―――毎日が、新しい。
このポスターが最高にセンスよくてオシャレな今作!!!!
ジム・ジャームッシュ監督の作品は『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』や『ナイト・オン・ザ・プラネット』、『デッドマン』の三本しか観たことがないんですが、どれも相性が良くなかったんですよね。どうも、ちびぞう(@cbz_ewe)です。
高校の頃にロベルト・ベニー二にハマっていたちびぞうは、彼が出演している『ナイト・オン~』で初めてこの監督の作品に触れあいましたが、残念ながらこの時は途中で爆睡してしまった・・・!!
その後いくつか観てみたものの、監督に対する苦手意識を払拭できないままここまで来てしまい・・・。
今回は、『スター・ウォーズ新章』でファンになったアダム・ドライバーが主演をしていること、ポスターがめっちゃめちゃオシャレなこと、それに加え家族が観たい!!と言ってくれたのでレンタルで鑑賞・・・。果たして今回の感想は・・・!?
公式サイトはこちら。
【映画情報】
【原題】 Paterson
【制作国】アメリカ
【監督/脚本】ジム・ジャームッシュ
【製作】ジョシュア・アストラカン、カーター・ローガン
【製作総指揮】オリバー・ジーモン、ダニエル・バウアー、ロン・ボズマン、ジャン・ラバディ
【撮影】フレデリック・エルムス
【美術】マーク・フリードバーグ
【衣装】キャサリン・ジョージ
【編集】アフォンソ・ゴンサウベス
【出演([]内は役名)】
- アダム・ドライバー[パターソン]
- ゴルシフテ・ファラハニ[ローラ]
- バリー・シャバカ・ヘンリー[ドク]
- クリフ・スミス[メソッド・マン]
- チャステン・ハーモン[マリー]
- ウィリアム・ジャクソン・ハーパー[エヴェレット]
- 永瀬正敏[日本人の詩人]
- ネリー[マーヴィン(イングリッシュ・ブルドッグ)]
【公開日(日本)】2017年8月26日
【上映時間】118分
【配給】ロングライド
【映倫区分】G
【IMDB】7.4/10.0 (およそ46,500人の評価)
【あらすじ】
ニュージャージー州パターソン市で暮らすバス運転手のパターソン。朝起きると妻ローラにキスをしてからバスを走らせ、帰宅後には愛犬マービンと散歩へ行ってバーで1杯だけビールを飲む。単調な毎日に見えるが、詩人でもある彼の目にはありふれた日常のすべてが美しく見え、周囲の人々との交流はかけがえのない時間だ。【引用元:映画.com】
【感想(さりげなくネタバレ!)】
☆3.5/5.0
食わず嫌い、ダメ、ゼッタイ。
「この監督苦手なんだよな~~~」と思ってても、観てみないことには分かりませんね!!!
ちびぞうはすごく学んだ!!
名もなき詩人の、愛すべき日々
地味って言ってしまえばすごく地味。
パターソンという街に住む、パターソンという詩を書くのが趣味な男(バスドライバー)の平凡な一週間が描かれます。
妻のことを愛し、自然と街を愛し、愛犬を愛し、バスの乗客の会話を愛し、散歩のあとのビールを愛す。
映画的な派手な山場というものはなく、ラスト付近で愛犬に自分の大切な詩のノートをズタボロにされてしまいショックを受ける・・・という出来事があります。これが一番の山場といえば山場。
ショックを受けた彼は町を散歩し、日本人の詩人と交流して、新しいノートを貰う。
そしてまた、新たなページに詩を書いていくんだろうなぁ。という穏やかな終わり。
この毎日が少しだけクスッと出来る笑いの要素もあり、心温かくなるんですよね~~~~
人生とは小さな悲劇と喜劇の連続で出来ているんだなぁ。
パターソンと妻の少し鈍感で優しい関係
この映画で一番いいなと思ったのは、パターソンと奥さんの優しい関係性。
奥さんは才能あふれるアーティストで、好奇心旺盛で、カップケーキで稼ごうとか、ギターを教材ごと買って音楽アーティストになろうとか、色々言う。
自分のことだけではなく、パターソンの詩は素晴らしい、ぜひ出版しましょうと、常に前向きでポジティブで少し夢見がち。
だけど、パターソンはそんな彼女に「それはやめといた方がいいんじゃない」とか「もうちょっと考えてから決めたら」とか、そういう言葉を一切言わないんです。基本的にいつも「良いと思うよ」と彼女の言葉を応援する。
アーティストな彼女がその独特のセンスで家の中を不思議な模様に塗りたくっても、一言も文句を言わない。
彼女の作るパイがちょっと不思議な味であんまり好きじゃないな、と思ったとしても(顔には出てるけど)言わない。
そしてそんな彼に「美味しくない?」と聞きつつも、「そんなことないよ」と言われたらそれ以上は追及せずに納得する妻。
なんというかお互いのする些細なことは気にしない鈍感さというものもありつつ、でもそれ以上に
お互いを愛しているから、寛容になれる。すべてを許せる。そんな関係なんだなと思うと、すごく温かくて、この二人の夫婦としての愛の形はすごく理想的だなって思いました。
二人とも平凡で穏やかで嫌味がなくて。
特にえらいなって思ったのは、ラスト付近で詩のノートをボロボロにされた時、妻がパターソンを「だからあんなに詩のコピーを取ってってお願いしたのに」と責めなかったところ。
ちびぞうなら言ってしまいそう。だって再三、長年言い続けてきたことだし・・・脳裏によぎっちゃう。ただただ悲しむパターソンの気持ちに寄り添う。優しいです・・・。
まとめ
何も起きない日常系映画、というジャンルの中でかなり好きな方の作品でした・・・!
(この映画のおかげで、昔爆睡してしまった『ナイト・オン・ザ・プラネット』ももう一度観てみようかな・・・!という気持ちがムクムクと!)
この作品は、詩人ウィリアム・カーロス・ウィリアムズや詩人ロン・パジェットへのオマージュになっている(とウィキさんに書いてあった)らしいんですが、残念ながらそんな方向への造詣が深くないもので・・・・・・詩人に詳しい人が観たら、もっと違う感想が出てくるかもしれませんね。
でも、全く知らなくても普通に楽しめるし、劇中に主人公が書いてる詩も素敵だし、良い映画でした。
雨の日の休日の、午前中とかに、愛する人とまったり観るのが良いかも。
あっ!アダム・ドライバーの演技も最高だったし、愛犬マーヴィン役のネリーも最高でしたよ!!!