さあ、逃げまどえ。
き、き、き、きたー!!
ホラー映画ファンにオススメを聞くと10人に8人は答える系フランス映画〜〜!!
アレクサンドル・アジャという監督名だけならちびぞうだって聞いたことがあるくらい有名な監督です!!
この人の作品は過去にイライジャ・ウッドの『マニアック』を観たことがありまして…これが結構好きなんですよ…。
最近には映画仲間に勧められて観た『ルイの9番目の人生』が記憶に新しい!!これはジャンルが父と子のヒューマンドラマ系で泣けるんですけど、ホラー映画監督ならではの”ゾッとする演出”もちゃんと用意されてて素晴らしいんですよ…
そんな監督の作品で有名なのになぜか観てないっていうね…ちびぞうはこういうのよくあるね…。
ちなみに概要に軽く触れますと「田舎に行ったら襲われた系」のスプラッタですよ!!!!
映画情報
【制作国】フランス
【監督】アレクサンドル・アジャ
【脚本】アレクサンドル・アジャ、グレゴリー・ルヴァスール
【製作】アレクサンドル・アルカディ、ロベール・ベンムッサ
【撮影】マキシム・アレクサンドル
【音楽】フランソワ・ウード
【美術】グレゴリー・ルヴァスール
【出演([]内は役名)】
- セシル・ドゥ・フランス[マリー]
- メイウェン[アレックス]
- フィリップ・ナオン[殺人鬼]
- フランク・カルフン[ジミー]
- アンドレイ・フィンティ[Père Alex]
- オアナ・ペレア[Mère Alex]
- マルコ・クラウディウ・パスク[トム]
- ジャン=クロード・ド・グロス[Capitaine Gendarmerie]
【公開日(日本)】2006年8月26日
【上映時間】91分
【配給】 ファントム・フィルム
【IMDB】6.8/10.0 (およそ63,000人の評価)
あらすじ
親友アレックスの実家で週末を過ごすことになった女子大生マリー。ところがその夜、突然訪ねてきた謎の男がアレックスの両親と弟を惨殺、さらにトラックでアレックスを連れ去ろうとする。マリーはなんとか彼女を救おうとするのだが……。【引用元:映画.com】
感想(ネタバレするよ!!)
☆3.8/5.0
いやー面白かった。
途中までは「ホラー映画で笑う人」として大いにツッコミを入れて笑って楽しんでたんですけどね。
そのツッコミどころもラストを迎えると「なるほど…!!」な伏線に進化するという。すごすぎる。このすごさを伝えるためにまずおおまかなあらすじをお読みいただきたい。
おおまかなあらすじ
オープニングは、森の中を傷だらけで逃げる女性の姿。
どこかの建物内で裸足で椅子に座る女性の姿も見え、そこにかぶさる「誰にも邪魔させない」「録音して」というセリフ。
しばらくすると車の後部座席で眼を覚ます女性。何やら悪夢を見ていたようで、「森の中で逃げる夢を見ていた。不思議だけど、追いかけてくるのも私なの」と言う。彼女の名はマリー。このお話の主人公。
友達のアレックスの車に乗って彼女の実家へ向かっていた。
その道中、不審なトラックの運ちゃんが女性の生首のお口にアレコレ突っ込んでアワワさせるなんとも非人道的なシーンが映し出される。突然すぎて何!?とビビる。生首は終わってすぐポイされるし。
マリーたちは実家に到着。アレックスの家族は、父親と母親と弟の3人。彼らは暖かくマリーを迎え入れて泊めてくれた。
マリーはアレックスの彼氏の話を聞いた後、寝付けなかったのか夜中に外のブランコでぶーらぶら。外から上階の風呂場の窓が見え、そこからアレックスの入浴シーンが丸見えなのに気付いたマリーは自室に戻ってマスターベーション。おそらくマリーはレズビアンで、アレックスに恋心を寄せてるのかな?という雰囲気。
そしてマスタベシーンの途中から、怪しげなトラック(ニコちゃんマークのキーホルダーが良い感じ)が一家の元へとやってくる場面が挿入されます。
真夜中に鳴り響くインターホンのジリリリという音!!ひまわりの可愛い寝間着を着たお父ちゃんが何用じゃとドアを開けると、運ちゃんに有無を言わさず脳天をかち割られます!!ふらついたお父ちゃんが階段に倒れると、手すりの隙間に頭をインされて首を固定。動けません。すると運ちゃんは玄関の棚を移動させてお父ちゃんの首を横にスライドカット☆
そんな残虐なめんどい方法で殺さんでもというシーンNo. 1ですね。
どうしたどうしたと降りてきたお母ちゃんが死体に気付いて騒ぎ始めます。次の標的はお母ちゃんな様子。
騒ぎに気付いたマリーは、ベッドシーツを整えたり洗面室の濡れた部分を拭いたりと「自分の部屋に誰かが泊まっていた痕跡」を消し始めます。マリーの部屋に現れる運ちゃん!探し回りますがマリーの姿はない。マットレスもけどめくってみたけどそこにもいません…と思ったらたまたまめくった場所にいなかっただけでマリーはベッドの下に隠れていました…!
なんとかベッドの下で運ちゃんをやりすごしたマリー。電話機に電話線を繋ぐため重い家具をどかしますが出てきたのはテレビ線の挿入口。ガッカリです。
その間、運ちゃんは眠るアレックスを襲います。マリーはなんとか外部と連絡を取ろうとこっそり夫婦の寝室へ向かい電話機を発見!!!しかし子機がなーい!!探してもなーい!!そんなこんなしてたら誰か来たからクローゼットは慌てて隠れるマリー。現れたのは襲われたらしきお母ちゃん。以外に目に付きやすい場所に置かれていた子機を手に取って電話をかけようとすると追いかけて来た運ちゃんに首元を掻っ捌かれて血を吹き出しながらマリーの目の前で倒れます。
倒れたお母ちゃんで禁断のお楽しみをする運ちゃん。彼が去ったあとマリーはそっとクローゼットから出てお母ちゃんに近付きます。すると突然息を吐き返すお母ちゃん!!びっくり!!
「なぜ…なぜなの……」と言って死んでいきます。ここのお母ちゃんのKIRARETA首の奥がビクついてる演出すごい細かい。
家の中に子供の悲痛な声が響く!弟がママを求めて駆けているのを運ちゃんが追いかけています。そのすきにマリーはアレックスの寝室へ。
アレックスは生きていましたがぶっとい鎖で繋がれ口には太いチューブを噛まされて拘束されていました。アレックスをなんとか助けようとするマリー。「殺す気なら殺してるわ。あなたは生かす気よ」と励まします。
弟は外の畑に逃げ込みますが猟銃を持った運ちゃんに撃たれてしまう。マリーの努力むなしく、運ちゃんはアレックスをトラックの荷台へ乗せます。家族写真からアレックスの写真を切り取り持って持ち帰る運ちゃん。
荷台に潜んでアレックスを助けようとするマリー。キッチンから取ってきた包丁で運ちゃんを迎え撃とうと構えますが、マリーは運ちゃんに気付かれず、荷台のドアを閉められてしまう!!トラックは無情にも運ちゃんのアジトへ向かう…………運ちゃんはご機嫌で持ち帰ったアレックスの写真を運転席上部のサンバイザー辺りに貼り付けます。そこには過去の犠牲者の物と思われる写真が…
さて、物語最初で最後の脱出ポイントである【ガソリンスタンド】に到着です。
この辺で悪魔のいけにえを思い出しますね!!絶対影響受けてると思う!!
運ちゃんがガソリンを入れている間に、マリーは包丁で荷台後ろのドアを開けてそっと降ります。そしてスタンドに併設されているコンビニ的なショップに店員さんがいるのを見たマリーはそこへ逃げ込み「警察へ連絡して」と伝えます。
店員さんも混乱!事態を把握する隙もなく運ちゃんが店内へ!マリーの異常な様子から何かを察した店員さん、血なまぐさい指先とかを全く隠すことのない運ちゃんを怪しく思ったのか彼女をかばおうとしてくれます。良い人!良い人だ!!
「都会から来た女に興奮させられることはないか?」とか世間話をする運ちゃん。なんとか誤魔化せそうな空気も漂う!しかし、棚の影に隠れていたマリーと目配せしたところを見られていたせいで店員さんは運ちゃんに斧か何かでぶっ刺されて倒れてしまう!!「何を見ていたんだ!?」と運ちゃん。
マリーは慌ててトイレへ逃げ込みます!
トイレの個室へ隠れるマリー。運ちゃんが女子トイレの扉を一つ一つ開けていきますが誰もいない!実はマリーが隠れていたのは男子トイレだった!!運ちゃんは男子トイレにも足を運びますが、用を足すだけで特に探す様子もなく去っていきます。なぜか見つからなかったマリーは隠れていれば良いものの個室から出てきて、ホッと一息。手洗い場の水をゴクゴク!
と、そうしているうちに運ちゃんはアレックスを乗せたトラックを発信させてしまう!!しまったねーそりゃそうなるよねー何してんの!!と若干ちびぞうをイラつかせるマリー。
ショップ内の電話を使って警察へ電話をかけます。「〇〇近くの〇〇家に男が来てみんなを皆殺しに…助けて!」しかし警察はそこのスタンドの位置を特定できないと言う。
店の名前くらい外に出たら書いてあるんじゃない!?と思うのにそこら辺努力せずマリーは警察にキレて電話を切ってしまう。
そして車のキーをパクり黄色いスポーツカーでトラックを追跡!!!銃も忘れずに持っています!!ここら辺すごいかっこよい!!あとこの辺りでかかるMUSEの曲が最高です。センス光ってる。
ライトを消してトラックを尾行していますが眠気に負けて目をこすった隙に見失ってしまうマリー。どこに行った?と言いつつ車をゆっくり走らせていくと、追いかけていたはずのトラックがなんと背後に出現!!!どこかで停めてマリーを先に通したみたいですね。
後ろから激突!ばりにぶつかられるマリー。銃は空だし運転中に弾を込められず(ここってもしかして薬莢が空だったのかも)、事故って車が吹っ飛ぶ!!燃える車からなんとか抜け出し森の中をさまよいます。左腕の怪我にボロ布を巻いたらオープニングのシーンで見た夢の状況とそっくり!!!
歩いているとビニールで覆われた温室へ到着。ここで運ちゃんとの最終バトル!!!畑に刺さっていた釘だらけの棒を抜いて、運ちゃんに攻撃を仕掛けるマリー。懐中電灯で自分を探している運ちゃんを返り討ちにしようとするが、上から垂れていた紐に懐中電灯をくくりつけた罠だった!!
まんまと背後から襲われてしまうマリー。「お前もあの女が欲しいのか?」とか話しかけてくる運ちゃん。
大ピンチ!しかしなんとか頑張って運ちゃんをカボチャか何かで殴り卒倒させ棒で滅多打ちにする。これで死なないの不思議ってくらい殴る。しかし死なない運ちゃんにビニールをかぶせて窒息させる。
さぁこの辺りでネタバラシきます。
マリーから連絡を受けた警察がガソリンスタンドに到着。防犯カメラの映像で何が起きたかを調べる。すると、そこには店員を斧で襲うマリーの姿が!!!
運ちゃんを倒してアレックスを解放するマリー。しかしアレックスは「あなたがやったんじゃない」と言う。
マリーの元から逃げようとするアレックス。森を抜けて小道を走る車を捕まえる!しかし車はアレックスを避けたせいでエンスト?エンジンをかけようとしてもなかなかかからない!
そこへ、チェーンソーを持って登場した運ちゃんがやってきて運転手の男をSATSUGAI
途中で運ちゃんの姿がマリーの姿へと切り替わる。
血しぶきをあげて真っ赤に染まったアレックス。かかとにガラスが刺さり歩けないが逃げようとする!そこへマリーがやってきて愛してる?と聞く。愛してる!!と叫ぶアレックスにぶちゅっとキスをするマリー。キスに夢中になっていると、アレックスに棒で胸を貫かれる。
そして、場面は病院?のシーンへ。
窓に格子のついた独房のような部屋でベッドに座り両手を拘束されているマリー。彼女を見に来ているアレックス。アレックスが職員の人に「本当に私が見えてない?」と聞くと、マリーがそちらを向いて両手を勢いよくつきだす!!!!
というシーンでおしまいおしまい。
エンディング曲もMUSE!最高です!!聞いて!!↓↓
野暮な気になりどころ
ちょっとだけ気になるのはなんで主人公がビアンでしかも二重人格(精神を病んでる)設定なのかという…まぁ、普通に男では絵面がおもんないってのもあるんでしょうけどね!!小汚いトラックの運ちゃんが美麗な女性と同一人物って方が映えるでしょうし、そのネタをやるにはヒロインを愛すというビアン設定が不可欠かなぁと。
野暮中の野暮かもしれませんが、ちびぞうはマイノリティや精神疾患の人を殺人鬼に当てはめるのはあんまり好きじゃないから!!!どうにもそこだけが気になりましたね!あとはよい!!!
まとめ
いやー、ラストのどんでん返しというか、潜んでいたトリックが肝。面白いとこ。
ちびぞうはガソリンスタンドに警察が来たあたりでオチに気付いてしまったんですがそれでも十分ラストにはビビらされました。こういう、実は自分の頭の中で起きたことなんだよー的なオチとか、二重人格だったーとかはよく見かけるネタではあるものの、わりと上手く王道スプラッタホラーに練りこんであったなーと思います。
伏線も、最初の夢のシーンで話していた「追いかけてくるのも私なの」というセリフや、アレックスを助ける時の「あなたは生かす気よ」というセリフなんかがありました。まんまネタバレじゃん!殺人鬼として言ってる台詞じゃん!となる。
それから殺された母親も「なぜなの…」と呟いていましたね。あれも真相を知ってから見れば、マリーに問いかけていたセリフなのだという事が分かります。
それ以外にも、マリーに対してだけ妙に運ちゃんの察しが悪かったりしたのも自分だからだし、最後のバトルで倒せないのも自分の内面を映し出したモンスターだからなんですね。
そう思うと伏線がいっぱいで、思わず二周目に突入したくなる出来なんです!!!
グロさも十分だし、見応えバッチリで楽しかったですね。
もうハッキリとアジャ監督のファンになってしまいました!!!
『ヒルズハブアイズ』も絶対に観るぞい!!