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人は人を裁けるのか?映画『三度目の殺人』ネタバレ&感想

「裁判所では―――人の命を自由にできるじゃないすか」

まずは是枝監督!
最新作(2018年5月現在)『万引き家族』のカンヌ国際映画祭での最高賞”パルムドール”の受賞おめでとうございます!!

アカデミーでもぜひ!健闘して頂きたいところですね!!

ちびぞう(@cbz_ewe)は監督の作品は今作で『海街diary』から二つ目!!!

ド初心者の領域です!!!過去に『誰も知らない』『そして父になる』などが話題になった時は邦画にあまり興味がなく、スルーしてしまっていたんですよね・・・。

なので、家族について描くのが彼の映画の特徴なのかなとふんわり知っている程度です・・・。

今作は賛否両論でパッカリらしいですが、果たして・・・??

【映画情報】

【制作国】日本
【監督/脚本/編集】是枝裕和
【製作】小川晋一、原田知明、依田巽
【プロデューサー】松崎薫、田口聖
【アソシエイトプロデューサー】大澤恵、小竹里美
【撮影】瀧本幹也
【照明】藤井稔恭
【録音】冨田和彦
【美術監督】種田陽平
【装飾】茂木豊
【衣装】黒澤和子
【ヘアメイクデザイン】勇見勝彦
【音響効果】岡瀬晶彦
【音楽】ルドビコ・エイナウディ
【出演([]内は役名)】

  • 福山雅治[重盛]
  • 役所広司[三隅]
  • 広瀬すず[山中咲江]
  • 満島真之介[川島輝]
  • 市川実日子[篠原一葵]
  • 松岡依都美[服部亜紀子]
  • 橋爪功[重盛彰久]
  • 斉藤由貴[山中美津江]
  • 吉田鋼太郎[摂津大輔]

【公開日(日本)】2017年9月9日
【上映時間】124分
【配給】東宝、ギャガ
【映倫区分】G
【IMDB】6.7/10.0  (およそ1,540人の評価)

【あらすじ】

勝つことにこだわる弁護士・重盛は、殺人の前科がある男・三隅の弁護を仕方なく担当することに。解雇された工場の社長を殺害して死体に火をつけた容疑で起訴されている三隅は犯行を自供しており、このままだと死刑は免れない。しかし三隅の動機はいまいち釈然とせず、重盛は面会を重ねるたびに、本当に彼が殺したのか確信が持てなくなっていく。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレも唐突にあるよ!)】

☆2.5/5.0

賛否両論!!!!ということでしたが、ちびぞう的には可もなく不可もなく。

なので「普通に面白い」の2.5をつけさせて頂きました・・・。

後味がなぁ、狙ってのことらしいんですけど、スッキリできない終わり方です。

とてもモヤモヤする終わり方

金が欲しくて殺した

金が欲しかったんじゃなくて私怨で殺した

本当は被害者の奥さんに依頼されて殺した

被害者の娘咲江(広瀬すず)と交流があり、被害者に性的暴行を受けていた咲江を助けるために殺した

全てを撤回、自分は殺していない

こんな感じで、全てが三隅(役所広司)本人の供述ではないんですが、弁護士側が調べたことも合わせると少しずつ見えてくる”真相”が変わっていくので、観てて段々分からなくなっていきます。

ちびぞう的には最後に「自分はやってない」、と言い出したのは咲江に法廷で性的暴行があったなどど証言させたくなかったから、敢えて周りを混乱させようという目的があったのかなと思っています。もしかしたら娘も殺害に関与していたのかもしれないし、そこも守ろうとしたのかもしれない。その流れが個人的には一番しっくりくるかな、と。
劇中で三隅がハッキリと観客の前で「こうだった」と自分から主張したのは初めてのことだったじゃないですか、他は「週刊誌にそう言ったらしい」とか「自白したらしい」とかって、又聞きなんですよ。いや、劇中の登場人物はもちろん本人の口から聞いたってことなんでしょうけど、我々鑑賞者からしたらそのシーンははっきり描かれてなかった。だから、それまでの三隅の自供内容ってどこまでが本当か分からない。
しかし、最後に自分はやってないと言い出したのはハッキリと私たちにも分かるように描かれてる。だからそこに真実があったようにちびぞうは感じました。

といっても想像の域を出ないんですけどね。

今作は最後の最後まで「本当のところはどうだったのか?」というのが分からぬまま、三隅の有罪が決まって終わってしまいます。
主人公の弁護士も複雑な心境で、どうもその弁護士の複雑な気持ちを観客にも感じてもらいたい!というのが是枝監督の意向らしいからもうどうしようもない!

このモヤモヤを享受するしかないのですよ!!!!

”真相”が分からないことに意味がある

この映画は、「”真相”が分からないこと」そのものにスポットライトを立てた法廷劇。

偶然にもちびぞうは最近、NHKドキュメンタリーの『ブレイブ 勇敢なる者 ”えん罪弁護士”』を観ておりまして。

詳細サイトはこちら

有罪率99.9%という日本の司法に挑む「えん罪弁護士 今村 核先生」のドキュメンタリーだったんですが、その中で裁判が1000件あれば1件しか無罪判決が出ない。という恐ろしい事実を知りました。
ほとんどの人がやってなくても自白してしまう。と言うんですよね。そして、一度でも自白してしまえばそれがひっくり返ることはない・・・。

「海外の司法は有罪なのか無罪なのかを判断する場所なのに対して、日本の司法は有罪を確認する場だ

という言葉が今村先生の影響を受けたという論文の一節にあって衝撃を受けました。

つまり、裁判に出てしまえばそれだけで有罪が決まっているようなもの。真実なんて、誰も気にしていないんです。

この映画はそういった日本の司法にメスを入れる作品だった。
だからこそ登場人物はみんな露骨にやる気がないし、主人公も最初は「勝てれば真相なんでどうでもいい」と言っているんです。それが、三隅と関わることで考えが変わっていく。
だけど、主人公一人の考えが変わったところで、日本の司法は一ミリも変わることなく流れていく。その無情さというか理不尽さというか、やるせなさを観客に感じさせることで裁判事情ってどうなんよってところを考えさせる目的があったんだと思います。

劇中で「三隅はただの器でしかない」という言葉が出てきますが、本当にその通り。彼の中はからっぽかもしれない、でもその中身がこうであったらいいなと周りが勝手に決めつける。それが有罪だろうと無罪だろうと。

ちびぞうが、上述した”三隅が咲江を守ろうとした”という事もただの想像でしかない、と言いましたがこれは私が三隅にそうであってほしいと考えただけのもの。

観客であるちびぞうも、器である三隅に自分の都合のいい真実をあてはめて「こうであればいい」と考えてしまっているんですよね。
やられたなぁ、という感じがしました。

家族映画の一面も

主人公の弁護士、被害者家族、そして加害者家族と三つの家族の形が描かれていて、家族の絆や関係性についても描かれている作品だと感じました。

是枝監督と言えば父と子の絆、家族の絆を大切にする人という印象があったので、今回も、形の違う三つの家族の中の絆が見え隠れしていましたね。

まとめ

司法についてメスを入れている、と言っても、一体どれくらいの人に日本の裁判の実情が伝わるのか?と考えると、多分この映画だけでは伝わらないでしょう。

ちびぞうはドキュメンタリーを観ていたからたまたま知っていただけで、知らなかったらその実情が酷いもので、そこにツッコんでいる作品なんだなとは思えなかったかもしれません。

家族のドラマという側面もあるので、結果的に「詰め込み過ぎ」感があるんですよね。

司法ドラマなのか、家族のドラマなのか、はたまた人間を描いたヒューマンドラマなのか。
はたまた人間は人間を裁けるのか、神の存在は必要かなどなどテーマがすごく多い・・・。

観た人が感じるだけの沢山のテーマが潜んでいてとても重厚なんですけど

「分かった、分かったから!」

と言いたくなる説教臭さみたいなものもあって・・・うーん。

タイトルの三度目の殺人の三度目は何を示すのか?も三隅の死刑が殺人だ、と言いたげなのも分かりますけどね。なんだかすごくドヤァ!とされてる感があって。

ちびぞうはプラスの部分もマイナスの部分も合わせて普通に観れた、という感想に落ち着きました。(と言う割にあんまり褒めてないけど)

 


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画像引用元:映画.com

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