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新しい家族の形と忘れてはならないもの。実話を元にした映画『ライオン 25年目のただいま』感想

あの日言えなかった「ただいま」を伝えるため、そして自分の人生を取り戻すため、いま僕は、広大な世界へ旅立つ――

 

5歳の時に迷子になり、故郷から一万キロ離れた地から25年後、グーグルアースによって故郷を見つけ出すというビックリ世界仰天な実話を元にした映画。

血の繋がらない家族の愛の形と血縁関係の絆の強さを同時に描き、更にただの美談ではない養子縁組の一面など多面的な視点で描かれた感動作です。

なお字幕を手掛けたのは久々に見かけた戸田奈津子氏!

 

パンフレットはこんな感じ。とってもシンプル!

29ページで税抜き667円。シンプルイズベスト!主人公が歩んだ人生のルートを地図付きで紹介していたり、映画のモデルになった家族の写真が載っていたりします。

【映画情報】

【原題】Lion
【制作国】オーストラリア/アメリカ/イギリス
【監督】ガース・デイヴィス
【脚本】ルーク・ディヴィス
【原作】サルー・ブライアリー『25年目の「ただいま」5歳で迷子になった僕と家族の物語』

【音楽】ハウシュカ&ダスティン・オハロラン
【出演】デヴ・パテル、ルーニー・マーラ、デヴィッド・ウェンハム、ニコール・キッドマン、サニー・パワール、アビシェーク・バラト、プリヤンカ・ボセ、タニシュタ・チャテルジー、ディープティ・ナバル、デヴィアン・ラドワ
【公開日(日本)】2017年4月7日
【上映時間】119分
【配給】ギャガ GAGA★
【IMDB】8.1/10.0 (およそ89000人の評価)

 

【あらすじ】

1986年、インドのスラム街で暮らす5歳の少年サルーは、兄と仕事を探しにでかけた先で停車中の電車で眠り込んでしまい、家から遠く離れた大都市カルカッタ(コルカタ)まで来てしまう。そのまま迷子になったサルーは、やがて養子に出されオーストラリアで成長。25年後、友人のひとりから、Google Earthなら地球上のどこへでも行くことができると教えられたサルーは、おぼろげな記憶とGoogle Earthを頼りに、本当の母や兄が暮らす故郷を探しはじめる。【引用元:映画.com】

【感想】

☆4.2/5.0

思っていたよりも、主人公サルーが5歳で迷子になって養子に行くまでの流れが丁寧に描かれていてとっても良かった。エンドロールの手前でモデルになった人達の写真が登場しますが、それを見ると「かなり細かいところまで再現されているのだな」と感じます。

とにかく感動的!4,5回は泣ける場面がありました。

◆ちびぞう的泣けるポイント

  • サルーが養父母のスーとジョンに初めて会うシーン

治安も悪く危険なカルカッタをようやく離れられて観客としてはホッとする場面なのでしょうが・・・サルーの幼少期を演じたサニー・パワールくんの演技がヤバい!!

この子。何千人もの子どもたちの中から選ばれただけはあります。初めてとは思えない演技力(主に眼力)で、故郷を離れて来てしまったという呆然とした感覚や新しい世界への不安、そして養ってくれるであろう養父母への気遣いまでもが滲み出ている名シーンで、非常に複雑な心境を表現しているこの子の表情に、涙が止まらなかったです。

  • 大人になったサルーが揚げ菓子を食べるシーン

このシーンも非常に上手でしたね・・・過去の記憶を呼び覚ますきっかけは、日常の些細なものに潜んでいる。そして一度きざした想いは、止めどなく溢れてしまう・・・上手く伏線を張るもんだなぁと感動しました。

  • 兄グドゥについてと、タイトルの意味

実話をベースにした映画にはよくある、最後に文章で「現在誰々はどこどこで暮らしていて~」とか物語の補足をするやつあるじゃないですか。あそこで知らされる三つの事実が非常に胸を打ちました。特に兄と、タイトルの意味。これのおかげでエンドロールでも涙が止まらなかったです。5歳で養子に出されるまでの一年間を一人で生き抜いたサルーの、運が良いだけではないサバイバー的な生命力の強さをきっと実感できるはず。

◆ここが惜しかった

せっかく二つの家族の形を描いているのだから、養父母と家族になるまでの絆が作られていく描写もしっかり描いてほしかったですね。

恋人役のルーニー・マーラちゃんは好きな女優さんですが、彼女とのシーンが蛇足に感じてしまいダラけてしまったので・・・そこの時間を少し削って新しい家族形成に充てて欲しかったなと。

特に弟のマントッシュとの兄弟関係ですね。あそこ薄かったなぁ・・・あれでは障がいのある弟がただのモンスターに見えてしまうだけ。もちろんマントッシュなりの愛情の示し方が「だから家を出た」という台詞からも見えてくるんですが・・・あともう少しだけ、描写して欲しかったですね><

◆まとめ

ニコール・キッドマン扮するスーが言っていた「子どもを産んで世界はよくなる?世の中は人で溢れてる。恵まれない子供たちを助ける方が、意義がある」という言葉がとても印象的だった。自分の子どもを持てるのに、あえて血の繋がらない子を養子に迎えようと決めた”強い女性”の言葉。

最近、この映画とは全く関係ないのだけれど”ブラックリスト”という海外ドラマでも主人公の女性が”あえて養子を取る”とこの映画のスーと同じことを言っていたのを思い出した。最近はこういった考えで子どもを迎えようという人が増えてきているのかもしれない。

「人間とは、家族とはこうあるべき」という固定概念を取り払って”人のために生きてみる”のは素晴らしいと思う。血が繋がらなくたって家族になる事は出来る、そんな新しい、生き方の多様性をこの作品は示してくれる。

そして冒頭でも書いたように、決して美談だけではないところが良い。お金があるから養えるとか、幸せに出来るとかそういう事ではない。思い遣りと愛がある人たちでも、うまくやっていくことは難しい。血が繋がっていても幸せになれるとは限らないんだから当然かもしれないんだけど、理想だけを見せて軽い気持ちで養子を、なんて思わせないところもこの映画の良さだと思う。

実話ベースだけど、家族の新しい形を上手に見せた名作だと思います。

もっとたくさんの人に観て欲しいオススメの一本です!

最後に、映画やパンフでも紹介されていたユニセフさんの特設ページへリンクを。

「毎年、インドで行方不明になる子供は8万人以上―――

本映画では、日本ユニセフ協会公式サイト内の本作特設ページを紹介し、ユニセフの支援する世界の子どもたちへの寄付を呼び掛けております。映画をご覧いただくことで、より多くの人が、本作で描かれる悲しい現状に対する理解を深め、援助の契機となることを願って。」

 

 


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