今、全ての人を歓喜と至福の頂点へ!
『セッション』で一躍有名となったデイミアン・チャゼル監督の最新作!
アカデミー賞で過去最多の14部門ノミネートで話題になったミュージカル映画。周囲の映画仲間達も大絶賛の中、「そんなに評価されてると逆に怖い!」と思いつつ観に行きました。
いつも通りパンフレット紹介から!
横長のデザイン、ピアノモチーフでオッシャレィ!!!ですね!
税抜き667円。しっかりとした厚さの紙に30ページもあり、撮影で使われた場所を地図付きで教えてくれるページがあったり、ゴズリングさんとエマ・ストーンがデュエットした”City of Stars”の和英歌詞が載っていたりします。
更に中身のデザインも色合いが映画と同じようなオシャレな色遣いでまるでファッション雑誌のよう。このボリュームでこの値段は・・・これだけの大作とは思えない良クオリティのパンフレットだと思います^^*
映画情報
【原題】LA LA LAND
【制作国】アメリカ
【監督・脚本】デイミアン・チャゼル
【製作】フレッド・バーガー、ジョーダン・ホロウィッツ、ゲイリー・ギルバート、マーク・プラット
【音楽】ジャスティン・ハーウィッツ
【出演】ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、ジョン・レジェンド、ローズマリー・デウィット、フィン・ウィットロック、ソノヤ・ミズノ、J.Kシモンズ
【公開日(日本)】2017年2月24日
【上映時間】128分
【配給】ギャガ/ポニーキャニオン
【IMDB】8.4/10.0
【あらすじ】
現代のロサンゼルス。女優を志すミア(エマ・ストーン)とジャズピアニストを目指すセバスチャン(ライアン・ゴズリング)の恋物語。二度の最悪な偶然の出会いを経て、少しずつお互いに惹かれていく二人。お互いがお互いの夢を応援しようとするが、セバスチャンが”自分の店を持つ”という夢に向けて資金集めをしようと契約をしたバンドが忙しくなるところから、二人の関係は切なくすれ違っていく…
【感想】
★4.5/5.0
これぞエンターテイメント!かなりのハイスコアです。個人的なオールタイムベストムービーに選出しているものが100作品ほどあるのですが、その中にも食い込みましたし、ミュージカル映画の中でもトップに躍り出ました!!
各方面で大絶賛の嵐かと思いきや、批判している人はかなりこき下ろしているようですね。このブログでは、少しそこらへんに対して思う部分にもコメントしつつ、自分なりに感じたことを書いていきたいと思います。
ちなみに主演のゴズリングさんはわりと好きな俳優さんで、エマ・ストーンも可愛くて好きです。
二人の良さがオシャレにかっこよく、引き出されていましたね!
◆前提として―――
- 私はミュージカル映画が苦手(以前バーレスクの記事でも書きましたね)です。
- 映画や音楽に関する知識は深くなく、完全に素人である。
という主張をしつつ、一番大切にしたいのは
- この映画は、「大人へ向けたお伽話である」
- ジャズを死なせたくない(ミュージカル映画を死なせたくない)という監督の願いが込められている
という点!!
①ミュージカルが苦手な人に対する配慮―――
歌がショーケースとして披露されているバーレスク等とは違い、普通のミュージカル映画のように突然歌い出す形ではあるのですが、その俳優陣の歌声がポイント。
囁くような歌声でささやかに、そして本場のブロードウェイ・ミュージカル・キャストのようではない歌唱力…ここが、私のようなミュージカルが苦手な音楽素人への敷居を低くしている。と感じます。つまり入りやすさは抜群!!
②タイトルに込められたダブルミーニング―――
フジテレビのバイキングに出演していたコトブキツカサさんが本作のタイトルに込められたダブルミーニングについて言及していました。
一つ目は、LAつまりロサンゼルスでのお話しだという意味。
二つ目は「現実離れした夢のような(つまりはお伽話)」という意味。
夢を追う二人を通じて、私たち観客にも夢を見させてくれる。そして全体を通してあえて感じさせているであろう、ふんわりとした現実味のなさが、ラスト10分の演出に効いてくるのだと思います。
◆上記2点をふまえた上での画面の美しさ、演出の面白さ―――
ここでいくつかパンフレットの画像をぺたぺた。
朝焼けをバックに夜景の見える高台のベンチで話していた二人が、タップダンスを通し心の距離を縮めていく様子を表したシーン。タップもかっこよかったです。
まるでゴッホの絵の中に入り込んだような演出が美しい!
このような映像の美しさやオシャレなシーン、奇抜な演出(例えば冒頭の高速道路での壮大な歌シーン)の数々に、観ている人は引き込まれてしまう。
苦手意識を取り払われ、純粋に映像を楽しめると言う点でも、とても親しみやすい作品になっていると思います。
◆ミュージカル映画としての立ち位置とジャズへの想い―――
「ジャズを死なせたくない」と劇中でも主人公であるセバスチャンが言っていましたが、これは監督の気持ちを代弁するものでもあったのかなと。
ジャズというものが若者に親しまれているかと言えばそうではないし、ミュージカル映画に関しても日本は特に一般の人には親しみがない分野だと思うんですよね。批判的な意見を見ているとどうも、”主人公の音楽に対する主張とその技術との剥離”だとか”劇中での使用楽曲に対するツッコミ”であったりだとか。まぁ正直そこらへんを詳しい方々に指摘されてしまう隙があるのも確かだと思うのですが。しかし、その「音楽通にツッコまれてしまう隙」がある事が、大衆に馴染みやすい作品になっている理由の一つでもあると思います。
詳しい知識がなくたって、ピアノの上手さが判断出来なくたって、「人間が夢を追い、恋をして、もしかしたらあったかもしれない別の未来に思いを馳せる」そんな普通の人でも体感出来得る事を、登場人物たちにそれぞれの解釈で自分の人生を重ねて楽しむ事が出来るんです。
ふわりとした部分があるからこそおとぎ話なのであって、各々が想像する結末に思いを馳せることが出来る。そういう楽しみ方の出来る作品にあえて作られているのかなと。
一番私が言いたいのは、「素晴らしく上質なカチカチのミュージカル映画を作ったからと言って、一部のマニアだけが賛辞していても意味がない」ということ。本当の意味でミュージカル映画を、ジャズというジャンルを生かしていくのならば、”とにかく沢山の人達の興味を引き、一度でもいいから観てもらう”、これが一番大切な事だと思います。
観てもらい、多くの人に興味を持ってもらえれば、きっとそれはそのジャンルの未来に繋がっていく。
そういう意味で(これが監督の狙いかどうかは分かりませんが/笑)、ジャズを広める、ミュージカル映画を広めると言う事は成功している、と私は思うのです。
◆個人的ブラボー!!
オープニングやラスト10分に関しては様々なところで語られているので特に書く事はありません(ちなみに私もラスト泣きました)。
個人的に言いたいのは、冬から始まり、春・夏・秋と季節のタイトルで分けられた章構成が素晴らしい!!ということ!
秋の場面で表示される「FALL」の文字のタイミング、そこに含まれた二つの意味(そのままの秋、と落ちる、という意味)がその後の二人の運命を暗示しているようで素晴らしいな、この監督天才だなと思いました。
それから、この映画は日本のCMの魅せ方も良かったですね。レストランで演奏を終えた二人がキスするシーンがよく流れていたと思うんですが、実はそのシーンには仕掛けがあり・・・実際に観ている人はそのシーンが最初に流れた時に「あれれ?おかしいな?」と思ったはず。
そしてその違和感・疑問がラストで回収された時に、繋がっていく・・・
本編での演出を更に際立たせていて、本当に上手でしたね!
終盤までの物語の内容はありがちと言えばありがちなのですが(このタイミングでそれを言う(笑))、二人の恋物語には普通にキュンキュン出来ますし、気軽に観れるミュージカル映画として是非、女性にも男性にも観に行って欲しい、そして平凡さが消えるラストを是非その目で直接!観て来て欲しいですね!!
◆小ネタ
この監督の前作、セッションのパンフレットを見ていて気付いたんですが、主演のマイルズ・テラーの俳優紹介欄に
「同監督の次回作”ラ・ラ・ランド”でエマ・ワトソンと共演予定」ってありましてね。びっっくりしました。結果的にゴズリングさんとエマ・ストーンの二人で良かったんじゃないかと思う私ですが…最初予定されていた組み合わせも素敵だったろうな…と(ちなみにマイルズ・テラーは出演料の問題、エマ・ワトソンはリハをロンドンでやりたいと言った事が役者チェンジへと繋がったそう…)
既に新作が!!
今作の監督と、主演俳優のゴズリングさんがタッグを組む新作が、すでに全米では2018年の10月に公開予定なのだそう!!
今度は、人類初の月面着陸を成功させたアポロ11号のアームストロング船長の伝記映画だそうです。
音楽系の映画でないのが少し残念ですが・・・再タッグに胸高まりますね!!