

灯台守の夫婦とは対照的に、赤ちゃんを奪われてしまった母親ハナは、ルーシーが自分を拒絶するのを見てイザベルに返そうとする。
本当に自分の子なのに、奪われて、母親として見てもらえなくなってしまって、それでも譲ろうとする。彼女は本当にルーシーの幸せを考えられる人だった。

しかも彼女は、全てを打ち明けて投獄される夫婦を赦そうとする。

そこがまた良いんですよね。

ハナの旦那さんはドイツ人で、現地では差別されていた。しかし彼は、いつでもにこやかに笑っていた。なぜ、あなたは辛い目にあってきたのに幸せそうなの?と聞かれて答える台詞が印象的。

「一度赦すだけでいい。人を恨むとずっとその事を考えていなければいけない」

この旦那さんの言葉を思い出し、ハナも夫婦を赦すことを決めた。
立派ですね。こっちの夫婦が物語の主人公であってもおかしくないって感じですけど、でもあえて罪を犯す夫婦が主人公になっているところがこの映画の面白いところだな、と。

まとめ

実際にお子さんのいる母親の立場で観ると、思う事も色々と変わってくるかもしれません。

ルーシーは劇中で「ママのところへ帰りたい」とは言うんですけど、「パパのところへ帰りたい」とはあんまり言わないんですよね。多分、母と子の結びつきの物語だったからなのかもしれないし、ずっと罪悪感を抱えていたトムはルーシーから見て「父親」には見えていなかったのかもしれませんね。

決して気軽な感じで観れる作品ではないんですけど、罪を犯しても反省をして償おうとすれば希望はあるよって言ってくれているような気もするし、本当の娘ではなくても一度作った絆は途切れず続いていくよっていう(まさにそこが希望)お話で、最後はホッと終われます。

ルーシーは母親と思えない人のところに移されて、大人になるまでずっと複雑な気持ちだったかもしれないけど、子どもを産んで初めて、トムのところを訪ねることが出来るようになるんですよね。
それってやっぱり、母親になると今まで理解できなかった親たちの選択に、少し理解を示せるような内側の変化が起きるってことなのかなぁ・・・。

「光をくれた人」というタイトルにたがわず、いろんな角度から人間の関係性に希望をもたらすお話だなと思いました。

興味のある方は、ぜひ観てみてください。

 

 


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画像引用元:映画.com

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